(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B26D 5/00 20060101AFI20240110BHJP
B41J 11/68 20060101ALI20240110BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240110BHJP
B26D 1/24 20060101ALN20240110BHJP
B26D 1/03 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
B26D5/00 B
B41J11/68
G03G15/00 460
B26D1/24 D
B26D1/24 E
B26D1/03
(21)【出願番号】P 2019221337
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 将也
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109262(JP,A)
【文献】特開2019-112157(JP,A)
【文献】特開2015-048185(JP,A)
【文献】特開2013-144322(JP,A)
【文献】特開2008-148273(JP,A)
【文献】米国特許第05857395(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/00
B41J 11/68
G03G 15/00
B26D 1/24
B26D 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートの搬送方向に直交する方向の一端部側と他端部側とを前記搬送方向に沿って断裁する断裁手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートの、前記一端部側の断裁による搬送負荷に関し、前記シートを断裁するための断裁条件を含む第一負荷情報と
、前記他端部側の断裁による搬送負荷に関し、前記シートを断裁するための断裁条件を含む第二負荷情報とを取得する取得手段と、
前記第一負荷情報と前記第二負荷情報とに基づ
いて、前記シートの断裁を禁止するか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記第一負荷情報は、前
記一端部側の断裁の実行の有無を含み、
前記第二負荷情報は、前
記他端部側の断裁の実行の有無を含み、
前記判定手段は、前
記一端部側の断裁と前
記他端部側の断裁のいずれか一方のみの実行である
場合に、前記シートの断裁を禁止すると判定することを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記第一負荷情報は、前
記一端部側の断裁位置を示す第一側端断裁位置を含み、
前記第二負荷情報は、前
記他端部側の断裁位置を示す第二側端断裁位置を含み、
前記判定手段は、前
記一端部の先端から前記第一側端断裁位置までの距離と前
記他端部の先端から前記第二側端断裁位置までの距離との距離差が許容範囲外となる
場合に、前記シートの断裁を禁止すると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記第一側端断裁位置と前記搬送方向に沿った断裁により形成される成果物の前記搬送方向に直交する方向におけるサイズとを設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記第一側端断裁位置と前記搬送方向に沿った断裁により形成される前記成果物の前記搬送方向に直交する方向におけるサイズとから前記第二側端断裁位置を決定することを特徴とする請求項4に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記第一側端断裁位置と前記搬送方向に沿った断裁により形成される前記成果物の前記搬送方向に直交する方向におけるサイズとから、前記搬送方向に直交する方向に並んで複数形成される場合の前記成果物の分割位置を決定することを特徴とする請求項4又は5に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記搬送方向に直交する方向に並んで複数形成される場合の前記成果物の前記搬送方向に直交する方向におけるサイズがいずれも等しくなるように前記分割位置を決定することを特徴とする請求項6に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記判定手段が前記シートの断裁を禁止すると判定した場合に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記第一負荷情報と前記第二負荷情報とに基づいて、前記シートの断裁を禁止する禁止条件を記憶する記憶手段を備え、
前記判定手段は、前記禁止条件に基づいて、前記シートの断裁を禁止するか否かを判定することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項10】
前記シートを断裁するための断裁条件を受け付ける受付手段を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項11】
シートを搬送する搬送手段と、
前記シートに画像形成を行う画像形成手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートの搬送方向に直交する方向の一端部と他端部とを前記搬送方向に沿って断裁する断裁手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートの、前記一端部側の断裁による搬送負荷に関し、前記シートを断裁するための断裁条件を含む第一負荷情報と
、前記他端部の断裁による搬送負荷に関し、前記シートを断裁するための断裁条件を含む第二負荷情報とを取得する取得手段と、
前記第一負荷情報と前記第二負荷情報とに基づ
いて、前記シートの断裁を禁止するか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
前記第一負荷情報は、前
記一端部側の断裁の実行の有無を含み、
前記第二負荷情報は、前
記他端部側の断裁の実行の有無を含み、
