(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】流量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/684 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01F1/684 B
G01F1/684 C
(21)【出願番号】P 2019185006
(22)【出願日】2019-10-08
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 秀之
(72)【発明者】
【氏名】亀井 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 克行
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-066276(JP,A)
【文献】特開2010-066178(JP,A)
【文献】特開2005-233796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0098484(US,A1)
【文献】特開平06-273206(JP,A)
【文献】特開2017-049011(JP,A)
【文献】特開2004-144511(JP,A)
【文献】特開2013-015543(JP,A)
【文献】特開2015-232514(JP,A)
【文献】特開平09-005277(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0192642(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2009-0052173(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/68-1/699
G01P 5/10-5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路に配置され、前記流路を流れる流体の流量に応じて変化する該流体の流れ方向の温度差に関する値を出力し、該出力された値を使用して前記流量を検出する流量検出部と、
前記流路において前記流量検出部を覆う被覆部材と、を備え、
前記被覆部材は、
前記流量検出部が配置される部分よりも上流側に設けられ、前記被覆部材の外部の前記流路から前記被覆部材の内部であって前記流量検出部が配置される部分へ流体が流入可能な流入孔と、
前記流量検出部よりも下流側に設けられ、前記被覆部材の内部であって前記流量検出部が配置される部分から前記被覆部材の外部の前記流路へ流体が流出可能な流出孔と、を有し、
前記流量検出部が配置される部分よりも上流側の前記被覆部材の外側面は、前記流入孔の入口方向へ傾斜する傾斜面を有
しており、
前記流入孔から流入した流体の流れる向きを、前記流量検出部が配置される部分の方向へ整流する整流部材を備え、
前記整流部材は、前記流入孔の出口に設けられ、前記流入孔の出口から前記流量検出部が配置される部分へ向かう方向に沿う平面を有する、
流量測定装置。
【請求項2】
前記流入孔は、流体の流れる方向に対して直交する方向に二つ設けられ、
前記整流部材は、二つの前記流入孔の夫々の出口の間に設けられる、
請求項
1に記載の流量測定装置。
【請求項3】
流路に配置され、前記流路を流れる流体の流量に応じて変化する該流体の流れ方向の温度差に関する値を出力し、該出力された値を使用して前記流量を検出する流量検出部と、
前記流路において前記流量検出部を覆う被覆部材と、を備え、
前記被覆部材は、
前記流量検出部が配置される部分よりも上流側に設けられ、前記被覆部材の外部の前記流路から前記被覆部材の内部であって前記流量検出部が配置される部分へ流体が流入可
能な流入孔と、
前記流量検出部よりも下流側に設けられ、前記被覆部材の内部であって前記流量検出部が配置される部分から前記被覆部材の外部の前記流路へ流体が流出可能な流出孔と、を有し、
前記流量検出部が配置される部分よりも上流側の前記被覆部材の外側面は、前記流入孔の入口方向へ傾斜する傾斜面を有しており、
前記流路は、側壁に凹部を有し、該凹部の上流側の側面が該凹部の底面へ向かって傾斜する傾斜面を有し、
前記被覆部材は、前記流路の該凹部の底面と対向する前記流路の部分に配置され、前記配置される部分から前記底面方向へ突出する凸部を有し、
前記流入孔は、前記凸部を貫通する孔を含む
、
流量測定装置。
【請求項4】
前記流路
には
、主流路
と前記主流路から分岐した副流路
とが含まれ、
前記流量検出部が配置される
前記流路は前記副流路である、
請求項1から
3のうち何れか一項に記載の流量測定装置。
【請求項5】
前記
流量検出部が配置される前記流路とは別の第二流路に配置され、前記第二流路を流れる流体の特性に応じて変化する前記第二流路の温度に関する値を出力し、該出力された値を使用して前記特性を検出する特性検出部を更に備え、
前記被覆部材は、前記特性検出部を囲み、前記特性検出部を前記第二流路において露出させた状態にする第二の孔を更に有する、
請求項1から
