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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20240110BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240110BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20240110BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20240110BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L21/82 B
H01L27/06 102A
H01L27/092 A
H01L27/092 G
H01L27/092 K
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020558322
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2019044574
(87)【国際公開番号】W WO2020110733
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2018220392
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小室 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 淳司
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/042986(WO,A1)
【文献】特表2014-505995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0211276(US,A1)
【文献】特開2012-103774(JP,A)
【文献】特開2003-224195(JP,A)
【文献】特開2005-32839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 21/8234
H01L 21/8238
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量セルであるスタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、
前記スタンダードセルは、
第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間に設けられた容量部と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間に設けられ、前記容量部に前記第1電源電圧または前記第2電源電圧を供給する固定値出力部とを備え、
前記容量部は、
第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成された、第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタとを有し、
前記第1トランジスタのソースおよびドレインは、ともに、前記第1および第2電源配線の一方に接続され、前記第2トランジスタのソースおよびドレインは、ともに、前記第1および第2電源配線の一方に接続され、
前記固定値出力部は、
前記深さ方向において前記第1トランジスタと同じ高さに形成された、前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第3トランジスタと、
前記深さ方向において前記第2トランジスタと同じ高さに形成された、前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第4トランジスタとを有し、
前記第3トランジスタは、ソースが前記第1電源配線に接続されるとともに、ドレインが前記第4トランジスタのゲートに接続され、前記第4トランジスタは、ソースが前記第2電源配線に接続されるとともに、ドレインが前記第3トランジスタのゲートに接続され、
前記第1および第2トランジスタのゲートは、ともに、前記第3トランジスタのゲートまたは前記第4トランジスタのゲートに、接続されており、
前記第3トランジスタのソースは、前記第1トランジスタのソースまたはドレインと共有されている、または、前記第4トランジスタのソースは、前記第2トランジスタのソースまたはドレインと共有されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1導電型はP型であり、前記第2導電型はN型である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1導電型はN型であり、前記第2導電型はP型である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記容量部は、
前記深さ方向において前記第1トランジスタと同じ高さに形成された、前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第5トランジスタと、
前記深さ方向において前記第2トランジスタと同じ高さに形成された、前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第6トランジスタとを有し、
前記第5トランジスタは、ソースおよびドレインが前記第1トランジスタのソースおよびドレインと接続され、ゲートが前記第1トランジスタのゲートと接続され、
前記第6トランジスタは、ソースおよびドレインが前記第2トランジスタのソースおよびドレインと接続され、ゲートが前記第2トランジスタのゲートと接続される
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記スタンダードセルは、
前記第2トランジスタのソースと接続されており、前記第1方向と垂直をなす第2方向に延びる第1ローカル配線を備え、
前記第1ローカル配線は、平面視で前記第1電源配線および前記第2電源配線と重なる位置まで延びており、かつ、前記第1電源配線または前記第2電源配線のいずれか一方と接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2トランジスタのゲートは、前記第4トランジスタのゲートに接続されており、前記第1電源電圧が与えられる
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2トランジスタのゲートは、前記第3トランジスタのゲートに接続されており、前記第2電源電圧が与えられる
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1トランジスタのソースおよびドレイン、並びに、前記第2トランジスタのソースおよびドレインは、共通に、前記第1および第2電源配線の一方に接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記固定値出力部は、
前記深さ方向において前記第3トランジスタと同じ高さに形成された、前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第5トランジスタと、
前記深さ方向において前記第4トランジスタと同じ高さに形成された、前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第6トランジスタとを有し、
前記第5トランジスタは、前記第4トランジスタと、平面視でチャネル部が重なっており、
前記第6トランジスタは、前記第3トランジスタと、平面視でチャネル部が重なっている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項10】
容量セルであるスタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、
前記スタンダードセルは、
第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間に設けられた容量部と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間に設けられ、前記容量部に前記第1電源電圧または前記第2電源電圧を供給する固定値出力部とを備え、
前記容量部は、
立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成された、前記第1トランジスタと同じ導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタとを有し、
前記第1トランジスタのソースおよびドレイン、並びに、前記第2トランジスタのソースおよびドレインは、いずれも、前記第1および第2電源配線の一方に接続され、
前記固定値出力部は、
前記深さ方向において前記第1トランジスタと同じ高さに形成された、第1導電型の立体構造トランジスタである、第3トランジスタと、
前記深さ方向において前記第2トランジスタと同じ高さに形成された、前記第1導電型と異なる第2導電型の立体構造トランジスタである、第4トランジスタとを有し、
前記第3トランジスタは、ソースが前記第1電源配線に接続されるとともに、ドレインが前記第4トランジスタのゲートに接続され、前記第4トランジスタは、ソースが前記第2電源配線に接続されるとともに、ドレインが前記第3トランジスタのゲートに接続され、
前記第1および第2トランジスタのゲートは、ともに、前記第3トランジスタのゲートまたは前記第4トランジスタのゲートに、接続されており、
