(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/58 20060101AFI20240110BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240110BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240110BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240110BHJP
B65H 31/18 20060101ALI20240110BHJP
B65H 31/34 20060101ALI20240110BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20240110BHJP
B65H 29/62 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H29/58 Z
G03G21/00 370
G03G21/00 500
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/38
B65H31/18
B65H31/34
B65H9/00 A
B65H29/62
(21)【出願番号】P 2019132766
(22)【出願日】2019-07-18
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山口 聖丘
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-047919(JP,A)
【文献】特開平04-049163(JP,A)
【文献】特開2001-206646(JP,A)
【文献】特開2019-077044(JP,A)
【文献】特開2006-297706(JP,A)
【文献】特開2006-256792(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0119245(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/58
B65H 29/62
G03G 21/00
B41J 2/01
B41J 29/38
B65H 29/58
B65H 31/18
B65H 31/34
B65H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが排出される排出トレイと、
前記排出トレイ上での前記シートの位置を変位させる変位機構と、
前記変位機構を制御する制御部と、
前記シートを搬送する搬送部と、
前記シートに画像を形成する画像形成部と
を備え、
前記搬送部は、前記画像が形成される前記シートの面を反転させる反転部を含み、
前記変位機構は、前記反転部に設けられ、
前記制御部は、
前記シートが、所定の条件と合致する有効シートであるか、前記所定の条件と合致しない無効シートであるかを判定し、
前記排出トレイ上で、前記有効シートの位置と前記無効シートの位置とが異なるように前記変位機構を制御する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記シートが前記有効シートであると判定した場合、前記シートの中心軸と前記画像の中心軸とが略一致するように、前記変位機構を制御し、
前記制御部は、前記シートが前記無効シートであると判定した場合、前記シートの中心軸が前記画像の中心軸から外れるように、前記変位機構を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
シートが排出される排出トレイと、
前記排出トレイ上での前記シートの位置を変位させる変位機構と、
前記変位機構を制御する制御部と、
前記シートに画像を形成する画像形成部と
を備え、
前記制御部は、
前記シートが、所定の条件と合致する有効シートであるか、前記所定の条件と合致しない無効シートであるかを判定し、
前記排出トレイ上で、前記有効シートの位置と前記無効シートの位置とが異なるように前記変位機構を制御し、
前記所定の条件は、第1条件を含み、
前記第1条件は、前記シートの中心軸と前記画像の中心軸とが略一致することであり、
前記制御部は、前記シートが前記第1条件と合致するか否かを判定して、前記シートが前記有効シートであるか前記無効シートであるかを判定する、画像形成装置。
【請求項4】
シートが排出される排出トレイと、
前記排出トレイ上での前記シートの位置を変位させる変位機構と、
前記変位機構を制御する制御部と、
前記シートを搬送する搬送部と、
前記シートのサイズを示すサイズデータを記憶する記憶部と
を備え、
前記制御部は、
前記シートが、所定の条件と合致する有効シートであるか、前記所定の条件と合致しない無効シートであるかを判定し、
前記排出トレイ上で、前記有効シートの位置と前記無効シートの位置とが異なるように前記変位機構を制御し、
前記所定の条件は、第2条件を含み、
前記第2条件は、前記搬送部によって搬送されている前記シートのサイズである実サイズと、前記サイズデータとが一致することであり、
前記制御部は、前記シートが前記第2条件と合致するか否かを判定して、前記シートが前記有効シートであるか前記無効シートであるかを判定する、画像形成装置。
【請求項5】
シートが排出される排出トレイと、
前記排出トレイ上での前記シートの位置を変位させる変位機構と、
前記変位機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記シートが、所定の条件と合致する有効シートであるか、前記所定の条件と合致しない無効シートであるかを判定し、
前記排出トレイ上で、前記有効シートの位置と前記無効シートの位置とが異なるように前記変位機構を制御し、
前記所定の条件は、第3条件を含み、
前記第3条件は、前記シートに穴が開いていないことであり、
前記制御部は、前記シートが前記第3条件と合致するか否かを判定して、前記シートが前記有効シートであるか前記無効シートであるかを判定する、画像形成装置。
【請求項6】
シートが排出される排出トレイと、
前記排出トレイ上での前記シートの位置を変位させる変位機構と、
前記変位機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記シートが、所定の条件と合致する有効シートであるか、前記所定の条件と合致しない無効シートであるかを判定し、
前記排出トレイ上で、前記有効シートの位置と前記無効シートの位置とが異なるように前記変位機構を制御し、
前記制御部は、前記無効シートが前記所定の条件から乖離する程度を示す乖離度を更に判定し、
前記制御部は、前記排出トレイ上で前記有効シートの位置から前記無効シートの位置が離れる程度を、前記乖離度に応じて決定する、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙を仕分ける画像形成装置が特許文献1に記載されている。具体的には、特許文献1の画像形成装置は、センサと、排紙トレイと、裏紙トレイと、廃棄トレイとを備える。センサは、用紙上の汚点を検知する。特許文献1の画像形成装置は、用紙の両面のうち、片面にのみ汚点が検知された場合、汚点が検知されなかった面に画像を形成して、用紙を排紙トレイに排紙する。特許文献1の画像形成装置は、用紙の両面とも汚点が検知されなかった場合、用紙の両面のいずれにも画像を形成することなく、用紙を裏紙トレイに搬送する。特許文献1の画像形成装置は、用紙の両面に汚点が検知された場合、用紙を廃棄トレイに廃棄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、用紙を仕分けるために、用紙の排出先を複数設ける必要がある。そのため、特許文献1の画像形成装置は、用紙の排出先が1箇所しかない画像形成装置に適用できない。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートの排出先が1箇所であっても、作業者がシートを仕分ける作業を補助することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、排出トレイと、変位機構と、制御部とを備える。前記排出トレイには、シートが排出される。前記変位機構は、前記排出トレイ上での前記シートの位置を変位させる。前記制御部は、前記変位機構を制御する。前記制御部は、前記シートが、所定の条件と合致する有効シートであるか、前記所定の条件と合致しない無効シートであるかを判定する。前記制御部は、前記排出トレイ上で、前記有効シートの位置と前記無効シートの位置とが異なるように前記変位機構を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの排出先が1箇所であっても、作業者がシートを仕分ける作業を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】(a)は、本発明の実施形態1に係る搬送部の第1合流箇所付近を示す図である。(b)は、本発明の実施形態1に係る搬送部の第2合流箇所付近及び第3合流箇所付近を示す図である。
【
