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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/14 20060101AFI20240110BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240110BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H9/14
B65H7/02
G03G15/00 450
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019232722
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021100873
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】石田 浩高
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-031104(JP,A)
【文献】特開2012-144348(JP,A)
【文献】特開2015-196594(JP,A)
【文献】特開平06-234441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0246237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/14
B65H 7/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搬送路に配置され、回転することによりシートを搬送する一次ローラー対と、
前記シート搬送路における前記一次ローラー対の位置よりもシート搬送方向の下流側に配置され、回転することにより前記一次ローラー対から引き継いで前記シートを搬送する二次ローラー対と、
前記シート搬送路における前記二次ローラー対の位置よりも前記シート搬送方向下流側の位置で前記シートに画像を形成するプリント部と、
前記シート搬送方向における前記一次ローラー対の位置と前記二次ローラー対の位置との間の同じ位置であり、かつ、前記シート搬送方向に直交する幅方向において間隔を隔てた位置である第1検出位置および第2検出位置を前記シートの先端部が通過したシート通過状態を検出可能なシート検出装置と、
前記二次ローラー対を停止させた状態で前記一次ローラー対を回転させることにより前記シートに撓みを形成させつつ前記シートの先端を前記二次ローラー対に沿わせるスキュー補正制御を実行する搬送制御部と、を備え、
前記シート検出装置は、第1揺動部材、第2揺動部材、第3揺動部材およびセンサーを備え、
前記第1揺動部材は、
前記幅方向に延びる第1回転軸と、
前記第1回転軸から径方向に沿って前記第1検出位置へ突出し、前記シートに接触することで揺動する第1接触片と、
前記第1回転軸から径方向に沿って第1係止位置へ突出し、前記第1接触片とともに揺動する第1係止片と、を有し、
前記第2揺動部材は、
前記幅方向に延びる第2回転軸と、
前記第2回転軸から径方向に沿って前記第2検出位置へ突出し、前記シートに接触することで揺動する第2接触片と、
前記第2回転軸から径方向に沿って第2係止位置へ突出し、前記第2接触片とともに揺動する第2係止片と、を有し、
前記第3揺動部材は、
前記幅方向に沿う状態で回転可能に支持された第3回転軸と、
前記第3回転軸から前記第1係止位置の前記第1係止片に係止される位置へ延びて形成され、前記第1係止片が前記第1係止位置から揺動することにより前記第1係止片による係止が解除される第1被係止片と、
前記第3回転軸から前記第2係止位置の前記第2係止片に係止される位置へ延びて形成され、前記第2係止片が前記第2係止位置から揺動することにより前記第2係止片による係止が解除される第2被係止片と、
前記第3回転軸から基点位置へ延びて形成され、前記第1被係止片および前記第2被係止片の両方の係止が解除されることにより前記基点位置から終点位置へ変位する被検出片と、を有し、
前記センサーは、前記被検出片が前記基点位置から前記終点位置へ変位したことを前記シート通過状態として検出し、
