(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】携帯端末制御方法、携帯端末制御装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20240110BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20240110BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H04M3/42 Z
G08G1/01 F
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2019048975
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】谷村 恵一
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-174679(JP,A)
【文献】特開2015-133003(JP,A)
【文献】特開2016-208382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G1/00-99/00
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント会場の状況を評価するために利用する評価情報を取得し、
前記イベント会場の混雑状況を評価可能な第一の前記評価情報に基づいて前記イベント会場の
状況の評価を表す混雑度を算出し、前記第一の評価情報とは異なる
他の状況を評価可能な第二の前記評価情報である前記イベント会場における開催イベントの情報
と、前記イベント会場の安全状況を評価可能な第三の前記評価情報と、に基づいて前記混雑度を変動させ、
変動させた前記混雑度の値に応じて、前記イベント会場に存在する携帯端末の動作を制御する、
携帯端末制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末制御方法であって、
前記第二の評価情報である前記イベント会場における開催イベントの時間に基づいて前記混雑度を変動させる、
携帯端末制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯端末制御方法であって、
前記第二の評価情報である前記イベント会場における過去の開催イベントの動員数に基づいて前記混雑度を変動させる、
携帯端末制御方法。
【請求項4】
イベント会場の状況を評価するために利用する評価情報を取得し、
前記イベント会場の混雑状況を評価可能な第一の前記評価情報に基づいて前記イベント会場の
状況の評価を表す混雑度を算出し、前記第一の評価情報とは異なる
他の状況を評価可能な第二の前記評価情報である前記イベント会場の周囲の道路の情報
と、前記イベント会場の安全状況を評価可能な第三の前記評価情報と、に基づいて前記混雑度を変動させ、
変動させた前記混雑度の値に応じて、前記イベント会場に存在する携帯端末の動作を制御する、
携帯端末制御方法。
【請求項5】
イベント会場の状況を評価するために利用する評価情報を取得する取得部と、
前記イベント会場の混雑状況を評価可能な第一の前記評価情報に基づいて前記イベント会場の
状況の評価を表す混雑度を算出し、前記第一の評価情報とは異なる
他の状況を評価可能な第二の前記評価情報である前記イベント会場における開催イベントの情報
と、前記イベント会場の安全状況を評価可能な第三の前記評価情報と、に基づいて前記混雑度を変動させる評価部と、
変動させた前記混雑度の値に応じて、前記イベント会場に存在する携帯端末の動作を制御する制御部と、
を備えた携帯端末制御装置。
【請求項6】
イベント会場の状況を評価するために利用する評価情報を取得する取得部と、
前記イベント会場の混雑状況を評価可能な第一の前記評価情報に基づいて前記イベント会場の
状況の評価を表す混雑度を算出し、前記第一の評価情報とは異なる
他の状況を評価可能な第二の前記評価情報である前記イベント会場の周囲の道路の情報
と、前記イベント会場の安全状況を評価可能な第三の前記評価情報と、に基づいて前記混雑度を変動させる評価部と、
変動させた前記混雑度の値に応じて、前記イベント会場に存在する携帯端末の動作を制御する制御部と、
を備えた携帯端末制御装置。
【請求項7】
イベント会場の状況を評価するために利用する評価情報を取得する取得部と、
前記イベント会場の混雑状況を評価可能な第一の前記評価情報に基づいて前記イベント会場の
状況の評価を表す混雑度を算出し、前記第一の評価情報とは異なる
他の状況を評価可能な第二の前記評価情報である前記イベント会場における開催イベントの情報
と、前記イベント会場の安全状況を評価可能な第三の前記評価情報と、に基づいて前記混雑度を変動させる評価部と、
変動させた前記混雑度の値に応じて、前記イベント会場に存在する携帯端末の動作を制御する制御部と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
イベント会場の状況を評価するために利用する評価情報を取得する取得部と、