4のうち何れか一項に記載の流量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流路内を流れる流体の流量をフローセンサにより測定する技術が開示されている(例えば特許文献1-3)。特許文献1には、熱式のフローセンサが備えるサーモパイルによって流路の温度分布情報を検出し、温度分布情報を基に流体の流量を算出する旨が開示されている。特許文献2には、電子化ガスメータ内の流路に流量センサと、整流器とが設置されることが開示されている。特許文献3には、第1基板と第2基板とを含む基板と、基板の上に設置された上部流路形成部材と、を備える熱式のフローセンサが開示されている。そして、上部流路形成部材の下面には、矩形状の凹部が設けられ、凹部は、第2基板の上面との間に第2流路を形成し、また凹部には、外部に通じる流入口および流出口が設けられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3658321号公報
【文献】特開2007-086085号公報
【文献】特開2012-141181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流路内を流れる流体の流量を熱式のフローセンサにより測定する場合、流路の温度分布を検出するセンサ素子が流路に露出した状態となるように当該フローセンサが配置される。しかしながら、このようにセンサ素子が配置されると、流路内を流れる流体に混ざる塵や埃といった不純物の影響によって、当該温度分布を検出するセンサ素子の出力が変動することが考えられる。すなわち、本発明者は、上記のようにフローセンサを配置する場合、流量測定の精度が低下することを見出した。
【0005】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、流路を流れる不純物の影響によるセンサ素子の出力の変動を抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち本発明の一側面に係る流量測定装置は、流路に配置され、前記流路を流れる流体の流量に応じて変化する該流体の流れ方向の温度差に関する値を出力し、該出力された値を使用して前記流量を検出する流量検出部と、前記流路において前記流量検出部を覆う被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、前記流量検出部が配置される部分よりも上流側に設けられ、前記被覆部材の外部の前記流路から前記被覆部材の内部であって前記流量検出部が配置される部分へ流体が流入可能な流入孔と、前記流量検出部よりも下流側に設けられ、前記被覆部材の内部であって前記流量検出部が配置される部分から前記被覆部材の外部の前記流路へ流体が流出可能な流出孔と、を有し、前記流量検出部が配置される部分よりも上流側の前記被覆部材の外側面は、前記流入孔の入口方向へ傾斜する傾斜面を有する。
【0008】
流量検出部が配置される場所に不純物が到達する場合、流量検出部が出力する流体の流れ方向の温度差に関する情報は変動することが考えられる。しかしながら、当該構成によれば、被覆部材を備えることで流路を流れる不純物が流量検出部に到達することは抑制される。よって、流量検出部からの出力の変動は抑制される。従って、流量の検出精度の低下は抑制される。また、被覆部材の内部に流路が設けられる場合、流量検出部が配置される場所近傍での流体の流れは整流化される。つまり、流量測定装置の感度は向上する。
【0009】
また、当該構成によれば、流体は被覆部材の外側面の傾斜面に沿って流路内を流れるため、流入孔の入口まで滑らかに誘導される。よって、流路内における乱流の発生は抑制される。従って、流路内において不純物が散乱することは抑制されるため、不純物が、流量検出部が配置される部分へ到達することは抑制される。ゆえに、流量検出部からの出力の変動は抑制される。また、当該傾斜面において不純物が堆積することは抑制される。よって、堆積した不純物が流路内で生じた乱流などにより散乱され、流量検出部に到達することは抑制される。従って、流量検出部からの出力の変動は抑制される。ゆえに、流量の検出精度の低下は抑制される。
【0010】
上記一側面に係る流量測定装置において、前記流入孔から流入した流体の流れる向きを、前記流量検出部が配置される部分の方向へ整流する整流部材を更に備え、前記整流部材は、前記流入孔の出口に設けられ、前記流入孔の出口から前記流量検出部が配置される部分へ向かう方向に沿う平面を有してもよい。
【0011】
当該構成によれば、流入孔から被覆部材へ流入した流体は、整流部材の平面に沿って流量検出部が配置される部分へ向かうように整流される。よって、流量が低い場合における流量検出部の感度はより確実に向上する。
【0012】
上記一側面に係る流量測定装置において、前記流入孔は、流体の流れる方向に対して直交する方向に二つ設けられ、前記整流部材は、二つの前記流入孔の夫々の出口の間に設けられてもよい。
【0013】
当該構成によれば、流入孔の出口において、流体が流れる方向に対して直交する方向の、被覆部材内部の空間の断面積が急激に変化することは抑制される。よって、流入孔の出口近傍において乱流が発生することは抑制される。従って、流路内において不純物が散乱することは抑制されるため、不純物が流体に混ざり、流量検出部が配置される部分へ到達することは抑制される。従って、流量検出部からの出力の変動は抑制される。ゆえに、流量の検出精度の低下は抑制される。
【0014】
上記一側面に係る流量測定装置において、前記流路は、側壁に凹部を有し、該凹部の上流側の側面が該凹部の底面へ向かって傾斜する傾斜面を有し、前記被覆部材は、前記流路の該凹部の底面と対向する前記流路の部分に配置され、前記配置される部分から前記底面方向へ突出する凸部を有し、前記流入孔は、前記凸部を貫通する孔を含んでもよい。
