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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240110BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240110BHJP
   G02B 7/36 20210101ALI20240110BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N21/84 Z
G01N21/88 Z
G02B7/28 H
G02B7/36
G03B13/36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023146841
(22)【出願日】2023-09-11
【審査請求日】2023-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518232168
【氏名又は名称】ダイトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北田 啓順
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086152(JP,A)
【文献】特開平10-048511(JP,A)
【文献】特開2015-082096(JP,A)
【文献】特開2010-008630(JP,A)
【文献】特開2009-008787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G02B 7/00-7/40
G02B 3/14
G03B 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御部とを備え、最適合焦画像に基づき前記ワークの外観検査を行う外観検査装置であって、
前記制御部は、
前記撮像装置のピント位置をピント調整範囲の中で変化させ、各々のピント位置において前記撮像装置に前記ワークを撮像させて複数の撮像画像を生成させる撮像処理と、
前記撮像処理で生成された複数の前記撮像画像について、合焦度を算出し、合焦度が最も高い高合焦画像を選定する選定処理と、
前記ピント調整範囲の境界から所定範囲内の領域を境界領域、前記ピント調整範囲の前記境界領域以外の領域を中間領域とすると、前記選定処理において選定した前記高合焦画像が、前記中間領域のピント位置で撮像された画像であるか、前記境界領域のピント位置で撮像された画像であるかを判定する判定処理と、
前記判定処理において前記高合焦画像が前記中間領域のピント位置で撮像された画像であると判断されたことを条件として、前記高合焦画像を最適合焦画像に決定する決定処理と、
前記判定処理において前記高合焦画像が前記境界領域のピント位置で撮像された画像であると判断されたことを条件として、当該境界領域を外側に越えた新たなピント調整範囲を設定する再設定処理と、
前記新たなピント調整範囲の中で前記撮像装置のピント位置を変化させ、各々のピント位置において前記撮像装置に前記ワークを撮像させて複数の再撮像画像を生成させる再撮像処理と、
前記再撮像処理において生成された複数の前記再撮像画像について、合焦度を算出し、合焦度が最も高い高合焦画像を選定する再選定処理を実行し、
前記最適合焦画像が撮像されたピント位置に基づいて、次回以降の前記撮像処理における前記ピント調整範囲を設定する外観検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記再選定処理において選定された高合焦画像に対して、前記判定処理、前記決定処理、前記再設定処理、前記再撮像処理、及び前記再選定処理を実行する請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記選定処理で選定された前記高合焦画像と前記再選定処理で選定された前記高合焦画像のうち、合焦度が最も高い前記高合焦画像を前記最適合焦画像に決定する請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記再撮像処理において前記撮像装置のピント位置を変化させるピッチが、前記撮像処理において前記撮像装置のピント位置を変化させるピッチより小さい、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