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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像形成システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240110BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240110BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/14
G03G21/00 386
G03G15/00 420
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019160309
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021039232
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 信彦
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-022203(JP,A)
【文献】特開2001-305931(JP,A)
【文献】特開2017-009897(JP,A)
【文献】特開2013-064911(JP,A)
【文献】特開平11-143298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像形成装置と、
前記第1の画像形成装置に対して第1の画像形成装置の下流側に連結される第2の画像形成装置と、
前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の少なくとも一方の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の一方における用紙の搬送速度を、前記一方における用紙の搬送間隔と他方における用紙の搬送間隔とに基づいて制御し、
前記他方から用紙が出力される間隔が長くなると、前記一方の用紙の搬送速度を低下させる、画像形成システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記他方において形成される画像のカバレッジが高くなると、他方から用紙が出力される間隔を長くする、請求項に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の一方に用紙の両面に画像を形成させ、他方に前記用紙に画像を形成することなく前記用紙をスルーさせる、請求項1または請求項に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記他方によって形成された画像に不良が発生したことを条件として、前記一方に用紙の両面に画像を形成させ、前記他方に記用紙に画像を形成することなく前記用紙をスルーさせる、請求項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の画像形成装置で画像形成された用紙の面に対して前記第2の画像形成装置でさらに画像形成をさせる、請求項1または請求項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
情報を報知する報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の少なくとも一方においてエラーが発生した場合に、前記報知部において報知する、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の一方を制御し、
前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置のいずれか他方は、当該他方において用紙を出力する間隔が変更された場合に、前記制御部に当該変更を通知する、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
コンピューターによって実行可能なプログラムであって、
前記コンピューターに、
画像形成システムを構成する第1の画像形成装置および第2の画像形成装置のそれぞれにおける用紙の搬送間隔の情報を取得するステップと、
取得された前記情報に基づいて、前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の一方における用紙の搬送速度を制御するステップとを、実行させ
前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の一方における用紙の搬送速度を制御することは、他方から用紙が出力される間隔が長くなると、前記一方の用紙の搬送速度を低下させることを含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の画像形成装置が直列的に配置される画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multi-Functional Peripheral)等の画像形成装置が複数直列的に配置される画像形成システムに関し、種々の技術が提案されている。たとえば、特開2018-45032号公報(特許文献1)は、上流側の画像形成装置と、下流側の画像形成装置とに加えて、下流側の画像形成装置に対してさらに下流側に連結された後処理装置を含む、画像形成システムを開示する。当該画像形成システムは、下流側の画像形成装置から後処理装置への用紙の搬送間隔(第1の用紙間隔)よりも、上流側の画像形成装置から下流機への用紙の搬送間隔(第2の用紙間隔)を短くする設定を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-45032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、上流側の画像形成装置から下流側の画像形成装置への用紙の搬送間隔が変化した場合に、当該変化に対応する技術は提供されていない。したがって、2台の画像形成装置のいずれかにおいて搬送間隔が変化した場合、他の画像形成装置においても当該変化に応じて搬送間隔が変化することになる。一方の画像形成装置における搬送間隔の変化に応じて他方の画像形成装置における搬送間隔を単純に変化させると、他方の画像形成装置において、感光体ドラムなどの要素が無駄に動作する期間が長くなり、これにより、当該要素が他方の画像形成装置において印刷可能であると公称されている枚数の画像形成を前にして寿命を迎える事態が生じ得る。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、複数の画像形成装置が直列的に配置される画像形成システムにおいて、一方の画像形成装置において用紙の搬送間隔が変化した場合に、他方の画像形成装置における要素が無駄に動作する期間を短縮するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、第1の画像形成装置と、第1の画像形成装置に対して当該第1の画像形成装置の下流側に連結される第2の画像形成装置と、第1の画像形成装置および第2の画像形成装置の少なくとも一方の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、第1の画像形成装置および第2の画像形成装置の一方における用紙の搬送速度を、一方における用紙の搬送間隔と他方における用紙の搬送間隔とに基づいて制御する、画像形成システムが提供される。
