(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】梱包体の情報管理方法、梱包体および梱包体の情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240110BHJP
B65D 71/06 20060101ALI20240110BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240110BHJP
B65G 61/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
G06Q50/28
B65D71/06 200
G06K7/10 244
B65G61/00 526
(21)【出願番号】P 2020000808
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】遠山 健司
(72)【発明者】
【氏名】山口 誠
(72)【発明者】
【氏名】水島 健人
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-221064(JP,A)
【文献】特開2006-052001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0163443(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65D 71/06
G06K 7/10
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が格納された複数の箱を整列・積層する事により箱の集積体を形成した後、集積体をラップフィルムにより梱包した梱包体の情報管理方法であって、
梱包体を構成する個々の箱のラップフィルムが1層の部位に、印字手段によりラップフィルムに損傷を与える事無く印字した印字部を形成する工程と、
固有情報を備えたRFIDタグを梱包体に貼り付ける工程と、
コンピュータ装置が、個々の箱の印字情報とRFIDタグを紐付けて保存する工程と、
RFIDタグの読取り装置が、梱包体に取り付けられたRFIDタグを読取り、コンピュータ装置に送信する事で、RFIDタグに記録された固有情報と、撮像手段が取得した印字情報と、を紐付けて記憶する工程と、を備えていることを特徴とする梱包体の情報管理方法。
【請求項2】
前記印字手段がレーザーマーカーであることを特徴とする請求項1に記載の梱包体の情報管理方法。
【請求項3】
商品が格納された複数の箱を整列・積層する事により箱の集積体を形成した後、集積体をラップフィルムにより梱包した梱包体であって、
個々の箱には、それぞれの箱に格納された商品に対応した情報に基づく印字情報が、ラップフィルムが1層である部位に損傷を与える事無く印字されており、
梱包体の任意の位置には、固有情報を備えたRFIDタグが備えられていることを特徴とする梱包体。
【請求項4】
請求項3に記載の梱包体の情報管理システムであって、
前記梱包体の個々の箱に前記ラップフィルムを通して、前記情報に基づき印字する印字手段と、
前記RFIDタグの固有情報を読み取る読取り装置と、
前記情報と前記固有情報とを紐付けて記憶するコンピュータ装置と、を備えていることを特徴とする梱包体の情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を格納した箱を集積した梱包体の情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を格納した箱ごとに情報を印字(例えば、特許文献1参照)し、RFIDタグを取り付ける事により流通管理を行う場合があった。
【0003】
また、商品を格納した箱は、流通する際に複数個集積され、ラップフィルムで一体化された梱包体を箱詰めして輸送される場合がある。梱包体は、箱が集積された集積体となるため、個々の箱への情報の印字位置が制限される事があり、予め個々の箱に印字する事は困難であった。
【0004】
また、梱包体を構成する個々の箱の印字部には、ラップフィルムが複数層重なる事があり、その様な部分においては、印字部を鮮明に撮像する事が困難となり、画像検査において誤検知される事があった。
