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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子機器、検出方法、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A61B5/02 310G
A61B5/02 310H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019054214
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020151296
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】石濱 孝規
【審査官】今浦 陽恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131445(JP,A)
【文献】特開2018-121829(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0107493(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに装着される電子機器であって、
前記ユーザの装着部位に対して、可視光である第1の波長の光を照射する第1発光手段と、
前記ユーザの装着部位に対して、不可視光である第2の波長の光を照射する第2発光手段と、
ユーザが公共状態にいるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて、前記第1発光手段及び前記第2発光手段の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする制御手段と、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段により照射された照射光の反射光を受光することが可能な受光手段と、
前記受光手段により受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報を検出する検出手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御手段は、光を照射する主体を、前記第1発光手段及び前記第2発光手段の一方から他方に択一的に切り替えることにより光の照射を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記検出手段は、前記受光手段により受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報として脈波を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記検出手段により検出された前記ユーザの生体情報に基づいて、前記ユーザの脈拍数を算出する算出手段を有する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記ユーザによる操作に応じて、前記第1発光手段及び前記第2発光手段による光の照射を制御する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記判断手段は、前記ユーザの位置情報と、前記ユーザの行動推定結果の情報と、のうち少なくとも一方の情報に基づいて、ユーザが公共状態にいるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【請求項7】
ユーザに装着されると共に、
前記ユーザの装着部位に対して、可視光である第1の波長の光を照射する第1発光手段と、
前記ユーザの装着部位に対して、不可視光である第2の波長の光を照射する第2発光手段と、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段により照射された照射光の反射光を受光することが可能な受光手段と、
を備える電子機器が行う検出方法であって、
ユーザが公共状態にいるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップによる判断結果に基づいて、前記第1発光手段及び前記第2発光手段の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする制御ステップと、
前記受光手段にて受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報を検出する検出ステップと、
を有することを特徴とする検出方法。
【請求項8】
ユーザに装着されるコンピュータを、
前記ユーザの装着部位に対して、可視光である第1の波長の光を照射する第1発光手段、
前記ユーザの装着部位に対して、不可視光である第2の波長の光を照射する第2発光手段、
ユーザが公共状態にいるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて、前記第1発光手段及び前記第2発光手段の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする制御手段、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段により照射された照射光の反射光を受光することが可能な受光手段、
前記受光手段により受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報を検出する検出手段、
として機能させる検出プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、検出方法、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液の吸光特性を利用して、脈拍や体動等の生体情報を検出する技術が利用されている。例えば、特定の波長の光を生体に向けて照射し、生体内で反射した反射光を計測することにより、生体情報を検出することができる。
このような技術の一例が、特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1に開示の技術では、脈波計が、指先に可視光を照射して脈波を計測する。特許文献2に開示の技術では、イヤホン型電子機器が、外耳の皮膚に非可視光である赤外光を照射して脈波を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-18466号公報
