(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】給湯器の取付部材の選定方法及びプログラム、並びに、計測用マーカ
(51)【国際特許分類】
F24H 9/06 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
F24H9/06 301A
(21)【出願番号】P 2020122657
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝村 智
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211135(JP,A)
【文献】特開2004-044971(JP,A)
【文献】特開2016-145480(JP,A)
【文献】国際公開第2013/099271(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0307086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0074667(US,A1)
【文献】中国実用新案第210772728(CN,U)
【文献】特開2016-006379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/06
G01B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器をパイプシャフトに取り付けるための取付部材の選定方法であって、
取替前の第1の給湯器及び前記取付部材が前記パイプシャフトに取り付けられた状態における、既知の寸法を有する基準図形が同一画像内に含まれた、前記パイプシャフトの正面図の写真画像を取得するステップと、
前記写真画像上にて、前記パイプシャフトの測定対象に予め定められた少なくとも1つの部位の寸法の両端を指定するための複数のカーソルの移動操作を案内するステップと、
前記写真画像と、前記移動操作によって確定された前記複数のカーソルの位置とを含む前記正面図の合成画像を取得するステップと、
前記合成画像上での前記複数のカーソル間の距離と前記基準図形の寸法との比較に基づく測量演算によって前記少なくとも1つの部位の寸法の各計測値を算出するステップと、
取替後の第2の給湯器の属性情報の入力を受けるステップと、
複数種類の前記取付部材の各々について前記属性情報及び各前記寸法の各許容範囲が予め記憶されたデータベースを、算出された前記計測値及び入力された前記属性情報を用いて参照することによって、前記複数種類の取付部材から、前記写真画像内の前記パイプシャフト及び前記第2の給湯器に適合した前記取付部材を選定するステップとを備える、給湯器の取付部材の選定方法。
【請求項2】
前記写真画像を取得するステップに先立って、前記写真画像に前記基準図形を含めて撮影するように案内するステップを更に備える、請求項1記載の給湯器の取付部材の選定方法。
【請求項3】
前記基準図形を含めて撮影するように案内するステップでは、前記写真画像の撮影装置に対して、前記パイプシャフトと同一距離となる面内に前記基準図形を配置することが更に案内される、請求項2記載の給湯器の取付部材の選定方法。
【請求項4】
前記パイプシャフトの態様に係る選択情報の入力を受けるステップを更に備え、
前記選択情報は、前記パイプシャフトが標準設置タイプ及び扉内設置タイプのいずれであるかを特定する情報を含み、
前記基準図形を含めて撮影するように案内するステップにおいて、前記給湯器の表面に前記基準図形を配置することを案内し、かつ、前記標準設置タイプであることが前記選択情報として入力された場合には、前記算出するステップにおいて、前記写真画像の撮影装置に対して、前記パイプシャフトと前記給湯器の表面との間に予め設定された高さ差が存在することの補正演算を伴う前記測量演算によって前記計測値が算出される、請求項2記載の給湯器の取付部材の選定方法。
【請求項5】
前記パイプシャフトの態様に係る選択情報の入力を受けるステップを更に備え、
前記パイプシャフトの前記測定対象の部位は、前記態様毎に別個に予め定められ、
入力された前記選択情報に対応して、前記複数のカーソルの移動操作について異なる内容が案内されるとともに、前記算出するステップでは、異なる部位の寸法の計測値が算出される、請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯器の取付部材の選定方法。
【請求項6】
前記選択情報は、前記パイプシャフトが標準設置タイプ及び扉内設置タイプのいずれであるかを特定する情報を含み、
前記パイプシャフトが前記標準設置タイプである場合には、前記パイプシャフトの幅を示す寸法と、前記パイプシャフトに対する前記取付部材の高さ方向及び幅方向の取付ピッチを示す寸法とが計測され、
前記パイプシャフトが前記扉内設置タイプである場合には、扉内スペースの高さ方向及び幅方向の寸法と、前記パイプシャフトに対する前記取付部材の高さ方向及び幅方向の取付ピッチを示す寸法と、前記取付部材及び前記パイプシャフトの上部の固定位置と前記給湯器の排気筒の中心との距離を示す寸法とが計測される、請求項5記載の給湯器の取付部材の選定方法。
【請求項7】
前記属性情報は、前記給湯器の機能に対応して予め定義された機種タイプと、複数種類に区分されたサイズタイプとを特定する、請求項1~6のいずれか1項に記載の給湯器の取付部材の選定方法。
【請求項8】
前記写真画像の撮影機能を有する端末機器と、前記データベースを保持するサーバとによって前記選定方法は実行され、
前記写真画像を取得するステップ、前記移動操作を案内するステップ、前記合成画像を取得するステップ、及び、前記属性情報の入力を受けるステップは、前記端末機器において実行され、
前記算出するステップ、及び、前記選定するステップは、前記サーバにおいて実行され、
前記合成画像を前記端末機器から前記サーバに送信するステップと、
前記属性情報を前記端末機器から前記サーバに送信するステップと、
前記選定するステップによる選定結果を、前記サーバから前記端末機器に送信するステップと、
前記端末機器において前記サーバから受信した前記選定結果に係る情報を報知するステップとを更に備える、請求項1記載の給湯器の取付部材の選定方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の給湯器の取付部材の選定方法をプロセッサを備えたコンピュータに実行させるための、プログラム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の給湯器の取付部材の選定方法において用いられる前記基準図形が描画された、シート形状を有する、計測用マーカ。