前記判定手段は、前
記一端部側の断裁と前
記他端部側の断裁のいずれか一方のみの実行である
場合に、前記シートの断裁を禁止すると判定することを特徴とする請求項
11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記第一負荷情報は、前
記一端部側の断裁位置を示す第一側端断裁位置を含み、
前記第二負荷情報は、前
記他端部側の断裁位置を示す第二側端断裁位置を含み、
前記判定手段は、前
記一端部の先端から前記第一側端断裁位置までの距離と前
記他端部の先端から前記第二側端断裁位置までの距離との距離差が許容範囲外となる
場合に、前記シートの断裁を禁止すると判定することを特徴とする請求項
11又は12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記第一側端断裁位置と前記搬送方向に沿った断裁により形成される成果物の前記搬送方向に直交する方向におけるサイズとを設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項
13に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記取得手段は、前記第一側端断裁位置と前記搬送方向に沿った断裁により形成される前記成果物の前記搬送方向に直交する方向におけるサイズとから前記第二側端断裁位置を決定することを特徴とする請求項
14に記載の画像形成システム。
【請求項16】
前記取得手段は、前記第一側端断裁位置と前記搬送方向に沿った断裁により形成される前記成果物の前記搬送方向に直交する方向におけるサイズとから、前記搬送方向に直交する方向に並んで複数形成される場合の前記成果物の分割位置を決定することを特徴とする請求項
14又は15に記載の画像形成システム。
【請求項17】
前記取得手段は、前記搬送方向に直交する方向に並んで複数形成される場合の前記成果物の前記搬送方向に直交する方向におけるサイズがいずれも等しくなるように前記分割位置を決定することを特徴とする請求項
16に記載の画像形成システム。
【請求項18】
前記判定手段が前記シートの断裁を禁止すると判定した場合に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項
11から17のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項19】
前記第一負荷情報と前記第二負荷情報とに基づいて、前記シートの断裁を禁止する禁止条件を記憶する記憶手段を備え、
前記判定手段は、前記禁止条件に基づいて、前記シートの断裁を禁止するか否かを判定することを特徴とする請求項11から18のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項20】
前記シートを断裁するための断裁条件を受け付ける受付手段を備えることを特徴とする請求項11から19のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートのカットを行う後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置により印刷されたシートに対して、外縁部を切断したり、所望のサイズに断裁したりする後処理装置が知られている。
このような後処理装置は、所望のサイズに断裁を行うために、搬送方向の先端部及び後端部の断裁量をユーザーが操作部のキー入力にて設定を行うことが可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、シートの先端部における断裁量が必要長に満たないと、搬送不良や切断不良が生じるため、断裁を行う際の最小断裁量を予め定めている後処理装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-6605号公報
【文献】特開2016-137628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のように、断裁の設定の調整を図っても、シートの搬送方向の両側の側端部のバランスを調整することは難しく、搬送方向の曲がりを生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、より適正に搬送しつつ断裁を行うことをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る後処理装置は、
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートの搬送方向に直交する方向の一端部側と他端部側とを前記搬送方向に沿って断裁する断裁手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートの、前記一端部側の断裁による搬送負荷に関し、前記シートを断裁するための断裁条件を含む第一負荷情報と、前記他端部側の断裁による搬送負荷に関し、前記シートを断裁するための断裁条件を含む第二負荷情報とを取得する取得手段と、
前記第一負荷情報と前記第二負荷情報とに基づいて、前記シートの断裁を禁止するか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像形成システムは、
シートを搬送する搬送手段と、
前記シートに画像形成を行う画像形成手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートの搬送方向に直交する方向の一端部と他端部とを前記搬送方向に沿って断裁する断裁手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートの、前記一端部側の断裁による搬送負荷に関し、前記シートを断裁するための断裁条件を含む第一負荷情報、前記他端部の断裁による搬送負荷に関し、前記シートを断裁するための断裁条件を含む第二負荷情報とを取得する取得手段と、
前記第一負荷情報と前記第二負荷情報とに基づいて、前記シートの断裁を禁止するか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より適正に搬送しつつ断裁を行う後処理装置又は画像形成システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態における画像形成システムの構成図である。