【0015】
当該構成によれば、流体は凹部の傾斜面に沿って流路内を流れるため、滑らかに凹部を通過する。つまり、流体は、流入孔の入口まで滑らかに誘導される。よって、流路内における乱流の発生は抑制される。従って、流路内において不純物が散乱することは抑制されるため、不純物が、流量検出部が配置される部分へ到達することは抑制される。ゆえに、流量検出部からの出力の変動は抑制される。また、凹部の側面は傾斜面を有するため、当該側面において不純物が堆積することは抑制される。よって、堆積した不純物が流路内で生じた乱流などにより散乱され、流量検出部に到達することは抑制される。従って、流量検出部からの出力の変動は抑制される。ゆえに、流量の検出精度の低下は抑制される。
【0016】
上記一側面に係る流量測定装置は、前記流路が、流体が流れる主流路から分岐した副流路のことであり、前記副流路に配置されてもよい。
【0017】
当該構成によれば、主流路を流れる流体は、副流路を経由し、さらに被覆部材に設けられた流入孔を通過して流量検出部が配置される部分へ到達する。つまり、主流路を流れる流体は、被覆部材の内部へ直接流入していないため、当該流体に混ざる不純物が、流量検出部が配置される部分へ到達することは抑制される。よって、流量検出部からの出力の変動は抑制される。
【0018】
上記一側面に係る流量測定装置において、前記流路とは別の第二流路に配置され、前記第二流路を流れる流体の特性に応じて変化する前記第二流路の温度に関する値を出力し、該出力された値を使用して前記特性を検出する特性検出部を更に備え、前記被覆部材は、前記特性検出部を囲み、前記特性検出部を前記第二流路において露出させた状態にする第二の孔を更に有してもよい。
【0019】
当該構成によれば、流体の流量に加えて流体の特性も検出することができる。よって、流体の流れ方向の温度差が流体の特性に依存する場合であっても、検出された流体の特性を使用し、検出された流体の流量を補正することができる。ゆえに、精度の高い流量測定が可能となる。また、当該構成によれば、流量検出部と特性検出部とが同一基板上に実装される場合、基板上に当該一つの被覆部材を設けることで基板側から流量検出部及び特性検出部へ不純物が混入することは簡易に抑制される。また、当該構成によれば、特性検出部と被覆部材とが高さ方向に重ならないため、特性検出部が配置される部分を薄型化できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流路を流れる不純物の影響によるセンサ素子の出力の変動を抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、流量測定装置の概要を示している。(A)は、実施形態に係る流量測定装置の断面図の一例を示している。(B)は、比較例に係る流量測定装置の断面図の一例を示している。
【
図2】
図2は、検出素子による流量測定原理を模式的に例示する。(A)は、検出素子の配置される向きを説明した図である。(B)は、ガスが流れていない状態でマイクロヒータが起動している際に生じる温度分布を模式的に例示する。(C)は、ガスが流れている状態でマイクロヒータを起動している際に生じる温度分布を模式的に例示する。
【
図3】
図3は、サーモパイルの近傍に到達したダストの個数のシミュレーション結果を例示している。
【
図4】
図4は、ガスの実際の流量に対する二つのサーモパイルの出力の差分の出力を例示している。
【
図5】
図5は、変形例に係る測定装置の分解斜視図を例示している。
【
図6】
図6は、特性検出素子の配置される向きを説明した図である。
【
図7】
図7は、カバーが取り付けられる流管、及び流菅に取り付けられたカバーを例示している。(A)は、カバーが取り付けられる流管の上面斜視図を示している。(B)は、カバーが(A)に示される流管に取り付けられた場合の上面図を示している。
【
図8】
図8は、カバーの概要を例示している。(A)は、流管に取り付けられたカバーの断面の斜視図を例示する。(B)は、(A)の断面を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図
面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0023】
§1 適用例
図1(A)を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。
図1(A)は、本実施形態に係る流量測定装置100の断面図の一例を示している。本実施形態に係る流量測定装置100は、検出素子1と、検出素子1が実装される基板5と、を備える。検出素子1は、マイクロヒータ40及び二つのサーモパイル41A、41Bを備え、ガスの流量と相関のある該ガスの流れ方向の温度差を検出する(詳細は後述する)。また、検出素子1は、流管2の主流路3に部分的に設けられる副流路4の途中に配置される。
【0024】
また、流量測定装置100は、検出素子1を覆うカバー7を備える。カバー7の内部には、検出素子1を収容可能な空間8が形成される。また、カバー7の下面9には、副流路4から空間8の内部へガスが流入可能な流入孔27と、空間8の内部から副流路4へガスが流出可能な流出孔28が設けられている。
【0025】
