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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240110BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G03G15/08 322B
G03G15/08 340
G03G15/08 349
G03G21/00 512
G03G21/00 386
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019225156
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021096275
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植栗 陽一
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-185926(JP,A)
【文献】特開2017-111231(JP,A)
【文献】特開2008-051864(JP,A)
【文献】特開2019-090868(JP,A)
【文献】特開2007-147684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/08
13/095
13/34
15/00
15/08
15/095
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成された像担持体と、
磁性トナーからなる一成分現像剤が貯留される現像容器と、前記現像容器内の前記トナーを担持するトナー担持体と、を有し、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に前記トナーを付着させてトナー像を形成する交換可能な現像装置と、
前記現像装置内のトナー量を検知するトナー量検知センサーと、
前記現像装置に補給するための前記トナーを貯留するトナー容器と、
前記トナー容器から前記現像装置への前記トナーの補給を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置において、
前記制御部は、
前記トナー量検知センサーの検知結果に基づいて前記トナー容器から前記現像装置へ前記トナーを補給する通常補給と、
前記通常補給よりも多量の前記トナーを前記トナー容器から前記現像装置へ補給するトナーインストールモードと、を実行可能であり、
前記制御部は、前記トナーインストールモードが選択されたとき、前記トナー容器から前記現像装置への前記トナーの補給を開始する前に、前記トナーインストールモードの実行に必要なトナー量T1と、前記トナー容器内のトナー残量T2とを算出し、T1>T2である場合は前記トナーインストールモードの実行を禁止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー容器を含む前記画像形成装置各部の状態を通知する通知装置を備え、
前記制御部は、T1>T2である場合は前記通知装置を用いて前記トナー容器の交換を促す通知を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ネットワークを介して通信可能な通信部を備え、
前記制御部は、T1>T2である場合は前記通信部を用いて交換用の前記トナー容器を自動発注することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像装置のトナー充填量の目標値および前記トナー容器の初期トナー貯留量が記憶された記憶部を備え、
前記制御部は、前記トナー充填量の目標値から前記トナー量検知センサー検知によって検知された前記現像装置内のトナー量を差し引いて前記トナー量T1を算出し、
前記初期トナー貯留量から印字動作により消費したトナー消費量を差し引いて前記トナー残量T2を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー消費量は、前記記憶部に記憶された前記トナー容器の使用開始時からの平均印字率と累積印字枚数とに基づいて算出されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に現像装置へのトナー補給が可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、磁性トナーのみからなる磁性一成分現像剤を用いる一成分現像式の画像形成装置においては、ユーザーが現像装置を交換する場合、トナーコンテナから新品の現像装置内にトナーを供給(インストール)する方式が知られている。また、トナー量検知センサーを有する画像形成装置においては、トナー量検知センサーの出力値に応じて、トナーコンテナから現像装置へのトナー供給量を制御する。
【0003】
一方、交換される現像装置は、低コスト化のためにICタグ等の個体判別機能を持たないものがある。このような現像装置では、現像装置が交換されたかどうか、或いは新品か中古品かの判別ができないため、現像装置内にトナーがある状態かどうかにかかわらず、トナー充填のためにトナーインストールモードが実行される。即ち、トナーインストールモードを起動させた際に新品の現像装置かどうかの確証が取れないため、現像装置の交換によって行われたトナーインストールモードかどうかの判別がつかない。
【0004】
そのため、例えば新品の現像装置のようにユニット内にトナーが無い状態においては、トナーコンテナからのトナー補給を必要とするが、現像装置内にトナーがある状態で使用する場合は、トナーの補給をほとんど必要としない。即ち、トナーインストールモードにおけるトナーの必要量は現像装置の使用状況によって変動する。
【0005】