前記第1および第2トランジスタと、前記第3および第4トランジスタとの間に、ダミーゲート配線が配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2トランジスタの導電型は、N型である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項12】
請求項10記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2トランジスタの導電型は、P型である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項13】
請求項10記載の半導体集積回路装置において、
前記容量部は、
前記深さ方向において前記第1トランジスタと同じ高さに形成された立体構造トランジスタである、第5トランジスタと、
前記深さ方向において前記第2トランジスタと同じ高さに形成された、立体構造トランジスタである、第6トランジスタとを有し、
前記第5トランジスタは、ソースおよびドレインが前記第1トランジスタのソースおよびドレインと接続され、ゲートが前記第1トランジスタのゲートと接続され、
前記第6トランジスタは、ソースおよびドレインが前記第2トランジスタのソースおよびドレインと接続され、ゲートが前記第2トランジスタのゲートと接続され、
前記第5および第6トランジスタの導電型は、前記第1および第2トランジスタの導電型と同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項14】
請求項10記載の半導体集積回路装置において、
前記スタンダードセルは、
前記第2トランジスタのソースと接続されており、前記第1方向と垂直をなす第2方向に延びる第1ローカル配線を備え、
前記第1ローカル配線は、平面視で前記第1電源配線および前記第2電源配線と重なる位置まで延びており、かつ、前記第1電源配線または前記第2電源配線のいずれか一方と接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項15】
請求項10記載の半導体集積回路装置において、
前記第1トランジスタのソースおよびドレイン、並びに、前記第2トランジスタのソースおよびドレインは、いずれも、前記第2電源配線に接続されており、
前記第1および第2トランジスタのゲートは、前記第4トランジスタのゲートに接続されており、前記第1電源電圧が与えられる
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項16】
請求項10記載の半導体集積回路装置において、
前記第1トランジスタのソースおよびドレイン、並びに、前記第2トランジスタのソースおよびドレインは、いずれも、前記第1電源配線に接続されており、
前記第1および第2トランジスタのゲートは、前記第3トランジスタのゲートに接続されており、前記第2電源電圧が与えられる
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項17】
請求項10記載の半導体集積回路装置において、
前記固定値出力部は、
前記深さ方向において前記第3トランジスタと同じ高さに形成された、前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第5トランジスタと、
前記深さ方向において前記第4トランジスタと同じ高さに形成された、前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第6トランジスタとを有し、
前記第5トランジスタは、前記第4トランジスタと、平面視でチャネル部が重なっており、
前記第6トランジスタは、前記第3トランジスタと、平面視でチャネル部が重なっている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項18】
第1スタンダードセルと、容量セルである第2スタンダードセルとを含む半導体集積回路装置であって、
前記第1スタンダードセルは、
第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成された、第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソースまたはドレインと接続されており、平面視で前記第1方向と垂直をなす第2方向に延びる第1ローカル配線と、
前記第2トランジスタのソースまたはドレインと接続されており、平面視で前記第2方向に延びる第2ローカル配線と、
前記第1および第2トランジスタの共通のゲートとなる、平面視で前記第2方向に延びる第1ゲート配線とを備え、
前記第2スタンダードセルは、
前記深さ方向において前記第1ゲート配線と同じ高さに形成された第2ゲート配線と、
前記深さ方向において前記第1ローカル配線と同じ高さに形成された第3ローカル配線と、
前記深さ方向において前記第2ローカル配線と同じ高さに形成された第4ローカル配線とを備え、
前記第2ゲート配線は、前記第1および第2電源配線のいずれか一方と電気的に接続されており、前記第3および第4ローカル配線は、前記第1および第2電源配線の他方と電気的に接続されており、
前記第3および第4ローカル配線は、平面視で重なっており、かつ、平面視で前記第2ゲート配線と隣り合っている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項19】
請求項18記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2電源配線は、埋め込み配線層に形成されており、
前記第2ゲート配線は、平面視で前記一方の電源配線と重なる範囲まで延びており、コンタクトを介して、前記一方の電源配線と接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体構造トランジスタを含むスタンダードセルを備えた半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に半導体集積回路を形成する方法として、スタンダードセル方式が知られている。スタンダードセル方式とは、特定の論理機能を有する基本的単位(例えば、インバータ,ラッチ,フリップフロップ,全加算器など)をスタンダードセルとして予め用意しておき、半導体基板上に複数のスタンダードセルを配置して、それらのスタンダードセルを配線で接続することによって、LSIチップを設計する方式のことである。
【0003】
また、LSIの基本構成要素であるトランジスタは、ゲート長の縮小(スケーリング)により、集積度の向上、動作電圧の低減、および動作速度の向上を実現してきた。しかし近年、過度なスケーリングによるオフ電流と、それによる消費電力の著しい増大が問題となっている。この問題を解決するため、トランジスタ構造を従来の平面型から立体型に変更した立体構造トランジスタが盛んに研究されている。
【0004】
非特許文献1,2では、新規デバイスとして、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスと、これを用いたスタンダードセルが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Ryckaert J. et al., "The Complementary FET (CFET) for CMOS scaling beyond N3", 2018 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【文献】A. Mocuta et al., "Enabling CMOS Scaling Towards 3nm and Beyond", 2018 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスのことを、非特許文献1の記載にならい、CFET(Complementary FET)と呼ぶことにする。また、基板に対して垂直をなす方向のことを、深さ方向と呼ぶ。
【0007】
近年の半導体集積回路における微細化および高集積化の進度は著しく、これに伴い、動作電圧の低電圧化および動作周波数の高速化が加速している。しかし、高速化に伴ってノイズが増加し、かつ、低電圧化に伴いノイズ耐性が低下するため、近年の半導体集積回路では、ノイズによる回路の誤動作が発生しやすいという問題がある。ノイズによる回路の誤動作を防止する方法としては、回路の電源間にデカップリング容量を設ける方法がある。このようなデカップリング容量が形成されたセルのことを、容量セルという。
【0008】
ところが、現在までにCFETを用いた容量セルの検討はなされていない。
【0009】
本開示は、CFETを用いた容量セルのレイアウト構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1態様では、容量セルであるスタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、前記スタンダードセルは、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間に設けられた容量部と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間に設けられ、前記容量部に前記第1電源電圧または前記第2電源電圧を供給する固定値出力部とを備え、前記容量部は、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成された、第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタのソースおよびドレインは、ともに、前記第1および第2電源配線の一方に接続され、前記第2トランジスタのソースおよびドレインは、ともに、前記第1および第2電源配線の一方に接続され、前記固定値出力部は、前記深さ方向において前記第1トランジスタと同じ高さに形成された、前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第3トランジスタと、前記深さ方向において前記第2トランジスタと同じ高さに形成された、前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第4トランジスタとを有し、前記第3トランジスタは、ソースが前記第1電源配線に接続されるとともに、ドレインが前記第4トランジスタのゲートに接続され、前記第4トランジスタは、ソースが前記第2電源配線に接続されるとともに、ドレインが前記第3トランジスタのゲートに接続され、前記第1および第2トランジスタのゲートは、ともに、前記第3トランジスタのゲートまたは前記第4トランジスタのゲートに接続されており、前記第3トランジスタのソースは、前記第1トランジスタのソースまたはドレインと共有されている、または、前記第4トランジスタのソースは、前記第2トランジスタのソースまたはドレインと共有されている。