前記イベント会場の混雑状況を評価可能な第一の前記評価情報に基づいて前記イベント会場の
状況の評価を表す混雑度を算出し、前記第一の評価情報とは異なる
他の状況を評価可能な第二の前記評価情報である前記イベント会場の周囲の道路の情報
と、前記イベント会場の安全状況を評価可能な第三の前記評価情報と、に基づいて前記混雑度を変動させる評価部と、
変動させた前記混雑度の値に応じて、前記イベント会場に存在する携帯端末の動作を制御する制御部と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末制御方法、携帯端末制御装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、スマートフォンなどの携帯端末が普及し、SNS(Social Networking Service)、動画サービスなどの豊富なコンテンツがあることから、歩行しながら携帯端末を使用する行為が社会問題となっている。歩行しながら携帯端末を使用する行為中は、使用者の周囲への注意力が散漫となるため、混雑した場所や工事現場などの注意を要する場所では、衝突や転倒などの事故が発生しうる、という問題がある。このため、歩行しながら携帯端末を使用する行為を防止するための様々な技術が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、まず、撮影装置からの撮影画像から撮影範囲の混雑状況を検出し、併せて、撮影範囲の人物の歩行状況を判定する。そして、撮影範囲が混雑しており、人物が歩行している場合には、人物の携帯端末に対して注意喚起の情報を表示したり、起動しているアプリケーションをロックすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、特定の範囲の撮影画像からかかる範囲の混雑状況を検出しているため、撮影装置が設置された特定の範囲に存在する人物の携帯端末にしか対応することができない。また、上述した技術では、混雑状況のみに基づいて携帯端末に対して処理を行っているため、その他の状況を考慮して適切に携帯端末に対する処理を行うことができない。このため、あらゆる場所や状況に応じて携帯端末を制御することができず、歩行しながら携帯端末を使用することによって生じうる事故を軽減することができない、という問題が生じる。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、歩行しながら携帯端末を使用することによって生じうる事故を軽減することができない、ということを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である携帯端末制御方法は、
所定のエリアの状況を評価するために利用する複数種類の評価情報を取得し、
複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価し、
前記エリアの状況の評価に応じて、状況を評価した前記エリアに存在する携帯端末の動作を制御する、
という構成をとる。
【0008】
また、本発明の一形態である携帯端末制御装置は、
所定のエリアの状況を評価するために利用する複数種類の評価情報を取得する取得部と、
複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する評価部と、
前記エリアの状況の評価に応じて、状況を評価した前記エリアに存在する携帯端末の動作を制御する制御部と、
を備えた、
という構成をとる。
【0009】
また、本発明の一形態であるプログラムは、
情報処理装置に、
所定のエリアの状況を評価するために利用する複数種類の評価情報を取得する取得部と、
複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する評価部と、
前記エリアの状況の評価に応じて、状況を評価した前記エリアに存在する携帯端末の動作を制御する制御部と、
を実現させる、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のように構成されることにより、歩行しながら携帯端末を使用することによって生じうる事故を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1における携帯端末制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に開示した制御装置及び携帯端末の構成を示す図である。
【
図3】
図1に開示した制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態2における制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態2における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態2における制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1乃至
図2は、携帯端末制御システムの構成を説明するための図であり、