【0007】
好ましくは、制御部は、他方から用紙が出力される間隔が長くなると、一方の用紙の搬送速度を低下させる。
【0008】
好ましくは、制御部は、他方において、当該他方において形成される画像のカバレッジが高くなると、当該他方から用紙が出力される間隔を長くする。
【0009】
好ましくは、制御部は、第1の画像形成装置および第2の画像形成装置の一方に用紙の両面に画像を形成させ、他方に用紙に画像を形成することなく用紙をスルーさせる。
【0010】
好ましくは、制御部は、他方によって形成された画像に不良が発生したことを条件として、一方に用紙の両面に画像を形成させ、他方に記用紙に画像を形成することなく用紙をスルーさせる。
【0011】
好ましくは、制御部は、第1の画像形成装置で画像形成された用紙の面に対して第2の画像形成装置でさらに画像形成をさせる。
【0012】
好ましくは、画像形成システムは、情報を報知する報知部をさらに備え、制御部は、第1の画像形成装置および第2の画像形成装置の少なくとも一方においてエラーが発生した場合に、報知部において報知する。
【0013】
好ましくは、制御部は、第1の画像形成装置および第2の画像形成装置の一方を制御し、第1の画像形成装置および第2の画像形成装置のいずれか他方は、当該他方において用紙を出力する間隔が変更された場合に、制御部に当該変更を通知する。
【0014】
本開示の他の局面に従うと、コンピューターによって実行可能なプログラムであって、コンピューターに、画像形成システムを構成する第1の画像形成装置および第2の画像形成装置のそれぞれにおける用紙の搬送間隔の情報を取得するステップと、取得された情報に基づいて、第1の画像形成装置および第2の画像形成装置の一方における用紙の搬送速度を制御するステップとを、実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、第1の画像形成装置と第2の画像形成装置とを含む画像形成システムにおいて、第1の画像形成装置および第2の画像形成装置のそれぞれにおける用紙の搬送間隔に基づいて、一方の画像形成装置の用紙の搬送速度が制御される。これにより、他方の画像形成装置における要素が無駄に動作する期間が短縮され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】画像形成システム10の全体構成を示す図である。
図2】画像形成システム10の制御ブロックを示す図である。
図3】画像形成システム10における搬送経路を模式的に示す図である。
図4】上流機100および下流機200のそれぞれの、搬送速度および用紙の搬送間隔を制御するための処理のフローチャートである。
図5】上流機100および下流機200のそれぞれの、搬送速度および用紙の搬送間隔を制御するための処理のフローチャートである。
図6】上流機100および下流機200のそれぞれの、搬送速度および用紙の搬送間隔を制御するための処理のフローチャートである。
図7】上流機100および下流機200のそれぞれの、搬送速度および用紙の搬送間隔を制御するための処理のフローチャートである。
図8】上流機100および下流機200のそれぞれの、搬送速度および用紙の搬送間隔を制御するための処理のフローチャートである。
図9】上流機100および下流機200のそれぞれの、搬送速度および用紙の搬送間隔を制御するための処理のフローチャートである。
図10図4図9に示された処理による、上流機100および下流機200のそれぞれにおける線速および紙間の設定を表す図である。
図11図4図9の制御を従来技術に従ったと比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、画像形成システムの一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0018】
[1.画像形成システムの構成]
図1は、画像形成システム10の全体構成を示す図である。図2は、画像形成システム10の制御ブロックを示す図である。図1および図2を参照して、画像形成システム10の構成を説明する。
【0019】
図1に示すように、画像形成システム10は、大容量給紙ユニット300、上流機100、反転ユニット400、下流機200および排紙ユニット500が順に接続されて構成される。上流機100および下流機200のそれぞれは、MFP等の画像形成装置である。
【0020】
図1中の点X1,X2,X3,X5,X6,X7,X9,X10を結ぶ線は、用紙の搬送経路を示している。画像形成システム10は、2台以上の画像形成装置が直列に接続して構成される、直列タンデム方式の画像形成システムの一例である。
【0021】
画像形成システム10は、両面印刷を行う場合、大容量給紙ユニット300から用紙を給紙し、上流機100により用紙の表面を印刷してもよい。その後、画像形成システム10は、反転ユニット400により用紙を反転させて、用紙を下流機200に搬送してもよい。そして、画像形成システム10は、下流機200により用紙の裏面を印刷してもよい。画像形成システム10は、用紙の裏面を印刷した後、当該用紙を排紙ユニット500に排紙してもよい。
【0022】
反転ユニット400は、プレレジストローラー410を含む。画像形成システム10は、上流機100から出力された用紙をプレレジストローラー410によって留めることができる。そして、画像形成システム10は、プレレジストローラー410の回転を再開させることにより、用紙を下流機200へと送ることができる。すなわち、画像形成システム10は、プレレジストローラー410を用いて、上流機100から出力された用紙を下流機200へと導入するタイミングを調整できる。
【0023】
画像形成システム10は、片面印刷する場合には、大容量給紙ユニット300から用紙を給紙し、上流機100で片面印刷し、下流機200では搬送のみを行ってもよい。または、画像形成システム10は、大容量給紙ユニット300から用紙を給紙し、上流機100では印刷せずに搬送のみを行い、下流機200で片面印刷してもよい。前者のケースを代表して印刷処理の流れを詳細に説明すると、まず、画像形成システム10は、大容量給紙ユニット300から用紙を給紙し、上流機100により用紙の表面を印刷する。その後、画像形成システム10は、用紙を下流機200に搬送する。そして、画像形成システム10は、下流機200により片面印刷済みの用紙を通紙する。最終的に、画像形成システム10は、片面印刷済みの用紙を排紙ユニット500に排紙する。
【0024】
次に、画像形成システム10の各機能の構成について説明する。
大容量給紙ユニット300は、種類の異なる複数の用紙を種類別に格納する給紙トレイを備え、当該給紙トレイに格納されている用紙を上流機100に給紙する(点X1→点X2)。一実現例では、大容量給紙ユニット300の給紙動作は、上流機100が備える制御部105により制御される。
【0025】
