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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240110BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240110BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20240110BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 3/60 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J2/01 103
B65H7/14
B65H85/00
B65H29/58 B
B41J29/38 301
B41J3/60
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020000966
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021109330
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 武徳
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-301284(JP,A)
【文献】特開2008-033063(JP,A)
【文献】特開2014-119668(JP,A)
【文献】特開2018-086800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 2/01 - 2/215
B65H 7/00 - 7/20
B65H 29/54 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ローラーを含み、用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部を制御するエンジン制御部と、
搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、
印刷がなされた用紙が排出される排出トレイと、
前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流側に設けられ、前記画像形成部に向けて搬送される用紙を読み取るイメージセンサーと、
前記イメージセンサーの読み取りによって得られた搬送読取画像データに基づきそれぞれの搬送される用紙について、搬送用紙エラーが生じたことを検知し、
通常印刷用画像データを生成し、
前記搬送用紙エラーを検知しない用紙については、前記通常印刷用画像データに基づいて印刷を前記画像形成部に行わせ、
前記搬送用紙エラーを検知した用紙と前記搬送用紙エラーを検知した用紙よりも後に給紙された用紙であるやれ紙については、前記通常印刷用画像データに基づいて印刷するよりも色材の消費量が少なくなるやれ紙用画像データを生成し、
前記やれ紙用画像データに基づき、前記やれ紙の印刷を前記画像形成部に行わせる画像制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像制御部は、
搬送される用紙の主走査方向のセンターの位置と理想のセンター位置とのずれ量の絶対値がセンターずれ上限値を超えているとき、
印刷に用いると選択された用紙サイズと前記搬送読取画像データに基づき認識した用紙サイズの差の絶対値がサイズ差上限値を超えているとき、
前記搬送読取画像データに基づき用紙が斜行していると判定したとき、
前記搬送読取画像データと前記通常印刷用画像データを重ね合わせた場合に色材をのせる位置が用紙の無い部分となっているとき、
のうち、何れか1つ、または、複数に該当するとき、前記搬送用紙エラーが生じていると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
排出トレイは複数であり、
前記エンジン制御部は、前記通常印刷用画像データに基づき印刷した用紙と、前記やれ紙用画像データに基づき印刷した用紙とを、異なる前記排出トレイに排出させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像制御部は変換回路を含み、
前記色材はインクであり、
前記画像形成部は、前記インクを用いて、搬送される用紙を印刷するラインヘッドを含み、
前記ラインヘッドは、複数のノズルを備え、前記ノズルからインクの液滴を吐出することにより印刷し、
前記変換回路は、前記通常印刷用画像データに基づき印刷するときよりも、1画素の液滴の量が減るように、前記やれ紙用画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像制御部は変換回路を含み、
前記変換回路は、1画素に吐出する1色の液滴の量が予め定められた最低値となるように、前記やれ紙用画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像制御部は変換回路を含み、
前記変換回路は、前記通常印刷用画像データのうち、前記インクを吐出する画素を減らす間引き処理を行って、前記やれ紙用画像データを生成することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