【請求項11】
前記基準図形が描画される第1の面と、前記第1の面と対向する第2の面とを有し、
前記第2の面は、磁力によって前記給湯器、前記取付部材、及び、前記パイプシャフトの少なくともいずれかに貼付可能に構成される、請求項10記載の計測用マーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器の取付部材の選定方法及びプログラムに関し、より特定的には、給湯器を住宅等のパイプシャフトに取り付けるための取付部材の選定方法、及び、当該方法を実行するためのプログラム、並びに、当該方法を実行する際に用いられる計測用マーカに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器を集合住宅等のパイプシャフト(パイプスペースとも称される)に設置する際には、スペーサ又はブラケットと呼ばれる取付部材を介して、給湯器がパイプシャフト内に配置されている固定フレームに取り付けられる。
【0003】
例えば、特開2017-211135号公報(特許文献1)には、給湯器の取付位置を従来よりも高くするための取付構造、及び、これに用いられるブラケット(取付部材)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
取付部材を介してパイプシャフトに給湯器を取り付けることで、取り付け可能とできる給湯器のサイズ面の自由度が向上する。特に、給湯器のコンパクト化が進んでいる現況では、給湯器のリプレイスの際には、取付部材を介してパイプシャフトに固定されている取替前の給湯器と比較して、取替後の給湯器のサイズが大幅に小さい傾向にある。従って、パイプシャフト及び給湯器(取替後)のサイズに適合した取付部材を適切に選定することが重要である。
【0006】
しかしながら、適切な取付部材を選定するために必要となる寸法情報を把握するために手作業で計測し、更に、パイプシャフトと取替後の給湯器との両方のサイズを考慮して適切な取付部材を選択する一連の作業は、施工者の作業負荷を増大させることが懸念される。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、取付部材によってパイプシャフトに取り付けられた給湯器の取替に際して、取替後の給湯器及び当該パイプシャフトに適合した取付部材の選定を容易化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、給湯器をパイプシャフトに取り付けるための取付部材の選定方法であって、(1)取替前の第1の給湯器及び取付部材がパイプシャフトに取り付けられた状態における、既知の寸法を有する基準図形が同一画像内に含まれた、パイプシャフトの正面図の写真画像を取得するステップと、(2)写真画像上にて、パイプシャフトの測定対象に予め定められた少なくとも1つの部位の寸法の両端を指定するための複数のカーソルの移動操作を案内するステップと、(3)写真画像と、移動操作によって確定された複数のカーソルの位置とを含む正面図の合成画像を取得するステップと、(4)合成画像上での複数のカーソル間の距離と基準図形の寸法との比較に基づく測量演算によって少なくとも1つの部位の寸法の各計測値を算出するステップと、(5)取替後の第2の給湯器の属性情報の入力を受けるステップと、(6)複数種類の取付部材の各々について属性情報及び各寸法の各許容範囲が予め記憶されたデータベースを、算出された計測値及び入力された属性情報を用いて参照することによって、複数種類の取付部材から、写真画像内のパイプシャフト及び第2の給湯器に適合した取付部材を選定するステップとを備える。
【0009】
本発明の他のある局面では、プログラムは、プロセッサを備えるコンピュータに、上述の給湯器の取付部材の選定方法が備える各ステップを実行させる。
【0010】
本発明の更に他のある局面では、計測用マーカは、上述の給湯器の取付部材の選定方法において用いられる基準図形が描画された、シート形状を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業者による実測を要することなく、取替前の給湯器及び取付部材が取り付けられた状態のパイプシャフトの画像からの寸法計測値の算出と、予め構築されたデータベースの照合とによって、取替後の給湯器及び当該パイプシャフトに適合した取付部材を容易に選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】標準タイプのパイプシャフトへの給湯器の取付構造を説明する図である。
【
図2】扉内設置タイプのパイプシャフトへの給湯器の取付構造を説明する図である。
【
図3】標準タイプのパイプシャフト用の取付部材に係る寸法情報を説明するための正面図である。
【
図4】標準タイプのパイプシャフトの寸法情報を取得するための写真画像の対象となる正面図である。
【
図5】扉内設置タイプのパイプシャフト用の取付部材に係る寸法情報を説明するための正面図である。
【
図6】扉内設置タイプのパイプシャフトの寸法情報を取得するための写真画像の対象となる正面図である。
【
図7】本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法を実行するための通信システム構成を説明する概念図である。
【
図8】
図7に示された端末機器の構成例を説明する概略ブロック図である。
【
図9】
図7に示されたサーバの構成例を説明する概略ブロック図である。
【
図10】本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図11】端末機器によるアプリケーションプログラムの実行時における画面表示例を説明する第1の概略図である。
【
図12】端末機器によるアプリケーションプログラムの実行時における画面表示例を説明する第2の概略図である。
【
図13】端末機器によるアプリケーションプログラムの実行時における画面表示例を説明する第3の概略図である。
【
図14】選定対象である取付部材のデータベースの構造例を説明する図表である。
【
図15】扉内設置タイプのパイプシャフトが選択されたときの画面表示例を説明する概略図である。
【
図16】パイプシャフトの撮影時における計測用マーカの貼付位置を説明する概念的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0014】
