(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ふろ機能装置およびふろシステム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20240110BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20240110BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240110BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240110BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240110BHJP
F24H 15/265 20220101ALI20240110BHJP
【FI】
F24H15/196 301P
A47K4/00
G08B21/02
G08B25/04 K
H04Q9/00 301B
F24H15/196 301W
F24H15/196 301Z
F24H15/265
(21)【出願番号】P 2020075315
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203862
【氏名又は名称】西谷 香代子
(72)【発明者】
【氏名】福田 智也
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-190544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0089550(US,A1)
【文献】特開2009-109587(JP,A)
【文献】特開2004-054534(JP,A)
【文献】特開2020-047182(JP,A)
【文献】特開平03-224526(JP,A)
【文献】特開2019-135596(JP,A)
【文献】特開2016-139304(JP,A)
【文献】特開2006-107169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/196
F24H 1/00
A47K 4/00
G08B 21/02
G08B 25/04
H04Q 9/00
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と、
浴室内に設置され、前記給湯器と通信可能な操作器と、
前記操作器に設けられたマイクロホンと、
前記浴室内の浴槽に対する人の入退浴を検知する入退浴検知部と、
前記マイクロホンを介した音声入力に基づく制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記浴室内に人が存在する可能性があることを規定する
、前記入退浴検知部により入浴が検知されたことを含む存在条件が充足されたことにより、前記音声入力の受付を開始し、
前記浴室内に人が存在しない可能性があることを規定する
、前記入退浴検知部により退浴が検知されたことを含む不在条件が充足されたことにより、前記音声入力の受付を停止し、
さらに、前記入退浴検知部により入浴が検知されたことに応じてカウントを開始する入浴タイマー部と、
前記入浴タイマー部が所定の設定時間をカウントしたことに基づいて入浴者の安否確認のための処理を実行する安否確認部と、
前記マイクロホンを介して音声入力を受け付けたことに基づいて前記設定時間を延長するタイマー延長部と、を備える、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項2】
請求項1に記載のふろ機能装置において、
前記マイクロホンに電力を供給する電源を備え、
前記制御部は、
前記電源に電力供給を行わせることにより、前記音声入力の受付を開始し、
前記電源に電力供給を停止させることにより、前記音声入力の受付を停止する、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のふろ機能装置において、
前記存在条件は、前記給湯器が運転オン状態であることを含み、
前記不在条件は、前記給湯器が運転オフ状態であることを含む、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のふろ機能装置において、
前記浴室内に設置され、人を検出するための人検出部を備え、
前記存在条件は、前記人検出部からの出力により人の存在が検出されたことを含み、
前記不在条件は、前記人検出部からの出力により人の存在が検出されない状態が所定時間継続することを含む、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載のふろ機能装置において、
前記存在条件は、前記操作器に対する操作がなされたことを含み、
前記不在条件は、前記操作器に対する操作がなされない状態が所定時間継続することを含む、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載のふろ機能装置において、
前記給湯器による出湯動作の有無を検出する出湯センサを備え、
前記存在条件は、
前記出湯センサにより出湯動作が検出されたことを含み、
前記不在条件は、
前記出湯センサにより出湯動作の停止が検出されたことを含む、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項7】
外部通信網に接続されたサーバと、
前記サーバを介して携帯端末装置により遠隔制御が可能な、請求項1ないし6の何れか一項に記載のふろ機能装置と、を備える、
ことを特徴とするふろシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器から浴槽に湯水を供給するふろ機能装置、および、当該ふろ機能装置を携帯端末装置により遠隔制御可能なふろシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器から供給される湯水を浴槽に溜める方式のふろ機能装置が知られている。この他、浴槽に溜められた水を燃焼器に循環させて浴槽内の水を暖める方式のふろ機能装置も知られている。これらのふろ機能装置では、たとえば、浴室や台所に設置された複数のリモートコントローラによって、湯張りや追い焚き等のふろ関連機能が実行される(特許文献1参照)。
【0003】
これらのふろ機能装置では、使用者からの音声入力を受け付けるための構成が用いられ得る。この場合、たとえば、浴室や台所のリモートコントローラに音声入力のためのマイクロホンが設けられる。リモートコントローラにマイクロホンが設けられると、マイクロホンに入力された音声によって、給湯器に対する操作を行うことが可能となる。また、複数のリモートコントローラの間で通話を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一日のうち、入浴等のために浴室内に人が存在する時間は比較的に短い。このため、浴室に設置されたリモートコントローラがマイクロホンを有する場合、マイクロホンを介して常に音声入力の受付が行われた状態のままであると、マイクロホンが、浴室内の人の入力音声でない、意図しない音を拾いやすくなり、給湯器の誤動作につながる虞がある。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、マイクロホンを介した音声入力の受付が適正に行われ得るふろ機能装置およびふろシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、ふろ機能装置に関する。この態様に係るふろ機能装置は、給湯器と、浴室内に設置され、前記給湯器と通信可能な操作器と、前記操作器に設けられたマイクロホンと、前記浴室内の浴槽に対する人の入退浴を検知する入退浴検知部と、前記マイクロホンを介した音声入力に基づく制御を行う制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記浴室内に人が存在する可能性があることを規定する、前記入退浴検知部により入浴が検知されたことを含む存在条件が充足されたことにより、前記音声入力の受付を開始し、前記浴室内に人が存在しない可能性があることを規定する、前記入退浴検知部により退浴が検知されたことを含む不在条件が充足されたことにより、前記音声入力の受付を停止する。ふろ機能装置は、さらに、前記入退浴検知部により入浴が検知されたことに応じてカウントを開始する入浴タイマー部と、前記入浴タイマー部が所定の設定時間をカウントしたことに基づいて入浴者の安否確認のための処理を実行する安否確認部と、前記マイクロホンを介して音声入力を受け付けたことに基づいて前記設定時間を延長するタイマー延長部と、を備える。
【0008】
本態様に係るふろ機能装置によれば、浴室に人が存在しないときには、音声入力の受付が行われないので、マイクロホンが意図しない音を拾いにくくなり得る。
さらに、浴槽への入浴の有無を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
さらに、当初の設定時間に亘って入浴が継続しても、浴室内で音声が検出され、入浴者に異常がないと見做される場合は、入浴者に対して安否確認が行われない。よって、入浴者に対して余計な安否確認が行われることがなく、入浴者に余計な応答負担が強制されることがない。また、この場合も、設定時間が延長されて入浴タイマー部のカウントが延長されるだけなので、その後も、入浴タイマー部の計時時間に基づいて長時間入浴を適切に監視でき、入浴者の安否を見守ることができる。
【0009】