上記のような流量測定装置100によれば、カバー7を備えることで主流路3又は副流路4を流れる塵や埃等が、検出素子1が配置される場所に到達することは抑制される。よって、検出素子1が備えるサーモパイル41Aの出力及びサーモパイル41Bの出力が、塵や埃等によって変動することは抑制される。
【0026】
§2 構成例
[ハードウェア構成]
図1は、流量測定装置の概要を示している。
図1(A)は、本実施形態に係る流量測定装置100の断面図の一例を示している。一方、
図1(B)は、比較例に係る流量測定装置200の断面図の一例を示している。本実施形態に係る流量測定装置100は、検出素子1と、検出素子1が実装される基板5と、を備える。検出素子1は、マイクロヒータ40及び二つのサーモパイル41A、41Bを備え、ガスの流量と相関のある該ガスの流れ方向の温度差を検出する(詳細は後述する)。基板5は、検出素子1が実装される実装面6が流管2の中央を向くように流管2の主流路3を形成する側壁に設けられる。また、当該側壁近傍には、副流路4が、流管2の主流路3から分流して部分的に設けられている。そして、検出素子1は、副流路4の途中に配置される。ここで、流量測定装置100は、本発明の「流量測定装置」の一例である。また、検出素子1は、本発明の「流量検出部」の一例である。また、副流路4は、本発明の「流路」及び「副流路」の一例である。
【0027】
ここで、
図1(A)及び
図1(B)では、ガスは、流管2の主流路3及び副流路4において、左側から右側へと流れる。また、以降の説明において、左方向とは上流方向のことを指すものとする。また、右方向とは下流方向のことを指すものとする。また、下方向とは、基板5に対して検出素子1が突出する方向を指すものとする。また、上方向とは、下方向とは反対方向を指すものとする。
【0028】
また、流量測定装置100は、カバー7を備える。カバー7の断面は、
図1(A)に示されるように下向きに凸の形状である。そして、カバー7の副流路4に露出する左側面10は、右下方向へ傾斜する斜面を有している。また、カバー7の副流路4に露出する右側面11は、左下方向へ傾斜する斜面を有している。また、カバー7の内部には、検出素子1を収容可能な空間8が形成される。実装面6に実装される検出素子1は、このようなカバー7によって覆われ空間8に配置される。また、カバー7には、副流路4から空間8の内部へガスが流入可能な流入孔27が設けられる。流入孔27は、左側面10の一部及び
下面9の一部を貫通するように設けられる。また、カバー7には、空間8の内部から副流路4へガスが流出可能な流出孔28が設けられる。流入孔28は、右側面11の一部及び下面9の一部を貫通するように設けられる。ここで、カバー7は、本発明の「被覆部材」の一例である。また、カバー7に設けられる流入孔27は、本発明の「流入孔」及び「凸部を貫通する孔」の一例である。また、カバー7に設けられる流出孔28は、本発明の「流出孔」の一例である。
【0029】
また、カバー7の下面9と対向する副流路4の下部は、下方向に凹む凹部12を有する。そして、凹部12の左側であり、カバー7の左側面10と対向する部分は、左側面13を有する。左側面13は、カバー7の左側面10に設けられる斜面と同様の傾斜角の斜面を有している。同様にして、凹部12の右側であり、カバー7の右側面11と対向する部分は、右側面14を有する。右側面14は、カバー7の右側面11に設けられる斜面と同様の傾斜角の斜面を有している。
【0030】
一方、
図1(B)に示される比較例に係る流量測定装置200は、本実施形態に係る流量測定装置100と同様に、検出素子1と、基板5と、を備える。そして、検出素子1が、副流路4の途中に配置される。しかしながら、流量測定装置200は、カバー7を備えていない。
【0031】
[流量測定原理]
ここで、検出素子1を用いた流量測定原理を説明する。
図2は、検出素子1による流量測定原理を模式的に例示する。
図2(A)は、検出素子1の上面図を示している。
図2(B)は、基板5に実装される検出素子1の断面図であって、ガスが流れていない状態でマイクロヒータ40が起動している際に生じる温度分布が示された図である。一方、
図2(C)は、基板5に実装される検出素子1の断面図であって、ガスが流れている状態でマイクロヒータ40が起動している際に生じる温度分布が示された図である。
図2(A)に示されるように、サーモパイル41A、41Bは、マイクロヒータ40に跨ってガスの流れる方向に並んで配置される。また、
図2(B)に示されるように、検出素子1は、基板5の上に形成される薄膜42を備え、マイクロヒータ40及びサーモパイル41A、41Bは、薄膜42に含まれるように形成される。また、薄膜42の下部の基板5にはキャビティ43が設けられる。このようなキャビティ43の存在により、マイクロヒータ40及びサーモパイル41A、41Bの温接点が、キャビティ43の上に、サーモパイル41A、41Bの冷接点が基板5上に位置することとなる。そして、当該温接点での温度と冷接点での温度との差に応じた出力が、夫々のサーモパイル41A、41Bからなされる。
【0032】
図2(B)に示されるように、空間8にガスが流れていない場合、マイクロヒータ40からの熱は、マイクロヒータ40を中心として対称に拡散する。よって、サーモパイル41Aの出力と、サーモパイル41Bの出力とには差は生じない。一方、