(給湯器のパイプシャフトへの取付構造)
まず、
図1及び
図2を用いて、パイプシャフトに対する給湯器の取付構造を説明する。本実施の形態では、パイプシャフトの異なる態様として、PS標準設置タイプ、及び、PS扉内設置タイプの2つを説明する。尚、「PS標準設置タイプ」及び「PS扉内設置タイプ」は、一般財団法人日本ガス機器検査協会が発刊した「ガス機器の設置基準及び実務指針(一般に「黒本」と呼ばれるもの)」で定義されている。以下では、PS標準設置タイプについて、単に「標準タイプ」とも称し、「PS扉内設置タイプ」について、単に「扉内設置タイプ」とも称する。
【0015】
図1には、標準タイプのパイプシャフトへの給湯器の取付構造が示されており、
図1(a)は、給湯器が標準タイプのパイプシャフトに取り付けされた状態の正面図である。
図1(b)は、パイプシャフト、取付部材、及び、給湯器の関係を説明するための概念的な斜視図である。
【0016】
図1(a)及び(b)を参照して、パイプシャフトの固定フレーム30に対して、給湯器10は、アダプタとしての取付部材20及びカバーとしての取付部材21を介して、取り付けられる。
【0017】
取付部材20には、固定フレーム30(パイプシャフト)に設けられたねじ穴31a,31b及び32a,32bにそれぞれ対応させた、ねじ穴21a,21b及び22a,22bが設けられる。ねじ穴31a,31b,32a,32bと、ねじ穴21a,21b,22a,22bとが、ねじによってそれぞれ固定されることにより、取付部材20は、パイプシャフト(固定フレーム30)に対してねじ止めされる。更に、給湯器10は、取付部材20に対して複数個所でねじ止めされ、取付部材21は、取付部材20に対して複数個所でねじ止めされる。これによって、給湯器10は、取付部材20を介してパイプシャフトに取り付けられる。
【0018】
給湯器10の更新に際して、取付部材20,21を交換する場合にも、新たな取付部材20を、ねじ穴31a,31b及び32a,32bを用いて、ねじ止め固定する必要がある。即ち、新たな取付部材20の選定には、ねじ穴31a,31b及び32a,32bの位置関係を含む、固定フレーム30に係る寸法情報が必要であることが理解される。
【0019】
図2には、扉内設置タイプのパイプシャフトへの給湯器の取付構造が示されている。
図2(a)は、パイプシャフトの扉が閉められた状態での正面図であり、
図2(b)は、当該扉が開放された状態での正面図である。更に、
図2(c)は、パイプシャフト、取付部材、及び、給湯器の関係を説明するための概念的な斜視図である。
【0020】
図2(a)を参照して、扉31が閉められた状態では、給湯器10の排気筒11が、扉31に設けられた開口部32から外部に突出する。一方で、給湯器10の本体は、扉31の内側に格納される。
図2(b)に示された扉31が開放された状態では、取付部材20を介してパイプシャフトに取り付けられた状態の給湯器10本体が外部より視認できる。
【0021】
図2(c)を参照して、扉内ケースとしての取付部材20には、固定フレーム30に設けられたねじ穴33、34a,34b、及び、35a,35bにそれぞれ対応させた、ねじ穴23、24a,24b、及び、25a,25bが設けられる。ねじ穴33,34a,34b,35a,35bと、ねじ穴23,24a,24b,25a,25bとが、ねじによってそれぞれ固定されることにより、取付部材20は、パイプシャフト(固定フレーム30)に対してねじ止めされる。更に、給湯器10が取付部材20に対して複数個所でねじ止めされることで、給湯器10は、取付部材20を介してパイプシャフトに取り付けられる。
【0022】
給湯器10の更新に際して、取付部材20を交換する場合にも、新たな取付部材を、ねじ穴33、34a,34b、及び35a,35bを用いて、ねじ止め固定する必要がある。新たな取付部材の選定には、ねじ穴33、34a,34b、及び35a,35bの位置関係を含む、固定フレーム30に係る寸法情報が必要であることが理解される。
【0023】
図3は、標準タイプのパイプシャフト用の取付部材に係る寸法情報を説明するための正面図である。
図3には、
図1(b)に示された取付部材20の正面図が示される。
【0024】
図3を参照して、取付部材20のねじ穴21a,21b,22a,22bの間の位置関係は、それぞれとねじ止めされた、標準タイプのパイプシャフトの固定フレーム30に設けられたねじ穴31a,31b,32a,32bの間の位置関係と同様である。
【0025】
標準タイプのパイプシャフトの固定フレーム30に関して、取付部材20の外枠幅から固定フレーム30の幅を示す寸法LAを計測することができる。更に、取付部材20のねじ穴21a,21b及び22a,22bの間の距離から、固定フレーム30のねじ穴31a,31b及び32a,32bの間の距離に相当する、固定フレーム30(パイプシャフト)に対する取付部材20の高さ方向の取付ピッチを示す寸法LBを計測することができる。又、取付部材20のねじ穴22a及び22bの間の距離から、固定フレーム30のねじ穴32a及び32bの間の距離に相当する、固定フレーム30(パイプシャフト)に対する取付部材20の幅方向の取付ピッチを示す寸法LCを計測することができる。この様に、標準タイプのパイプシャフトの固定フレーム30に関する寸法LA~LCを、パイプシャフトに取り付けられている取付部材20の外観から計測することができる。当該寸法LA~LCは、標準タイプのパイプシャフトの固定フレーム30に取り付け可能な取付部材20の選定のための寸法情報として必要である。
【0026】
図4には、本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法において、標準タイプのパイプシャフトの寸法情報を取得するための写真画像の対象となる正面図が示される。
【0027】
図4は、
図1(a)と同様の正面図であるが、寸法情報を取得するための写真画像は、当該写真画像内に計測用マーカ50が含まれるように撮影される。計測用マーカ50には、既知の寸法の基準図形51が描かれる。例えば、基準図形は、一辺が4(cm)の正三角形とすることができる。
【0028】
図4を参照して、
図4に示された画像内において、固定フレーム30に取り付けられた状態の取付部材20の正面図、具体的には、取付部材20の外枠形状、並びに、ねじ穴21a,21b,22a,22bの位置から、
図3で説明した、固定フレーム30に関する寸法LA~LCが計測可能である。
【0029】