本態様に係るふろ機能装置において、前記マイクロホンに電力を供給する電源を備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記電源に電力供給を行わせることにより、前記音声入力の受付を開始し、前記電源に電力供給を停止させることにより、前記音声入力の受付を停止するような構成とされ得る。
【0010】
この構成によれば、浴室に人が存在せず音声入力が行われないときに、マイクロホンに電力が供給されにくくなり、マイクホンが動作しにくくなる。よって、マイクロホンによる無駄な電力消費を抑制でき得る。
【0011】
本態様に係るふろ機能装置において、前記存在条件は、前記給湯器が運転オン状態であることを含み得る。また、前記不在条件は、前記給湯器が運転オフ状態であることを含み得る。
【0012】
この構成によれば、給湯器の運転状態を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0013】
本態様に係るふろ機能装置において、前記浴室内に設置され、人を検出するための人検出部を備えるような構成が採られ得る。この場合、前記存在条件は、前記人検出部からの出力により人の存在が検出されたことを含み得る。また、前記不在条件は、前記人検出部からの出力により人の存在が検出されない状態が所定時間継続することを含み得る。
【0014】
この構成によれば、人検出部により人の検出が行われることにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0015】
本態様に係るふろ機能装置において、前記存在条件は、前記操作器に対する操作がなされたことを含み得る。また、前記不在条件は、前記操作器に対する操作がなされない状態が所定時間継続することを含み得る。
【0016】
この構成によれば、操作器に対する操作を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0017】
本態様に係るふろ機能装置において、浴室内の浴槽に対する人の入退浴を検知する入退浴検知部を備えるような構成が採られ得る。この場合、前記存在条件は、前記入退浴検知部により入浴が検知されたことを含み得る。また、前記不在条件は、前記入退浴検知部により退浴が検知されたことを含み得る。
【0019】
本態様に係るふろ機能装置において、前記給湯器による出湯動作の有無を検出する出湯センサを備えるような構成が採られ得る。この場合、前記存在条件は、前記出湯センサにより出湯動作が検出されたことを含み得る。また、前記不在条件は、前記出湯センサにより出湯動作の停止が検出されたことを含み得る。
【0020】
この構成によれば、給湯器からの出湯の有無を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0025】
本発明の第2の態様は、ふろシステムに関する。この態様に係るふろシステムは、外部通信網に接続されたサーバと、前記サーバを介して携帯端末装置により遠隔制御が可能な、第1の態様に係るふろ機能装置と、を備える。
【0026】
本態様に係るふろシステムによれば、第1の態様に係るふろ機能装置と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0027】
以上のとおり、本発明によれば、マイクロホンを介した音声入力の受付が適正に行われ得るふろ機能装置およびふろシステムを提供できる。
【0028】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る、給湯装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る、給湯装置を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る、給湯器と浴槽との間の接続形態を模式的に示す図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態1に係る、浴室リモコンの制御部により実行される、音声入力に基づく処理を示すフローチャートである。
図4(b)は、実施形態1に係る、浴室リモコンの制御部による音声入力の受付の制御を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る、浴室リモコンにおける存在条件充足有無の判定処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る、浴室リモコンにおける不在条件充足有無の判定処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る、入浴監視機能の動作時に浴室リモコンが実行する制御を示すフローチャートである。
【
図8】
図8(a)、(b)は、実施形態1に係る、タイマー延長処理を示すタイムチャートである。
【
図9】
図9(a)は、実施形態1に係る、入浴監視機能の動作時の台所リモコンにおける制御を示すフローチャートである。
図9(b)は、実施形態1に係る、台所リモコンに表示される安否確認指示の受付画面の構成を示す図である。
【
図10】
図10(a)は、実施形態1に係る、確認指令を受信した場合の浴室リモコンにおける制御を示すフローチャートである。
図10(b)は、実施形態1に係る、安否確認結果を受信した場合の台所リモコンにおける制御を示すフローチャートである。
【
図11】
図11(a)~(d)は、それぞれ、実施形態1に係る、浴室リモコンにおける安否確認動作を模式的に示す図である。
【
図12】
図12(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、安否確認結果を受信した場合に台所リモコンにおいて実行される報知動作を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係る、給湯システムの構成を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る、給湯システムを構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【
図15】
図15(a)、(b)は、それぞれ、実施形態2に係る、入浴監視機能の動作時に、台所リモコンおよびサーバが実行する制御を示すフローチャートである。
【
図16】
図16(a)は、実施形態2に係る、入浴監視機能の動作時に、携帯端末装置が実行する制御を示すフローチャートである。
図16(b)は、実施形態2に係る、携帯端末装置に表示される安否確認指示の受付画面の構成を示す図である。
【
図17】
図17(a)は、実施形態2に係る、安否確認結果を受信した場合の携帯端末装置における制御を示すフローチャートである。
図17(b)、(c)は、それぞれ、実施形態2に係る、安否確認結果を受信した場合に携帯端末装置に表示される報知画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0031】
以下の実施形態では、給湯装置10が、特許請求の範囲に記載の「ふろ機能装置」に対応する。また、リモートコントローラ12が、特許請求の範囲に記載の「操作器」に対応する。さらに、流量センサ115が、特許請求の範囲に記載の「出湯センサ」に対応する。さらに、マイク電源127aが、特許請求の範囲に記載の「電源」に対応する。さらに、人感センサ128が、特許請求の範囲に記載の「人検出部」に対応する。
【0032】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0033】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る給湯装置10の構成を示す図である。
【0034】
図1に示すように、給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯水を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯水は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯水が供給される。
【0035】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。
【0036】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0037】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0038】
浴室リモコン12の入力部122には、運転ボタン122aが含まれている。運転ボタン122a、132は、給湯器11を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。
【0039】
浴室リモコン12および台所リモコン13が運転オフ状態(カラン等の給湯栓が開かれて基準流量以上の通水が発生したとしても給湯器11が給湯運転を行わない状態)にあるとき、表示部121および表示入力部131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132が操作され、運転オン状態(カラン等の給湯栓が開かれて基準流量以上の通水が発生したときに給湯器11が給湯運転を行える状態)になると、表示部121および表示入力部131が点灯して設定内容が表示されるとともに、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
【0040】
