(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報コード、情報コード媒体、情報コード生成方法、及び情報コード読取装置
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20240110BHJP
G06K 7/12 20060101ALI20240110BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240110BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G06K19/06 140
G06K19/06 037
G06K7/12
G06K7/14 017
G06K19/06 131
G06K7/14 043
G06K7/10 372
G06K7/10 456
(21)【出願番号】P 2019178283
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】水越 宏明
(72)【発明者】
【氏名】牛嶋 隆雄
【審査官】石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-101164(JP,A)
【文献】特開2009-289066(JP,A)
【文献】特開平04-148390(JP,A)
【文献】登録実用新案第3132566(JP,U)
【文献】特開2019-021165(JP,A)
【文献】特開2015-060270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/06
G06K 7/12
G06K 7/14
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコード領域内に複数の明色セル及び暗色セルが配列される情報コードであって、
前記コード領域の周囲には、複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域が設けられ、
前記カラー領域は、前記複数種類のカラーセルの配列方向に沿う長さの比が規定値であって
隣り合うカラーセルは色が異なって同じ色のカラーセルは辺の長さが同じになり幅が前記コード領域を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように配列して構成されることを特徴とする情報コード。
【請求項2】
前記カラー領域は、内縁にて前記所定のコード領域の周囲に配置される所定のマージンの外縁に接するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の情報コード。
【請求項3】
所定のコード領域内に複数の明色セル及び暗色セルを配列した情報コードが形成される情報コード媒体であって、
前記コード領域の周囲には、複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域が設けられ、
前記カラー領域は、前記複数種類のカラーセルの配列方向に沿う長さの比が規定値であって
隣り合うカラーセルは色が異なって同じ色のカラーセルは辺の長さが同じになり幅が前記コード領域を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように配列して構成されることを特徴とする情報コード媒体。
【請求項4】
前記カラー領域は、内縁にて前記所定のコード領域の周囲に配置される所定のマージンの外縁に接するように配置されることを特徴とする請求項3に記載の情報コード媒体。
【請求項5】
所定のコード領域内に複数の明色セル及び暗色セルが配列される情報コードを生成する情報コード生成方法であって、
前記コード領域の周囲に、複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域を設け、
前記カラー領域は、前記複数種類のカラーセルの配列方向に沿う長さの比が規定値であって
隣り合うカラーセルは色が異なって同じ色のカラーセルは辺の長さが同じになり幅が前記コード領域を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように配列して構成されることを特徴とする情報コード生成方法。
【請求項6】
前記カラー領域は、内縁にて前記所定のコード領域の周囲に配置される所定のマージンの外縁に接するように配置されることを特徴とする請求項5に記載の情報コード生成方法。
【請求項7】
所定のコード領域内に複数の明色セル及び暗色セルが配列される情報コードを読み取る情報コード読取装置であって、
前記コード領域の周囲には、複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域が設けられ、前記カラー領域は、前記複数種類のカラーセルの配列方向に沿う長さの比が規定値であって
隣り合うカラーセルは色が異なって同じ色のカラーセルは辺の長さが同じになり幅が前記コード領域を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように配列して構成され、
撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像から前記カラー領域を検出するための検出部と、
前記検出部により前記カラー領域が検出された前記撮像画像から当該カラー領域に基づいて前記所定のコード領域の範囲を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記所定のコード領域に対して当該所定のコード領域に記
録された情報を解読するためのデコード処理を行う解読部と、