図2(C)に示されるように、空間8にガスが流れている場合、マイクロヒータ40からの熱は、ガスの流れの影響を受け、マイクロヒータ40を中心として対称に広がらず、下流のサーモパイル41B側へ、より拡散していく。よって、サーモパイル41Aの出力と、サーモパイル41Bの出力とには差が生じる。また、ガスの流量に応じて、上記の出力の差は変化する。換言すれば、サーモパイル41Aの出力と、サーモパイル41Bの出力との差からガスの流量は求まることになる。
【0033】
ちなみに、サーモパイル41Aから出力される電圧と、サーモパイル41Bから出力される電圧との差ΔVは、例えば下記の式(1)のように表される。
【数1】
ここで、T
hはマイクロヒータ40の温度、T
aは検出素子1の周囲の温度を表す。また、v
fはガスの流速、A及びbは定数である。
【0034】
次に主流路3を流れるガスが、検出素子1が配置される場所へ到達するまでの過程を説明する。主流路3を流れるガスは、副流路4の左側部分へ流入する。その後、ガスは、カバー7に設けられる流入孔27を介してカバー7の内部の空間8へ流入する。ここで、カバー7の左側面10には、右下方向に傾斜する斜面が設けられているため、ガスは流入孔27の入口へ滑らかに誘導される。そして、流入孔27からカバー7の内部の空間8へ流入したガスは、検出素子1が配置される部分を通過する。その後、ガスは空間8から流出孔28を介して副流路4へ流出する。ここで、傾斜面を有する右側面11の一部に流出孔28が設けられているため、流出孔28を介して副流路4へ流出したガスは、当該傾斜面に沿って滑らかに主流路3と連通する流出孔まで誘導される。そして、当該流出孔からガスは主流路3へ流出する。
【0035】
図3は、主流路3からカバー7内のサーモパイル41A、41Bの近傍に到達するダストの個数のシミュレーション結果を例示している。
図3に示されるように、カバー7が設けられている場合(
図1(A)の本実施形態)にカバー7内のサーモパイル41A、41Bの近傍に到達したダストの個数は、カバー7が設けられていない場合(
図1(B)の比較例)のダストの個数と比較して、1/6程度に低減されている。
【0036】
また、
図4は、ガスの実際の流量に対するサーモパイル41Aの出力とサーモパイル41Bの出力との差分の出力を例示している。
図4に示されるように、カバー7が設けられている場合(
図1(A)の本実施形態)、カバー7が設けられていない場合(
図1(B)の比較例)と比較して、サーモパイル41Aの出力とサーモパイル41Bの出力との差分の出力は、低流量領域において当該流量に対して線形な関係である。また、カバー7が設けられている場合、カバー7が設けられていない場合と比較して、低流量において検出素子1の感度が向上していることがわかる。
【0037】
[作用・効果]
上記のような流量測定装置100によれば、
図3に示されるように、カバー7を備えることで主流路3又は副流路4を流れる塵や埃等が、検出素子1が配置される場所に到達することは抑制される。よって、検出素子1が備えるサーモパイル41Aの出力及びサーモパイル41Bの出力の変動は抑制される。従って、流量の検出精度の低下は抑制される。一方、比較例に係る流量測定装置200によれば、
図1(B)に示されるようにカバー7を備えていない。よって、
図3に示されるように、塵や埃等が、本実施形態に係る流量測定装置100よりも検出素子1が配置される場所に容易に到達するものと考えられる。従って、流量測定装置200が備えるサーモパイルの出力は変動することが想定される。つまり、比較例に係る流量測定装置200によれば、流量の検出精度は低下すると考えられる。
【0038】
また、上記のような流量測定装置100によれば、カバー7の左側面10、及び副流路4の凹部12の左側面13が傾斜面を有することで、塵や埃等が当該傾斜面において堆積することは抑制される。また、副流路4のガスは、傾斜面を有するカバー7の左側面10に沿って滑らかにカバー7の流入孔27の入口まで誘導される。よって、副流路4において乱流が発生することは抑制される。つまり、塵や埃等が副流路4において堆積すること
は抑制され、さらに塵や埃等が堆積した場合であっても乱流によって散乱することは抑制される。従って、塵や埃等が検出素子1へ到達することは抑制される。
【0039】
§3 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0040】
<3.1>
図5は、変形例に係る測定装置100Aの分解斜視図を例示する。変形例に係る測定装置100Aは、上記の実施形態における検出素子1と同じように配置され、ガスの流量を検出する流量検出素子1Aを備える。さらに測定装置100Aは、上記の実施形態における検出素子1と同じタイプの素子であるが、ガスの特性を検出するための特性検出素子1Bを備える。流量検出素子1Aは、マイクロヒータ40Aと、サーモパイル41C、41Dを備える。特性検出素子1Bは、マイクロヒータ40Bと、サーモパイル41E、41Fを備える(
図6において後述する)。そして、これら流量検出素子1Aと、特性検出素子1Bは、基板5Aの実装面6Aに実装される。また、測定装置100Aは、カバー7Aを備え、流量検出素子1A及び特性検出素子1Bの夫々の検出素子を覆う。カバー7Aによって覆われた流量検出素子1A及び特性検出素子1Bは、流管2Aの上面に形成された副流路(後述する)に配置される。ここで、測定装置100Aは、本発明の「流量測定装置」の一例である。また、流量検出素子1Aは、本発明の「流量検出部」の一例である。また、特性検出素子1Bは、本発明の「特性検出部」の一例である。また、カバー7Aは、本発明の「被覆部材」の一例である。
【0041】