図5は、扉内設置タイプのパイプシャフトに係る寸法情報を説明するための正面図である。
図5には、
図2(c)に示された取付部材20の正面図が示される。
【0030】
図5を参照して、取付部材20のねじ穴23,24a,24b,25a,25bの間の位置関係は、それぞれとねじ止めされた、扉内設置タイプのパイプシャフトの固定フレーム30に設けられたねじ穴33,34a,34b,35a,35bの間の位置関係と同様である。
【0031】
扉内設置タイプのパイプシャフトの固定フレーム30に関して、取付部材20の外枠形状から、扉内の配置スペースの高さを示す寸法L1と、固定フレーム30の幅、即ち、扉内の配置スペースの幅を示す寸法L2とを計測することができる。更に、取付部材20のねじ穴24a,24b及び25a,25bの間の距離から、固定フレーム30のねじ穴34a,34bと35a,35bとの距離に相当する、固定フレーム30(パイプシャフト)に対する取付部材20の高さ方向の取付ピッチを示す寸法L3を計測することができる。又、取付部材20のねじ穴24a及び24bの間の距離から、固定フレーム30のねじ穴34a及び34bの間の距離に相当する、固定フレーム30(パイプシャフト)に対する取付部材20の幅方向の取付ピッチを示す寸法L4を求めることができる。
【0032】
図6には、本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法において、扉内設置タイプのパイプシャフトの寸法情報を取得するための写真画像の対象となる正面図が示される。
図6は、
図2(b)での正面図を撮影対象とするものであり、寸法情報を取得するための写真画像は、
図4と同様の計測用マーカ50が含まれるように撮影される。
【0033】
図6を参照して、
図6に示された画像内において、固定フレーム30に取り付けられた状態の取付部材20の正面図、具体的には、取付部材20の外枠形状、並びに、ねじ穴24a,24b,25a,25bの位置から、
図5で説明した、固定フレーム30に関する寸法L1~L4が計測可能である。
【0034】
更に、取付部材20のねじ穴23と給湯器10の排気筒11の中心との距離から、固定フレーム30に対する排気筒11の位置を示す寸法L5を求めることができる。
【0035】
この様に、扉内設置タイプのパイプシャフトの固定フレーム30に関する寸法L1~L5を、パイプシャフトに取り付けられている状態の取付部材20の外観から計測することができる。当該寸法L1~L5は、扉内設置タイプのパイプシャフトの固定フレーム30に取り付け可能な取付部材20の選定のための寸法情報として必要である。
【0036】
図4及び
図6に示される様に、パイプシャフトに取り付けられている状態の取付部材20の正面図と同一画像内には、計測用マーカ50が撮影されている。これにより、当該基準図形51の既知寸法との比較によって、寸法LA~LC(
図4)及び寸法L1~L5(
図6)の計測精度を高めることができる。
【0037】
計測用マーカ50は、例えば、磁石面を有することで、鉄製品に貼付可能なシート形状で構成される。即ち、シート形状の表面(第1の面)に基準図形51を描画するとともに、少なくとも裏面(第2の面)については、磁力によって、固定フレーム30、取付部材20、及び、給湯器10の少なくともいずれかに貼付可能となる様に、計測用マーカ50を構成することができる。
【0038】
尚、後述する様に、寸法LA~LCの計測精度を向上するためには、計測用マーカ50が、撮影装置(端末機器100のカメラ103)に対して、固定フレーム30と同一距離となる面内に配置された状態として、写真画像を撮影することが好ましい。
【0039】
以下では、パイプシャフトに取り付けられている状態の取付部材20及び給湯器10(取替前)の撮影画像を用いて、取替後(取替予定)の給湯器10を当該パイプシャフトに取り付けるための取付部材20の候補を抽出する、給湯器の取付部材選定方法を説明する。即ち、取替前の給湯器10は「第1の給湯器」に対応し、取替後の給湯器10は「第2の給湯器」に対応する。
【0040】
本実施の形態では、スマートフォン又はタブレット等の端末機器100にインストールされたアプリケーションプログラムの実行により、当該端末機器100による撮影画像を用いて、サーバ200との通信を経て取付部材20が選定される例を説明する。
【0041】
図7は、本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法を実行するための通信システム構成を説明する概念図である。
【0042】
図7を参照して、スマートフォン又はタブレット等の端末機器100は、インターフェイス機器160又は基地局170を介して、外部通信網140と通信接続することができる。インターフェイス機器160は、端末機器100を含む、一定範囲内に存在する機器を、外部通信網140に通信接続する機能を有する。例えば、インターフェイス機器160は、いわゆる、無線LAN(Local Area Network)ルータによって構成することができる。又、外部通信網140は、代表的には、インターネットであるので、以下では、外部通信網140を、単に、インターネット140とも称する。
【0043】
サーバ200は、インターネット140に接続されて、給湯器10に関連する管理機能を有する。端末機器100は、インターフェイス機器160又は基地局170を介して、外部通信網140と接続されるサーバ200と通信接続される。これにより、端末機器100は、サーバ200との間で双方向に情報を授受することが可能である。
【0044】
この結果、端末機器100は、サーバ200から給湯器10に係るアプリケーションプログラムをダウンロードして、当該プログラムをインストールすることができる。又、インストールされたプログラムの実行時において、サーバ200との間でデータを送受信することができる。
【0045】
図8は、
図7に示された端末機器100の構成例を説明する概略ブロック図である。以下では、端末機器100がスマートフォンである場合の構成例を説明する。
【0046】
図8を参照して、端末機器(スマートフォン)100は、CPU(Central Processing Unit)101、タッチスクリーン102、被写体を撮影するためのカメラ103、メモリ104、電源のオン/オフ用等のボタン(操作部)105、インターフェイス機器160又は基地局170を介した通信機能を有する通信インターフェイス106、音声出力のためのスピーカ107、音声入力のためのマイクロフォン108、及び、センサ部112を備える。CPU110は「プロセッサ」の一実施例に対応する。