記再設定処理が連続して閾値回数続いた場合、前記再撮像処理を中止してエラーを報知する報知処理を実行する、請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記選定処理で選定された前記高合焦画像の合焦度が閾値より低い場合、前記判定処理を実行せずにエラーを報知する報知処理を実行する、請求項1に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物(ワーク)の外観を撮像する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークの外観をカメラ等の撮像装置で撮像して取得した画像からワーク形状の異常や異物の付着等がないか確認する外観検査が行われている。
【0003】
このような外観検査では、撮像装置が事前に設定された調整範囲内で所定ピッチずつ撮像装置のフォーカス位置を変化させて繰り返し撮像を行い、複数の撮像画像を取得する。そして、取得した複数の撮像画像の中から最も合焦度が高い画像を使用してワークの外観を検査することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-87708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ワークの寸法公差や撮像環境の温度変化による熱収縮や熱膨張によって、ワークと撮像装置との距離が変化するため、最適なフォーカス位置が調整範囲に存在しないことがある。その場合、不鮮明な画像に基づいて外観検査が行われ正確な検査が困難となる。
【0006】
一方、調整範囲を広く設定すると、最適なフォーカス位置にてワークを撮像することができ鮮明な画像を得ることができるが、撮像回数が増加して検査時間が長くなる。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、検査時間の増加を抑えつつ、ワークの鮮明な画像を取得して正確な検査が可能な外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下に示される実施形態を含む。
【0009】
[1] ワークを撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御部とを備え、最適合焦画像に基づき前記ワークの外観検査を行う外観検査装置であって、前記制御部は、前記撮像装置のピント位置をピント調整範囲の中で変化させ、各々のピント位置において前記撮像装置に前記ワークを撮像させて複数の撮像画像を生成させる撮像処理と、前記撮像処理で生成された複数の前記撮像画像について、合焦度を算出し、合焦度が最も高い高合焦画像を選定する選定処理と、前記ピント調整範囲の境界から所定範囲内の領域を境界領域、前記ピント調整範囲の前記境界領域以外の領域を中間領域とすると、前記選定処理において選定した前記高合焦画像が、前記中間領域のピント位置で撮像された画像であるか、前記境界領域のピント位置で撮像された画像であるかを判定する判定処理と、前記判定処理において前記高合焦画像が前記中間領域のピント位置で撮像された画像であると判断されたことを条件として、前記高合焦画像を最適合焦画像に決定する決定処理と、前記判定処理において前記高合焦画像が前記境界領域のピント位置で撮像された画像であると判断されたことを条件として、当該境界領域を外側に越えた新たなピント調整範囲を設定する再設定処理と、前記新たなピント調整範囲の中で前記撮像装置のピント位置を変化させ、各々のピント位置において前記撮像装置に前記ワークを撮像させて複数の再撮像画像を生成させる再撮像処理と、前記再撮像処理において生成された複数の前記再撮像画像について、合焦度を算出し、合焦度が最も高い高合焦画像を選定する再選定処理を実行し、前記最適合焦画像が撮像されたピント位置に基づいて、次回以降の前記撮像処理における前記ピント調整範囲を設定する外観検査装置。
【0010】
[2] 前記制御部は、前記再選定処理において選定された高合焦画像に対して、前記判定処理、前記決定処理、前記再設定処理、前記再撮像処理、及び前記再選定処理を実行する上記[1]に記載の外観検査装置。
【0011】
[3] 前記制御部は、前記選定処理で選定された前記高合焦画像と前記再選定処理で選定された前記高合焦画像のうち、合焦度が最も高い前記高合焦画像を前記最適合焦画像に決定する上記[1]又は[2]に記載の外観検査装置。
