(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240110BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 303
B41J2/16 517
B41J2/16 303
(21)【出願番号】P 2019223328
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】濱野 光
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-043425(JP,A)
【文献】特開2012-016848(JP,A)
【文献】特開2012-025119(JP,A)
【文献】特開2014-226788(JP,A)
【文献】特開2016-043484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルと複数の駆動壁とが交互に配置された複数のチャネル列を有するヘッドチップと、
複数の前記チャネルに個別に設けられ、前記駆動壁に電圧を印加するための接続電極と、
を備え、
前記チャネル列の複数の前記チャネルは、インク吐出を行う吐出チャネルとインク吐出を行わない不吐出チャネルとが交互に並んで構成され、
複数の前記チャネル列に対して交差する方向に並んだ複数の前記不吐出チャネルの前記接続電極を電気的に接続する結合部を備え、
全ての前記チャネルの前記接続電極が、前記チャネル列に対して交差する方向について、同一側に延びていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
複数のチャネルと複数の駆動壁とが交互に配置された複数のチャネル列を有するヘッドチップと、
複数の前記チャネルに個別に設けられ、前記駆動壁に電圧を印加するための接続電極と、
を備え、
前記チャネル列の複数の前記チャネルは、インク吐出を行う吐出チャネルとインク吐出を行わない不吐出チャネルとが交互に並んで構成され、
複数の前記チャネル列に対して交差する方向に並んだ複数の前記不吐出チャネルの前記接続電極を電気的に接続する結合部を備え、
前記不吐出チャネルの前記接続電極の単位長さあたりの抵抗値が、前記吐出チャネルの前記接続電極の単位長さあたりの抵抗値よりも小さいことを特徴と
するインクジェットヘッド。
【請求項3】
複数のチャネルと複数の駆動壁とが交互に配置された複数のチャネル列を有するヘッドチップと、
複数の前記チャネルに個別に設けられ、前記駆動壁に電圧を印加するための接続電極と、
を備え、
前記チャネル列の複数の前記チャネルは、インク吐出を行う吐出チャネルとインク吐出を行わない不吐出チャネルとが交互に並んで構成され、
複数の前記チャネル列に対して交差する方向に並んだ複数の前記不吐出チャネルの前記接続電極を電気的に接続する結合部を備え、
前記ヘッドチップに取り付けられ、前記吐出チャネルの前記接続電極に電気的に接続される配線と前記不吐出チャネルの前記接続電極に電気的に接続される配線とが形成された配線基板を備えることを特徴と
するインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記結合部は、前記配線基板に形成された複数の前記不吐出チャネルの前記接続電極に渡って接続される配線からなることを特徴とする
請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
全ての前記接続電極及び前記結合部は、同一平面上に形成されていることを特徴とする
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
それぞれの前記チャネル列の同数の前記不吐出チャネルの前記接続電極が前記結合部により電気的に接続されていることを特徴とする
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記チャネル列に沿って並んだ前記吐出チャネルと前記不吐出チャネルとの間隔が85[μm]以上であることを特徴とする請求項1から
請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記結合部は、全ての前記チャネル列に渡ってそれぞれの前記不吐出チャネルの前記接続電極を電気的に接続することを特徴とする請求項1から
請求項7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
前記結合部が、当該結合部により電気的に接続された複数の前記不吐出チャネルの前記接続電極を同電位とする構造であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項10】
複数の前記結合部が、全ての前記不吐出チャネルの前記接続電極を同電位とする構造であることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド。
【請求項11】
請求項1
又は請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