前記搬送制御部は、前記スキュー補正制御を実行中に前記シート通過状態が前記シート検出装置により検出されてから予め定められた時間が経過した後に前記二次ローラー対を回転させる、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの斜行を矯正する機能を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、シートに画像を形成するプリント部を備える。前記画像形成装置において、シート搬送路に配置されたレジストローラー対は、前記シートを一時停止させることにより、前記プリント部へ向けて前記シートを搬送するタイミングを調節する。
【0003】
前記シートが、シート搬送方向に対して傾いた状態で前記レジストローラー対から前記プリント部へ搬送された場合、本来の向きに対して傾いた画像が前記シートに形成されてしまう。
【0004】
また、前記シート搬送方向に対する前記シートの傾きを検出するセンサーと、向き可変のローラー対とが前記シート搬送路に設けられることが知られている(例えば、特許文献1参照)。前記向き可変のローラー対の前記シート搬送方向に対する角度が前記シートの傾きに応じて変更される。これにより、前記シートの斜行が矯正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-027859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記画像形成装置において、極力簡易な構成により、前記シートに与えるダメージを抑制しつつ前記シートの斜行を矯正できることが望まれる。
【0007】
本発明の目的は、簡易な構成によってシートに与えるダメージを抑制しつつ前記シートの斜行を矯正できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、一次ローラー対と、二次ローラー対と、プリント部と、シート検出装置と、搬送制御部と、を備える。前記一次ローラー対は、シート搬送路に配置され、回転することによりシートを搬送する。前記二次ローラー対は、前記シート搬送路における前記一次ローラー対の位置よりもシート搬送方向の下流側に配置され、回転することにより前記一次ローラー対から引き継いで前記シートを搬送する。前記プリント部は、前記シート搬送路における前記二次ローラー対の位置よりも前記シート搬送方向下流側の位置で前記シートに画像を形成する。前記シート検出装置は、前記シート搬送方向における前記一次ローラー対の位置と前記二次ローラー対の位置との間の同じ位置であり、かつ、前記シート搬送方向に直交する幅方向において間隔を隔てた位置である第1検出位置および第2検出位置を前記シートの先端部が通過したシート通過状態を検出可能である。前記搬送制御部は、前記二次ローラー対を停止させた状態で前記一次ローラー対を回転させることにより前記シートに撓みを形成させつつ前記シートの先端を前記二次ローラー対に沿わせるスキュー補正制御を実行する。前記搬送制御部は、前記スキュー補正制御を実行中に前記シート通過状態が前記シート検出装置により検出されてから予め定められた時間が経過した後に前記二次ローラー対を回転させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成によってシートに与えるダメージを抑制しつつ前記シートの斜行を矯正できる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
図2図2は、実施形態に係る画像形成装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る画像形成装置におけるシート検出装置の第1揺動部材周辺部の側面図である。
図4図4は、実施形態に係る画像形成装置におけるシート検出装置の第2揺動部材周辺部の側面図である。
図5図5は、実施形態に係る画像形成装置におけるシート検出装置の正面図である。
図6図6は、実施形態に係る画像形成装置においてシート搬送路の検出位置を通過するシートを示す図である。
図7図7は、実施形態に係る画像形成装置に適用可能な第1応用例に係るシート検出装置の第1揺動部材周辺部の側面図である。
図8図8は、実施形態に係る画像形成装置に適用可能な第1応用例に係るシート検出装置の第2揺動部材周辺部の側面図である。
図9図9は、実施形態に係る画像形成装置に適用可能な第1応用例に係るシート検出装置の正面図である。
図10図10は、実施形態に係る画像形成装置に適用可能な第2応用例に係るシート検出装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る画像形成装置10は、シート9に画像を形成するプリント処理を実行可能な装置である。例えば、画像形成装置10は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置または複合機である。