【0047】
センサ部112は、例えば、端末機器(スマートフォン)100にかかる加速度を検出するための加速度センサ113、及び、端末機器(スマートフォン)100の回転角を検出するための地磁気センサ114等を含む。
【0048】
タッチスクリーン102は、ディスプレイ110及びタッチパネル111で構成された表示一体型入力装置として構成される。又、タッチスクリーン102は、撮影時にカメラ103の撮影画像を表示するビューファインダ機能を有する。
【0049】
メモリ104は、各種のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及び、ハードディスク等によって実現される。メモリ104は、CPU101によって実行される各種プログラム、並びに、CPU101によって読出される各種データを格納する。CPU101は、メモリ104に記憶されている各種のプログラムを実行することによって、各種の情報処理等を実行する。
【0050】
図9は、
図7に示されたサーバ200の構成例を説明する概略ブロック図である。
図9を参照してサーバ200は、装置全体を制御するためのCPU210と、CPU210に接続された、通信部220及びメモリ230とを備える。通信部220は、外部通信網140を介した通信を行なうための通信機能を有する。CPU210は「プロセッサ」の一実施例に対応する。
【0051】
メモリ230は、一例として、CPU210で実行されるプログラムを記憶するためのメモリであるROM231、CPU210でプログラムを実行する際の作業領域となったり計算値を記憶したりするためのメモリであるRAM232、及び、大型の記憶装置の一例としてのHDD(Hard Disk Drive)233を含んで構成することができる。
【0052】
サーバ200は、一般的なコンピュータに相当する機能を有して構成することができる。サーバ200は、オペレータの操作入力を受け付けるための操作部、及び、ディスプレイをさらに備えてもよい。
【0053】
本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法については、
図7~
図9に例示したハードウェア構成例を用いて、端末機器100において、メモリ104に格納されたアプリケーションプログラムをCPU101が実行することによって実現することができる。当該アプリケーションプログラムは、例えば、サーバ200からダウンロードされて、メモリ104に予め格納される。
【0054】
図10は、本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法の処理手順を説明するフローチャートである。
図10に示される様に、端末機器100でのアプリケーションプログラムの起動により、端末機器100及びサーバ200の処理が連動されて、給湯器の取付部材選定方法が実行される。例えば、端末機器100側での各ステップの処理はCPU101によって実行され、サーバ200側での各ステップの処理は、CPU210によって実行される。
図11~
図13には、上記アプリケーションプログラムの実行時における端末機器100での画面表示例が示される。
【0055】
図10を参照して、端末機器100は、本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法を実行するためのアプリケーションプログラムが起動されると、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)110以降の処理を起動する。
【0056】
図10及び
図11を参照して、例えば、タッチスクリーン102上で
図11(a)に示された画面301が表示されている状態で、「PS部材計測アプリ」を選択するように操作すると、端末機器100はアプリケーションプログラムを起動して、S110により、設置態様の選択画面を出力する。
【0057】
S110では、
図11(b)に示された画面302にメッセージ302aが示される。メッセージ302aに応答して、ユーザは、
図1等で説明した「標準タイプのパイプシャフト(PS標準設置)」及び「扉内設置タイプのパイプシャフト(PS扉内設置)」の何れを対象とした取付部材(PS部材)の選定を行うかを選択入力することができる。
【0058】
図11(b)において、メッセージ302aに対する選択入力後、メッセージ302bに対するタッチ入力が行われると、端末機器100は、S120により、「標準タイプのパイプシャフト」及び「扉内設置タイプのパイプシャフト」の選択入力を読み込む。更に、端末機器100は、S130により、S120での選択結果に従う態様に対応した寸法計測処理を開始する。
【0059】
以下では、S120において、「標準タイプのパイプシャフト(PS標準設置)」が選択された場合の処理例について詳細に説明する。上述の様に、標準タイプのパイプシャフトでは、
図3及び
図4で説明した寸法LA~LCを計測することが必要である。
【0060】
端末機器100は、S135により、パイプシャフトの正面図(
図1(a)相当)の写真撮影ガイダンスを実行する。これにより、タッチスクリーン102には、
図11(c)に示される画面303が表示される。当該ガイダンスには、画面303に示される様な、寸法の計測精度を高めるためのガイダンスが含まれてもよい。尚、画面303には、
図4及び
図6に示された計測用マーカ50を含めて撮影するように念押しするメッセージを更に表示してもよい。
【0061】
端末機器100は、S135でのガイダンスに従ってパイプシャフトの正面図が撮影されると、画面303で「画像を読み込む」ボタンが操作されることに応じて、S140により、当該正面図の写真画像を取得する。尚、端末機器100での画像撮影は、一連の「PS部材計測アプリ」から一旦出て、別のブラウザでのカメラ撮影によって実行されてもよい。このようにすると、カメラ画面上にガイド線を表示したり、原寸大のマーカを重ねて表示したりするように構成することで、より正確な正面図の撮影が可能になる。この場合には、別ブラウザによるカメラ撮影後、「PS部材計測アプリ」に戻って、S140による写真画像の取得が実現される。
【0062】
端末機器100は、写真画像を取得すると(S140)、S150によって、当該写真画像上で測定部位を指定するためのカーソル操作ガイダンスをユーザに対して出力する。例えば、S150では、タッチスクリーン102上において、パイプシャフトの写真画像に加えて、