図6は、特性検出素子1Bの配置される向きを説明した図である。
図6に示されるように、特性検出素子1Bが備えるサーモパイル41E及びサーモパイル41Fは、マイクロヒータ40Aを跨ぐように並んで設けられるが、並ぶ向きはガスの流れる方向と直交する方向である。このように配置された特性検出素子1Bのマイクロヒータ40Bを起動すると、マイクロヒータ40Bからの熱は、マイクロヒータ40Bを中心としてサーモパイル41Eとサーモパイル41Fとが並ぶ方向に対称に拡散する。また、熱の拡散の度合いは、ガスの特性に依存する。換言すれば、サーモパイル41E又はサーモパイル41Fからの出力値を使用してガスの特性を算出することができる。ここで、ガスの特性とは、例えば熱伝導率や熱拡散率といったものである。また、ガスの特性の算出は、サーモパイル41E及びサーモパイル41Fのうち、何れか一方のサーモパイルからの出力を使用することにより実行されもよいし、サーモパイル41Eの出力とサーモパイル41Fの出力との平均値を使用することにより実行されてもよい。
【0042】
図7および
図8は、カバー7Aが取り付けられる流管2Aの概要、及び測定装置100Aが備えるカバー7Aの概要を例示している。
図7(A)は、カバー7Aが取り付けられる流管2Aの上面斜視図を示している。
図7(B)は、カバー7Aが
図7(A)に示される流管2Aに取り付けられた場合の上面図を示している。また、
図8(A)は、流管2A及び流管2Aに取り付けられたカバー7Aの断面の斜視図であり、
図8(B)は、特にカバー7Aの近傍の当該断面を正面から見た図である。
図7(B)及び
図8に示されるようなカバー7Aは、超音波溶着によって
図7(A)に示されるような流管2Aの上面に取り付けられる。また、カバー7Aの上部は開口しており、当該開口部は流量検出素子1A及び特性検出素子1Bが実装されている基板5Aの実装面6Aによって覆われる。
【0043】
図7(A)に示されるように、流管2Aには、流管2Aの主流路から分岐した副流路4
Aおよび4Bが設けられる。副流路4Aには、主流路からガスが流入可能な流入孔16が設けられる。そして、副流路4Aには、カバー7Aに覆われた状態の流量検出素子1Aが配置される凹部12Aが設けられる。そして、さらに凹部12Aの底部には、溝29が設けられる。また、副流路4Aには、主流路へガスが流出可能な流出孔18が設けられる。ここで、副流路4Aは、本発明の「流路」及び「副流路」の一例である。また、副流路4Bは、本発明の「第二流路」及び「副流路」の一例である。
【0044】
一方、副流路4Bには、主流路3Aからガスが流入可能な流入孔17が設けられる。そして、副流路4Bの中央部分には、カバー7Aによって覆われる特性検出素子1Bが配置される凹部20が設けられる。また、副流路4Bには、主流路3Aへガスが流出可能な流出孔19が設けられる。
【0045】
また、
図7(B)および
図8(A)に示されるように、カバー7Aには、流量検出素子1Aが配置される凹部21が設けられている。また、凹部21に相当するカバー7Aの外形は、下向きに凸となった形状であり、当該凸部の上流側の外側面と下流側の外側面は傾斜面を有する(詳細は後述する)。そして、流量検出素子1Aが収容された凹部21は、
図7(A)に示される凹部12Aの内部に配置される。つまり、流量検出素子1Aは、副流路4Aには露出しない。また、カバー7Aには、特性検出素子1Bが配置される孔24が設けられている。そして、孔24に配置された状態の特性検出素子1Bは、
図7(A)に示される凹部20の内部に配置される。つまり、特性検出素子1Bの下面は副流路4Bに露出することになる。
【0046】
また、
図7(B)に示されるように、カバー7Aの凹部21には、副流路4Aからガスが流入可能な2つの流入孔22が設けられる。また、凹部21には、凹部21から副流路4Aへガスが流出可能な2つの流出孔23が設けられる。流入孔22と流出孔23は、流入孔22が副流路4Aにおける上流側となるように、また流出孔23が副流路4Aにおける下流側となるように設けられる。また、二つの流入孔22および二つの流出孔23は、凹部21においてガスの流れる方向に沿う中心軸に対して対称に設けられる。そして、二つの流入孔22の夫々の出口の間には、流入孔22から流出孔23への方向に突き出る整流壁25が設けられる。また、同様にして、二つの流出孔23の夫々の入口の間には、流出孔23から流入孔22への方向に突き出る整流壁26が設けられる。そして、整流壁25の表面は、流入孔22から検出素子1Aが配置される部分へ向かう方向に沿う平面部分を有する。同様にして整流壁26の表面は、流出孔23から検出素子1Aが配置される部分へ向かう方向に沿う平面部分を有する。よって、二つの流入孔22の夫々から流入したガスは、整流壁25、26の当該平面に沿うように流れる。つまり、ガスは、流入孔22の出口から検出素子1Aが配置される部分へと向かうように整流される。ここで、流入孔22は、本発明の「流入孔」、及び「凸部を貫通する孔」の一例である。また、流出孔23は、本発明の「流出孔」の一例である。また、整流壁25は、本発明の「整流部材」の一例である。
【0047】
また、
図8(B)に示されるように、カバー7Aの凹部21の左側面10Aには、上記の実施形態と同様に右下方向へ傾斜する斜面を有している。また、同様に、カバー7Aの凹部21の右側面11Aは、左下方向へ傾斜する斜面を有している。
【0048】
また、
