(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 43/08 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B65G43/08 A
(21)【出願番号】P 2019216978
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】野村 恒也
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-245063(JP,A)
【文献】特開2014-169147(JP,A)
【文献】特開昭56-127512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00-43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが荷物を投入する複数の投入装置と、
前記複数の投入装置のそれぞれにより投入された前記荷物を一方通行で搬送する搬送装置と、
(i)前記搬送装置が新たに搬送を受け入れることができる単位時間当たりの荷物の数に関する受入能力、及び、前記複数の投入装置による前記搬送装置への荷物の投入数に関する稼働状
況を取得し、(ii)取得した前記受入能力及び前記稼働状
況に応じて、前記複数の投入装置の少なくとも一つの投入装置による単位時間当たりの荷物の投入数に関する投入能力を変更するコントローラと、を備える
搬送システム。
【請求項2】
前記投入能力は、前記投入装置が前記搬送装置に対して、荷物を投入することを示す投入要求の単位時間当たりの回数である
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
それぞれが荷物を投入する複数の投入装置と、
前記複数の投入装置のそれぞれにより投入された前記荷物を一方通行で搬送する搬送装置と、
(i)前記搬送装置が新たに搬送を受け入れることができる単位時間当たりの荷物の数に関する受入能力、及び、前記複数の投入装置による前記搬送装置への荷物の投入数に関する稼働状況の少なくとも一方を取得し、(ii)取得した前記受入能力及び前記稼働状況の少なくとも一方に応じて、前記複数の投入装置の少なくとも一つの投入装置による単位時間当たりの荷物の投入数に関する投入能力を変更するコントローラと、
前記搬送装置の搬送方向において前記投入装置とは異なる位置に配置され、前記搬送装置が搬送している前記荷物が払い出されるシュート
と、を備え、
前記搬送装置は、一方通行で周回する周回経路において前記荷物を搬送し、
前記コントローラは、さらに、
(i)前記搬送装置において搬送している荷物を前記シュートに払い出すか、前記シュートに払い出さずに周回させるかを判断し、
(ii)前記周回経路における前記シュートの下流側から前記複数の投入装置までの間における前記搬送装置の空率を取得し、前記空率を用いて前記搬送装置の前記受入能力を決定する
搬送システム。
【請求項4】
それぞれが荷物を投入する複数の投入装置と、
前記複数の投入装置のそれぞれにより投入された前記荷物を一方通行で搬送する搬送装置と、
(i)前記搬送装置が新たに搬送を受け入れることができる単位時間当たりの荷物の数に関する受入能力、及び、前記複数の投入装置による前記搬送装置への荷物の投入数に関する稼働状況の少なくとも一方を取得し、(ii)取得した前記受入能力及び前記稼働状況の少なくとも一方に応じて、前記複数の投入装置の少なくとも一つの投入装置による単位時間当たりの荷物の投入数に関する投入能力を変更するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、複数の投入装置のうちで稼働している1以上の投入装置それぞれの投入能力を、前記受入能力を前記1以上の投入装置の数である稼働数で除すことで得られた値に応じて決定する
搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の投入装置からの荷物を搬送装置で搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の投入口から荷物の投入を受け付け、受け付けた荷物を仕分けるための仕分けシステムが知られている。特許文献1に開示された仕分けシステムは、互いに連結された状態で環状の搬送経路に沿って移動する複数のトレイと、搬送経路の側方に配置された複数のシュートとを備えている。複数のトレイの各々は、荷物を載置するためのトレイとして機能するとともに、当該トレイに載置された荷物をシュートに払い出すためのベルトコンベヤとしても機能する。
【0003】