【文献】特開2015-181909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術のように、可視光を用いる場合、発光部からの照射光が機器と体との間から漏れ出ることがあり、周囲の目が気になる場合がある。
一方で、特許文献2に開示の技術のように、非可視光を用いる場合、受光部に太陽光等が入射すると検出結果に影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザにとって、より適した方法で生体情報の検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の電子機器は、
ユーザに装着される電子機器であって、
前記ユーザの装着部位に対して、可視光である第1の波長の光を照射する第1発光手段と、
前記ユーザの装着部位に対して、不可視光である第2の波長の光を照射する第2発光手段と、
ユーザが公共状態にいるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて、前記第1発光手段及び前記第2発光手段の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする制御手段と、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段により照射された照射光の反射光を受光することが可能な受光手段と、
前記受光手段により受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報を検出する検出手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザにとって、より適した方法で生体情報の検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の電子機器の一実施形態に係る生体情報検出装置の装着状態及び外観構成を示す模式図である。
図2】本発明の電子機器の一実施形態に係る生体情報検出装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図3図1の生体情報検出装置の機能的構成のうち、生体情報検出処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
図4図3の機能的構成を有する図1の生体情報検出装置が実行する生体情報検出処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[装着状態及び外観構成]
図1は、本発明の電子機器の一実施形態に係る生体情報検出装置1の装着状態及び外観構成を示す模式図である。生体情報検出装置1は、血液の吸光特性を利用して、特定の波長の光を生体に向けて照射し、生体内で反射した反射光を計測することにより、ユーザの生体情報を検出する装置である。
【0010】
生体情報検出装置1は、ユーザに装着される電子機器一般により実現することができる。本実施形態では、一例として図8(A)に示すように、ユーザの耳に装着されるイヤホン型の電子機器により実現することを想定する。生体情報検出装置1の先端部分は、例えば、シリコン等の弾性のある素材で形成されている。ユーザは、この先端部分を自身の外耳道に嵌め込むことにより、生体情報検出装置1を装着することができる。
また、図1(B)に示すように、この先端部の表面には、可視光照射部16、非可視光照射部17、受光部18が配置されている。
【0011】
[生体情報検出処理]
このような外観構成を有する生体情報検出装置1は、生体情報検出処理を行う。ここで、生体情報検出処理は、複数の照射部を使い分けることにより、ユーザにとって、より適した方法で生体情報の検出を行う一連の処理である。
【0012】
具体的に、生体情報検出処理において、生体情報検出装置1は、自身が装着されているユーザの装着部位(ここでは、外耳道)に対して、可視光照射部16を発光させることにより第1の波長の光を照射する。ここで、第1の波長の光は、可視光である。
また、生体情報検出装置1は、自身が装着されているユーザの装着部位(ここでは、外耳道)に対して、非可視光照射部17により、第2の波長の光を照射する。ここで、第2の波長の光は非可視光である。
更に、生体情報検出装置1は、可視光照射部16及び非可視光照射部17を発光させることにより照射された照射光の反射光を、受光部18により受光する。そして、生体情報検出装置1は、受光部18により受光された反射光に基づいて、自身が装着されているユーザの生体情報を検出する。
【0013】
このように、生体情報検出装置1は、可視光及び非可視光の2つの異なる光を利用する。その理由について説明する。
可視光には、一般的に、非可視光よりも生体情報を精度高く検出できるという特性がある。しかしながら、上述したように、発光部からの照射光が装置(ここでは、生体情報検出装置1)と体(ここでは、外耳道)との間から漏れ出ることがあり、周囲の目が気になる場合がある。この点、仮に、生体情報検出装置1が、照射範囲の面積と比較して、皮膚との接触面積がある程度広い腕時計型の装置等である場合、照射された光は装置の接触面により塞がれるので、この光の漏れの影響は少ない。これに対して、例えば、イヤホン型の生体情報検出装置1のように皮膚との接触面積が狭い場合、光が漏れ、他者から耳が光って見えるなどの可能性がある。これは他者から見た場合、一般的な状況ではないため、違和感を覚える可能性がある。また、装着者であるユーザも他者から注視されることによるストレスを感じる可能性がある。
【0014】
一方で、非可視光であれば、人間には非可視光を視認できないことから、このような可視光における光の漏れに起因した問題は生じない。しかしながら、上述したように、非可視光には、受光部に太陽光等が入射すると検出結果に影響を及ぼすおそれがあるという特性がある。
【0015】
このように、可視光及び非可視光は、それぞれ異なる特性を有しており、それぞれの利点を活かすことが望ましい。