【0005】
また、集積された複数の箱がラップフィルムで梱包され、一体化された梱包体のトレース保証には、梱包体を構成する個々の箱の印字部を読み取る事ができないため、シフト制御による仮想が入る問題があった。即ち、流通過程において、梱包体を構成する個々の箱についての確認が未実行のままとなる問題があった。
【0006】
また、梱包体を構成する複数の箱には、それぞれRFIDタグが取り付けられているため、箱ごとのトレースは可能であるが、必要なRFIDタグの数量が多くなり、高コストとなる。更に、読み取るRFIDタグの数量が多いため、読み取る作業に時間がかかる上に、誤検知の数も増える問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の事情に鑑み、本発明は、商品を格納した複数の箱が集積され、ラップフィルムで一体化された梱包体であっても、個々の箱に対してラップフィルムへの損傷無く印字が可能であり、且つ印字された情報を画像検査する事ができることで個々の箱についての照合が可能であり、且つ使用するRFIDタグの数量を減らすことが可能である梱包体の情報管理方法を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する手段として、本発明の請求項1に記載の発明は、商品が格納された複数の箱を整列・積層する事により箱の集積体を形成した後、集積体をラップフィルムにより梱包した梱包体の情報管理方法であって、
梱包体を構成する個々の箱のラップフィルムが1層の部位に、印字手段によりラップフィルムに損傷を与える事無く印字した印字部を形成する工程と、
固有情報を備えたRFIDタグを梱包体に貼り付ける工程と、
コンピュータ装置が、個々の箱の印字情報とRFIDタグを紐付けて保存する工程と、
RFIDタグの読取り装置が、梱包体に取り付けられたRFIDタグを読取り、コンピ
ュータ装置に送信する事で、RFIDタグに記録された固有情報と、撮像手段が取得した印字情報と、を紐付けて記憶する工程と、を備えていることを特徴とする梱包体の情報管理方法である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記印字手段がレーザーマーカーであることを特徴とする請求項1に記載の梱包体の情報管理方法である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、商品が格納された複数の箱を整列・積層する事により箱の集積体を形成した後、集積体をラップフィルムにより一体化した梱包体であって、
個々の箱には、それぞれの箱に格納された商品に対応した情報に基づく印字情報が、ラップフィルムが1層である部位に損傷を与える事無く印字されており、
梱包体の任意の位置には、固有情報を備えたRFIDタグが備えられていることを特徴とする梱包体である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の梱包体の情報管理システムであって、
前記梱包体の個々の箱に前記ラップフィルムを通して、前記情報に基づき印字する印字手段と、
前記RFIDタグの固有情報を読み取る読取り装置と、
前記情報と前記固有情報とを紐付けて記憶するコンピュータ装置と、を備えていることを特徴とする梱包体の情報管理システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の梱包体の情報管理方法によれば、商品を格納した個々の箱を整列・積層させた集積体をラップフィルムで一体化した梱包体において、個々の箱に商品に対応した情報が、ラップフィルムが1層の部位に、レーザーマーカーなどのラップフィルムに損傷を与えない手段を用いて印字されており、それらの印字情報と、梱包体に取り付けられたRFIDタグの固有情報と、がコンピュータ装置に紐付けられて記憶されている。その為、ラップフィルムに損傷を与える事無く印字が可能であり、且つラップフィルムが1層の部位に印字情報が印字されている為、容易に撮像することができる。また、梱包体に使用されるRFIDタグの数量を1個に減らす事が可能である。
【0014】