荷物を載置したトレイは、複数のシュートのうち当該荷物の仕分け先である特定のシュートに向けて、搬送経路に沿って移動する。トレイが特定のシュートに近付いたタイミングで、当該トレイがベルトコンベヤとして駆動する。これにより、当該トレイに載置された荷物は、搬送経路に沿った搬送方向に対して直交する払い出し方向に搬送され、特定のシュートに払い出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した仕分けシステムでは、荷物を投入しようとする投入口の前を、複数のトレイのうちの空きトレイが通過する際に、当該投入口から当該空きトレイへ荷物が投入される。また、このような仕分けシステムでは、投入口の前を空きトレイが次々と通過する状況においては、投入口からの単位時間当たりの荷物の投入数が調整されることなく固定である。このため、稼働している投入口が増えると、複数の投入口から単位時間当たりに投入される荷物の合計が、仕分けシステムが新たに搬送を受け入れることができる単位時間当たりの荷物の数を超えてしまう場合がある。この場合、複数の投入口のうち空きトレイが最初に通過する上流側の投入口が優先的に仕分けシステムへ荷物を投入するため、下流側の投入口が仕分けシステムへ荷物を投入できないことがあり、複数の投入口の間で、荷物の投入機会に偏りが生じてしまう。よって、投入機会が多い投入口の稼働時間が、投入機会が少ない投入口の稼働時間よりも多くなるという課題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、複数の投入装置それぞれに適した投入機会を与えることができる搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る搬送システムは、それぞれが荷物を投入する複数の投入装置と、前記複数の投入装置のそれぞれにより投入された前記荷物を一方通行で搬送する搬送装置と、(i)前記搬送装置が新たに搬送を受け入れることができる単位時間当たりの荷物の数に関する受入能力、及び、前記複数の投入装置による前記搬送装置への荷物の投入数に関する稼働状況を取得し、(ii)取得した前記受入能力及び前記稼働状況に応じて、前記複数の投入装置の少なくとも一つの投入装置による単位時間当たりの荷物の投入数に関する投入能力を変更するコントローラと、を備える。
【0008】
これによれば、搬送装置の受入能力、及び、投入装置の稼働数の少なくとも一方に応じて、投入装置の投入能力を変更するため、稼働している投入装置の搬送装置への投入機会の偏りを低減することができる。
【0009】
また、前記投入能力は、前記投入装置が前記搬送装置に対して、荷物を投入することを示す投入要求の単位時間当たりの回数であってもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る搬送システムは、それぞれが荷物を投入する複数の投入装置と、前記複数の投入装置のそれぞれにより投入された前記荷物を一方通行で搬送する搬送装置と、(i)前記搬送装置が新たに搬送を受け入れることができる単位時間当たりの荷物の数に関する受入能力、及び、前記複数の投入装置による前記搬送装置への荷物の投入数に関する稼働状況の少なくとも一方を取得し、(ii)取得した前記受入能力及び前記稼働状況の少なくとも一方に応じて、前記複数の投入装置の少なくとも一つの投入装置による単位時間当たりの荷物の投入数に関する投入能力を変更するコントローラと、前記搬送装置の搬送方向において前記投入装置とは異なる位置に配置され、前記搬送装置が搬送している前記荷物が払い出されるシュートと、を備え、前記搬送装置は、一方通行で周回する周回経路において前記荷物を搬送し、前記コントローラは、さらに、(i)前記搬送装置において搬送している荷物を前記シュートに払い出すか、前記シュートに払い出さずに周回させるかを判断し、(ii)前記周回経路における前記シュートの下流側から前記複数の投入装置までの間における前記搬送装置の空率を取得し、前記空率を用いて前記搬送装置の前記受入能力を決定する。
【0011】
これによれば、シュートの下流側から投入装置までの間における、搬送装置の空率に応じて搬送装置の受入能力を決定するため、投入装置よりも上流側において搬送状態が変化した場合であっても、変化した搬送状態に応じた投入能力に決定することができる。よって、搬送装置の一部の区間の空率を算出することで、搬送装置における受入能力を精度よく推定することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る搬送システムは、それぞれが荷物を投入する複数の投入装置と、前記複数の投入装置のそれぞれにより投入された前記荷物を一方通行で搬送する搬送装置と、(i)前記搬送装置が新たに搬送を受け入れることができる単位時間当たりの荷物の数に関する受入能力、及び、前記複数の投入装置による前記搬送装置への荷物の投入数に関する稼働状況の少なくとも一方を取得し、(ii)取得した前記受入能力及び前記稼働状況の少なくとも一方に応じて、前記複数の投入装置の少なくとも一つの投入装置による単位時間当たりの荷物の投入数に関する投入能力を変更するコントローラと、を備え、前記コントローラは、複数の投入装置のうちで稼働している1以上の投入装置それぞれの投入能力を、前記受入能力を前記1以上の投入装置の数である稼働数で除すことで得られた値に応じて決定する。