図3は、その処理動作を説明するための図である。
【0013】
[構成]
本発明における携帯端末制御システムは、所定のエリアにおける携帯端末の動作を制御するためのシステムである。例えば、本実施形態では、スポーツやコンサートなどのイベントを行うイベント会場Hの周囲を対象エリアとし、かかる対象エリアで歩行している人物の携帯端末を制御することとする。但し、対象エリアは、いかなるイベント会場であってもよく、いかなる場所であってもよい。
【0014】
図1に示すように、携帯端末制御システムは、制御装置10を備えており、かかる制御装置10に、イベント会場Hの周囲の対象エリアに設置された撮影装置であるカメラCと、種々の情報提供装置30と、が接続されている。また、制御装置10は、人物Pが使用するスマートフォンなどの携帯端末20と通信可能である。
【0015】
上記カメラCは、対象エリアを撮影した撮影画像を取得し、制御装置10に送信する。例えば、カメラCは、イベント会場Hの入場ゲート付近などを対象エリアとして、かかる対象エリアに存在する人物Pが映るよう撮影画像を撮影する。そして、カメラCは、撮影した撮影画像と共に、カメラCを識別する識別情報も制御装置10に送信する。
【0016】
上記情報提供装置30は、イベント会場Hに関する情報やイベント会場Hが位置する地域の情報など、種々の情報を提供するウェブサーバなどの情報処理装置である。例えば、情報提供装置30は、イベント会場Hに関する情報として、会場の位置情報、開催イベントの内容や時間などのイベント情報、会場内のエリアマップ、過去に開催したイベントの動員数、などを提供する装置である。また、情報提供装置30は、地域の情報として、天候情報、事故情報、工事情報、ハザードマップ、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報、予め設定された混雑度が高い場所を特定する情報(例えば、商店街、ショッピングモールなど)、予め設定された安全度が低い場所を特定する情報(例えば、川、海岸など)、などを提供する装置である。なお、情報提供装置30が提供する情報は、上述した情報に限定されず、いかなる情報であってもよい。
【0017】
上記携帯端末20は、例えばスマートフォンといった、演算装置と記憶装置とを備えた情報処理端末である。そして、携帯端末20は、演算装置がアプリケーションプログラムを実行することで、種々の機能が実現される。本実施形態では、携帯端末20は、特に、
図2に示すように、歩行判定部21と、使用制限部22と、を備える。
【0018】
上記携帯端末20の歩行判定部21は、携帯端末20に装備されている加速度センサやGPS(Global Positioning System)といった計測機器からの計測値に基づいて、携帯端末20を所持している人物Pが歩行中であるか否かを判定する。そして、歩行判定部21は、歩行中である場合に、その旨を携帯端末20の識別情報と共に制御装置10に送信する。なお、歩行判定部21は、いかなる方法で歩行中であることを検出してもよい。
【0019】
上記携帯端末20の使用制限部22は、後述するように、制御装置10から送信された制御指令に応じて、人物Pが携帯端末20を操作できないよう、当該携帯端末20自体の動作を制御する。例えば、使用制限部22は、制御装置10からの制御指令に応じて、実行中のアプリケーションを停止したり、操作入力を受け入れないこととしたり、画面を消すなどの制御を行う。但し、使用制限部22は、制御装置10からの制御指令に応じて、いかなる制御を行ってもよい。
【0020】
上記制御装置10は、演算装置と記憶装置とを備えた1台又は複数台の情報処理装置にて構成される。そして、制御装置10は、
図2に示すように、演算装置がプログラムを実行することで構築された、情報取得部11、評価部12、端末制御部13、を備える。また、制御装置10は、記憶装置に形成された、取得情報記憶部15、評価情報記憶部16を備える。
【0021】
上記情報取得部11(取得部)は、上述したカメラC、情報提供装置30、携帯端末20から、種々の情報を取得して、取得情報記憶部15に蓄積する。具体的に、情報取得部11は、カメラCからは、イベント会場H周囲の対象エリアが撮影された撮影画像を一定の時間間隔で取得し、かかる撮影画像を対象エリアの状況を評価するために利用する評価情報として取得情報記憶部15に記憶する。このとき、情報取得部11は、撮影画像と共に送信されたカメラCの識別情報に基づいて、撮影画像が撮影された対象エリアを特定し、かかる対象エリアを特定するエリア情報に関連付けて撮影画像を記憶する。
【0022】
また、情報取得部11は、各情報提供装置30からは、上述したように各情報提供装置30が提供する情報のうち、イベント会場H周囲の対象エリアに関連する情報を選択して取得し、対象エリアの状況を評価するために利用する評価情報として取得情報記憶部15に記憶する。このとき、情報取得部11は、取得した情報を、対象エリアを特定するエリア情報に関連付けて記憶する。例えば、情報取得部11は、イベント会場Hに関する情報として、会場の位置情報、開催イベントの内容や時間などのイベント情報、会場内のエリアマップ、過去に開催したイベントの動員数、などを評価情報として取得する。また、情報取得部11は、対象エリアの地域の情報として、天候情報、事故情報、工事情報、ハザードマップ、VICS情報、予め設定された混雑度が高い場所を特定する情報(例えば、商店街、ショッピングモールなど)、予め設定された安全度が低い場所を特定する情報(例えば、川、海岸など)、などを評価情報として取得する。