【0013】
図1に示されるように、画像形成装置10は、シート収容部1、シート送出装置2、シート搬送装置3およびプリント装置4を備える。プリント装置4は、前記プリント処理を実行するプリント部の一例である。シート搬送装置3およびプリント装置4は、筐体である本体100に収容されている。
【0014】
シート送出装置2は、シート収容部1に収容されたシート9を1枚ずつ本体100内の搬送路300へ送り出す。搬送路300は、シート9の通路を成すシート搬送路である。
【0015】
シート搬送装置3は、シート送出装置2によって搬送路300へ送り出されたシート9を、搬送路300に沿って搬送する。図3~10において、D1はシート搬送方向を示す。
【0016】
シート搬送装置3において、複数組の搬送ローラー対31が、回転することによってシート9を搬送路300に沿って搬送し、さらに搬送路300から排紙トレイ101へシート9を排出する。
【0017】
プリント装置4は、搬送路300のプリント位置P00においてシート9に画像を形成する。本実施形態において、プリント装置4は、電子写真方式で前記プリント処理を実行する。そのため、プリント装置4は、光走査ユニット40、感光体41、帯電装置42、現像装置43、転写装置45、クリーニング装置46および定着装置47などを備える。
【0018】
ドラム状の感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の外周面を帯電させる。光走査ユニット40は、帯電した感光体41の外周面に静電潜像を書き込む。
【0019】
現像装置43は、前記静電潜像が形成された感光体41の外周面にトナーを供給することにより、前記静電潜像をトナー像へ現像する。なお、感光体41は像担持体の一例である。
【0020】
転写装置45は、搬送路300のプリント位置P00を通過するシート9に感光体41上の前記トナー像を転写する。定着装置47は、シート9に転写された前記トナー像を加熱しつつ加圧する。これにより、前記トナー像がシート9に定着する。
【0021】
画像形成装置10は、さらに制御装置8を備える。図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。
【0022】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。
【0023】
RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0024】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0025】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主制御部8a、搬送制御部8bおよびプリント制御部8cなどを含む。
【0026】
主制御部8aは、不図示の操作装置に対する操作に応じて各種の処理を開始させる開始制御などを実行する。搬送制御部8bは、シート搬送装置3を制御する。プリント制御部8cは、シート9の搬送に同期して、プリント装置4に前記プリント処理を実行させる。
【0027】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0028】
シート9が、搬送方向D1に対して傾いた状態でプリント位置P00へ搬送された場合、本来の向きに対して傾いた画像がシート9に形成されてしまう。そのため、シート9がプリント位置P00へ到達するまえに、シート9の斜行を矯正することが重要である。
【0029】
ところで、画像形成装置10において、極力簡易な構成により、シート9に与えるダメージを抑制しつつシート9の斜行を矯正できることが望まれる。以下、画像形成装置10におけるシート9の斜行を矯正するための構成について説明する。
【0030】
シート搬送装置3において、複数組の搬送ローラー対31は、プリント位置P00に対し搬送方向D1の上流側に配置された一次ローラー対31aおよび二次ローラー対31bを含む(図1参照)。
【0031】
一次ローラー対31aは、搬送路300に配置され、回転することによりシート9を搬送する。二次ローラー対31bは、搬送路300における一次ローラー対31aの位置よりも搬送方向D1の下流側に配置されている。二次ローラー対31bは、回転することにより一次ローラー対31aから引き継いでシート9をプリント位置P00へ向けて搬送する。
