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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】動物の毛並等の改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20240110BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240110BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240110BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20240110BHJP
【FI】
C12N1/20 E
A61K35/747
A61P43/00 171
A23K10/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019111154
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020202759
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-18
【微生物の受託番号】IPOD  FERM BP-08634
(73)【特許権者】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518439103
【氏名又は名称】アニコム先進医療研究所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137497
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 未知子
(72)【発明者】
【氏名】小久保 健
(72)【発明者】
【氏名】石原 玄基
(72)【発明者】
【氏名】加賀 綾香
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107964520(CN,A)
【文献】NISHIDA et al.,The Journal of General and Applied Microbiology,2008年,Vol. 54, No. 5,p.267-276,DOI: 10.2323/jgam.54.267
【文献】COLLINS et al.,International Journal of Systematic Bacteriology,1989年,Vol. 39, No. 2,p.105-108,DOI: 10.1099/00207713-39-2-105
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
A61K35/00-35/768;36/06-36/068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・パラカゼイ菌体および/またはその死菌体を有効成分として含んでなり、前記ラクトバチルス・パラカゼイがKW3110菌株(FERM BP-08634)である、動物の毛並および/または毛艶の改善用組成物。
【請求項2】
動物がイヌである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
飼料、動物用飲料または動物用サプリメントの形態である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
有効量のラクトバチルス・パラカゼイ菌体および/またはその死菌体を動物に摂取させることを含んでなり、前記ラクトバチルス・パラカゼイがKW3110菌株(FERM BP-08634)である、動物の毛並および/または毛艶の改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の毛並および毛艶の改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の皮膚を覆う被毛は、皮膚を外敵から守り、体の乾燥や病原体の感染や侵入を防ぐ役割を持つ。一方、被毛は動物の外観を構成するため、その被毛状態の良し悪しは動物の印象に大きな影響を与える。特にイヌやネコ等の家庭で飼育する愛玩動物については、被毛状態をより良好な状態に保ちたいという飼い主の希望がある。
【0003】
これまでにペットの毛艶の改善に効果があるとされる天然物由来の飼料素材が提案されている。例えば、微生物由来の飼料素材を用いる技術としては、毛艶改善効果を有するエンテロコッカス・フィカリス乳酸菌およびマルトオリゴ糖を含有するペットフードが提案されている(特許文献1)。しかし、特許文献1の技術はエンテロコッカス・フィカリス乳酸菌とマルトオリゴ糖の混合物による改善効果を示しているにとどまり、乳酸菌単独の効果は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-135586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、動物の毛並および毛艶を改善する新規な組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは今般、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を摂取させたイヌにおいて、毛並および毛艶が改善されることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0007】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]ラクトバチルス・パラカゼイ菌体および/またはその処理物を有効成分として含んでなる、動物の毛並および/または毛艶の改善用組成物および動物の毛並および/または毛艶の改善剤。