さらに、入力部122および表示入力部131には、給湯温度を変更するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンを操作することにより、給湯の設定温度を変更することができる。この他、入力部122および表示入力部131には、追い焚き機能や、足し湯、足し水、ふろ自動機能等を実行するためのボタン等、給湯器11の動作を制御するためのボタンが含まれている。
【0041】
図2は、給湯装置10を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0042】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、水位センサ114と、流量センサ115と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0043】
本実施形態では、記憶部112に記憶された制御プログラムによって、入退浴検知部111aの機能が制御部111に付与される。入退浴検知部111aは、後述のように、水位センサ114の検知結果に基づいて、浴槽に対する人の入退浴を検知する。
【0044】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。なお、浴室リモコン12および台所リモコン13に対する電力供給は、2芯通信線L1、L2を介して行われる。2芯通信線L1、L2によって供給される電源電圧に通信信号が重畳される。
【0045】
水位センサ114は、後述のように、給湯器11内の管路に配置され、当該管路内の水圧に基づいて浴槽内の水位を検出する。制御部111は、水位センサ114の検出結果に基づいて、浴槽内の水位を検知する。また、制御部111は、水位センサ114により検知された水位の変動に基づいて、入退浴検知部111aの機能により、浴槽に対する人の入退を検知する。入退浴の検知結果は、2芯通信線L1、L2を介して、随時、制御部111から浴室リモコン12および台所リモコン13に送信される。
【0046】
流量センサ115は、給湯器11から浴室水栓または外部水栓へ供給される湯水の流量を検出する。流量センサ115により流量が検出されることで、給湯器11から出湯されたことを検出できる。よって、流量センサ115は、出湯センサとしても機能する。流量センサ115により、給湯器11からの出湯が検出されると、制御部111から浴室リモコン12へ出湯情報が送信される。
【0047】
図3は、給湯器11と浴槽2との間の接続形態を模式的に示す図である。
【0048】
図3に示すように、給湯器11は、
図2に示した構成の他、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230とを備える。
【0049】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓3および外部水栓4とに繋がる。給湯燃焼器214には、ガス電磁弁216により開閉される給湯ガス管路217を通じてガス(燃料ガス)が供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。給湯部210には、
図2に示した流量センサ115が含まれる。流量センサ115は、給湯管路213に配置される。
【0050】
追い焚き部220は、
図2に示した水位センサ114の他、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。
【0051】
ふろ燃焼器224には、ガス電磁弁226により開閉されるふろガス管路227を通じてガス(燃料ガス)が供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサ114が配置される。水位センサ114は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0052】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0053】
制御部111は、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215、ガス電磁弁216および流量センサ115、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225、水位センサ114およびガス電磁弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。
【0054】
浴室水栓3または外部水栓4が開かれると、給湯機能が実行される。水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓3または外部水栓4に供給される。浴室水栓3または外部水栓4が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0055】
また、浴室リモコン12または台所リモコン13から浴槽2への湯張りの指令を受けると、制御部111は、湯張り機能(ふろ自動機能)を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0056】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0057】
給湯が行われて浴槽2内に湯が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が水で満たされた状態となる。これにより、水位センサ114での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサ114により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0058】
なお、湯が張られた浴槽2内に人が入ると浴槽2内の水位が上昇する。また、浴槽2内から人が出ると水位が下降する。この浴槽2内への人出入りに基づく水位変動を、水位センサ114によって検出することができる。これにより、上記のように、入退浴検知部111aの機能により、浴槽2に対する人の入退が検知される。
【0059】
また、追い焚き機能の実行時には、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる循環路と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。これにより、浴槽2内の湯温が上昇する。浴槽2内の湯温が予め設定された上限温度よりも高くなると、循環ポンプ225が停止するとともにふろ燃焼器224の燃焼が停止する。
【0060】
足し湯機能では、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御により、所定量の湯が浴槽2に注入される。
【0061】
また、足し水機能の実行時には、給湯燃焼器214およびふろ燃焼器224を停止させた状態で、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御が実行され、所定量の水が浴槽2に注入される。
【0062】
なお、ふろ自動機能には、湯張り機能と、湯張りの後にふろ温度を維持する保温機能とが含まれる。保温機能において、ふろ温度が低下した際には追い焚きが行われる。
【0063】
図2に戻り、浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、スピーカ126と、マイクロホン(以下、「マイク」という)127と、人感センサ128とを備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
【0064】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。
【0065】
本実施形態では、記憶部124に記憶された制御プログラムによって、入浴タイマー部123a、タイマー延長部123bおよび安否確認部123cの機能が制御部123に付与される。
【0066】
入浴タイマー部123aは、給湯器11の入退浴検知部111aから入浴が検知されたことの通知を受信するとカウント(計時)を開始し、入退浴検知部111aから退浴が検知されたことの通知を受信するとカウント(計時)を終了して初期値にリセットされる。タイマー延長部123bは、後述のように、マイク127を介して音が検出されたことに基づいて、入浴タイマー部123aのカウントを延長する処理を実行する。安否確認部123cは、入浴タイマー部123aの計時時間が予め設定された設定時間に到達したことに応じて、入浴者の安否確認のための処理を実行する。
【0067】
スピーカ126は、制御部123により生成された音声信号に基づく音声を出力する。記憶部124には、報知音やガイダンス等の音声を出力するための音声情報が記憶されている。制御部123は、記憶部124に記憶された音声情報を随時読み出して、音声合成処理を実行し、所定の音声を出力する。スピーカ126から出力された音声は、
図1の音声窓12aから出力される。
【0068】
マイク127は、
図1の音声窓12aを介して、音声を集音し、音声信号を出力する。
【0069】
人感センサ128は、浴室における人の動きを検出する。人感センサ128は、たとえば、赤外線を用いた焦電センサである。人感センサ128の検出範囲は、浴室内の洗い場と浴槽2をカバーする範囲に設定される。人感センサ128が、洗い場の範囲と浴槽2の範囲を個別に検出可能であってもよい。制御部123は、人感センサ128の出力に基づいて、浴室における人の有無および人の動きを検出する。
【0070】
浴室リモコン12は、マイク127に関連して、マイク電源127aと、音声認識部127bと、を有する。
【0071】