図8(B)に示されるように、副流路4Aに設けられる溝29の左側面13Aは、対向するカバー7の左側面10Aに設けられる斜面の傾斜角と同様の傾斜角の斜面を有している。また、溝29の右側面14Aは、対向するカバー7Aの右側面11Aに設けられる斜面の傾斜角と同様の傾斜角の斜面を有している。
【0049】
次に、主流路3Aを流れるガスが、測定装置100Aが備える流量検出素子1A及び特
性検出素子1Bが配置される場所へ到達するまでの過程を説明する。主流路3Aを流れるガスの一部は、流入孔16を介して副流路4Aの凹部12Aに流入する。その後、ガスは、カバー7Aの下面9Aと副流路4Aの溝29との間の空間を流れ、カバー7Aに設けられている流入孔22の入口に達する。ここで、カバー7Aの左側面10A及び溝29の左側面13Aには、
図8(B)に示されるように右下方向へ傾斜する斜面が設けられているため、ガスは斜面に沿って流入孔22の入口へ滑らかに誘導される。
【0050】
二つの流入孔22の入口に到達したガスは、当該二つの流入孔22の夫々の出口からカバー7Aの凹部21へ流入する。そして、凹部21の内部に配置されるサーモパイル41C、41Dの近傍を通過する。ここで、サーモパイル41Cとサーモパイル41Dは、ガスの流れる方向に並んで配置されている。また、サーモパイル41C、41Dの近傍を通過するガスは、整流壁25により流入孔22の出口から検出素子1Aが配置される部分へ向かうように整流されている。よって、流量検出素子1Aが備えるサーモパイル41Cの出力と、サーモパイル41Dの出力とには差分が生じ、当該差分と相関のあるガスの流量が検出可能である。その後、サーモパイル41C、41Dの近傍を通過したガスは、流出孔23を介して副流路4Aへ流出する。ここで、流出孔28を介して副流路4へ流出したガスは、カバー7Aの右側面11Aに設けられる傾斜面に沿って滑らかに主流路3Aと連通する流出孔18まで誘導される。そして、流出孔18からガスは主流路3Aへ流出する。
【0051】
一方、主流路3Aを流れるガスの一部は、流入孔17を介して副流路4Bの凹部20にも流入する。凹部20へ流入したガスは、露出された状態で凹部20に配置されているサーモパイル41E、41Fの近傍を通過する。よって、サーモパイル41E又はサーモパイル41Fからの出力値を使用してガスの特性が検出可能である。そして、サーモパイル41E、41Fの近傍を通過したガスは、流出孔18を介して主流路3Aへ流出する。
【0052】
[作用・効果]
上記のような測定装置100Aによれば、本実施形態に係る流量測定装置100と同様の効果を奏する。さらに、測定装置100Aは、整流壁25、26を備えているため、二つの流入孔22の夫々の出口からカバー7Aの内部へ流入したガスは、流入孔22から検出素子1Aが配置される部分への方向に沿う整流壁25の平面に沿って検出素子1Aが配置される部分へ向かうように整流される。よって、カバー7Aの内部を流れるガスの流量が低い場合であっても、流量検出素子1Aのサーモパイル41C、41Dの感度は向上する。
【0053】
また、上記のような測定装置100Aによれば、二つの流入孔22の夫々の出口の間に整流壁25が設けられている。よって、ガスの流れる方向(流入孔22の出口から流量検出素子1Aが配置される場所へ向かう方向)に対して直交する方向の、凹部21の凹み部分の空間の断面積が急激に変化することは抑制される。よって、二つの流入孔22の夫々の出口近傍において乱流が発生することは抑制される。従って、副流路4Aにおいて塵や埃等が散乱することは抑制されるため、ガスに混ざって塵や埃等が、流量検出素子1Aが配置される部分へ到達することは抑制される。このことによっても、流量検出素子1Aが備えるサーモパイル41Cの出力及びサーモパイル41Dの出力の変動は抑制される。ゆえに、流量の検出精度の低下は抑制される。
【0054】
また、上記のような測定装置100Aによれば、ガスの流量に加えてガスの特性も検出することができる。よって、ガスの流れ方向の温度差が、ガスの流量だけでなくガスの特性に依存する場合であっても、特性検出素子1Bにより検出されたガスの特性を使用し、流量検出素子1Aにより検出されたガスの流量を補正することで、精度の高い流量測定が可能となる。また、上記のような測定装置100Aによれば、流量検出素子1Aと特性検
出素子1Bとが基板5A上に実装されており、その基板5A上にカバー7Aが設けられている。よって、基板5Aが配置される側から流量検出素子1A及び特性検出素子1Bへ不純物が混入することは簡易に抑制される。
【0055】
また、上記のような測定装置100Aによれば、副流路4A及び副流路4Bに分流するガスの流量を、それぞれの副流路の幅を調整することで個別に制御することが可能である。このため、流量検出素子1Aの検出レンジに応じて副流路4Aを流れるガスの流量を制御し、特性検出素子1Bの検出レンジに応じて副流路4Bを流れるガスの流量を制御することができる。よって、測定装置100Aは、それぞれの検出素子の固有の検出レンジに応じた最適な流量で、ガスの流量及び特性を検出することができる。従って、流量検出素子1A及び特性検出素子1Bは、ガスの流量及び特性を精度高く測定することができる。さらに、上記のような測定装置100Aによれば、特性検出素子1Bとカバー7Aとが高さ方向に重ならないため、特性検出素子1Bが配置される部分を薄型化できる。
【0056】
<その他変形例>