上流機100は、大容量給紙ユニット300から給紙された用紙の少なくとも一方の面に画像を形成できる。図1および図2に示されるように、上流機100は、第1搬送経路101、第2搬送経路102、画像形成部103、定着部104、制御部105、通信部106、記憶部107、原稿読み取り部108、操作表示部109、画像処理部110、第1搬送制御部111および切り替えゲート112を備えている。
【0026】
制御部105は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えている。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して上流機100の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部107に格納されている各種データが参照される。記憶部107は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0027】
制御部105は、通信部106を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で、各種データの送受信を行う。制御部105は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)を画像形成部103に出力する。通信部106は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0028】
制御部105は、通信部106を介して、下流機200との間で各種データの送受信を行う。また、制御部105は、通信部106を介して、下流機200の制御部205と連携し、下流機200の動作についても制御する。
【0029】
原稿読み取り部108は、コンタクトガラス上に搬送された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面上に結像させ、原稿を読み取る。なお、コンタクトガラス上への原稿の搬送は、自動原稿給紙装置(ADF)により行われるが、手作業で原稿をコンタクトガラス上に載置する場合もある。
【0030】
操作表示部109は、タッチパネル式の画面を有する。ユーザーは、印刷条件(例えば、片面・両面の印刷種別、画像の濃度や倍率、印刷部数、用紙のサイズや斤量)等、各種の指示および設定のための入力操作を、タッチパネル式の画面を介して行うことができる。
【0031】
画像処理部110は、アナログディジタル(A/D)変換処理を行う回路およびディジタル画像処理を行う回路を含む。画像処理部110は、原稿読み取り部108のCCDセンサーにより取得されたアナログ画像信号から、A/D変換処理によりディジタル画像データを生成して画像形成部103に出力する。
【0032】
以下に説明する画像形成部103および定着部104は、第1搬送経路101上に設けられる。
【0033】
画像形成部103は、画像処理部110により生成されたディジタル画像データまたは制御部105より取得したディジタル画像データに基づいてレーザー光を発光し、当該発光したレーザー光を感光体ドラムに照射することにより、感光体ドラム上に静電潜像を形成する(露光工程)。
【0034】
画像形成部103は、上記の露光工程に加え、露光工程前に行われる帯電工程、露光工程後に行われる現像工程、現像工程後の転写工程および転写工程後のクリーニング工程をそれぞれ実行するための構成を備えている。
【0035】
帯電工程では、画像形成部103は、帯電装置からのコロナ放電により、感光体ドラムの表面を一様に帯電させる。現像工程では、画像形成部103は、現像装置内の現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム上の静電潜像に付着させることにより、感光体ドラム上にトナー像を形成する。
【0036】
転写工程では、画像形成部103は、感光体ドラム上のトナー像を、第1搬送経路101上を搬送される用紙に転写する。クリーニング工程では、画像形成部103は、転写工程後の感光体ドラムに残留しているトナーを除去する。
【0037】
定着部104は、定着ニップ部に導入された用紙上のトナー像に熱および圧力を加えること(加熱定着)により、トナー像を用紙に定着させる(定着工程)。この結果、用紙上には定着トナー像が形成される。
【0038】
第1搬送経路101には、用紙搬送方向に用紙を案内するためのガイド板や、制御部105の制御により回転駆動する複数の搬送ローラー対などが設けられている。制御部105は、大容量給紙ユニット300から給紙された用紙の一方の面(表面)に画像を形成しながら、当該用紙を点X2,X3,X5を通過させて反転ユニット400に搬送する制御を行う。
【0039】
本実施の形態では、制御部105は、上流機100でサービスコールが発生した場合、当該サービスコールを検知して当該サービスコールの内容を操作表示部109に表示させる。サービスコールとは、上流機100内において、例えば上流機100における画像形成処理を制御するプリント制御基板(図示せず)が故障した等の異常が発生したため、メンテナンスを行うサービスマンを呼ぶことを指す。上流機100で発生した用紙ジャムやサービスコールは、通信部106を介して、下流機200が備える制御部205によっても検知される。
【0040】
また、制御部105は、上流機100で用紙ジャムが発生した場合、当該用紙ジャムを検知して、当該用紙ジャムの内容を操作表示部109に表示させる。具体的には、上流機100が備えるジャム検知部(図示せず)は、第1搬送経路101の各部に配置された光学センサーにより、用紙の各部の通過を検出し、各部間の通過時間が所定時間以上となった場合に、用紙ジャム(紙詰まり)の発生を検知する。そして、ジャム検知部は、検知した用紙ジャムに対応するジャムコードを制御部105に出力する。ジャムコードは、用紙ジャムの発生状況(例えば、発生位置、発生要因、発生日時等)を一意に特定するためのジャム識別番号である。制御部105は、ジャム検知部から出力されたジャムコードを参照することによって、用紙ジャムの具体的な発生状況を把握することができる。なお、ジャム検知部は、光学センサーに限らず、機械的なスイッチ等の他の機構によって構成されても良い。
【0041】
制御部105は、上流機100で発生したサービスコールの内容を示すサービスコール情報と、上流機100で発生した用紙ジャムの内容を示す用紙ジャム情報を記憶部107に記憶させる。
【0042】
なお、第2搬送経路102、第1搬送制御部111および切り替えゲート112については後述する。
【0043】
反転ユニット400は、上流機100と下流機200との間に設けられる。画像形成システム10において両面印刷を行う場合、反転ユニット400は、上流機100にて片面に画像形成された用紙を反転させて、反転させた用紙を下流機200に搬送する。反転ユニット400の反転動作は、上流機100が備える制御部105により制御される。
【0044】