【0032】
即ち、プリント装置4は、搬送路300における二次ローラー対31bの位置よりも搬送方向D1の下流側のプリント位置P00でシート9に画像を形成する。
【0033】
さらに、シート搬送装置3は、一次ローラー対31aおよび二次ローラー対31bをそれぞれ個別に回転駆動または停止させるローラー駆動装置30を備える。例えば、ローラー駆動装置30は、モーターと、前記モーターの回転力を一次ローラー対31aおよび二次ローラー対31bへ伝達するギヤ機構と、一次ローラー対31aおよび二次ローラー対31bそれぞれに対応する2つのクラッチとを備える。
【0034】
前記2つのクラッチは、搬送制御部8bによる制御に従って、前記ギヤ機構から一次ローラー対31aおよび二次ローラー対31bそれぞれに駆動力を伝達するクラッチオン状態および前記駆動力の伝達を遮断するクラッチオフ状態の一方から他方へ選択的に切り替わる。
【0035】
図1に示されるように、画像形成装置10は、搬送路300における一次ローラー対31aの位置と二次ローラー対31bの位置との間の位置でシート9を検出するシート検出装置5をさらに備える。
【0036】
以下の説明において、搬送路300上の一次ローラー対31aおよび二次ローラー対31bの間の予め定められた2箇所の位置のことを検出位置P0と称する。
【0037】
図6に示されるように、搬送路300における2箇所の検出位置P01,P02は、搬送方向D1における一次ローラー対31aの位置と二次ローラー対31bの位置との間の同じ位置であり、かつ、搬送方向D1に直交する幅方向D2の異なる位置である。即ち、2箇所の検出位置P01,P02は、幅方向D2において間隔を隔てた位置である。
【0038】
より具体的には、2箇所の検出位置P01,P02は、搬送路300における幅方向D2の中心線を基準にして線対称の位置である。以下の説明において、搬送路300に沿って搬送されるシート9の先端部のことをシート先端部90と称する。
【0039】
シート検出装置5は、搬送路300上の2箇所の検出位置P01,P02の両方をシート先端部90が通過したことを検出する。以下の説明において、シート先端部90が搬送路300上の2箇所の検出位置P0,P02の両方を通過した状態のことをシート通過状態と称する。シート検出装置5は、前記シート通過状態を検出可能である。
【0040】
図3~5に示されるように、シート検出装置5は、第1揺動部材51と、第2揺動部材52と、第3揺動部材53と、1つの検出センサー54とを備える。
【0041】
第1揺動部材51および第2揺動部材52は、搬送路300上の2箇所の第1検出位置P01および第2検出位置P02に対応して設けられている。図3,5に示されるように、第1揺動部材51は、第1回転軸511、第1接触片512および第1係止片513を有する。図4,5に示されるように、第2揺動部材52は、第2回転軸521、第2接触片522および第2係止片523を有する。
【0042】
第1回転軸511および第2回転軸521は、本体100のフレームによって回転可能に支持されている。第1接触片512および第1係止片513は、第1回転軸511から第1回転軸511の径方向に沿って突出している。第2接触片522および第2係止片523は、第2回転軸521から第2回転軸521の径方向に沿って突出している。
【0043】
第1接触片512は、第1回転軸511から第1検出位置P01へ延びて形成されている。第1接触片512は、第1検出位置P01を通過するシート先端部90と接触することにより搬送方向D1の上流側から下流側へ変位する。
【0044】
第2接触片522は、第2回転軸521から第2検出位置P02へ延びて形成されている。第2接触片522は、第2検出位置P02を通過するシート先端部90と接触することにより搬送方向D1の上流側から下流側へ変位する。
【0045】
即ち、第1接触片512が第1検出位置P01を通過するシート先端部90と接触することにより、第1回転軸511全体が第1回転軸511を中心にして揺動する。同様に、第2接触片522が第2検出位置P02を通過するシート先端部90と接触することにより、第2回転軸521全体が第2回転軸521を中心にして揺動する。
【0046】
第1係止片513は、第1回転軸511から予め定められた第1係止位置P11へ延びて形成されている。第2係止片523は、第2回転軸521から予め定められた第2係止位置P12へ延びて形成されている。
【0047】