【
図2】画像形成システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】用紙の搬送方向に沿った断裁の位置に関するパラメータを示す説明図である。
【
図5】処理中に表示されるエラーメッセージの表示例である。
【
図6】処理中に表示されるハイライト表示の表示例である。
【
図7】奥側位置の設定時のCPUの処理を示したフローチャートである。
【
図8】仕上がりサイズの設定時のCPUの他の処理を示したフローチャートである。
【
図9】手前側位置と成果物の数の算出時のCPUの処理を示したフローチャートである。
【
図10】断裁の禁止条件を判定するCPUの処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[画像形成システムの概略]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
図1は本発明の実施の形態における画像形成システム100の構成図である。画像形成システム100は、シートとしての用紙Pに画像を形成する画像形成手段としての画像形成装置10と、画像形成装置10により画像が形成された用紙Pに断裁処理を施す後処理装置20と、を備えて構成されている。
【0011】
画像形成装置10は、操作表示部18から入力された操作指示、又は、通信ネットワークを介してPC(Personal Computer)等から受信した画像形成指示に従って、用紙Pに画像を形成する。画像形成装置10は、画像形成後の用紙Pを後処理装置20に搬出する。
画像形成装置10は、給紙部15、画像読取部16、画像形成部17、操作表示部18等を備える。
【0012】
給紙部15は、サイズ、種類(紙種)、坪量等が異なる用紙Pを収納可能な複数の給紙トレイT1~T3を備え、指定された給紙トレイT1~T3に収納されている用紙Pを画像形成部17に供給する。
【0013】
画像読取部16は、原稿を読み取り、画像データを生成する。具体的には、画像読取部16は、光源から照射され、原稿で反射された反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等により読み取る。
【0014】
画像形成部17は、用紙P上に画像を形成する。画像形成部17は、感光体を帯電部で帯電させ、画像データに基づいて露光部により発せられたレーザービームにより感光体を露光走査して静電潜像を形成し、現像部により静電潜像をトナーで現像し、転写部によりトナー像を用紙Pに転写し、定着部により用紙Pにトナー像を定着させる。
【0015】
操作表示部18は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、各種画面を表示する表示部と、表示部に積層されたタッチパネルや各種キーにより構成される操作部と、を備える。操作表示部18は、タッチ操作やキー操作により入力された操作信号をCPU(Central Processing Unit)11に出力する(
図2参照)。
【0016】
[後処理装置]
後処理装置20は、用紙Pに対して断裁処理を施す断裁機である。後処理装置20は、画像形成装置10から搬入された用紙Pに対して必要に応じて断裁処理を施し、断裁処理により作成された成果物を排紙トレイT11,T12又はカードトレイT13に排出する。
後処理装置20は、搬送路D1、カット装置30、センサー27、屑箱29等を備える。
【0017】
搬送路D1には、搬送路D1から分岐し、その下流において合流する長尺紙搬送路D2が併設されている。長尺紙搬送路D2は、長尺紙を搬送する際にバッファーとして用いられる。
また、搬送路D1、D2には、各々の経路に沿って規定の間隔で用紙Pを表裏に挟むように設けられた一対のローラの回転により用紙Pの搬送を行う搬送ローラ35が設けられている。
【0018】
断裁手段としてのカット装置30は、搬送される用紙Pを断裁する断裁処理を行う。カット装置30は、用紙Pの搬送路D1の複数の位置に、FD断裁部31~33、CD断裁部34を備える。
FD断裁部31~33は、用紙Pを搬送方向(Feed Direction)Fに沿って断裁するスリッターである。FD断裁部31,32は、それぞれ、用紙Pの平面に平行であって搬送方向Fと直交する方向(「搬送直交方向」とする)Cにおける端部(奥側・手前側)を断裁する天地スリッターである。
FD断裁部33は、用紙Pの搬送直交方向Cに隣接する成果物同士の間の余白を搬送方向Fに沿って断裁するドブ断ちスリッターである。
FD断裁部33は、用紙Pを搬送直交方向Cについて複数に分割する際のドブ断ちを行う一対の刃を複数対を備えており、それぞれの対をなす刃が個別に用紙Pに対する断裁可能な位置と退避位置とに切り替え可能となっている。つまり、断裁を行う対をなす刃の数を選択することができ、用紙Pの分割数を変更することができる。
また、対をなす刃の搬送直交方向Cの間隔は固定だが、各対ごとに搬送直交方向Cに位置調節を行うことが可能となっている。
FD断裁部31~33は、例えば、図示しないモーター等のアクチュエーターを備え、搬送直交方向Cにおける切断位置を規定の範囲内で調節することができる。これにより、用紙Pの搬送直交方向Cの両端部から規定距離となる位置で搬送方向Fに沿ってカットを行うことができる。
【0019】
CD断裁部34は、用紙Pを搬送直交方向Cに沿って断裁するギロチンカッターである。CD断裁部34は、用紙Pの搬送方向Fにおける断裁位置を搬送ローラ35との協働によって任意に調節することができる。
【0020】
センサー27は、屑箱29内の深さ方向(
図1に示すZ方向)における所定の位置で断裁屑を検知し、検知結果をCPU21(
図2参照)に出力する。すなわち、センサー27は、屑箱29内に断裁屑がある程度の量まで積載されたことを検知する。
【0021】
屑箱29は、カット装置30の下方に設置されており、カット装置30による断裁動作で発生し、カット装置30から落下する断裁屑を収納する。ユーザーは、後処理装置20の扉を開けて屑箱29を取り出し、屑箱29内の断裁屑を廃棄する。