を備えることを特徴とする情報コード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード、情報コード表示媒体、情報コード生成方法、及び情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、QRコード(登録商標)などの情報コードの活用事例として、地上に大きく描いた情報コードを、ヘリコプターから認識して情報を入手する事例や、ドローンの自動離着陸や車の自動運転のためマーカとして活用する事例などがみられる。このような事例では、遠くから情報コードを撮像してその撮像画像に対するデコード処理によってその情報コードに記録される情報を読み取ることを前提とする。このため、遠くからQRコードを撮像していることで小さく撮像されるファインダパターン等を検出できないために、QRコードが読取装置の撮像視野内にあることを認識できなければ、そのQRコードを読み取るためのデコード処理を実施できないという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するため、遠くの情報コードを読み取るための技術として、例えば、下記特許文献1に開示される二次元コードが知られている。この二次元コードは、外周部の黒色(白色)のフレーム内において、白色(黒色)のセパレータを境界領域として複数のセルが一定間隔で配列され、所定の情報が各セルの色および色の組み合わせによりエンコードされるように生成される。このように、各セルの周囲にコントラストのはっきりしたセパレータとフレームとが配置されるように二次元コードを生成することで、遠くから撮像する場合でもその撮像視野のどの範囲に上記二次元コードが撮像されるか把握しやすくなるので、遠くから撮像した二次元コードに対して適切にデコード処理を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるように生成される二次元コードは、セパレータを設けて各セルの色の識別及び配置に関連付けて情報が記録されるため、複数の明色セル及び暗色セルを配列してなるQRコード等と比較して、記録可能な情報量を多くするほど二次元コードが大きくなりやすい。このため、情報量を多くするように生成された上記二次元コードは、大型化してしまうために配置に関して制約を受けやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、小さな情報コードを遠くからでも読み取れるように撮像可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
所定のコード領域(11)内に複数の明色セル及び暗色セルが配列される情報コード(1)であって、
前記コード領域の周囲には、複数種類のカラーセル(21~23)を所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域(20)が設けられ、
前記カラー領域は、前記複数種類のカラーセルの配列方向に沿う長さの比が規定値であって隣り合うカラーセルは色が異なって同じ色のカラーセルは辺の長さが同じになり幅が前記コード領域を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように配列して構成されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、
所定のコード領域(11)内に複数の明色セル及び暗色セルを配列した情報コード(1)が形成される情報コード媒体(R)であって、
前記コード領域の周囲には、複数種類のカラーセル(21~23)を所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域(20)が設けられ、
前記カラー領域は、前記複数種類のカラーセルの配列方向に沿う長さの比が規定値であって隣り合うカラーセルは色が異なって同じ色のカラーセルは辺の長さが同じになり幅が前記コード領域を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように配列して構成されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、
所定のコード領域(11)内に複数の明色セル及び暗色セルが配列される情報コード(1)を生成する情報コード生成方法であって、
前記コード領域の周囲に、複数種類のカラーセル(21~23)を所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域(20)を設け、
前記カラー領域は、前記複数種類のカラーセルの配列方向に沿う長さの比が規定値であって隣り合うカラーセルは色が異なって同じ色のカラーセルは辺の長さが同じになり幅が前記コード領域を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように配列して構成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項7に記載の発明は、
所定のコード領域(11)内に複数の明色セル及び暗色セルが配列される情報コード(1)を読み取る情報コード読取装置(30)であって、
前記コード領域の周囲には、複数種類のカラーセル(21~23)を所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域(20)が設けられ、前記カラー領域は、前記複数種類のカラーセルの配列方向に沿う長さの比が規定値であって隣り合うカラーセルは色が異なって同じ色のカラーセルは辺の長さが同じになり幅が前記コード領域を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように配列して構成され、
撮像部(33)と、
前記撮像部により撮像された撮像画像から前記カラー領域を検出するための検出部(31)と、
前記検出部により前記カラー領域が検出された前記撮像画像から当該カラー領域に基づいて前記所定のコード領域の範囲を特定する特定部(31)と、