そこで、生体情報検出装置1は、所定の条件(例えば、ユーザの照射切り替え操作や、ユーザのおかれている状況)に基づいて、可視光照射部16及び非可視光照射部17の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする。例えば、生体情報検出装置1は、光を照射する主体を、可視光照射部16及び非可視光照射部17の一方から他方に択一的に切り替えることにより光の照射を制御する。これにより、生体情報検出装置1は、2つの波長の光の照射を、択一的に切り替えて、使い分けることができる。例えば、生体情報検出装置1は、ユーザの周囲に人目がある場所では光の漏れの問題がないように光が視認されない非可視光を用い、ユーザの周囲に人目のない場所では検出精度の高い可視光を用いる、等のように2つの波長の光の特性を活用して使い分けることができる。
【0016】
このように、生体情報検出装置1は、2つの波長の光の照射を制御して生体情報を検出することから、1つの波長の光の照射を制御する場合に比べて、より多様な方法で、生体情報の検出を行うことができる。例えば、周囲の環境に応じて、可視光と非可視光を切り替えることにより、精度よく測定することができる。また、ユーザは、他者の目を意識せずに気兼ねなく測定することができる。
すなわち、生体情報検出装置1は、ユーザにとって、より適した方法で生体情報の検出を行うことができる。
【0017】
[ハードウェア構成]
図2は、本発明の電子機器の一実施形態に係る生体情報検出装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0018】
生体情報検出装置1は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、可視光照射部16と、非可視光照射部17と、受光部18と、入力部19と、記憶部20と、通信部21と、センサ部22と、を備えている。
【0019】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部20からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0020】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0021】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、可視光照射部16、非可視光照射部17、受光部18、入力部19、記憶部20、通信部21、及びセンサ部22が接続されている。
【0022】
ここで、可視光照射部16、非可視光照射部17、及び受光部18の説明の前提として、本実施形態では、生体情報として、脈波を検出することを想定する。この脈波の検出原理について簡略に説明する。動脈の血液内には、酸化ヘモグロビンが含まれているが、この酸化ヘモグロビンは、入射光を吸収する特性を有している。この特性に基づいて、心臓の脈動に伴って変化する血流量を経時的に測定することにより、脈波を検出することができる。また、この脈波に基づいて、例えば、脈拍数等を算出することもできる。なお、このような、光を用いた脈波の検出や、脈拍数の算出の原理自体は、一般的な技術であり、当業者によく知られているので、ここでは、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0023】
可視光照射部16は、自身が発光することにより、ユーザの装着部位(ここでは、外耳道)に対して、脈波の検出に適した波長の可視光を照射する。可視光照射部16は、脈波の検出に適した波長の可視光を照射する。例えば、可視光照射部16は、550[nm]程度の緑色波長の可視光を照射する。
【0024】
非可視光照射部17は、自身が発光することにより、ユーザの装着部位(ここでは、外耳道)に対して、脈波の検出に適した波長の非可視光を照射する。例えば、非可視光照射部17は、赤外光に対応する波長の非可視光を照射する。
【0025】
このような可視光照射部16及び非可視光照射部17のそれぞれは、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、レーザ照射器により実現する。この場合、これら可視光照射部16及び非可視光照射部17は、例えば、100[Hz]の周期で光を照射する。
【0026】
受光部18は、可視光照射部16及び非可視光照射部17により照射された照射光の反射光を受光することにより、反射光の強度を測定する。また、受光部18は、測定した反射光の強度を、CPU11に対して出力する。受光部18は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタにより実現する。
【0027】
入力部19は、各種釦等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
記憶部20は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種情報を記憶する。
【0028】
通信部21は、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の通信規格に準拠した近距離無線等により、パーソナルコンピュータやスマートフォン等の他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。例えば、通信部21は、他の装置から、他の装置が受け付けたユーザからの操作指示を受信する。他にも、例えば、通信部21は、検出した脈波や算出した脈拍数を他の装置に送信する。この場合、この他の装置は、生体情報検出装置1の操作受付部や、表示部として機能する。
【0029】
センサ部22は、1つ又は複数のセンサを含んでいる。本実施形態では、センサ部22は、3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサと、GPS(Global Positioning System)に準拠したGPSセンサを含んでいる。
センサ部22は、予め設定されたサンプリング周期毎に、3軸加速度センサによって3軸方向の加速度を検出する。また、センサ部22は、GPSにおける測位衛星から受信した電波に基づいて、生体情報検出装置1の位置(すなわち、生体情報検出装置1を装着しているユーザの位置)を示す緯度、経度、及び高度、並びに現在時刻を検出する。そして、センサ部22は、これらの検出した情報をCPU11に対して出力する。
【0030】
以上、生体情報検出装置1のハードウェア構成について説明したが、このハードウェア構成はあくまで一例である。例えば、センサ部22は、3軸角速度センサ及びGPSセンサ以外の各種センサ(例えば、照度センサや、気温センサや、3軸角速度センサ等)を備えることが可能である。また、他にも、生体情報検出装置1は、例えば、マイクやランプ等の他のハードウェアを備えることが可能である。