この屑箱29は、FD断裁部31~33及びCD断裁部34における断裁屑の落下位置下方にそれぞれ所定寸法の排出口を有しており、各断裁部31~34の断裁屑は各々の排出口を介して屑箱29内に断裁屑を陥れる構造となっている。また、FD断裁部31~33のそれぞれの排出口は、搬送方向Fに沿って長尺な矩形の開口からなり、CD断裁部34の排出口は、搬送直交方向Cに沿って長尺な矩形の開口からなる。
【0022】
[画像形成システムの制御系]
図2は、画像形成システム100の機能的構成を示すブロック図である。
画像形成装置10は、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(RandomAccess Unit)13、記憶部14、給紙部15、画像読取部16、画像形成部17、操作表示部18、通信I/F(InterFace)19等を備える。既に説明した機能部については、説明を省略する。
【0023】
CPU11は、ROM12に格納されたプログラムを読み出してRAM13に展開し、展開したプログラムとの協働によって画像形成装置10の各部の動作を制御する。
ROM12は、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、システムプログラム及びシステムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、各種データ等を記憶する。
RAM13は、揮発性の半導体メモリー等により構成され、CPU11により実行される各種処理において、ROM12から読み出されたプログラム、入力若しくは出力データ、及び、パラメータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0024】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶する。
通信I/F19は、NIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、後処理装置20やPC(Personal Computer)との間でデータの送受信を行う。
【0025】
後処理装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、用紙搬送部25、設定入力部26、センサー27、通信I/F28、カット装置30、先端検出手段36等を備える。
【0026】
CPU21、ROM22及びRAM23は、CPU21の制御対象が後処理装置20であることを除き、CPU11、ROM12及びRAM13と同様である。
【0027】
記憶部24は、HDDや不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶する。記憶手段としての記憶部24には、用紙Pの断裁を行うための断裁位置の各種のパラメータ及びその設定可能な数値範囲、さらに、断裁の禁止条件等が記憶されている。
【0028】
用紙搬送部25は、搬送路D1、D2に沿って設けられた複数の搬送ローラ35から構成され、画像形成装置10から搬入された用紙Pを、排紙トレイT11,T12又はカードトレイT13に排出するまで搬送する。
【0029】
通信部としての通信I/F28は、NICやモデム等で構成され、画像形成装置10との間でデータの送受信を行う。
【0030】
設定入力部26は、LCDにより構成され、各種画面を表示する表示部と、表示部に積層されたタッチパネルや各種キーにより構成される操作部と、を備える。設定入力部26は、タッチ操作やキー操作により入力された操作信号をCPU21に出力する。
また、設定入力部26は、後処理装置20の用紙Pの断裁位置である各種のパラメータを設定する設定手段として機能する。
【0031】
先端検出手段36は、搬送路D1におけるカット装置30の搬送方向上流側(以下、後側ともいう)であって直前となる位置に設けられている。この先端検出手段36は、搬送される用紙Pの搬送方向下流側(以下、前側ともいう)の端部(先端部とする)を検出するセンサーである。例えば、用紙Pの先端部の通過を検出可能なあらゆるセンサーを使用することができる。例えば、先端部を光学的に検出するフォトインタラプタや接触により検出するマイクロスイッチ等が一例として挙げられる。
CPU21は、先端検出手段36により用紙Pの先端部を検出してからの各搬送ローラ35の駆動回転数を読み取り、用紙Pの先端部が搬送路D1のいずれに位置するかを認識することができる。そして、CPU21は、搬送される用紙Pに対して、カット装置30の各断裁部31~34を制御して適正なタイミングで断裁を行う。
【0032】
[断裁作業に関する設定作業]
後処理装置20にて実行させる断裁作業に関する設定の概要について、
図3に示す設定入力画面の表示例及び
図4に示す用紙Pの設定対象を示す説明図に基づいて説明を行う。
上記設定の入力作業は、後処理装置20の設定入力部26から行われ、
図3の設定入力画面は設定入力部26が有する表示部にて表示される。
なお、以下の説明において示す具体的な数値は、単なる例示であって、これに限定されるものではない。
【0033】
断裁作業に必要となる設定パラメータは、用紙サイズと搬送方向Fに沿った断裁の位置に関するパラメータとがある。
用紙サイズは、断裁が行われる用紙Pの搬送方向Fの幅である用紙サイズと搬送直交方向Cの幅である用紙サイズL2をからなり、これら用紙サイズL2の設定値は、予め、複数の組み合わせが用意されており、その中から一つを選択することにより決定される。なお、個別にこれらの用紙サイズL2の数値を入力可能としても良い。
【0034】
[搬送方向に沿った断裁の位置に関するパラメータ]
搬送方向Fに沿った断裁の位置に関するパラメータとしては、
図4に示すように、用紙Pの搬送直交方向Cにおける一端部側(奥側という)の端部を搬送方向Fに断裁する第一側端断裁位置としての「奥側位置X2」、用紙Pの搬送直交方向Cにおける他端部側(手前側という)の端部を搬送方向Fに断裁する第二側端断裁位置としての「手前側位置A2」、用紙Pが搬送直交方向Cについて複数に分割される場合の分割数である「成果物の数N2」、用紙Pが搬送直交方向Cについて複数に分割される場合の各成果物の搬送直交方向Cの幅である「仕上がりサイズY2」、搬送直交方向Cに複数に分割される成果物同士の搬送直交方向Cにおける隙間幅である「ドブ断ち幅Z2」が挙げられる。
【0035】