下流機200は、反転ユニット400から搬送された用紙の少なくとも一方の面に画像を形成できる。図1および図2に示されるように、下流機200は、第3搬送経路201、第4搬送経路202、画像形成部203、定着部204、制御部205、通信部206、記憶部207、操作表示部209(本発明の「第1報知部」に相当)、第2搬送制御部211および切り替えゲート212を備えている。下流機200における画像形成部203、定着部204、制御部205、通信部206、記憶部207および操作表示部209の処理については、上流機100において説明した画像形成部103、定着部104、制御部105、通信部106、記憶部107および操作表示部109の処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0045】
第3搬送経路201には、用紙搬送方向に用紙を案内するためのガイド板や、制御部205の制御により回転駆動する複数の搬送ローラー対などが設けられている。制御部205は、反転ユニット400から搬送される用紙の一方の面(裏面)に画像を形成しながら、用紙を点X6,X7,X9を通過させて排紙ユニット500に搬送する制御を行う。画像形成部203および定着部204は、第3搬送経路201上に設けられる。
【0046】
なお、第4搬送経路202、第2搬送制御部211および切り替えゲート212については後述する。
【0047】
排紙ユニット500は、下流機200から搬送された用紙を排紙トレイに排紙する排紙トレイを備える。排紙ユニット500は、上流機100および下流機200によって両面に画像が形成され、下流機200から搬送された用紙を排紙トレイ上に集積する。排紙ユニット500の排紙動作は、下流機200が備える制御部205により制御される。
【0048】
上述した構成により、画像形成システム10では、前段の上流機100で用紙の表面に画像を形成し、後段の下流機200により用紙の裏面に画像を形成することにより、1台の画像形成装置で両面印刷を行う場合と比較して、生産性の向上を図ることができる。しかしながら、上流機100および下流機200の何れかで、当該画像形成装置における画像形成処理を制御するプリント制御基板が故障したり、用紙ジャムが発生したりした等、画像形成を行うことに問題が発生した場合、両面印刷を行うことができないという問題があった。そこで、本実施の形態では、画像形成システム10は、上流機100および下流機200の何れかで、画像形成を行うことに問題が発生した場合においても両面印刷を行うことを可能とする構成を有する。
【0049】
具体的には、上述したように、上流機100および下流機200はそれぞれ、第2搬送経路102および第4搬送経路202を有する。また、上流機100および下流機200はそれぞれ、上流機100から下流機200に供給された用紙を、第4搬送経路202を用いて搬送させる第1搬送制御を行う第1搬送制御部111、および、第2搬送経路102を用いて用紙を搬送させる第2搬送制御を行う第2搬送制御部211を有する。
【0050】
第2搬送経路102には、用紙搬送方向に用紙を案内するためのガイド板や、回転駆動可能な複数の搬送ローラー対などが設けられている。上流機100で画像形成を行うことに問題が発生した場合、下流機200が備える第2搬送制御部211は、第2搬送経路102上に設けられた複数の搬送ローラー対を回転駆動させることによって、大容量給紙ユニット300から給紙された用紙に画像を形成せずに点X2,X4,X5を通過させて反転ユニット400に当該用紙を搬送する第2搬送制御を行う。つまり、第2搬送経路102は、上流機100で画像形成を行うことに問題が発生した場合に、用紙が画像形成部103、定着部104を通過しないように迂回させるためのバイパス経路である。
【0051】
また、第2搬送経路102は、下流機200において用紙に印刷を行わず、かつ、上流機100において用紙に両面印刷を行う場合、点X2,X3,X5を通過させながら一方の面(表面)に画像形成が行われた後、点X5,X4,X2を通過させながら用紙を反転させ、他方の面(裏面)に画像形成を行うための第1搬送経路101に当該用紙を導入させる両面搬送経路としても使用される。用紙を反転させるための第2搬送経路102の構造は、図3等を参照して後述される。
【0052】
点X2の近傍には、上流機100にて用紙を搬送する搬送経路を、第1搬送経路101と第2搬送経路102との間で切り替えを行う切り替えゲート112が設けられる。切り替えゲート112による搬送経路の切り替え動作は、下流機200が備える第2搬送制御部211により制御される。
【0053】
一方、下流機200において用紙に両面印刷を行う場合、第3搬送経路201は、用紙に点X6,X7,X9を通過させる。これにより、用紙の一方の面(表面)に画像が形成される。その後、第4搬送経路202は、用紙に点X9,X8,X6を通過させながら用紙を反転させる。その後、第3搬送経路201は、再度、用紙に点X6,X7,X9を通過させる。これにより、用紙の他方の面(裏面)に画像が形成される。用紙を反転させるための第4搬送経路202の構造は、図3に示される。
【0054】
[2.画像形成装置間の搬送速度または印刷モードの相違]
図3は、画像形成システム10における搬送経路を模式的に示す図である。図3には、2つの状態ST11,ST12が示される。状態ST11は、上流機100と下流機200において印刷モードおよび搬送速度が共通する状態を表す。状態ST12は、上流機100と下流機200との間で印刷モードおよび搬送速度が異なる状態を表す。以下、各状態について詳細に説明する。
【0055】
なお、図3において、各用紙は実線で示され、各用紙の実線に付された破線は各用紙上に形成された像を表す。用紙を表す実線の片面のみに破線が付されていることは、当該用紙がその片面にのみ画像を形成された状態にあることを表す。用紙を表す実線の両面に破線が付されていることは、当該用紙がその両面に画像を形成された状態にあることを表す。用紙を表す実線に破線が付されていないことは、当該用紙が画像を形成されていない状態にあることを表す。
【0056】
(状態ST11)
状態ST11では、連続して搬送される10枚の用紙が、用紙P10,P11,P12,P13,P14,P15,P16,P17,P18,P19として示されている。
【0057】
状態ST11では、上流機100は用紙の表面に画像を形成し、下流機200は用紙の裏面に画像を形成する。より具体的には、用紙P10として示されるように、上流機100に導入された用紙は画像形成部103へと導入される。これにより、用紙は、用紙P11として示されるように表面に画像を形成される。
【0058】
その後、用紙P12として示されるように、用紙は定着部104へと導入され、表面に形成された画像を定着される。用紙P13として示されるように定着部104から出力された用紙は、用紙P14として示されるように反転ユニット400に導入される。
【0059】
反転ユニット400において反転されると、画像形成システム10は、用紙P15として示されるように、上流機100から出力された用紙をプレレジストローラー410にて留める.その後、画像形成システム10は、用紙P16として示されるように、適切なタイミングでプレレジストローラー410の回転を再開させて、上流機100から出力された用紙を下流機200へと導入する。
【0060】
下流機200では、用紙P17として示されるように、用紙は画像形成部203に導入される。用紙は、用紙P18として示されるように、画像形成部203によって裏面に画像を形成され、その後、定着部204に導入される。
【0061】
定着部204にて裏面の画像を定着された後、用紙は、用紙P19として示されるように定着部204から排出され、その後、排紙ユニット500(図1参照)へと導入される。