【0011】
この態様によると、容量セルであるスタンダードセルにおいて、容量部は、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、深さ方向において第1トランジスタよりも上に形成された、第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタとを備える。第1トランジスタのソースおよびドレインはともに、第1および第2電源配線の一方に接続され、第2トランジスタのソースおよびドレインはともに、第1および第2電源配線の一方に接続される。そして、第1および第2トランジスタのゲートはともに、固定値出力部が備える第3または第4トランジスタのゲートに接続されており、第1電源電圧または第2電源電圧が与えられる。これにより、第1および第2トランジスタのうち少なくともいずれか一方は、容量として機能する。さらに、第3トランジスタのソースは、第1トランジスタのソースまたはドレインと共有されている。または、第4トランジスタのソースは、第2トランジスタのソースまたはドレインと共有されている。これにより、容量セルであるスタンダードセルの面積を小さく抑えることができる。
【0012】
本開示の第2態様では、容量セルであるスタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、前記スタンダードセルは、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間に設けられた容量部と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間に設けられ、前記容量部に前記第1電源電圧または前記第2電源電圧を供給する固定値出力部とを備え、前記容量部は、立体構造トランジスタである第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成された、前記第1トランジスタと同じ導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタのソースおよびドレイン、並びに、前記第2トランジスタのソースおよびドレインは、いずれも、前記第1および第2電源配線の一方に接続され、前記固定値出力部は、前記深さ方向において前記第1トランジスタと同じ高さに形成された、第1導電型の立体構造トランジスタである第3トランジスタと、前記深さ方向において前記第2トランジスタと同じ高さに形成された、前記第1導電型と異なる第2導電型の立体構造トランジスタである第4トランジスタとを有し、前記第3トランジスタは、ソースが前記第1電源配線に接続されるとともに、ドレインが前記第4トランジスタのゲートに接続され、前記第4トランジスタは、ソースが前記第2電源配線に接続されるとともに、ドレインが前記第3トランジスタのゲートに接続され、前記第1および第2トランジスタのゲートは、ともに、前記第3トランジスタのゲートまたは前記第4トランジスタのゲートに、接続されており、前記第1および第2トランジスタと、前記第3および第4トランジスタとの間に、ダミーゲート配線が配置されている。
【0013】
この態様によると、容量セルであるスタンダードセルにおいて、容量部は、立体構造トランジスタである第1トランジスタと、深さ方向において第1トランジスタよりも上に形成された立体構造トランジスタである第2トランジスタとを備える。第1および第2トランジスタの導電型は同一である。第1トランジスタのソースおよびドレイン、並びに、第2トランジスタのソースおよびドレインは、いずれも、第1および第2電源配線の一方に接続される。そして、第1および第2トランジスタのゲートはともに、固定値出力部が備える第3または第4トランジスタのゲートに接続されており、第1電源電圧または第2電源電圧が与えられる。これにより、第1および第2トランジスタの両方が、容量として機能する。さらに、第1および第2トランジスタと、第3および第4トランジスタとの間に、ダミーゲート配線が配置されている。これにより、第1導電型のドーピングと第2導電型のドーピングを、確実に実行することができる。
【0014】
本開示の第3態様では、第1スタンダードセルと、容量セルである第2スタンダードセルとを含む半導体集積回路装置であって、前記第1スタンダードセルは、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成された第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタと、前記第1トランジスタのソースまたはドレインと接続されており、平面視で前記第1方向と垂直をなす第2方向に延びる第1ローカル配線と、前記第2トランジスタのソースまたはドレインと接続されており、平面視で前記第2方向に延びる第2ローカル配線と、前記第1および第2トランジスタの共通のゲートとなる、平面視で前記第2方向に延びる第1ゲート配線とを備え、前記第2スタンダードセルは、前記深さ方向において前記第1ゲート配線と同じ高さに形成された第2ゲート配線と、前記深さ方向において前記第1ローカル配線と同じ高さに形成された第3ローカル配線と、前記深さ方向において前記第2ローカル配線と同じ高さに形成された第4ローカル配線とを備え、前記第2ゲート配線は、前記第1および第2電源配線のいずれか一方と電気的に接続されており、前記第3および第4ローカル配線は、前記第1および第2電源配線の他方と電気的に接続されており、前記第3および第4ローカル配線は、平面視で重なっており、かつ、平面視で前記第2ゲート配線と隣り合っている。
【0015】
この態様によると、容量セルである第2スタンダードセルにおいて、第2ゲート配線は第1および第2電源電圧のいずれか一方が与えられ、第3および第4ローカル配線は、第1および第2電源電圧の他方が与えられる。また、第3および第4ローカル配線は、平面視で重なっており、かつ、平面視で第2ゲート配線と隣り合っている。これにより、第2ゲート配線と第3および第4ローカル配線との間に、配線間容量が形成される。
【発明の効果】
【0016】
本開示によると、CFETを用いた容量セルについて、レイアウト構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a),(b)は第1実施形態に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図2】(a)~(c)は図1のレイアウト構造の平面視横方向における断面図
図3図1の容量セルの回路図
図4】(a),(b)は第1実施形態の変形例1に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図5】(a),(b)は第1実施形態の変形例2に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図6図5の容量セルの回路図
図7】(a),(b)は第1実施形態の変形例3に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図8】(a),(b)は第1実施形態の変形例4に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図9図8の容量セルの回路図
図10】(a),(b)は第1実施形態の変形例5に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図11図10の容量セルの回路図
図12】(a),(b)は第2実施形態に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図13図12の容量セルの回路図
図14】(a),(b)は第3実施形態に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図15図14の容量セルの回路図
図16】(a),(b)は第4実施形態に係る容量セルを含むレイアウト構造の例を示す平面図
図17】(a),(b)は第4実施形態の変形例1に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図
図18】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図19】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図20】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図21】CFETを備えた半導体装置の構造を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、半導体集積回路装置は複数のスタンダードセル(本明細書では、適宜、単にセルという)を備えており、この複数のスタンダードセルのうち少なくとも一部は、CFET、すなわち、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスを備えるものとする。
【0019】