両面印刷を行うためのスイッチバック搬送部を備え、
前記スイッチバック搬送部は、
スイッチバックローラー対を含み、
前記スイッチバックローラー対を用いて前記画像形成部の通過時に第1面が印刷された片面印刷済用紙の表裏を反転し、
複数枚の用紙を連続して前記両面印刷するとき、
前記画像制御部は、
表裏反転後、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流側に戻された前記片面印刷済用紙の第2面の印刷を前記画像形成部に行わせ、
前記搬送用紙エラーが検知される前に給紙された用紙であって、前記搬送用紙エラーと判定されずに前記第1面が印刷された前記片面印刷済用紙については、前記通常印刷用画像データに基づき、前記片面印刷済用紙の前記第2面を前記画像形成部に印刷させることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成(印刷、描画)を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、印刷中にエラーが生ずることがある。エラー発生によって、印刷位置のずれや、画像の欠けが生ずることがある。正しく画像を印刷できないのに印刷を続けても、用紙、色材の無駄である。特許文献1には、アンダーランエラー(画像データの遅れ)の発生時、用紙とトナーの無駄を少なくするための技術が記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、片面印刷済みの第1媒体の他面印刷に先行して第2媒体を給紙し、第2媒体を片面印刷し、第2媒体の片面印刷に平行し媒体の両面印刷の為の搬送動作を行い、第2媒体の片面を印刷した後に両面印刷の為の搬送動作を行った第1媒体を給紙した両面印刷(交互給紙)可能な装置と通信し、アプリケーションデータに基づく印刷データを生成し、交互給紙による印刷ページ順に従う印刷データをインタフェースを介して印刷装置に出力し、印刷装置の状態情報を取得し、印刷データに基づく印刷の状況情報を取得し、取得した状態情報に基づき新たに給紙される媒体に対して、画像データを印刷機構部へビデオ出力する速度の方が、情報処理装置から画像データを受信する速度よりも速いために、印刷途中で画像データの受信バッファが空になり画像が途中で切れてしまい印刷に失敗する現象(アンダーランエラー)が検知されると、交互給紙による印刷ページ順を変更すべく、既に給紙済みで片面印刷済みで滞留している媒体における未印刷ページの印刷データを印刷装置に出力し、片面がアンダーランエラーで印刷に失敗した状態で滞留している媒体における未印刷ページの印刷データとして、白紙データを印刷装置に出力する情報処理装置が記載されている。この構成により、交互給紙による両面印刷を行うとき、アンダーランエラーが発生しても、第一面の印刷に成功して滞留している用紙については、第二面を正しく印刷し、無駄の発生を抑えようとする(特許文献1:請求項1、段落[0016])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-071479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷中にエラーが発生したとき、色材を無駄な消費を防ぐため、白紙出力を行うことがある。白紙出力すれば、用紙を無地のまま機外に排出できる。用紙を再利用することができる。白紙出力では、例えば、白紙画像データが用いられる場合がある。白紙画像データは、画像データの全画素値を、色材を用いない画素値(白色)とした画像データである。白紙画像データを用いると、画像形成機構は色材を用紙にのせない。用紙は白紙のまま搬送される。エラーのある用紙(不良紙、損紙)への印刷を防ぐことができる。
【0006】
エラーありと判定した用紙や、この用紙に続く給紙済の用紙を白紙出力すれば、色材の消費を減らすことはできる。しかし、用紙は白紙で排出される。そのため、排出された用紙を見ても、どのようなエラー(不良)が生じたか、生じたエラーの程度はどれくらいなのかを、認識しづらいという問題がある。
【0007】
特許文献1記載の情報処理装置では、白紙の出力物を見ても、アンダーランエラーが生じたことしかわからない。画像データの生成、伝達の遅れがどの程度かもわからない。さらに、他のエラーの有無についてはわからない。アンダーランエラーにのみ対応しているので、アンダーランエラー以外のエラーが生じた場合、色材、用紙が無駄に消費される場合もある。従って、特許文献1記載の技術では、上記の問題を解決することはできない。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑み、色材の消費をできるだけ抑えつつ、どのようなエラー(不良)が発生したか、エラー検知後に排出された用紙を見て認識できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、用紙搬送部、エンジン制御部、画像形成部、排出トレイ、イメージセンサー、及び、画像制御部を備える。前記用紙搬送部は搬送ローラーを含む。前記用紙搬送部は用紙を搬送する。前記エンジン制御部は前記用紙搬送部を制御する。前記画像形成部は搬送される用紙に画像を形成する。前記排出トレイは印刷がなされた用紙が排出される。