全ての前記吐出チャネルの前記接続電極と全ての前記不吐出チャネルの前記接続電極と前記結合部とを同一工程で形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出(射出)して、記録媒体上に画像形成を行うインクジェットヘッドは、ノズルに通じる各チャネルのアクチュエータの駆動電極の配線を外部まで引き出す場合に、チャネル間の空いたスペースを利用して配線を設けていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他のインクジェットヘッドは、ノズルに通じる吐出チャネルとノズルに通じていない不吐出チャネルとが交互に並んだチャネル列を複数列有しており、不吐出チャネルのアクチュエータの駆動電極をチャネル列に沿って設けられた共通配線にまとめて接続して配線の省スペース化を図っていた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、さらに他のインクジェットヘッドは、ノズルに通じるチャネルが並んだチャネル列を複数列有しており、チャネル列に交差する方向に設けられた配線を積層状態に形成することで配線の省スペース化を図っていた(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5846201号公報
【文献】特許第6205837号公報
【文献】特許第6190837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のインクジェットヘッドでは、ノズルの高密度化に伴い配線スペースの確保が困難となり、配線幅を狭くする必要があるため、大きな電流を流すと断線や発熱が生じるおそれがあった。
また、特許文献2のインクジェットヘッドは、共通配線により配線スペースの確保は容易となるが、共通配線がチャネル列に沿って設けられているため配線長が長くなり、チャネル列の一端部側のチャネルと他端部側のチャネルとで配線の抵抗が大きく異なり、液滴の吐出速度にバラつきが生じるおそれがあった。
また、特許文献3のインクジェットヘッドは、配線を積層化するため、製造難易度が高くなるという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、配線を効率的に設け、良好な吐出が可能なインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のインクジェットヘッドは、
複数のチャネルと複数の駆動壁とが交互に配置された複数のチャネル列を有するヘッドチップと、
複数の前記チャネルに個別に設けられ、前記駆動壁に電圧を印加するための接続電極と、
を備え、
前記チャネル列の複数の前記チャネルは、インク吐出を行う吐出チャネルとインク吐出を行わない不吐出チャネルとが交互に並んで構成され、
複数の前記チャネル列に対して交差する方向に並んだ複数の前記不吐出チャネルの前記接続電極を電気的に接続する結合部を備えている。
そして、全ての前記チャネルの前記接続電極が、前記チャネル列に対して交差する方向について、同一側に延びていることを特徴とする
または、前記不吐出チャネルの前記接続電極の単位長さあたりの抵抗値が、前記吐出チャネルの前記接続電極の単位長さあたりの抵抗値よりも小さいことを特徴とする。
または、前記ヘッドチップに取り付けられ、前記吐出チャネルの前記接続電極に電気的に接続される配線と前記不吐出チャネルの前記接続電極に電気的に接続される配線とが形成された配線基板を備えることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、
全ての前記吐出チャネルの前記接続電極と全ての前記不吐出チャネルの前記接続電極と前記結合部とを同一工程で形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配線を効率的に設け、良好な吐出が可能なインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【
図2】インクジェットヘッドにおけるヘッドチップの部分背面図である。
【
図4】インクジェットヘッドの製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2の実施の形態のインクジェットヘッドのヘッドチップの背面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態のインクジェットヘッドの配線基板の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
図面を参照して本発明に係る第1の実施の形態について説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
本実施形態は、インクジェット記録装置のヘッドユニットに搭載されるインクジェットヘッド100に関する。
【0013】
図面を参照して、インクジェットヘッド100の構成を説明する。
図1は、本実施の形態のインクジェットヘッド100の分解斜視図である。
図2は、インクジェットヘッド100におけるヘッドチップ1の部分背面図である。なお、
図1、
図2においてヘッドチップ1と配線基板3との間に存在する接着剤は図示省略している。
【0014】