まず、CFETの基本構造について説明する。図18図21はCFETを備えた半導体装置の構造を示す図であり、図18はX方向における断面図、図19はY方向におけるゲート部分の断面図、図20はY方向におけるソース・ドレイン部分の断面図、図21は平面図である。なお、X方向はナノワイヤが延びる方向、Y方向はゲートが延びる方向、Z方向は基板面と垂直をなす方向としている。また、図18図21は概略図であり、各部の寸法や位置等は必ずしも整合していない。
【0020】
この半導体装置では、シリコン(Si)基板等の半導体基板301の表面に素子分離領域302が形成されており、素子分離領域302により、素子活性領域30aが画定されている。素子活性領域30aでは、P型FET上にN型FETが形成されている。
【0021】
素子活性領域30aでは、半導体基板301上に積層トランジスタ構造390aが形成されている。積層トランジスタ構造390aは、半導体基板301上に形成されたゲート構造391を含む。ゲート構造391は、ゲート電極356、複数のナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355、絶縁膜357を含む。ゲート電極356は、Y方向に延び、Z方向に立ち上がる。ナノワイヤ358は、X方向でゲート電極356を貫通し、Y方向及びZ方向に配列されている。ゲート絶縁膜355は、ゲート電極356とナノワイヤ358との間に形成されている。ゲート電極356及びゲート絶縁膜355は、X方向において、ナノワイヤ358の両端から後退した位置に形成されており、この後退した部分に絶縁膜357が形成されている。半導体基板301上に、絶縁膜357の両脇において、絶縁膜316が形成されている。321,322は層間絶縁膜である。
【0022】
また、図19に示すように、ゲート電極356は、開口部375に設けられたビア385によって、上層の配線と接続される。
【0023】
例えば、ゲート電極356には、チタン、チタン窒化物又は多結晶シリコン等を用いることができる。例えば、ゲート絶縁膜355には、ハフニウム酸化物、アルミニウム酸化物又はハフニウム及びアルミニウムの酸化物等の高誘電率材料を用いることができる。例えば、ナノワイヤ358にはシリコン等を用いることができる。例えば、絶縁膜316、絶縁膜357には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物等を用いることができる。
【0024】
この半導体装置では、Z方向に配列するナノワイヤ358の本数は4であり、素子活性領域30aでは、半導体基板301側の2本のナノワイヤ358の各端部にp型半導体層331pが形成されている。p型半導体層331pに接する2つのローカル配線386がX方向でゲート構造391を挟むようにして形成されている。また、半導体基板301から離間する側の2本のナノワイヤ358の各端部にn型半導体層341nが形成されている。n型半導体層341nに接する2つのローカル配線388がX方向でゲート構造391を挟むようにして形成されている。ローカル配線386とローカル配線388との間に絶縁膜332が形成されている。ローカル配線388の上に絶縁膜389が形成されている。例えば、p型半導体層331pはp型SiGe層であり、n型半導体層341nはn型Si層である。例えば、絶縁膜332には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物等を用いることができる。
【0025】
また、図20に示すように、ローカル配線388は、ビア3071を介して、埋め込み配線3101と接続される。ローカル配線386は、ビア3072を介して、埋め込み配線3102と接続される。
【0026】
このように、積層トランジスタ構造390aは、ゲート電極356、ナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355及びP型半導体層331pを含むP型FETを有する。このP型FETでは、一方のP型半導体層331pがソース領域として機能し、他方のP型半導体層331pがドレイン領域として機能し、ナノワイヤ358がチャネルとして機能する。積層トランジスタ構造390aは、ゲート電極356、ナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355及びN型半導体層341nを含むN型FETも有する。このN型FETでは、一方のN型半導体層341nがソース領域として機能し、他方のN型半導体層341nがドレイン領域として機能し、ナノワイヤ358がチャネルとして機能する。
【0027】
なお、積層トランジスタ構造より上層については、ビアおよび金属配線によりトランジスタ間の配線等が行われるが、これらは既知の配線プロセスによって実現が可能である。
【0028】
なお、ここでは、P型FETおよびN型FETにおけるナノワイヤの本数は、それぞれ、Y方向に4本、Z方向に2本、計8本ずつであるものとしたが、ナノノワイヤの本数はこれに限られるものではない。また、P型FETとN型FETのナノワイヤの本数は、異なっていてもかまわない。
【0029】
また、本明細書では、ナノワイヤの両端に形成され、トランジスタのソースまたはドレインとなる端子を構成する半導体層部のことを「パッド」という。上述したCFETの基本構造例では、p型半導体層331pおよびn型半導体層341nが、パッドに相当する。
【0030】
また、以降の実施形態における平面図および断面図においては、各絶縁膜等の記載は省略することがある。また、以降の実施形態における平面図および断面図については、ナノワイヤおよびその両側のパッドを、簡易化した直線状の形状で記載することがある。また、本明細書において、「同一サイズ」等のように、サイズ等が同じであることを意味する表現は、製造上のばらつき範囲を含んでいるものとする。
【0031】
また、以下の実施形態では、「VDD」,「VSS」は、電源電圧、または電源自体を示すために用いるものとする。
【0032】
(第1実施形態)
図1および図2は第1実施形態に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す図であり、図1(a),(b)は平面図、図2(a)~(c)は平面視横方向における断面図である。具体的には、図1(a)は下部、すなわち基板に近い側に形成された立体構造トランジスタ(ここではP型ナノワイヤFET)を含む部分を示し、図1(b)は上部、すなわち基板から遠い側に形成された立体構造トランジスタ(ここではN型ナノワイヤFET)を含む部分を示す。図2(a)は線X1-X1’の断面、図2(b)は線X2-X2’の断面、図2(c)は線X3-X3’の断面である。
【0033】
また図3図1および図2に示す容量セルの回路図である。図3に示すように、図1および図2に示すセルは、P型トランジスタP1,P2,P3およびN型トランジスタN1,N2,N3を有する。容量部1は、P型トランジスタP3およびN型トランジスタN3を有する。固定値出力部2は、P型トランジスタP1,P2,N型トランジスタN1およびN2を有する。固定値出力部2は、容量部1の各トランジスタP3,N3のゲートに固定値(VDD,VSS)を出力する。図3では、固定値出力部2はVDD、すなわちハイ固定値を出力する。
【0034】
P型トランジスタP1,P2のソースはともにVDDに接続されており、ドレイン同士が接続されている。N型トランジスタN1,N2のソースはともにVSSに接続されており、ドレイン同士が接続されている。P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲート同士が接続されており、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲート同士が接続されている。P型トランジスタP1,P2のドレインはP型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲートに接続されており、N型トランジスタN1,N2のドレインはP型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲートに接続されている。P型トランジスタP3のソースおよびドレインはVDDに接続されており、N型トランジスタN3のソースおよびドレインはVSSに接続されている。P型トランジスタP3およびN型トランジスタN3のゲート同士が接続されている。そして、P型トランジスタP3およびN型トランジスタN3のゲートに、P型トランジスタP1,P2のドレインが接続されている。
【0035】
P型トランジスタP1,P2のドレイン電圧はVDD、すなわちハイ固定値となっている。N型トランジスタN3は、ソースおよびドレインがVSSに固定されており、ゲートにVDDが供給されるので、容量として機能する。P型トランジスタP3は、ソースおよびドレインがVDDに固定されており、ゲートにVDDが供給されるので、オフ状態のダミートランジスタとなる。また、P型トランジスタP1,N型トランジスタN2はオン状態になり、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN1はオフ状態になる。P型トランジスタP1は、ソースおよびドレインがVDDに固定されており、ゲートにVSSが供給されるので、容量として機能する。N型トランジスタN2は、ソースおよびドレインがVSSに固定されており、ゲートにVDDが供給されるので、容量として機能する。
【0036】
なお、以下の説明では、図1等の平面図において、図面横方向をX方向(第1方向に相当)、図面縦方向をY方向(第2方向に相当)、基板面に垂直な方向をZ方向(深さ方向に相当)としている。また、図1等の平面図において縦横に走る点線、および、図2等の断面図において縦に走る点線は、設計時に部品配置を行うために用いるグリッドを示す。グリッドは、X方向において等間隔に配置されており、またY方向において等間隔に配置されている。なお、グリッド間隔は、X方向とY方向とにおいて同じであってもよいし異なっていてもよい。また、グリッド間隔は、層ごとに異なっていてもかまわない。さらに、各部品は必ずしもグリッド上に配置される必要はない。ただし、製造ばらつきを抑制する観点から、部品はグリッド上に配置される方が好ましい。