【0031】
[機能的構成]
図3は、図1の生体情報検出装置1の機能的構成のうち、上述した生体情報検出処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0032】
生体情報検出処理を実行する場合には、図3に示すように、CPU11において、生体情報検出部111と、状況検出部112と、照射制御部113と、が機能する。
【0033】
また、記憶部20の一領域には、生体情報記憶部201が設定される。
以下で特に言及しない場合も含め、これら機能ブロック間では、生体情報検出処理を実現するために必要なデータを、適切なタイミングで適宜送受信する。
【0034】
生体情報記憶部201には、生体情報検出部111が検出あるいは算出した生体情報が記憶される。本実施形態では、生体情報記憶部201には、生体情報検出部111が検出した脈波と、生体情報検出部111が脈波に基づいて算出した脈拍数が記憶される。
【0035】
生体情報検出部111は、受光部18の出力する反射光の強度に基づいて、ユーザの生体情報(ここでは、脈波)を検出する。この脈波の検出原理は、上述した通りである。また、生体情報検出部111は、脈波の検出結果に基づいて、ユーザの脈拍数を算出する。ここで、脈波は、1つの脈の波形を指す。また、脈拍数は、一分間あたりの脈波の数を指す。このように検出及び算出された脈波及び脈拍数は、生体情報記憶部201に記憶される。そして、この脈波及び脈拍数は、例えば、通信部21から他の装置に送信される。そして、ユーザは、この他の装置の表示部等で、この脈波及び脈拍数を参照することができる。
【0036】
これらの脈波及び脈拍数の利用方法は特に限定されない。例えば、ユーザは、検出された脈波それぞれの波形のピークに基づいて算出できるRRI(R-R Interval)を、ユーザの受けているストレスを測る指標としたり、睡眠ステージを特定するための指標として利用したりすることができる。また、ユーザは、算出された脈拍数を自身の活動量を示す指標として利用したりすることができる。この場合、ユーザは、自身の目的に応じて、一日の所定の時間帯に生体情報検出装置1を装着して生体情報を検出してもよいし、睡眠中の夜間も含め一日中生体情報検出装置1を装着して生体情報を検出してもよい。
【0037】
なお、生体情報検出部111は、検出及び算出された脈波及び脈拍数を、生体情報記憶部201に記憶することなく、検出した時点でリアルタイムに他の装置に送信するようにしてもよい。
【0038】
状況検出部112は、生体情報検出装置1を装着したユーザのおかれている状況を検出する。例えば、状況検出部112は、ユーザのおかれている状況が、ユーザの周囲に他者が存在し、人目がある状況(以下、「公共状況」)であるか、それとも、ユーザの周囲に他者が存在せず、人目がない状況(以下、「私的状況」)であるかを検出する。なお、状況検出部112は、仮に他者の人目があったとしても、その他者が家族等の親密な関係の人間であるという状況であれば、私的状況であるとしてもよい。
【0039】
このような状況の検出を行うために、状況検出部112は、例えば、位置情報に基づいた判定と、行動推定に基づいた判定を行う。
まず、位置情報に基づいた判定について説明をする。位置情報に基づいた判定では、状況検出部112は、センサ部22に含まれるGPSセンサが測位した、生体情報検出装置1の位置(すなわち、生体情報検出装置1を装着しているユーザの位置)を示す緯度、経度、及び高度といった位置情報を用いる。例えば、状況検出部112は、記憶部20等に地図情報(図示を省略する。)を記憶させておく。そして、状況検出部112は、位置情報に基づいて特定される位置と、この地図情報とを照らし合わせることにより、ユーザが現在いる場所を特定する。そして、状況検出部112は、このユーザが現在いる場所が何処であるのかに基づいて、ユーザのおかれている状況が、公共状況であるのか、それとも私的状況であるのかを検出する。例えば、状況検出部112は、このユーザが現在いる場所が自宅等である場合には、私的状況であると検出し、他の場所であれば、公的状況と検出する。なお、自宅等の位置は、ユーザの操作に応じて予めプリセットしておくようにするとよい。
【0040】
次に、行動推定に基づいた判定について説明をする。位置情報に基づいた判定では、状況検出部112は、センサ部22に含まれる3軸加速度センサが検出した、3軸方向の加速度に基づいて行動推定を行う。例えば、状況検出部112は、加速度の値が所定時間ほとんど変動しない場合には、ユーザが睡眠中であると行動推定する。あるいは、状況検出部112は、加速度の値が変動する場合には、その加速度の値に応じて、例えば、ユーザが徒歩で移動中である、自転車で移動中である、或いは自動車や電車で移動中であると行動推定する。そして、状況検出部112は、例えば、ユーザが睡眠中であると行動推定した場合には、私的状況であると検出し、ユーザが移動中であると行動推定した場合には、公的状況であると検出する。なお、センサ部22が、3軸角速度センサ等の他のセンサを含んでいる場合には、これらのセンサの検出結果も行動推定に用いることにより、より精度高く行動推定を行うことができる。
【0041】
このように、状況検出部112は、位置情報に基づいた判定と、行動推定に基づいた判定を行うことにより、ユーザのおかれている状況を、2つの観点から、精度高く検出することができる。なお、位置情報に基づいた検出と、行動推定に基づいた検出を組み合わせて行うようにしてもよい。例えば、位置情報に基づいた判定で、道路や公園にいると特定され、且つ、行動推定に基づいた判定で、自転車で移動中と行動推定された場合に、私的状況であると判定してもよい。例えば、道路や公園にいるのみでは、公的状況か私的状況か判定できないが、更に自転車で移動中であれば、可視光が漏れたとしても人目につきにくいので、私的状況と検出しても問題ないからである。
【0042】
状況検出部112は、このようにして検出したユーザのおかれている状況を、照射制御部113に対して出力する。
【0043】
照射制御部113は、所定の条件(例えば、ユーザの照射切り替え操作や、ユーザのおかれている状況)に基づいて、光を照射する主体を、可視光照射部16及び非可視光照射部17の一方から他方に択一的に切り替えることにより光の照射を制御する。