前記特定部により特定された前記所定のコード領域に対して当該所定のコード領域に記録された情報を解読するためのデコード処理を行う解読部(31)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、複数の明色セル及び暗色セルが配列されるコード領域の周囲には、複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域が設けられる。
【0012】
これにより、請求項1の発明に係る情報コードを遠くから撮像した場合には、その撮像画像から上記カラー領域を検出できれば、そのカラー領域よりも内側となる範囲内に上記コード領域が撮像されることがわかるため、多くの情報を記録するために各セルが小さくなったコード領域であっても適切にデコード処理を実施することができる。特に、画像処理の特性上、カラーセルは明色セルや暗色セルよりも撮像画像から検出しやすいために、複数種類のカラーセルを配列してなるカラー領域は、明色セル及び暗色セルからなるQRコードのファインダパターン等よりも撮像画像から検出しやすくなる。このため、検出されるカラー領域を利用することで、その情報コードが撮像視野内にあることを認識しやすくなるだけでなくそのコード領域の範囲を特定しやすくなるので、デコード成功率を高めることができる。したがって、小さな情報コードを遠くからでも読み取れるように撮像することができる。
【0013】
請求項2の発明では、カラー領域は、内縁にて上記所定のコード領域の周囲に配置される所定のマージンの外縁に接するように配置される。これにより、カラー領域とコード領域との間を最小限にできるので、コード領域及びカラー領域を有する情報コードをより小さく生成することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、請求項1と同様の効果を奏する情報コード媒体を実現できる。
請求項4の発明によれば、請求項2と同様の効果を奏する情報コード媒体を実現できる。
請求項5の発明によれば、請求項1と同様の効果を奏する情報コードを良好に生成することができる。
請求項6の発明によれば、請求項2と同様の効果を奏する情報コードを良好に生成することができる。
【0017】
請求項7の発明では、複数の明色セル及び暗色セルが配列されるコード領域の周囲に複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域が設けられる情報コードを読取対象とし、カラー領域が検出された撮像画像から当該カラー領域に基づいて所定のコード領域の範囲が特定されると、この所定のコード領域に対して当該所定のコード領域に記録された情報を解読するためのデコード処理が行われる。
【0018】
これにより、上述のような情報コードを遠くから撮像した場合には、その撮像画像から上記カラー領域を検出できれば、そのカラー領域に基づいて所定のコード領域を特定できるので、多くの情報を記録するために各セルが小さくなったコード領域であっても適切にデコード処理を実施することができる。特に、画像処理の特性上、カラーセルは明色セルや暗色セルよりも撮像画像から検出しやすいために、複数種類のカラーセルを配列してなるカラー領域は、明色セル及び暗色セルからなるQRコードのファインダパターン等よりも撮像画像から検出しやすくなる。このため、検出されるカラー領域を利用することで、その情報コードが撮像視野内にあることを認識しやすくなるだけでなくそのコード領域の範囲を特定しやすくなるので、デコード成功率を高めることができる。したがって、小さな情報コードを遠くからでも読み取れるように撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る情報コードが表示された情報コード媒体を示す説明図である。
【
図2】第1実施形態に係る情報コードを読み取る情報コード読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図3】情報コード読取装置の制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る情報コードが表示された情報コード媒体を示す説明図である。
【
図5】第2実施形態に係る情報コードが表示された情報コード媒体を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード、情報コード媒体、情報コード生成方法、及び情報コード読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、
図1を参照して本実施形態に係る情報コードの構成を説明する。
本実施形態に係る情報コード1は、
図1に示すように、QRコード10と、このQRコード10の周囲に配置される四角環状のカラー領域20とを備えるように構成されている。この情報コード1は、遠方から撮像される機会が多い看板などの媒体(情報コード媒体R)に印刷されて表示(形成)されている。
【0023】
QRコード10は、一般的な読取装置で読み取り可能な公知のQRコードであって、矩形状のコード領域11内に複数の明色セル(例えば白セル)及び暗色セル(例えば黒セル)がマトリクス状に配列され、このコード領域11の周囲に明色セルと同じ色からなる所定の幅の四角環状枠がマージン(クワイエットゾーン)12として配置されるように構成されている。また、コード領域11の三隅には、位置検出パターンとして、ファインダパターン13がそれぞれ配置されている。なお、コード領域11は、「所定のコード領域」の一例に相当し、マージン12は、「所定のマージン」の一例に相当し得る。
【0024】
カラー領域20は、複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて四角環状に配列して構成されている。本実施形態では、カラー領域20は、