図3】(a)は、本発明の実施形態1に係る反転部及びシート変位機構の構成を示す正面図である。(b)は、本発明の実施形態1に係るシート変位機構が有効シートの位置を変位させた後の状態を示す正面図である。
【
図4】(a)は、本発明の実施形態1に係る反転部及びシート変位機構の構成を示す平面図である。(b)は、本発明の実施形態1に係るシート変位機構が有効シートの位置を変位させた後の状態を示す平面図である。
【
図5】(a)は、本発明の実施形態1に係るシート変位機構が無効シートの位置を変位させた後の状態を示す正面図である。(b)は、本発明の実施形態1に係るシート変位機構が無効シートの位置を変位させた後の状態を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る排出トレイに排出された有効シート及び無効シートを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係る制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態1に係る制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図9】(a)は、本発明の実施形態1に係る第1ガイダンス画面を示す図である。(b)は、本発明の実施形態1に係る第2ガイダンス画面を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る制御部が実行する処理の一部を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態2に係る排出トレイに排出された無効シートを示す図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図13】(a)は、本発明の実施形態4に係る第2シート変位機構を示す図である。(b)は、本発明の実施形態4に係る第2シート変位機構が排出トレイをシート幅方向に移動させた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
[実施形態1]
図1を参照して、本実施形態の画像形成装置100を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は、シートPに画像を形成する。具体的には、本実施形態の画像形成装置100は、カラー印刷及びモノクロ印刷が可能なインクジェットプリンターである。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置100は、筐体101と、搬送部2と、画像形成部3と、第1排出部4aと、第2排出部4bと、操作パネル5と、通信部6と、汚れ検知センサー7aと、イメージセンサー7bと、制御部8と、シート変位機構9と、給紙部10と、第1搬送ユニット24と、第2搬送ユニット25とを備える。筐体101は、搬送部2、画像形成部3、第1排出部4a、第2排出部4b、通信部6、汚れ検知センサー7a、イメージセンサー7b、制御部8、シート変位機構9、給紙部10、第1搬送ユニット24、及び第2搬送ユニット25を収容する。
【0012】
以下では、まず、搬送部2と、画像形成部3と、シート変位機構9と、給紙部10と、第1搬送ユニット24と、第2搬送ユニット25とを説明する。
【0013】
給紙部10は、シートPを搬送部2に供給する。本実施形態において、給紙部10は、第1給紙部10a~第4給紙部10d、及び手差し給紙部10eを含む。
【0014】
第1給紙部10a~第4給紙部10dはそれぞれ、カセット11と、給紙ローラー12とを有する。カセット11はそれぞれ、シートPを収容する。より具体的には、カセット11はそれぞれ、複数枚のシートPを収容可能である。給紙ローラー12はそれぞれ、対応するカセット11からシートPをピックアップして搬送部2に供給する。より具体的には、給紙ローラー12はそれぞれ、対応するカセット11が複数枚のシートPを収容している場合、最上部に位置するシートPをピックアップする。
【0015】
手差し給紙部10eは、手差しトレイ13と、給紙ローラー対14とを有する。手差しトレイ13は、その一部が筐体101の外部へ突出するように配置される。手差しトレイ13には、シートPが載置される。より具体的には、ユーザーは、手差しトレイ13に複数枚のシートPを載置可能である。給紙ローラー対14は、手差しトレイ13からシートPをピックアップして搬送部2に供給する。より具体的には、給紙ローラー対14は、手差しトレイ13に複数枚のシートPが載置されている場合、最上部に位置するシートPをピックアップする。
【0016】
搬送部2は、搬送経路21に沿ってシートPを搬送する。より具体的には、搬送部2は、複数の搬送ローラー対22を有する。複数の搬送ローラー対22は、搬送経路21に沿って配置される。複数の搬送ローラー対22はそれぞれ、シートPを挟んだ状態で回転する。この結果、シートPが搬送される。
【0017】
本実施形態において、搬送部2は、第1搬送部2a~第7搬送部2gを含む。また、搬送部2は、反転部26を含む。
【0018】
第1搬送部2aには、給紙部10からシートPが供給される。第1搬送部2aは、シートPを第1搬送ユニット24まで搬送する。第1搬送部2aは、レジストローラー対23を有する。レジストローラー対23は、シートPを第1搬送ユニット24に送出する。より具体的には、レジストローラー対23は、第1搬送ユニット24にシートPを送出するタイミングを調整する。詳しくは、レジストローラー対23まで搬送されたシートPは、レジストローラー対23に当接する。レジストローラー対23は、画像形成部3による画像形成のタイミングに合わせて、第1搬送ユニット24にシートPを送出する。
【0019】
なお、レジストローラー対23は、シートPの先端の辺が副走査方向と略直交するようにシートPの姿勢を補正してもよい。換言すると、レジストローラー対23は、シートPに形成される画像の中心軸AがシートPの先端の辺と略直交するようにシートPの姿勢を補正してもよい。この結果、シートPの先端の辺の方向が主走査方向に沿った方向となる。シートPの姿勢は、シートPの先端の辺がレジストローラー対23に当接して撓むことにより補正される。
【0020】
第1搬送ユニット24は、シートPを第2搬送ユニット25まで搬送する。より具体的には、第1搬送ユニット24は、画像形成部3の直下をシートPが通過するようにシートPを搬送する。第1搬送ユニット24は、例えば、無端状のベルトと、ベルト駆動部と、負圧発生部とを有し得る。ベルトは、画像形成部3の直下に配置される。負圧発生部は、シートPをベルトに吸着させる。ベルト駆動部は、ベルトを周回させる。ベルトが周回することにより、ベルトに吸着したシートPが画像形成部3の直下を通過する。
【0021】
画像形成部3は、シートPに画像を形成する。より具体的には、画像形成部3は、第1搬送ユニット24によってシートPが搬送されている間に、シートPに画像を形成する。また、画像形成部3は、両面印刷時に、シートPの一方の面に第1画像を形成した後に、シートPの他方の面に第2画像を形成する。
【0022】
本実施形態において、画像形成部3は、4つの記録ヘッド31を有する。第1搬送ユニット24は、4つの記録ヘッド31と対向する領域をシートPが通過するようにシートPを搬送する。換言すると、シートPは、4つの記録ヘッド31の直下の領域を通過する。なお、以下の説明において、第1画像が形成されるシートPの一方の面を「第1面」と記載し、第2画像が形成されるシートPの他方の面を「第2面」と記載する場合がある。
【0023】
4つの記録ヘッド31はそれぞれ、インクをシートPに向けて吐出する。詳しくは、4つの記録ヘッド31はそれぞれ、第1搬送ユニット24に対向する多数のノズルを有する。インクはノズルからシートPに向けて吐出される。
【0024】
また、4つの記録ヘッド31はそれぞれ、互いに色が異なるインクをシートPに向けて吐出する。より具体的には、4つの記録ヘッド31は、ブラック色のインク、シアン色のインク、マゼンタ色のインク、及びイエロー色のインクを吐出する。
【0025】
第2搬送ユニット25は、シートPを第2搬送部2bまで搬送する。第2搬送ユニット25は、第1搬送ユニット24と同様に、無端状のベルトと、ベルト駆動部と、負圧発生部とを有し得る。
【0026】
第2搬送部2bは、第3搬送部2cと第7搬送部2gとが合流する第1合流箇所M1までシートPを搬送する。シートPは、第1合流箇所M1に到達した後、第3搬送部2cと第7搬送部2gとのいずれかに搬送される。
【0027】
第3搬送部2cは、第4搬送部2dと第6搬送部2fとが合流する第2合流箇所M2までシートPを搬送する。より詳しくは、第3搬送部2cは、画像形成部3の上方をシートPが通過するようにシートPを搬送する。シートPは、第2合流箇所M2に到達した後、第4搬送部2dと第6搬送部2fとのいずれかに搬送される。
【0028】
第4搬送部2dは、反転部26と第5搬送部2eとが合流する第3合流箇所M3を介して、反転部26にシートPを搬送する。反転部26は、第3合流箇所M3から離れる方向にシートPを搬送した後、第3合流箇所M3へ向けてシートPを搬送する。この結果、両面印刷時に、画像が形成されるシートPの面が反転する。シートPは、第3合流箇所M3を介して第5搬送部2eに搬送される。