【0023】
情報取得部11は、上述したように対象エリアに関連する情報を取得して取得情報記憶部15に記憶することで、対象エリア毎に、評価情報がまとめられて取得情報記憶部15に記憶されることとなる。このとき、情報取得部11は、対象エリアに設置された機器であるカメラCから評価情報を取得したり、対象エリアに設置されていない機器である情報提供装置30からも評価情報を取得する。そして、情報取得部11は、上述したように複数種類の評価情報を取得することとなる。例えば、対象エリアの撮影画像などは、後述するように対象エリアの混雑状況を評価可能な種類の評価情報であり、イベント情報、天候情報などは、対象エリアで生じている状況と言った他の状況を表す種類の評価情報である。また、工事情報や安全度が低い場所を特定する情報などは、対象エリアの安全状況と言った状況を評価可能な種類の評価情報であり、予め設定された混雑度が高い場所を特定する情報や、予め設定された安全度が低い場所を特定する情報などは、対象エリアが予め設定された特定状況であることを表す種類の評価情報である。さらに、過去に開催したイベントの動員数などは、対象エリアの過去の状況を表す種類の評価情報である。なお、情報取得部11は、さらに対象エリアの他の状況を評価可能であったり、他の状況を表す評価情報を取得してもよい。
【0024】
また、情報取得部11は、携帯端末20から送信された、当該携帯端末20が歩行中である旨の情報を取得して、携帯端末20の位置情報と共に情報取得記憶部15に記憶する。このとき、情報取得部11は、携帯端末20から当該携帯端末20の位置情報を取得してもよく、基地局などから携帯端末20の位置情報を取得してもよい。
【0025】
上記評価部13は、上述したように取得情報記憶部15に記憶した各種の評価情報を用いて、対象エリアにおいて人物Pが歩行中に携帯端末20を使用してよい状況であるか、利用してはいけない状況であるか、を評価する。具体的に、評価部13は、まず、上述した撮影画像などの対象エリアの混雑状況を評価可能な種類の評価情報から、対象エリアの混雑度合いを表す混雑度を算出する。このとき、評価部13は、撮影画像に映る物体の形状や色、動きから、当該撮影画像内の人物Pを検出し、かかる人物Pの人数や密度などから、対象エリアの混雑度を算出する。例えば、評価部13は、人物Pの人数が多い場合には、対象エリアの混雑度が高くなるよう当該混雑度を算出する。
【0026】
そして、評価部13は、上述したように撮影画像に基づいて算出した上記混雑度を、他の評価情報に基づいて修正して変動させ、評価得点として算出する。ここで、混雑度を修正して評価得点を算出する例をいくつか説明する。例えば、イベント情報からは、対象エリアでイベントが行われていない場合には、混雑度を下げるよう修正し、天候情報からは、雨が降っている場合には、混雑度を上げるよう修正する。また、事故情報、VICS情報からは、周囲の道路が渋滞している場合には、混雑度を下げるよう修正する。また、工事情報や安全度が低い場所を特定する情報、混雑度が高い場所を特定する情報からは、そのような場所が対象エリアである場合には、混雑度を上げるよう修正する。また、逆に、安全度が高い場所を特定する情報、混雑度が低い場所を特定する情報からは、そのような場所が対象エリアである場合には、混雑度を下げるよう修正する。また、イベント情報や過去に開催したイベントの動員数といった情報からは、過去の同一イベントの動員数が多い場合には、混雑度を上げるよう修正する。そして、評価部13は、対象エリア毎に算出した評価得点を、評価情報記憶部16に記憶しておく。
【0027】
評価部13は、以上のように評価得点を算出することで、撮影画像に基づく実際の対象エリアの混雑状況に対応した混雑度を、他の状況を考慮して修正した評価得点とすることができる。例えば、実際には混雑しているものの、安全な場所と特定されている場合には、低い評価得点となる。一方で、実際には混雑していないものの、安全性が低い場所と特定されている場合には、高い評価得点となる。
【0028】
そして、評価部13は、以上のように算出して評価記憶部16に記憶した対象エリアの評価得点から、携帯端末20の制御が必要な対象エリアであるか否かを判定する。例えば、評価得点が高く、予め設定された閾値を超えた場合に、かかる対象エリアを制御が必要な対象エリアとして判定する。このため、上述したように、実際には混雑しているものの、安全な場所と特定されていて低い評価得点となる対象エリアは、制御が必要な対象エリアとして判定されない。一方で、実際には混雑していないものの、安全性が低い場所と特定されていて高い評価得点となる対象エリアは、制御が必要な対象エリアとして判定される。そして、評価部13は、対象エリアの判定結果を評価情報記憶部16に記憶する。
【0029】