図1に示すように、第1色(例えば赤色)のカラーセル21と第2色(例えば青色)のカラーセル22と第3色(例えば緑色)のカラーセル23との3種類のカラーセルからなり、上記所定の配列順序として、カラーセル21、カラーセル22、カラーセル23の順で配列方向に沿う長さの比が6:5:4となるように配列して構成されている。このように構成されるカラー領域20は、その幅がコード領域11を構成するセルの一辺の2倍の長さであって、内縁にてコード領域11の周囲に配置されるマージン12の外縁に接するように配置されている。
【0025】
すなわち、QRコード10に対して、このQRコード10を囲うようにカラー領域20を配置することで、情報コード1を生成することができる。
【0026】
このように構成されるカラー領域20がQRコード10の周囲に配置されるため、情報コード1を撮像した情報コード読取装置30では、カラー領域20が検出された撮像画像から当該カラー領域20に基づいてQRコード10のコード領域11が占める範囲を特定することができる。
【0027】
次に、本実施形態に係る情報コード1を光学的に読み取るための情報コード読取装置30の構成について、
図2を用いて説明する。
本実施形態に係る情報コード読取装置30は、情報コード1を含めバーコードやQRコードなどの一般の情報コードなどを光学的に読み取る読取装置である。
図2に示す情報コード読取装置30は、例えば、情報コード1を読み取るためのアプリケーションプログラム(以下、読取アプリともいう)等がインストールされた携帯端末であって、CPU等からなる制御部31、メモリ32、カメラとして構成される撮像部33、制御部31によって表示内容が制御される表示部34、入力操作に応じた操作信号を制御部31に出力する操作部35、外部機器等と通信するための通信部36などを備えている。
【0028】
このように構成される情報コード読取装置30では、上記読取アプリを起動することで制御部31にてなされる読取処理により、遠くから情報コード1を撮像していることから小さく撮像されるQRコード10のファインダパターン13を撮像画像から検出できない場合でも、カラー領域20が撮像画像から検出されることで、その撮像画像においてQRコード10が占める範囲を特定して、QRコード10に対してデコード処理を実施することができる。画像処理の特性上、カラーセル21~23のように白色や黒色と容易に区別可能なカラーからなるセルは、明色セルや暗色セルよりも撮像画像から検出しやすいために、各カラーセル21~23を配列してなるカラー領域20は、明色セル及び暗色セルからなるQRコード10のファインダパターン13よりも撮像画像から検出しやすくなるからである。このため、メモリ32には、上記読取アプリのインストール時に、カラー領域20を検出するための上記所定の配列順序に関する情報(以下、単に、カラー配列情報ともいう)が予め記憶されている。
【0029】
以下、情報コード1を読み取る際に情報コード読取装置30の制御部31にて実行される読取処理について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
操作部35に対する所定の操作に応じて上記読取アプリが起動することで制御部31により読取処理が開始されると、まず、
図3のステップS101に示す撮像処理がなされ、撮像部33により情報コード1等が撮像可能な状態になる。
【0030】
次に、ステップS103に示すカラー領域検出処理がなされる。この処理では、メモリ32に予め記憶された上記カラー配列情報に基づいて、撮像画像からカラー領域20を検出するための処理がなされる。なお、上記カラー領域検出処理を行う制御部31は、「検出部」の一例に相当し得る。
【0031】
そして、環状のカラー領域20を有する情報コード1を撮像していることから、撮像された撮像画像からカラー領域20が検出されると(S105でYes)、ステップS107に示すコード領域特定処理がなされる。この処理では、抽出された環状のカラー領域20の内側に読取対象となるQRコード10のコード領域11が位置しているとして、コード領域11の範囲が特定される。なお、上記コード領域特定処理を行う制御部31は、「特定部」の一例に相当し得る。
【0032】
続いて、ステップS109に示すデコード処理がなされ、上述のように特定されたコード領域11に対して当該コード領域11に記録された情報を解読するための処理が行われる。そして、このデコード処理が成功すると(S111でYes)、解読された解読結果が出力されて(S113)、この解読結果を利用した処理がなされる。一方、デコード処理が失敗した場合には(S111でNo)、上記ステップS101からの処理が再度なされる。なお、上記デコード処理を行う制御部31は、「解読部」の一例に相当し得る。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード1では、複数の明色セル及び暗色セルが配列されるQRコード10のコード領域11の周囲には、複数種類のカラーセル21~23を所定の配列順序に基づいて環状に配列してなるカラー領域20が設けられる。
【0034】
そして、本実施形態に係る情報コード読取装置30では、上記情報コード1を読取対象とし、カラー領域20が検出された撮像画像から当該カラー領域20に基づいてQRコード10のコード領域11の範囲が特定されると(S107)、このコード領域11に対して当該コード領域11に記録された情報を解読するためのデコード処理が行われる(S109)。
【0035】
これにより、情報コード1を遠くから撮像した場合には、その撮像画像からカラー領域20を検出できれば、そのカラー領域20よりも内側となる範囲内にQRコード10のコード領域11が撮像されることがわかるため、多くの情報を記録するために各セルが小さくなったコード領域11であっても適切にデコード処理を実施することができる。このため、検出されるカラー領域20を利用することで、その情報コード1が撮像視野内にあることを認識しやすくなるだけでなくそのコード領域11の範囲を特定しやすくなるので、デコード成功率を高めることができる。したがって、小さな情報コードを遠くからでも読み取れるように撮像することができる。
【0036】