前記イメージセンサーは、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流側に設けられる。前記イメージセンサーは前記画像形成部に向けて搬送される用紙を読み取る。前記画像制御部は、前記イメージセンサーの読み取りによって得られた搬送読取画像データに基づきそれぞれの搬送される用紙について、搬送用紙エラーが生じたことを検知する。前記画像制御部は、通常印刷用画像データを生成する。前記画像制御部は、前記搬送用紙エラーを検知した用紙を検知しない用紙については、前記通常印刷用画像データに基づいて印刷を前記画像形成部に行わせる。前記画像制御部は、前記搬送用紙エラーを検知した用紙と前記搬送用紙エラーを検知した用紙よりも後に給紙された用紙であるやれ紙については、前記通常印刷用画像データに基づいて印刷するよりも色材の消費量が少なくなるやれ紙用画像データを生成する。前記画像制御部は、前記やれ紙用画像データに基づき、前記やれ紙の印刷を前記画像形成部に行わせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、どのような搬送用紙エラー(不良)が発生したか、および、その程度を、印刷されたやれ紙を見て認識することができる。しかも、色材の消費をできるだけ抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るプリンターの本体装置の一例を示す図である。
図2】実施形態に係るプリンターの本体装置の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る印刷物搬送装置の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る読取ユニットの一例を示す図である。
図5】実施形態に係るプリンターでの画像データの流れの一例を示す図である。
図6】実施形態に係る搬送読取画像データの一例を示す図である。
図7】実施形態に係るプリンターでの搬送用紙エラーを検知したときの処理の一例を示す図である。
図8】両面印刷時に搬送用紙エラーを検知したときの処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図8を用いて、本発明の実施形態を説明する。画像形成装置として、プリンター100を例に挙げて説明する。プリンター100は、インクを吐出して印刷する。なお、プリンター100は、例えば、スキャナーを含む複合機でもよい。また、プリンター100は、色材としてトナーを用いるものでもよい。
【0013】
以下の説明では、プリンター100が本体装置101と印刷物搬送装置102を含む例を説明する。本体装置101は、用紙を搬送する。本体装置101は搬送する用紙を印刷する。本体装置101は、印刷済の用紙を機外に排出する、または、印刷物搬送装置102に送り込む。印刷物搬送装置102は、送り込まれた用紙を搬送し、機外に排出する。
【0014】
(プリンター100の概要)
まず、図1及び図2を用いて、実施形態に係るプリンター100の概要を説明する。図1図2は、実施形態に係るプリンター100の本体装置101の一例を示す図である。
【0015】
プリンター100の本体装置101は制御部1、記憶部2、操作パネル3、給紙部4、用紙搬送部5、画像形成部6、通信部15を含む。制御部1はプリンター100の各部を制御する。制御部1は、メイン制御部10、画像制御部8、エンジン制御部9を含む。メイン制御部10、画像制御部8、及び、エンジン制御部9は、例えば、基板である。
【0016】
メイン制御部10(メインコントロール基板)は、制御回路11、画像生成回路12、画像処理回路13、画像送信回路14を含む。制御回路11は、例えば、CPUである。制御回路11は、記憶部2に記憶される制御プログラムや制御データに基づき演算、処理を行う。記憶部2は、ROM、ストレージ(HDD、フラッシュROM)のような不揮発性の記憶装置と、RAMのような揮発性の記憶装置を含む。
【0017】
操作パネル3は、表示パネル31、タッチパネル32を含む。表示パネル31は設定画面や情報を表示する。制御部1は、キー、ボタン、タブのような操作用画像を表示パネル31に表示させる。タッチパネル32は、表示パネル31へのタッチ操作を検知する。タッチパネル32の出力に基づき、制御部1は、操作された操作用画像を認識する。制御部1は、使用者が行った設定操作を認識する。
【0018】
本体装置101は印刷に関する部分として、エンジン制御部9、画像制御部8、給紙部4、用紙搬送部5、画像形成部6を含む。メイン制御部10の印刷指示に基づき、エンジン制御部9は、給紙部4、用紙搬送部5の動作を制御する。画像データに基づき、画像制御部8は、画像形成部6に画像を形成させる。
【0019】
給紙部4は用紙束を収容する。給紙部4は給紙ローラー41を含む。給紙ローラー41は給紙部4内にセットされた用紙のうち、最上位の用紙と接する。給紙ローラー41を回転させる給紙モーター(不図示)が設けられる。印刷ジョブのとき、制御部1(エンジン制御部9)は、給紙モーターを回転させて給紙ローラー41を回転させる。これにより、用紙が給紙部4から用紙搬送部5(第1搬送部5a)に送り出される。なお、本体装置101の側面(図2において右側)には、別途、給紙装置(不図示)を取り付けることができる。接続された給紙装置は、多量の用紙を収容でき、用紙を本体装置101の第1搬送部5aに送り込む。