マイク電源127aは、浴室リモコン12に供給された電力からマイク127を動作させるための電力を生成し、生成した電力をマイク127に供給する。制御部123は、マイク電源127aのオンオフ、即ち、マイク電源127aから電力を供給させるか電力の供給を停止させるかを制御する。
【0072】
音声認識部127bは、マイク127から受信した音声信号に対し音声認識処理を実行し、音声信号に応じたテキスト情報を認識結果として制御部123に出力する。音声認識部127bは、CPUおよびメモリを備え、所定の音声認識エンジンに従って音声認識処理を実行する。
【0073】
なお、マイク127が動作している間、音声信号が音声認識部127bに入力されるため、制御部123による音声入力の受付が可能となる。
【0074】
浴室リモコン12の制御部123には、浴室内に出入りするためのドアの開閉を検出する開閉センサ129が接続される。開閉センサ129は、たとえば、フォトセンサやマイクロスイッチで構成される。ドアの開閉に応じた検出信号が開閉センサ129から制御部123に出力される。なお、開閉センサ129が給湯器11の制御部111に接続されてもよい。この場合、制御部123は、給湯器11を介して開閉センサ129からの検出信号を取得する。
【0075】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、スピーカ136と、マイクロホン(以下、「マイク」という)137とを備える。制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。
【0076】
スピーカ136は、制御部133により生成された音声信号に基づく音声を出力する。記憶部134には、報知音やガイダンス等の音声を出力するための音声情報が記憶されている。制御部133は、記憶部134に記憶された音声情報を随時読み出して、音声合成処理を実行し、所定の音声を出力する。スピーカ136から出力された音声は、
図1の音声窓13aから出力される。
【0077】
マイク137は、
図1の音声窓13aを介して、音声を集音し、音声信号を出力する。
【0078】
給湯装置10には、マイク127に入力された音声によって、給湯器11に対するふろ温度、給湯温度等の情報の設定や湯張り機能、追い焚き機能の実行の指令を行う機能が設けられている。以下、この機能について説明する。
【0079】
図4(a)は、浴室リモコン12の制御部123により実行される、音声入力に基づく処理を示すフローチャートである。
【0080】
入浴者は、給湯器11に対する各種の操作(温度等の設定操作、各種機能の実行操作)を音声入力により行う場合、たとえば、「給湯温度を40℃にして」、「追い焚きして」など、その操作に対応する音声を発する。浴室リモコン12では、入浴者が発した音声が、マイク127で集音されて音声認識部127bで認識され、その音声認識結果が制御部123に送信される。
【0081】
図4(a)を参照して、制御部123は、音声認識部127bによりマイク127を介した音声入力を受け付ける。制御部123は、音声認識部127bから音声認識結果を受信すると(S101:YES)、受信した音声認識結果に基づいて操作情報を取得する(S102)。操作情報には、設定情報と指令情報とが含まれる。設定情報は、給湯器11に温度等の設定を行わせるための情報であり、指令情報は、給湯器11に追い焚き等の機能を実行させるため情報である。制御部123は、音声認識結果に対応する操作情報をテーブルから取得する。たとえば、入浴者が、「給湯温度を40℃にして」と発声して浴室リモコン12に音声入力を行った場合、制御部123は、音声認識部127bから入力された音声認識結果とテーブルとを対照して、「給湯温度40℃」の設定情報をテーブルから取得する。また、たとえば、入浴者が、「追い焚きにして」と発声した場合、制御部123は、音声認識結果とテーブルとを対照して、「追い焚き」の指令情報をテーブルから取得する。
【0082】
制御部123は、こうして取得した操作情報を、給湯器11に送信する(S103)。給湯器11では、制御部111が操作情報に応じた処理を行う。たとえば、制御部111は、「給湯温度40℃」の設定情報を受信すると、給湯温度を40℃に設定し、「追い焚き」の指令情報を受信すると、追い焚き機能を実行する。
【0083】
なお、ステップS102において、操作情報を取得できなかった場合、制御部123は、ステップS103をスキップする。こうして、制御部123は処理を終了する。
【0084】
なお、ステップS103において、制御部123は、さらに、音声入力に基づいて取得および送信された操作情報の内容を、スピーカ126から出力させてもよい。また、音声入力に基づき操作情報を取得できなかった場合、そのことを示す音声を、スピーカ126から出力させてもよい。これにより、入浴者は、自身が行った音声入力によって適正に給湯器11の操作がなされたか否かを把握できる。
【0085】
ところで、一日のうち、入浴等のために浴室内に人が存在する時間は比較的に短い。このため、浴室リモコン12のマイク127を介して常に音声入力の受付が行われた状態のままであると、マイク127が、浴室内の人の入力音声でない、意図しない音を拾いやすくなり、給湯器11の誤動作につながる虞がある。
【0086】
そこで、本実施形態では、浴室内に人が存在する可能性があると見做される間、マイク127を介した音声入力が行われるように、制御部123による制御が行われる。
【0087】
図4(b)は、浴室リモコン12の制御部123による音声入力の受付の制御を示すフローチャートである。
【0088】
制御部123は、マイク127を介した受付が停止した(マイク電源127aがオフ)状態にあるか否かを判定し(S201)、受付が停止した状態にあれば(S201:YES)、人が浴室内に存在する可能性があることを規定する存在条件が充足されたか否かを監視する(S202)。制御部123は、この存在条件が充足された場合に(S202:YES)、マイク電源127aをオンすることにより、マイク127を介した音声入力の受付を開始する(S203)。マイク127に電力が供給されてマイク127が動作し、音声認識部127bに音声入力が行われる。
【0089】
図5は、
図4(b)のステップS202で実行される存在条件充足有無の判定処理を示すフローチャートである。
【0090】
この判定処理において、制御部123は、給湯器11が運転オン状態となったか、即ち運転オフ状態で運転ボタン122aが押されたか(S211)、浴室リモコン12の入力部122に対して何らかの操作がなされたか(S212)、入退浴検知部111aにより浴槽2への入浴が検知されたか(S213)、人感センサ128からの出力により浴室内の人の存在が検出されたか(S214)、開閉センサ129によりドアの開閉が検出されたか(S215)、流量センサ(出湯センサ)115により給湯器11からの出湯が検出されたか(S216)を判定する。
【0091】
浴室内に人がいれば、運転オン状態とする操作を含む浴室リモコン12の操作がなされ得るとともに、浴槽2への入浴がなされ得る。また、人が浴室内に入る際にドアが開閉され、人が浴室内で浴室水栓3を開ければ給湯器11が出湯状態となる。よって、ステップS211~S216の少なくとも1つがYESの場合、浴室内に人が存在する可能性があると見做せるため、制御部123は、上記存在条件が充足されたとして(S217)、
図4(b)のステップS202の判定をYESとする。他方、ステップS211~S216の全てがNOの場合、制御部123は、上記存在条件が充足されなかったとして(S218)、
図4(b)のステップS202の判定をNOとする。
【0092】
なお、運転ボタン122aが押されて運転オン状態となった場合は、浴室リモコン12の操作も行われたことになるため、ステップS211とS212でYESの判定がなされることになる。
【0093】
再び
図4(b)を参照して、ステップS203で音声入力の受付が開始されると、ステップS201の処理に戻り、この処理において、音声入力の受付が行われた状態であると判定される(S201:NO)。これにより、制御部123は、人が浴室内に存在しない可能性があることを規定する不在条件が充足されたか否かを監視する(S204)。制御部123は、この不在条件が充足された場合に(S204:YES)、マイク電源127aをオフすることにより、マイク127を介した音声入力の受付を停止する(S205)。マイク127に電力が供給されなくなり、マイク127が動作しなくなって、音声入力部127bに音声入力が行われなくなる。
【0094】
図6は、
図4(b)のステップS204で実行される不在条件充足有無の判定処理を示すフローチャートである。
【0095】
この判定処理において、制御部123は、給湯器11が運転オン状態であるか(S221)、浴槽2への入浴中であるか、即ち入退浴検知部111aによる入浴の検知後、退浴の検知がない状態か(S222)、給湯器11から給湯中であるか(S223)を判定する。S221~S223の何れの判定もNOである場合、制御部123は、内蔵のタイマー部により計時を開始し(S224)、所定の設定時間が経過するまでに(S225:NO)、給湯器11が運転オン状態となったか(S226)、浴室リモコン12の入力部122に対して何らかの操作がなされたか(S227)、入退浴検知部111aにより浴槽2への入浴が検知されたか(S228)、人感センサ128からの出力により浴室内の人の存在が検出されたか(S229)、流量センサ(出湯センサ)115により給湯器11からの出湯が検出されたか(S230)を監視する。
【0096】
浴室内に人がいなければ、運連オン状態となりにくく、浴室水栓3が開けられないので給湯器11が出湯状態となりにくい。また、浴槽2内への入浴が生じず、人感センサ128により検出が行われることがなく、浴室リモコン12の操作がなされることがない。よって、S226~S230の全ての判定がNOのまま、設定時間が経過した場合(S225:YES)、浴室内に人が存在しない可能性があると見做せるため、制御部123は、上記不在条件が充足されたとして(S232)、