【0029】
本実施形態において、シート変位機構9は、反転部26の終端に設けられる。シート変位機構9は、両面印刷時に、第2画像の中心軸AとシートPの中心軸PAとが略一致するようにシートPの位置を変位させる。具体的には、シート変位機構9は、シートPの搬送方向SDに直交する方向にシートPの位置を変位させる。
【0030】
第5搬送部2eは、第5搬送部2eと第1搬送部2aとが合流する第4合流箇所M4までシートPを搬送する。その結果、シートPは、第4合流箇所M4を介して第1搬送部2aに搬送される。その後、シートPは、再度、レジストローラー対23まで搬送される。そして、シートPは、第1搬送ユニット24及び第2搬送ユニット25によって、第2搬送部2bまで搬送される。このとき、シートPは、給紙部10から供給されるシートPとは反対側の面(第2面)が画像形成部3に対向する状態で搬送される。その結果、両面印刷時に、シートPの第2面に第2画像が形成される。
【0031】
第6搬送部2fは、第6搬送部2fの搬送経路21に沿って、第1排出部4aまでシートPを導く。第1排出部4aは、シートPを筐体101の外部に排出する。具体的には、第1排出部4aは、第1排出ローラー対41と、排出トレイ42とを有する。第1排出ローラー対41は、シートPを挟んだ状態で回転して、シートPを排出トレイ42に排出する。排出トレイ42は、その一部が筐体101の外部に突出するように配置される。
【0032】
第7搬送部2gは、第7搬送部2gの搬送経路21に沿って、第2排出部4bまでシートPを導く。第2排出部4bは、画像形成装置100に後処理装置が接続されている場合に使用される。具体的には、第2排出部4bは、画像形成装置100に後処理装置が接続されている場合、後処理装置に向けてシートPを排出する。詳しくは、第2排出部4bは、第2排出ローラー対43を有する。第2排出ローラー対43は、シートPを挟んだ状態で回転して、後処理装置に向けてシートPを送出する。
【0033】
本実施形態では、画像形成装置100に後処理装置が接続されていないため、第2排出部4bは使用されない。したがって、第1合流箇所M1に到達したシートPは、第3搬送部2cに搬送される。また、本実施形態の画像形成装置100において、シートPの排出先は、排出トレイ42の1箇所である。
【0034】
なお、後処理装置は、シートPに、例えば穿孔処理及びステープル処理のような後処理を施す装置である。穿孔処理は、シートPにパンチ穴を穿孔する処理である。ステープル処理は、ステープル針を用いて複数枚のシートPの束を綴じる処理である。
【0035】
続いて、操作パネル5、通信部6、汚れ検知センサー7a、イメージセンサー7b、及び制御部8を説明する。
【0036】
操作パネル5は、筐体101の外部に配置される。操作パネル5は、ユーザーによる種々の操作を受け付ける。操作パネル5は、ユーザーによる操作を受け付けると、ユーザーの操作を示す信号を制御部8へ送信する。その結果、制御部8が、ユーザーの操作に対応する処理を実行する。
【0037】
具体的には、操作パネル5は、タッチディスプレー51と、ハードキー52とを有する。タッチディスプレー51は、各種の画面を表示する。また、タッチディスプレー51は、ユーザーによるジェスチャー操作を受け付ける。ジェスチャー操作は、例えば、タップ操作、スワイプ操作、及びフリック操作を含む。ハードキー52は、例えば、矢印キー、実行キー、及びテンキーを含む。矢印キーが操作されると、例えば選択対象が変更される。実行キーが操作されると、例えば選択されている処理が実行される。テンキーが操作されると、数を示す情報が制御部8に入力される。
【0038】
通信部6は、LAN(Local Area Network)のようなネットワークに接続して、外部機器Eとの間で通信を行う。通信部6は、例えば、LANボードのようなネットワークインターフェイスである。外部機器Eは、例えばパーソナルコンピューター(PC)である。
【0039】
通信部6は、外部機器Eからジョブデータを受信する。ジョブデータは、制御部8へ送信される。ジョブデータは、画像データ、シートサイズ指定データ、給紙元指定データ、片面印刷/両面印刷指定データ、及びモノクロ印刷/カラー印刷指定データを含む。
【0040】
画像データは、シートPに形成する画像を示す。画像データは、複数ページの画像を示す場合がある。シートサイズ指定データは、シートPのサイズを指定する。給紙元指定データは、シートPを給紙する給紙元を指定する。給紙元指定データは、給紙元として、シートサイズ指定データに対応する給紙元を選択する要求を示す場合がある。また、給紙元指定データは、給紙元として、手差し給紙部10eを指定する場合がある。片面/両面印刷指定データは、シートPの片面(第1面)に画像を形成するのか、シートPの両面(第1面及び第2面)に画像を形成するのかを指定する。モノクロ/カラー指定データは、シートPにモノクロ画像を形成するのか、カラー画像を形成するのかを指定する。
【0041】
汚れ検知センサー7aは、シートPの汚れを検知する。具体的には、汚れ検知センサー7aは、シートPに汚れがあるか否かを示す汚れ検知信号を生成する。汚れ検知信号は制御部8へ送信される。汚れ検知センサー7aは、例えば、光センサーであり得る。詳しくは、光センサーは、発光素子と、受光素子とを有する。発光素子は、シートPに向けて光を発光する。受光素子は、シートPからの反射光を受光する。受光素子は、汚れ検知信号として、反射光の光量を示す信号を制御部8に送信する。
【0042】
本実施形態において、汚れ検知センサー7aは、シートPの両面から汚れを検知する。また、汚れ検知センサー7aは、第1搬送部2aに設けられる。より詳しくは、汚れ検知センサー7aは、シートPの搬送方向SDに対して第4合流箇所M4よりも下流に配置される。
【0043】
イメージセンサー7bは、シートPをスキャンして、シートPの画像を示すシート画像信号を生成する。シート画像信号は、制御部8へ送信される。イメージセンサー7bは、例えば、コンタクトイメージセンサーであり得る。本実施形態において、イメージセンサー7bは、レジストローラー対23と画像形成部3との間に位置する。
【0044】
制御部8は、画像形成装置100の各部の動作を制御する。具体的には、制御部8は、処理部81と、記憶部82とを有する。処理部81は、記憶部82に記憶された制御プログラムを実行することによって、画像形成装置100の各部の動作を制御する。処理部81は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサー又は演算回路を有する。
【0045】
記憶部82は、制御プログラムを記憶する。また、記憶部82は、各種のデータ又は情報を記憶する。例えば、記憶部82は、通信部6が受信したジョブデータを記憶する。また、記憶部82は、第1給紙部10a~第4給紙部10dのそれぞれに対して設定されたサイズデータを記憶する。サイズデータは、シートPのサイズを示す。記憶部82は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等によって構成される。
【0046】
制御部8は、画像処理用の集積回路を有し得る。画像処理用の集積回路は、典型的には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。画像処理用の集積回路は、記憶部82に記憶された画像データを画像処理して、画像形成用(印刷用)の画像データに変換する。
【0047】
本実施形態において、処理部81は、シートPが、所定の条件と合致する有効シートP1であるか、所定の条件と合致しない無効シートP2であるかを判定する。具体的には、処理部81は、給紙部10から第1搬送部2aに供給されたシートPが、有効シートP1と無効シートP2とのうちのいずれであるかを判定する。処理部81は、シートPが無効シートP2であると判定した場合、排出トレイ42上で有効シートP1の位置と無効シートP2の位置とが異なるように、シート変位機構9を制御する。
【0048】
本実施形態において、所定の条件は、第1条件~第4条件を含む。処理部81は、シートPが第1条件~第4条件の全てと合致する場合、シートPが有効シートP1であると判定する。一方、処理部81は、シートPが第1条件~第4条件のいずれかと合致しない場合、シートPが無効シートP2であると判定する。
【0049】
第1条件は、シートPに汚れがないという条件である。処理部81は、汚れ検知センサー7aが出力する汚れ検知信号に基づいて、シートPに汚れがあるか否かを判定する。ここで、画像を形成する面に汚れがあるシートPは、画像形成対象として適切ではないエラーシートである。
【0050】
詳しくは、処理部81は、片面印刷時に、シートPの第1面に汚れがあるか否かを判定する。処理部81は、シートPの第1面に汚れがあると判定した場合、シートPが無効シートP2であると判定する。処理部81は、両面印刷時に、シートPの両面(第1面及び第2面)に汚れがあるか否かを判定する。処理部81は、シートPの第1面及び第2面のいずれかに汚れがあると判定した場合、シートPが無効シートP2であると判定する。以下、第1条件に合致しない無効シートP2を、「汚れ検知シートP2」と記載する場合がある。