図12(a)~(c)に例示するようなカーソル、及び、当該カーソル操作のためのガイダンスが表示される。
【0063】
図12(a)には、寸法LAを計測するための画面311が示される。画面311には、固定フレーム30の幅を示す寸法LAを測定するためのカーソル311a,311bと、当該カーソル311a,311bの操作に係るメッセージが出力される。
【0064】
カーソル311a,311bは、ユーザのタッチ及びスライド操作によって画面左右方向に移動可能である。更に、画面311には、
図3及び
図4に示された寸法LAの両端に相当する位置に、カーソル311a,311bを移動させるための案内メッセージが出力される。画面311で「決定」ボタンがタッチされると当該時点でのカーソル311a,311bの位置が記憶される。
【0065】
図12(a)の画面311で「決定」ボタンが操作されると、次に、
図12(b)に示された、寸法LBを計測するための画面312がタッチスクリーン102に表示される。
図12(b)を参照して、画面312には、高さ方向の取付ピッチを示す寸法LBを測定するためのカーソル312a,312bと、当該カーソル312a,312bの操作に係るメッセージが出力される。
【0066】
カーソル312a,312bは、ユーザのタッチ及びスライド操作によって画面上下方向に移動可能である。更に、画面312には、
図3及び
図4に示された寸法LBの両端に相当する位置に、カーソル312a,312bを移動させるための案内メッセージが出力される。画面312で「決定」ボタンがタッチされると当該時点でのカーソル312a,312bの位置が記憶される。
【0067】
図12(b)の画面312で「決定」ボタンが操作されると、次に、
図12(c)に示された、寸法LCを計測するための画面313がタッチスクリーン102に表示される。
図12(c)を参照して、画面313には、幅方向の取付ピッチを示す寸法LCを測定するためのカーソル313a,313bと、当該カーソル313a,313bの操作に係るメッセージが出力される。
【0068】
カーソル313a,313bは、ユーザのタッチ及びスライド操作によって画面左右方向に移動可能である。更に、画面313には、
図3及び
図4に示された寸法LCの両端に相当する位置に、カーソル313a,313bを移動させるための案内メッセージが出力される。画面313で「決定」ボタンがタッチされると当該時点でのカーソル313a,313bの位置が記憶される。
【0069】
図12(c)の画面313で「決定」ボタンが操作されると、寸法LA~LCを計測するためのカーソル位置の特定が終了した状態となる。この段階では、
図12(d)に示される画面314に示されるユーザ確認用画面をタッチスクリーン102に表示することができる。画面314では、現在記憶されている、カーソル311a,311b,312a,312b,313a,313bの位置が、パイプシャフトの写真画像の上に重ねて表示される。画面314において、「戻る」ボタンを操作すると、画面311~313のいずれかに戻ることでカーソル位置を修正することができる。
【0070】
画面314において「決定」ボタンが操作されると、端末機器100は、S160により、写真画像に対して、ユーザ操作後のカーソル位置が加えられた合成画像を取得する。更に、当該合成画像の画像データは、サーバ200に送信される。
【0071】
サーバ200は、S200により、端末機器100から合成画像のデータを受信すると、S210により、受信した合成画像上でカーソル指定された部位の寸法を計測することで、パイプシャフト(固定フレーム30)に係る寸法LA~L3の計測値を算出する。具体的には、合成画像上に特定されたカーソル位置、及び、同一画像内の基準図形51に基づき、カーソル311a及び311bの間の距離、カーソル312a及び312bの間の距離、並びに、カーソル313a及び313bの間の距離の各々と、基準図形51の寸法との対比によって、寸法LA~LCの計測値を算出することができる。例えば、スマートフォン等で一般的に用いられる写真画像からの寸法計測アプリ(アプリケーションプログラム)等と同様の測量演算処理によって、端末機器100から送信された合成画像から、寸法LA~LCを算出することができる。
【0072】
尚、S210では、寸法LA~LCの計測値が予め定められた範囲内の数値でないときには、「計測エラー」を出力するリーズナブルチェックを併せて実行することができる。又、受信した画像内において基準図形51が不鮮明であるときにも、「計測エラー」とすることができる。
【0073】
サーバ200は、S220により、S210での算出結果を端末機器100へ送信する。これにより、端末機器100は、S160で送信した合成画像に対する寸法算出結果(計測エラーの有無、及び、寸法LA~LCの計測値)を受信することができる。
【0074】
端末機器100は、S165では、サーバ200から上記算出結果を受信するとともに、必要に応じて当該算出結果の一部又は全部をタッチスクリーン102に表示する。尚、計測エラーによってS210において寸法LA~LCの計測値が自動的に取得できなかった場合には、S165に連動させて、手動測定による寸法LA~LCの実測値の入力画面を起動することも可能である。当該入力画面に応じて実測値が入力されることにより、合成画像に対する寸法算出結果にエラーが発生した場合にも、寸法LA~LCの計測値が取得されることでS170以降へ処理を進めることが可能となる。
【0075】
続いて、端末機器100は、S170により、取替後の給湯器10(製品)の機種タイプのユーザ選択の入力を受ける。更に、端末機器100は、S175では、取替後の給湯器10(製品)のサイズタイプの選択入力を受ける。
【0076】
S170では、
図13(a)に示される画面321がタッチスクリーン102に出力される。又、S175では、
図13(b)に示される画面322がタッチスクリーン102に出力される。
【0077】
図13(a)に示される様に、画面321は、給湯器10の機能に合わせて概略的に付与される簡易な機種タイプが選択的に入力される。機種タイプは、Aタイプ(温水暖房機能及び風呂追焚機能付き給湯器)/Bタイプ(風呂追焚機能付き給湯器)/Cタイプ(風呂湯張り機能付き給湯器)/Dタイプ(温水暖房機能及び風呂湯張り機能付き給湯器)/Eタイプ(給湯単機能給湯器)等を含む。同様に、
図13(b)では、予め複数種類(例えば、標準サイズ/コンパクト/スリム)に区分された、給湯器10のサイズタイプが選択的に入力される。この様に、S170及びS175では、取替後の給湯器10について、機種及びサイズに係る詳細な数値情報等を入力することなく、取替後(取替予定)の給湯器10の大別的な属性情報が入力される。