第1係止位置P11および第2係止位置P12は、搬送路300の外側の位置である。第1係止片513は、第1接触片512の変位に連動して第1係止位置P11から第1退避位置P13へ変位する。第2係止片523は、第2接触片522の変位に連動して第2係止位置P12から第2退避位置P14へ変位する。
【0048】
図3において、第1揺動部材51を示す仮想線(二点鎖線)は、第1接触片512がシート先端部90に押されて変位し、同時に第1係止片513が第1退避位置P13へ変位したときの状態を示す。
【0049】
図4において、第2揺動部材52を示す仮想線(二点鎖線)は、第2接触片522がシート先端部90に押されて変位し、同時に第2係止片523が第2退避位置P14へ変位したときの状態を示す。
【0050】
第3揺動部材53は、第2第3回転軸531と、第1被係止片532と、第2被係止片533と、被検出片534とを有する。
【0051】
第3回転軸531は、幅方向D2に沿う状態で、本体100のフレームによって回転可能に支持されている。第1被係止片532は、第2回転軸521から第1係止位置P11の第1係止片513に係止される位置へ延びて形成されている(図3参照)。第2被係止片533は、第2回転軸521から第2係止位置P12の第2係止片523に係止される位置へ延びて形成されている。
【0052】
被検出片534は、第3回転軸531から予め定められた基点位置P21へ延びて形成されている。図5に示される例では、被検出片534は、幅方向D2における2箇所の検出位置P01,P02の間の位置に設けられている。しかしながら、被検出片534が幅方向D2における2箇所の検出位置P01,P92の外側の位置に設けられていてもよい。
【0053】
第1係止片513は、第1係止位置P11に存在するときに、対応する第1被係止片532を係止することにより、被検出片534を基点位置P21に保持する。同様に、第2係止片523は、第2係止位置P12に存在するときに、対応する第2被係止片533を係止することにより、被検出片534を基点位置P21に保持する。
【0054】
第1被係止片532は、対応する第1係止片513が第1係止位置P11から第1退避位置P13へ変位することにより、第1係止片513による係止が解除される。同様に、第2被係止片533は、対応する第2係止片523が第2係止位置P12から第2退避位置P14へ変位することにより、第2係止片523による係止が解除される。
【0055】
しかしながら、第1被係止片532および第2被係止片533の少なくとも一方が係止されていれば、第3揺動部材53は揺動せず、被検出片534が基点位置P21に保持される。
【0056】
一方、2つの係止片513,523の両方が係止位置P11,P12から退避位置P13,P14へ変位すると、2つの被係止片532,533の両方の係止が解除される。これにより、第3揺動部材53全体が自重のモーメントによって揺動し、被検出片534が基点位置P21から終点位置P22へ変位する。
【0057】
即ち、係止片513,523各々は、他方の係止片523,513の位置にかかわらず、対応する係止位置P11またはP12に存在する状態において、第3揺動部材53の自重のモーメントに抗して被係止片532を初期の位置に係止する。
【0058】
検出センサー54は、基点位置P21および終点位置P22のいずれか一方において被検出片534を検出する物体センサーである。本実施形態において、検出センサー54は透過型のフォトセンサーである。なお、検出センサー54が反射型のフォトセンサーまたは接触式のリミットスイッチであってもよい。
【0059】
本実施形態において、検出センサー54は、終点位置P22の被検出片534を検出する。この場合、検出センサー54が被検出片534を検出しない状態から検出する状態へ変化することが前記シート通過状態を表す。
【0060】
即ち、検出センサー54は、被検出片534が基点位置P21から終点位置P22へ変位したことを前記シート通過状態として検出するセンサーである。
【0061】
なお、検出センサー54が基点位置P21の被検出片534を検出する場合、検出センサー54が被検出片534を検出する状態から検出しない状態へ変化することが前記シート通過状態を表す。
【0062】
搬送制御部8bは、1枚のシート9が搬送路300に送り出されるごとに、ローラー駆動装置30の制御である第1搬送制御および第2搬送制御を実行する。
【0063】
前記第1搬送制御は、二次ローラー対31bを停止させた状態で一次ローラー対31aを回転させる制御である。これにより、シート9は一次ローラー対31aを経由して二次ローラー対31bへ向けて搬送される。
【0064】