また、本発明の梱包体によれば、商品が格納された複数の箱を整列・積層する事により箱の集積体を形成した後、集積体をラップフィルムにより一体化した梱包体であって、個々の箱には、それぞれの箱に格納された商品に対応した情報に基づく印字情報が、ラップフィルムに損傷を与える事無く印字されている。また、梱包体には、固有情報を備えたRFIDタグが貼り付けられている。その為、本発明の梱包体の情報管理方法を実施可能とすることができる。
【0015】
また、本発明の梱包体の情報管理システムによれば、本発明の梱包体の情報管理方法を実施可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の梱包体の情報管理方法の一例を説明する説明図。
【
図2】本発明の梱包体の情報管理システムの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<梱包体の情報管理方法>
本発明の梱包体の情報管理方法について説明する。
本発明の梱包体の情報管理方法は、商品が格納された複数の箱を整列・積層する事により箱の集積体を形成した後、集積体をラップフィルムにより一体化した梱包体の情報管理方法である。
【0018】
本発明の梱包体の情報管理方法は、少なくとも、下記の工程1~工程6を備えている。工程1:梱包体を構成する個々の箱に、印字手段により、ラップフィルムが1層の部位に、ラップフィルムに損傷を与える事無く印字した印字部を形成する工程。
工程2:固有情報を備えたRFIDタグを梱包体に貼り付ける工程。
工程3:撮像手段が、個々の箱に形成された印字部を撮像することにより、印字情報を取得し、コンピュータ装置が、個々の箱の印字情報とRFIDタグを紐付けて保存する工程。
工程4:RFIDタグの読取り装置が梱包体に取り付けられたRFIDタグを読取り、コンピュータ装置に送信する事で、RFIDタグに記録された情報と、撮像手段が取得した印字情報と、を紐付けてコンピュータ装置に記憶する工程。
工程5:輸送用の箱に梱包体を箱詰めする前に、RFIDタグの読取り装置が、RFIDタグを読取り、コンピュータ装置に送信する事で、コンピュータ装置が、梱包体の内容を照合する工程。
工程6:輸送用の箱に梱包体を箱詰めした後に、RFIDタグの読取り装置が、RFIDタグを読取り、コンピュータ装置に送信する事で、コンピュータ装置が、箱詰めされた梱包体の内容を照合する工程。
【0019】
図1を用いて、上記の工程1~工程6を詳しく説明する。
図1は、本発明の梱包体の情報管理方法を説明する説明図である。横方向に、工程、荷姿、ラインPLC、管理用PC、レーザーマーカー、ラベラー、RFIDリーダ/ライタ、撮像カメラの各欄を配置している。なお、以下の説明では、RFIDタグとして、RFIDタグラベルを使用した場合を例にとって説明するが、RFIDタグラベルに限定する事を意味するのでは無く、様々な形態のRFIDタグを使用可能である。
【0020】
次に、本発明の梱包体の情報管理方法で使用する装置を説明する。
ラインPLC(Programmable Logic Controller)は、生産ラインのコントロールを行うコンピュータ装置である。
管理用PCは、RFIDタグラベルを梱包体などに貼り付けるラベラーをコントロールするコンピュータ装置である。
RFIDリーダ/ライタは、RFIDタグラベルの情報を読取り、書き込み可能なRFIDタグラベルであれば情報を書き込むことができる装置である。
撮像カメラは、箱などに印字された印字部を撮像し、画像データを取得する装置である。
【0021】
次に、
図1について説明する。
工程の欄の縦方向には、
1.商品の箱詰め工程
2.箱の集積/ラップフィルムによる梱包/印字工程
3.RFIDタグ貼付け/印字部読取/印字部読取データとRFIDタグの紐付け工程
4.箱詰め前の検査工程
5.箱詰め後の検査工程
を配置した。
【0022】
次に、
図1に基づいて、上記の各工程の内容を説明する。
(商品の箱詰め工程)
この工程は、
図1の荷姿の欄に示した様に、商品の箱詰めが完了した箱を用意する工程
である。予め別工程で商品を箱詰めして準備しておいても良い。
【0023】
(箱の集積/ラップフィルムによる梱包/印字工程)