【0051】
第2条件は、シートPの中心軸PAと、シートPに形成される画像の中心軸Aとが略一致するという条件である。シートPの中心軸PAと画像の中心軸Aとが一致しない状態で、シートPに画像を形成すると、画像はシートPに対して歪んだ姿勢となる。したがって、シートPの中心軸PAと画像の中心軸Aとが一致しないシートPは、画像形成対象として適切ではないエラーシートである。
【0052】
詳しくは、処理部81は、イメージセンサー7bから出力されたシート画像信号に基づいてシートPの中心軸PAを取得する。また、処理部81は、ジョブデータ(画像データ)から画像の中心軸Aを取得する。そして、処理部81は、シートPの中心軸PAと画像の中心軸Aとが略一致するか否かを判定する。処理部81は、シートPの中心軸PAと画像の中心軸Aとが一致しないと判定した場合、シートPが無効シートP2であると判定する。以下、第2条件に合致しない無効シートP2を、「センター位置エラーシートP2」と記載する場合がある。
【0053】
第3条件は、シートPに穴が開いていないという条件である。ここで、画像を形成する面に穴が開いているシートPは、画像形成対象として適切ではないエラーシートである。
【0054】
具体的には、処理部81は、イメージセンサー7bから出力されたシート画像信号に基づいて、シートPにパンチ穴が開いているか否かを判定する。処理部81は、シートPにパンチ穴が開いている場合、マスク処理を実行する。処理部81は、シートPに穴が開いているか否かを判定するために、マスク処理の実行を検知したか否かを判定する。処理部81は、マスク処理の実行を検知した場合、シートPが無効シートP2であると判定する。マスク処理は、パンチ穴に対応するノズルからインクが吐出されることを禁止する処理である。例えば、マスク処理は、画像データのうち、パンチ穴に対応する部分を空白に変更する処理である。なお、以下の説明において、第3条件に合致しない無効シートP2を、「マスク処理検知シートP2」と記載する場合がある。
【0055】
第4条件は、搬送部2によって搬送されているシートPのサイズである実サイズと、サイズデータとが一致するという条件である。換言すると、第2条件は、給紙部10に収容されているシートPのサイズと、サイズデータとが一致するという条件である。
【0056】
処理部81は、イメージセンサー7bから出力されたシート画像信号に基づいて、実サイズを取得する。また、処理部81は、ジョブデータに基づいて、サイズデータを取得する。例えば、処理部81は、ジョブデータ(サイズ指定データ)から、サイズデータを取得する。あるいは、処理部81は、ジョブデータからシートPの給紙元を決定し、第1給紙部10a~第4給紙部10dに対して予め設定されているサイズデータのうちから、決定した給紙元に対応するサイズデータを取得する。
【0057】
処理部81は、実サイズとサイズデータとが一致するか否かを判定する。処理部81は、実サイズとサイズデータとが一致しないと判定した場合、シートPが無効シートP2であると判定する。実サイズとサイズデータとが一致しない場合、シートPに画像を適切に形成することができない。したがって、実サイズがサイズデータと異なるシートPは、画像形成対象として適切ではないエラーシートである。なお、以下の説明において、第4条件に合致しない無効シートP2を、「サイズエラーシートP2」と記載する場合がある。
【0058】
処理部81は、片面印刷時に、シートPが有効シートP1であると判定した場合、排出トレイ42に有効シートP1が排出されるように、搬送部2、第1搬送ユニット24及び第2搬送ユニット25を制御する。
【0059】
処理部81は、片面印刷時に、シートPが無効シートP2であると判定した場合、反転部26に無効シートP2が搬送されるように、搬送部2、第1搬送ユニット24及び第2搬送ユニット25を制御する。そして、処理部81は、排出トレイ42上で有効シートP1の位置と無効シートP2の位置とが異なるようにシート変位機構9を制御する。具体的には、シート変位機構9は、排出トレイ42上で無効シートP2の中心軸PA2が有効シートP1の中心軸PA1からずれるように、搬送方向SDに直交する方向に無効シートP2の位置を変位させる。
【0060】
その後、処理部81は、無効シートP2が排出トレイ42に排出されるように、搬送部2、第1搬送ユニット24及び第2搬送ユニット25を制御する。具体的には、無効シートP2は、反転部26から第5搬送部2eを経由して第1搬送部2aに搬送される。そして、無効シートP2は、第1搬送部2aから第1搬送ユニット24へ搬送された後、第2搬送ユニット25、第2搬送部2b、第3搬送部2c、及び第6搬送部2fを経由して第1排出部4aに搬送される。
【0061】
処理部81は、両面印刷時に、シートPが無効シートP2であると判定した場合、無効シートP2が反転部26に搬送されるように、搬送部2、第1搬送ユニット24及び第2搬送ユニット25を制御する。そして、処理部81は、排出トレイ42上で有効シートP1の位置と無効シートP2の位置とが異なるようにシート変位機構9を制御する。
【0062】
その後、処理部81は、無効シートP2が排出トレイ42に排出されるように、搬送部2、第1搬送ユニット24及び第2搬送ユニット25を制御する。このとき、処理部81は、画像形成部3による第2画像の形成を禁止する。したがって、両面印刷時に、無効シートP2の第2面には、第2画像が形成されない。この結果、無効シートP2に対して、必要のない印刷が行われることを規制することができる。また、インクの消費量を抑制することができる。
【0063】
以上、
図1を参照して説明したように、本実施形態によれば、排出トレイ42上において、有効シートP1とは異なる位置に無効シートP2を排出することができる。具体的には、有効シートP1と無効シートP2とは、排出トレイ42上に、搬送方向SDに直交する方向にずれた状態で載置される。その結果、作業者は、排出トレイ42上で、有効シートP1と無効シートP2とを容易に見分けることができる。したがって、本実施形態の画像形成装置100によれば、シートPの排出先が1箇所であっても、作業者がシートPを有効シートP1(ノーマルシート)と無効シートP2(エラーシート)とに仕分ける作業を補助することができる。
【0064】
続いて、
図2(a)及び
図2(b)を参照して、搬送部2を更に説明する。
図2(a)は、本実施形態に係る搬送部2の第1合流箇所M1付近を示す図である。
図2(a)に示すように、搬送部2は、第1合流箇所M1に設けられた第1分岐部材271を含む。第1分岐部材271は揺動可能であり、第1分岐部材271の姿勢に応じて、シートPの搬送先が第3搬送部2cと第7搬送部2gとの一方に決定される。なお、本実施形態では、シートPが第3搬送部2cに搬送されるように、第1分岐部材271の姿勢が制御される。
【0065】
図2(b)は、本実施形態に係る搬送部2の第2合流箇所M2付近及び第3合流箇所M3付近を示す図である。
図2(b)に示すように、搬送部2は、第2分岐部材272と、第3分岐部材273とを更に含む。
【0066】
第2分岐部材272は、第2合流箇所M2に設けられる。第2分岐部材272は揺動可能であり、第2分岐部材272の姿勢に応じて、シートPの搬送先が第4搬送部2dと第6搬送部2fとの一方に決定される。
【0067】
第3分岐部材273は、第3合流箇所M3に設けられる。第3分岐部材273は揺動可能であり、第3分岐部材273の姿勢に応じて、シートPの搬送先が反転部26と第5搬送部2eとの一方に決定される。
【0068】
続いて
図1、及び
図3(a)~
図6を参照して、反転部26及びシート変位機構9を説明する。
図3(a)は、本実施形態に係る反転部26及びシート変位機構9の構成を示す正面図である。より詳しくは、
図3(a)は、両面印刷時に、有効シートP1が反転部26の終端まで到達した状態を示している。
【0069】
まず、
図1、及び
図3(a)を参照して反転部26の構成を説明する。
図3(a)に示すように、反転部26は、複数の反転用ローラー対261と、駆動軸262と、ケース部材263と、反転用モーター264と、複数のギア265とを有する。
【0070】
複数の反転用ローラー対261は、ケース部材263に収容される。複数の反転用ローラー対261は、ケース部材263に回転可能に支持される。複数の反転用ローラー対261は、シートPの搬送方向SDに直交する方向であるシート幅方向PDに沿って配置される。複数の反転用ローラー対261は、第4搬送部2d(
図1)から反転部26にシートPが搬送されると、シートPを挟持する。
【0071】
複数の反転用ローラー対261はそれぞれ、駆動ローラー261aを含む。駆動ローラー261aはそれぞれ、駆動軸262に固定される。駆動軸262が回転すると、各駆動ローラー261aが回転する。その結果、複数の反転用ローラー対261がそれぞれ回転する。
【0072】
反転用モーター264は、複数の反転用ローラー対261を回転させる駆動力を発生する。複数のギア265は、反転用モーター264から発生した駆動力を駆動軸262に伝達する。この結果、複数の反転用ローラー対261が回転する。
【0073】