図4(b)のステップS204の判定をYESとする。
【0097】
また、制御部123は、設定時間が経過するまでに(S225:NO)、開閉センサ129によりドアの開閉が検出されたかを監視する(S231)。ドアが開閉されたときには、人が浴室から出た可能性がある。よって、ドアの開閉が検出された場合、浴室内に人が存在しない可能性があると見做せるため、制御部123は、上記不在条件が充足されたとする。
【0098】
他方、ステップS221~S223の何れかの判定がYESの場合、および、S226~S230の何れかの判定がYESの場合、制御部123は、上記不在条件が充足されなかったとして(S233、S234)、
図4(b)のステップS204の判定をNOとする。
【0099】
なお、ステップS232で不在条件が充足されたと判定された後、および、ステップS234で不在条件が充足されなかったと判定された後、制御部123は、計時を終了する(S235)。
【0100】
再び
図4(b)を参照し、S205で音声入力の受付が停止されると、ステップS201の処理に戻る。その後は、ステップS202およびS203の音声入力の受付を開始する処理と、ステップS204およびS205の音声入力の受付を停止する処理とが交互に繰り返される。
【0101】
さらに、給湯装置10には、入浴者の安全性を監視するための機能が設けられ得る。本実施形態では、このような機能として、入浴者が長時間に亘って入浴を継続している場合に、入浴者の安否を確認するための入浴監視機能が、給湯装置10に配備されている。以下、この機能について説明する。
【0102】
図7は、入浴監視機能の動作時に浴室リモコン12が実行する制御を示すフローチャートである。
【0103】
浴室リモコン12の制御部123は、給湯器11の入退浴検知部111aから入浴開始の通知を受信すると(S301:YES)、入浴タイマー部123aを起動し(S302)、入浴タイマー部123aのカウント値(計時時間)が所定の設定時間に到達したか否かを判定する(S303)。ここで、設定時間は、デフォルト値が用いられてもよく、あるいは、使用者が所定の設定操作により設定してもよい。
【0104】
入浴タイマー部123aのカウント値が設定時間に到達する前に(S303:NO)、入浴者が浴槽2から退出したことの通知を入退浴検知部111aから受信すると(S307:YES)、制御部123は、入浴タイマー部123aを終了させて(S308)、処理を終了する。
【0105】
他方、入浴者が浴槽2から退出しないまま(S307:NO)、入浴タイマー部123aのカウント値が設定時間に到達すると(S303:YES)、制御部123は、入浴状態が設定時間以上継続したこと(長入浴入力が生じたこと)を示す長時間入浴通知を、安否確認部123cにより、台所リモコン13に送信する(S304)。そして、制御部123は、入浴タイマー部123aの計時を終了させて(S308)、処理を終了する。
【0106】
さらに、制御部123は、
図7の制御の間に、マイク127を介して所定レベル以上の音を検出したかを、タイマー延長部123bにより監視する(S305)。タイマー延長部123bは、所定レベル以上の音が検出された場合に(S305:YES)、入浴タイマー部123aのカウントを延長する処理を実行する(S306)。
【0107】
図8(a)、(b)は、
図7のステップS306で実行されるタイマー延長処理を示すタイムチャートである。便宜上、
図8(a)、(b)では、縦軸の時間軸が横軸の時間軸よりも圧縮されて示されている。
【0108】
図8(a)、(b)には、入浴タイマー部123aにおけるカウント値(計時時間)の変化が示されている。ここでは、時刻t0において、浴槽2に対する入浴が開始され、時刻t1において、
図7のステップS305の判定がYESとなっている。その後、時刻t2において、入浴タイマー部123aのカウント値が設定時間Tth1、Tth2に到達している。
【0109】
図8(a)の例では、
図7のステップS306において、入浴タイマー部123aがリセットされる。これにより、入浴タイマー部123aのカウント値は、時刻t0から時刻t1までの間、時間の経過とともに増加し、時刻t1において初期値(ゼロ)にリセットされる。その後、入浴タイマー部123aのカウント値は、初期値から、時間の経過とともに増加し、時刻t2において、設定時間Tth1に到達する。したがって、この例では、時刻t2において、
図7のステップS303の判定がYESとなり、ステップS304において、安否確認部123cから台所リモコン13に長時間入浴通知が送信される。
【0110】
なお、時刻t1から時刻t2までの間に、入浴者が浴槽2から退出すると、
図7のステップS307の判定がYESとなり、安否確認部123cから台所リモコン13に長時間入浴通知が送信されることなく、入浴タイマー部123aがリセットされて、処理が終了する。また、時刻t1から時刻t2までの間に、再度、
図7のステップS305の判定がYESとなると、ステップS306において、再度、入浴タイマー部123aがリセットされて、その後の計時が行われる。
【0111】
図8(b)の例では、
図7のステップS306において、入浴タイマー部123aのカウント値が所定値だけ減じられる。これにより、入浴タイマー部123aのカウント値は、時刻t0から時刻t1までの間、時間の経過とともに増加し、時刻t1においてΔtだけ減じられる。その後、入浴タイマー部123aのカウント値は、Δtだけ減じられた値から、時間の経過とともに増加し、時刻t2において、設定時間Tth2に到達する。したがって、この例では、時刻t2において、
図7のステップS303の判定がYESとなり、ステップS304において、安否確認部123cから台所リモコン13に長時間入浴通知が送信される。
【0112】
この場合も、時刻t1から時刻t2までの間に、入浴者が浴槽2から退出すると、
図7のステップS307の判定がYESとなり、安否確認部123cから台所リモコン13に長時間入浴通知が送信されることなく、入浴タイマー部123aがリセットされて、処理が終了する。また、時刻t1から時刻t2までの間に、再度、
図7のステップS305の判定がYESとなると、ステップS306において、再度、入浴タイマー部123aのカウント値がΔtだけ減じられて、その後の計時が行われる。
【0113】
なお、
図8(b)の例では、入浴タイマー部123aの延長に応じて、当初の設定時間Tth1が、設定時間Tth2に変更される。たとえば、設定時間Tth2は、設定時間Tth1にΔtを加算した値である。これにより、
図8(a)と同じタイミングで、長時間入浴通知の送信が行われる。時刻t1以降に再度、
図7のステップS305の判定がYESとなった場合、同様の処理により、設定時間Tth2が設定時間Tth3に増加され、設定時間Tth3と入浴タイマー部123aのカウント値とが比較されてもよい。
【0114】
なお、
図8(b)の例における設定時間の再設定方法は、Δtを加算する方法に限られるものではなく、Δt以外の他の値を加算する方法であってもよい。また、
図8(b)の例において、設定時間は、必ずしも、変更されなくてもよく、当初の設定時間Tth1がそのまま用いられてもよい。あるいは、
図8(b)の例では、予め、設定時間が
図8(a)の例よりも長く設定され、入浴タイマー部123aの延長の有無に拘わらず、この設定時間と入浴タイマー部123aのカウント値とが比較されてもよい。
【0115】
図9(a)は、入浴監視機能の動作時の台所リモコン13における制御を示すフローチャートである。
【0116】
台所リモコン13の制御部133は、
図7のステップS104で送信された長時間入浴通知を受信すると(S401:YES)、入浴者の安否確認を行うか否かを受け付ける処理を実行する(S402)。ステップS402の処理において、制御部133は、表示入力部131に対して、たとえば、
図9(b)に示す受付画面300を表示させ、さらに、スピーカ126から長時間入浴が生じたことを示す音声を出力させる。
【0117】
受付画面300には、入浴状態のまま設定時間が経過したことを報知するメッセージ301と、入浴者に対して呼び掛けを行うか否かを選択するためのボタン302、303とが含まれている。使用者は、入浴者の安否確認を行う場合にボタン302を操作し、入浴者の安否確認を行わない場合はボタン303を操作する。ボタン302が操作された場合(S403:YES)、制御部133は、浴室リモコン12に確認指令を送信する(S404)。他方、ボタン303が操作された場合(S403:NO)、制御部133は、確認指令を送信することなく、処理を終了する。
【0118】
図10(a)は、入浴監視機能の動作時の浴室リモコン12における制御を示すフローチャートである。
図10(a)の処理は、浴室リモコン12の制御部123が、安否確認部123cの機能により実行する。
【0119】
浴室リモコン12の制御部123は、台所リモコン13から確認指令を受信すると(S321:YES)、安否確認部123cの機能により、確認処理を実行する(S322)。具体的には、制御部123は、スピーカ126から状況を問い合わせるための音声を出力させる。これにより、
図11(a)に示すように、音声窓12aから問い合わせの音声が出力される。たとえば、浴室内の人に対して「大丈夫ですか」と問いかける音声が、音声窓12aを介して、
図2のスピーカ126から出力される。
【0120】
さらに、制御部123は、入浴者からの応答を受けるために、