前記第1搬送制御は、前記シート通過状態がシート検出装置5により検出されてから予め定められた監視時間が経過するまで継続される。前記監視時間は、一次ローラー対31aによるシート9の搬送によってシート先端部90が検出位置P0から二次ローラー対31bまで移動するのに要する時間を基準にして予め設定される。
【0065】
前記第1搬送制御が実行されることにより、シート先端部90が二次ローラー対31bに到達し、さらにシート9に撓みが生じ、シート先端部90が二次ローラー対31bに沿う。即ち、前記第1搬送制御は、シート9に撓みを形成させつつシート9の先端を二次ローラー対31bに沿わせるスキュー補正制御である。
【0066】
前記第2搬送制御は、前記シート通過状態がシート検出装置5により検出されてから前記監視時間が経過したときに実行される。前記第2搬送制御は、少なくとも二次ローラー対31b回転させる制御を含む。
【0067】
例えば、前記第2搬送制御が、一次ローラー対31aの回転を継続したまま二次ローラー対31bを回転させる制御であることが考えられる。
【0068】
また、前記第2搬送制御が、一次ローラー対31aを一旦停止させ、その後、一次ローラー対31aおよび二次ローラー対31bを同時に、または、予め定められた順番で回転させる制御であることも考えられる。
【0069】
また、前記第2搬送制御が、一次ローラー対31aを一旦停止させ、その後、一次ローラー対31aを駆動することなく二次ローラー対31bを回転させる制御であることも考えられる。この場合、一次ローラー対31aは、二次ローラー対31bによって搬送されるシート9の移動に応じて従動回転する。
【0070】
図6は、シート9が斜行状態で搬送されている状況下でシート先端部90が2箇所の検出位置P01,P02の両方を通過する前記シート通過状態を示す。以下の説明において、シート9におけるシート先端部90の左右のエッジ部のうち、先に検出位置P01,P02の一方を通過する方を第1エッジ部90aと称し、後に検出位置P01,P02の他方を通過する方を第2エッジ部90bと称する。
【0071】
前記第1搬送制御が実行されることにより、一次ローラー対31aは、シート先端部90の第1エッジ部90aが停止中の二次ローラー対31bに当接し、さらにシート先端部90の第2エッジ部90bが停止中の二次ローラー対31bに当接するまで回転する。
【0072】
従って、シート先端部90の第1エッジ部90aが二次ローラー対31bに当接した状況下で、一次ローラー対31aが、シート先端部90の第2エッジ部90bが二次ローラー対31bに当接するまで回転する。これにより、シート9が主に第1エッジ部90a側において撓み、シート先端部90全体が、二次ローラー対31bに沿う状態となった時点、即ち、幅方向D2に沿う状態となった時点で、一次ローラー対31aが停止する。
【0073】
その後、前記第2搬送制御が実行されることにより、二次ローラー対31bは、シート先端部90が幅方向D2に沿う状態で、シート9の搬送を開始する。これにより、シート9の斜行が矯正される。
【0074】
また、本実施形態において、二次ローラー対31bは、前記シート通過状態が検出される時点、即ち、シート先端部90の第2エッジ部90bの近傍部分が検出位置P0を通過する時点から一定の時間が経過した後に始動する。
【0075】
ここで、シート先端部90の第1エッジ部90aが二次ローラー対31bに当接してから前記第1搬送制御が継続される時間のことを矯正時間と称する。
【0076】
前記矯正時間が長いほど、一次ローラー対31aが停止するまでのシート9の撓み量が大きくなる。また、シート9の撓み量が大きいほど、一次ローラー対31aがシート9に与えるダメージが大きい。
【0077】
本実施形態において、前記矯正時間は、幅方向D2に対するシート先端部90の傾斜角度が小さい場合の方が、前記傾斜角度が大きい場合よりも短い。換言すれば、前記矯正時間は、幅方向D2に対するシート先端部90の傾斜角度に応じて必要最小限に調節される。
【0078】
即ち、シート9が斜行していない場合、または、シート9の傾斜角度が小さい場合には、前記矯正時間が短くシート9の撓み量が小さい。この場合、シート搬送装置3がシート9に与えるダメージは小さいが、シート9の斜行は適切に矯正される。
【0079】
一方、シート9の撓み量は、前記傾斜角度が大きい場合の方が小さい場合よりも大きいが、この場合もシート9の斜行は適切に矯正される。
【0080】