【0037】
図1(a)に示すように、容量セルのY方向における両端において、X方向に延びる電源配線11,12がそれぞれ設けられている。電源配線11,12はともに、埋め込み配線層に形成された埋め込み電源配線(BPR:Buried Power Rail)である。電源配線11は電源電圧VDDを供給し、電源配線12は電源電圧VSSを供給する。
【0038】
容量セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ21a,21b,21cが形成されており、容量セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ26a,26b,26cが形成されている。ナノワイヤ21a,26aは平面視で重なっており、ナノワイヤ21b,26bは平面視で重なっており、ナノワイヤ21c,26cは平面視で重なっている。平面視でY方向に延びるゲート配線31,32,33が、セルの下部から上部にかけて、並列に形成されている。ゲート配線31は、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲートとなる。ゲート配線32は、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲートとなる。ゲート配線33は、P型トランジスタP3およびN型トランジスタN4のゲートとなる。また、容量セルのX方向における両端に、ダミーゲート配線35a,35bが形成されている。ダミーゲート配線35a,35bは、ゲート配線31と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0039】
ナノワイヤ21aの図面左端、ナノワイヤ21a,21bの間、ナノワイヤ21b,21cの間、および、ナノワイヤ21cの図面右端に、P型半導体がドーピングされたパッド22a,22b,22c,22dがそれぞれ形成されている。ナノワイヤ26aの図面左端、ナノワイヤ26a,26bの間、ナノワイヤ26b,26cの間、および、ナノワイヤ26cの図面右端に、N型半導体がドーピングされたパッド27a,27b,27c,27dがそれぞれ形成されている。ナノワイヤ21a,21b,21cがP型トランジスタP1,P2,P3のチャネル部をそれぞれ構成する。パッド22aがP型トランジスタP1のソースとなる端子を構成し、パッド22bがP型トランジスタP1,P2の共通のドレインとなる端子を構成し、パッド22cがP型トランジスタP2,P3の共通のソースとなる端子を構成し、パッド22dがP型トランジスタP3のドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ26a,26b,26cがN型トランジスタN1,N2,N3のチャネル部をそれぞれ構成し、パッド27aがN型トランジスタN1のソースとなる端子を構成し、パッド27bがN型トランジスタN1,N2の共通のドレインとなる端子を構成し、パッド27cがN型トランジスタN2,N3の共通のソースとなる端子を構成し、パッド27dがN型トランジスタN3のドレインとなる端子を構成する。
【0040】
すなわち、ナノワイヤ21a、ゲート配線31、およびパッド22a,22bによって、P型トランジスタP1が構成される。ナノワイヤ21b、ゲート配線32、およびパッド22b,22cによって、P型トランジスタP2が構成される。ナノワイヤ21c、ゲート配線33、およびパッド22c,22dによって、P型トランジスタP3が構成される。ナノワイヤ26a、ゲート配線31、およびパッド27a,27bによって、N型トランジスタN1が構成される。ナノワイヤ26b、ゲート配線32、およびパッド27b,27cによって、N型トランジスタN2が構成される。ナノワイヤ26c、ゲート配線33、およびパッド27c,27dによって、N型トランジスタN3が構成される。
【0041】
P型トランジスタP1,P2,P3はZ方向において埋め込み配線層よりも上に形成されており、N型トランジスタN1,N2,N3はZ方向においてP型トランジスタP1,P2,P3よりも上に形成されている。
【0042】
容量セルの下部において、Y方向に延びるローカル配線41,42,43,44が形成されている。ローカル配線41,42,43,44は、パッド22a,22b,22c,22dとそれぞれ接続されている。容量セルの上部において、Y方向に延びるローカル配線45,46,47,48が形成されている。ローカル配線45,46,47,48は、パッド27a,27b,27c,27dとそれぞれ接続されている。
【0043】
ローカル配線41は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト51を介して、電源配線11と接続されている。コンタクト51は、平面視で電源配線11とローカル配線41とが重なる位置に形成されている。ローカル配線43は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト52を介して、電源配線11と接続されている。コンタクト52は、平面視で電源配線11とローカル配線43とが重なる位置に形成されている。ローカル配線44は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト53を介して、電源配線11と接続されている。コンタクト53は、平面視で電源配線11とローカル配線44とが重なる位置に形成されている。
【0044】
ローカル配線45は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト54を介して、電源配線12と接続されている。コンタクト54は、平面視で電源配線12とローカル配線45とが重なる位置に形成されている。ローカル配線47は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト55を介して、電源配線12と接続されている。コンタクト55は、平面視で電源配線12とローカル配線47とが重なる位置に形成されている。ローカル配線48は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト56を介して、電源配線12と接続されている。コンタクト56は、平面視で電源配線12とローカル配線48とが重なる位置に形成されている。
【0045】
金属配線層であるM1配線層に、X方向に延びる配線61,62が形成されている。配線61は、コンタクト71を介して、ローカル配線42と接続されている。また、配線61は、コンタクト72,73を介して、ゲート配線32,33とそれぞれ接続されている。配線62は、コンタクト74を介して、ローカル配線46と接続されている。また、配線62は、コンタクト75を介して、ゲート配線31と接続されている。
【0046】
以上のように本実施形態によると、容量セルであるスタンダードセルにおいて、容量部1は、P型のナノワイヤFETであるトランジスタP3と、深さ方向においてトランジスタP3よりも上に形成された、N型のナノワイヤFETであるトランジスタN3とを備える。トランジスタP3のソースおよびドレインはともに電源配線11に接続され、トランジスタN3のソースおよびドレインはともに電源配線12に接続される。そして、トランジスタP3,N3のゲートはともに、固定値出力部2が備えるトランジスタN2のゲートに接続されており、VDDが与えられる。これにより、トランジスタN3は容量として機能する。
【0047】
さらに、トランジスタN2のソースとなる端子(パッド27c)は、トランジスタN3のソースまたはドレインと共有されている。また、トランジスタP2のソースとなる端子(パッド22c)は、トランジスタP3のソースまたはドレインと共有されている。これにより、容量セルであるスタンダードセルの面積を小さく抑えることができる。
【0048】
なお、オフ状態になるP型トランジスタP2,P3,N型トランジスタN1は、本実施形態に係る容量セルから省いてもかまわない。ただし、レイアウト構造上、P型トランジスタP2,P3およびN型トランジスタN1を形成する方が、製造容易性が向上し、歩留まりが向上し、性能のばらつきを防止することができる。
【0049】
また、Y方向における中央のグリッドに、VDDまたはVSSに固定された、M1配線層においてX方向に延びる配線を配置してもよい。これにより、容量セルの容量値が向上する。
【0050】
(変形例1)
図4は本実施形態の変形例1に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)は下部を示し、(b)は上部を示す。図4の例では、下部はN型ナノワイヤFET(N型トランジスタN1,N2,N3)を含み、上部はP型ナノワイヤFET(P型トランジスタP1,P2,P3)を含む。すなわち、上述した実施形態と対比すると、P型トランジスタとN型トランジスタのZ方向における位置関係が入れ替わっている。ただし、回路図は図3と同じである。
【0051】
配線67は、P型トランジスタP1,P2のドレイン、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲート、並びに、P型トランジスタP3およびN型トランジスタN3のゲートを接続している。配線68は、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲート、並びに、N型トランジスタN1,N2のドレインを接続している。
【0052】
(変形例2)