図1に示すように、インクジェットヘッド100は、せん断モード(シェアモード)型のインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド100は、ヘッドチップ1、ヘッドチップ1の前面1aに接合されるノズル基板としてのノズルプレート2、ヘッドチップ1の後面1bに接合される配線基板3、配線基板3の端部3aに接続されるFPC(Flexible Printed Circuit:フレキシブル基板)4、配線基板3の後面に接合されるインクマニホールド(共通インク室)(図示略)などを備える。
【0015】
ヘッドチップ1は、六面体からなり、A列、B列の2列のチャネル列を有している。ここでは、
図2に示す下側のチャネル列をA列又はチャネル列Aとし、上側のチャネル列をB列又はチャネル列Bとする。各チャネル列は、それぞれ吐出チャネル11A,11Bと不吐出チャネル12A,12Bとが交互に配置されることによって構成されている。隣り合う吐出チャネル11A又は11Bと不吐出チャネル12A又は12Bとの間の隔壁は、圧電素子からなる駆動壁13となっている。駆動壁13の圧電素子は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)である。
【0016】
ヘッドチップ1とノズルプレート2とは、接着剤により接着されている。この接着剤は、液状で塗布して加熱や紫外線照射によって硬化が可能な接着剤とし、例えば、有機物としてフッ素系化合物やフッ素系樹脂を有する。
【0017】
各吐出チャネル11A,11B及び各不吐出チャネル12A,12Bは、ヘッドチップ1を貫通して前面1aと後面1bとにそれぞれ開口しており、前面1aと後面1bとに亘るストレート状に形成されている。
各チャネル列A,BにおけるX軸方向におけるチャネルピッチPは、例えば、いずれも85[μm]に設定されている。なお、この数値は一例であり、変更可能である。例えば、チャネルピッチPは、85[μm]以上212[μm]以下の範囲で変更してもよい。
【0018】
各吐出チャネル11A,11B内及び各不吐出チャネル12A,12B内に臨んでいる壁面のうちの少なくとも駆動壁13の表面には、駆動電極14がそれぞれ形成されている。
ヘッドチップ1は、各チャネル列において吐出チャネル11A,11Bと不吐出チャネル12A,12Bとが相互に配置される独立駆動型のヘッドチップであり、各駆動電極14に所定電圧の駆動信号を印加することによって、1対の駆動電極14,14に挟まれた駆動壁13をせん断変形させる。これによって吐出チャネル11A,11B内に供給されたインクに吐出のための圧力変化を与え、ヘッドチップ1の前面1aに接合されたノズルプレート2のノズル21からインク滴として吐出させる。
不吐出チャネル12A,12Bを設けることで、不吐出チャネル12A,12Bを介して隣り合う吐出チャネル11A,11Bのそれぞれ駆動壁13のせん断変形の影響が互いに抑制されるので、隣り合う吐出チャネル11A,11Bの同時の吐出を行うことも可能となる。
【0019】
図1~
図3に示すように、インクジェットヘッド100において、互いに垂直な3つの軸として、X軸、Y軸、Z軸をとる。X軸は、ヘッドチップ1の長手方向のノズル21の配列方向である。また、X軸は、A列、B列の各チャネル列におけるチャネルの並び方向とも一致する。
ノズルプレート2におけるノズル21が配置されてインクが吐出される側のXY平面を「前面(ノズル面)」、その反対側の平面を「後面」と定義する。
また、ヘッドチップ1の前面1aと後面1bは、いずれもXY平面に平行であり、ヘッドチップ1の前面1aはノズルプレート2の後面に対向して接合され、ヘッドチップ1の後面1bは、配線基板3の前面に対向して接合される。
【0020】
また、吐出チャネルとは、画像記録時に画像データに応じてインク吐出を行うチャネルであり、不吐出チャネルとは、画像データに関わらず常にインク吐出を行わないチャネルである。不吐出チャネル12A,12Bはインク吐出を行う必要がないため、通常、インクが充填されないか、ノズルプレート2にノズル21が形成されず、不吐出チャネル12A,12Bの後方開口部は、配線基板3によって閉塞される。本実施の形態に示すノズルプレート2は、各吐出チャネル11A,11Bに対応する位置のみにノズル21が開設されている。
【0021】
ヘッドチップ1の後面1bには、吐出チャネル11A,11B及び不吐出チャネル12A,12Bに1対1に対応するように接続電極151A,151B及び152A,152Bが形成されている。各接続電極151A,151B,152A,152Bの一端(
図2における上端)は、対応する吐出チャネル11A,11B又は不吐出チャネル12A,12B内の駆動電極14と電気的に接続している。
【0022】
A列の吐出チャネル11A及び不吐出チャネル12Aに対応する各接続電極151A,152Aの他端(
図2における下端)は、各チャネル11A,12A内からヘッドチップ1の後面1bにおける一方の端縁1cに向けて延び、端縁1cとの間に間隔をあけて止まっている。また、B列の吐出チャネル11B及び不吐出チャネル12Bに対応する各接続電極152B,152Bの他端(