【0013】
これによれば、稼働している投入装置で投入能力を平均化することができるため、稼働している投入装置の搬送装置への投入機会の偏りを低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る搬送システムによれば、複数の投入装置それぞれに適した投入機会を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る搬送システムの全体構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る搬送システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る搬送システムの投入能力の変更処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る搬送システムの判断処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本発明に至った知見)
本発明者らは、特許文献1に記載の仕分けシステムでは、複数の投入口の間で、荷物の投入機会に偏りが生じてしまうため、以下のような課題が生じること見出した。
【0017】
例えば、投入口毎に荷物の種類が分類されている場合、仕分けシステムへ投入される荷物の種類に偏りが生じる。このため、特定のシュートにおいて異なる種類の複数の荷物が要求されている場合に、投入機会が少ない投入口に割り当てられている種類の荷物が特定のシュートに搬出されないと、要求されている複数の荷物が揃うまで多くの時間を要してしまう。
【0018】
また、投入口毎に荷物の種類が分類されていない場合であっても、複数の投入口の間で荷物の投入機会に偏りが生じると、それぞれの投入口に荷物を供給する自動倉庫が設けられている場合、自動倉庫に保管されている待機期間にも偏りが生じる。例えば、上流側の投入口と下流側の投入口のそれぞれに対応する自動倉庫に同じ荷物が保管されている場合、下流側の投入口の方が投入機会が少ないため、上流側の投入口から荷物が供給される可能性がある。そのため、下流側の自動倉庫の荷物の保管期間が長くなってしまい、品質管理が難しくなる。特に食品、薬品などのように消費期限が設定されている荷物の場合には、品質管理が重要になる。
【0019】
これらの仕分けシステムでは、下流側の投入口に供給する荷物を上流側の投入口に定期的に切り替えて供給するなど工夫する必要がある。
【0020】
そこで、本発明者らは、上記のような工夫をせずとも、複数の投入装置それぞれに適した投入機会を与えることができる搬送システムを見出すに至った。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0022】
(実施の形態)
[搬送システムの構成]
図1及び
図2を用いて搬送システムの全体構成について説明する。
【0023】
図1は、実施の形態に係る搬送システム10の全体構成を示す平面図である。
図2は、実施の形態に係る搬送システム10のブロック図である。
【0024】
図1及び
図2に示すように、搬送システム10は、複数の投入装置100と、搬送装置200と、コントローラ400とを備える。搬送システム10は、さらに、検出器230と、複数のシュート300とを備えていてもよい。搬送システム10は、例えば、通信販売業、卸売業及び宅配業等の物流分野において、自動倉庫等に保管され、かつ、送付先がそれぞれ割り当てられた複数の荷物20を、送付先毎に仕分けるためのシステムである。なお、複数の荷物20の各々は、例えば梱包された商品等である。
【0025】
複数の投入装置100のそれぞれは、図示しない倉庫に保管されている荷物20を搬送装置200に投入する装置である。各投入装置100は、例えば、一端が倉庫に連結され、倉庫から荷物20の供給を受け、他端が搬送装置200の搬送方向における側方の近傍の位置に配置され荷物20を搬送装置200に投入するコンベヤである。複数の投入装置100は、搬送装置200の搬送方向に沿って並んで配置されている。つまり、複数の投入装置100は、搬送方向において異なる位置に配置されている。
【0026】