従って、画像形成装置10は、シート9に与えるダメージを抑制しつつシート9の斜行を矯正することができる。また、シート検出装置5の構成は、シート9の傾斜角度を検出するセンサー、および、二次ローラー対31bの向きを変更する機構を含む装置にくらべ構成が簡易である。
【0081】
[第1応用例]
次に、図7~9を参照しつつ、シート検出装置5の代わりに画像形成装置10に適用可能なシート検出装置5Xについて説明する。シート検出装置5Xはシート検出装置5の第1応用例である。
【0082】
図7~9において、図1~6に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、シート検出装置5Xにおけるシート検出装置5と異なる点について説明する。
【0083】
シート検出装置5Xは、2つの揺動部材51X,52Xと2つの検出センサー55,56とを備える。
【0084】
2つの揺動部材51X,52Xは、第1揺動部材51Xおよび第2揺動部材52Xを含む。2つの検出センサー55,56は、第1検出センサー55および第2検出センサー56を含む。
【0085】
第1揺動部材51Xおよび第1検出センサー55は、第1検出位置P01を通過するシート9の先端を検出する第1シート検出装置5Xaを構成している。第2揺動部材52Xおよび第2検出センサー56は、第2検出位置P02を通過するシート9の先端を検出する第2シート検出装置5Xbを構成している。
【0086】
第1揺動部材51Xは、第1検出位置P01に対応して設けられている。第2揺動部材52Xは、第2検出位置P02に対応して設けられている。
【0087】
第1揺動部材51Xは、第1回転軸511、第1接触片512および第1被検出片514を有する。第2揺動部材52Xは、第2回転軸521、第2接触片522および第2被検出片524を有する。
【0088】
第1揺動部材51Xの第1回転軸511および第1接触片512は、第1揺動部材51の第1回転軸511および第1接触片512と同じである。第2揺動部材52Xの第2回転軸521および第2接触片522は、第2揺動部材52の第2回転軸521および第2接触片522と同じである。
【0089】
第1揺動部材51Xの第1被検出片514は、第1回転軸511から予め定められた第1基点位置P31へ延びて形成されている。第2揺動部材52Xの第2被検出片524は、第2回転軸521から予め定められた第2基点位置P32へ延びて形成されている。
【0090】
第1被検出片514は、第1接触片512の変位に連動して第1基点位置P31から第1終点位置P33へ変位する(図7参照)。第2被検出片524は、第2接触片522の変位に連動して第2基点位置P32から第2終点位置P34へ変位する(図8参照)。
【0091】
図7において、第1揺動部材51Xを示す仮想線は、第1接触片512がシート先端部90に押されて変位し、同時に第1被検出片514が第1終点位置P33へ変位したときの状態を示す。
【0092】
図8において、第2揺動部材52Xを示す仮想線は、第2接触片522がシート先端部90に押されて変位し、同時に第2被検出片524が第2終点位置P34へ変位したときの状態を示す。
【0093】
2つの検出センサー55,56は、2つの揺動部材51X,52Xに対応して設けられている。2つの検出センサー55,56は、第1検出センサー55および第2検出センサー56を含む。
【0094】
第1検出センサー55は、対応する第1揺動部材51Xの第1基点位置P31および第1終点位置P33のいずれか一方において第1被検出片514を検出する物体センサーである。第2検出センサー56は、対応する第2揺動部材52Xの第2基点位置P32および第2終点位置P34のいずれか一方において第2被検出片524を検出する物体センサーである。
【0095】
例えば、検出センサー55,56各々は透過型のフォトセンサーである。なお、検出センサー55,56各々が反射型のフォトセンサーまたは接触式のリミットスイッチであってもよい。
【0096】
本応用例において、検出センサー55,56各々は、対応する揺動部材51Xまたは52Xの基点位置P31またはP32に存在する被検出片514または524を検出する。この場合、2つの検出センサー55,56の両方が、被検出片514,524を検出する状態から検出しない状態へ変化することが前記シート通過状態を表す。
【0097】
なお、検出センサー55,56各々は、対応する揺動部材51Xまたは52Xの被検出片514または524が基点位置P31またはP32から終点位置P33またはP34へ変位したことを検出するセンサーである。
【0098】