特許文献1には、現像器と、インストール用トナー容器であるか交換用トナー容器であるかを示すデータと、残量関連項目の値を記憶するメモリーを含むトナー容器と、トナーを現像器に補給する補給部と、メモリーの読み書きを行う読み書き部と、印刷した枚数に応じて次第に残量関連項目の現在値を減らしてゆく制御部とを含み、インストール用トナー容器を取り付けた状態で現像器にトナーを充填するインストールを行ったとき、インストール後のトナー残量に基づく値を、インストール後にインストール用トナー容器が取り付けられたときインストール前のトナー残量に基づく値を、それぞれメモリーに記憶させるようにした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-15754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法を用いた場合、現像装置が空の場合はトナー容器内のトナーは減少するが、現像装置にトナーが充填されている場合はトナー容器内のトナーが減少しない。そのため、現像装置内のトナー量を検知する方法がない場合はトナー容器内のトナー残量が正しく計測されないという問題点があった。
【0008】
また、特許文献1の方法は、トナー容器の交換時における仕様を検知することで、トナー容器内のトナー残量の計算が正しく機能するように考案されたものである。この内容は、1つのトナー容器でトナーインストール用のトナーが賄えることを前提としているが、市場では、中古品のトナー容器を使用してトナーインストールが行われることもある。そのため、トナー容器内のトナーが全て現像装置に補給されたとしても、現像装置内のトナー量が規定量まで満たされない可能性がある。
【0009】
この場合、新たなトナー容器の準備を行う必要があるが、予備のトナー容器がない場合は、その時点からトナー容器を発注するため、現像装置内に中途半端に補給されたトナーは、追加のトナー容器が準備されるまでそのまま放置されることになる。この間に、例えば吸湿等のトナー帯電量が変化するような履歴が加わった場合、新たに準備されたトナー容器から補給されるトナーとの帯電量差が発生してしまうため、画像カブリや画像濃度低下等の問題が発生するおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、トナーインストールモードが中断されることによる現像装置内のトナーの吸湿、およびそれに伴う画像不良の発生を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、像担持体と、現像装置と、トナー量検知センサーと、トナー容器と、制御部と、を備えた画像形成装置である。像担持体は、表面に感光層が形成される。現像装置は、交換可能であって、磁性トナーからなる一成分現像剤が貯留される現像容器と、現像容器内のトナーを担持するトナー担持体と、を有し、像担持体の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。トナー量検知センサーは、現像装置内のトナー量を検知する。トナー容器は、現像装置に補給するためのトナーを貯留する。制御部は、トナー容器から現像装置へのトナーの補給を制御する。制御部は、トナー量検知センサーの検知結果に基づいてトナー容器から現像装置へトナーを補給する通常補給と、通常補給よりも多量のトナーをトナー容器から現像装置へ補給するトナーインストールモードと、を実行可能である。制御部は、トナーインストールモードが選択されたとき、トナーインストールモードの実行に必要なトナー量T1と、トナー容器内のトナー残量T2とを算出し、T1>T2である場合はトナーインストールモードの実行を禁止する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の構成によれば、トナー容器内のトナー残量がトナー容器から現像装置へのトナーインストールに必要なトナー量以上でなかった場合は、トナーインストールモードの実行が禁止されるため、画像形成装置がトナーインストールの途中で長時間放置されるおそれがなくなる。従って、トナーインストールの途中で現像装置内のトナーが吸湿することによる、トナーインストールの完了後における画像不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図
図2】本実施形態の画像形成装置100に用いられる現像装置16の側面断面図
図3】本実施形態の画像形成装置100の制御経路を示すブロック図
図4】本実施形態の画像形成装置100におけるトナーインストールモードの制御例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、画像形成装置(ここではモノクロプリンター)100は、本体下部に積載された用紙を収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体前方から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、ピックアップローラー5、フィードローラー6、中間搬送ローラー7、レジストローラー対8、画像形成部9、定着部10および排出ローラー対11が配置されている。
【0015】
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部に設けられた回動支点12aによって、給紙カセット2に対して回動可能に支持された用紙積載板12が備えられており、用紙積載板12に積載された用紙がピックアップローラー5に押圧される。また、給紙カセット2の前方部には、フィードローラー6に圧接するようにリタードローラー13が配設されている。ピックアップローラー5によって複数枚の用紙が同時に給送された場合には、フィードローラー6とリタードローラー13とによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送される。