この工程は、荷姿の欄に示した様に、まず、商品の箱詰めが完了した箱を整列し、積層することにより、集積体を形成する。次に、その集積体にラップフィルムをかけ、梱包する。集積体とは、例えば、複数の箱を一列に整列させたものを指す。その状態で、ラップフィルムで梱包する事により一体化させることで梱包体となる。また、一列では無く、二列であっても良い。また、例えば二列に整列させた複数の箱の上に、2層目の箱を積み上げ(積層)ても良い。1層目が何列であっても良いし、2層目以降、何層まで積み上げても構わない。
【0024】
その様にして作製した梱包体に対して、ラインPLCから印字命令を管理用PCに出す。印字命令を受けた管理用PCは、レーザーマーカーに印字を開始させる。
【0025】
レーザーマーカーは、梱包体のラップフィルムが1層になっている個々の箱の表面に、ラップフィルムに損傷を与えない様にして印字し、全ての箱に印字部を形成する。ラップフィルムに損傷を与えない様にして印字するには、レーザーマーカーの焦点をラップフィルムに合わせない様にすれば良い。箱の表面と、ラップフィルムと、の距離を0.1mm以上離す事によって可能となる。
【0026】
箱の表面でラップフィルムが1層になっている部分を決定する方法としては、特に限定する必要は無いが、例えば、複数の箱の集積体にラップフィルムを掛けて梱包する際に、ラップフィルムの掛け方を予め決めて置くことにより、ラップフィルムが1層になる部分を決める事が可能である。また、撮像カメラにより箱を撮像することにより、画像データの解析からラップフィルムが1層になる部分を決める事も可能である。それらの手段を組み合わせることで、1層になる部分がいつも決まった位置に来るようにしておき、詳細な位置を決める時に、撮像カメラの画像データを使用して、印字する位置を決める方法であっても良い。
【0027】
この様に、梱包体を構成する個々の箱に形成する印字部の位置を決めることにより、撮像カメラにより印字部を読取る際に、梱包体を回転させたり、方向転換させたり、する事が不要となる。
【0028】
ラップフィルムが2層以上に重なっているところは、反射が多くなる為、レーザーマーカーによる印字が良好に行えない場合がある。また、仮に印字は良好に行えた場合でも、撮像カメラによる印字部の読取りが良好にできない虞もある。
【0029】
印字する内容は、予め個々の箱に格納された商品と対応する情報であり、それらは予め管理用PCに入力され、記憶されている。印字する内容としては、例えば、4桁の数字であるが、これに限定される訳ではない。ラベラーの印字が完了すると、レーザーマーカーから管理用PCに印字完了報告がなされ、管理用PCは、印字完了を記録し、ラインPLCに印字完了報告がなされる。印字完了報告を受けて、ラインPLCは、次工程にステップする。
【0030】
(RFIDタグ貼付け/印字部読取/印字部読取データとRFIDタグの紐付け工程)
次に、梱包体がベルトコンベアなどの搬送手段によって、別の場所に搬送される間に、次に挙げる一連の作業を行う。なお、ベルトコンベアで別の場所に搬送する事は必須では無い。
【0031】
まず、梱包体の表面に固有情報を備えているRFIDタグラベルを貼り付ける。または
、ラベルタイプではないRFIDタグであれば、それを梱包体の表面に取り付ける。
【0032】
具体的には、ラインPLCからRFIDタグラベルの貼付命令が管理用PCに出され、管理用PCからラベラーに貼付命令が出される。
【0033】
貼付命令を受けたラベラーは、RFIDタグラベルを梱包体に貼り付け、その作業が完了すると、貼付完了報告を管理用PCに送る。貼付完了報告を受けた管理用PCは、RFIDタグラベルが貼付された事を記録する。
【0034】
次に、管理用PCは、印字部読取命令を撮像カメラに出す。印字部読取命令を受けた撮像カメラは、梱包体を構成する全ての箱の印字部を順次、撮像し、印字部読取データを取得し、そのデータを管理用PCに送り、管理用PCはそのデータを記憶する。
【0035】
次に、管理用PCは、RFIDタグラベルの読取命令をRFIDリーダ/ライタに出す。読取命令を受け取ったRFIDリーダ/ライタは、RFIDタグラベルの読取りを開始し、情報(読取データ)を取得した後、取得した読取データ(RFIDタグラベルの固有情報)を管理用PCに送る。