なお、用紙Pに対する搬送方向Fに沿って行われる断裁は、「奥側位置X2」における断裁と、「手前側位置A2」における断裁と、複数に分割される成果物同士の間の隙間(ドブ断ち)を形成する断裁とがある。
これらの内、「奥側位置X2」における断裁とは、最も奥側となる成果物における奥側の側端部を形成する断裁のことを示し、「手前側位置A2」における断裁とは、最も手前側となる成果物における手前側の側端部を形成する断裁のことを示す。
【0036】
これらの内、ユーザーは、設定入力部26から「奥側位置X2」、「仕上がりサイズY2」の数値を任意に設定することができる。一方、「ドブ断ち幅Z2」については、一対の刃の搬送直交方向Cの間隔が固定されているため、固定値となっている。「ドブ断ち幅Z2」は、例えば、8[mm]に設定されている。
【0037】
具体的には、
図3の設定入力画面において、「奥側位置」、「仕上がりサイズ(縦幅)」の項目を個別に選択し、数字キーから数値を入力する。入力可能な数値の最小単位は、例えば、0.1[mm]に設定されている。
これらの数値設定に対して、CPU21は、入力された各パラメータの数値範囲の適否の判断と、残るパラメータである「手前側位置A2」、「成果物の数N2」の算出を行う。
なお、「手前側位置A2」及び「成果物の数N2」は、「奥側位置X2」、「仕上がりサイズY2」の設定に基づいて決定されるので、「手前側位置A2」及び「成果物の数N2」も間接的に設定されていると言うことができる。
【0038】
[奥側位置の設定]
以下、「奥側位置X2」の設定時にCPU21が実行する処理を説明する。
図5は処理中に表示されるエラーメッセージの表示例、
図6は処理中に表示されるハイライト表示の表示例、
図7は断裁位置に関するパラメータの設定時のCPU21の処理を示したフローチャートである。
【0039】
まず、CPU21は、
図3の設定入力画面から「奥側位置X2」の入力が行われたか否かを判定し(ステップT1)、入力が行われた場合には、「奥側位置X2」の入力値が予め定められた「奥側位置X2」の下限値以上であるかを判定する(ステップT3)。
即ち、「奥側位置X2」は、設定可能な範囲として、用紙Pの奥側の端部の先端から断裁位置までの距離について、規定の下限値が予め決められており、当該下限値が記憶部24に格納されている。
【0040】
用紙Pの奥側の端部を搬送方向Fに沿って断裁する場合、奥側の先端から断裁位置までの距離が小さすぎると、断裁されずに折れ曲がり等が生じて良好な断裁を行えない場合が起こりうるので、良好な断裁を行うことが可能である下限値(実際の下限値に幾分余裕を持たせたより大きな値を含む)が予め求められ、記憶部24に用意されている。例えば、奥側位置X2の下限値は、8[mm]に設定されている。
【0041】
なお、用紙Pの奥側の端部において断裁を実行しないという設定も可能であり、その場合には、「奥側位置X2」に0[mm]が入力される。
従って、CPU21は、「奥側位置X2」の入力値が下限値に満たないと判定した場合、「奥側位置X2」の入力値が0[mm]か否かを判定する(ステップT5)。
そして、「奥側位置X2」の入力値が0[mm]である場合には、CPU21は、「奥側位置X2」の設定値が0[mm]であること、即ち、用紙Pの奥側の端部の断裁の実行が無しであることが記憶部24に登録される(ステップT13)。
【0042】
一方、ステップT5において、「奥側位置X2」の設定値が0[mm]でない場合には、奥側位置X2として下限値に満たない値が設定されたものとして、CPU21は、報知処理を実行する(ステップT7)。報知処理としては、例えば、
図5に示すような入力値が適正範囲外であることを示すエラーメッセージを設定入力部26に表示させる。なお、このようにエラーメッセージをポップアップ表示する場合に限らず、ユーザーに認識させることが可能なあらゆる他の手段を用いることができる。
このように、奥側位置X2の入力値が適正範囲外であること報知することにより、設定入力部26は報知手段として機能する。
【0043】
さらに、CPU21は、エラーメッセージのポップアップ表示が閉じられる操作が入力されると、
図6に示すように、設定入力画面において、適正範囲外であったパラメータをユーザーに認識させるためにハイライト表示を行うように設定入力部26を制御する(ステップT9)。
なお、適正範囲外であったパラメータをユーザーに認識させることが可能であれば、ハイライト表示に限らず、他の表示を行っても良い。
【0044】
一方、ステップT3において、奥側位置X2の入力値が下限値以上であった場合には、CPU21は、奥側位置X2の入力値が上限値以下であるかを判定する(ステップT11)。
奥側位置X2で断裁されて発生する断裁屑は、長尺の短冊状となり、FD断裁部31の下方にある排出口を通じて屑箱29に落下する。その場合、断裁屑が排出口の搬送直交方向Cの幅よりも広いと、排出口を通ることができず、詰まりの原因となるため、断裁屑の幅は、排出口の搬送直交方向Cの幅と同じかこれよりも余裕を持って幾分小さい値とする必要がある。
奥側位置X2の上限値は、記憶部24に格納されている。例えば、奥側位置X2の上限値は、26[mm]に設定されている。
【0045】
奥側位置X2の入力値が上限値を超える場合には、下限値の場合と同様に、CPU21は、報知処理として
図5に示すエラーメッセージを表示し(ステップT7)、
図6に示す適正範囲外であったパラメータのハイライト表示を行う(ステップT9)。
【0046】
一方、奥側位置X2の入力値が上限値以下であった場合には、CPU21は、奥側位置X2の入力値を設定値として記憶部24に登録する(ステップT13)。
なお、奥側位置X2の入力値が下限値未満又は上限値を超える場合に、CPU21は、報知処理を行う例を示したが、報知せずに、入力値が下限値又は上限値のいずれか近い方の値に自動的に変更し、記憶部24に登録する処理を行っても良い。
【0047】
なお、後処理装置20は、断裁の実行において、用紙Pを真っ直ぐに搬送方向Fに沿って搬送させるために、CPU21は、用紙Pの奥側で行われる断裁による搬送負荷を示す第一負荷情報と用紙Pの手前側で行われる断裁による搬送負荷を示す第二負荷情報とを取得する取得手段として機能する。記憶部24には、これらの負荷情報を判断材料とし、用紙Pの奥側と手前側とで搬送負荷のバランスの観点から断裁を実行すべきか判断する断裁の禁止条件が記憶されており、CPU21は、第一負荷情報と第二負荷情報とが断裁の実行条件を満たす場合にのみ断裁を実行する。この断裁の禁止条件の判定については後述する。