変形例に係る流量検出素子1Aを覆うカバー7Aの形状は、本実施形態のカバー7の形状(流量検出素子のみを備える測定装置のカバーの形状)に適用されてもよい。また、測定装置100Aは、整流部材の一例として整流壁25、26を備えているが、整流部材は、整流壁25、26の形態に限定されず、流入孔22の出口から流量検出素子1Aへ向けてガスを整流させることのできる形態であればよい。また、流入孔22及び流出孔23の形態は、上記の実施形態及び変形例の記載に限定されない。例えば、流入孔22の位置は、上記の変形例の記載に限定されず、副流路4Aにおける流量検出素子1Aが配置される場所よりも上流側の場所に設けられていればよく、例えばカバー7Aの左側面10が有する傾斜面の途中に設けられていてもよい。また、流出孔23の位置は、上記の変形例の記載に限定されず、副流路4Aにおける流量検出素子1Aが配置される場所よりも下流側の場所に設けられていればよい。また、流入孔22の個数及び流出孔の個数は何個でもよい。また、二つの流入孔22の相対的な位置関係は、変更されてもよい。同様に、二つの流出孔23の相対的な位置関係は、変更されてもよい。また、カバー7の上流側の左側面10が有する傾斜面は、流入孔22の位置に合わせて、当該流入孔22の方向へ傾斜するように設けられてもよい。また、上記の流量測定装置100は、主流路3に設けられていてもよい。
【0057】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【0058】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<付記1>
流路(4、4A)に配置され、前記流路(4、4A)を流れる流体の流量に応じて変化する該流体の流れ方向の温度差に関する値を出力し、該出力された値を使用して前記流量を検出する流量検出部(1、1A)と、
前記流路(4、4A)において前記流量検出部(1、1A)を覆う被覆部材(7、7A)と、を備え、
前記被覆部材(7、7A)は、
前記流量検出部(1、1A)が配置される部分よりも上流側に設けられ、前記被覆部材(7、7A)の外部の前記流路(4、4A)から前記被覆部材(7、7A)の内部であって前記流量検出部(1、1A)が配置される部分へ流体が流入可能な流入孔(27、22)と、
前記流量検出部(1、1A)よりも下流側に設けられ、前記被覆部材(7、7A)の内部であって前記流量検出部(1、1A)が配置される部分から前記被覆部材(7、7A)の外部の前記流路(4、4A)へ流体が流出可能な流出孔(28、23)と、を有し、
前記流量検出部(1、1A)が配置される部分よりも上流側の前記被覆部材(7、7A)の外側面(10、10A)は、前記流入孔(27、22)の入口方向へ傾斜する傾斜面を有する、
流量測定装置(100、100A)。
<付記2>
前記流入孔(22)から流入した流体の流れる向きを、前記流量検出部(1A)が配置される部分の方向へ整流する整流部材(25)を更に備え、
前記整流部材(25)は、前記流入孔(22)の出口に設けられ、前記流入孔(22)の出口から前記流量検出部(1A)が配置される部分へ向かう方向に沿う平面を有する、
付記1に記載の流量測定装置(100A)。
<付記3>
前記流入孔(22)は、流体の流れる方向に対して直交する方向に二つ設けられ、
前記整流部材(25)は、二つの前記流入孔(22)の夫々の出口の間に設けられる、
付記2に記載の流量測定装置(100A)。
<付記4>
前記流路(4、4A)は、側壁に凹部(12、12A)を有し、該凹部(12、12A)の上流側の側面が該凹部の底面へ向かって傾斜する傾斜面(13、13A)を有し、
前記被覆部材(7、7A)は、前記流路(4、4A)の該凹部(12、12A)の底面と対向する前記流路(4、4A)の部分に配置され、前記配置される部分から前記底面方向へ突出する凸部を有し、
前記流入孔(27、22)は、前記凸部を貫通する孔を含む、
付記1から3のうち何れか一項に記載の流量測定装置(100、100A)。
<付記5>
前記流路(4、4A)は、流体が流れる主流路(3、3A)から分岐した副流路のことであり、
前記副流路(4、4A)に配置される、
付記1から4のうち何れか一項に記載の流量測定装置。
<付記6>
前記流路(4A)とは別の第二流路(4B)に配置され、前記第二流路(4B)を流れる流体の特性に応じて変化する前記第二流路(4B)の温度に関する値を出力し、該出力された値を使用して前記特性を検出する特性検出部(1B)を更に備え、
前記被覆部材(7A)は、前記特性検出部(1B)を囲み、前記特性検出部(1B)を前記第二流路(4B)において露出させた状態にする第二の孔(24)を更に有する、
付記1から5のうち何れか一項に記載の流量測定装置(100A)。
【符号の説明】
【0059】
1 :検出素子
1A :流量検出素子
1B :特性検出素子
2、2A :流管
3、3A :主流路
4、4A、4B :副流路
5、5A :基板
6、6A :実装面
7、7A :カバー
8 :空間
9、9A :下面
10、10A :左側面
11,11A :右側面
12、12A :凹部
13、13A :左側面
14、14A :右側面
16 :流入孔
17 :流入孔
18 :流出孔
19 :流出孔
20 :凹部
21 :凹部
22 :流入孔
23 :流出孔
24 :孔
25、26 :整流壁
27 :流入孔
28 :流出孔
29 :溝
40、40A、40B :マイクロヒータ
41A、41B、41C、41D、41E、43F :サーモパイル
42 :薄膜
43 :キャビティ
100 :流量測定装置
100A :測定装置
200 :流量測定装置