【0062】
状態ST11では、上流機100と下流機200のそれぞれで、用紙は一方の面に画像を形成される。状態ST11では、上流機100と下流機200のそれぞれにおける画像形成に要する時間はほぼ等しいとする。この場合、上流機100と下流機200とにおける搬送速度および用紙の間隔は共通のものが採用され得る。
【0063】
(状態ST12)
状態ST12では、連続して搬送される9枚の用紙が、用紙P20,P21,P22,P23,P24,P25,P26,P27,P28として示されている。状態ST12は、上流機100が用紙の両面に画像を形成し、下流機200が用紙の片面にのみ画像を形成する。
【0064】
より具体的には、状態ST12では、上流機100は、用紙P20として示されるように上流機100に導入された用紙の表面に、画像形成部103で画像を形成する。これにより、用紙P21として示されるように、用紙の表面に画像を形成された後、画像形成部103から排出される。その後、用紙は、用紙P22として示されるように、定着部104によって表面の画像を定着された後、第2搬送経路102に導入される。第2搬送経路102では、用紙は、用紙P23および用紙P24として示されるように反転された後、再度、第1搬送経路101に導入される。
【0065】
その後、用紙は、画像形成部103で裏面に画像を形成され、用紙P25として示されるように定着部104に導入される。定着部104によって裏面の画像を定着された後、用紙P26として示されるように、用紙は上流機100から反転ユニット400に導入される。
【0066】
その後、用紙は、用紙P27として示されるように、画像形成部203にて表面に画像を形成される。その後、用紙は、用紙P28として示されるように、定着部204によって画像を定着された後、排紙ユニット500に導入される。
【0067】
なお、下流機200が用紙の裏面に画像を形成する場合、画像形成システム10は、上流機100から出力された用紙を反転ユニット400で反転させた後、下流機200に導入する。
【0068】
状態ST12では、上流機100は用紙の両面に画像を形成するが、下流機200は用紙の片面に画像を形成する。したがって、上流機100が下流機200と同じ搬送速度で用紙を搬送する場合、下流機200は、上流機100における用紙の搬送間隔よりも長い間隔で用紙を搬送する必要がある。
【0069】
そこで、画像形成システム10は、状態ST12では、状態ST11よりも、下流機200の搬送速度を低下させる。これにより、下流機200における用紙の搬送の間隔を短くでき、下流機200の画像形成用の要素が画像形成動作を実行していない期間が短縮される。
【0070】
なお、図3に示された状況は、画像形成システム10における制御の単なる一例に関するものであって、画像形成システム10における制御が提供される状況は図3に示されたものに限定されない。たとえば、図3に示された状況において上流機100と下流機200とが入れ替えられても良い。すなわち、上流機100が用紙の片面にのみ画像を形成し、下流機200が用紙の両面に画像を形成する場合、画像形成システム10は、上流機100における用紙の搬送速度を、上流機100と下流機200の双方が用紙の片面のみに画像を形成する場合よりも低下させてもよい。
【0071】
[3.処理の流れ]
図4図9は、上流機100および下流機200のそれぞれの、搬送速度および用紙の搬送間隔を制御するための処理のフローチャートである。画像形成システム10は、上流機100側の制御部105、下流機200側の制御部205、もしくは、上流機100および下流機200以外の装置に設置された制御機器、または、これらの組合せに所与のプログラムを実行させることによって、図4図9の処理を実行してもよい。
【0072】
図4図9の前提として、上流機100と下流機200のそれぞれでは、たとえば印刷ジョブごとに、印刷モード(片面印刷または両面印刷)と、用紙の搬送速度(「線速」ともいう)とが設定される。上流機100および下流機200のそれぞれは、基本的に当該設定に従って動作する。
【0073】
また、上流機100および下流機200のそれぞれでは、高カバレッジ用制御のON/OFFが設定され得る。高カバレッジ用制御の値は、初期状態ではOFFである。各装置において用紙に形成される画像のカバレッジ(印字率)が比較的高い場合(たとえば、所与の閾値を超える)、高カバレッジ用制御の値がONへと変更される。高カバレッジ用制御がONにされることにより、用紙の搬送速度の低下され、および/または、用紙の搬送間隔を広くされる。
【0074】
また、以下の説明において、上流機100および下流機200における用紙の搬送速度として、「高速」と「低速」とが言及され得る。上流機100および下流機200のそれぞれの用紙の搬送速度について2種類の値が登録されている場合、「高速」では当該2種類の値のうち大きい値が搬送速度として設定され、「低速」では当該2種類の値のうち小さい値が搬送速度として設定される。上流機100および下流機200のそれぞれでは、設定された値に従った速度で用紙が搬送されるように、各種のモーターを回転させるモーターが駆動される。
【0075】
また、以下の説明において、「高生産性用制御」(図5等では「高生産性」と記述)は、用紙の搬送間隔を比較的短くする制御を意味し、「低生産性用制御」(図5等では「低生産性」と記述)は、用紙の搬送間隔を比較的長くする制御を意味する。たとえば、上流機100および下流機200のそれぞれにおいて用紙の搬送間隔に関する2種類の値が登録されている場合、高生産性用制御では、当該2種類の値のうち小さい方の値が、搬送間隔の値として設定され、低生産性用制御では、当該2種類の値のうち大きい方の値が、搬送間隔の値として設定される。上流機100および下流機200のそれぞれでは、設定された値に従った間隔で用紙が搬送されるように、各種のモーターを回転させるモーターが駆動される。
【0076】
図4を参照して、ステップS10にて、画像形成システム10は、上流機100の印刷モードを読み出す。画像形成システム10は、上流機100の印刷モードが「片面」(片面印刷)であれば、ステップS12へ制御を進め、上流機100の印刷モードが「両面」(両面印刷)であれば、ステップS14へ制御を進める。
【0077】
ステップS12にて、画像形成システム10は、下流機200の印刷モードを読み出す。画像形成システム10は、下流機200の印刷モードが「片面」(片面印刷)であれば、ステップS100(図5)へ制御を進め、下流機200の印刷モードが「両面」(両面印刷)であれば、ステップS200(図6)へ制御を進める。
【0078】
ステップS14にて、画像形成システム10は、下流機200の印刷モードを読み出す。画像形成システム10は、下流機200の印刷モードが「片面」(片面印刷)であれば、ステップS300(図7)へ制御を進め、下流機200の印刷モードが「両面」(両面印刷)であれば、ステップS400(図8)へ制御を進める。
【0079】
図5を参照して、ステップS100にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0080】
ステップS102にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0081】