具体的に、照射制御部113は、ユーザによる入力部19や他の装置への照射切り替え操作を受け付けた場合に、光を照射する主体を、可視光照射部16及び非可視光照射部17の一方から他方に択一的に切り替える。例えば、照射制御部113は、現在可視光照射部16による可視光が照射されている場合には、可視光照射部16による可視光の照射を停止すると共に、非可視光照射部17による非可視光の照射を開始する。一方で、照射制御部113は、現在非可視光照射部17による非可視光が照射されている場合には、非可視光照射部17による非可視光の照射を停止すると共に、可視光照射部16による可視光の照射を開始する。
【0044】
また、状況検出部112によるユーザのおかれている状況の検出結果に基づいて、光を照射する主体を、可視光照射部16及び非可視光照射部17の一方から他方に択一的に切り替える。具体的に、状況検出部112は、公的状況であると検出された場合には、非可視光照射部17による非可視光の照射が行われるようにし、私的状況であると検出された場合には、可視光照射部16による可視光の照射が行われるように切り替える。
【0045】
そのために、照射制御部113は、状況検出部112が公的状況にあると検出した場合であって、現在可視光照射部16による可視光が照射されている場合には、可視光照射部16による可視光の照射を停止すると共に、非可視光照射部17による非可視光の照射を開始する。一方で、状況検出部112が私的状況にあると検出した場合であって、現在非可視光照射部17による非可視光が照射されている場合には、非可視光照射部17による非可視光の照射を停止すると共に、可視光照射部16による可視光の照射を開始する。
【0046】
これにより、照射制御部113は、ユーザの照射切り替え操作や、ユーザのおかれている状況といった所定の条件に基づいて、光を照射する主体を、可視光照射部16及び非可視光照射部17の一方から他方に択一的に切り替えることにより光の照射を制御する。
【0047】
なお、照射制御部113は、必要であれば、可視光照射部16と非可視光照射部17の切り替えに伴い、受光部18の各種パラメータも切り替える制御も行う。例えば、可視光よりも非可視光の方が、反射光の強度が弱くなるので、可視光照射部16による可視光の照射から、非可視光照射部17による非可視光の照射に切り替える場合に、受光部18による測定の感度が高くなるようにパラメータを切り替える。なお、可視光照射部16と非可視光照射部17のそれぞれに対応して受光部18を2つ設け、可視光照射部16と非可視光照射部17での切り替えに伴い、この2つの受光部18を切り替えて利用するようにしてもよい。
【0048】
[動作]
図4は、図3の機能的構成を有する図1の生体情報検出装置1が実行する生体情報検出処理の流れを説明するフローチャートである。
生体情報検出処理は、生体情報検出装置1の電源投入、あるいはユーザによる入力部19や他の装置への生体情報検出処理開始の操作により開始される。
【0049】
ステップS11において、非可視光照射部17は、非可視光の照射を開始する。ここで、現時点では、ユーザが公的状況にあるのか私的状況にあるのか不明であるので、公的状況で光が漏れることを防止するために、可視光ではなく、非可視光の照射を開始する。
【0050】
ステップS12において、生体情報検出部111は、生体情報の検出を開始する。
ステップS13において、状況検出部112は、ユーザのおかれている状況の検出を開始する。
【0051】
ステップS14において、照射制御部113は、状況検出部112の検出結果に基づいて、現在ユーザが公的状況におかれているか否かを判定する。ユーザが公的状況におかれている場合は、ステップS14においてYesと判定され、処理はステップS15に進む。一方で、ユーザが公的状況におかれておらず私的状況におかれている場合は、ステップS14においてNoと判定され、処理はステップS17に進む。
【0052】
ステップS15において、照射制御部113は、現在照射されている光が、可視光照射部16による可視光であるか否かを判定する。可視光照射部16による可視光である場合は、ステップS15においてYesと判定され、処理はステップS16に進む。一方で、可視光照射部16による可視光ではなく非可視光照射部17による非可視光の場合は、ステップS15においてNoと判定され、処理はステップS19に進む。
【0053】
ステップS16において、現在公的状況において可視光照射部16による可視光が照射されていることとなるので、照射制御部113は、照射の主体を、可視光照射部16から非可視光照射部17に切り替える。これにより、公的状況で、非可視光照射部17による非可視光の照射が行われ、光が漏れる問題を防止することができる。すなわち、検出したユーザの状況に応じた切り替えを実現することができる。
【0054】
ステップS17において、照射制御部113は、現在照射されている光が、非可視光照射部17による非可視光であるか否かを判定する。非可視光照射部17による非可視光である場合は、ステップS17においてYesと判定され、処理はステップS18に進む。一方で、非可視光照射部17による非可視光ではなく可視光照射部16による可視光の場合は、ステップS17においてNoと判定され、処理はステップS19に進む。
【0055】
ステップS18において、現在私的状況において非可視光照射部17による非可視光が照射されていることとなるので、照射制御部113は、照射の主体を、非可視光照射部17から可視光照射部16に切り替える。これにより、私的状況で、可視光照射部16による可視光の照射が行われ、可視光により精度高く検出を行うことができる。すなわち、検出したユーザの状況に応じた切り替えを実現することができる。
【0056】
なお、今回はいち早く生体情報の検出を開始するために、ステップS11において、非可視光を照射して、ステップS12において生体情報の検出を開始しているが、これを省略してもよい。すなわち、ステップS14の判定結果に基づいて、可視光照射部16又は非可視光照射部17による照射を開始してから生体情報の検出を開始するようにしてもよい。
【0057】
ステップS19において、照射制御部113は、状況検出部112の検出結果に基づいて、現在ユーザがおかれている状況が変化したか否かを判定する。すなわち、公的状況から私的状況に変化したり、私的状況から公的状況に変化したりしたか否かを判定する。現在ユーザがおかれている状況が変化した場合は、ステップS19においてYesと判定され、処理はステップS14に戻り、上述した処理が繰り返される。一方で、現在ユーザがおかれている状況が変化していない場合は、ステップS19においてNoと判定され、処理はステップS20に進む。