【0016】
フィードローラー6とリタードローラー13とによって捌かれた用紙は、中間搬送ローラー7によって搬送方向を装置後方へと変えられてレジストローラー対8へと搬送され、レジストローラー対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと搬送される。
【0017】
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成する。画像形成部9は、図1において時計回り方向に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラー18および感光体ドラム14の上方に配置される露光装置(レーザー走査ユニット)19から構成されている。現像装置16の上方には必要に応じて現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。
【0018】
感光体ドラム14は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものである。感光層を形成する感光材料としては、アモルファスシリコン感光体や有機感光体(OPC感光体)が用いられる。帯電装置15としては、コロナ放電を用いたスコロトロン帯電装置や、帯電ローラーを用いた接触帯電式の帯電装置が用いられる。帯電装置15に所定の帯電電圧を印加することにより、感光体ドラム14の表面が所定の極性(トナーと同極性)および電位で一様に帯電される。
【0019】
次いで、パーソナルコンピューター(以下パソコンという)等の上位機器から入力された画像データに基づく露光装置19からのレーザービームにより感光体ドラム14上を露光して帯電を減衰させた静電潜像が形成される。そして、現像装置16により静電潜像にトナーを付着させて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成される。
【0020】
感光体ドラム14上に形成されたトナー像は、転写ローラー18により感光体ドラム14と転写ローラー18とのニップ部に形成された転写位置に供給された用紙へと転写される。トナー像が転写された用紙は、感光体ドラム14から分離されて定着部10に向けて搬送される。この定着部10は、用紙搬送方向に対し画像形成部9の下流側に配置されており、画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、定着部10に備えられた加熱ローラー21、およびこの加熱ローラー21に圧接される加圧ローラー22によって挟まれるとともに加熱され、用紙に転写されたトナー像が定着される。
【0021】
そして、画像形成部9および定着部10を通過した用紙は、排出ローラー対11によって排紙部3に排出される。一方、感光体ドラム14の表面に残留しているトナーはクリーニング装置17により除去される。そして、感光体ドラム14は帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることとなる。
【0022】
図2は、本実施形態の画像形成装置100に搭載される現像装置16の側面断面図である。現像装置16は、画像形成装置100に対し着脱可能であり、図2に示すように、磁性トナーから成る磁性一成分現像剤(以下、トナーという)が収容される容器本体31aと、容器本体31aに収容されたトナーが外部に漏れないように封止するカバー31bとから構成される現像容器31内に、第1攪拌搬送スクリュー32、第2攪拌搬送スクリュー33、現像ローラー35、規制ブレード36が備えられている。
【0023】
容器本体31aの内部は、長手方向に延在する仕切壁37によって第1貯留室38と第2貯留室39とに区画されており、第1貯留室38には第1攪拌搬送スクリュー32が、第2貯留室39には第2攪拌搬送スクリュー33がそれぞれ配設されている。また、仕切壁37は、容器本体31aの長手方向(紙面と垂直な方向)の両端部には設けられておらず、この部分が第1貯留室38と第2貯留室39の間をトナーが移動する連通路となっている。
【0024】
第1攪拌搬送スクリュー32および第2攪拌搬送スクリュー33は、それぞれ回転軸32a、33aと、回転軸32a、33aの外周面に一体形成された螺旋羽根32b、33bとで構成されており、互いに略平行となるように容器本体31a内に回転可能に軸支されている。そして、第1攪拌搬送スクリュー32および第2攪拌搬送スクリュー33が所定方向に回転することによって第1貯留室38および第2貯留室39内のトナーを循環搬送する。また、トナー量検出センサー40(図3参照)の検出結果に応じて容器本体31a内にトナーを補給できるように、カバー31bにはトナーコンテナ20(図1参照)からトナーが供給されるトナー補給口(図示せず)が設けられている。
【0025】
現像ローラー35は、第1攪拌搬送スクリュー32および第2攪拌搬送スクリュー33と略平行となるように第1貯留室38内に回転可能に軸支されている。この現像ローラー35の内部には複数の磁極を有する永久磁石から成るマグネットローラー(図示せず)が固定されており、感光体ドラム14の回転に応じて現像ローラー35が回転すると、このマグネットローラーの磁力により現像ローラー35の表面にトナーが付着(担持)されてトナー層が形成される。そして、所定の現像域において現像ローラー35に付着したトナーが、感光体ドラム14の表面電位と現像ローラー35に印加される現像電圧(例えば直流電圧Vdc=280V、交流電圧Vpp=1.7kV、周波数2.3kHz)との電位差により感光体ドラム14へと飛翔して感光層に付着し、感光体ドラム14表面にトナー像が形成される。
【0026】