[2]ラクトバチルス・パラカゼイが、KW3110菌株(FERM BP-08634)である、上記[1]に記載の組成物および用剤。
[3]動物がイヌである、上記[1]または[2]に記載の組成物および用剤。
[4]飼料、動物用飲料または動物用サプリメントの形態である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[5]有効量のラクトバチルス・パラカゼイ菌体および/またはその処理物を動物に摂取させることを含んでなる、動物の毛並および/または毛艶の改善方法。
【0008】
上記[1]の組成物を本明細書において「本発明の組成物」と、上記[1]の用剤を本明細書において「本発明の用剤」と、それぞれいうことがある。
【0009】
本発明の有効成分であるラクトバチルス・パラカゼイは乳酸菌の一種であることから、本発明によればラクトバチルス・パラカゼイを動物の毛並および毛艶の改善のための自然素材として利用できるとともに、動物に安全な機能性素材として利用できる点で有利である。
【発明の具体的説明】
【0010】
本発明において有効成分として用いられる乳酸菌は、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する乳酸菌(以下、「本発明の乳酸菌」ということがある)であり、好ましくはラクトバチルス・パラカゼイKW3110株を用いることができる。
【0011】
ラクトバチラス・パラカゼイKW3110株は、特許微生物の寄託のためのブダペスト条約に基づく国際寄託当局である、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)(現在は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許生物寄託センター(NITE-IPOD)(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室))に、FERM BP-08634として寄託されている(寄託日:2004年2月20日)。また、ラクトバチルス・パラカゼイKW3110株の派生株は、FERM BP-08635として同特許生物寄託センターに寄託されている。
【0012】
本発明の組成物および用剤は、ラクトバチルス・パラカゼイ菌体およびその処理物のいずれかまたは両方を有効成分として含むものである。
【0013】
ラクトバチルス・パラカゼイの生菌は、培地で培養することにより調製することができる。ラクトバチルス・パラカゼイの培養は、公知の培地を用いた公知の方法で行うことができる。培地としては、M.R.S.培地、GAM培地、LM17培地を用いることができ、適宜無機塩類、ビタミン、アミノ酸、抗生物質、血清等を添加して用いればよい。培養は、25~40℃で数時間~数日行えばよい。培養後、ラクトバチルス・パラカゼイ菌体を遠心分離やろ過により集菌する。本発明の有効成分であるラクトバチルス・パラカゼイは、単離形態のみならず、培養物の形態のものも含む。
【0014】
本発明の有効成分であるラクトバチルス・パラカゼイは、生菌体または死菌体の破砕物(例えば、超音波破砕物)、生菌体または死菌体の乾燥物(例えば、凍結乾燥物)、該乾燥物の破砕物、生菌体または死菌体の酵素処理物等の処理物の形態であってもよい。死菌体は、例えば、加熱処理、抗生物質等の薬物による処理、ホルマリン等の化学物質による処理、紫外線による処理、γ線等の放射線による処理により得ることができる。また、酵素処理物には、乳酸菌の細胞壁を酵素若しくは機械的手段により除去した処理物も含まれる。さらに、ラクトバチルス・パラカゼイの核酸含有画分(例えば、DNA、RNA)もラクトバチルス・パラカゼイの処理物に含まれ、ラクトバチルス・パラカゼイ菌体を界面活性剤等によって溶解した後、エタノール等によって沈殿させて得ることができる。以下、本明細書において、ラクトバチルス・パラカゼイ菌体およびその処理物を、単に「本発明の乳酸菌」ということがある。
【0015】
本発明の組成物および用剤は、本発明の乳酸菌単独で提供することができ、あるいは、本発明の乳酸菌と他の成分(例えば、飼料原料、飼料添加物、サプリメントの原料)とを混合して提供することもできる。本発明の組成物および用剤における本発明の乳酸菌の配合量は、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重等に応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないが、その含量としては、全体量に対して、0.0001~50質量%の含量で配合することができ、さらに好ましくは0.001~10質量%の含量で配合することができる。本発明においては、本発明の用剤を本発明の乳酸菌からなるものとし、本発明の組成物を本発明の乳酸菌と他の成分とを含んでなるものとすることができる。
【0016】
本発明の組成物および用剤は、動物の毛並および毛艶からなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の改善に用いるためのものである。本発明において「毛並」とは、各動物種が本来持っている毛の状態および生えそろっている具合をいい、例えば、動物種がイヌの場合には、各犬種が本来持っている毛の状態および生えそろっている具合をいう。また、本発明において「毛艶」とは、毛のつややか感をいう。