シート検出装置5Xが採用される場合も、搬送制御部8bは、前記第1搬送制御および前記第2搬送制御を実行する。シート検出装置5Xを含む画像形成装置10が採用される場合も、シート検出装置5を含む画像形成装置10が採用される場合と同様の効果が得られる。
【0099】
[第2応用例 ]
次に、図10を参照しつつ、シート検出装置5の代わりに画像形成装置10に適用可能なシート検出装置5Yについて説明する。シート検出装置5Yはシート検出装置5の第2応用例である。
【0100】
図10において、図1~9に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、シート検出装置5Yにおけるシート検出装置5と異なる点について説明する。
【0101】
シート検出装置5Yは、第1揺動部材51Y、第2揺動部材52Yおよび検出センサー54を備える。
【0102】
第1揺動部材51Yは、第1回転軸511Yと第1接触片512と第1被検出片514Yとを有する。第2揺動部材52Yは、第1回転軸511Yと第1接触片512と第1被検出片514Yとを有する。
【0103】
第1回転軸511Yは、回転可能に支持され、幅方向D2に延びて形成されている。第2回転軸521Yは、回転可能に支持され、幅方向D2に延びて形成されている。
【0104】
第1接触片512Yは、第1回転軸511Yから径方向に沿って第1検出位置P01へ突出し、シート9に接触することで揺動する。第2接触片522Yは、第2回転軸521Yから径方向に沿って第2検出位置P02へ突出し、シート9に接触することで揺動する。
【0105】
第1被検出片514Yは、第1回転軸511Yから径方向に沿って基点領域P30へ突出し、第1接触片512Yとともに揺動する。第2被検出片524Yは、第2回転軸521Yから径方向に沿って基点領域P30へ突出し、第2接触片522Yとともに揺動する。
【0106】
検出センサー54は、基点領域P30に存在する物体を検出する。これにより、検出センサー54は、第1被検出片514Yおよび第2被検出片524Yを検出可能である。
【0107】
本応用例において、検出センサー54は、第1被検出片514Yおよび第2被検出片524Yの少なくとも一方が基点領域P30に存在するときに、物体を検出する状態である。また、検出センサー54は、第1被検出片514Yおよび第2被検出片524Yの両方が基点領域P30から外れる領域へ揺動したときに、物体を検出しない状態に切り替わる。
【0108】
即ち、本応用例における検出センサー54は、第1被検出片514Yおよび第2被検出片524Yの両方が基点領域P30から他の領域へ変位したことを前記シート通過状態として検出するセンサーである。シート検出装置5Yが採用される場合も、シート検出装置5,5Xが採用される場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0109】
1 :シート収容部
2 :シート送出装置
3 :シート搬送装置
4 :プリント装置
5 :シート検出装置
5X :シート検出装置
5Y :シート検出装置
8 :制御装置
8a :主制御部
8b :搬送制御部
8c :プリント制御部
9 :シート
10 :画像形成装置
30 :ローラー駆動装置
31 :搬送ローラー対
31a :一次ローラー対
31b :二次ローラー対
40 :光走査ユニット
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
45 :転写装置
46 :クリーニング装置
47 :定着装置
51 :第1揺動部材
51X :第1揺動部材
52 :第2揺動部材
52X :第2揺動部材
53 :第3揺動部材
54 :検出センサー
55 :第1検出センサー
56 :第2検出センサー
81 :CPU
82 :RAM
83 :二次記憶装置
84 :信号インターフェイス
90 :シート先端部
90a :第1エッジ部
90b :第2エッジ部
100 :本体
101 :排紙トレイ
300 :搬送路
511 :第1回転軸
512 :接触片
512X :接触片
513 :係止片
514 :被検出片
522 :第2回転軸
522 :第2接触片
523 :係止片
524 :被検出片
531 :第3回転軸
532 :第1被係止片
533 :第2被係止片
534 :被検出片
D1 :搬送方向(シート搬送方向)
D2 :幅方向
P0 :検出位置
P00 :プリント位置
P11 :係止位置
P12 :退避位置
P21,P31:基点位置
P22,P31:終点位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10