図11(b)に示すように、浴室リモコン12の入力部122に配置された何れかのボタンの操作かマイク127への音声入力により応答することを入浴者に促すメッセージ音声を、音声窓12aを介して、スピーカ126から出力させる。このメッセージに対し、入浴者は、自身に異常が無い場合、
図11(c)に示すように、入力部122に配置された何れかのボタンを操作する。あるいは、
図11(d)に示すように、「大丈夫です」と発声する。これに応じて、制御部123は、入浴者が正常であることを示す応答を台所リモコン13に送信する。
【0121】
他方、入浴者に異常が生じている場合、入浴者は、
図11(a)、(b)の問いかけに対して、適切に応答することができない。たとえば、入浴者が浴槽2内で気を失っている場合、入浴者は、入力部122のボタンを操作できない。また、入浴者は、体調が悪い場合、
図11(e)に示すように、「ダメです」と発声する。この場合、制御部123は、
図11(b)のメッセージ音声を出力した後、入力部122に対する操作がないまま所定時間(たとえば数十秒)が経過したタイミングで、あるいは、異常であることを示す音声を受けたタイミングで、入浴者に異常が生じたことを示す応答を台所リモコン13に送信する。このとき、制御部123は、異常の連絡を台所リモコン13に行うことのメッセージを、音声窓12aを介して、スピーカ126から出力させてもよい。
【0122】
図10(a)に戻り、制御部123は、安否の問い合わせに対して、入浴者から応答があった場合(S323:YES)、
図11(c)のように、入力部122のボタンの操作あれば(S324:YES)、あるは、
図11(d)のように、正常であることを示す音声(たとえば、「大丈夫」や「OK」等)の入力があれば(S325:NO)、安否確認部123cの機能により、台所リモコン13に対して、入浴者に異常がないことを示す正常通知を送信して(S326)、処理を終了する。なお、入浴者の音声は、マイク127により集音され、音声認識部127bにより認識される。
【0123】
他方、制御部123は、呼び掛け動作に対して入浴者から応答がないまま所定時間が経過すると(S323:NO)、あるいは、
図11(e)のように、異常であることを示す音声(たとえば、「ダメ」等)が入力されると(S325:YES)、安否確認部123cの機能により、台所リモコン13に、入浴者に異常があることを示す異常通知を送信して(S327)、処理を終了する。
【0124】
図10(b)は、
図10(a)のステップS326、S327で送信された通知を受信した場合の台所リモコン13における制御を示すフローチャートである。
【0125】
台所リモコン13の制御部133は、浴室リモコン12から正常通知を受信した場合(S411:YES)、入浴者が正常であることを示す正常報知処理を実行し(S412)、浴室リモコン12から異常通知を受信した場合(S413:YES)、入浴者に異常が生じたことを示す異常報知処理を実行する(S414)。
【0126】
具体的には、制御部133は、正常報知処理(S412)において、
図12(a)に示すように、入浴者に異常がないことを報知するメッセージ音声を、音声窓13aを介して、スピーカ136から出力させ、異常報知処理(S414)において、
図12(b)に示すように、入浴者に異常が生じたことを報知するメッセージ音声を、音声窓13aを介して、スピーカ136から出力させる。なお、これらのメッセージ音声とともに、正常または異常を報知するための画面を、表示入力部131にさらに表示させてもよい。
【0127】
これらの報知により、宅内の使用者は、入浴者の状態に応じて、適切な対応をとることができる。こうして、制御部133は、
図10(b)に示した処理を終了する。
【0128】
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0129】
図4(b)に示すように、人が浴室内に存在する可能性があることを規定する存在条件が充足されたことにより(S202:YES)、マイク127を介した音声入力の受付が開始され(S203)、人が浴室内に存在しない可能性があることを規定する不在条件が充足されたことにより(S204:YES)、マイク127を介した音声入力の受付が停止される(S205)。これにより、浴室に人が存在しないときには、音声入力の受付が行われないので、マイク127が意図しない音を拾いにくくなり、給湯器11の誤動作を防止でき得る。
【0130】
マイク電源127aによりマイク127に電力供給が行われることにより、音声入力の受付が開始され、マイク127への電力供給が停止されることにより、音声入力の受付が停止する。これにより、浴室に人が存在せず音声入力が行われないときに、マイク127に電力が供給されにくくなり、マイク127が動作しにくくなる。よって、給湯器11の誤動作を防止できつつ、マイク127による無駄な電力消費を抑制でき得る。
【0131】
図5に示したように、存在条件は、給湯器11が運転オン状態であることを含んでおり、
図6に示したように、不在条件は、給湯器11が運転オン状態でない、即ち運転オフ状態であることを含んでいる。このように、給湯器11の運転状態を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0132】
図5に示したように、存在条件は、人感センサ128からの出力により人の存在が検出されたことを含んでおり、
図6に示したように、不在条件は、人感センサ128からの出力により人の存在が検出されない状態が所定時間継続することを含んでいる。このように、人感センサ128により人の検出が行われることにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0133】
図5に示したように、存在条件は、浴室リモコン12に対する操作がなされたことを含んでおり、
図6に示したように、不在条件は、浴室リモコン12に対する操作がなされない状態が所定時間継続することを含んでいる。このように、浴室リモコン12に対する操作を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0134】
図5に示したように、存在条件は、入退浴検知部111aにより入浴が検知されたことを含んでおり、
図6に示したように、不在条件は、入退浴検知部111aにより退浴が検知されたことを含んでいる。このように、浴槽2への入浴の有無を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0135】
図5に示したように、存在条件は、流量センサ(出湯センサ)115により出湯動作が検出されたことを含んでおり、
図6に示したように、不在条件は、流量センサ115により出湯動作の停止が検出されたことを含んでいる。このように、給湯器11からの出湯の有無を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0136】
図5に示したように、存在条件は、電力供給の停止時に開閉センサ129によりドアの開閉が検出されたことを含んでおり、
図6に示したように、不在条件は、電力供給時に開閉センサ129によりドアの開閉が検出されたことを含んでいる。このように、ドアの開閉を監視することにより、浴室内での人の存在の有無の可能性を適切に判別することが可能となる。
【0137】
図7に示したように、入浴者が発生した音声や入力者が立てた音が検出されることに基づいて(S305:YES)、入浴タイマー部123aのカウントが延長される(S306)。このため、当初の設定時間に亘って入浴が継続しても、音の検出により入浴者に異常がないと見做せる場合は、入浴者に対して安否確認が行われない。よって、入浴者に対して余計な安否確認が行われることがなく、入浴者に余計な応答負担が強制されることがない。また、この場合も、入浴タイマー部123aのカウントが延長されるだけなので、その後も、入浴タイマー部123aの計時時間に基づいて長時間入浴を適切に監視でき、入浴者の安否を見守ることができる。
【0138】
<実施形態2>
上記実施形態1では、長時間に亘って入浴が継続したことが台所リモコン13を介して宅内の使用者に報知された。これに対し、実施形態2では、この報知が、携帯端末装置を介して行われる。
【0139】
なお、実施形態2では、給湯システム1が、特許請求の範囲に記載の「ふろシステム」に対応する。
【0140】
図13は、実施形態2に係る給湯システム1の構成を示す図である。
【0141】
給湯システム1は、給湯装置10と、サーバ50とを備える。実施形態2では、台所リモコン13が、ルータ20と無線通信可能である。給湯装置10は、ルータ20および外部通信網40を介して、携帯端末装置30により遠隔制御可能である。
【0142】
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40に接続するための通信中継器である。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0143】
外部通信網40には、給湯装置10に対する遠隔制御を管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、ルータ20および外部通信網40を介してサーバ50と通信を行う。また、携帯端末装置30が宅外にある場合、携帯端末装置30は、外部に設置されたルータ60または基地局70を介して外部通信網40に接続され、サーバ50と通信を行う。
【0144】
台所リモコン13と携帯端末装置30には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報(たとえば、IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13と携帯端末装置30は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。