図2における下端)は、各チャネル11B,12B内からA列側に向けて延び、該A列のチャネル列との間に間隔をあけて止まっている。従って、接続電極151A,151B,152A,152Bのいずれも、各チャネル11A,11B,12A,12Bから同一方向に向けて延びている。
【0023】
そして、チャネル列Aにおけるそれぞれの不吐出チャネル12Aの接続電極152Aは、当該不吐出チャネル12Aに対してY軸方向(チャネル列に交差する方向)に並んだチャネル列Bにおける不吐出チャネル12Bの接続電極152Bに対して、個別に、結合部16により電気的に接続されている。
つまり、チャネル列Aの各不吐出チャネル12Aの接続電極152Aは、Y軸方向について隣に位置するチャネル列Bの不吐出チャネル12Bの接続電極152Bと、結合部16により個別に連結されている。
このため、不吐出チャネル12Aの接続電極152Aと不吐出チャネル12Bの接続電極152Bとが直接的に導通され、これらの電圧を同電位に維持することができる。また、不吐出チャネル12Aの接続電極152Aと不吐出チャネル12Bの接続電極152Bとに対する駆動回路との接続を行う配線経路を一本に共用化することが可能となる。
【0024】
各結合部16は、接続電極151A,151B,152A,152Bと同様に薄膜状の導体であり、その一端部が接続電極152Bに直接連結されており、その他端部は不吐出チャネル12A内の駆動電極14を介して接続電極152Aと連結されている。これら各結合部16及び全ての接続電極151A,151B,152A,152Bは、同一平面(ヘッドチップ1の後面1b)上に形成されている。
また、結合部16を設けることで、不吐出チャネル12Aの駆動電極14と不吐出チャネル12Bの駆動電極14とは、電流の経路が共用化されるので、個々に経路が設けられる吐出チャネル11A,11Bの駆動電極14の接続電極151A,151Bに比べて、接続電極152A,152B及び結合部16の単位長さ当たりの電気抵抗値が小さく設定されている。単位長さとは、電流が流れる方向の単位長さであり、具体的には、接続電極151A,151Bよりも、接続電極152A,152B及び結合部16の方が膜厚が厚く設定されている。或いは、接続電極152A,152B及び結合部16の形成幅を接続電極151A,151Bよりも広くしてもよい。
【0025】
図3は、配線基板3を前面側から見た図である。配線基板3は、
図1及び
図3に示すように、接合領域31を確保する観点からヘッドチップ1の後面1bの面積よりも大きな面積を有する平板状の基板であることが好ましく、その前面が接着剤を介してヘッドチップ1の後面1bに接合されている。接合後の配線基板3の少なくとも一つの端部3aは、ヘッドチップ1が接合される接合領域31の外側に延びており、ヘッドチップ1のチャネル列の並び方向に沿う側方(Y軸方向)に大きく張り出していることが好ましい。
【0026】
なお、この接合領域31は、配線基板3の前面が、接合されたヘッドチップ1によって覆われる領域であり、ヘッドチップ1の後面1bの外周縁から配線基板3に垂下した線によって規定される。
【0027】
配線基板3の材質は、ガラス、セラミックス、シリコン、プラスチックなどの適宜の材料を用いることができる。中でも適度に剛性を備え、安価で加工も容易である点でガラスが好ましい。
【0028】
配線基板3は、ヘッドチップ1の後面1bに配置される全てのチャネルを覆うように接合されるが、この配線基板3におけるヘッドチップ1の接合領域31内には、ヘッドチップ1の吐出チャネル11A,11Bに対応する位置のみに、配線基板3の背面側からインクを各吐出チャネル11A,11Bに供給するための貫通穴32A,32Bがそれぞれ個別に開設されている。各貫通穴32A,32Bは、各吐出チャネル11A,11Bの後面1b側の開口部と同一形状で形成しても良いし、異なる形状で形成しても良い。
【0029】
一方、配線基板3における不吐出チャネル12A,12Bに対応する部位にはこのような貫通穴が形成されていない。このため、不吐出チャネル12A,12Bは配線基板3によって塞がれている。
図3ではヘッドチップ1の各吐出チャネル11A,11Bの位置が各貫通穴32A,32Bに個別に合致するようにヘッドチップ1に配線基板3を接合した場合における不吐出チャネル12A,12Bの配置を二点鎖線で図示している。
【0030】
配線基板3のヘッドチップ1との接合面となる表面には、ヘッドチップ1の後面1bに配列されている各接続電極151A,151B,152A,152Bに対応するように配線電極33,34,35が形成されている。配線電極33は、A列のチャネル列の各吐出チャネル11Aの接続電極151Aに対して一対一で設けられ、配線電極34は、B列のチャネル列の各吐出チャネル11Bの接続電極151Bに対して一対一で設けられている。
これに対して、配線電極35は、Y軸方向に並んだA列のチャネル列の不吐出チャネル12Aの接続電極152AとB列のチャネル列の不吐出チャネル12Bの接続電極152Bの二つの接続電極とを一組として、当該一組に対して配線電極35が一つずつ設けられている。
【0031】
配線基板3の接合領域31にヘッドチップ1の後面1bが接合された状態において、配線電極33の一端は、対応する吐出チャネル11Aの接続電極151Aと重なり合っていると共に、他端は、配線基板3の同一の端部3aに向けて延びている。また、配線電極34の一端は、対応する吐出チャネル11Bの接続電極151Bと重なり合っていると共に、他端は、配線基板3の端部3aに向けて延びている。