詳しくは、反転用モーター264は、正逆回転モーターである。反転用モーター264は、第4搬送部2d(
図1)から反転部26にシートPが搬送される際に、正回転する。その結果、第3合流箇所M3(
図1)から離れる方向にシートPが搬送される。その後、反転用モーター264は、逆回転する。その結果、第3合流箇所M3(
図1)へ向かう方向にシートPが搬送される。
【0074】
続いて
図3(a)を参照して、シート変位機構9の構成を説明する。
図3(a)に示すように、シート変位機構9は、連結部材91と、駆動源92と、駆動力伝達部93とを有する。
【0075】
連結部材91は、反転部26のケース部材263に連結する。連結部材91は、シート幅方向PDに延びる。連結部材91は、例えば、棒状部材である。駆動源92は、連結部材91をシート幅方向PDに移動させる駆動力を発生する。駆動力伝達部93は、駆動源92から発生した駆動力を連結部材91に伝達する。この結果、連結部材91がシート幅方向PDに移動する。連結部材91がシート幅方向PDに移動すると、反転部26のケース部材263がシート幅方向PDに移動して、複数の反転用ローラー対261がシート幅方向PDに移動する。したがって、複数の反転用ローラー対261に挟持されているシートPの位置がシート幅方向PDに変位する。
【0076】
詳しくは、駆動源92は、正逆回転モーターを含む。シート幅方向PDは、第1方向PD1と、第1方向PD1とは反対の方向である第2方向PD2とを含む。第1方向PD1は、駆動力伝達部93から遠ざかる方向であり、第2方向PD2は、駆動力伝達部93に近づく方向である。駆動源92の正逆回転モーターが正回転すると、連結部材91が第1方向PD1に移動する。駆動源92の正逆回転モーターが逆回転すると、連結部材91が第2方向PD2に移動する。
【0077】
続いて
図1及び
図4(a)を参照して、反転部26の構成を更に説明する。
図4(a)は、本実施形態に係る反転部26及びシート変位機構9の構成を示す平面図である。なお、
図4(a)では、理解を容易にするために、駆動軸262と、反転用モーター264と、複数のギア265と、駆動源92とを省略している。
【0078】
図4(a)に示すように、反転部26は、シート先端検知センサー266を更に有する。シート先端検知センサー266は、ケース部材263の外部に配置される。詳しくは、シート先端検知センサー266は、シートPの搬送方向SDにおいて、ケース部材263よりも下流に配置される。
【0079】
シート先端検知センサー266は、シートPの先端を検知する。シート先端検知センサー266は、シートPの先端を検知すると、シートPの先端を検知したことを示すシート先端検知信号を制御部8(
図1)へ出力する。制御部8(
図1)は、シート先端検知信号を受信すると、搬送部2によるシートPの搬送を停止させる。
【0080】
シート先端検知センサー266は、例えば、光センサーであり得る。詳しくは、光センサーは、発光素子及び受光素子を有する。受光素子は、発光素子から発光された光を受光する。受光素子は、シート先端検知信号として、受光した光の光量を示す信号を制御部8(
図1)へ出力する。より具体的には、シートPの先端が発光素子と受光素子との間に到達すると、発光素子から発光された光がシートPによって遮られる。その結果、受光素子が、発光素子から発光された光を受光できなくなり、受光素子から制御部8(
図1)へ出力される信号が変化する。処理部81(
図1)は、光センサーから出力される信号が変化すると、光センサーがシートPの先端を検知したと判定する。換言すると、処理部81(
図1)は、反転用ローラー対261によってシートPが挟持されたと判定する。
【0081】
続いて
図3(a)及び
図4(a)を参照して、シート変位機構9の構成を更に説明する。
図4(a)に示すように、駆動力伝達部93は、ギア部材であり、歯部93aを有する。歯部93aは、駆動力伝達部93(ギア部材)の外周面に形成される。具体的には、駆動力伝達部93(ギア部材)の歯部93aは、駆動力伝達部93(ギア部材)の周方向に沿って配列される複数の歯を有する。駆動力伝達部93は、駆動源92(
図3(a))から発生する駆動力に基づいて回転する。
【0082】
連結部材91は、歯部91aを有する。歯部91aは、連結部材91の側面のうち、駆動力伝達部93(ギア部材)に対向する対向面に形成される。具体的には、連結部材91の歯部91aは、シート幅方向PDに沿って配列される複数の歯を有する。駆動力伝達部93は、駆動力伝達部93の歯部93aが連結部材91の歯部91aと噛み合う位置に配置される。この結果、駆動源92(
図3(a))から発生した駆動力が連結部材91に伝達される。
【0083】
続いて
図1、及び
図3(a)~
図4(b)を参照して、シート変位機構9の動作を説明する。
図3(b)は、本実施形態に係るシート変位機構9が有効シートP1の位置を変位させた後の状態を示す正面図であり、
図4(b)は、本実施形態に係るシート変位機構9が有効シートP1の位置を変位させた後の状態を示す平面図である。詳しくは、
図3(b)及び
図4(b)は、両面印刷時に、シート変位機構9が、有効シートP1の中心軸PA1が第2画像の中心軸Aと一致するように有効シートP1の位置を変位させた後の状態を示す。なお、
図4(b)では、理解を容易にするために、駆動軸262と、反転用モーター264と、複数のギア265と、駆動源92とを省略している。
【0084】
図3(a)及び
図4(a)は、複数の反転用ローラー対261が初期位置に位置する状態を示す。両面印刷時に、有効シートP1が反転部26に搬送されると、初期位置に位置する複数の反転用ローラー対261が有効シートP1を挟持する。
図3(a)及び
図4(a)は、第4搬送部2d(
図1)から反転部26に有効シートP1が搬送された際に、有効シートP1の中心軸PA1が第2画像の中心軸Aと一致していない状態を例示している。具体的には、有効シートP1の中心軸PA1は、第2画像の中心軸Aから第2方向PD2に距離Dだけ離れている。
【0085】
図3(a)~
図4(b)に示すように、第4搬送部2d(
図1)から反転部26に有効シートP1が搬送されると、シート変位機構9は、複数の反転用ローラー対261を初期位置から第1方向PD1へ距離Dだけ移動させる。この結果、両面印刷時に、有効シートP1は、反転部26において、有効シートP1の中心軸PA1が第2画像の中心軸Aと一致する姿勢となる(
図3(b)及び
図4(b))。
【0086】
続いて
図1、
図5(a)、及び
図5(b)を参照して、シート変位機構9の動作を説明する。
図5(a)は、本実施形態に係るシート変位機構9が無効シートP2の位置を変位させた後の状態を示す正面図であり、
図5(b)は、本実施形態に係るシート変位機構9が無効シートP2の位置を変位させた後の状態を示す平面図である。詳しくは、
図5(a)及び
図5(b)は、両面印刷時に、シート変位機構9が、無効シートP2の中心軸PA2が第2画像の中心軸Aから離れるように無効シートP2の位置を変位させた後の状態を示す。なお、
図5(b)では、理解を容易にするために、駆動軸262と、反転用モーター264と、複数のギア265と、駆動源92とを省略している。
【0087】
図5(a)、及び
図5(b)に示すように、第4搬送部2d(
図1)から反転部26に無効シートP2が搬送されると、シート変位機構9は、無効シートP2の中心軸PA2が第2画像の中心軸Aから遠ざかるように、複数の反転用ローラー対261を初期位置から移動させる。この結果、無効シートP2の中心軸PA2が第2画像の中心軸Aから外れる位置に、無効シートP2の位置が変位する。
【0088】
図5(a)、及び
図5(b)に示す例では、シート変位機構9は、複数の反転用ローラー対261を初期位置から第2方向PD2へ移動させている。この結果、無効シートP2の中心軸PA2が、第2画像の中心軸Aから第2方向PD2に距離D1だけ離れる。ここで、距離D1は、
図3(a)~
図4(b)を参照して説明した距離Dよりも長い距離である。
【0089】
続いて
図6を参照して、排出トレイ42に排出された有効シートP1及び無効シートP2について説明する。
図6は、本実施形態に係る排出トレイ42に排出された有効シートP1及び無効シートP2を示す図である。
【0090】
図6に示すように、無効シートP2の中心軸PA2の位置は、シート幅方向PDにおいて、有効シートP1の中心軸PA1の位置から変位している。
図6は、無効シートP2の中心軸PA2が有効シートP1の中心軸PA1から距離DXだけ離れている状態を例示している。
【0091】
本実施形態によれば、
図6に示すように、有効シートP1及び無効シートP2は、シート幅方向PDにずれた状態で排出トレイ42上に排出される。その結果、作業者は、排出トレイ42上で、有効シートP1と無効シートP2とを容易に見分けることができる。したがって、本実施形態の画像形成装置100によれば、シートPの排出先が1箇所であっても、作業者がシートPを有効シートP1(ノーマルシート)と無効シートP2(エラーシート)とに仕分ける作業を補助することができる。
【0092】
なお、
図5(a)及び
図5(b)を参照して、両面印刷時のシート変位機構9の動作を説明したが、片面印刷時も同様に、シート変位機構9は、無効シートP2の中心軸PA2が有効シートP1の中心軸PA1からシート幅方向PDに離れるように無効シートP2の位置を変位させる。