図5は本実施形態の変形例2に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETが形成された下部を示し、(b)はN型ナノワイヤFETが形成された上部を示す。また図6図5に示す容量セルの回路図である。図6に示すように、図5に示す容量セルは、容量部1が、P型トランジスタP3,P4およびN型トランジスタN3,N4を有する。すなわち、図5に示す容量セルは、図3に示す容量セルにP型トランジスタP4,N型トランジスタN4が追加されている。固定値出力部2は、容量部1の各トランジスタP3,P4,N3,N4のゲートに固定値(VDD,VSS)を出力する。図6では、固定値出力部2はVDD、すなわちハイ固定値を出力する。
【0053】
図5に示すレイアウト構造は、図1に示すレイアウト構造に対して、P型トランジスタP4およびN型トランジスタN4を構成するパターンが図面右側に追加された構造になっている。P型トランジスタP4およびN型トランジスタN4を構成するパターンは、P型トランジスタP3およびN型トランジスタN3を構成するパターンと同様である。すなわち、下部にはX方向に延びるナノワイヤ21dが追加されており、上部にはX方向に延びるナノワイヤ26dが追加されている。ナノワイヤ21d,26dは平面視で重なっている。ナノワイヤ21dの図面右端に、P型半導体がドーピングされたパッド22eが形成されている。ナノワイヤ26dの図面右端に、N型半導体がドーピングされたパッド27eが形成されている。また、平面視でY方向に延びるゲート配線34が追加されている。ゲート配線34は、P型トランジスタP4およびN型トランジスタN4のゲートとなる。
【0054】
すなわち、ナノワイヤ21d、ゲート配線34、およびパッド22d,22eによって、P型トランジスタP4が構成される。ナノワイヤ26d、ゲート配線34、およびパッド27d,27eによって、N型トランジスタN4が構成される。
【0055】
パッド22eに、Y方向に延びるローカル配線44aが接続されている。ローカル配線44aは、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト57を介して、電源配線11と接続されている。パッド27eに、Y方向に延びるローカル配線48aが接続されている。ローカル配線48aは、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト58を介して、電源配線12と接続されている。
【0056】
配線61Aは、図1の配線61よりも図面右側に1グリッド分、長く延びている。長く延びた部分が、ゲート配線34とコンタクト76を介して接続されている。
【0057】
なお、容量部1のトランジスタをさらに追加する場合は、P型トランジスタP3,N型トランジスタN3を構成するパターンと同様のパターンを、さらに追加すればよい。
【0058】
(変形例3)
図7は本実施形態の変形例3に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETが形成された下部を示し、(b)はN型ナノワイヤFETが形成された上部を示す。図7に示すレイアウト構造は、図1に示すレイアウト構造と基本的に同様である。ただし、下部におけるローカル配線42A、および上部におけるローカル配線45A,47A,48Aが、図1のローカル配線42,45,47,48よりも長くなっている。
【0059】
すなわち、ローカル配線42Aは、図1のローカル配線42と比べて図面下側に長く延びており、平面視で電源配線12と重なりを有している。ローカル配線45A,47A,48Aは、図1のローカル配線45,47,48と比べて図面上側に長く延びており、平面視で電源配線11と重なりを有している。また、図7では、平面視で重なるローカル配線42A,46の図面下側の端は、ほぼそろっている。平面視で重なるローカル配線41,45Aの図面上側の端は、ほぼそろっている。平面視で重なるローカル配線43,47Aの図面上側の端は、ほぼそろっている。平面視で重なるローカル配線44,48Aの図面上側の端は、ほぼそろっている。
【0060】
本変形例のようにローカル配線を延伸することによって、上部のローカル配線と下部のローカル配線との間に形成される容量、および、ローカル配線とゲート配線との間に形成される容量の容量値が増加する。これにより、容量セルの容量値を増加させることができる。
【0061】
(変形例4)
図8は本実施形態の変形例4に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETが形成された下部を示し、(b)はN型ナノワイヤFETが形成された上部を示す。また図9図8に示す容量セルの回路図である。図9に示すように、図8に示すセルは、固定値出力部2がVSS,すなわちロー固定値を、容量部1の各トランジスタP3,N3のゲートに出力する。すなわち、P型トランジスタP3およびN型トランジスタN3のゲートに、N型トランジスタN1,N2のドレインが接続されている。
【0062】
N型トランジスタN1,N2のドレイン電圧はVSS、すなわちロー固定値となっている。P型トランジスタP3は、ソースおよびドレインがVDDに固定されており、ゲートにVSSが供給されるので、容量として機能する。N型トランジスタN3は、ソースおよびドレインがVSSに固定されており、ゲートにVSSが供給されるので、オフ状態のダミートランジスタとなる。また、P型トランジスタP1も、ソースおよびドレインがVDDに固定されており、ゲートにVSSが供給されるので、容量として機能する。N型トランジスタN2もソースおよびドレインがVSSに固定されており、ゲートにVDDが供給されるので、容量として機能する。P型トランジスタP2およびN型トランジスタN1はオフ状態になる。
【0063】
図8に示すレイアウト構造は、図1に示すレイアウト構造とほぼ同様である。ただし、M1配線層に、配線61,62に代えて、配線63,64が形成されている。配線63は、コンタクト71を介して、ローカル配線42と接続されている。また、配線63は、コンタクト72を介して、ゲート配線32と接続されている。配線64は、コンタクト74を介して、ローカル配線46と接続されている。また、配線64は、コンタクト75,77を介して、ゲート配線31,33とそれぞれ接続されている。すなわち、配線63は、P型トランジスタP1,P2のドレイン、および、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲートを接続している。配線64は、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲート、N型トランジスタN1,N2のドレイン、および、P型トランジスタP3およびN型トランジスタN3のゲートを接続している。その他の構造は、図1と同様である。
【0064】
(変形例5)
図10は本実施形態の変形例5に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETが形成された下部を示し、(b)はN型ナノワイヤFETが形成された上部を示す。また図11図10に示す容量セルの回路図である。図11に示すように、本変形例では、固定値出力部2において、トランジスタの配置が左右反転した形になっている。すなわち、P型トランジスタP1,P2のドレインはP型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲートに接続されており、N型トランジスタN1,N2のドレインはP型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲートに接続されている。このため、本変形例では、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN1がオン状態になり、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN2はオフ状態になる。
【0065】
図10に示すレイアウト構造は、図1に示すレイアウト構造とほぼ同様である。ただし、M1配線層に、配線61,62に代えて、配線65,66が形成されている。配線65は、コンタクト71を介して、ローカル配線42と接続されている。また、配線65は、コンタクト78,73を介して、ゲート配線31,33とそれぞれ接続されている。配線66は、コンタクト74を介して、ローカル配線46と接続されている。また、配線66は、コンタクト79を介して、ゲート配線32と接続されている。すなわち、配線65は、P型トランジスタP1,P2のドレイン、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲート、および、P型トランジスタP3およびN型トランジスタN3のゲートを接続している。配線66は、N型トランジスタN1,N2のドレイン、および、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲートを接続している。その他の構造は、図1と同様である。
【0066】
本変形例では、トランジスタP3,N3のゲートはともに、固定値出力部2が備えるトランジスタN1のゲートに接続されており、VDDが与えられる。これにより、トランジスタN3は容量として機能する。
【0067】
なお、本変形例においても、オフ状態になるP型トランジスタP1,P3,N型トランジスタN2は、省いてもかまわない。ただし、レイアウト構造上、P型トランジスタP1,P3およびN型トランジスタN2を形成する方が、製造容易性が向上し、歩留まりが向上し、性能のばらつきを防止することができる。
【0068】
(第2実施形態)
図12は第2実施形態に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETが形成された下部を示し、(b)はN型ナノワイヤFETが形成された上部を示す。また図13図12に示す容量セルの回路図である。図13に示すように、本実施形態では、図12に示す容量セルは、容量部1が有するP型トランジスタP3のソースおよびドレインが、VDDではなく、VSSに固定されている。P型トランジスタP3のゲートはVDDが与えられているので、P型トランジスタP3はオフ状態である。
【0069】