【0078】
再び
図10を参照して、端末機器100は、S180では、画面321(S170)及び画面322(S175)で入力された、取替後の給湯器19(製品)に係る属性情報を、サーバ200へ送信する。
【0079】
サーバ200は、S230により、端末機器100から、取替後の給湯器10の属性情報を受信すると、S240により、予め登録されたサイズの異なる複数種類の取付部材から、パイプシャフトの寸法計測値(LA~LC)及び取替後の給湯器の属性情報(機種及びサイズタイプ)に適合した取付部材を選定する。例えば、サーバ200には、
図14に例示される、取付部材のデータベースが予め構築されている。当該データベースを構成するデータ群は、サーバ200でのアップデート処理を伴って、ROM231に記憶される。
【0080】
図14を参照して、取付部材のデータベースには、複数種類の取付部材20の各々について、対応する給湯器10の属性(機種タイプ及びサイズタイプ)、並びに、寸法LA~LCのそれぞれについての許容範囲LAmax,LAmin~LCmax,LCminが格納される。
【0081】
図10のS240では、取替後の給湯器10の(i)属性条件として、S230で受信された取替後の給湯器10の機種タイプ及びサイズタイプと一致する取付部材20が抽出される。更に、(ii)寸法条件として、S210で算出された寸法LA~LCに対して、LAmin≦LA≦LAmax、LBmin≦LB≦LBmax、及び、LCmin≦LC≦LCmaxの全てが成立する取付部材20が抽出される。最終的には、データベースに予め登録された複数種類の取付部材20から、(i)属性条件及び(ii)寸法条件の両方が成立する取付部材20が抽出される。
【0082】
再び
図10を参照して、サーバ200は、S250により、S240での選定処理によって抽出された取付部材20の有無によって、撮影されたパイプシャフトに取替後の給湯器10を取り付けるための取付部材20の該当有無を判定する。
【0083】
サーバ200は、S240において(i)属性条件及び(ii)寸法条件の両方が成立する取付部材が抽出されなかった場合には、S250をNO判定とする。この場合には、S270により、「対象部材無し」が選定結果として確定される。一方で、サーバ200は、S240において(i)属性条件及び(ii)寸法条件の両方が成立する取付部材が抽出された場合には、S250をYES判定とし、S260により、抽出された取付部材20(対象部材)を特定するデータを、選定結果として確定する。更に、サーバ200は、S280により、S260又はS270で確定された選定結果を端末機器100に送信する。
【0084】
端末機器100は、S190により、サーバ200から送信された選定結果を受信すると、当該選定結果を示すメッセージをユーザに対して出力する。端末機器100がS260の選定結果を受信した場合には、例えば、
図13(c)に示された画面323aがタッチスクリーン102に表示される。画面323aは、(i)属性条件及び(ii)寸法条件の両方が成立する取付部材20を特定する情報(機種番号等)を報知する表示を含む。
【0085】
一方で、端末機器100がS270の選定結果を受信した場合には、例えば、
図13(d)に示された画面323bがタッチスクリーン102に表示される。画面323bは、(i)属性条件及び(ii)寸法条件に合致する取付部材20がデータベース(
図14)に存在しなかったことを報知する表示を含む。
【0086】
この様に、本実施の形態に係る給湯器の取付部材選定方法によれば、取替前の給湯器10及び取付部材20が取り付けられたパイプシャフトの撮影画像を用いて、作業者による実測を要することなく、当該撮影画像から寸法計測値を算出するとともに、予め構築されたデータベースから適切な取付部材を自動的に抽出することができる。これにより、取替後の給湯器及び当該パイプシャフトに適合した取付部材の選定を容易化することができる。
【0087】
尚、
図14では図示を省略したが、データベースには、登録された複数の取付部材20の各々について、扉内設置タイプのパイプシャフトの寸法L1~L5についても、許容範囲を示すL1max,L1min~L5max,L5minが格納されている。
【0088】
そして、画面302(
図11(b))において、「扉内設置タイプのパイプシャフト(PS扉内設置)」が選択入力されて、
図10のS120において、「扉内設置タイプのパイプシャフト」の選択が読み込まれた場合には、S150でのカーソル操作ガイダンスの内容が、
図12の例とは異なる内容とされる。具体的には、
図6で説明した寸法L1~L5に相当する部位をカーソル指定する様に、案内メッセージが出力される。
【0089】
図15には、一例として、「扉内設置タイプのパイプシャフト」が選択されたときの画面315が例示される。画面315は、標準タイプのパイプシャフトが選択されたときの画面314(
図12(d))に代えて、扉内設置タイプのパイプシャフトの選択時に表示されるユーザ確認用画面である。
【0090】
図15を参照して、扉内設置タイプのパイプシャフトが選択された場合には、S140でのガイダンスに従って撮影されたパイプシャフトの写真画像上に、カーソル321a~325a,321b~325bが、
図12で説明した、カーソル311a~313a,311b~313bと同様に表示される。即ち、各カーソルは、ユーザのタッチ及びスライド操作によって画面上下方向又は画面左右方向に移動可能であり、
図15の段階では、ユーザ操作によって位置が確定された状態である。
【0091】
カーソル321a,321bは、
図5及び
図6に示された、扉内の配置スペースの高さを示す寸法L1の両端に相当する位置を指定する。カーソル322a,322bは、
図5及び
図6に示された、固定フレーム30の幅を示す寸法L2の両端に相当する位置を指定する。
【0092】
カーソル323a,323bは、
図5及び
図6に示された、高さ方向の取付ピッチを示す寸法L3の両端に相当する位置を指定する。カーソル324a,324bは、
図5及び
図6に示された、幅方向の取付ピッチを示す寸法L4の両端に相当する位置を指定する。又、カーソル325a,325bは、
図6に示された、固定フレーム30に対する排気筒11の位置を示す寸法L5の両端に相当する位置を指定する。
【0093】
これらの各カーソルは、