【0036】
読取データを受け取った管理用PCは、印字部読取データとRFIDタグ読取りデータ(RFIDタグラベルの固有情報)の紐付けを行って記憶し、その事をラインPLCに報告する。ラインPLCは、次の工程に進む。
【0037】
(箱詰め前の検査工程)
この工程では、流通用の箱に箱詰めする前に、梱包体の検査を行う。
まず、ラインPLCから管理用PCに検査命令が送られる。検査命令を受け取った管理用PCは、RFIDリーダ/ライタに検査命令を送る。検査命令を受け取ったRFIDリーダ/ライタは、RFIDタグラベルの情報を読取り、取得した読取りデータを管理用PCに送る。
【0038】
RFIDリーダ/ライタから送られて来た読取りデータを受け取った管理用PCは、記憶されているRFIDタグラベルの読取り情報と照合する。照合の結果、OK(記憶されているデータの中にRFIDリーダ/ライタから送られて来た読取りデータが有る)の場合は、梱包体を箱詰めする。NG(一致するデータが無い)の場合は留め置き、一致するデータが無い原因を確認する様に、管理用PCに表示する。
【0039】
(箱詰め後の検査工程)
次に、箱詰めされた梱包体に対して、ラインPLCから管理用PCに検査命令が送られる。検査命令を受け取った管理用PCは、RFIDリーダ/ライタに検査命令を送る。検査命令を受け取ったRFIDリーダ/ライタは、箱詰めされた梱包体のRFIDタグラベルの情報を読取り、取得した読取りデータを管理用PCに送る。
【0040】
RFIDリーダ/ライタから送られて来た読取りデータを受け取った管理用PCは、記憶されているRFIDタグラベルの読取り情報と照合する。照合の結果、OK(記憶されているデータの中にRFIDリーダ/ライタから送られて来た読取りデータがある)の場合は、出荷可能とする。NG(一致するデータが無い)の場合は留め置き、一致するデータが無い原因を確認する様に、管理用PCに表示する。
【0041】
<梱包体>
次に、本発明の梱包体について、
図3を用いて説明する。
本発明の梱包体1は、商品が格納された複数の箱2を整列・積層する事により箱の集積
体を形成した後、集積体をラップフィルム(図示省略)により梱包した梱包体である。
【0042】
箱2は、同一形態、同一サイズである事が好ましいが、平面上で縦横に安定した状態に整列可能であれば、同一形態、同一サイズに拘る必要は無い。同様に、平面上から上に向かって安定して積み上げる事が可能である事が望ましいが、それに限定する必要は無い。平面的に安定な状態で整列可能であり、且つ上に向かって安定して積み上げる事で、安定した立体形状となる集積体を構成可能であれば良い。
【0043】
集積体を構成する個々の箱2には、それぞれの箱2に格納された商品に対応した情報に基づく印字情報が、ラップフィルムに損傷を与える事無く印字されており、梱包体には、固有情報を備えたRFIDタグラベル3が備えられていることが特徴である。
【0044】
固有情報としては、乱数発生器により発生させた乱数を使用しても良いし、1から順に任意の大きい数字を使用しても良い。数字ではなく、任意の文字や記号の組み合わせであっても構わない。
【0045】
RFIDタグ3としては、固有情報が書換え可能な情報記憶媒体に記憶されていても良いし、書換え不能なROMタイプのRFIDタグまたはRFIDタグラベルであっても構わない。
【0046】
また、ラップフィルムは通常、透明なフィルムであるので、例えば印字手段にレーザー光線を用いたレーザーマーカーなどの光学的な印字手段を使用する場合、光線の焦点をラップフィルムに合わせない様に使用することで、ラップフィルムへの損傷を回避することができる。
【0047】
なお、箱2に格納された商品に対応した情報に基づく印字情報が印字された印字部4は、ラップフィルムが1層である梱包体1の部位に形成されている。その為、ラップフィルムの巻き方によって、ラップフィルムが1層である位置が変化する。巻き方によっては1層の部位が形成されない為、梱包体1を構成する全ての箱に、必ずラップフィルムが1層である部分が形成される様に巻けば良い。その為、ラップフィルムが1層になる部位は、各箱の決まった位置となるのではなく、箱ごとに異なるのが通常である。