【0020】
用紙搬送部5は用紙を搬送する。本体装置101は、用紙搬送部5として、第1搬送部5a、第2搬送部5b、スイッチバック搬送部5s、及び、第3搬送部5cを含む。第1搬送部5aは、給紙部4から供給された用紙を画像形成部6に向けて搬送する。第2搬送部5bは、画像形成部6(ラインヘッド60)を通過した用紙を印刷物搬送装置102、スイッチバック搬送部5s、又は、第1排出トレイ103に向けて搬送する。両面印刷のとき、スイッチバック搬送部5sは、片面印刷済の用紙をスイッチバックする。第3搬送部5cは、スイッチバック搬送部5sがスイッチバックした用紙を第1搬送部5aに再合流させる。
【0021】
制御部1(エンジン制御部9)は、画像形成部6に向けて、給紙部4から供給された用紙を第1搬送部5aに搬送させる。図2の太線は用紙搬送経路を示す。第1搬送部5aは搬送経路(用紙搬送路511)に沿って、複数の第1搬送ローラー対51を備える。各第1搬送ローラー対51を回転させる第1搬送モーター(不図示)が設けられる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部9は、第1搬送モーターを回転させる。その結果、第1搬送ローラー対51が回転する。
【0022】
第1搬送部5aは搬送ユニット54を含む。搬送ユニット54は駆動ローラー55と複数の従動ローラー56と搬送ベルト57を含む。搬送ベルト57は、駆動ローラー55と各従動ローラー56に架け回される。印刷ジョブのとき、制御部1は、ベルトモーターを回転させる。ベルトモーターは駆動ローラー55を回転させる。その結果、搬送ユニット54(搬送ベルト57)は、第1搬送ローラー対51が搬送した用紙を引き継いで搬送する。なお、搬送ユニット54は吸着部を含む。吸着部は空気の吸入、又は、静電力により、搬送ベルト57に用紙を吸着させる。吸着部は、用紙の位置及び各ノズルと用紙の距離を固定する。印刷時、エンジン制御部9は吸着部を動作させる。
【0023】
搬送ベルト57の上流側の第1搬送ローラー対51であって、搬送ベルト57に最も近い第1搬送ローラー対51はレジストローラー対である。レジストローラー対の上流側にレジストセンサー58が設けられる。レジストセンサー58の出力は、制御部1(エンジン制御部9)に入力される。レジストセンサー58の出力に基づき、制御部1は、レジストローラー対への用紙到達と、レジストセンサー58からの用紙の通過を認識する。レジストローラー対への用紙到達時点では、制御部1は、レジストローラー対を停止させる。用紙の先端はレジストローラー対に突き当たる。制御部1は、レジストローラー対よりも上流の搬送用のローラーを回転させ、用紙を撓ませる。撓み作成により用紙の斜行が矯正される。用紙到達認識から予め定められた撓み作成時間が経過すると、制御部1は、レジストローラー対を回転させる。用紙は搬送ベルト57に向けて送り出される。レジストセンサー58の出力に基づいて用紙通過を認識すると、制御部1は、レジストローラー対を停止させる。
【0024】
画像形成部6は、搬送用紙にインクを吐出して画像を形成する。画像形成部6は、複数のラインヘッド60を含む。具体的に、プリンター100は、4本のラインヘッド60(60Bk、60C、60M、60Y)を含む。ラインヘッド60Bkはブラックのインクを吐出する。ラインヘッド60Cはシアンのインクを吐出する。ラインヘッド60Mはマゼンタのインクを吐出する。ラインヘッド60Yはイエローのインクを吐出する。画像制御部8は、各ラインヘッド60に画像データを供給する。供給される画像データに基づき、各ラインヘッド60はインクを吐出する。
【0025】
搬送ベルト57の上方に各ラインヘッド60が設けられる。各ラインヘッド60の位置は固定されている。各ラインヘッド60は複数のノズルを含む。ノズルは、各ラインヘッド60の下面に設けられる。ノズルは主走査方向(搬送方向と垂直な方向)で並べられる。各ノズルは搬送される用紙にインクを吐出する。各ノズル(インク吐出口)は搬送ベルト57と向かい合う。印刷のとき、用紙搬送部5は、ラインヘッド60に向けて用紙を搬送するとともに、ノズルと向かい合わせで用紙を搬送する。
【0026】
各ラインヘッド60の下面(ノズル)と搬送ベルト57との間には、間隔(隙間)が設けられる。この間隔に用紙が進入する。間隔の長さは、予め定められる。間隔は、例えば、1ミリ~数ミリ程度である。ノズルから吐出されたインクは搬送用紙に着弾する。これにより、画像が形成(記録)される。なお、ラインヘッド60ごとに、インクを供給するインクタンクが設けられる。
【0027】
制御部1(エンジン制御部9)は、ラインヘッド60を通過した用紙を第2搬送部5bに搬送させる。第2搬送部5bは、印刷物搬送装置102、スイッチバック搬送部5s、又は、第1排出トレイ103に向けて用紙を搬送する。第2搬送部5bは、複数の第2搬送ローラー対52、第1切替ガイド61、第2切替ガイド62、第3切替ガイド63を含む。各第2搬送ローラー対52を回転させる第2搬送モーター(不図示)が設けられる。第1切替ガイド61、第2切替ガイド62、第3切替ガイド63は、用紙の搬送経路を切り替えるためのガイド板である。
【0028】