【0093】
続いて
図1、
図7及び
図8を参照して制御部8(処理部81)が実行する処理について説明する。
図7及び
図8は、本実施形態に係る制御部8(処理部81)が実行する処理を示すフローチャートである。詳しくは、
図7及び
図8は、両面印刷時に制御部8(処理部81)が実行する処理を示す。
【0094】
図7及び
図8に示す処理は、給紙部10から搬送部2にシートPが供給されることに応じて開始する。
図7に示すように、給紙部10から搬送部2にシートPが供給されると、制御部8(処理部81)は、汚れ検知センサー7aが出力する汚れ検知信号に基づいて、シートPに汚れがあるか否かを判定する(ステップS1)。詳しくは、両面印刷時に、制御部8(処理部81)は、シートPの第1面及び第2面のいずれかに汚れがあるか否かを判定する。
【0095】
シートPの第1面及び第2面のいずれかに汚れがあると制御部8(処理部81)が判定すると(ステップS1のYes)、処理はステップS10に進む。すなわち、シートPが第1条件に合致しないと判定されると、処理はステップS10に進む。ここで、シートPの第1面及び第2面のいずれかに汚れがあるシートPは、無効シートP2(汚れ検知シートP2)である。
【0096】
制御部8(処理部81)は、シートPの第1面及び第2面のいずれにも汚れがないと判定すると(ステップS1のNo)、イメージセンサー7bから出力されるシート画像信号と、ジョブデータに含まれる画像データとに基づいて、シートPの中心軸PAと第1画像の中心軸Aとが一致するか否かを判定する(ステップS2)。
【0097】
シートPの中心軸PAと第1画像の中心軸Aとが一致しないと制御部8(処理部81)が判定すると(ステップS2のNo)、処理はステップS10に進む。すなわち、シートPが第2条件に合致しないと判定されると、処理はステップS10に進む。ここで、シートPの中心軸PAと第1画像の中心軸Aとが一致しないシートPは、無効シートP2(センター位置エラーシートP2)である。
【0098】
制御部8(処理部81)は、シートPの中心軸PAと第1画像の中心軸Aとが一致すると判定すると(ステップS2のYes)、マスク処理の実行を検知したか否かを判定する(ステップS3)。
【0099】
マスク処理の実行を検知したと制御部8(処理部81)が判定すると(ステップS3のYes)、処理はステップS10に進む。すなわち、シートPが第3条件に合致しないと判定されると、処理はステップS10に進む。ここで、マスク処理の実行が検知されたシートPは、無効シートP2(マスク処理検知シートP2)である。
【0100】
制御部8(処理部81)は、マスク処理の実行を検知していないと判定すると(ステップS3のNo)、シートPの第1面に第1画像が形成されるように画像形成部3を制御する(ステップS4)。本実施形態では、制御部8(処理部81)は、シートPに画像を形成する際に、記録ヘッド31を制御する。具体的には、制御部8(処理部81)は、シートPに形成する画像に応じて、インクを吐出するノズルを決定する。そして、制御部8は、決定したノズルからインクが吐出されるように記録ヘッド31を制御する。
【0101】
画像形成中に、制御部8(処理部81)は、イメージセンサー7bから出力されるシート画像信号に基づいて実サイズを取得する。そして、制御部8(処理部81)は、実サイズとサイズデータとが一致するか否かを判定する(ステップS5)。ここで、実サイズは、イメージセンサー7bがシートPの全部分の画像をスキャンした後に取得される。換言すると、シートPの後端部がイメージセンサー7bに対向する位置を通過した後に、実サイズが取得される。
【0102】
本実施形態において、イメージセンサー7bは、レジストローラー対23と画像形成部3との間に位置しており、シートPの後端部がイメージセンサー7bに対向する位置を通過する際には、シートPの先端部は画像形成部3に対向する領域を既に通過しているか、通過中である。そのため、画像形成中にステップS5が実行される。
【0103】
実サイズとサイズデータとが一致しないと制御部8(処理部81)が判定すると(ステップS5のNo)、処理は
図8に示すステップS11に進む。すなわち、シートPが第4条件に合致しないと判定されると、処理はステップS11に進む。ここで、実サイズとサイズデータとが一致しないシートPは、無効シートP2(サイズエラーシートP2)である。
【0104】
制御部8(処理部81)は、実サイズとサイズデータとが一致すると判定すると(ステップS5のYes)、シートPが所定の位置に到達したか否かを判定する(
図8のステップS6)。なお、実サイズとサイズデータとが一致すると判定されたシートPは、有効シートP1である。
【0105】
本実施形態において、制御部8(処理部81)は、有効シートP1の先端が、反転部26のケース部材263を通過して、ケース部材263の外側の所定の位置まで到達したか否かを判定する。詳しくは、制御部8(処理部81)は、シート先端検知センサー266が有効シートP1の先端を検知したか否かを判定する。より具体的には、制御部8(処理部81)は、光センサーに含まれる発光素子と受光素子との間に有効シートP1の先端が到達したか否かを判定する。
【0106】
有効シートP1が所定の位置に到達していないと制御部8(処理部81)が判定すると(ステップS6のNo)、処理はステップS6に戻る。換言すると、有効シートP1が所定の位置に到達するまで、ステップS6が繰り返される。
【0107】
制御部8(処理部81)は、有効シートP1が所定の位置に到達したと判定すると(ステップS6のYes)、搬送部2による有効シートP1の搬送を停止させた後、シート変位機構9を制御して、有効シートP1の中心軸PA1の位置を調整する(ステップS7)。詳しくは、制御部8(処理部81)は、有効シートP1の中心軸PA1が第2画像の中心軸Aと一致するように有効シートP1の位置を変位させる。
【0108】
シート変位機構9が有効シートP1の中心軸PA1の位置を調整した後、制御部8(処理部81)は、有効シートP1が画像形成部3に対向する領域を通過するように、搬送部2及び第1搬送ユニット24を制御する。また、制御部8(処理部81)は、有効シートP1の第2面に第2画像が形成されるように画像形成部3を制御する(ステップS8)。その後、制御部8(処理部81)は、有効シートP1が排出トレイ42に排出されるように、第2搬送ユニット25、搬送部2、及び第1排出部4aを制御して(ステップS9)、
図7及び
図8に示す処理を終了する。
【0109】
一方、制御部8(処理部81)は、シートPの第1面及び第2面のいずれかに汚れがあると判定すると(
図7のステップS1のYes)、画像形成部3による第1画像の形成を禁止する(ステップS10)。この場合、無効シートP2の第1面には、第1画像が形成されない。この結果、無効シートP2(エラーシート)に対して、必要のない印刷が行われることを規制することができる。また、インクの消費量を抑制することができる。
【0110】
同様に、制御部8(処理部81)は、シートPの中心軸PAと第1画像の中心軸Aとが一致しないと判定すると(ステップS2のNo)、画像形成部3による第1画像の形成を禁止する(ステップS10)。また、制御部8(処理部81)は、マスク処理の実行が検知されたと判定すると(ステップS3のYes)、画像形成部3による第1画像の形成を禁止する(ステップS10)。
【0111】
制御部8(処理部81)は、画像形成部3による第1画像の形成を禁止した後、無効シートP2が所定の位置に到達したか否かを判定する(
図8のステップS11)。あるいは、制御部8(処理部81)は、実サイズとサイズデータとが一致しないと判定すると(ステップS5のNo)、無効シートP2が所定の位置に到達したか否かを判定する(
図8のステップS11)。本実施形態において、制御部8(処理部81)は、無効シートP2の先端が、反転部26のケース部材263を通過して、ケース部材263の外側の所定の位置まで到達したか否かを判定する。
【0112】
無効シートP2が所定の位置に到達していないと制御部8(処理部81)が判定すると(ステップS11のNo)、処理はステップS11に戻る。換言すると、無効シートP2が所定の位置に到達するまで、ステップS11が繰り返される。
【0113】
制御部8(処理部81)は、無効シートP2が所定の位置に到達したと判定すると(ステップS11のYes)、搬送部2による無効シートP2の搬送を停止させた後、シート変位機構9を制御して、無効シートP2の中心軸PA2の位置を変位させる(ステップS12)。詳しくは、制御部8(処理部81)は、排出トレイ42上で、無効シートP2の位置が有効シートP1と異なる位置となるようにシート変位機構9を制御する。より具体的には、無効シートP2の中心軸PA2が第2画像の中心軸Aからシート幅方向PDに離れるようにシート変位機構9を制御する。
【0114】
シート変位機構9が無効シートP2の中心軸PA2の位置を変位させた後、制御部8(処理部81)は、無効シートP2が排出トレイ42に排出されるように、搬送部2、第1搬送ユニット24及び第2搬送ユニット25を制御する(ステップS13)。
【0115】