【0032】
また、配線電極35の一端は、対応する不吐出チャネル12Bの接続電極152Bと重なり合っていると共に、他端は、配線基板3の同一の端部3aに向けて延びている。そして、配線電極35は、一端から他端に向かう途中において、不吐出チャネル12Aの接続電極152Aと重なり合うように経由した形状となっている。
つまり、各配線電極35も、二つのチャネル列A,Bに対してY軸方向に並んだ二つの不吐出チャネル12A,12Bのそれぞれの接続電極152A,152Bを電気的に接続する結合部として機能する。
なお、配線電極35は、配線基板3にチャネル列Aの全不吐出チャネル12Aと同数(チャネル列Bの全不吐出チャネル12Bも同数)形成されており、これら各配線電極35が、チャネル列Aの全不吐出チャネル12Aとチャネル列Bの全不吐出チャネル12Bとを個別に電気的に接続している。
【0033】
そして、配線基板3の表面には、接合領域31の内側から端部3aにかけて、配線電極33,34,35がX軸方向に順番に繰り返されるように並設されている。
配線電極33~35、駆動電極14、接続電極151A,151B,152A,152Bは、アルミ製であるものとするが、これに限定されるものではなく、銅など、他の金属製としてもよい。
【0034】
各配線電極33~35は、薄膜状の導体である。
そして、結合部16を設けることにより、或いは、配線電極35が結合部として機能することにより、不吐出チャネル12Aの駆動電極14と不吐出チャネル12Bの駆動電極14とは、電流の経路となる配線電極35が共用化されるので、個々に経路が設けられる吐出チャネル11A,11Bの駆動電極14の接続電極151A,151Bの配線電極33,34に比べて、単位長さ当たりの電気抵抗値が小さく設定されている。単位長さとは、電流が流れる方向の単位長さであり、具体的には、配線電極33,34よりも、配線電極35の方が膜厚を厚く設定している。或いは、配線電極35の形成幅を配線電極33,34よりも広くしてもよい。
【0035】
配線基板3の端部3aには、外部配線部材の一例であるFPC4が、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)などを介して接続され、不図示の駆動回路との間を電気的に接続している。これにより、駆動回路からの所定電圧の駆動信号が、FPC4、配線基板3の各配線電極33~35、ヘッドチップ1の接続電極151A,151B,152A,152Bを介して、各チャネル11A,11B,12A,12B内の駆動電極14に印加されるようになっている。
【0036】
ヘッドチップ1と配線基板3との接合に使用される接着剤は、例えば、Au、Niなどの金属粒子や、樹脂粒子の表面に金属膜を被覆した粒子などの導電性粒子を含有させた導電性接着剤である。接着剤としては常温で硬化させる常温硬化型接着剤、加熱によって重合を促進させて硬化させる熱硬化型接着剤、紫外線などの活性エネルギー線の照射によって重合を促進させて硬化させる活性エネルギー線硬化型接着剤などを用いることができる。本実施の形態では、ヘッドチップ1と配線基板3との接合に用いる接着剤は、例えば、フッ素系樹脂を用いた導電性接着剤とするが、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などを用いた導電性接着剤としてもよい。
【0037】
次に、
図4を参照して、インクジェットヘッド100の製造方法を説明する。
図4は、インクジェットヘッドの製造方法を示すフローチャートである。
【0038】
図4を参照して、インクジェットヘッド100の製造方法を説明する。先ず、製造者は、駆動壁13の材料として圧電素子(PZT)を用いて、せん断モード型のヘッドチップ1を作製する(ステップS11)。ステップS11では、ヘッドチップ1の後面に、該後面に配置される吐出チャネル11A,12A、不吐出チャネル12A,12Bを介して、内部の駆動電極14に電気的に接続する接続電極151A,152A,151B,152B及び結合部16が同一の工程で形成される。これらの形成は、例えば、リフトオフ法があげられる。ヘッドチップ1にドライフィルムをラミネート、露光、現像する。その後、蒸着やスパッタなどで全面に金属を成膜し、最後にドライフィルムを剥離することで、接続電極151A,152A,151B,152B及び結合部16に対応する所望のパターンが形成される。
【0039】
そして、製造者は、透明なガラス製などの基板に、ヘッドチップ1の吐出チャネル11A,11Bに対応する位置のみにインク流路孔としての貫通穴32A,32Bをブラスト加工によって形成するとともに、ヘッドチップ1の接続電極151A,152A,151B,152に対応する配線電極33~35を形成して、配線基板3を作製し、接着剤を用いて、ステップS11で作成されたヘッドチップ1に貼り合わせる(ステップS12)。
ヘッドチップ1と配線基板3とは、接続電極151A,152A,151B,152と配線電極33~35との位置が合わせられ、接着剤として例えばフッ素系化合物であるフッ素系樹脂としての信越化学工業社製「SIFEL2614」を介して均等な加圧接着により貼り合せられ、図示しない接着層が形成される。