上記端末制御部13は、上述したように制御が必要と判定された対象エリア内に存在する携帯端末20の動作を制御する。例えば、端末制御部13は、取得情報記憶部15内に記憶されている携帯端末20の位置情報に基づいて、制御が必要と判定された対象エリア内に存在している携帯端末20を抽出する。このとき、取得情報記憶部15内に記憶されている携帯端末20は歩行中であるため、端末制御部13は、抽出した携帯端末20で起動しているアプリケーションを停止する制御指令を当該携帯端末20に送信する。なお、端末制御部13は、携帯端末20に対して、当該携帯端末20の操作ができなくなるような別の制御指令を送信してもよい。
【0030】
[動作]
次に、上述した携帯端末制御システムの動作を、主に
図3のフローチャートを参照して説明する。まず、制御装置10は、対象エリアに設置されたカメラC、種々の情報提供装置30、対象エリアに位置する携帯端末20から、対象エリアに関する情報を取得する(ステップS1)。例えば、制御装置10は、カメラCからは、対象エリアを撮影した撮影画像を取得し、情報提供装置30からは、対象エリアのイベント情報や、対象エリアの地域の情報などを取得し、これらを評価情報として取得情報記憶部15に記憶しておく。また、制御装置10は、携帯端末20から、かかる携帯端末20が歩行中である旨の情報を取得し、取得情報記憶部15に記憶しておく。
【0031】
続いて、制御装置10は、取得した撮影画像などの対象エリアの混雑状況を評価可能な種類の評価情報から、対象エリアの混雑度合いを表す混雑度を算出する(ステップS2)。続いて、制御装置10は、その他の種類の評価情報から、混雑度を修正して評価得点を算出する(ステップS3)。例えば、制御装置10は、工事情報や安全度が低い場所を特定する情報、混雑度が高い場所を特定する情報から、そのような場所が対象エリアである場合には、混雑度を上げるよう修正する。また、安全度が高い場所を特定する情報、混雑度が低い場所を特定する情報から、そのような場所が対象エリアである場合には、混雑度を下げるよう修正する。また、イベント情報や過去に開催したイベントの動員数といった情報から、過去の同一イベントの動員数が多い場合には、混雑度を上げるよう修正する。
【0032】
続いて、制御装置10は、算出した評価得点が閾値を超えている場合には、対象エリアを携帯端末20の制御が必要な対象エリアとして判定する(ステップSS4)。そして、制御装置10は、携帯端末20から取得した情報に基づいて、制御が必要と判定された対象エリア内に存在する携帯端末20を所持する人物Pが歩行中であるか否かを調べる(ステップS5)。そして、対象エリアに歩行中の人物Pが所持する携帯電話20が存在している場合には、携帯端末20で起動しているアプリケーションを停止するなど人物Pに携帯端末20の使用を中止させるような制御指令を、当該携帯端末20に送信する(ステップS6)。
【0033】
以上のように、本発明では、制御装置10が、対象エリアの撮影画像など直接混雑状況を評価するような種類の評価情報に限らず、その他の評価情報も取得して、対象エリアにおいて人物Pが歩行中に携帯端末20を使用してよい状況であるかどうかを判断している。このため、例えば、実際には混雑しているものの、安全な場所と特定されている場合には、制御が必要な対象エリアとして判定されず、一方で、実際には混雑していないものの、安全性が低い場所と特定されていて高い評価得点となる対象エリアは、制御が必要な対象エリアとして判定される。その結果、あらゆる場所や状況に応じて、適切に携帯端末を制御することができ、歩行しながら携帯端末を使用することによって生じうる事故を軽減することができる。
【0034】
なお、上記では、対象エリアの混雑度を評価可能な種類の評価情報として、対象エリアに設置されたカメラCで撮影した撮影画像を挙げたが、かかる撮影画像は、いかなる方法で撮影されてもよい。例えば、ドローンに搭載されたカメラや人物Pが所持する携帯端末20のカメラなど、対象エリアに設置されていない機器で撮影された撮影画像を用いてもよい。また、撮影画像に限らず、人感センサによる検出値や対象エリアの音情報(騒音)などを、混雑度を評価可能な種類の評価情報として取得し、混雑度を算出してもよい。この場合、対象エリアに存在する人物Pの携帯端末20に搭載されたセンサやマイクを用いて評価情報を取得し、混雑度を算出してもよい。
【0035】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、
図4乃至
図6を参照して説明する。
図4乃至
図5は、実施形態2における携帯端末制御装置の構成を示すブロック図であり、
図6は、携帯端末制御装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、実施形態1で説明した制御装置及び制御装置による処理方法の構成の概略を示している。
【0036】
まず、
図4を参照して、本実施形態における携帯端末制御装置100のハードウェア構成を説明する。携帯端末制御装置100は、一般的な情報処理装置にて構成されており、一例として、以下のようなハードウェア構成を装備している。