規制ブレード36は、感光体ドラム14に供給するトナー量、すなわち現像ローラー35へのトナー付着量を規制するものであり、例えばSUS(ステンレス)等の磁性体が用いられる。規制ブレード36は、その先端と現像ローラー35との間に所定の隙間が形成されるように配設されており、この規制ブレード36と現像ローラー35との間隔および隙間に発生する磁界によって現像ローラー35へのトナー付着量が規制され、現像ローラー35の表面には数十ミクロンのトナー薄層が形成される。
【0027】
次に、画像形成装置100の制御経路について説明する。図3は、本実施形態の画像形成装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0028】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き可能な記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部80からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。制御部90は、画像形成装置100の内部の任意の場所に配置可能である。
【0029】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93には、後述するトナーインストールモードの実行時におけるトナー量T1、T2の算出に用いられる現像装置16内のトナー充填量の目標値(基準値)や、トナーコンテナ20の初期トナー貯留量、トナーコンテナ20の使用開始時からの平均印字率、累積印字枚数等も記憶されている。
【0030】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、給紙カセット2、定着部10、現像装置16、露光装置19、トナーコンテナ20、トナー量検知センサー40、トナー補給モーター41、電圧制御回路51、画像入力部60、操作部80、通信部83等が挙げられる。
【0031】
トナー量検知センサー40は、画像形成装置100内の現像装置16の装着部近傍に設けられており、現像装置16内のトナー量を検知する。トナー量検知センサー40の検知結果に応じて、トナーコンテナ20(図1参照)に貯留されたトナーが現像容器31のカバー31bに設けられたトナー補給口(図示せず)を介して現像容器31内に供給される。トナー量検知センサー40としては、現像装置16内におけるトナーの透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。なお、トナー量検知センサー40を現像装置16側に配置することもできる。
【0032】
また、後述するようにトナー量検知センサー40の検知結果に基づいてトナーインストールに必要なトナー量が算出されるため、トナー量検知センサー40は現像装置16内のトナー量を精度よく検知する必要がある。そのため、現像容器31の底部から上部に亘って検知範囲に含まれるような広い検知領域(検知面)を有するトナー量検知センサー40を用いることが好ましい。
【0033】
トナー補給モーター41は、トナーコンテナ20内に貯留されるトナーを現像装置16に所定の速度で補給する。本実施形態においては、トナー量検知センサー40により現像剤の透磁率を検出し、検出結果に相当する電圧値を制御部90に出力する。制御部90は、トナー量検知センサー40の出力値から現像装置16内のトナー量を決定し、決定されたトナー量に応じてトナー補給モーター41に制御信号を送信し、トナーコンテナ20から現像装置16に所定量のトナーを補給(通常補給)する。
【0034】
電圧制御回路51は、帯電電圧電源52、現像電圧電源53、転写電圧電源54と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源は電圧制御回路51からの制御信号によって、帯電電圧電源52は帯電装置15に、現像電圧電源53は現像装置16内の現像ローラー35に、転写電圧電源54は転写ローラー18に、それぞれ所定の電圧を印加する。
【0035】
画像入力部60は、パソコン等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部60より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0036】
操作部80には、液晶表示部81、各種の状態を示すLED82が設けられており、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。画像形成装置100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。
【0037】
その他、操作部80には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0038】
通信部83は、パソコン等の外部機器との間で、インターネットまたはLAN等の通信ネットワークを介して有線または無線によるデータ通信を行う。本実施形態では、後述するように通信部83は新品のトナーコンテナ20の発注データを配送センターや取扱店等に送信可能である。
【0039】
本実施形態の画像形成装置100では、現像装置16内のトナーが無くなった場合、現像装置16を取り外して未使用品の現像装置16に交換し、画像形成時にトナーを補給する場合(通常補給)よりも多量のトナーを現像装置16に供給する、トナーインストールモードを実行する。或いは、現像装置16が交換されていない場合であっても、例えばトナーコンテナ20が交換されて新たなトナーが補給されたときトナーの帯電状態を安定させるためにトナーインストールモードを実行することがある。このとき、現像装置16がICタグ等の個体判別機能を有していない場合は、現像装置16内のトナーが空である未使用品であるか否かが判別できない。
【0040】