【0048】
そして、断裁位置は、搬送直交方向Cの中心から離れるほど、用紙Pの直進性を阻害するので、上記「奥側位置X2」として設定された搬送直交方向Cにおける断裁を実行する位置の情報(下限値以上上限値以下とする設定値)は、第一負荷情報として、記憶部24に登録される。
また、用紙Pの搬送直交方向における一端部と他端部とにおける搬送方向に沿った断裁の有無も、用紙Pの直進性に大きく影響するので、上記「奥側位置X2」における断裁を実行しない情報(設定値0[mm])も、第一負荷情報として、記憶部24に登録される。
【0049】
[仕上がりサイズの設定]
以下、「仕上がりサイズY2」の設定時にCPU21が実行する処理を説明する。前述した
図5及び
図6と
図8に示す断裁位置に関するパラメータの設定時のCPU21の処理を示したフローチャートを参照して説明する。
まず、CPU21は、
図3の設定入力画面から「仕上がりサイズY2」の入力が行われたか否かを判定し(ステップS1)、入力が行われた場合には、「仕上がりサイズY2」の入力値が予め定められた「仕上がりサイズY2」の下限値以上であるかを判定する(ステップS3)。
「仕上がりサイズY2」は下限値と上限値とが定められている。下限値は、断裁によって得られる成果物の搬送直交方向Cの片側において、ドブ断ち幅Z2に従って断裁を行う一対の刃の搬送直交方向Cの可動範囲に応じて決定されている。
また、上限値は、ドブ断ち幅Z2の断裁を行わない場合(搬送直交方向Cについて分割しない場合)であり、「用紙サイズL2」の設定値から「奥側位置X2」の設定値を減じた値を上限値とする。
この仕上がりサイズY2の下限値(実際の下限値に幾分余裕を持たせたより大きな値を含む)と上限値とが記憶部24に用意されている。
【0050】
仕上がりサイズY2の入力値が下限値に満たない場合には、CPU21は、報知処理として
図5に示すエラーメッセージを表示し(ステップS5)、
図6に示す適正範囲外であったパラメータのハイライト表示を行う(ステップS7)。この場合、
図6に示す「奥側位置X2」に替えて「仕上がりサイズY2」がハイライト表示される。
【0051】
一方、仕上がりサイズY2の入力値が下限値以上であった場合には、CPU21は、仕上がりサイズY2の入力値が上限値以下であるかを判定する(ステップS9)。
仕上がりサイズY2の入力値が上限値を超える場合には、下限値の場合と同様に、CPU21は、報知処理として
図5に示すエラーメッセージを表示し(ステップS5)、適正範囲外であったパラメータのハイライト表示を行う(ステップS7)。
一方、仕上がりサイズY2の入力値が上限値以下であった場合には、CPU21は、仕上がりサイズY2の入力値を設定値として記憶部24に登録する(ステップS11)。
なお、仕上がりサイズY2の入力値が下限値未満又は上限値を超える場合に、CPU21は、報知処理を行う例を示したが、報知せずに、入力値を下限値又は上限値のいずれか近い方の値に自動的に変更し、記憶部24に登録する処理を行っても良い。
【0052】
[手前側位置、成果物の数の算出]
「奥側位置X2」及び「仕上がりサイズY2」の値が設定されると、CPU21は、「手前側位置A2」、「成果物の数N2」の算出を行う。
図9に示す断裁位置に関するパラメータの設定時のCPU21の処理を示したフローチャートを参照して算出処理を説明する。
【0053】
「用紙サイズL2」、「奥側位置X2」及び「仕上がりサイズY2」の値が設定されると、CPU21は、これらの設定値と、「ドブ断ち幅Z2」の固定値とから、CPU21は、まず、「成果物の数N2」の算出を行う(ステップS21)。
図4から分かるように、「成果物の数N2」は、「用紙サイズL2」、「奥側位置X2」、「仕上がりサイズY2」、「ドブ断ち幅Z2」との間で次式(1)の関係が成立する。
X2+Y2×N2+Z2×(N2-1)<L2 (1)
N2<(L2+Z2-X2)/(Y2+Z2) (2)
【0054】
式(1)を展開した上式(2)を満たす最大の「成果物の数N2」の値を算出する。但し、N2は正の整数であるため、上式(2)で求まるN2の値を小数点第一位で切り捨てた値をN2とする。
「成果物の数N2」が算出されると、次式(3)が成立するので、「手前側位置A2」を算出することができる(ステップS23)。
A2=L2-(X2+Y2×N2+Z2(N2-1)) (3)
【0055】
「手前側位置A2」が算出されると、CPU21は、「手前側位置A2」の算出値が予め定められた「手前側位置A2」の下限値以上であるかを判定する(ステップS25)。
「手前側位置A2」の下限値は、前述した「奥側位置X2」と同様に、良好な断裁を行うことが可能な幅が確保できる下限値(実際の下限値に幾分余裕を持たせたより大きな値を含む)が記憶部24に用意されている。例えば、手前側位置A2の下限値は、8[mm]に設定されている。
【0056】
なお、用紙Pの手前側の端部において断裁を実行する限りには、上記下限値以上とする必要があるが、「用紙サイズL2」、「奥側位置X2」及び「仕上がりサイズY2」のそれぞれの値によっては、「手前側位置A2」の算出値0[mm]となる場合がある。「手前側位置A2」が0[mm]とは、即ち、用紙Pの手前側端部における搬送方向Fに沿った断裁は行わないということを意味する。
従って、CPU21は、「手前側位置A2」の算出値が下限値に満たないと判定した場合、「手前側位置A2」の算出値が0[mm]か否かを判定する(ステップS27)。
そして、「手前側位置A2」の算出値が0[mm]である場合には、CPU21は、「手前側位置A2」の設定値が0[mm]であること、即ち、用紙Pの手前側の端部の断裁の実行が無しであることが記憶部24に登録される(ステップS35)。
【0057】
一方、ステップS27において、「手前側位置A2」の算出値が0[mm]でない場合には、手前側位置A2として下限値に満たない値が算出されたものとして、CPU21は、報知処理として
図5に示すエラーメッセージを表示し(ステップS29)、
図6に示す適正範囲外であったパラメータのハイライト表示を行う(ステップS31)。この場合、手前側位置A2は、ユーザーが任意に数値を設定するパラメータではなく、「奥側位置X2」、「仕上がりサイズY2」の設定値によって定まる数値なので、