第1切替ガイド61は、印刷物搬送装置102、スイッチバック搬送部5s、又は、第1排出トレイ103に用紙を導く。第1切替ガイド61を回動させるため、第1切替モーター(不図示)が設けられる。第2切替ガイド62は、スイッチバック搬送部5s(本体装置101の排出トレイ)、又は、スイッチバック搬送部5sに用紙を導く。第2切替ガイド62を回動させるため、第2切替モーター(不図示)が設けられる。第3切替ガイド63は、用紙をスイッチバック搬送部5s、又は、第1搬送部5a(画像形成部6の上流)に導く。また、第3切替ガイド63を回動させるため、第3切替モーター(不図示)が設けられる。
【0029】
スイッチバック搬送部5sは、スイッチバックローラー対59を含む。両面印刷のため、制御部1は、用紙の表裏と用紙の前後をスイッチバック搬送部5sに反転させる。
【0030】
第3搬送部5cはスイッチバック搬送部5sがスイッチバックした用紙を搬送する。第3搬送部5cは、第3搬送ローラー対53を含む。第3搬送ローラー対53を回転させるため、第3搬送モーター(不図示)が設けられる。制御部1は、スイッチバックされた用紙を第3搬送部5cに搬送させる。第3搬送部5cは、ラインヘッド60の上流側にスイッチバックされた用紙を戻す。第3搬送部5cは、スイッチバックされた用紙を第1搬送部5aに合流させる。
【0031】
制御部1は通信部15と接続される。通信部15は通信用コネクター、通信制御回路11、通信用メモリーを含む。通信用メモリーは、通信用ソフトウェアを記憶する。通信部15はコンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。制御部1はコンピューター200から印刷用データを受信する。
【0032】
(印刷物搬送装置102)
次に、図1図3を用いて、実施形態に係る印刷物搬送装置102の一例を説明する。図3は、実施形態に係る印刷物搬送装置102の一例を示す図である。
【0033】
印刷物搬送装置102は本体装置101と接続される。本体装置101の側面(図2において左側面)に、印刷物搬送装置102を取り付けることができる。印刷物搬送装置102の側面(図3において右側面)に本体装置101を取り付けることができる。印刷物搬送装置102は、第2排出トレイ104を含む。操作パネル3は、本体装置101の第1排出トレイ103に排出するか、印刷物搬送装置102の第2排出トレイ104に排出するかの選択を受け付ける。制御部1は選択された排出トレイに用紙を排出させる。
【0034】
なお、印刷物搬送装置102の下流側(図3の左側)には、さらに、後処理装置を接続することもできる。印刷物搬送装置102は、スイッチバック機構を含む。印刷物搬送装置102は、表裏を逆転させてから後処理装置に印刷物を送り込むことができる。用紙搬送のため、印刷物搬送装置102は、複数の印刷物搬送ローラー対105を含む。図3では、連なった2つの丸印が印刷物搬送ローラー対105を示す。図面が煩雑にならないように、用紙搬送方向で最上流の印刷物搬送ローラー対105にのみ符号を付す。印刷物搬送装置102は、印刷物搬送ローラー対105を回転させるためのモーター(不図示)を複数含む。なお、後処理装置が接続されている場合、操作パネル3は、後処理装置で行う後処理の選択を受け付ける。後処理を行う選択がなされた場合、制御部1は、後処理装置に向けて、用紙を印刷物搬送装置102に搬送させる。
【0035】
1.片面印刷での用紙搬送
図1図3を用いて、片面印刷での用紙搬送の流れの一例を説明する。まず、エンジン制御部9は、給紙部4に用紙を給紙させる。エンジン制御部9は、第1搬送部5aに用紙を搬送させる。エンジン制御部9は、ラインヘッド60(画像形成部6の下方)を通過させる。用紙通過のとき、画像制御部8はインクをラインヘッド60に吐出させる(印刷実行)。エンジン制御部9は、画像形成部6の下を通って第2搬送部5bに進入した用紙を、第2搬送部5bに搬送させる。
【0036】
2.両面印刷での用紙搬送
次に、図1図3を用いて、両面印刷での用紙搬送の流れの一例を説明する。まず、エンジン制御部9は、給紙部4に用紙を給紙させる。エンジン制御部9は、第1搬送部5aに用紙を搬送させる。エンジン制御部9は、ラインヘッド60(画像形成部6の下方)で用紙を通過させる。用紙通過のとき、画像制御部8はインクをラインヘッド60に吐出させる。これにより、用紙の一方の面が印刷される。エンジン制御部9は、画像形成部6の下を通って第2搬送部5bに進入した用紙を、第2搬送部5bに搬送させる。
【0037】
エンジン制御部9は、印刷物がスイッチバック搬送部5sに向かうように、第1切替ガイド61、第2切替ガイド、第3切替ガイド63を回動させる。エンジン制御部9は、スイッチバックローラー対59を正方向に回転させる。正方向の回転により、スイッチバック搬送部5sの奥側に用紙が進む(図2の矢印B方向)。用紙がスイッチバックローラー対59を通過しきる前に、エンジン制御部9は、スイッチバックローラー対59を逆回転させる。逆回転にあわせ、エンジン制御部9は、印刷物が第3搬送部5c(第1搬送部5aと第3搬送部5cの合流地点)に向かうように、第1切替ガイド61、第2切替ガイド、第3切替ガイド63を回動させる。これにより、第1搬送部5aのレジストローラー対の上流に合流するように、用紙が搬送される(図2の矢印C方向)。
【0038】
エンジン制御部9は、合流した用紙を第1搬送部5aに搬送させる。エンジン制御部9は、ラインヘッド60(画像形成部6の下方)で用紙を再通過させる。用紙通過のとき、画像制御部8はインクをラインヘッド60に吐出させる。これにより、用紙の他方の面も印刷される。エンジン制御部9は、画像形成部6の下を通って第2搬送部5bに再進入した用紙を、第2搬送部5bに搬送させる。