【0040】
また、製造者は、例えばシリコンウエハにドライエッチングプロセスでノズル穴及び外形を加工して、ノズル21を有する基材部を形成する(ステップS13)。ここでは、基材部の材料を、シリコンとするが、SUS(Steel Use Stainless)、ニッケルなどの金属材料としてもよい。そして、製造者は、ステップS13で形成された基材部に、撥液処理剤として撥液処理剤として例えばフッ素系化合物であるオプツール(ダイキン工業社製)をディップ塗布し、全面に撥液層を形成し、前面(ノズル面)側をテープで保護し、後面の撥液層をプラズマ処理で除去してテープを剥離し、撥液層を有するノズルプレート2を作製する(ステップS14)。
【0041】
そして、製造者は、ステップS12で作製された配線基板3が貼り合わされたヘッドチップ1の前面に、接着剤(例えば信越化学工業社製「SIFEL2614」)を塗布し、ステップS14で作製されたノズルプレート2の後面を位置合わせしながら貼り合わせ、接着剤を加熱硬化して接合し、接着層を有するインクジェットヘッド100を作製する(ステップS15)。
【0042】
そして、製造者は、インクジェットヘッド100の配線基板3の前面の配線電極33~35と、第3の部材としてのFPC4の配線電極とを位置合わせして、AFC(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)を用いた加熱圧着接合を実施し、また配線基板3の後面に第2の部材としてのインクマニホールド(図示略)を接合してインクジェットヘッド100を作製し(ステップS16)、第1のインクジェット製造処理を終了する。
【0043】
このように形成されたインクジェットヘッド100は、不図示の駆動回路により、ヘッドチップ1の全ての不吐出チャネル12A,12Bの接続電極152A,152Bが配線基板3の配線電極35を通じてグランド接続又は定電圧を印加する電源に接続され、吐出対象となる吐出チャネル11A,11Bの接続電極151A,151Bに対して配線基板3の配線電極33,34を通じて所定電圧パルスの駆動信号が印加されることにより、液滴の吐出を行うことができる。
【0044】
[発明の実施形態における技術的効果]
以上のように、上記インクジェットヘッド100は、ヘッドチップ1のチャネル列A,Bに対してY軸方向に並んだ二つの不吐出チャネル12A,12Bの接続電極152A,152Bを結合部16により電気的に接続しているので、二つの不吐出チャネル12A,12Bに対して個別に配線を行う必要がなくなり、配線の省スペース化を図ることが可能となる。
図5は、インクジェットヘッド100が結合部16を有しておらず、不吐出チャネル12A,12Bに対して個別に接続される配線電極35a,35bを有する配線基板の例を示した正面図である。
図3の配線基板3と比較した場合、
図5の配線基板は、配線電極の本数が多大となり、十分な配線スペースを得ることが困難である。
これに対して、
図3の配線基板3は、配線電極の本数が低減され、配線スペースを容易に確保することが可能であるため、チャネルピッチ(ノズルピッチと一致)を密にすることが可能となり、ノズルの高密度化の実現を図ることが可能となる。
また、十分な配線スペースを確保可能であるため、より大きな電流を流した場合でも断線や発熱を抑制することが可能となる。
【0045】
また、チャネル列方向に交差するY軸方向に並んだ二つの不吐出チャネル12A,12Bを電気的に接続するので、接続長が冗長とならず、電気抵抗のバラつきの発生を抑制することが可能となる。
【0046】
また、インクジェットヘッド100では、全ての接続電極151A,152A,151B,152B及び結合部16が同一平面であるヘッドチップ1の後面1b上に形成されているので、電極が積層構造とならず、製造が容易となり、製造コスト低減を図ることが可能となる。
また、同様に、全ての接続電極151A,152A,151B,152Bに接続される配線基板3の全ての配線電極33~35も、基板前面側の同一平面に形成されているので、電極が積層構造とならず、製造が容易となり、製造コスト低減を図ることが可能となる。
【0047】
また、チャネル列Aとチャネル列Bとで、同数の不吐出チャネル12A,12Bが接続電極152A,152Bを結合部16により電気的に接続されているので、チャネル列Aとチャネル列Bとの間で、抵抗のバラつきが抑えられ、チャネル列ごとの吐出速度のバラつきの発生を抑制し、良好な吐出を実現することが可能となる。
【0048】
また、結合部16は、ヘッドチップ1が有する全てのチャネル列A,Bに渡ってそれぞれの不吐出チャネル12A,12Bの接続電極152A,152Bを電気的に接続しているので、一部のチャネル列の不吐出チャネルについて接続されないようなことが回避され、チャネル列A,Bごとに、抵抗のバラつきが抑えられ、チャネル列ごとの吐出速度のバラつきの発生を抑制し、良好な吐出を実現することが可能となる。
【0049】
また、各不吐出チャネル12A,12Bの接続電極152A,152Bの単位長さあたりの抵抗値が、吐出チャネル11A,11Bの接続電極151A,151Bの単位長さあたりの抵抗値よりも小さく設定されている。