制御部8(処理部81)は、無効シートP2が排出トレイ42に排出された後、操作パネル5のタッチディスプレー51に、
図9(a)及び
図9(b)を参照して説明するガイダンス画面(第1ガイダンス画面G1及び第2ガイダンス画面G2)を表示させて(ステップS14)、
図7及び
図8に示す処理を終了する。
【0116】
なお、ステップS1~ステップS3及びステップS5の実行順序は、適宜入れ替えることができる。また、本実施形態では、制御部8(処理部81)は、画像形成中に、実サイズとサイズデータとが一致するか否かを判定したが、制御部8(処理部81)は、画像形成前に、実サイズとサイズデータとが一致するか否かを判定してもよい。具体的には、シートPの後端部がイメージセンサー7bに対向する位置を通過する際に、シートPの先端部が画像形成部3に対向する領域に達していない位置にイメージセンサー7bを配置することで、画像形成前に、実サイズとサイズデータとが一致するか否かを判定することができる。この場合、無効シートP2(サイズエラーシートP2)の第1面への第1画像の形成を禁止することができる。
【0117】
続いて
図9(a)及び
図9(b)を参照して、第1ガイダンス画面G1及び第2ガイダンス画面G2を説明する。第1ガイダンス画面G1及び第2ガイダンス画面G2は、無効シートP2が排出トレイ42に排出された後にタッチディスプレー51に表示される。より詳しくは、第1ガイダンス画面G1及び第2ガイダンス画面G2は、ジョブの終了後に、タッチディスプレー51に表示される。
【0118】
図9(a)は、本実施形態に係る第1ガイダンス画面G1を示す図である。
図9(a)に示すように、第1ガイダンス画面G1は、排出トレイ42から無効シートP2(エラーシート)を取り除くことを作業者に促すメッセージを含む。第1ガイダンス画面G1がタッチディスプレー51に表示されることにより、無効シートP2(エラーシート)が発生したことを、より確実に作業者に認識させることができる。
【0119】
図9(b)は、本実施形態に係る第2ガイダンス画面G2を示す図である。第2ガイダンス画面G2は、第1ガイダンス画面G1の表示後に、タッチディスプレー51に表示される。より詳しくは、第2ガイダンス画面G2は、第1ガイダンス画面G1のOKボタンが操作された後にタッチディスプレー51に表示される。
【0120】
図9(b)に示すように、第2ガイダンス画面G2は、カセット11(給紙カセット)に収容されているシートPの確認を作業者に促すメッセージを含む。この結果、カセット11に収容されているシートPを作業者が交換するか、カセット11内の設けられたカーソルの位置を作業者が調整して、無効シートP2(エラーシート)の発生を抑制することができる。
【0121】
すなわち、汚れ検知シートP2は、カセット11内に、汚れがあるシートPが収容されることにより発生する場合が多い。したがって、カセット11に収容されているシートPを作業者が交換することにより、汚れ検知シートP2の発生を抑制することができる。
【0122】
センター位置エラーシートP2は、カセット11のカーソルの位置が適切でないことにより発生する場合が多い。詳しくは、カセット11内に収容された複数枚のシートPは、カーソルを用いて整合することができるが、カーソルの位置が適切でない場合に、シートPの位置にずれが生じて、センター位置エラーシートP2が発生する。したがって、カーソルの位置を作業者が調整することにより、センター位置エラーシートP2の発生を抑制することができる。
【0123】
マスク処理検知シートP2は、カセット11内に、パンチ穴が形成されたシートPが収容されることにより発生する。したがって、カセット11に収容されているシートPを作業者が交換することにより、マスク処理検知シートP2の発生を抑制することができる。
【0124】
サイズエラーシートP2は、予め設定されたサイズ(サイズデータが示すサイズ)のシートPがカセット11に収容されていないことにより発生する。したがって、カセット11に収容されているシートPを作業者が交換することにより、サイズエラーシートP2の発生を抑制することができる。
【0125】
[実施形態2]
続いて
図1、
図8、
図10、及び
図11を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、制御部8(処理部81)による処理が実施形態1と異なる。詳しくは、実施形態2は、シート変位機構9の動作が実施形態1と異なる。
【0126】
図10は、本実施形態に係る制御部8(処理部81)が実行する処理の一部を示すフローチャートである。
図10に示すように、本実施形態では、
図7及び
図8を参照して説明したフローチャートに対して、ステップS15及びステップS21が追加されている。
【0127】
本実施形態の制御部8(処理部81)は、シートPが無効シートP2である場合、無効シートP2の中心軸PA2の変位量を決定する(ステップS21)。具体的には、制御部8(処理部81)は、無効シートP2が所定の条件から乖離する程度を示す乖離度を更に判定する。そして、制御部8(処理部81)は、排出トレイ42上で無効シートP2が有効シートP1から離れる程度を、乖離度に応じて決定する。
【0128】
詳しくは、制御部8(処理部81)は、シートPの第1面及び第2面のいずれかに汚れがあると判定すると(ステップS1のYes)、汚れ検知センサー7aが出力する汚れ検知信号から、乖離度として、汚れの程度を判定する。本実施形態において、制御部8(処理部81)は、汚れの程度を3段階で判定する。具体的には、記憶部82は、汚れの程度に対して3つの閾値を記憶している。制御部8(処理部81)は、3つの閾値を用いて汚れの程度を3段階で判定する。そして、制御部8(処理部81)は、汚れの程度に応じて、無効シートP2(汚れ検知シートP2)の中心軸PA2の変位量を3段階で決定する(ステップS21)。
【0129】
同様に、制御部8(処理部81)は、シートPの中心軸PAと第1画像の中心軸Aとが一致しないと判定すると(ステップS2のNo)、乖離度として、シートPの中心軸PAと第1画像の中心軸Aとの間の距離を示す離間量を判定する。本実施形態において、制御部8(処理部81)は、離間量を3段階で判定する。具体的には、記憶部82は、離間量に対して3つの閾値を記憶している。制御部8(処理部81)は、3つの閾値を用いて離間量を3段階で判定する。そして、制御部8(処理部81)は、離間量に応じて、無効シートP2(センター位置エラーシートP2)の中心軸PA2の変位量を3段階で決定する(ステップS21)。
【0130】
また、制御部8(処理部81)は、実サイズとサイズデータとが一致しないと判定すると(ステップS5のNo)、乖離度として、実サイズとサイズデータとの差を示すサイズ差を判定する。本実施形態において、制御部8(処理部81)は、サイズ差を3段階で判定する。具体的には、記憶部82は、サイズ差に対して3つの閾値を記憶している。制御部8(処理部81)は、3つの閾値を用いてサイズ差を3段階で判定する。そして、制御部8(処理部81)は、サイズ差に応じて、無効シートP2(サイズエラーシートP2)の中心軸PA2の変位量を3段階で決定する(ステップS21)。
【0131】
なお、制御部8(処理部81)は、マスク処理の実行を検知した場合(ステップS3のYes)、画像形成部3による第1画像の形成を禁止した後(ステップS15)、無効シートP2が所定の位置に到達したか否かを判定する(
図8のステップS11)。
【0132】
続いて
図11を参照して、無効シートP2の中心軸PA2の変位量を説明する。
図11は、本実施形態に係る排出トレイ42に排出された無効シートP2を示す図である。なお、
図11には、理解を容易にするために、有効シートP1の中心軸PA1を示している。
【0133】
図11に示すように、本実施形態の無効シートP2は、第1無効シートP2a~第3無効シートP2cを含む。第1無効シートP2aは、3段階の乖離度のうち、乖離度が最小の無効シートP2である。第3無効シートP2cは、3段階の乖離度のうち、乖離度が最大の無効シートP2である。第2無効シートP2bは、3段階の乖離度のうち、乖離度が最大と最小との間の無効シートP2である。
【0134】
排出トレイ42上において、第1無効シートP2aの中心軸PA2aは、有効シートP1の中心軸PA1から距離DX1だけ離れる。第2無効シートP2bの中心軸PA2bは、有効シートP1の中心軸PA1から距離DX2だけ離れる。第3無効シートP2cの中心軸PA2cは、有効シートP1の中心軸PA1から距離DX3だけ離れる。距離DX1は、距離DX2及び距離DX3よりも短い距離を示す。距離DX2は、距離DX1よりも長く、距離DX3よりも短い距離を示す。距離DX3は、距離DX1及び距離DX2よりも長い距離を示す。
【0135】
以上、
図10及び
図11を参照して本発明の実施形態2について説明した。本実施形態によれば、所定の条件からの乖離度に応じて無効シートP2を仕分けることが可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【0136】
なお、本実施形態において、制御部8(処理部81)は乖離度を3段階で判定したが、制御部8(処理部81)は、乖離度を2段階又は4段階以上で判定してもよい。あるいは、制御部8(処理部81)は、乖離度を無段階で判定してもよい。