【0058】
ステップS20において、照射制御部113は、ユーザによる入力部19や他の装置への照射切り替え操作を受け付けたか否かを判定する。照射切り替え操作を受け付けた場合は、ステップS20においてYesと判定され、処理はステップS21に進む。一方で、照射切り替え操作を受け付けない場合は、ステップS20においてNoと判定され、処理はステップS24に進む。
【0059】
ステップS21において、照射制御部113は、現在照射されている光が、可視光照射部16による可視光であるか否かを判定する。可視光照射部16による可視光である場合は、ステップS21においてYesと判定され、処理はステップS22に進む。一方で、可視光照射部16による可視光ではなく非可視光照射部17による非可視光の場合は、ステップS21においてNoと判定され、処理はステップS23に進む。
【0060】
ステップS22において、現在可視光照射部16による可視光が照射されていることとなるので、照射制御部113は、照射の主体を、可視光照射部16から非可視光照射部17に切り替える。これにより、非可視光照射部17による非可視光の照射が行われ、ユーザの照射切り替え操作に応じた切り替えを実現することができる。
【0061】
ステップS23において、現在非可視光照射部17による非可視光が照射されていることとなるので、照射制御部113は、照射の主体を、非可視光照射部17から可視光照射部16に切り替える。これにより、可視光照射部16による可視光の照射が行われ、ユーザの照射切り替え操作に応じた切り替えを実現することができる。
【0062】
ステップS24において、照射制御部113は、生体情報検出処理の終了条件が満たされたか否かを判定する。終了条件は、例えば、ユーザによる入力部19や他の装置への生体情報検出処理の終了操作を受け付けたことである。終了条件が満たされた場合は、ステップS24においてYesと判定され、本処理は終了する。一方で、終了条件が満たされない場合は、ステップS24においてNoと判定され、処理はステップS19に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0063】
以上説明した生体情報検出処理によれば、生体情報検出装置1は、2つの波長の光の照射を制御して生体情報を検出することから、1つの波長の光の照射を制御する場合に比べて、より多様な方法で、生体情報の検出を行うことができる。例えば、周囲の環境に応じて、可視光と非可視光を切り替えることにより、精度よく測定することができる。また、ユーザは、他者の目を意識せずに気兼ねなく測定することができる。
すなわち、生体情報検出装置1は、ユーザにとって、より適した方法で生体情報の検出を行うことができる。
【0064】
[構成例]
以上のように構成される生体情報検出装置1は、ユーザに装着される。
生体情報検出装置1は、可視光照射部16と、非可視光照射部17と、照射制御部113と、受光部18と、生体情報検出部111と、を有する。
可視光照射部16は、ユーザの装着部位に対して、第1の波長の光(可視光に相当)を照射する。
非可視光照射部17は、ユーザの装着部位に対して、第2の波長の光(非可視光に相当)を照射する。
照射制御部113は、可視光照射部16及び非可視光照射部17の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする。
受光部18は、可視光照射部16及び非可視光照射部17により照射された照射光の反射光を受光する。
生体情報検出部111は、受光部18により受光された反射光に基づいて、ユーザの生体情報を検出する。
このように、生体情報検出装置1は、2つの波長の光の照射を制御して生体情報を検出することから、1つの波長の光の照射を制御する場合に比べて、より多様な方法で、生体情報の検出を行うことができる。従って、生体情報検出装置1は、ユーザにとって、より適した方法で生体情報の検出を行うことができる。
【0065】
照射制御部113は、光を照射する主体を、可視光照射部16及び非可視光照射部17の一方から他方に択一的に切り替えることにより光の照射を制御する。
これにより、生体情報検出装置1は、2つの波長の光の照射を、択一的に切り替えて、使い分けることができる。
【0066】
照射制御部113は、可視光照射部16及び非可視光照射部17の照射の態様を変更することにより光の照射を制御する。
これにより、生体情報検出装置1は、2つの波長の光の照射を、態様(例えば、発光強度に応じた照射する光の輝度)を変更して、使い分けることができる。
【0067】
生体情報検出部111は、受光部18により受光された反射光に基づいて、ユーザの生体情報として脈波を検出する。
これにより、生体情報検出装置1は、1つの波長の光の照射を制御する場合に比べて、より多様な方法で、脈拍の検出を行うことができる。
【0068】
生体情報検出部111により検出されたユーザの生体情報に基づいて、ユーザの脈拍数を算出する算出手段を有する。
これにより、生体情報検出装置1は、1つの波長の光の照射を制御する場合に比べて、より多様な方法で、脈拍数の算出を行うことができる。
【0069】
照射制御部113は、ユーザによる操作に応じて、可視光照射部16及び非可視光照射部17による光の照射を制御する。
これにより、生体情報検出装置1は、ユーザの選択に基づいて、ユーザにとって、より適した方法で生体情報の検出を行うことができる。
【0070】
生体情報検出装置1は、状況検出部112を更に備える。
状況検出部112は、ユーザのおかれている状況を検出する。
照射制御部113は、状況検出部112が検出したユーザのおかれている状況に応じて、可視光照射部16及び非可視光照射部17による光の照射を制御する。
これにより、生体情報検出装置1は、ユーザの選択に基づいて、ユーザにとって、より適した方法で生体情報の検出を行うことができる。
【0071】
[変形例]
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、上述の実施形態を以下の変形例のように変形してもよい。
【0072】
<第1変形例>
上述の実施形態では、状況検出部112は、ユーザのおかれている状況を検出するために、GPSセンサを利用した位置情報に基づいた判定と、加速度センサを利用した行動推定に基づいた判定を行っていた。これに限らず、ユーザのおかれている状況を検出するために、他のセンサ等を利用した判定も行うようにしてもよい。