【0039】
次に、印刷済の用紙(印刷物)の排出のための搬送について説明する。
(1)第1排出トレイ103が排出先のとき
エンジン制御部9は、印刷物が第1排出トレイ103に送り出される位置となるように、第1切替ガイド61と第2切替ガイドを回動させる。エンジン制御部9は、第1排出トレイ103に向けて印刷物を第2搬送部5bに搬送させる。
(2)第2排出トレイ104が排出先のとき
エンジン制御部9は、印刷物が第2排出トレイ104(印刷物搬送装置102)に送られる位置となるように、第1切替ガイド61を回動させる。エンジン制御部9は、印刷物搬送装置102に向けて印刷物を第2搬送部5bに搬送させる。印刷物搬送装置102には、印刷物を第2排出トレイ104に導くための第4切替ガイド64が設けられる。エンジン制御部9は、印刷物が第2排出トレイ104に送られる位置となるように、第4切替ガイド64を回動させる。エンジン制御部9は、第2排出トレイ104に向けて印刷物を印刷物搬送装置102に搬送させる。
(3)後処理装置が排出先のとき
エンジン制御部9は、印刷物が印刷物搬送装置102に送られる位置となるように、第1切替ガイド61を回動させる。エンジン制御部9は、印刷物搬送装置102に向けて印刷物を第2搬送部5bに搬送させる。エンジン制御部9は、印刷物が第2排出トレイ104を通過し、後処理装置に送られる位置となるように、第4切替ガイド64を回動させる。エンジン制御部9は後処理装置に向けて印刷物を印刷物搬送装置102に搬送させる。
【0040】
(光源70と読取ユニット7)
次に、図2図4を用いて、実施形態に係る読取ユニット7の一例を説明する。図4は実施形態に係る読取ユニット7の一例を示す図である。
【0041】
読取ユニット7は搬送される用紙を読み取る。例えば、読取ユニット7は、最上流のラインヘッド60(60Y)とレジストローラー対の間に設けられる(図2参照)。図4に示すように、読取ユニット7は搬送イメージセンサー71を含む。搬送イメージセンサー71はラインセンサーである。搬送イメージセンサー71は複数の受光素子を含む。複数の受光素子は、主走査方向(用紙搬送方向と垂直な方向、図4の紙面垂直方向)で並ぶ。搬送イメージセンサー71は、主走査方向で搬送用紙を読み取る。
【0042】
本体装置101(用紙搬送部5)内では、搬送ガイド510による用紙搬送路511が形成される。用紙搬送路511は用紙搬送部5(第1搬送部5a)の一部である。例えば、読取ユニット7は用紙搬送路511の下側に設けられる。読取ユニット7は透光板72を含む。読取ユニット7の上面が透光板72となっている。透光板72はガラス板又は透光性樹脂板である。透光板72は、例えば、コンタクトガラスである。搬送イメージセンサー71は、印刷のために透光板72と向かい合う。搬送イメージセンサー71は、透光板72上を通過する用紙を読み取る。透光板72は搬送ガイド510としても機能する。
【0043】
光源70は読取ユニット7の上面(透光板72)と向かい合う位置に設けられる。光源70は、搬送イメージセンサー71との間を搬送用紙が通過する位置に設けられる。光源70は主走査方向に沿って光を照射する。光源70は、用紙搬送路511、搬送用紙、及び、搬送イメージセンサー71(透光板72)に向けて光を照射する(図4の下向き)。光路は、用紙搬送路511を上下方向で横切る。搬送用紙はこの光路を遮る。
【0044】
読取ユニット7の上面は光を透過する。例えば、読取ユニット7の内部に、レンズ73(ロッドレンズアレイ)が設けられる。レンズは搬送イメージセンサー71に光を導く。光源70からの光はレンズ73を経て、搬送イメージセンサー71に入射される。このように、読取ユニット7は、CIS型のものである。
【0045】
搬送イメージセンサー71は複数の受光素子を含む。各受光素子は主走査方向に並ぶ。搬送イメージセンサー71は、各受光素子が蓄えた電荷をアナログ画像信号として出力する。搬送イメージセンサー71は、1ライン読み取るごとに、アナログ画像信号を出力する。アナログ画像信号のA/D変換を行うことにより、搬送読取画像データi1が生成される。用紙搬送時、搬送イメージセンサー71は、ライン単位での読み取りを繰り返す。
【0046】
光源70と読取ユニット7の間に用紙がない場合、光源70からの光は、搬送イメージセンサー71に入射される。そのため、搬送読取画像データi1では、用紙がない部分を読み取った画素は、明るい(薄い、白い)画素値となる。光源70と読取ユニット7の間に用紙がある場合、光路は用紙で遮られる。そのため、用紙を読み取った画素(用紙がある部分の画素)は暗い(濃い、黒い)画素値となる。高濃度画素と低濃度画素の境界の位置に基づき、制御部1は、搬送用紙の主走査方向でのエッジ(端辺)の位置を認識できる。また、制御部1は、搬送用紙の用紙搬送方向(副走査方向)でのエッジ(端辺)の位置も認識できる。
【0047】
(画像データの流れ)
次に、図5を用いて、実施形態に係るプリンター100での画像データの流れの一例を説明する。図5は、実施形態に係るプリンター100での画像データの流れの一例を示す図である。
【0048】