このため、結合部16により、二つの接続電極152A,152Bの電流の経路が共用化される場合であっても、より大きな電流を流したときに断線や発熱を抑制することが可能となる。
また、各不吐出チャネル12A,12Bごとに抵抗のバラつきが抑えられ、各吐出チャネル11A,11Bにおける吐出の安定化を図ることが可能となる。
【0050】
また、各チャネル列A,Bに沿って並んだ吐出チャネル11A,11Bと不吐出チャネル12A,12Bとの間隔が85[μm]又はそれ以上としているが、このように、チャネルやこれに伴うノズルの高密度化を図った場合でもあっても、十分な配線スペースを得ることができ、より大きな電流を流した場合でも断線や発熱を抑制するので、高密度であって安定的な液滴の吐出を実現することが可能となる。
【0051】
また、ヘッドチップ1に取り付けられ、吐出チャネル11A,11Bの接続電極151A,151Bに電気的に接続される配線としての配線電極33,34と不吐出チャネル12A,12Bの接続電極152A,152Bに電気的に接続される配線としての配線電極35とが形成された配線基板3を備えている。
不吐出チャネル12A,12Bの接続電極152A,152Bについては、結合部16により、あるいは、配線電極35が接続電極152A及び152Bの双方に接続されることにより、配線電極の共用化を図っているので、配線電極33~35の本数が低減され、配線スペースを容易に確保することが可能である。さらに、これにより、チャネルピッチ(ノズルピッチと一致)を密にすることが可能となり、ノズルの高密度化の実現を図ることが可能となる。
また、十分な配線スペースを確保可能であるため、より大きな電流を流した場合でも配線基板3における断線や発熱を抑制することが可能となる。
【0052】
また、駆動回路による電圧印加又はグランド接続により、結合部16(又は配線電極35)が、これらに電気的に接続された二つの不吐出チャネル12A,12Bの接続電極152A,152Bを同電位とするので、吐出チャネル11A,11Bごとの吐出速度のバラつきの発生を抑制し、良好な吐出を実現することが可能となる。
さらに、複数の結合部16(又は配線電極35)を同電位とすることで、全ての不吐出チャネル12A,12Bの前記駆動部を同電位とするので、インクジェットヘッド100の全ての吐出チャネル11A,11Bについて吐出速度のバラつきの発生を抑制し、さらに良好な吐出を実現することが可能となる。
【0053】
また、上記インクジェットヘッド100は、ヘッドチップ製造工程において、全ての吐出チャネル11A,11Bの接続電極151A,151Bと全ての不吐出チャネル12A,12Bの接続電極152A,152Bと全ての結合部16とを同一工程で形成しているので、製造作業の手間と時間を低減し、その製造の容易化を実現することができる。
【0054】
[第2の実施の形態]
本発明に係る第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態では、ヘッドチップ及び配線基板の他の例について説明する。
図6はヘッドチップ1Aの背面図、
図7は配線基板3Aの正面図である。これらについて、ヘッドチップ1及び配線基板3と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0055】
ヘッドチップ1Aは、いずれもX軸方向に沿ったA列、B列、C列の3列のチャネル列を有し、これらはY軸方向に沿ってB列、A列、C列の順番に並んでいる。
チャネル列Cもまた、吐出チャネル11Cと不吐出チャネル12Cとが交互に配置され、隣り合う吐出チャネル11Cと不吐出チャネル12Cとの間の隔壁は、圧電素子からなる駆動壁となっている。
また、吐出チャネル11C及び不吐出チャネル12C内の駆動壁の表面には図示しない駆動電極が設けられ、ヘッドチップ1Aの背面には、駆動電極に電気的に接続された接続電極151C,152Cが接続電極151A,151B,152A,152Bと同程度の長さで同方向に延びて設けられている。接続電極151Cは、吐出チャネル11C内の駆動電極と接続され、接続電極152Cは、不吐出チャネル12C内の駆動電極と接続されている。
【0056】
そして、チャネル列Cの各不吐出チャネル12Cの接続電極152Cは、いずれも、Y軸方向(チャネル列に交差する方向)に沿って隣に位置するチャネル列Aの不吐出チャネル12Aの接続電極152Aに対して、個別に、結合部17により電気的に接続されている。
つまり、チャネル列A,B,Cの各不吐出チャネル12A,12B,12Cの接続電極152A,152B,152Cは、Y軸方向について隣に位置するもの同士が、結合部16,17により個別に連結されている。
このため、各不吐出チャネル12A,12B,12Cの接続電極152A,152B,152Cが直接的に導通され、これらの電圧を同電位に維持することができる。また、三つの接続電極152A,152B,152Cに対する駆動回路との接続を行う配線経路を一本に共用化することが可能となる。
【0057】
また、結合部17も結合部16と同様に薄膜状の導体であり、吐出チャネル11A,11B,11Cの駆動電極14の接続電極151A,151B,151Cに比べて、接続電極152C及び結合部17の単位長さ当たりの電気抵抗値が小さく設定されている。接続電極152C及び結合部17は膜厚を厚く、又は、形成幅を広くしてもよい。