【0017】
本発明において、「毛並の改善」および「毛艶の改善」とは、毛並および毛艶の状態を向上する(よりよくする)ことに加えて、毛並および毛艶の悪化を抑制することや、毛並および毛艶の悪化を回復させることを含む。すなわち、「毛並の改善」は「毛並の悪化の抑制および回復」を含む意味で用いられ、「毛艶の改善」は「毛艶の悪化の抑制および回復」を含む意味で用いられるものとする。
【0018】
本発明において「動物」とは、ヒト以外の哺乳動物を意味し、好ましくは毛皮を有するヒト以外の哺乳動物である。ヒト以外の哺乳動物としては、イヌ、ネコ、サル、ウサギ、げっ歯類(例えば、ハムスター、モルモット)等の愛玩動物、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等の家畜動物が挙げられる。また、本発明の乳酸菌は動物の毛並および毛艶を改善する効果を有することから、「動物」を好ましくは被毛を有する動物(例えば、被毛を有するヒト以外の哺乳動物)とすることができる。
【0019】
本発明の組成物および用剤は、飼料(ペットフード含む)、動物用飲料、動物用サプリメント、動物用医薬品等の形態で提供することができ、下記の記載に従って実施することができる。なお、いずれの形態で提供する場合でも、組成物および用剤中に本発明の乳酸菌以外の機能性成分がさらに含まれていてもよい。
【0020】
本発明の乳酸菌は、動物に経口投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。これらの製剤は、当分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
【0021】
本発明の乳酸菌を飼料または動物用サプリメントとして提供する場合には、それをそのまま飼料または動物用サプリメントとして提供することができ、あるいはそれを飼料または動物用サプリメントに含有させて提供することができる。このようにして提供された飼料または動物用サプリメントは本発明の乳酸菌を有効量含有した飼料または動物用サプリメントである。
【0022】
本発明の乳酸菌は、動物の毛並および毛艶の改善効果を有するため、動物が日常摂取する飼料に含有させることができ、あるいは、サプリメントとして提供することができる。すなわち、本発明の組成物および用剤は飼料および動物用サプリメントの形態で提供することができる。この場合、本発明の組成物および用剤は1食当たりに摂取する量が予め定められた単位包装形態で提供することができる。1食当たりの単位包装形態としては、例えば、パック、包装、缶、ボトル等で一定量を規定する形態が挙げられる。本発明の組成物および用剤の各種作用をよりよく発揮させるためには、後述する、本発明の乳酸菌の1回当たりの摂取量に従って1食当たりの摂取量を決定できる。本発明の飼料および動物用サプリメントは、摂取量に関する説明事項が包装に表示されるか、あるいは説明事項が記載された文書等と一緒に提供されてもよい。
【0023】
単位包装形態においてあらかじめ定められた1食当たりの摂取量は、1日当たりの有効摂取量であっても、1日当たりの有効摂取量を2回またはそれ以上(好ましくは2または3回)に分けた摂取量であってもよい。従って、本発明の組成物および用剤の単位包装形態には、後述の動物1日当たりの摂取量で本発明の乳酸菌を配合することができ、あるいは、後述の動物1日当たりの摂取量の2分の1あるいは3分の1の量で本発明の乳酸菌を配合することができる。本発明の組成物および用剤は、摂取の便宜上、1食当たりの摂取量が1日当たりの有効摂取量である、「1食当たりの単位包装形態」で提供することが好ましい。
【0024】
飼料、動物用飲料および動物用サプリメントの形態は特に限定されるものではなく、例えば、半液体、ゲル状の形態であっても、固形体や粉末状の形態であってもよい。また、動物用サプリメントとしては、本発明の乳酸菌に賦形剤や結合剤等を加えて造粒した顆粒および粉末、本発明の乳酸菌に賦形剤や結合剤等を加え練り合わせた後に打錠することにより製造された錠剤、カプセル等に封入されたカプセル剤が挙げられる。
【0025】
本発明で提供される飼料は、本発明の乳酸菌を含有する限り特に限定されるものではないが、例えば、イヌ、ネコ、サル、ウサギ、げっ歯類(例えば、ハムスター、モルモット)等の愛玩動物用の飼料、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等の家畜動物用の飼料が挙げられる。
【0026】
本発明の乳酸菌は動物の毛並および毛艶の改善効果を有することから、本発明の乳酸菌を毛並および毛艶を改善させる飼料および動物用サプリメントに配合することで、毛並および毛艶の悪化とそれに伴う各種疾患の発症リスクを低減できる点で有利である。
【0027】
本発明の乳酸菌の摂取量は、摂取対象の性別、年齢および体重、症状、摂取時間、剤形、投与経路並びに組み合わせる薬剤等に依存して決定できる。本発明の乳酸菌を動物の毛並および毛艶の改善を目的として摂取させる場合の対象1日あたりの摂取量は、例えば、乳酸菌乾燥菌体質量として、0.01~20mg/kg体重、好ましくは0.1~2mg/kg体重、より好ましくは0.001~0.2mg/kg体重であり、この量は適宜増減できる。また、本発明の乳酸菌を動物の毛並および毛艶の改善を目的として摂取させる場合の対象1日あたりの摂取量は、例えば、菌数として、1×10~1×1012個、好ましくは1×10~1×1011個であり、この量は適宜増減できる。摂取期間は、通常1日以上、好ましくは5日以上、より好ましくは10日以上、さらに好ましくは1か月以上、特に好ましくは2か月以上)である。摂取回数に特に制限はなく、上記有効摂取量を1日1回摂取させても、数回に分けて摂取させてもよい。また、摂取タイミングについても特に制限はなく、対象が摂取しやすい時期に摂取することができる。なお、上記の本発明の乳酸菌の摂取量および摂取タイミング並びに下記の摂取期間は、本発明の乳酸菌を非治療目的および治療目的のいずれで使用する場合にも適用があり、治療目的の場合には摂取は投与に読み替えることができる。