図5に示すように、メイン制御部10は、画像生成回路12、画像処理回路13、画像送信回路14を含む。また、エンジン制御部9は、エンジン制御回路90、エンジンメモリー91を含む。エンジン制御回路90は、例えば、CPUである。エンジンメモリー91は、給紙制御、用紙搬送制御に関するプログラム、データを記憶する。
【0049】
画像制御部8は、画像受信回路81、蓄積メモリー82、画像制御回路83、画像出力回路84を含む。画像制御回路83は、画像制御部8が含む各回路の動作を制御する回路である。画像出力回路84は、ラインヘッド60に供給する画像データを生成する回路である。
【0050】
コンピューター200から印刷用データを受信したとき、画像生成回路12は、第1画像データを生成する。第1画像データはラスターデータ(ビットマップデータ)である。印刷用データは、ページ記述言語で記述されたデータを含む。画像生成回路12は、ページ記述言語の記述に基づき、第1画像データを生成する。例えば、画像生成回路12は、生成した第1画像データを記憶部2(例えば、RAM)に記憶させる。
【0051】
画像処理回路13は、記憶部2の第1画像データを読み出す。画像処理回路13は、第1画像データに画像処理を施す。画像処理回路13は、印刷用データに含まれる印刷設定に応じた画像処理を施す。例えば、拡大の印刷設定がなされている場合、画像処理回路13は、拡大の画像処理を第1画像データに施す。また、画像処理回路13は、色空間の変換やハーフトーン処理を行って、第2画像データを生成する。第2画像データは、CMYKの色成分ごとに、各画素のインクの吐出、不吐出を定めた画像データである。この場合、例えば、1画素あたり4ビットとなる。
【0052】
画像送信回路14は、生成した第2画像データを画像制御部8に送信する。画像受信回路81は、送信された第2画像データを受信する。画像受信回路81は、受信した第2画像データを蓄積メモリー82に格納する(記憶させる)。画像出力回路84は、第2画像データに基づき、通常印刷用画像データを生成する。
【0053】
具体的に、画像出力回路84は、変換回路85、エッジ検知回路86、センタリング回路87、サイズ判定回路88、スキュー判定回路89、マスク処理回路810を含む。
【0054】
変換回路85は、各ページの第2画像データを変換し、ページごとに通常印刷用画像データを生成する。また、変換回路85は、特定のページ(用紙)について、通常印刷用画像データを変換してやれ紙用画像データを生成する(詳細は後述)。
【0055】
通常印刷用画像データは、各ラインヘッド60に渡す(入力する)ための画像データである。変換回路85は、色ごとに通常印刷用画像データを生成する。通常印刷用画像データの1画素あたりのビット数が予め定められる。各画素の値は、インクの液滴のサイズを示す。例えば、液滴のサイズが、なし、S(最小レベル)、M、L、LL、3L(最大レベル)の6種類の場合、1画素に必要なビット数は、3となる。
【0056】
例えば、操作パネル3は、印刷に用いる用紙の選択を受け付ける。記憶部2は、用紙ごとに、液滴のサイズを定めるためのデータを記憶する。変換回路85は、用いる用紙の特性(色、厚さ、コートの有無等)に応じて、各画素の液滴のサイズを定める。
【0057】
ラインヘッド60では、ノズルごとに、圧電素子(ピエゾ素子)が設けられる。ラインヘッド60はドライバー回路6aを含む。ドライバー回路6aは、変換回路85から送信された通常印刷用画像データ、または、やれ紙用画像データ(詳細は後述)を受信する。ドライバー回路6aは、受信したこれらの画像データに基づき、インクを吐出するノズルの圧電素子に電圧を印加する。ドライバー回路6aは、ノズルごとに、ノズルにつながるインク流路を変形させる。液滴のサイズの種類ごとに、圧電素子に印加する電圧信号のパターンが予め定められる。例えば、液滴のサイズが大きいほど、ノズル内のインクを大きく揺らして吐出インク量が増えるような電圧信号のパターンとなっている。通常印刷用画像データまたは、やれ紙用画像データに基づき、ドライバー回路6aは、指示された液滴のサイズに対応する電圧信号を、インクを吐出するノズルの圧電素子に印加する。
【0058】
また、画像制御部8は、読取ユニット7が生成する画像データも処理する。印刷時(用紙搬送時)、画像制御回路83は光源70を点灯させる。光源70の点灯時、画像制御回路83は、搬送イメージセンサー71に読み取りを行わせる。搬送イメージセンサー71の上方を用紙が通過している間、画像制御回路83は、光源70を点灯させ、搬送イメージセンサー71に読み取りを行わせる。画像制御回路83は、レジストローラー対の回転開始にあわせ、光源70点灯と読み取りを開始させてもよい。
【0059】
読取ユニット7は、例えば、データ生成回路74を含む。データ生成回路74は、例えば、AFE回路(アナログフロントエンド回路)やA/D変換回路85を含む。AFE回路は、搬送イメージセンサー71が出力するアナログ画像信号を処理する(例えば、増幅)。A/D変換回路85は、処理されたアナログ画像信号に基づきA/D変換を行う。データ生成回路74は、A/D変換して生成した搬送読取画像データi1を蓄積メモリー82に格納する(記憶させる)。
【0060】
(画像制御部8の処理)
次に、図5図6を用いて、実施形態に係る画像制御部8の処理の一例を説明する。図6は、実施形態に係る搬送読取画像データi1の一例を示す図である。
【0061】