ステップS104にて、画像形成システム10は、上流機100が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、上流機100が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS104にてYES)、ステップS106へ制御を進め、そうでなければ(ステップS104にてNO)、ステップS110へ制御を進める。
【0082】
ステップS106にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0083】
ステップS108にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0084】
ステップS110にて、画像形成システム10は、下流機200が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、下流機200が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS110にてYES)、ステップS112へ制御を進め、そうでなければ(ステップS110にてNO)、ステップS110へ制御を進める。
【0085】
ステップS112にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0086】
ステップS114にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0087】
ステップS116にて、画像形成システム10は、上流機100および下流機200の双方が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、上流機100および下流機200の双方が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS116にてYES)、ステップS118へ制御を進め、そうでなければ(ステップS116にてNO)、ステップS116へ制御を進める。
【0088】
ステップS118にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0089】
ステップS120にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。その後、画像形成システム10は、ステップS16(図9)へ制御を進める。
【0090】
図6を参照して、ステップS200にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0091】
ステップS202にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0092】
ステップS204にて、画像形成システム10は、上流機100が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、上流機100が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS204にてYES)、ステップS206へ制御を進め、そうでなければ(ステップS204にてNO)、ステップS210へ制御を進める。
【0093】
ステップS206にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「低生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0094】
ステップS208にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0095】
ステップS210にて、画像形成システム10は、下流機200が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、下流機200が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS210にてYES)、ステップS212へ制御を進め、そうでなければ(ステップS210にてNO)、ステップS210へ制御を進める。
【0096】
ステップS212にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0097】
ステップS214にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「低生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0098】
ステップS216にて、画像形成システム10は、上流機100および下流機200の双方が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、上流機100および下流機200の双方が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS216にてYES)、ステップS218へ制御を進め、そうでなければ(ステップS216にてNO)、ステップS216へ制御を進める。
【0099】
ステップS218にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0100】
ステップS220にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。その後、画像形成システム10は、ステップS16(図9)へ制御を進める。
【0101】
図7を参照して、ステップS300にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0102】
ステップS302にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0103】
ステップS304にて、画像形成システム10は、上流機100が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、上流機100が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS304にてYES)、ステップS306へ制御を進め、そうでなければ(ステップS304にてNO)、ステップS310へ制御を進める。
【0104】
ステップS306にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0105】
ステップS308にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「低生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0106】
ステップS310にて、画像形成システム10は、下流機200が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、下流機200が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS310にてYES)、ステップS312へ制御を進め、そうでなければ(ステップS310にてNO)、ステップS310へ制御を進める。