・CPU(Central Processing Unit)101(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)102(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)103(記憶装置)
・RAM103にロードされるプログラム群104
・プログラム群104を格納する記憶装置105
・情報処理装置外部の記憶媒体110の読み書きを行うドライブ装置106
・情報処理装置外部の通信ネットワーク111と接続する通信インタフェース107
・データの入出力を行う入出力インタフェース108
・各構成要素を接続するバス109
【0037】
そして、携帯端末制御装置100は、プログラム群104をCPU101が取得して当該CPU101が実行することで、
図5に示す取得部121と評価部122と制御部123とを構築して装備することができる。なお、プログラム群104は、例えば、予め記憶装置105やROM102に格納されており、必要に応じてCPU101がRAM103にロードして実行する。また、プログラム群104は、通信ネットワーク111を介してCPU101に供給されてもよいし、予め記憶媒体110に格納されており、ドライブ装置106が該プログラムを読み出してCPU101に供給してもよい。但し、上述した取得部121と評価部122と制御部123とは、電子回路で構築されるものであってもよい。
【0038】
なお、
図4は、携帯端末制御装置100である情報処理装置のハードウェア構成の一例を示しており、情報処理装置のハードウェア構成は上述した場合に例示されない。例えば、情報処理装置は、ドライブ装置106を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0039】
そして、携帯端末制御装置100は、上述したようにプログラムによって構築された取得部121と評価部122と制御部123との機能により、
図6のフローチャートに示す携帯端末制御方法を実行する。
【0040】
図6に示すように、携帯端末制御装置100は、
所定のエリアの状況を評価するために利用する複数種類の評価情報を取得し(ステップS1)、
複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価し(ステップS2)、
前記エリアの状況の評価に応じて、状況を評価した前記エリアに存在する携帯端末の動作を制御する(ステップS3)。
【0041】
本発明は、以上のように構成されることにより、エリアの状況を評価可能な複数種類の評価情報に基づいて、エリアの状況を評価し、かかるエリアの携帯端末を制御している。このため、エリアのあらゆる状況を適切に判断でき、エリアの状況に合わせて適切に携帯端末を制御することができる。その結果、歩行しながら携帯端末を使用することによって生じうる事故を軽減することができる。
【0042】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における携帯端末制御方法、携帯端末制御装置、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0043】
(付記1)
所定のエリアの状況を評価するために利用する複数種類の評価情報を取得し、
複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価し、
前記エリアの状況の評価に応じて、状況を評価した前記エリアに存在する携帯端末の動作を制御する、
携帯端末制御方法。
【0044】
(付記2)
付記1に記載の携帯端末制御方法であって、
前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報と、前記エリアの混雑状況とは異なる他の状況を評価可能な種類の前記評価情報と、を含む複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する、
携帯端末制御方法。
【0045】
(付記3)
付記2に記載の携帯端末制御方法であって、
前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報と、前記エリアの安全状況を評価可能な種類の前記評価情報と、を含む複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する、
携帯端末制御方法。
【0046】
(付記4)
付記2又は3に記載の携帯端末制御方法であって、
前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報と、前記エリアが予め設定された特定状況であることを表す種類の前記評価情報と、を含む複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する、
携帯端末制御方法。
【0047】
(付記5)
付記2乃至4のいずれかに記載の携帯端末制御方法であって、
前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報と、前記エリアの過去の状況を表す種類の前記評価情報と、を含む複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する、