なお、複数の投入装置100のそれぞれは、異なる倉庫に連結されていてもよい。つまり、複数の投入装置100は、それぞれ異なる倉庫からの荷物20を搬送装置200に供給してもよい。また、複数の投入装置100のうちの2以上の投入装置100は、共通する1つの倉庫に連結されていてもよいし、1つの投入装置100は、2以上の倉庫に連結されていてもよい。また、複数の投入装置100には、作業者が倉庫から搬送されてきた荷物20を供給してもよい。
【0027】
なお、複数の投入装置100は、コンベヤに限らずに、倉庫から搬送されてきた荷物20を搬送装置200に投入するロボットであってもよい。
【0028】
搬送装置200は、複数の投入装置100により投入された荷物20を一方通行で搬送する装置である。搬送装置200は、例えば、荷物20を環状の搬送経路240、つまり、一方通行で周回する周回経路に沿って搬送する。また、搬送装置200は、搬送経路240に沿った搬送方向に対して直交する方向に荷物20を移動させる機能を有している、例えば、クロスベルトソータであってもよい。搬送装置200は、複数のトレイ210と、駆動ユニット220とを有している。
【0029】
複数のトレイ210は、搬送経路240に沿って互いに環状に連結されている。
図1に示すように、複数のトレイ210のそれぞれは、荷物20を載置するためのトレイとして機能する。複数のトレイ210のそれぞれは、複数の投入装置100から投入された荷物20をトレイ210の中心の方向へ引き込む機能と、当該トレイ210に載置された荷物20を払い出し方向に払い出す機能とを有するベルトコンベヤを含む。複数のトレイ210のうち隣り合う任意の2つのトレイ210は、互いに連結されている。駆動ユニット220は、複数のトレイ210を搬送経路240に沿って所定の方向、例えば
図1における時計方向に移動させる。
【0030】
検出器230は、搬送経路240の搬送方向における複数のシュート300の下流側から複数の投入装置100までの間における搬送装置200の空率を検出する。検出器230は、搬送経路240の搬送方向における複数のシュート300の下流側から複数の投入装置100までの間の第1の位置に配置され、所定期間において、当該第1の位置を通過するトレイ210の数、及び、当該第1の位置を通過する荷物20の数をカウントする。例えば、検出器230は、現在より所定期間前から現在までに第1の位置を通過したトレイ210の数及び荷物20が無いトレイ210の数をカウントし、カウントされた荷物20が無いトレイ210の数をカウントされたトレイ210の数で除し、得られた値を空率として検出する。なお、荷物20が無いトレイ210の数は、通過したトレイの数210から荷物20の数を減じることで算出されてもよい。所定期間は、所定の数(例えば100個)のトレイ210が第1の位置を通過するのに要する時間であってもよい。つまり、検出器230は、カウントを開始時からトレイ210をカウントした数が所定の数となった時までの間を所定期間とみなしてもよい。
【0031】
なお、検出器230は、トレイ210が第1の位置を通過した時刻と、当該トレイ210が荷物20を有するか否かを示す情報とを互いに対応付けた通過履歴を図示しない記憶装置に逐次記憶していてもよい。これにより、検出器230または他の情報処理装置は、記憶装置の通過履歴を参照することで、現在から所定期間前までに第1の位置を通過したトレイ210の数及び荷物20の数を算出することができ、これにより空率を算出することができる。
【0032】
検出器230は、例えば、トレイ210及び荷物20が第1の位置を通過したことを検出する赤外線センサにより構成されていてもよい。この場合、検出器230は、トレイ210を検出する赤外線センサと、荷物20を検出する赤外線センサとの2つのセンサにより構成されていてもよい。また、検出器230は、第1の位置を通過するトレイ210及び荷物20を撮影するカメラと、カメラにより得られた画像を画像認識することで荷物20無しのトレイ210が第1の位置を通過したこと、または、荷物20有りのトレイ210が第1の位置を通過したことを判断する情報処理装置とにより構成されていてもよい。
【0033】
なお、検出器230は、所定期間において第1の位置を通過するトレイ210の数が一定の所定の数である場合、第1の位置を通過するトレイ210の数をカウントしなくてもよく、所定期間経過したことを計時することで第1の位置を所定の数のトレイ210が通過したと見なしてもよい。この場合、検出器230は、所定期間において第1の位置を通過する荷物20の数をカウントする、または、所定期間において第1の位置を通過する荷物20が無いトレイ210の数をカウントすることで得られた値と所定の数とを用いることで、空率を算出する。また、この場合の検出器230は、トレイ210を検出する赤外線センサを有していなくてもよい。