また、ラップフィルムが1層ではなく、ラップフィルムが無い部位を形成し、そこに印字部4を形成しても良い。
【0048】
<梱包体の情報管理システム>
次に、本発明の梱包体の情報管理システムについて、
図2を用いて説明する。
本発明の梱包体の情報管理システム10は、梱包体の個々の箱にラップフィルムを通して、個々の箱に格納した商品の情報に基づき印字する印字手段と、RFIDタグラベルの固有情報を読み取る読取り装置と、商品の情報と固有情報とを紐付けて記憶するコンピュータ装置と、を備えていることが特徴である。
【0049】
(ラップフィルム)
段ボール箱の様な箱の集積体を梱包するラップフィルムとしては、集積体の形状に容易に追従するための優れた伸縮性と機械的な強度を備えた樹脂フィルムを好適に使用することができる。また、透明である事が好ましい。その様な樹脂としては、例えば、リニアポリエチレン(LLDPE、Linear Low Density Polytethylen)やエンハンスドポリエチレン(EPE、Enhanced Polytethylen)などを挙げることができる。
【0050】
(印字手段)
印字手段としては、光学的な手段が望ましく、例えばレーザーマーカーを好適に使用する事ができるが、これに限定する必要はない。レーザーマーカーの焦点をラップフィルムに合わせない様にする事で、レーザーマーカーによるラップフィルムへの損傷を避けることができる。
【0051】
(読取り装置)
RFIDタグラベルの読取り装置としては、従来から使用されているRFIDタグのリーダ/ライタを好適に使用する事ができる。
図2には、RFIDタグ貼付け/印字部読取/印字部読取データとRFIDタグ(の固有情報)の紐付け工程と、箱詰め前の検査工程と、箱詰め後の検査工程と、で使用する各1台、合計3台のRFIDリーダ/ライタを使用する場合を例示したが、これに限定する必要は無い。必要に応じて増減すれば良い。
【0052】
(コンピュータ装置)
コンピュータ装置は、
図1においては、ラインPLCと管理用PCが該当する。コンピュータ装置は、本発明においては、コントローラ(制御装置)と記憶装置としての機能を担っている。
【0053】
ラインPLCは、一連の製造工程をシーケンシャルに実行するプログラムに基づき、各製造工程を実施する製造装置毎に、幾つかのプロセス条件を入力すると、それに従って製造プロセスを実行する制御装置(コントローラ)である。
【0054】
管理用PCは、ラインPLCからのプロセスの実行命令(印字命令、貼付命令、検査命令、など)を受けて、各製造装置(レーザーマーカー、ラベラー、RFIDリーダ/ライタ、撮像カメラ、など)に直接、実効命令を出す。また、各製造装置からの実行命令が完了した情報を記録し、更に撮像カメラから送られてくる印字部読取データ、RFIDリーダ/ライタから送られてくるRFIDタグ読取データ、などを記憶する。
これらのラインPLCと管理用PCは1つのコンピュータ装置であっても良い。
【0055】
次に、コンピュータ装置であるラインPLCと管理用PCの具体的な働きについて説明する。
【0056】
ラインPLCは、印字命令、貼付命令、検査命令などの命令信号を発信する役割を果たしている。
【0057】
管理用PCは、ラインPLCからの命令信号を受けて、レーザーマーカー、ラベラー、RFIDリーダ/ライタ、撮像カメラに対して、それぞれ、印字命令、貼付命令、印字部読取命令、RFIDタグ読取命令、検査命令などを発信する。
【0058】
また、RFIDリーダ/ライタから送られてくるRFIDタグ読取データを受け取り、記憶する。
【0059】
また、撮像カメラから送られてくる印字部読取データと、RFIDリーダ/ライタから送られてくるRFIDタグ読取データを、紐付けて記憶する。
【0060】
また、梱包体における情報の照合工程と梱包体を箱詰め後の情報の照合工程におけるRFIDリーダ/ライタから送られてくるRFIDタグ読取データと、記憶しているRFIDタグ読取データとを照合し、一致/不一致を判定し、その結果を記憶すると同時に、ラインPLCや管理用PCの表示装置(図示省略)に表示する。
【符号の説明】
【0061】
1・・・梱包体
2・・・箱
3・・・RFIDタグラベル
4・・・印字部
10・・・梱包体の情報管理システム