【0013】
] 前記再撮像処理において前記撮像装置のピント位置を変化させるピッチが、前記撮像処理において前記撮像装置のピント位置を変化させるピッチより小さい、上記[1]~[]のいずれか1つに記載の外観検査装置。
【0014】
]前記制御部は、前記再設定処理が連続して閾値回数続いた場合、前記再撮像処理を中止してエラーを報知する報知処理を実行する、上記[2]に記載の外観検査装置。
【0015】
]前記制御部は、前記選定処理で選定された前記高合焦画像の合焦度が閾値より低
い場合、前記判定処理を実行せずにエラーを報知する報知処理を実行する、上記[1]~
]のいずれか1つに記載の外観検査装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検査時間の増加を抑えつつ、ワークの鮮明な画像を取得して正確な検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかる外観検査装置の概略構成を示す図
図2】外観検査装置によるワークWの外観検査方法を示すフローチャート
図3】撮像画像のピント位置と合焦度の関係を例示するグラフであって、(a)は高合焦画像が境界領域のピント位置で撮像された画像の場合を示し、(b)は高合焦画像が中間領域のピント位置で撮像された画像の場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(1)外観検査装置1の構成
まず、本実施形態の外観検査装置1の構成について図1に基づいて説明する。外観検査装置1は、ステージ2と、撮像装置3と、制御装置5とを備え、ステージ2に載置されたワークWを撮像装置3が撮影し、撮影して得られた撮像画像に基づいてワークWを検査する装置である。
【0020】
ステージ2は、検査対象のワークWが載置される。ステージ2の上に載置されたワークWの上方に撮像装置3が設けられている。
【0021】
撮像装置3は、撮像センサ31が設けられた筐体32と、検査レンズ33を保持するレンズ鏡筒34と、検査レンズ33のピント位置を動かす光学系駆動装置35とを備える。
【0022】
撮像装置3では、検査レンズ33がステージ2の上に載置されたワークWの上面と上下方向に対向するように配置されている。光学系駆動装置35は検査レンズ33を光軸と平行な方向へ移動して撮像センサ31に結像する像のピントを調整する。これにより、撮像装置3は、ステージ2の上に載置されたワークWの上面を光学系である検査レンズ33で拡大して撮像センサ31で撮像するようになっている。
【0023】
制御装置5は、コンピュータからなる処理装置51と、メモリーなどの記憶装置52とを有しており、記憶装置52に記憶されているプログラムを処理装置51が読み込んで実行することにより、撮像処理部53、データ取得部54、選定処理部55、判定処理部56、決定処理部57、再設定処理部58、再撮像処理部59、再選定処理部60、及び評価部61として機能する。
【0024】
撮像処理部53は、撮像装置3の撮像センサ31と光学系駆動装置35とを制御して撮像処理を行う。撮像処理部53は、ピント位置を開始位置から終了位置まで変化させるとともに、ピント位置が所定量だけ変化する毎に撮像装置3にワークWを撮像させて、ピント位置の異なる複数の撮像画像を生成させる。
【0025】
つまり、撮像処理部53は、ピント位置を変化させる範囲(ピント調整範囲)Rpと、隣接する撮像画像間のピント位置の変化量(フォーカスピッチ)Δfとを設定し、ピント調整範囲Rp内でピント位置がフォーカスピッチΔfずつ異なる複数の撮像画像Pを撮像装置3に生成させる。
【0026】
なお、以下の説明において、開始位置において撮像した画像を1番目の撮像画像P1といい、終了位置において撮像した画像をn番目の撮像画像Pnといい、1~n番目の撮像画像P1~Pnを総称して撮像画像Pという。
【0027】
データ取得部54は、撮像装置3で生成された複数の撮像画像Pのデータを取得する。データ取得部54では、取得した撮像画像Pのデータと、その撮像画像Pが何番目の撮像画像であるのか(つまり、撮像画像Pの順序数)とが紐付けられる。データ取得部54において紐付けられたデータは記憶装置52に記憶される。
【0028】
選定処理部55は、撮像処理で生成された複数の撮像画像Pから高合焦画像を選定する選定処理を行う。
【0029】