また、トナーインストールモードは現像装置16内にトナーが所定量充填されるまで継続する必要がある。しかし、トナーコンテナ20内のトナー残量が少ない状態でトナーインストールモードが実行された場合、トナーコンテナ20内のトナーが全て現像装置16内に補給されたとしても、現像装置16内にトナーが所定量充填されず、トナーインストールモードが一時停止してしまう。その結果、トナーインストールが完了しない状態で画像形成装置100が長時間放置されることとなり、トナーコンテナ20を交換してインストールを終了した後に画像カブリや画像濃度低下等の不具合が発生するおそれがある。
【0041】
そこで、本実施形態においては、トナーインストールモードが選択されたとき、現像装置16へトナーを所定量充填するために必要なトナー量T1と、トナーコンテナ20内のトナー残量T2とを算出する。そして、トナーインストールに必要なトナー量T1がトナー残量T2よりも多い場合はトナーインストールモードの実行を禁止する。
【0042】
図4は、本実施形態の画像形成装置100におけるトナーインストールモードの制御例を示すフローチャートである。図1図3を参照しながら、図4のステップに沿ってトナーインストールの実行手順について説明する。
【0043】
先ず、制御部90は、トナーインストールモードが選択されたか否かを判定する(ステップS1)。トナーインストールモードが選択された場合は(ステップS1でYes)、トナー量検知センサー40により現像装置16内のトナー量を検知する(ステップS2)。トナー量検知センサー40の検知結果は制御部90に送信される。
【0044】
次に、制御部90は、検知された現像装置16内のトナー量に基づいて、トナーインストールに必要なトナー量T1を算出する(ステップS3)。トナー量T1は、RAM93(またはROM92)に記憶された現像装置16のトナー充填量の目標値から検知されたトナー量を差し引いて算出される。
【0045】
次に、制御部90は、トナーコンテナ20内のトナー残量T2を算出する(ステップS4)。トナー残量T2は、RAM93(またはROM92)に記憶されたトナーコンテナ20の使用開始時におけるトナー残量(初期トナー貯留量)から印字動作により消費したトナー量(トナー消費量)を差し引いて算出する。トナー消費量は、RAM93(またはROM92)に記憶されたトナーコンテナ20の使用開始時からの平均印字率と累積印字枚数とに基づいて算出される。
【0046】
次に、制御部90は、T1≦T2であるか否かを判定する(ステップS5)。T1≦T2である場合は(ステップS3でYes)、トナーコンテナ20内のトナー残量T2が現像装置16へのトナーインストールに必要なトナー量T1以上であるため、トナーコンテナ20から現像装置16にトナーを補給するトナーインストールモードを開始する(ステップS6)。
【0047】
その後、制御部90はトナーインストールが終了したか否か、即ち、トナーが規定のレベルまで補給されたことがトナー量検知センサー40により検知されたか否かを判定する(ステップS7)。トナーが規定のレベルまで補給されていない場合は(ステップS7でNo)トナーインストールを継続する。トナーが規定のレベルまで補給された場合は(ステップS7でYes)処理を終了する。
【0048】
一方、T1>T2である場合は(ステップS3でNo)、トナーコンテナ20内のトナー残量T2が現像装置16へのトナーインストールに必要なトナー量T1よりも少ないため、トナーインストールモードを開始せずに液晶表示部81にトナーコンテナ20内のトナー残量不足を表示する(ステップS8)。そして、通信部83により交換用のトナーコンテナ20を自動発注して(ステップS9)処理を終了する。
【0049】
上述した制御例によれば、トナーコンテナ20内のトナー残量がトナーコンテナ20から現像装置16へのトナーインストールに必要なトナー量以上でなかった場合は、トナーインストールの実行が停止されるため、画像形成装置100がトナーインストールの途中で長時間放置されるおそれがなくなる。そのため、トナーインストールの途中で現像装置16内のトナーが吸湿することによる、トナーインストールの完了後における画像不良の発生を抑制することができる。
【0050】
また、トナーコンテナ20内のトナー残量がトナーインストールに必要なトナー量以上でなかった場合は、液晶表示部81にトナーコンテナ20内のトナー残量不足が表示されるため、ユーザーにトナーコンテナ20の交換を促す通知を行うことができる。さらに、通信部83によって交換用のトナーコンテナ20を自動発注することにより、トナーコンテナ20の在庫管理の必要がなくなる。
【0051】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0052】
また、本発明は図1に示すモノクロプリンターに限らず、アナログ方式のモノクロ複写機や、ロータリー式或いはタンデム式のカラー複写機、カラープリンター、アナログ方式のモノクロ複写機等の複写機、ファクシミリ等の、トナーコンテナから一成分現像剤が補給される現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、着脱可能な現像装置へのトナー補給が可能な画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、トナーインストールモードが中断されることによる現像装置内のトナーの吸湿、およびそれに伴う画像不良の発生を抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
14 感光体ドラム(像担持体)
15 帯電装置
16 現像装置
20 トナーコンテナ(トナー容器)
40 トナー量検知センサー
80 操作部
81 液晶表示部(通知装置)
83 通信部
90 制御部
91 CPU
92 ROM(記憶部)
93 RAM(記憶部)
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4