【0034】
複数のシュート300のそれぞれは、搬送装置200が搬送している荷物20が搬送装置200によって払い出される出口である。複数のシュート300のそれぞれは、例えば、コンベヤである。例えば、各シュート300には、それぞれ異なる送付先が割り当てられており、搬送装置200は、荷物20を、当該荷物20の送付先が割り当てられているシュート300に払い出す。複数のシュート300は、搬送方向において複数の投入装置100とは異なる位置に配置されている。複数のシュート300は、搬送経路240の一側方において、搬送経路240に沿って並んで配置されている。なお、複数のシュート300は、搬送経路240の両側方において、搬送経路240に沿って並んで配置されていてもよい。
【0035】
コントローラ400は、搬送システム10の制御を行う。コントローラ400は、複数の投入装置100及び搬送装置200との間で情報のやり取りを行うことで、複数の投入装置100及び搬送装置200の動作を制御する。コントローラ400は、例えば、外部の機器から受信したオーダーに基づいて、当該オーダーに含まれる荷物20を各倉庫から複数の投入装置100に搬送装置200へ投入させる。そして、コントローラ400は、搬送装置200に、上記オーダーに応じた送付先に対応するシュート300へ上記荷物20を搬送させる。
【0036】
コントローラ400は、複数の投入装置100による搬送装置200への荷物20の投入機会が均等になるように、搬送システム10の制御を行う。具体的には、コントローラ400は、搬送装置200が新たに搬送を受け入れることができる単位時間当たりの荷物20の数に関する受入能力、及び、投入装置の稼働数を取得する。そして、コントローラ400は、取得した受入能力及び稼働数に応じて、稼働している1以上の投入装置による単位時間当たりの荷物20の投入数に関する投入能力を変更する。なお、コントローラ400は、受入能力、及び、投入装置の稼働数を、現在から所定期間前の間に取得された情報を用いて算出してもよい。算出方法は、後述する。
【0037】
なお、搬送装置200の受入能力は、搬送装置200がシュート300へ荷物20を払い出せずに周回させる動作の有無に応じて変わりうる。また、投入装置に1対1で対応する倉庫がある場合で、特定の倉庫への出庫要求が無い期間があれば、当該特定の倉庫に対応する投入装置100から荷物20の投入が無い期間が生じる。このため、受入能力は、投入装置100から荷物20の投入が無い期間の有無に応じて変わりうる。また、投入装置の稼働数は、上述したように、投入装置に1対1で対応する倉庫がある場合で、特定の倉庫への出庫要求が無い期間があれば、稼働しない投入装置が生じるため、倉庫の稼働状態によって変わりうる。
【0038】
コントローラ400は、例えば、稼働している1以上の投入装置それぞれの投入能力を、受入能力を稼働数で除すことで得られた値に応じて決定する。つまり、コントローラ400は、現在の搬送装置200の受入能力を、稼働している1以上の投入装置100で平均化することで、投入装置毎に投入能力を決定する。コントローラ400は、平均値が小数を含む値である場合には、小数を切り捨てた値に、投入能力を変更する。これにより、コントローラ400は、搬送装置200が最大の受入能力を発揮できないような場合であっても、最大の受入能力よりも小さい受入能力に応じた投入能力に、投入装置の投入能力を変更することができる。なお、コントローラ400は、受入能力を1以上の投入装置100で平均化することで得られた値が投入装置の投入能力を超えている場合には、投入装置の投入能力を最大値に決定する。
【0039】
受入能力は、例えば、搬送装置200が新たに搬送することができる荷物20についての搬送数(つまり、空いているトレイ210の搬送数)であって、現在における単位時間当たりの荷物20を受け入れることができる数である。受入能力は、例えば、搬送装置200の最大搬送数を、搬送装置200の一のトレイ210が搬送経路240を一周するのに要する時間(周回時間)で除した結果(つまり、単位時間当たりの最大搬送数)に対して空率を乗算することで得られる。最大搬送数とは、搬送装置200が搬送可能な荷物20の最大の数である。つまり、最大搬送数は、搬送装置200が備える複数のトレイ210の総数である。
【0040】
なお、受入能力は、最大搬送数を周回時間で除した結果に、空率を乗ずることで算出されるとしたが、これに限らない。受入能力は、空率および受入能力の関係が予め示される関係式、テーブル、グラフなどの関係情報と、検出された空率とに基づいて、検出された空率に関係情報において対応している値を特定することで算出されてもよい。
【0041】