【0073】
例えば、状況検出部112は、生体情報検出装置1の周囲の照度を測定する照度センサを利用するようにしてもよい。この場合、状況検出部112は、照度センサの測定に基づいて、周囲が明るい場合には、人目のある可能性があると判定して公的状況を検出し、周囲が暗い場合には、寝室等で人目がないと判定して私的状況を検出するようにしてもよい。
【0074】
また、他にも、状況検出部112は、生体情報検出装置1の周囲の音を集音するマイクを利用するようにしてもよい。この場合、状況検出部112は、マイクにより人の声が集音された場合には、周囲に他者がいて人目のある可能性があると判定して公的状況を検出し、人の声が集音されない場合には、周囲に他者がおらず人目がないと判定して私的状況を検出するようにしてもよい。
【0075】
更に、他にも、状況検出部112は、例えば、現在時刻を利用するようにしてもよい。この場合、状況検出部112は、現在の時間帯が深夜帯でない場合には、周囲に他者がいて人目のある可能性があると判定して公的状況を検出し、現在の時間帯が深夜帯の場合には、周囲に他者がおらず人目がないと判定して私的状況を検出するようにしてもよい。
【0076】
また、このような様々な判定による検出を組み合わせて行うようにしてもよい。例えば、現在の時間帯が深夜帯であっても、位置情報に基づいた判定で道路等に位置していると判定された場合には、周囲に他者がいて人目のある可能性があると判定して公的状況を検出してもよい。
【0077】
<第2変形例>
上述の実施形態では、照射制御部113は、所定の条件(例えば、ユーザの照射切り替え操作や、ユーザのおかれている状況)に基づいて、光を照射する主体を、可視光照射部16及び非可視光照射部17の一方から他方に択一的に切り替えることにより光の照射を制御していた。これに限らず、照射制御部113は、光を照射する主体を、可視光照射部16及び非可視光照射部17の双方としてもよい。すなわち、照射制御部113は、可視光照射部16及び非可視光照射部17の双方に、同時に光の照射をさせるようにしてもよい。そして、照射制御部113は、所定の条件に基づいて、可視光照射部16及び非可視光照射部17の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御として、それぞれの照射の態様を異ならせる。ここで、照射の態様を変更するとは、例えば、可視光照射部16及び非可視光照射部17における、発光強度に応じた照射する光の輝度、照射する光の波長、あるいは照射対象範囲等を変更することである。
【0078】
例えば、照射の態様として、発光強度に応じた照射する光の輝度を異ならせる場合、照射制御部113は、一方の輝度が、他方の輝度よりも相対的に高くなるようにする。
より具体的には、例えば、状況検出部112は、公的状況、公的状況の可能性を含んだ私的状況、及び私的状況というように、ユーザのおかれている状況を3種類以上検出する。そして、照射制御部113は、公的状況の場合には非可視光照射部17のみに光を照射させるが、私的状況の可能性がある場合には、可視光照射部16にも光を照射させる。また、照射制御部113は、私的状況の可能性の程度に基づいて、それぞれの輝度を変更する。例えば、私的状況の可能性が高くなるにつれて、非可視光照射部17の輝度よりも、可視光照射部16の輝度の方が高くなるように変更する。また、照射制御部113は、ユーザの照射切り替え操作にも基づいて、同様に輝度の変更を行なう。
【0079】
このように、照射制御部113は、可視光照射部16及び非可視光照射部17の双方に、同時に光の照射をさせると共に、可視光照射部16及び非可視光照射部17それぞれの照射の態様を異ならせることによっても、可視光照射部16及び非可視光照射部17の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をすることができる。
従って、本変形によれば、ユーザにとって、より適したより多様な方法で生体情報の検出を行うことを目的とする。
【0080】
また、これに限らず、照射制御部113は、所定の条件に基づいて、可視光照射部16及び非可視光照射部17の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御と共に、更に他の制御を行うようにしてもよい。
例えば、光を照射する主体となっている可視光照射部16及び非可視光照射部17の照射の態様を変更することにより光の照射を制御するようにしてもよい。
この場合、例えば、照射制御部113は、ユーザの切り替え操作に応じて、可視光照射部16による高輝度な可視光の照射、可視光照射部16による低輝度な可視光の照射、及び非可視光照射部17による非可視光の照射、というように光を照射する主体の切り替えのみならず、可視光照射部16による照射の態様を変更することも含めた制御を行うようにしてもよい。
【0081】
また、この場合に、例えば、状況検出部112は、公的状況、公的状況の可能性を含んだ私的状況、及び私的状況というように、ユーザのおかれている状況を3種類以上検出してもよい。そして、照射制御部113は、この検出結果に基づいて、上述したように、光を照射する主体の切り替えのみならず、可視光照射部16による照射の態様を変更することも含めた制御を行うようにしてもよい。
【0082】
また、この場合に、例えば、上述したように、状況検出部112は、公的状況、公的状況の可能性を含んだ私的状況、及び私的状況というように、ユーザのおかれている状況を3種類以上検出してもよい。そして、照射制御部113は、この検出結果に基づいて、上述したように、光を照射する主体の切り替えや、光を照射している主体の照射の態様の変更のみならず、光を照射している何れかの主体の照射の態様を変更することも含めた制御を行うようにしてもよい。
【0083】
<第3変形例>
上述の実施形態では、本発明が適用される対象が、イヤホン型の生体情報検出装置1である場合を例にとって説明したが、これに限らない。本発明は、他の形状の電子機器であって、ユーザが装着する電子機器一般に適用することができる。例えば、本発明は、ネックレス型や、ブレスレット型等の形状であって、可視光照射部16が発光した場合に、光が漏れるようなおそれのある形状の電子機器に適用することができる。
【0084】