【0145】
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。このとき同時に、台所リモコン13のID情報(識別情報)が、台所リモコン13からサーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。また、給湯装置10に対して遠隔制御を行うことが可能な携帯端末装置30が、給湯装置10に対応付けて、サーバ50に登録される。具体的には、給湯装置10のID情報と携帯端末装置30のID情報およびアドレス情報とが互いに対応づけられて、サーバ50に登録される。
【0146】
こうして、携帯端末装置30に関する情報がサーバ50に登録されることにより、当該携帯端末装置30の使用者は、宅内H10と宅外の何れにおいても、携帯端末装置30を用いて、給湯装置10に対する遠隔制御を行うことができる。
【0147】
すなわち、携帯端末装置30が宅内H10と宅外の何れにある場合も、使用者から携帯端末装置30に入力された設定要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、設定要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10に対して、受信した設定要求を送信する。これにより、設定要求が、外部通信網40およびルータ20を介して、対応する給湯装置10の台所リモコン13に送信される。こうして、使用者が要求する内容の設定が、遠隔操作により、給湯装置10に適用される。
【0148】
また、給湯装置10の状態情報が、所定周期で随時、台所リモコン13からルータ20を介してサーバ50に送信される。状態情報は、現在の給湯装置10の設定状態および動作状態を示す情報である。携帯端末装置30は、給湯システム1のアプリケーションプログラムにより、最新の状態情報をサーバ50から取得して表示入力部31(たとえば、タッチパネル)に表示させることができる。これにより、携帯端末装置30の使用者は、宅内H10および宅外の何れにおいても、給湯装置10の状態を監視することができる。
【0149】
図14は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0150】
給湯器11および浴室リモコン12の構成は、上記実施形態1と同様である。実施形態2では、台所リモコン13に無線通信部138が追加されている。台所リモコン13のその他の構成は、上記実施形態1と同様である。無線通信部138は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。サーバ50には、台所リモコン13のアドレス情報およびID情報として、無線通信部138のアドレス情報およびID情報が登録される。
【0151】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503を備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、所定の制御を行う。
【0152】
図15(a)、(b)および
図16(a)は、それぞれ、実施形態2に係る、入浴監視機能の動作時に、台所リモコン13、サーバ50および携帯端末装置30が実行する制御を示すフローチャートである。
【0153】
なお、入浴監視機能の動作時に浴室リモコン12により実行される制御は、上記実施形態1と同様である。また、
図16(a)の制御は、携帯端末装置30の制御部(図示せず)が、給湯システム1のアプリケーションプログラムにより実行する。
【0154】
図15(a)のフローチャートは、
図9(a)のステップS402、S403が、それぞれ、ステップS421、S422に置き換えられている。台所リモコン13の制御部133は、給湯器11から長時間入浴通知を受信すると(S401:YES)、受信した長時間入浴通知をサーバ50に送信する(S421)。
【0155】
図15(b)を参照して、サーバ50の制御部501は、台所リモコン13から長時間入浴通知を受信すると(S501:YES)、受信した長時間入浴通知を、当該台所リモコン13に対応付けられている携帯端末装置30に送信する(S502)。
【0156】
図16(a)を参照して、携帯端末装置30は、サーバ50から長時間入浴通知を受信すると(S601:YES)、入浴者の安否確認を行うか否かを受け付ける処理を実行する(S602)。ステップS602の処理において、携帯端末装置30は、表示入力部31に対して、たとえば、
図16(b)に示す受付画面310をポップアップ表示させ、さらに、スピーカから長時間入浴が生じたことを示す音声を出力させる。受付画面310は、受付画面300と同様のメッセージ311とボタン312、313とを含んでいる。携帯端末装置30の使用者は、入浴者の安否確認を行う場合はボタン312を操作し、入浴者の安否確認を行わない場合はボタン313を操作する。
【0157】
ボタン312が操作された場合(S603:YES)、携帯端末装置30は、サーバ50に確認指令を送信する(S604)。他方、ボタン313が操作された場合(S603:NO)、携帯端末装置30は、確認指令を送信することなく、処理を終了する。
【0158】
図15(b)に戻り、サーバ50の制御部501は、長時間入浴通知を送信した携帯端末装置30の何れかから確認指令を受信すると(S503:YES)、確認指令を台所リモコン13に送信して(S504)、処理を終了する。他方、所定時間内に何れの携帯端末装置30からも長時間入浴通知を受信しなかった場合(S503:NO)、制御部501は、確認指令を台所リモコン13に送信することなく処理を終了する。
【0159】
図15(a)を参照して、台所リモコン13の制御部133は、
図15(b)のステップS504で送信された確認指令を受信すると(S422:YES)、確認指令を浴室リモコン12に送信する(S404)。他方、所定時間内にサーバ50から長時間入浴通知を受信しなかった場合(S422:NO)、制御部133は、確認指令を浴室リモコン12に送信することなく処理を終了する。
【0160】
確認指令を受信した場合の浴室リモコン12の制御は、
図10(a)と同様である。これにより、
図11(a)~(e)に示した確認処理が行われ、安否の確認結果(正常通知/異常通知)が、台所リモコン13に送信される。台所リモコン13の制御部133は、受信した安否の確認結果(正常通知/異常通知)をサーバ50に送信する。サーバ50の制御部501は、受信した安否の確認結果(正常通知/異常通知)を、当該台所リモコン13に対応付けられている携帯端末装置30に送信する。
【0161】
図17(a)は、安否の確認結果(正常通知/異常通知)を受信した場合に携帯端末装置30において行われる制御を示すフローチャートである。この制御も、給湯システム1のアプリケーションプログラムにより、携帯端末装置30の制御部(図示せず)において行われる。
【0162】
携帯端末装置30は、正常通知を受信した場合は(S611:YES)、正常報知処理を実行し(S612)、異常通知を受信した場合は(S613:YES)、異常報知処理を実行する(S614)。たとえば、携帯端末装置30は、正常処理において(S612)、
図17(b)に示す報知画面320を表示入力部31に表示させ、異常処理において(S614)、
図17(c)に示す報知画面330を表示入力部31に表示させる。
【0163】
報知画面320は、入浴者に異常がないことを示すメッセージ321と、了承のためのボタン322とを含んでいる。また、報知画面330は、入浴者に異常が生じた可能性があることを示すメッセージ331と、了承のためのボタン332とを含んでいる。これらの画面を参照することにより、携帯端末装置30の使用者は、入浴者の正常/異常を把握できる。これにより、使用者は、入浴者の状態に応じて、適切な対応をとることができる。
【0164】
こうして、携帯端末装置30は、
図17(a)に示した処理を終了する。
【0165】
なお、本実施形態2の給湯システム1における給湯装置10においても、上記実施形態1と同様、
図4(a)、(b)、
図5および
図6の処理による、マイク127への音声入力に基づいて給湯器11に対する操作を行う機能が設けられている。
【0166】
以上、本実施形態2においても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0167】
<変更例>
上記実施形態1、2において、浴室リモコン12から長時間入浴通知が送信されたときのみならず、ユーザの操作により、安否確認操作を受け付ける受付画面が台所リモコン13の表示入力部131や携帯端末装置30の表示入力部31に表示されるようにしてもよい。この場合も安否確認操作が行われたことに基づいて、台所リモコン13の制御部133は、確認指令を送信し、浴室リモコン12の制御部123は、
図10(a)の処理を行う。さらに、台所リモコン13では、
図10(b)の処理や
図15(a)の処理が行われ、携帯端末装置30では、
図17(a)の処理が行われる。
【0168】
なお、上記の受付画面が台所リモコン13の表示入力部131や携帯端末装置30の表示入力部31に表示されている間に、台所リモコン13が長時間入浴通知を受けたとき、台所リモコン13の制御部133は、受付画面に長時間入浴であることを示す表示を行わせるための処理を行う。これにより、たとえば、受付画面において安否確認操作のためのボタンが点滅したり、ボタンの色が変わったりする。あるいは、受付画面にメッセージが現れる。
【0169】