具体的には、選定処理部55は、撮像装置3で生成された複数の撮像画像Pを記憶装置52から読み込み、複数の撮像画像Pのそれぞれの合焦度を算出する。合焦度を算出する方法として、種々の方法を採用することができ、例えば、選定処理部55は撮像画像P毎にシャープネス値を算出し、シャープネス値が大きい撮像画像ほど合焦度が高い画像と評価する。
【0030】
そして、選定処理部55は、算出した合焦度のうち最も合焦度が高い撮像画像Pを高合焦画像に選定し、その結果を記憶装置52に記憶させる。
【0031】
判定処理部56は、選定処理部55が選定した高合焦画像や再選定処理部60が選定した高合焦画像が、ピント調整範囲Rpの境界領域のピント位置で撮像された画像であるのか、ピント調整範囲Rpの中間領域のピント位置で撮像された画像であるのかを判定する判定処理を行う。
【0032】
ここで、ピント調整範囲Rpの境界領域とは、ピント調整範囲Rpの開始位置及び終了位置から所定範囲内の領域である。また、中間領域とは、開始位置側及び終了位置側の境界領域をそれぞれ除いた領域である。
【0033】
例えば、ピント調整範囲Rpの中でピント位置を変化させて50個の撮像画像Pを撮像する場合、境界領域とは、ピント調整範囲Rpの開始位置及び終了位置からフォーカスピッチΔfの2倍だけ離れたピント位置までの領域とすることができる。この時、1番目から3番目までの撮像画像P1~P3、及び、48番目から50番目までの撮像画像P48~P50が、ピント調整範囲Rpの境界領域のピント位置で撮像された画像であり、4番目から47番目までの撮像画像P4~P47が、ピント調整範囲Rpの中間領域のピント位置で撮像された画像である。
【0034】
決定処理部57は、判定処理部56において中間領域のピント位置で撮像された画像であると判定された高合焦画像を最適合焦画像に決定する決定処理を行う。
【0035】
一方、判定処理部56において高合焦画像が境界領域のピント位置で撮像された画像であると判定された場合、再設定処理部58は、高合焦画像が撮像された境界領域を外側に超える新たなピント調整範囲Rp’を設定する再設定処理を行う。
【0036】
新たなピント調整範囲Rp’の設定にあたり、再設定処理部58は、元のピント調整範囲Rpにおいて高合焦画像が撮像された境界領域と重複するように新たなピント調整範囲Rp’を設定する。
【0037】
例えば、複数の撮像画像Pのピント位置と合焦度との関係が図3(a)に示すようになり、判定処理部56において、高合焦画像が終了位置側の境界領域のピント位置で撮像された画像であると判断されると、再設定処理部58は、元のピント調整範囲Rpの境界領域を含むようにピント調整範囲Rpを終了位置側へシフトさせた範囲を新たなピント調整範囲Rp’に設定する(図3(b)参照)。
【0038】
より具体的には、開始位置から終了位置に向けてワークWの奥から手前にピント位置が変化するようにピント調整範囲Rpが設定されている場合に、終了位置側の境界領域のピント位置で撮像された画像が高合焦画像に選定されると、再設定処理部58は、開始位置及び終了位置をワークWの手前側へシフトさせた範囲を新たなピント調整範囲Rp’に設定する。その際、新たなピント調整範囲Rp’の開始位置は、元のピント調整範囲Rpの終了位置側の境界領域よりワークWの奥側に配され、新たなピント調整範囲Rp’が元のピント調整範囲Rpの終了位置側の境界領域と重複している。
【0039】
再撮像処理部59は、再設定処理部58において設定された新たなピント調整範囲Rp’内でピント位置がフォーカスピッチΔf’ずつ異なる複数の撮像画像(この撮像画像を「再撮像画像」ということもある)P’を撮像装置3に生成させる再撮像処理を行う。
【0040】
撮像装置3で生成された複数の再撮像画像P’のデータは、その順序数(開始位置で撮像した再撮像画像から何番目の再撮像画像であるのかを示す数)がデータ取得部54において紐付けられ、記憶装置52に記憶される。
【0041】
なお、再撮像処理部59において設定されるフォーカスピッチΔf’は、撮像処理部53において設定されたフォーカスピッチΔfと同じ大きさであってもよく、また、撮像処理部53において設定されたフォーカスピッチΔfよりも小さくてもよい。
【0042】
再選定処理部60は、再撮像処理で生成された複数の再撮像画像P’から高合焦画像を選定する再選定処理を行う。
【0043】