【0028】
本発明の組成物および用剤は、長期摂取によりその効果をよりよく発揮することができ、例えば、5日以上継続的に摂取させることができ、好ましくは10日以上、より好ましくは1か月以上、特に好ましくは2か月以上継続的に摂取させることができる。ここで、「継続的に」とは毎日摂取を続けることを意味する。本発明の組成物および用剤を包装形態で提供する場合には、継続的摂取のために一定期間(例えば、1週間)の有効摂取量をセットで提供してもよい。
【0029】
本発明の組成物および用剤は乳酸菌を有効成分として利用することから、継続使用しても副作用の懸念がなく、安全性が高い。このため本発明の組成物および用剤を既存の毛並および毛艶の改善剤と組み合わせて用いると、既存薬剤の用量を低減することができ、ひいては既存薬剤の副作用を軽減あるいは解消することができる。他の薬剤との併用に当たっては、他の薬剤と本発明の組成物および用剤を別個に調製しても、他の薬剤と本発明の組成物および用剤(あるいは本発明の乳酸菌)を同一の組成物に配合してもよい。
【0030】
本発明の組成物および用剤並びに飼料および動物用サプリメントには、動物の毛並および毛艶の改善効果を有する旨の表示が付されてもよい。この場合、消費者に理解しやすい表示とするため本発明の組成物および用剤並びに飼料および動物用サプリメントには以下の一部または全部の表示が付されてもよい。なお、本発明において「動物の毛並および毛艶の改善」が以下の表示を含む意味で用いられることはいうまでもない。
・毛並の健康維持をサポート
・健康的な毛並のために
・つややかな毛並の維持に
・健康でかがやく被毛を守る
・美しい被毛に貢献する
・つややかな、さらさらした、柔らかな毛並に
【0031】
本発明の別の面によれば、有効量の本発明の乳酸菌またはそれを含む組成物を、それを必要としている対象に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、動物の毛並および毛艶の改善方法が提供される。本発明の方法は、本発明の組成物および用剤に関する記載に従って実施することができる。
【0032】
本発明のさらに別の面によれば、動物の毛並および毛艶の改善剤の製造のための、動物の毛並および毛艶の改善剤としての、あるいは、動物の毛並および毛艶の改善のための、本発明の乳酸菌の使用が提供される。本発明の使用は、本発明の組成物および用剤に関する記載に従って実施することができる。
【実施例
【0033】
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0034】
例1:毛並および毛艶に対するKW乳酸菌の効果
(1)被験飼料
被験飼料は、KW乳酸菌含有サプリメント粉末とした。KW乳酸菌含有サプリメント粉末は、ラクトバシラス・パラカゼイ・KW3110株(本明細書において、「KW乳酸菌」ということがある)の加熱死菌体2質量%と、デキストリン98質量%とを含有するように調製した。
【0035】
(2)被験動物
被験動物は、イヌ(雄8頭、雌5頭、計13頭)とした。被験動物の犬種は、トイプードル(2頭)、ミニチュアダックス(2頭)、雑種(2頭)、チワワ(1頭)、フレンチブルドッグ(1頭)、フラットコーテッドレトリバー(1頭)、ゴールデンレトリバー(1頭)、ウェルシュコーギーペンブローク(1頭)、エアデールテリア(1頭)、シェットランド・シープドッグ(1頭)であった。また、体重は、5kg未満(4頭)、5kg以上10kg未満(2頭)、10kg以上15kg未満(2頭)、15kg以上20kg未満(2頭)、20kg以上25kg未満(1頭)、25kg以上(2頭)であった。年齢は、5歳未満(1頭)、5歳以上10歳未満(7頭)、10歳以上15歳未満(5頭)であった。
【0036】
(3)試験方法
被験動物に対し、上記(1)で調製した被験飼料を、給餌量として40mg/日/kg体重を1日1回、普段の飼料にまんべんなく振りかけて与えた。摂取期間は2か月間とした。
【0037】
(4)評価
被験動物の飼い主に対して、被験飼料を摂取させる前の被験動物の状態と比較した、被験飼料摂取開始後1か月および2か月時点の被験動物の状態に関するアンケートを実施した。アンケートにおける動物の状態についての評価項目は、毛並および毛艶とし、評価基準は、下記の5段階評価とした。各アンケートの評点を集計し、平均値を算出して、評価した。なお、評価項目について、「わからない」と回答した場合は、点数化せず、評価対象から除外した。また、アンケートには、被験動物についての状態を自由にコメントする欄を設けて記載させた。3点未満を効果ありと判断した。
【0038】
<毛並および毛艶>
1点:非常に良くなった
2点:良くなった
3点:変わらない
4点:悪くなった
5点:非常に悪くなった
- :わからない
【0039】
(5)結果
結果は、表1に示した通りであった。
【表1】
【0040】
表1の結果から、KW乳酸菌含有サプリメント粉末を摂取させた被験動物において、被験飼料摂取開始前の状態と比較して、被験飼料摂取開始後1か月および2か月時点で、毛並および毛艶が改善されることが確認された。また、アンケートのコメント欄への記載では、毛並について改善を感じる旨の記載があった。以上の結果から、ラクトバシラス・パラカゼイ菌体を摂取させることにより、動物の毛並および毛艶が改善されることが確認された。