投入装置の稼働数は、複数の投入装置100のうちで稼働している1以上の投入装置の数である。稼働している投入装置とは、荷物20を搬送装置200に投入している投入装置を含む。また、稼働している投入装置は、さらに、荷物20を搬送装置200に投入しようとしている投入装置を含んでもよい。荷物20を搬送装置200に投入しようとしている投入装置とは、例えば、コントローラ400から、倉庫からの荷物20を搬送装置200に投入する指示を受信したが、当該指示に基づく荷物20を移動させる動作をまだ行っていない投入装置である。また、荷物20を搬送装置200に投入しようとしている投入装置は、例えば、当該投入装置に1対1で対応する倉庫がある場合、対応する倉庫から出庫されたが、(i)まだ荷物が届いておらず待機している投入装置、または、(ii)まだ荷物を搬送装置200に投入していない投入装置であってもよい。コントローラ400は、これらの投入装置を、当該投入装置に対応する倉庫から出庫された荷物の数と、当該投入装置が搬送装置200へ払い出した荷物の数とが一致しないことで特定することができる。
【0042】
投入能力は、具体的には、投入装置100が搬送装置200に対して、荷物20を投入することを示す投入要求の単位時間当たりの回数である。投入要求は、荷物20を投入することを搬送装置200に通知することで、搬送装置200に当該荷物20を載置するためのトレイ210を決定させるための情報である。1つの投入要求に含まれる荷物20は、1つであってもよいし複数であってもよい。投入要求は、投入装置100が荷物20を投入するときに搬送装置200に送信される。搬送装置200は、搬送経路240上の第2の位置を通過するトレイ210に荷物20があるか否かを検出しており、投入要求を受信したときに第2の位置から第3の位置までの範囲にある複数のトレイ210のうち荷物20がないトレイ210を、当該投入要求による荷物20の投入の対象となるトレイ210として決定する。第3の位置は、第2の位置よりも搬送方向の下流側、かつ、投入装置100の投入位置よりも上流側の位置である。
【0043】
第2の位置は、複数の投入装置100のそれぞれに対応する複数の位置が定められてもよいし、複数の投入装置100で共通の位置であってもよい。第2の位置は、搬送装置200の搬送方向において、複数の投入装置100よりも上流側の位置である。第2の位置は、例えば、搬送経路240の搬送方向における複数のシュート300の下流側から複数の投入装置100までの間の位置である。
【0044】
また、搬送装置200は、トレイ210に荷物20があると判定した場合、荷有り情報を投入装置100に返した後で、次に荷物20が無いトレイが第2の位置を通過したときに、荷無し情報を投入装置100に返してもよい。この場合、投入装置100は、荷有り情報を取得すると荷物20の投入をせずに荷無し情報を取得するまで待機し、荷無し情報を搬送装置200から取得すると荷物20を搬送装置200のトレイ210に投入する。
【0045】
なお、第2の位置は、第1の位置と同じ位置であってもよい。つまり、搬送装置200は、検出器230による検出結果を用いて、投入装置100が荷物20を投入しようとしているトレイ210に荷物20があるか否かを判定してもよい。
【0046】
コントローラ400は、例えば、所定のプログラムを実行するプロセッサ、及び、所定のプログラムを記憶しているメモリなどにより構成される。また、コントローラ400は、専用回路により構成されてもよい。
【0047】
[搬送システムの動作]
以下、搬送システム10の動作について説明する。
【0048】
まず、搬送システム10における複数の投入装置100の投入能力の変更処理について
図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る搬送システム10の投入能力の変更処理の一例を示すシーケンス図である。
【0049】
搬送システム10では、複数の投入装置100は、稼働情報をコントローラ400に送信する(S11)。例えば、複数の投入装置100のそれぞれは、稼働していることを示す情報を、稼働情報としてコントローラ400に送信してもよい。
【0050】
検出器230は、搬送経路240の搬送方向における複数のシュート300の下流側から複数の投入装置100までの間における搬送装置200の空率を検出し、検出した空率をコントローラ400に送信する(S12)。
【0051】
コントローラ400は、受入能力及び稼働数を取得する(S13)。具体的には、コントローラ400は、受信した稼働情報を計数し、計数した結果を投入装置の稼働数として取得する。また、コントローラ400は、受信した空率を用いて搬送装置200の受入能力を算出することで、受入能力を取得する。コントローラ400による受入能力の詳細な処理の説明は、コントローラ400の機能の説明において既に説明したため省略する。