具体的には、再選定処理部60は、再撮像処理部59によって生成された複数の再撮像画像P’を記憶装置52から読み込み、複数の再撮像画像P’のそれぞれの合焦度を算出する。そして、再選定処理部60は、算出した合焦度のうち最も合焦度が高い再撮像画像P’を高合焦画像に選定し、その結果を記憶装置52に記憶させる。
【0044】
再選定処理部60において合焦度を算出する方法は、選定処理部55において合焦度を算出する方法と同様、種々の方法を採用することができ、例えば、再撮像画像P’毎にシャープネス値を算出し、シャープネス値が大きい再撮像画像P’ほど合焦度が高い画像と評価する。
【0045】
そして、評価部61は、決定処理部57が最適合焦画像に決定した撮像画像Pに基づいて、ワークWの外観検査を行う。
【0046】
(2)外観検査装置1による検査方法
上記した外観検査装置1によるワークWの外観検査方法について、図2及び図3を参照して説明する。
【0047】
まず、撮像処理部53は、ピント位置を開始位置から終了位置までピント調整範囲Rp内でフォーカスピッチΔfずつ変化させながらステージ2に載置されたワークWを撮像装置3で撮像する撮像処理を行う。これにより、ピント位置がフォーカスピッチΔfずつ異なる複数の撮像画像Pを生成する(ステップS1)。
【0048】
次いで、制御装置5は、選定処理部55において、撮像装置3が生成した複数の撮像画像Pのそれぞれの合焦度を算出するとともに、算出した合焦度のうち最も合焦度が高い撮像画像Pを高合焦画像に選定する選定処理を行う(ステップS2)。
【0049】
次いで、制御装置5は、判定処理部56において、ステップS2及び後述するステップS6で高合焦画像に選定あるいは再選定した撮像画像が、ピント調整範囲Rpの中間領域のピント位置で撮像された画像であるか否か判定する判定処理を行う(ステップS3)。
【0050】
複数の撮像画像Pのピント位置と合焦度との関係が図3(a)に例示するようになり、高合焦画像に選定した撮像画像がピント調整範囲Rpの境界領域で撮像された画像である場合(ステップS3のNo)、ステップS4へ進む。
【0051】
ステップS4において、再設定処理部58が、高合焦画像が撮像された境界領域を外側に超える新たなピント調整範囲Rp’を設定する再設定処理を行う。例えば、図3(a)に示すように、高合焦画像に選定された撮像画像が、終了位置側の境界領域のピント位置で撮像された画像の場合、図3(b)に示すように、終了位置側の境界領域を外側に超えるように新たなピント調整範囲Rp’を設定する。
【0052】
次いで、再撮像処理部59は、新たなピント調整範囲Rp’内でピント位置をフォーカスピッチΔf’ずつ変化させながらステージ2に載置されたワークWを撮像装置3で撮像して再撮像画像を生成する。これにより、ピント位置がフォーカスピッチΔf’ずつ異なる複数の再撮像画像P’を生成する再撮影処理を行う(ステップS5)。
【0053】
次いで、制御装置5は、再選定処理部60において、撮像装置3が生成した複数の再撮像画像P’のそれぞれの合焦度を算出するとともに、算出した合焦度のうち最も合焦度が高い再撮像画像P’を高合焦画像に再選定する再選定処理を行う(ステップS6)。
【0054】
高合焦画像を再選定した後、ステップS3に戻り、高合焦画像に再選定した撮像画像がピント調整範囲Rp’の中間領域のピント位置で撮像されるまで、新たなピント調整範囲Rp’を設定する再設定処理(ステップS4)と、再撮像画像P’を生成する再撮像処理(ステップS5)と、高合焦画像を再選定する再選定処理(ステップS6を)とを繰り返し行う。
【0055】
一方、図3(b)に示すように、ステップS2及びステップS6で高合焦画像に選定あるいは再選定した撮像画像が、ピント調整範囲Rpの中間領域で撮像された画像である場合、(ステップS3のYes)ステップS7へ進む。そして、決定処理部57は、高合焦画像に選定した撮像画像を最適合焦画像に決定する決定処理を行い(ステップS7)、評価部61が最適合焦画像に決定した撮像画像Pに基づいてワークWの外観検査を行う(ステップS8)。
【0056】
(3)効果
本実施形態の外観検査装置1では、高合焦画像が境界領域のピント位置で撮像されると、ピント調整範囲Rpを変更して再撮像画像P’の生成及び高合焦画像の再選定を行うため、より合焦度の高い撮像画像が得られるピント位置がピント調整範囲Rpの外側に存在しても、最適なピント位置でワークWを撮像した鮮明な撮像画像が得られる。
【0057】