図6に示す「奥側位置X2」に加えて「仕上がりサイズY2」がハイライト表示される。
つまり、「奥側位置X2」、「仕上がりサイズY2」のいずれか又は両方の数値を修正するようにユーザーを促す。
【0058】
一方、手前側位置A2の算出値が下限値以上であった場合には、CPU21は、手前側位置A2の算出値が上限値以下であるかを判定する(ステップS33)。
手前側位置A2の場合も奥側位置X2と同様に、断裁屑がFD断裁部33の下方にある排出口の搬送直交方向Cの幅よりも広いと、詰まりの原因となるため、断裁屑の幅は、排出口の搬送直交方向Cの幅と同じかこれよりも余裕を持って幾分小さい値とする必要がある。
手前側位置A2の上限値は、記憶部24に格納されている。例えば、手前側位置A2の上限値は、26[mm]に設定されている。
【0059】
手前側位置A2の算出値が上限値を超える場合には、下限値の場合と同様に、CPU21は、報知処理として
図5に示すエラーメッセージを表示し(ステップS29)、「奥側位置X2」、「仕上がりサイズY2」のハイライト表示を行う(ステップS31)。
一方、手前側位置A2の算出値が上限値以下であった場合には、CPU21は、手前側位置A2の算出値を設定値として記憶部24に登録する(ステップS35)。
【0060】
手前側位置A2の場合も、断裁位置が用紙Pの直進性に影響を及ぼすパラメータなので、上記「手前側位置A2」として設定された搬送直交方向Cにおける断裁を実行する位置の情報(下限値以上上限値以下とする設定値)も、第二負荷情報として、記憶部24に登録される。
また、用紙Pの搬送直交方向における一端部と他端部とにおける搬送方向に沿った断裁の有無も、用紙Pの直進性に大きく影響するので、上記「手前側位置A2」における断裁を実行しない情報(設定値0[mm])も、第二負荷情報として、記憶部24に登録される。
【0061】
また、上記「成果物の数N2」、「用紙サイズL2」、「奥側位置X2」、「仕上がりサイズY2」、「ドブ断ち幅Z2」が全て決定され、「成果物の数N2」が2以上となった場合、搬送直交方向Cにおける複数の成果物の分割位置であるドブ断ちの断裁が行われる位置も決定された状態となる。
【0062】
[断裁の禁止条件に基づく判断]
前述したように、後処理装置20は、二つの断裁の禁止条件が記憶部24に記憶されており、断裁作業に必要となる設定パラメータが全て取得されると、前述した第一負荷情報と第二負荷情報とにより、断裁の禁止条件に該当するか否かの判定が行われる。
一つ目の断裁の禁止条件は、用紙Pの奥側の端部側の断裁と用紙Pの手前側の端部側の断裁のいずれか一方のみ実行有りであることである。
また、二つ目の断裁の禁止条件は、用紙Pの奥側の端部の先端から奥側位置X2までの距離と用紙Pの手前側の端部の先端から手前側位置A2までの距離との距離差が許容範囲外であることである。
【0063】
以下、CPU21が実行する二つの断裁の禁止条件の判定処理について前述した
図5及び
図6を参照し、
図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0064】
まず、CPU21は、記憶部24に登録された第一負荷情報に「奥側位置X2」における断裁を実行しない情報(設定値0[mm])が含まれているか否かを判定する(ステップS41)。
このとき、第一負荷情報に「奥側位置X2」における断裁を実行しない情報(設定値0[mm])が含まれている場合には、第二負荷情報に「手前側位置A2」における断裁を実行しない情報(算出値0[mm])が含まれているか否かを判定する(ステップS43)。
そして、第二負荷情報にも「手前側位置A2」における断裁を実行しない情報(算出値0[mm])が含まれている場合には、用紙Pの奥側の端部と手前側の端部のいずれでも断裁は行われないが、禁止条件には該当せず、搬送直交方向Cについて複数に用紙を分割するドブ断ち幅Z2に従って行われるドブ断ちの断裁のみが実行される(ステップS45)。
【0065】
一方、ステップS43において、第二負荷情報に「手前側位置A2」における断裁を実行しない情報(算出値0[mm])が含まれていない場合には、断裁の禁止条件に該当し、断裁は実行されず、CPU21は、報知処理として
図5に示すエラーメッセージを表示し(ステップS47)、
図6に示す修正すべきパラメータのハイライト表示を行う(ステップS49)。この場合、
図5において、各種のパラメータが不適切であることが表示され、
図6の「奥側位置X2」に加えて「仕上がりサイズY2」がハイライト表示される。
【0066】
また、ステップS41において、第一負荷情報に「奥側位置X2」における断裁を実行しない情報(設定値0[mm])が含まれていない場合には、第二負荷情報に「手前側位置A2」における断裁を実行しない情報(算出値0[mm])が含まれているか否かを判定する(ステップS51)。
【0067】
そして、第二負荷情報に「手前側位置A2」における断裁を実行しない情報(算出値0[mm])が含まれている場合には、断裁の禁止条件に該当し、断裁は実行されず、CPU21は、報知処理として
図5に示すエラーメッセージを表示し(ステップS47)、
図6に示す修正すべきパラメータのハイライト表示を行う(ステップS49)。
【0068】
一方、ステップS51において、第二負荷情報に「手前側位置A2」における断裁を実行しない情報(算出値0[mm])が含まれていない場合には、第一負荷情報に含まれる「奥側位置X2」の設定値と第二負荷情報に含まれる「手前側位置A2」の設定値とに基づいて、用紙Pの奥側の端部の先端から奥側位置X2までの距離と用紙Pの手前側の端部の先端から手前側位置A2までの距離との距離差αが許容範囲外であるか否かが判定される(ステップS53)。
なお、上記距離差αの数値は、例えば、10[mm]であり、記憶部24に予め記憶されている。
【0069】
例えば、ステップS51において、上記距離差が許容範囲となる距離差αよりも大きい場合には、断裁の禁止条件に該当し、断裁は実行されず、CPU21は、報知処理として
図5に示すエラーメッセージを表示し(ステップS47)、
図6に示す修正すべきパラメータのハイライト表示を行う(ステップS49)。
これに対して、ステップS51において、上記距離差が距離差α以内である場合には、各設定パラメータに従って断裁が実行される(ステップS55)。
【0070】
[発明の実施形態の技術的効果]