特に、カラー領域20は、内縁にてコード領域11の周囲に配置されるマージン12の外縁に接するように配置される。これにより、カラー領域20とコード領域11との間を最小限にできるので、コード領域11及びカラー領域20を有する情報コード1をより小さく生成することができる。
【0037】
なお、カラー領域20は、その幅がコード領域11を構成するセルの一辺の2倍の長さとなるように構成されることに限らず、例えば、
図4に例示するようにその幅がコード領域11を構成するセルの一辺の1倍の長さとなるように構成されてもよいし、その幅がコード領域11を構成するセルの一辺の2倍よりも長くなるように構成されてもよい。
【0038】
また、カラー領域20は、3つのカラーセル21~23を所定の配列順序に基づいて配列方向に沿う長さの比が6:5:4となるように四角環状に配列して構成されることに限らず、2又は4以上のカラーセルを所定の配列順序に基づいて環状に配列して構成されてもよい。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本第2実施形態に係る情報コードについて、
図5を参照して説明する。
本第2実施形態では、カラー領域がコード領域内に設けられる点が、上記第1実施形態と主に異なる。具体的には、例えば、
図5に示す情報コード1aのように、三隅にファインダパターン13が配置されるコード領域11aの内部に空き領域14を有するコード(以下、フレームQR10aともいう)に対して、その空き領域14内にカラー領域20aが設けられる。
【0040】
本実施形態に係るフレームQR10aは、所定のエンコード技術を利用することで、明色セル及び暗色セルを複数配列して構成される矩形状のコード領域11aの内部中央に、空き領域14が設けられるように構成される。具体的には、フレームQR10aは、3つのファインダパターン13やタイミングパターン、アライメントパターン等の予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数の明色セル及び暗色セルによって記録データを記録するデータ記録領域と、複数の明色セル及び暗色セルによって誤り訂正符号を記録する誤り訂正符号記録領域と、空き領域14とが設けられるように構成される。空き領域14は、セルによってデータが記録されない領域であり且つ誤り訂正符号による誤り訂正の対象にならない領域となるように、単一のセルのサイズよりも大きいサイズでコード領域11aの中央に設けられている。なお、このようにコード領域11aの内部に空き領域14を有するフレームQR10aに関するエンコード技術等としては、例えば、特開2014-139771公報などに開示された技術を好適に用いることができる。
【0041】
カラー領域20aは、複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて四角環状に配列して構成されている。本実施形態では、カラー領域20aは、
図5に示すように、上述したカラーセル21~23からなり、上記所定の配列順序として、カラーセル21、カラーセル22、カラーセル23の順で配列方向に沿う長さの比が6:5:4となるように配列して構成されている。このように構成されるカラー領域20aは、その幅がコード領域11を構成するセルの一辺の長さと同じであって、外縁にて空き領域14の外縁(データ記録領域や誤り訂正符号記録領域との境界部)に沿うように配置されている。
【0042】
このように、本実施形態に係る情報コード1aでは、コード領域11aのうち明色セル及び暗色セルと異なる空き領域14内には、複数種類のカラーセルを所定の配列順序に基づいて配列してなるカラー領域20aが設けられる。
【0043】
これにより、情報コード1aを遠くから撮像した場合には、その撮像画像からカラー領域20aを検出できれば、そのカラー領域20aよりも外側となる範囲内にコード領域11aが撮像されることがわかるため、その検出されたカラー領域20aを基準にしてデコード処理を実施することができる。このようにしても、上記第1実施形態と同様に、検出されるカラー領域20aを利用することで、その情報コード1aが撮像視野内にあることを認識しやすくなるだけでなくそのコード領域11aの範囲を特定しやすくなるので、デコード成功率を高めることができる。したがって、小さな情報コードを遠くからでも読み取れるように撮像することができる。
【0044】
なお、カラー領域20aは、その幅がコード領域11を構成するセルの一辺の長さとなるように構成されることに限らず、その幅がコード領域11を構成するセルの一辺の1倍よりも長くなるように構成されてもよく、例えば、その幅がコード領域11を構成するセルの一辺の2倍となるように構成されてもよい。
【0045】
また、カラー領域20aは、3つのカラーセル21~23を所定の配列順序に基づいて四角環状に配列して構成されることに限らず、2又は4以上のカラーセルを所定の配列順序に基づいて環状に配列して構成されてもよい。
【0046】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る情報コード1,1aが形成(表示)される情報コード媒体Rは、看板などに限らず、遠方から撮像される機会が多い媒体、例えば、ドローンの自動着陸地点に着地目標として設けられる媒体などであってもよい。
【0047】
(2)本発明に係る情報コード1は、環状のカラー領域20の内側に、QRコード10が配置されて構成されることに限らず、他のコード種別のコード、例えば、バーコード等の一次元コードやデータマトリックスコード、マキシコード等の二次元コードが配置されて構成されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1a…情報コード
10…QRコード
10a…フレームQR
11,11a…コード領域
12…マージン
13…ファインダパターン
20,20a…カラー領域
21~23…カラーセル
30…情報コード読取装置
31…制御部(検出部,特定部,解読部)
33…撮像部
R…情報コード媒体