【0137】
[実施形態3]
続いて
図12を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、画像形成装置100が第2シート変位機構9bを備える点で、実施形態1、2と異なる。
【0138】
図12は、本実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す図である。
図12に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、第1シート変位機構9a及び第2シート変位機構9bを備える。
【0139】
第1シート変位機構9aは、実施形態1で説明したシート変位機構9と同様に、反転部26に設けられる。第1シート変位機構9aは、両面印刷時に、有効シートP1の中心軸PA1と第2画像の中心軸Aとを一致させるために使用される。
【0140】
第2シート変位機構9bは、第1排出部4aに設けられる。第2シート変位機構9bは、実施形態1で説明したシート変位機構9と同様に、無効シートP2の中心軸PA2の位置をシート幅方向PDに変位させる。
【0141】
具体的には、第2シート変位機構9bは、
図3(a)を参照して説明した連結部材91、駆動源92及び駆動力伝達部93に加えて、ケース部材94を更に有する。ケース部材94は、第1排出ローラー対41を収容する。また、ケース部材94は、第1排出ローラー対41を回転可能に支持する。第2シート変位機構9bの連結部材91は、ケース部材94に連結する。第2シート変位機構9bの駆動源92は、ケース部材94をシート幅方向PDに移動させる駆動力を発生する。換言すると、第2シート変位機構9bの駆動源92は、第1排出ローラー対41をシート幅方向PDに移動させる駆動力を発生する。
【0142】
以上、
図12を参照して本発明の実施形態3について説明した。本実施形態によれば、排出トレイ42上において、有効シートP1とは異なる位置に無効シートP2を排出することができる。したがって、本実施形態の画像形成装置100によれば、シートPの排出先が1箇所であっても、作業者がシートPを有効シートP1(ノーマルシート)と無効シートP2(エラーシート)とに仕分ける作業を補助することができる。
【0143】
なお、本実施形態において、第2シート変位機構9bは、第1排出ローラー対41に対して設けられたが、第2シート変位機構9bは、搬送部2の搬送ローラー対22(反転部26の反転用ローラー対261を除く)のいずれかに設けられてもよい。
【0144】
[実施形態4]
続いて
図13(a)及び
図13(b)を参照して本発明の実施形態4について説明する。但し、実施形態1~3と異なる事項を説明し、実施形態1~3と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態4は、第2シート変位機構9bが排出トレイ42に対して設けられている点で、実施形態1~3と異なる。
【0145】
図13(a)は、本実施形態に係る第2シート変位機構9bを示す図である。なお、
図13(a)には、理解を容易にするために、排出トレイ42に排出された有効シートP1を示している。
【0146】
図13(a)に示すように、第2シート変位機構9bは、
図3(a)を参照して説明したシート変位機構9と同様に、連結部材91b、駆動源92b、及び駆動力伝達部93bを有する。
【0147】
連結部材91bは排出トレイ42に連結する。駆動源92bは、連結部材91bをシート幅方向PDに移動させる駆動力を発生する。駆動力伝達部93bは、駆動源92bから発生した駆動力を連結部材91bに伝達する。この結果、連結部材91bが移動して、排出トレイ42がシート幅方向PDに移動する。第2シート変位機構9bは、無効シートP2が排出トレイ42に排出される際に、排出トレイ42をシート幅方向PDに移動させる。
【0148】
続いて
図13(a)、及び
図13(b)を参照して、本実施形態の第2シート変位機構9bの動作を説明する。
図13(b)は、本実施形態に係る第2シート変位機構9bが排出トレイ42をシート幅方向PDに移動させた状態を示す平面図である。なお、
図13(b)には、理解を容易にするために、排出トレイ42に排出された有効シートP1及び無効シートP2を示している。
【0149】
図13(a)、及び
図13(b)に示すように、排出トレイ42に無効シートP2が排出される際に、第2シート変位機構9bは、無効シートP2の中心軸PA2が有効シートP1の中心軸PA1から遠ざかるように、排出トレイ42をシート幅方向PDに移動させる。この結果、無効シートP2の中心軸PA2が有効シートP1の中心軸PA1から離れる位置に、無効シートP2の位置が変位する。
図13(b)は、無効シートP2の中心軸PA2が有効シートP1の中心軸PA1から距離DXだけ離れている状態を例示している。
【0150】
以上、
図13(a)及び
図13(b)を参照して本発明の実施形態4について説明した。本実施形態によれば、排出トレイ42上において、有効シートP1とは異なる位置に無効シートP2を排出することができる。したがって、本実施形態の画像形成装置100によれば、シートPの排出先が1箇所であっても、作業者がシートPを有効シートP1(ノーマルシート)と無効シートP2(エラーシート)とに仕分ける作業を補助することができる。
【0151】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0152】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0153】
例えば、本発明による実施形態では、画像形成装置100は、プリンターであったが、本発明は、例えばコピー機、複合機、及びファクシミリのようなプリンター以外の画像形成装置にも適用することができる。
【0154】
また、本発明による実施形態では、画像形成装置100は、インクジェット方式で画像を形成したが、本発明は、例えば電子写真方式のようなインクジェット方式以外の方式で画像を形成する画像形成装置にも適用することができる。
【0155】
また、本発明による実施形態では、画像形成装置100は、両面印刷が可能であったが、本発明は、片面印刷のみが可能は画像形成装置にも適用することができる。
【0156】
また、本発明による実施形態では、画像形成装置100は、カラー印刷が可能であったが、本発明は、モノクロ印刷のみが可能は画像形成装置にも適用することができる。
【0157】
また、本発明による実施形態では、汚れ検知センサー7aは、第1搬送部2aに設けられたが、シートPの汚れを検知できる位置に設けられる限り、汚れ検知センサー7aを設ける位置は特に限定されない。
【0158】
また、本発明による実施形態では、汚れ検知センサー7aは、シートPの両面から汚れを検知したが、汚れ検知センサー7aは、シートPの片面から汚れを検知してもよい。
【0159】
また、本発明による実施形態では、イメージセンサー7bは、レジストローラー対23と画像形成部3との間に設けられたが、シートPの画像を示すシート画像信号を生成することができる限り、イメージセンサー7bを設ける位置は特に限定されない。
【0160】
また、本発明による実施形態では、シートPが第1条件~第4条件のいずれかに合致しない場合に、シートPが無効シートP2であると判定したが、シートPが第1条件~第4条件のうちの2つ以上の条件又は3つ以上の条件に合致しない場合に、シートPが無効シートP2であると判定してもよい。あるいは、シートPが第1条件~第4条件のすべてに合致しない場合に、シートPが無効シートP2であると判定してもよい。
【0161】
また、本発明による実施形態では、第1条件、第2条件、及び第4条件のそれぞれについて乖離度を判定したが、第1条件、第2条件、及び第4条件のうちの2つ以上の条件の組み合わせに対して乖離度を判定してもよい。
【0162】
また、本発明による実施形態では、シートPが第1条件~第4条件に合致するか否かを判定したが、第1条件~第4条件のいずれかは省略されてもよい。換言すると、所定の条件は、第1条件~第4条件のうちの少なくとも1つを含めばよい。
【0163】
また、本発明による実施形態では、イメージセンサー7bを用いてシートPの実サイズを判定したが、シートPの実サイズを判定するための部材は、イメージセンサー7bに限定されない。例えば、シートPの通過に応じてオン状態となるアクチュエーターを用いてもよい。この場合、アクチュエーターがオン状態となっている時間に基づいて、シートPの搬送方向SDのサイズを判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、画像形成装置の分野に有用である。
【符号の説明】
【0165】
2 :搬送部
3 :画像形成部
4a :第1排出部
7a :検知センサー
7b :イメージセンサー
8 :制御部
9 :シート変位機構
9b :第2シート変位機構
10 :給紙部
11 :カセット
26 :反転部
42 :排出トレイ
81 :処理部
82 :記憶部
100 :画像形成装置
P :シート
P1 :有効シート
P2 :無効シート
P2a :第1無効シート
P2b :第2無効シート
P2c :第3無効シート