【0052】
なお、コントローラ400は、稼働情報を投入装置100から受信しなくてもよい。コントローラ400は、荷物20の投入指示を送信した対象の投入装置100を計数することで、投入装置の稼働数を取得してもよい。また、コントローラ400は、検出器230からの検出結果を取得して、取得した検出結果に基づいて空率を算出することで、空率を取得してもよい。
【0053】
そして、コントローラ400は、取得した受入能力及び稼働数に応じて、稼働している1以上の投入装置による単位時間当たりの荷物20の投入数に関する投入能力を変更する(S14)。コントローラ400による投入能力の決定の詳細な処理の説明は、コントローラ400の機能の説明において既に説明したため省略する。
【0054】
次に、搬送システム10における荷物20を搬送装置200からシュート300に払い出すか否かの判断処理について
図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態に係る搬送システム10の判断処理の一例を示すシーケンス図である。
【0055】
コントローラ400は、搬送装置200において搬送している荷物20をシュート300に払い出すか、シュート300に払い出さずに周回させるかを判断する(S21)。コントローラ400は、判断結果に基づいて搬送装置200の動作を制御する。
【0056】
例えば、シュート300には、オーダーの順番通りに荷物20が払い出されることが求められる場合がある。この場合に、コントローラ400は、例えば、搬送している荷物20が目的のシュート300に近づいたとき、当該荷物20より一つ前の順番の荷物20が当該シュート300にあるか否かを判定する。コントローラ400は、一つ前の順番の荷物20が当該シュート300にあると判定した場合、当該荷物20を当該シュート300に払い出すと判定し、一つ前の順番の荷物20が当該シュート300にないと判定した場合、当該荷物20を当該シュート300に払い出さずに搬送経路240を周回させると判定する。
【0057】
また、例えば、シュート300には、グループ毎に、当該グループに含まれる複数の荷物のみが払い出されることが求められる場合がある。コントローラ400は、例えば、シュート300に既に第1のグループに含まれる荷物が払い出されている場合、第2のグループに含まれる荷物を当該シュート300に払い出さずに周回させると判定する場合がある。
【0058】
コントローラ400は、荷物20をシュート300に払い出すと判定した場合(S21でYes)、当該荷物20をシュート300に払い出すことを決定する(S22)。
【0059】
一方で、コントローラ400は、荷物20をシュート300に払い出さないと判定した場合(S21でNo)、当該荷物20をシュート300に払い出さずに搬送経路240を周回させることを決定する(S23)。
【0060】
コントローラ400は、ステップS22またはステップS23で決定された結果に基づく搬送指示を搬送装置200に送信する(S24)。これにより、コントローラ400は、搬送装置200に荷物20をシュート300へ払い出させたり、荷物20をシュート300へ払い出させずに周回させたりする。
【0061】
このようにして、コントローラ400は、一つ前の順番の荷物20がシュート300にあるか否かに応じて、シュート300への払い出しを制御するため、シュート300へオーダー順番通りに荷物20を払い出されるように搬送装置200を制御することができる。
【0062】
[効果など]
本実施の形態に係る搬送システム10によれば、コントローラ400は、搬送装置200の受入能力、及び、投入装置100の稼働数に応じて、稼働している投入装置100の投入能力を変更する。このため、稼働している投入装置100の搬送装置200への投入機会の偏りを低減することができる。
【0063】
また、本実施の形態に係る搬送システム10によれば、シュート300の下流側から投入装置100までの間における、搬送装置200の空率に応じて搬送装置200の受入能力を決定するため、投入装置100よりも上流側において空率が変化した場合であっても、変化した空率に応じた投入能力に決定することができる。よって、搬送装置200の一部の区間の空率を算出することで、搬送装置200におけるリアルタイムの現在の受入能力を精度よく推定することができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る搬送システム10において、コントローラ400は、稼働している1以上の投入装置100それぞれの投入能力を、受入能力を稼働数で除すことで得られた値に応じて決定する。これにより、稼働している投入装置100で投入能力を平均化することができ、投入能力の合計と受入能力とが近づくように制御することができる。このため、稼働している投入装置100が搬送装置200への投入するときに、複数の投入装置100が並ぶ区間において下流側の投入装置100の前を荷物20が無いトレイ210が通過する確率を向上させることができる。よって、稼働している投入装置100の搬送装置200への荷物20の投入機会の偏りを低減することができる。