【0107】
ステップS312にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「低生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0108】
ステップS314にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0109】
ステップS316にて、画像形成システム10は、上流機100および下流機200の双方が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、上流機100および下流機200の双方が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS316にてYES)、ステップS318へ制御を進め、そうでなければ(ステップS316にてNO)、ステップS316へ制御を進める。
【0110】
ステップS318にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0111】
ステップS320にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。その後、画像形成システム10は、ステップS16(図9)へ制御を進める。
【0112】
図8を参照して、ステップS400にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0113】
ステップS402にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0114】
ステップS404にて、画像形成システム10は、上流機100が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、上流機100が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS404にてYES)、ステップS406へ制御を進め、そうでなければ(ステップS404にてNO)、ステップS410へ制御を進める。
【0115】
ステップS406にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0116】
ステップS408にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0117】
ステップS410にて、画像形成システム10は、下流機200が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、下流機200が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS410にてYES)、ステップS412へ制御を進め、そうでなければ(ステップS410にてNO)、ステップS410へ制御を進める。
【0118】
ステップS412にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0119】
ステップS414にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「低速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。
【0120】
ステップS416にて、画像形成システム10は、上流機100および下流機200の双方が「高カバレッジ用制御」を実行しているか否かを判断する。画像形成システム10は、上流機100および下流機200の双方が「高カバレッジ用制御」を実行していると判断すると(ステップS416にてYES)、ステップS418へ制御を進め、そうでなければ(ステップS416にてNO)、ステップS416へ制御を進める。
【0121】
ステップS418にて、画像形成システム10は、上流機100について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。上流機100は、これらの設定に従って動作する。
【0122】
ステップS420にて、画像形成システム10は、下流機200について、搬送速度として「高速」を設定し、搬送間隔として「高生産性」を設定する。下流機200は、これらの設定に従って動作する。その後、画像形成システム10は、ステップS16(図9)へ制御を進める。
【0123】
図9を参照して、ステップS16にて、画像形成システム10は、実行中のジョブが終了したか否かを判断する。画像形成システム10は、実行中のジョブがまだ終了していないと判断すると(ステップS16にてNO)、ステップS10(図4)へ制御を戻す。一方、画像形成システム10は、実行中のジョブが終了したと判断すると(ステップS16にてYES)、図4図9の処理を終了させる。
【0124】
以上、図4図9を参照して説明した処理によれば、上流機100および下流機200の一方における用紙の搬送速度(高速/低速)が、上流機100および下流機200のそれぞれにおける用紙の搬送間隔の情報(高カバレッジ用制御のON/OFF)に基づいて設定される。
【0125】
図4図9を参照して説明された処理が制御部105または制御部205によって実行される場合、一方の装置の動作状態が他方の装置に通知されてもよい。たとえば、制御部105が上記処理を実行する場合、制御部205は、下流機200の動作状態(紙間、カバレッジ、印刷モード、等)を制御部105に通知してもよい。
【0126】
[4.制御の要約]
図10は、図4図9に示された処理による、上流機100および下流機200のそれぞれにおける線速および紙間の設定を表す図である。「線速」は、用紙の搬送速度を表し、「紙間」は、用紙の搬送間隔を表す。
【0127】
図10には、上流機100の2種類の印刷モード(片面または両面)と下流機200の2種類の印刷モード(片面または両面)の組合せのそれぞれについて、上流機100および下流機200のそれぞれにおける高カバレッジ用制御のON/OFFの4種類の組合せに対応した、16種類の設定が示される。16種類の設定のそれぞれには、「設定No.」として番号が割当てられている。たとえば、設定No.が「1」である設定は、上流機100の印刷モードが「片面」であり、下流機200の印刷モードが「片面」であり、上流機100において高カバレッジ用制御がOFFであり、下流機200において高カバレッジ用制御がOFFである場合の、上流機100および下流機200における設定を表す。
【0128】
設定No.が「1」である設定と「5」である設定との比較によれば、下流機200の印刷モードが「片面」(設定No.1)から「両面」(設定No.5)へと変更されると、上流機100における線速が「高速」(設定No.1)から「低速」(設定No.5)へと変更される。
【0129】
設定No.が「1」である設定と「9」である設定との比較によれば、上流機100の印刷モードが「片面」(設定No.1)から「両面」(設定No.9)へと変更されると、下流機200における線速が「高速」(設定No.1)から「低速」(設定No.9)へと変更される。
【0130】