図12(a)に示すように、容量セルの下部において、P型トランジスタP3のソースおよびドレインとなるパッド22c,22dに、Y方向に延びるローカル配線143,144がそれぞれ接続されている。ローカル配線143は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト151を介して、電源配線12と接続されている。ローカル配線144は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト152を介して、電源配線12と接続されている。また、ローカル配線143,144は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びている。
【0070】
図12(b)に示すように、容量セルの上部において、N型トランジスタN3のソースおよびドレインとなるパッド27c,27dに、Y方向に延びるローカル配線147,148がそれぞれ接続されている。ローカル配線147は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト153を介して、電源配線12と接続されたローカル配線143と接続されている。ローカル配線148は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト154を介して、電源配線12と接続されたローカル配線144と接続されている。また、ローカル配線147,148は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びている。その他の構造は、第1実施形態で示したレイアウト構造と同様である。
【0071】
本実施形態では、オフ状態であるP型トランジスタP3に関して、ゲート配線33とローカル配線143,144との間に配線間容量が形成される。これにより、容量セルの容量値が向上する。
【0072】
なお、上述の第1実施形態で説明した各変形例は、本実施形態にも適用可能である。
【0073】
(第3実施形態)
図14は第3実施形態に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)は下部を示し、(b)は上部を示す。また図15図14に示す容量セルの回路図である。図15に示すように、図14に示す容量セルは、容量部1が、P型トランジスタを有さず、N型トランジスタN3,N4を有する。N型トランジスタN3,N4は、ソースおよびドレインがVSSに固定されている。図14(a)に示すように、容量セルの下部に、P型トランジスタP1,P2,N型トランジスタN4が形成されており、図14(b)に示すように、容量セルの上部に、N型トランジスタN1,N2,N3が形成されている。
【0074】
容量セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ221が形成されており、容量セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ226が形成されている。ナノワイヤ221,226は、平面視で重なっている。平面視でY方向に延びるゲート配線233が、容量セルの下部から上部にかけて形成されている。ゲート配線233は、N型トランジスタN3,N4のゲートとなる。また、P型トランジスタP1,P2およびN型トランジスタN1,N2とN型トランジスタN3,N4との間に、ダミーゲート配線234が形成されている。ダミーゲート配線234は、ゲート配線233と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0075】
ナノワイヤ221の両端に、N型半導体がドーピングされたパッド222a,222bが形成されている。ナノワイヤ226の両端に、N型半導体がドーピングされたパッド227a,227bが形成されている。ナノワイヤ221がN型トランジスタN4のチャネル部を構成し、パッド222a,222bがN型トランジスタN4のソースおよびドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ226がN型トランジスタN3のチャネル部を構成し、パッド227a,227bがN型トランジスタN3のソースおよびドレインとなる端子を構成する。
【0076】
すなわち、ナノワイヤ221、ゲート配線233、およびパッド222a,222bによって、N型トランジスタN4が構成される。ナノワイヤ226、ゲート配線233、およびパッド227a,227bによって、N型トランジスタN3が構成される。
【0077】
パッド222a,222bに、Y方向に延びるローカル配線241,242がそれぞれ接続されている。ローカル配線241は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト251を介して、電源配線12と接続されている。ローカル配線242は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト252を介して、電源配線12と接続されている。
【0078】
パッド227a,227bに、Y方向に延びるローカル配線243,244がそれぞれ接続されている。ローカル配線243は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト253を介して、電源配線12と接続されたローカル配線241と接続されている。ローカル配線244は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト254を介して、電源配線12と接続されたローカル配線242と接続されている。
【0079】
ゲート配線233は、X方向に延びる配線261と、コンタクト271を介して接続されている。配線261は、コンタクト71を介して、ローカル配線42と接続されており、また、コンタクト72を介して、ゲート配線32と接続されている。
【0080】
本実施形態によると、容量セルであるスタンダードセルにおいて、容量部1は、N型のナノワイヤFETであるトランジスタN4と、深さ方向においてトランジスタN4よりも上に形成されたN型のナノワイヤFETであるトランジスタN3とを備える。トランジスタN4のソースおよびドレイン、並びに、トランジスタN3のソースおよびドレインは、いずれも、電源配線12に接続される。そして、トランジスタN3,N4のゲートはともに、固定値出力部2が備えるトランジスタP2のゲートに接続されており、VDDが与えられる。これにより、N型トランジスタN3,N4がともに容量として機能する。したがって、容量セルの容量値が向上する。
【0081】
なお、本実施形態に係るレイアウト構造の下部におけるトランジスタは、例えば次のように製造すればよい。すなわち、下部におけるトランジスタを形成する際に、N型トランジスタN4の部分をマスクして他の部分をP導電型にドーピングする。その後、N型トランジスタN4以外の部分をマスクして、N導電型にドーピングする。そして、N型トランジスタN4とP型トランジスタP2との間にダミーゲート配線234を配置することによって、P導電型のドーピングとN導電型のドーピングを確実に行うことができる。
【0082】
なお、容量部1を構成するトランジスタとして、N型トランジスタに代えて、P型トランジスタを形成してもかまわない。この場合には、容量部1を構成するP型トランジスタのゲートに、固定値出力部2から固定値としてVSSを供給する。例えば、容量セルの下部において、固定値出力部2を構成するP型トランジスタと、容量部1を構成するP型トランジスタとを形成し、容量セルの上部において、固定値出力部2を構成するN型トランジスタと、容量部1を構成するP型トランジスタとを形成すればよい。
【0083】
また、Y方向における中央のグリッドに、VDDまたはVSSに固定された、M1配線層においてX方向に延びる配線を配置してもよい。これにより、容量セルの容量値が向上する。
【0084】
また、上述の第1実施形態で説明した各変形例は、本実施形態にも適用可能である。
【0085】
(第4実施形態)
図16は第4実施形態に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)は下部を示し、(b)は上部を示す。図16において、C41はインバータセル、C42は容量セルである。インバータセルC41は、P型トランジスタP51およびN型トランジスタN51を有している。容量セルC42は、トランジスタを有しておらず、配線間容量のみによって容量を構成している。
【0086】
インバータセルC41では、下部に、X方向に延びるナノワイヤ521が形成されており、上部に、X方向に延びるナノワイヤ526が形成されている。ナノワイヤ521,526は平面視で重なっている。ナノワイヤ521の両端に、P型半導体がドーピングされたパッド522a,522bが形成されている。ナノワイヤ526の両端に、N型半導体がドーピングされたパッド527a,527bが形成されている。ナノワイヤ521がP型トランジスタP51のチャネル部を構成し、パッド522a,522bがP型トランジスタP51のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ526がN型トランジスタN51のチャネル部を構成し、パッド527a,527bがN型トランジスタN51のソースまたはドレインとなる端子を構成する。P型トランジスタP51は、Z方向において埋め込み配線層よりも上に形成されており、N型トランジスタN51は、Z方向においてP型トランジスタP51よりも上に形成されている。
【0087】