図12(a)~(c)でのカーソル311a~313a,311b~313bに対するのと同様の、寸法L1~L5に相当する部位をカーソル指定するための案内メッセージが表示された画面において、ユーザ操作によって位置が確定される。
【0094】
図15に示された画面315において「決定」ボタンがタッチされると、端末機器100は、S160により、カーソル321a~325a,321b~325bの位置情報を含む、扉内設置タイプのパイプシャフトの合成画像を取得することができる。当該合成画像をサーバ200に送信することにより、サーバ200では、当該合成画像を用いて、扉内設置タイプのパイプシャフトに係る寸法L1~L5の計測値を算出することができる。以下では、標準タイプのパイプシャフトにおける寸法LA~LCの計測値に代えて、
図6に示された寸法L1~L5の計測値を用いることにより、標準タイプのパイプシャフトに対するのと同様に、取付部材20の選定を実行することができる。
【0095】
上述の様に、本実施の形態では、パイプシャフトの写真撮影時には、既知の基準図形51が描かれた計測用マーカ50が画像内に含まれている。
【0096】
図16には、パイプシャフトの撮影時における計測用マーカの貼付位置を説明する概念的な正面図が示される。
【0097】
図16(a)には、磁石面を有する計測用マーカ50が、扉内設置タイプのパイプシャフトの固定フレーム30とほぼ同一高さの取付部材20に貼付された状態が示される。
図16(a)の状態で撮影されたパイプシャフトの写真画像によれば、寸法L1~L5(又は、LA~LC)の測定面と、計測用マーカ50(基準図形51)の貼付面とが、画像の撮影装置(カメラ)に対して、固定フレーム30と同一距離となる。このため、上述した様に、基準図形51の既知寸法を利用した当該画像からの寸法L1~L5(又はLA~LC)の計測精度を向上することができる。
【0098】
従って、S135(
図10)での写真撮影ガイダンスにおいて、計測用マーカ50を固定フレーム30と同一面(カメラ103からの距離が同一の平面内)に貼付するように促すメッセージをユーザに対して出力することが好ましい。
【0099】
一方で、
図16(b)には、標準タイプのパイプシャフトに取り付けられた給湯器10の正面図において、計測用マーカ50が固定フレーム30ではなく給湯器10の表面に添付された例が示される。
図16(b)の状態で撮影されたパイプシャフトの写真画像から、寸法LA~LC(又はL1~L5)を計測する場合には、計測用マーカ50(基準図形51)の貼付面と、寸法LA~LC又はL1~L5の測定面との間で、画像の撮影装置(カメラ)に対する距離差(高さ差)が発生する。この距離差によって、寸法LA~LC(又はL1~L5)の算出値に計測誤差が生じることが懸念される。
【0100】
このため、S160(
図10)の画像データ送信時には、計測用マーカ50(基準図形51)の貼付面と、寸法LA~LC又はL1~L5の測定面(即ち、固定フレーム30の面)との高さ差ΔLをユーザが入力することが好ましい。これにより、
図16(a)の状態で画像が撮影された場合にはΔL=0を入力する一方で、
図16(b)等の状態で画像が撮影された場合には、ΔLの実際値(ΔL>0、又は、ΔL<0)を入力して、サーバ200へ送信することが可能である。例えば、サーバ200では、S210での測量演算処理において、ユーザ入力された高さ差ΔLを用いた補正演算を行うことで、上述した計測誤差を抑制することが可能である。
【0101】
或いは、計測用マーカ50の貼付面を固定フレーム30ではなく給湯器10とするように案内する場合で、かつ、
図10のS110で「標準タイプ(PS標準設置)」が選択された場合には、ユーザによる高さ差ΔLの入力を不要として、予め設定された高さ差ΔL(例えば,4[cm])を固定的に用いて、上述の補正演算を行うことが可能である。PS標準設置に限れば、固定フレーム30と、給湯器10の外面との高さ差が、既知の値に限定されるためである。
【0102】
又、本実施の形態では、端末機器100及びサーバ200の協調動作によって、本実施の形態に係る給湯器の取付部材の選定方法が実行される例を説明したが、
図10に示された処理分担は一例に過ぎない。例えば、サーバ200のS210による寸法の計測値を算出するための測量演算処理は、端末機器100側で実行することが可能である。この際には、端末機器100からサーバ200に対して、取替後の給湯器(第2の給湯器)の属性情報(機種タイプ及びサイズタイプ)と共に、寸法の計測値データを送信する流れとすることができる。
【0103】
又、サーバ200のS240~S270による取付部材の選定処理についても、
図14のデータベース相当のデータをサーバ200から端末機器100へ送信することで、端末機器100側で実行することが可能である。
【0104】
このように、S210の処理及びS240~S270の処理の一方又は両方を端末機器100で実行することも可能であるが、
図10で説明した処理分担とすることで、端末機器100及びサーバ200の間での通信量を過度にすることなく、端末機器100での処理負荷及び記憶容量が過大になることを回避できる。
【0105】
又、パイプシャフトの態様についても、例示した標準設置タイプ及び扉内設置タイプに限定されることはなく、取付部材20を選定するために必要な寸法情報を適宜予め定義することで、同様に取付部材の選定を容易に行うことが可能である。
【0106】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
10 給湯器、11 排気筒、20,21 取付部材、21a,21b,22a,22b,23,24a,24b,25a,25b ねじ穴(取付部材)、31a,31b,32a,32b,33,34a,34b,35a,35b ねじ穴(固定フレーム)、30 固定フレーム、31 扉、32 開口部、50 計測用マーカ、51 基準図形、100 端末機器、101,210 CPU、102 タッチスクリーン、103 カメラ、104,230 メモリ、106 通信インターフェイス、107 スピーカ、108 マイクロフォン、110 ディスプレイ、111 タッチパネル、112 センサ部、140 外部通信網(インターネット)、160 インターフェイス機器、170 基地局、200 サーバ、220 通信部、231 ROM、232 RAM、301~303,311~315,321,322,323a,323b 画面、302a,302b メッセージ、311a~313a,311b~313b,321a~325a,321b~325b カーソル、L1~L5,LA~LC 寸法。