上記実施形態1、2では、マイク電源127aをオンおよびオフする、即ちマイク127を動作および停止させることにより、音声入力の受付が開始および停止される構成とされた。しかしながら、マイク127は動作状態とさせておき、音声認識部127bを動作および停止させるなど、制御部123側で、音声入力の受付を開始および停止(音声を受入および遮断)するような構成が採られてもよい。
【0170】
また、上記実施形態1、2では、存在条件として、給湯器11が運転オン状態であること、浴室リモコン12に対する操作がなされたこと、人感センサ128からの出力により人の存在が検出されたこと、入退浴検知部111aにより入浴が検知されたこと、流量センサ115により出湯動作が検出されたこと、および、電力供給の停止時に開閉センサ129によりドアの開閉が検出されたことの全ての条件が用いられた。しかしながら、これら条件の全てが用いられずとも、少なくとも一つの条件が用いられればよい。
【0171】
同様に、上記実施形態1、2では、不在条件として、給湯器11が運転オフ状態であること、浴室リモコン12に対する操作がなされない状態が所定時間継続すること、人感センサ128からの出力により人の存在が検出されない状態が所定時間継続すること、入退浴検知部111aにより退浴が検知されたこと、流量センサ115により出湯動作の停止が検出されたこと、および、電力供給時に開閉センサ129によりドアの開閉が検出されたことの全ての条件が用いられた。しかしながら、これら条件の全てが用いられずとも、少なくとも一つの条件が用いられればよい。
【0172】
また、上記実施形態1、2において、給湯装置10が、浴室リモコン12と台所リモコン13との間で通話が可能なインターホン機能を備えていてもよい。この場合、インターホン機能にマイク127、137とスピーカ126、136が用いられる。浴室リモコン12と台所リモコン13には、インターホン処理部が設けられる。インターホン処理部は、インターホン機能の実行時に、マイク127、137から入力される音声信号を変調して通信部125、135に出力するとともに、通信部125、135から受信した信号を音声信号に復調してスピーカ126、136に出力する。なお、給湯装置10は、インターホン機能を有する場合に、上述した給湯器11の音声操作機能を有さないような構成とされてもよい。
【0173】
また、上記実施形態1、2では、給湯器11が運転オン状態となったことが存在条件に含まれた。しかしながら、給湯器11が運転オン状態であり且つふろ自動機能が実行されたことが存在条件に含まれてもよい。この場合、ふろ自動機能が停止されたことが、不在条件に含まれてよい。
【0174】
また、上記実施形態1では、入退浴検知部111aが給湯器11に設けられ、入浴タイマー部123a、タイマー延長部123bおよび安否確認部123cが浴室リモコン12に設けられたが、これら各部の配置はこれに限られるものではない。たとえば、入浴タイマー部123a、タイマー延長部123bおよび安否確認部123cが、台所リモコン13に設けられてもよい。この場合、
図7のステップS305の判定に必要な音の検出情報が、浴室リモコン12から台所リモコン13に逐次送信される。入退浴検知部111aも、給湯器11以外の機器に配置されてもよい。この場合、当該機器に、水位センサ114の検知結果が逐次送信される。台所リモコン13以外の装置が宅内に配置される場合、この装置に、入退浴検知部111a、入浴タイマー部123a、タイマー延長部123bおよび安否確認部123cの全てまたは何れかが配置されてもよい。
【0175】
同様に、上記実施形態2においても、入退浴検知部111a、入浴タイマー部123a、タイマー延長部123bおよび安否確認部123cの全てまたは何れかが、サーバ50に配置されてもよい。この場合、処理に必要な情報が、随時、給湯装置10からサーバ50に送信されればよい。
【0176】
また、上記実施形態1、2では、
図8(a)、(b)に示したように、入浴タイマー部123aのカウント値を調整して、入浴タイマー部123aのカウントが延長されたが、入浴タイマー部123aのカウントの延長形態は、これに限られるものではない。たとえば、タイマー延長部123bは、入浴タイマー部123aのカウント値は調整せずに、設定時間の方を引き伸ばして、入浴タイマー部123aのカウントを延長させてもよい。
【0177】
また、上記実施形態1、2では、安否確認に対する応答が入力部122の何れかのボタンへの操作および入浴者からの音声によって行われたが、安否確認に対する応答方法はこれに限られるものではない。たとえば、入浴者の動きにより、呼び掛けに対する応答がなされてもよい。この場合、人感センサ128の出力により入浴者の動きが検出される。
【0178】
また、上記実施形態2では、携帯端末装置30の表示入力部31に種々の画面を表示させることにより、各報知が行われたが、報知の方法はこれに限られるものではない。たとえば、携帯端末装置30のスピーカから、報知の内容を示す音声を出力させることにより、各報知が行われてもよい。
【0179】
また、上記実施形態2では、安否確認の受付が携帯端末装置30において行われたが、さらに、安否確認の受付が、台所リモコン13において行われてもよい。この場合、台所リモコン13の制御部133は、
図15(a)の制御とともに、
図9(a)の制御を行えばよい。
【0180】
また、上記実施形態2では、台所リモコン13に無線通信部138が設けられたが、無線通信部が給湯器11に設けられて給湯器11がルータ20に接続されてもよい。あるいは、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13以外に無線通信部を備えた制御ユニットが給湯装置10に配置され、この制御ユニットがルータ20に接続されてもよい。この場合、上記実施形態2における台所リモコン13とサーバ50との間の通信制御は、制御ユニットとサーバ50との間で行われる。
【0181】
また、上記実施形態1では、安否確認の受け付けが台所リモコン13において行われたが、浴室外に台所リモコン13以外のサブリモコンが設けられる場合、このサブリモコンにおいて安否確認の受け付けが行われてもよい。この場合、上記実施形態1における台所リモコン13の制御は、サブリモコンによって行われる。
【0182】
また、上記実施形態1、2では、人感センサ128が浴室リモコン12に備えられた。しかしながら、人感センサ128が、浴室内の浴室リモコン12以外の場所に設置されてもよい。
【0183】
また、上記実施形態1、2では、浴槽2への入退浴が、水位センサ114により検出される水位変動に基づいて判定されたが、それ以外の判定方法が採られてもよい。たとえば、浴室内にカメラが配置され、浴槽2への入退浴がカメラで撮像した画像に基づいて判定されてもよい。
【0184】
また、上記実施形態1、2では、人感センサ128からの出力により浴室内の人の存在が検出された。しかしながら、人検出部として、人の存在を検出するためにカメラが用いられてもよい。この場合、カメラの出力画像に含まれる人が認識されることにより、人の存在が検出される。
【0185】
また、上記実施形態1、2では、浴室リモコン12のスピーカ126を介して、安否確認が行われたが、浴室リモコン12のスピーカ126以外のスピーカが浴室に設置される場合、このスピーカを介して安否確認が行われてもよい。
【0186】
また、各種画面の構成は、
図9(b)、
図16(b)および
図17(b)、(c)に示した構成に限られるものではなく、適宜、変更可能である。
【0187】
また、入浴タイマー部123aのカウント方式は、アップカウント方式に限らず、ダウンカウント方式であってもよい。ダウンカウント方式の場合、
図8(a)の制御では、時刻t1において、入浴タイマー部123aのカウント値が設定時間Tth1にリセットされ、
図8(b)の制御では、時刻t1において、入浴タイマー部123aのカウント値がΔtだけ増加されればよい。
【0188】
また、上記実施形態1、2では、台所リモコン13が表示入力部131を備える構成であったが、台所リモコン13は、表示部と入力部とを別々に備えていてもよい。
【0189】
また、給湯器11の構成は、
図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、
図3の構成では、浴槽2内の湯水をふろ熱交換器222に循環させることによって、浴槽2内の湯に対する追い焚きが行われたが、給湯器11が、高温の湯を浴槽に追加することにより追い焚き機能を実行する構成であってもよい。また、浴槽に溜められた水を燃焼器に循環させて浴槽内の水を暖める方式の風呂機能装置であってもよい。
【0190】
なお、給湯装置10を遠隔制御する端末装置に、携帯性がなく所定の場所に設置される据え置き型の端末装置が含まれてもよい。また、給湯装置10は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。給湯装置10は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0191】
また、上記実施形態1、2では、浴槽に対する所定のふろ機能を実行するふろ機能装置として、ふろ関連機能とともに給湯機能を備えた給湯装置10が例示されたが、ふろ機能装置は、ふろ関連機能のみを実行可能な装置であってもよい。
【0192】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0193】
1 給湯システム(ふろシステム)
2 浴槽
10 給湯装置(ふろ機能装置)
11 給湯器
12 リモートコントローラ(操作器)
30 携帯端末装置
40 外部通信網
50 サーバ
111a 入退浴検知部
123a 入浴タイマー部
123b タイマー延長部
123c 安否確認部
115 流量センサ(出湯センサ)
127 マイクロホン
127a マイク電源(電源)
128 人感センサ(人検出部)
129 開閉センサ