ゲート配線531は、インバータセルC41のX方向におけるほぼ中央においてY方向に延びており、かつ、下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線531は、P型トランジスタP51およびN型トランジスタN51のゲートとなる。すなわち、ナノワイヤ521、ゲート配線531、およびパッド522a,522bによって、P型トランジスタP51が構成される。ナノワイヤ526、ゲート配線531、およびパッド527a,527bによって、N型トランジスタN51が構成される。また、インバータセルC41のX方向における両端に、ダミーゲート配線535a,535bが形成されている。ダミーゲート配線535a,535bは、ゲート配線531と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0088】
下部において、Y方向に延びるローカル配線541,542が形成されている。ローカル配線541は、パッド522aと接続されている。ローカル配線542は、パッド522bと接続されている。上部において、Y方向に延びるローカル配線543,544が形成されている。ローカル配線543は、パッド527aと接続されている。ローカル配線544は、パッド527bと接続されている。
【0089】
ローカル配線541は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト551を介して、電源配線11と接続されている。ローカル配線543は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト552を介して、電源配線12と接続されている。ローカル配線542,544は、コンタクト553を介して互いに接続されている。
【0090】
インバータの入力Aに相当する配線561は、コンタクト571を介して、ゲート配線531と接続されている。インバータの出力Yに相当する配線562は、コンタクト572を介して、ローカル配線544と接続されている。
【0091】
容量セルC42は、平面視でY方向に延びるゲート配線431,432,433が形成されている。ゲート配線431,432,433は、容量セルC42の下部から上部にかけて、Z方向に延びている。ゲート配線431,432,433は、インバータセルC41のゲート配線531と、Z方向において同じ高さに形成されている。また、容量セルC42は、X方向における両端にダミーゲート配線435a,435bが形成されている。ダミーゲート配線435a,435bは、ゲート配線431,432,433と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0092】
容量セルC42の下部では、Y方向に延びるローカル配線441,442,443,444が形成されている。ローカル配線441,442,443,444は、インバータセルC41のローカル配線541,542と、Z方向において同じ高さに形成されている。ローカル配線441はダミーゲート配線435aとゲート配線431との間に、ローカル配線442はゲート配線431,432の間に、ローカル配線443はゲート配線432,433の間に、ローカル配線444はゲート配線433とダミーゲート配線435bとの間に、それぞれ形成されている。ローカル配線441,442,443,444は電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、それぞれ、コンタクト451,452,453,454を介して、電源配線11と接続されている。また、ローカル配線442,443,444は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びている。
【0093】
容量セルC42の上部では、Y方向に延びるローカル配線445,446,447,448,449が形成されている。ローカル配線445,446,447,448,449は、インバータセルC41のローカル配線543,544と、Z方向において同じ高さに形成されている。ローカル配線445,446は、ダミーゲート配線435aとゲート配線431との間に、Y方向に並んでいる。ローカル配線447はゲート配線431,432の間に、ローカル配線448はゲート配線432,433の間に、ローカル配線449はゲート配線433とダミーゲート配線435bとの間に、それぞれ形成されている。ローカル配線445,447,448,449は電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、それぞれ、コンタクト456,457,458,459を介して、電源配線11と接続されたローカル配線441,442,443,444と接続されている。また、ローカル配線447,448,449は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びている。ローカル配線446は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト455を介して、電源配線12と接続されている。
【0094】
ローカル配線441,445は平面視で重なっており、ローカル配線442,447は平面視で重なっており、ローカル配線443,448は平面視で重なっており、ローカル配線444,449は平面視で重なっている。ゲート配線431はローカル配線441,442,445,447と隣り合っており、ゲート配線432はローカル配線442,443,447,448と隣り合っており、ゲート配線433はローカル配線443,444,448,449と隣り合っている。
【0095】
配線461は、X方向に延びている。配線461は、コンタクト471を介してローカル配線446と接続されている。また、配線461は、コンタクト472,473,474を介してゲート配線431,432,433と接続されている。
【0096】
本実施形態では、容量セルC42において、ゲート配線431,432,433は、配線461を介して、VSSに接続されている。また、ローカル配線441,442,443,444,445,447,448,449は、VDDと接続されている。これにより、ゲート配線431,432,433と、隣り合うローカル配線441,442,443,444,445,447,448,449との間に、配線間容量が形成される。
【0097】
(変形例1)
図17は本実施形態の変形例に係る容量セルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)は下部を示し、(b)は上部を示す。図17に示す容量セルC42では、図16のレイアウト構造と対比すると、ゲート配線431,432,433を電源VSSに接続するための配線461が省かれており、また、ローカル配線446、およびコンタクト455,471,473,474が省かれている。そして、ゲート配線431,432,433は、その直下に形成されたコンタクト481,482,483を介して、電源配線12と接続されている。また、ローカル配線441Aは、平面視で電源配線12と重なる位置まで延びており、ローカル配線445Aは、平面視で電源配線12と重なる位置まで延びている。これにより、容量セルC42の容量値を増加することができる。
【0098】
なお、ゲート配線とBPRとを接続するためのコンタクトは、例えば次のようにして形成すればいい。すなわち、BPR上の絶縁膜を除去して、除去した部分に導電性物質を埋め込み、さらにその上にゲート配線を形成する。あるいは、絶縁膜を除去した部分も含めてゲートを一体形成する。
【0099】
なお、上述の実施形態では、ローカル配線をVDDに接続し、ゲート配線をVSSに接続するものとしたが、逆に、ローカル配線をVSSに接続し、ゲート配線をVDDに接続してもよい。
【0100】
また、上述の実施形態では、容量セルC42のX方向のサイズは4グリッド分としたが、これに限られない。
【0101】
なお、上述の各実施形態では、トランジスタは1本のナノワイヤを備えるものとしたが、トランジスタの一部または全部は、複数本のナノワイヤを備えてもよい。この場合、平面視でY方向において複数本のナノワイヤを設けてもよいし、Z方向において複数本のナノワイヤを設けてもよい。また、Y方向およびZ方向の両方においてそれぞれ複数本のナノワイヤを設けてもよい。また、セルの上部と下部とにおいて、トランジスタが備えるナノワイヤの本数が異なっていてもよい。
【0102】
また、上述の各実施形態では、ナノワイヤの断面形状はほぼ正方形としているが、これに限られるものではない。例えば、円形や長方形であってもよい。
【0103】
また、上述の各実施形態では、立体構造トランジスタとしてナノワイヤFETを例にとって説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、セルの下部に形成されるトランジスタは、フィン型トランジスタであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示では、CFETを用いた容量セルについて、レイアウト構造を提供することができるので、例えば半導体チップの性能向上に有用である。
【符号の説明】
【0105】
1 容量部
2 固定値出力部
11,12 電源配線
31,32,33 ゲート配線
41,42,43,44 ローカル配線
45,46,47,48 ローカル配線
42A,45A,47A,48A ローカル配線
143,144,147,148 ローカル配線
233 ゲート配線
234 ダミーゲート配線
241,242,243,244 ローカル配線
P1,P2,P3,P4 P型トランジスタ
N1,N2,N3,N4 N型トランジスタ
C41 インバータセル(第1スタンダードセル)
C42 容量セル(第2スタンダードセル)
P51 P型トランジスタ(第1トランジスタ)
N51 N型トランジスタ(第2トランジスタ)
431,432,433 ゲート配線(第2ゲート配線)
441,442,443,444 ローカル配線(第3ローカル配線)
445,447,448,449 ローカル配線(第4ローカル配線)
481,482,483 コンタクト
531 ゲート配線(第1ゲート配線)
541,542 ローカル配線(第1ローカル配線)
543,544 ローカル配線(第2ローカル配線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21