【0065】
[変形例]
(1)
上記実施の形態では、搬送装置200は、クロスベルトソータを例示したが、クロスベルトソータに限らずに、有軌道台車であってもよいし、リニアモータシステムであってもよい。投入装置100がロボットである場合には、搬送装置200は、搬送方向に直行する方向に荷物20を移動させる機能を有さないコンベヤであってもよい。また、搬送装置200は、周回する搬送経路240を有するとしたが、これに限らずに、直線の搬送経路を有する装置としてもよい。
【0066】
(2)
上記実施の形態では、コントローラ400は、受入能力及び稼働数を取得し、取得した受入能力及び稼働数に応じて、稼働している1以上の投入装置による単位時間当たりの荷物20の投入数に関する投入能力を変更するとしたが、受入能力及び稼働数の両方を取得しなくてもよい。例えば、コントローラ400は、稼働している投入装置の稼働数が固定された数である場合には、稼働数を取得しなくてもよく、受入能力及び固定された数を用いて投入能力を決定してもよい。また、コントローラ400は、例えば受入能力が一定の値に保たれている場合には、受入能力を取得しなくてもよく、一定の値及び稼働数を用いて投入能力を決定してもよい。つまり、コントローラ400は、受入能力及び稼働数の少なくとも一方を取得し、取得した受入能力及び稼働数の少なくとも一方に応じて、投入能力を変更してもよい。
【0067】
(3)
上記実施の形態では、コントローラ400は、受入能力及び稼働数を取得し、取得した受入能力及び稼働数に応じて、稼働している1以上の投入装置による単位時間当たりの荷物20の投入数に関する投入能力を変更するとしたが、稼働している投入装置の全ての投入装置の投入能力を変更しなくてもよく、少なくとも一つの投入装置の投入能力を変更してもよい。また、コントローラ400は、稼働数の代わりに投入装置の稼働率を取得し、取得した稼働率に応じて、投入能力を変更してもよい。このように、コントローラ400は、投入装置の稼働状況を取得し、稼働状況に応じて、投入能力を変更してもよい。稼働状況は、稼働数、稼働率などのように、搬送装置への複数の投入装置100による荷物の投入数に関する値である。
【0068】
例えば、第1の時間帯で、第1の倉庫からの荷物20の単位時間当たりの出庫数である第1出庫率に対する、第2の倉庫からの荷物20の単位時間当たりの出庫数である第2出庫率の割合が第1の割合であり、第2の時間帯で当該割合が第1出庫率よりも第2出庫率が大きくなる第2の割合に変化する場合を考える。この場合、コントローラ400は、第1の時間帯では、第1倉庫に対応する第1投入装置の投入能力に対する、第2倉庫に対応する第2投入装置の投入能力の割合が第1の割合となり、かつ、投入能力の合計が受入能力以下となるように投入能力を決定する。また、コントローラ400は、第2の時間帯では、第1倉庫に対応する第1投入装置の投入能力に対する、第2倉庫に対応する第2投入装置の投入能力の割合が第2の割合となり、かつ、投入能力の合計が受入能力以下となるように投入能力を決定する。このように、第1投入装置の稼働率、及び、第2投入装置の稼働率は、それぞれ、第1出庫率及び第2出庫率に応じて変化する。
【0069】
このとき、状況によっては、コントローラ400は、第1投入装置の投入能力、及び、第2投入装置の投入能力のうちの一方の投入装置の投入能力を変更せずに維持し、他方の投入装置の投入能力のみを変更しうる。また、コントローラ400は、第1投入装置の投入能力を第2投入装置の投入能力に対して、相対的に高くなるように、または、相対的に低くなるように、第1投入装置の投入能力、および、第2投入装置の投入能力の少なくとも一方を変更しうる。このように、コントローラ400は、状況に応じて、複数の投入装置100が配置される区間の上流側、下流側、または、真ん中近傍に配置される投入装置の投入能力を変更しうる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、複数の投入装置それぞれに適した投入機会を与えることができる搬送システムなどとして有用である。
【符号の説明】
【0071】
10 搬送システム
20 荷物
100 投入装置
200 搬送装置
210 トレイ
220 駆動ユニット
230 検出器
240 搬送経路
300 シュート
400 コントローラ