設定No.が「5」である設定と「6」~「8」である設定との比較によれば、下流機200における紙間が70mm程度(設定No.5であれば67mm、設定No.6~8であれば73mm)である場合、上流機100の紙間が73mm(設定No.5)から356mm(設定No.6~8)へと変更されると、下流機200の線速が「高速」(設定No.5)から「低速」(設定No.6~8)へと変更される。より具体的には、上流機100の紙間が長くなると、下流機200の線速が低下する。
【0131】
設定No.が「9」である設定と「10」~「12」である設定との比較によれば、上流機100における紙間が70mm程度(設定No.9であれば67mm、設定No.10~12であれば73mm)である場合、下流機200の紙間が73mm(設定No.9)から356mm(設定No.10~12)へと変更されると、上流機100の線速が「高速」(設定No.9)から「低速」(設定No.10~12)へと変更される。より具体的には、下流機200の紙間が長くなると、上流機100の線速が低下する。
【0132】
[5.従来技術との比較]
図11は、図4図9の制御を従来技術に従ったと比較するための図である。図11には、条件(1)~条件(7)のそれぞれについて、上流機100および下流機200における設定が示されている。条件(1),条件(3)~条件(5),および,条件(7)は、図4図9の制御に従った制御に基づく。条件(2)および条件(6)は、従来技術に従った制御に基づく。図11において、PPM(Print Per Minute)は、1分間に画像を形成する印刷面の数を表す。136PPMは、1分間に136枚の用紙のそれぞれの片面が印刷されることを表す。また、136PPMは、1分間に68枚の用紙のそれぞれの両面(2つの面)が印刷されることを表す。
【0133】
(条件(2)について)
条件(2)は、用紙サイズがA4である場合を表す。条件(2)として示されるように、従来技術に基づく制御によれば、上流機100および下流機200の双方において線速が「高速」である場合、上流機100の印刷モードが「両面」であれば、下流機200における紙間として344mが設定される。
【0134】
一方、条件(3)として示されるように、図4図9の制御に従うと、上流機100の印刷モードが「両面」であれば、下流機200の線速として「低速」が設定される。これにより、下流機200における紙間は73mに抑えられる。条件(2)と比較して、条件(3)では、下流機200において紙間が短くなり、これにより、下流機200において感光体などの要素が無駄に動作する期間が短縮される。また、搬送速度が低下することにより、搬送用のローラーに流されるべき電流値が低減され得る。これにより、モーターの劣化の速度を低減でき、モーターの長寿命化に寄与し得る。
【0135】
(条件(6)について)
条件(6)は、用紙サイズがA3である場合を表す。条件(6)として示されるように、従来技術に基づく制御によれば、上流機100および下流機200の双方において線速が「高速」である場合、上流機100の印刷モードが「両面」であれば、下流機200における紙間として547mが設定される。
【0136】
一方、条件(7)として示されるように、図4図9の制御に従うと、上流機100の印刷モードが「両面」であれば、下流機200の線速として「低速」が設定される。これにより、下流機200における紙間は63mに抑えられる。条件(6)と比較して、条件(7)では、下流機200において紙間が短くなり、これにより、下流機200において感光体などの要素が無駄に動作する期間が短縮される。
【0137】
[6.他の制御]
画像形成システム10では、パススルーモード、追い刷りモード、エラーモードなどの各モードに従った制御が実施され得る。画像形成システム10は、上流機100側の制御部105、下流機200側の制御部205、もしくは、上流機100および下流機200以外の装置に設置された制御機器、または、これらの組合せに所与のプログラムを実行させることによって、各モードに従った制御を実行してもよい。以下、各モードについて説明する。
【0138】
(パススルーモード)
パススルーモードとは、上流機100および下流機200の一方のみが用紙に対する画像形成を実行し、他方は画像形成をすることなく用紙の搬送のみを実行するモードである。一例では、上流機100のみが用紙に画像形成を実行し、下流機200は、上流機100から出力された用紙を、画像形成をすることなく、排紙ユニット500へと排出する。他の例では、上流機100は、用紙に画像形成を実行することなく、用紙を下流機200に出力し、下流機200が、当該用紙に対して画像形成を実行する。
【0139】
一実現例では、画像形成システム10は、上流機100および下流機200のいずれか一方によって形成された画像に異常発生したことを起因として、パススルーモードを実行してもよい。
【0140】
画像における異常の有無は、ユーザーによって判断されてもよいし、センサーによって判断されてもよい。後者の場合、上流機100および下流機200のそれぞれの終端に、用紙上に形成された画像を読み取る画像センサーが設置され得る。一例では、画像形成システム10は、上流機100の終端に設置された画像センサーによって検出された画像と原稿の画像とを比較し、閾値以上の相違が検出された場合に、上流機100によって画像形成された画像に異常が発生したと判断する。他の例では、下流機200の終端に設置された画像センサーによって検出された画像と原稿の画像とを比較し、閾値以上の相違が検出された場合に、下流機200によって画像形成された画像に異常が発生したと判断する。
【0141】
(追い刷りモード)
追い刷りモードとは、上流機100において画像を形成された用紙の面に対して、さらに、下流機200が画像を形成するモードである。
【0142】
(エラーモード)
エラーモードとは、上流機100および下流機200の少なくとも一方に、エラーが発生したときに実施される。エラーモードの制御内容の一例は、エラーの報知である。一例では、画像形成システム10は、上流機100および下流機200のいずれか一方に紙詰まりなどのエラーが発生すると、操作表示部109および/または操作表示部209において、エラーの発生を報知(たとえば、表示および/または音声出力)する。
【0143】
上流機100および下流機200の一方に発生したエラーが、画像形成の不良である場合、画像形成システム10は、エラーモードの制御として、パススルーモードを実行してもよい。
【0144】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0145】
10 画像形成システム、100 上流機、101 第1搬送経路、102 第2搬送経路、103,203 画像形成部、104,204 定着部、105,205 制御部、106,206 通信部、107,207 記憶部、108 原稿読み取り部、109,209 操作表示部、110 画像処理部、111 第1搬送制御部、112,212 切り替えゲート、200 下流機、201 第3搬送経路、202 第4搬送経路、211 第2搬送制御部、300 大容量給紙ユニット、400 反転ユニット、410 プレレジストローラー、500 排紙ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11