画像形成システム100の後処理装置20は、設定入力部26により設定される用紙Pの断裁のパラメータから用紙Pの奥側の端部で行われる断裁による搬送負荷を示す第一負荷情報と用紙Pの手前側の端部で行われる断裁による搬送負荷を示す第二負荷情報とを取得する取得手段としてCPU21が機能し、第一負荷情報と第二負荷情報とに基づく断裁の禁止条件を記憶する記憶部24を備えている。
このため、用紙Pの搬送直交方向Cにおける奥側の搬送負荷と手前側の搬送負荷とによる搬送の直進性を阻害する要素が設定に含まれていた場合に、断裁の禁止条件によって、これを排除することができ、用紙Pが高い直進性を維持して断裁を行うことができ、高精度の断裁を行うことが可能となる。
【0071】
また、上記の断裁の禁止条件として、用紙Pの奥側の端部の断裁と手前側の端部の断裁のいずれか一方のみ実行されることとしている。
用紙Pの奥側と手前側とで、いずれか一方のみ断裁が行われると、奥側と手前側とで大きな搬送負荷の違いが生じるが、これを禁止するので、用紙Pが高い直進性を維持して断裁をおこなうことができ、高精度の断裁を行うことが可能となる。
【0072】
また、他の断裁の禁止条件として、用紙Pの奥側の端部の先端部から奥側位置X2までの距離と用紙Pの手前側の端部の先端部から手前側位置A2までの距離との距離差αが許容範囲外となることとしている。
用紙Pの奥側と手前側とで断裁が行われる位置が、それぞれの端部の先端から距離が大きく異なると、奥側と手前側とで大きな搬送負荷によるモーメントの違いが生じるが、これを禁止するので、用紙Pが高い直進性を維持して断裁をおこなうことができ、高精度の断裁を行うことが可能となる。
【0073】
また、後処理装置20は、奥側位置X2と仕上がりサイズY2とを設定する設定手段としての設定入力部26を備えているので、これらの数値を任意に設定することができ、設定作業を容易且つ迅速に行うことが可能となる。
さらに、取得手段としてのCPU21は、奥側位置X2と仕上がりサイズY2とから手前側位置A2を決定するので、手前側位置A2を測定や計算で求めて入力する必要がなく、設定作業を容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【0074】
さらに、取得手段としてのCPU21は、奥側位置X2と仕上がりサイズY2とから、搬送直交方向Cに並んで複数形成される場合の成果物の分割位置であるドブ断ちの断裁が行われる位置も決定された状態となるので、ドブ断ちの断裁が行われる位置を測定や計算で求めて入力する必要がなく、設定作業を容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【0075】
さらに、取得手段としてのCPU21は、搬送直交方向Cに成果物が並んで複数形成される場合でも、当該各成果物の搬送直交方向Cにおけるサイズである仕上がりサイズY2は一つのみが設定されるため、複数の成果物についていずれも等しい仕上がりサイズY2が採用されるので、全ての成果物の搬送直交方向Cの幅が等しくなるように分割位置を含む各種のパラメータが決定される。
これにより、成果物が奇数でも偶数でも用紙Pを分割する断裁位置が搬送直交方向C方向について略対称となり、搬送直交方向Cの奥側と手前側との搬送負荷のバランスが取られ、用紙Pが高い直進性を維持して断裁を行うことができ、高精度の断裁を行うことが可能となる。
【0076】
また、後処理装置20は、断裁の禁止条件に該当する場合に報知する報知手段して機能する設定入力部26を備えるため、用紙Pの直進性を阻害する設定を報知して、修正を促すことができ、用紙Pが高い直進性を維持して断裁を行い、高精度の断裁を行うことが可能となる。
【0077】
[その他]
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る後処理装置及び画像形成システムの例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0078】
また、上述した後処理装置20のCPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、設定入力部26を、画像形成装置10のCPU11、ROM12、RAM13、記憶部14、操作表示部18と共用化し、共用化したこれらの構成により、後処理装置20の断裁に関する各種パラメータの設定における処理や断裁の禁止条件の該当を判断する処理を実行する構成としても良い。
【0079】
また、画像形成装置10や後処理装置20に外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理端末を接続し、当該情報処理端末が上述した後処理装置20のCPU21が行った処理を行ってもよい。また、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末に設けられたキーボードやマウス等の入力インターフェイスにより、断裁の各種パラメータの入力を行ってもよい。
その場合、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末を含む構成を画像形成システムと見なしても良い。
【0080】
また、上記後処理装置20では、CPU21が取得手段とし機能することで、手前側位置A2を算出する構成を例示したが、手前側位置A2を設定入力部26により任意の数値に設定入力可能としてもよい。その場合、入力値について、CPU21が、上限値と下限値の範囲を満たすか及び断裁の実行の有無を判定することが好ましい。
【0081】
また、上記各実施の形態では、シートとして用紙Pを用いた場合について説明したが、シートの素材は紙に限定されるものではなく、シート状の樹脂等であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 画像形成装置
11 CPU
14 記憶部
17 画像形成部
18 操作表示部
20 後処理装置
21 CPU(取得手段)
24 記憶部(記憶手段)
26 設定入力部
30 カット装置(断裁手段)
31~33 FD断裁部
34 CD断裁部
100 画像形成システム
A2 手前側位置
C 搬送直交方向
F 搬送方向
P 用紙(シート)
X2 奥側位置
Y2 仕上がりサイズ(搬送方向に直交する方向におけるサイズ)
Z2 ドブ断ち幅
α 距離差