また、上述の実施形態でも述べたように、他の装置との通信を行い、この他の装置を生体情報検出装置1の操作受付部や、表示部として機能させてもよい。この場合に、この他の装置が、生体情報検出装置1が備える機能ブロックの機能を一部実現してもよい。例えば、この他の装置が、センシングや、状況検出部112に代わっての行動推定を行い、この行動推定の結果を、通信により照射制御部113に送信するようにしてもよい。
【0085】
また、他にも、生体情報検出装置1が、操作受付部や、表示部をハードウェアとして備え、他の装置との通信を要することなく、生体情報検出処理における一連の処理を実現するようにしてもよい。この場合、操作受付部は、例えば、各種ボタンやスイッチで実現することができる。また、表示部は、例えば、小型のディスプレイや、脈波の検出に応じて点滅を行なうランプ等により実現することができる。なお、この場合、生体情報検出装置1から、通信部22を省略するようにしてもよい。
【0086】
<他の変形例>
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が生体情報検出装置1や他の装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0087】
本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
【0088】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0089】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図2のROM12や、図2の記憶部20に含まれるハードディスク等で構成される。
【0090】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0091】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0092】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
ユーザに装着される電子機器であって、
前記ユーザの装着部位に対して、第1の波長の光を照射する第1発光手段と、
前記ユーザの装着部位に対して、第2の波長の光を照射する第2発光手段と、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする制御手段と、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段により照射された照射光の反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段により受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報を検出する検出手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
[付記2]
前記制御手段は、光を照射する主体を、前記第1発光手段及び前記第2発光手段の一方から他方に択一的に切り替えることにより光の照射を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記3]
前記検出手段は、前記受光手段により受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報として脈波を検出する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の電子機器。
[付記4]
前記検出手段により検出された前記ユーザの生体情報に基づいて、前記ユーザの脈拍数を算出する算出手段を有する、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
[付記5]
前記制御手段は、前記ユーザによる操作に応じて、前記第1発光手段及び前記第2発光手段による光の照射を制御する、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の電子機器。
[付記6]
前記ユーザのおかれている状況を検出する状況検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記状況検出手段が検出した前記ユーザのおかれている状況に応じて、前記第1発光手段及び前記第2発光手段による光の照射を制御する、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の電子機器。
[付記7]
ユーザに装着されると共に、
前記ユーザの装着部位に対して、第1の波長の光を照射する第1発光手段と、
前記ユーザの装着部位に対して、第2の波長の光を照射する第2発光手段と、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段により照射された照射光の反射光を受光する受光手段と、
を備える電子機器が行う検出方法であって、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする制御ステップと、
前記受光手段にて受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報を検出する検出ステップと、
を有することを特徴とする検出方法。
[付記8]
ユーザに装着されるコンピュータを、
前記ユーザの装着部位に対して、第1の波長の光を照射する第1発光手段、
前記ユーザの装着部位に対して、第2の波長の光を照射する第2発光手段、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段の何れが優先して光を照射するのかを切り替える制御をする制御手段、
前記第1発光手段及び前記第2発光手段により照射された照射光の反射光を受光する受光手段、
前記受光手段により受光された反射光に基づいて、前記ユーザの生体情報を検出する検出手段、
として機能させる検出プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
【符号の説明】
【0093】
1・・・生体情報検出装置,11・・・CPU,12・・・ROM,13・・・RAM,14・・・バス,15・・・入出力インターフェース,16・・・可視光照射部,17・・・非可視光照射部,18・・・受光部,19・・・入力部,20・・・記憶部,21・・・通信部,22・・・センサ部,111・・・生体情報検出部,112・・・状況検出部,113・・・照射制御部,201・・・生体情報記憶部
図1
図2
図3
図4