【0058】
また、不吐出チャネル12A,12B,12Cの接続電極152A,152B,152Cは、結合部16,17により連結された三つの接続電極152A,152B,152Cを、X軸方向の隣で結合部16,17により連結された三つの接続電極152A,152B,152Cと、さらに結合部18によって電気的に接続されている。
この場合も、結合部18は、吐出チャネル11A,11B,11Cの駆動電極14の接続電極151A,151B,151Cに比べて、単位長さ当たりの電気抵抗値が小さくなるように、膜厚を厚く又は形成幅を広くしてもよい。
また、この結合部18は、
図2の二列のチャネル列A,Bを有するヘッドチップ1にも適用可能である。
【0059】
配線基板3Aは、
図7に示すように、貫通穴32A,32Bに加えて、ヘッドチップ1Aの吐出チャネル11Cに対応する位置に、インクを供給するための貫通穴32Cが開設されている。
【0060】
また、配線基板3Aの前面には、前述した配線電極33,34に加えて、ヘッドチップ1Aの接続電極151Cに一対一で接続される配線電極36が設けられている。
さらに、配線基板3Aの前面には、前述した配線電極35に替えて、結合部16~18によって接続された六つの接続電極152A~152Cを経由する配置で形成された配線電極37が設けられている。この配線電極37もその一端部が、配線基板3AにおけるFPC4と接続される端部まで延びている。
【0061】
この配線電極37も、三つのチャネル列A~Cに対してY軸方向に二列に並んだ六つの不吐出チャネル12A~12Cのそれぞれの接続電極152A~152Cを電気的に接続する結合部として機能する。
この配線電極37も、膜厚を厚くして、或いは、形成幅を広くして、配線電極33~35に比べて、単位長さ当たりの電気抵抗値が小さく設定されている。
【0062】
上記のヘッドチップ1A及び配線基板3Aを備えるインクジェットヘッドは、前述したインクジェットヘッド100と同一の効果を具備する。
さらに、ヘッドチップ1A及び配線基板3Aを備えるインクジェットヘッドは、チャネル列の本数がより多いヘッドチップ1Aの場合であっても、配線電極の本数が低減され、十分な配線スペースを確保可能であるため、より大きな電流を流した場合でも断線や発熱を抑制することが可能となる。
【0063】
また、ヘッドチップ1Aの他の例であるヘッドチップ1Bを
図8に示す。ヘッドチップ1Aでは、Y軸方向に沿った二列分の不吐出チャネル12A~12Cの接続電極152A~152Cを結合部16~18によって電気的に接続しているが、ヘッドチップ1Bのように、Y軸方向に沿った不吐出チャネル12A~12Cのより多くの列を接続してもよい。この
図8では、結合部16,17と結合部19とにより、ヘッドチップ1Bの全ての不吐出チャネル12A~12Cの接続電極152A~152Cを電気的に接続した例を示している。
【0064】
また、同様に、配線基板3Aの他の例である配線基板3Bを
図9に示す。
配線基板3Aでは、Y軸方向に沿った二列分の不吐出チャネル12A~12Cの接続電極152A~152Cを経由するように配置された配線電極37を例示したが、配線基板3Bのように、Y軸方向に沿った不吐出チャネル12A~12Cのより多くの列の接続電極152A~152Cと接続される配線電極38を設けてもよい。この
図9では、配線電極38がヘッドチップ1Bの全ての不吐出チャネル12A~12Cの接続電極152A~152Cと接続されるように配置された例を示している。
【0065】
上記のヘッドチップ1B及び配線基板3Bを備えるインクジェットヘッドは、さらなる、配線電極の低減を図り、十分な配線スペースを確保可能であるため、より大きな電流を流した場合でも断線や発熱を抑制することが可能となる。
【0066】
[その他]
なお、上記各実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る好適なインクジェットヘッド及びその製造方法の一例であり、これに限定されるものではない。以上の各実施の形態におけるインクジェットヘッドを構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
例えば、上記インクジェットヘッドは、ヘッドチップ1,1A,1B側に結合部16~19のいずれかを設け、配線基板3,3A,3B側にも結合部としての配線電極35,37又は38を設ける場合を例示したが、ヘッドチップ1,1A,1B側のみに結合部16~19のいずれかを設け、又は、配線基板3,3A,3B側にのみに結合部としての配線電極35,37又は38を設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B ヘッドチップ
2 ノズルプレート
3,3A,3B 配線基板
4 フレキシブル基板
11A,11B,11C 吐出チャネル
12A,12B,12C 不吐出チャネル
13 駆動壁
14 駆動電極
16~19 結合部
33~38 配線電極
100 インクジェットヘッド
151A,152A,151B,152B,151C,152C 接続電極
A,B,C チャネル列