携帯端末制御方法。
【0048】
(付記6)
付記2乃至5のいずれかに記載の携帯端末制御方法であって、
前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報に基づいて当該エリアの混雑度を算出し、前記エリアの混雑状況とは異なる他の状況を評価可能な種類の前記評価情報に基づいて前記混雑度を変動させ、
前記混雑度の値に応じて、前記携帯端末の動作を制御する、
携帯端末制御方法。
【0049】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の携帯端末制御方法であって、
前記エリアに設置されていない機器から、少なくとも1つの種類の前記評価情報を取得する、
携帯端末制御方法。
【0050】
(付記8)
所定のエリアの状況を評価するために利用する複数種類の評価情報を取得する取得部と、
複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する評価部と、
前記エリアの状況の評価に応じて、状況を評価した前記エリアに存在する携帯端末の動作を制御する制御部と、
を備えた携帯端末制御装置。
【0051】
(付記8.1)
付記8に記載の携帯端末制御装置であって、
前記評価部は、前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報と、前記エリアの混雑状況とは異なる他の状況を評価可能な種類の前記評価情報と、を含む複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する、
携帯端末制御装置。
【0052】
(付記8.2)
付記8.1に記載の携帯端末制御装置であって、
前記評価部は、前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報と、前記エリアの安全状況を評価可能な種類の前記評価情報と、を含む複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する、
携帯端末制御装置。
【0053】
(付記8.3)
付記8.1又は8.3に記載の携帯端末制御装置であって、
前記評価部は、前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報と、前記エリアが予め設定された特定状況であることを表す種類の前記評価情報と、を含む複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する、
携帯端末制御装置。
【0054】
(付記8.4)
付記8.1乃至8.3のいずれかに記載の携帯端末制御装置であって、
前記評価部は、前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報と、前記エリアの過去の状況を表す種類の前記評価情報と、を含む複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する、
携帯端末制御装置。
【0055】
(付記8.5)
付記8.1乃至8.4のいずれかに記載の携帯端末制御装置であって、
前記評価部は、前記エリアの混雑状況を評価可能な種類の前記評価情報に基づいて当該エリアの混雑度を算出し、前記エリアの混雑状況とは異なる他の状況を評価可能な種類の前記評価情報に基づいて前記混雑度を変動させ、
前記制御部は、前記混雑度の値に応じて、前記携帯端末の動作を制御する、
携帯端末制御装置。
【0056】
(付記8.6)
付記8乃至8.5のいずれかに記載の携帯端末制御装置であって、
前記取得部は、前記エリアに設置されていない機器から、少なくとも1つの種類の前記評価情報を取得する、
携帯端末制御装置。
【0057】
(付記9)
情報処理装置に、
所定のエリアの状況を評価するために利用する複数種類の評価情報を取得する取得部と、
複数種類の前記評価情報に基づいて、前記エリアの状況を評価する評価部と、
前記エリアの状況の評価に応じて、状況を評価した前記エリアに存在する携帯端末の動作を制御する制御部と、
を実現させるためのプログラム。
【0058】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0059】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 制御装置
11 情報取得部
12 評価部
13 端末制御部
15 取得情報記憶部
16 評価情報記憶部
20 携帯端末
21 歩行判定部
22 使用制御部
30 情報提供装置
C カメラ
H イベント会場
P 人物
100 携帯端末制御装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 プログラム群
105 記憶装置
106 ドライブ装置
107 通信インタフェース
108 入出力インタフェース
109 バス
110 記憶媒体
111 通信ネットワーク
121 取得部
122 評価部
123 制御部