また、本実施形態の外観検査装置1では、高合焦画像が中間領域のピント位置で撮像されると、ピント調整範囲を変更せずに当該高合焦画像に基づいてワークWの外観検査を行うため、不必要に広い範囲をわたってピント位置を変化させながら撮像画像を生成することがなく、検査時間の増加を抑えることができる。
【0058】
(4)変更例
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下に変更例を説明する。なお、上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。なお、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。
【0059】
(4-1)変更例1
上記した実施形態では、選定処理部55において選定された高合焦画像が、ピント調整範囲の境界領域のピント位置で撮像された画像であると、中間領域のピント位置で撮像された画像から高合焦画像が選定されるまで、再設定処理、再撮像処理、再選定処理、及び判定処理を繰り返したが、再設定処理、再撮像処理及び再選定処理を1回だけ行い、再選定処理で選定された高合焦画像に基づいてワークWの外観検査を行ってもよい。
【0060】
また、ピント調整範囲の中間領域のピント位置で撮像された画像から高合焦画像が選定されず、再設定処理を連続して所定の閾値回数Dだけ続けて実行した場合、つまり、再設定処理、再撮像処理、再選定処理、及び判定処理を1サイクルとすると所定の閾値サイクル数Dだけ繰り返して各処理を実行すると、処理装置51は、更に再設定処理を行わず、エラーを使用者に報知する報知処理を行ってもよい。
【0061】
(4-2)変更例2
上記した実施形態では、判定処理において、選定処理で選定した高合焦画像が記境界領域のピント位置で撮像された画像である判定されると、再設定処理、再撮影処理及び再選定処理を行い、再選定処理において再選定した高合焦画像を最適合焦画像としてワークWの外観検査に用いたが、選定処理で選定された高合焦画像と再選定処理で選定された高合焦画像のうち、合焦度が最も高い高合焦画像を最適合焦画像としてもよい。
【0062】
(4-3)変更例3
上記した実施形態において、処理装置51は、最適合焦画像が撮像されたピント位置に基づいて、次回以降の撮像処理におけるピント調整範囲を設定してもよい。
【0063】
例えば、処理装置51は、決定処理部57が最適合焦画像を決定すると、最適合焦画像が撮像されたピント位置(以下、この位置を「最適ピント位置」という)を記憶装置52に記憶し、次回以降の撮像処理を実行する際に、記憶した最適ピント位置に基づいてピント調整範囲を設定してもよい。
【0064】
最適ピント位置に基づいてピント調整範囲を設定する方法としては、例えば、最適ピント位置がピント調整範囲の中心となるようにピント調整範囲を設定することができる。また、ピント調整範囲の設定に用いる最適ピント位置は、直近の検査で得られた最適ピント位置であったり、直近の複数回の検査で得られた最適ピント位置の平均値を用いてピント調整範囲を設定してもよい。
【0065】
(4-4)変更例4
上記した実施形態において、選定処理で選定された高合焦画像の合焦度が閾値より低い場合、処理装置51は判定処理を行わずエラーを使用者に報知する報知処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…外観検査装置
2…ステージ
3…撮像装置
5…制御装置
31…撮像センサ
32…筐体
33…検査レンズ
34…レンズ鏡筒
35…光学系駆動部
51…処理装置
52…記憶装置
53…撮像処理部
54…データ取得部
55…選定処理部
56…判定処理部
57…決定処理部
58…再設定処理部
59…再撮像処理部
60…再選定処理部
61…評価部
【要約】      (修正有)
【課題】検査時間の増加を抑えつつ、ワークの鮮明な画像を取得して正確な検査が可能な外観検査装置を提供する。
【解決手段】本発明の外観検査装置は、ピント調整範囲の中でピント位置が異なる複数の撮像画像を撮像し、撮像した複数の撮像画像からから合焦度が最も高い高合焦画像を選定し、選定した高合焦画像のピント位置がピント調整範囲の中間領域及び境界領域いずれの領域にあるのか判定し、中間領域であると判断されると高合焦画像を最適合焦画像に決定し、境界領域であると判断されるとピント調整範囲を再設定し、再設定したピント調整範囲の中でピント位置が異なる複数の再撮像画像を撮像し、撮像した複数の再撮像画像からから合焦度が最も高い高合焦画像を選定する。
【選択図】図2
図1
図2
図3