上述のように、画像制御部8(画像出力回路84)は、エッジ検知回路86、センタリング回路87、サイズ判定回路88、スキュー判定回路89、マスク処理回路810を含む。これらは、搬送読取画像データi1に基づき処理を行う回路である。
【0062】
エッジ検知回路86、センタリング回路87、サイズ判定回路88、スキュー判定回路89、マスク処理回路810は、搬送読取画像データi1を処理する。処理結果に基づき、画像制御部8は、用紙搬送エラーの発生を検知する。画像制御部8は、用紙搬送エラーとして、センタリングエラー、サイズミスマッチエラー、スキューエラー、マスクエラーを検知する。
【0063】
エッジ検知回路86は、搬送読取画像データi1のうち、用紙と用紙でない部分のエッジを検知する回路である。例えば、エッジ検知回路86は、隣接する画素との画素値の差の絶対値が予め定められた閾値以上の画素をエッジ画素と判定する。例えば、エッジ検知回路86は主走査方向での用紙両端のエッジの位置を検知できる。例えば、エッジ検知回路86は主走査方向(用紙搬送方向と垂直な方向)のラインごとに、エッジを検知する。
【0064】
図6は、用紙を読み取って得られる搬送読取画像データi1の一例を示す図である。高濃度部分は、用紙がある部分(用紙を読み取った画素)を示す。低濃度部分は、用紙がない部分(用紙を読み取っていない画素)を示す。図6において、搬送読取画像データi1において、エッジ検知回路86が検知する用紙のエッジの位置の一例を破線で示す。
【0065】
センタリング回路87は、搬送される用紙の主走査方向のセンター位置を認識する。センタリング回路87は、エッジ検知回路86が検知した主走査方向の用紙両端のエッジの中央地点をセンター位置と認識する。例えば、センタリング回路87は、搬送読取画像データi1のうち、予め定められた判定範囲データに基づき、センター位置を認識してもよい。例えば、判定範囲データは、レジストローラー対の回転開始後、予め定められた判定期間内に得られた搬送読取画像データi1である。判定期間内に得られた搬送読取画像データi1は、用紙の先頭部分のデータである。
【0066】
例えば、判定期間は、レジストローラー対の回転開始から用紙の先端が用紙搬送方向で最も上流のラインヘッド60に到達するまでの時間よりも短くてもよい。例えば、判定期間は、レジストローラー対から用紙搬送方向で最も上流のラインヘッド60までの搬送距離を用紙搬送速度で除して得られる時間よりも短い。この場合、用紙がラインヘッド60に進入する前に判定を行うことができる。
【0067】
例えば、センタリング回路87は、判定範囲データのうち、主走査方向のラインごとに、主走査方向で最も一方側のエッジの位置を認識する。センタリング回路87は、最も一方側のエッジの平均の位置を、一方側のエッジの位置と定める。また、センタリング回路87は、判定範囲データのうち、主走査方向のラインごとに、主走査方向で最も他方側のエッジの位置を認識する。センタリング回路87は、最も他方側のエッジの平均の位置を、他方側のエッジの位置と定める。センタリング回路87は、定めた一方側のエッジの位置と他方側のエッジの位置の中央を、搬送される用紙のセンター位置と認識する。センタリング回路87は、他の手法により、用紙のセンター位置を認識してもよい。
【0068】
ここで、搬送読取画像データi1において、理想的なセンター位置(座標)は予め定められる。プリンター100は、中央通紙型の印刷装置である。プリンター100は、用紙搬送路511の主走査方向の中心と、用紙の主走査方向の中心が一致して用紙が搬送されるように設計されている。また、搬送イメージセンサー71の読取範囲での主走査方向の中央と用紙搬送路511の主走査方向の中心が一致するように、搬送イメージセンサー71が設置される。そのため、理想的なセンター位置は、用紙搬送路511の主走査方向の中央及び搬送読取画像データi1の主走査方向の中央位置と対応する。図6では、理想的なセンター位置を1点鎖線で示している。図6では、センタリング回路87が認識した搬送用紙のセンター位置の一例を2点鎖線で示している。
【0069】
センタリング回路87は、搬送される用紙のセンター位置と、理想的なセンター位置との差に基づき、センター位置のずれ量とずれ方向を認識する。センタリング回路87は、ずれ量の絶対値が予め定められたセンターずれ上限値V1以上のとき、センタリングエラーが生じたと検知(判定)する。記憶部2は、センターずれ上限値V1を不揮発的に記憶する(図1参照)。センターずれ上限値V1は予め定められる。センターずれ上限値V1は、例えば、0.5mmである。センターずれ上限値V1は、0.5mmより長くてもよいし、短くてもよい。操作パネル3は、センターずれ上限値V1の設定を受け付けてもよい。センタリングエラーを検知したとき、画像制御部8は、メイン制御部10とエンジン制御部9に通知する。
【0070】
センタリングエラーが発生していないと判定したとき、センタリング回路87は、認識したずれ方向に、認識したずれ量だけインクの吐出位置(画素の描画位置)がずれるように、通常印刷用画像データを主走査方向でシフトする。
【0071】
サイズ判定回路88は、搬送される用紙の主走査方向のサイズを判定する。例えば、サイズ判定回路88は、エッジ検知回路86が検知した主走査方向の一方側の端のエッジの画素から、他方側の端のエッジの画素までの距離に基づき、搬送用紙の主走査方向のサイズを判定する。例えば、サイズ判定回路88は、センタリング回路87が定めた一方側のエッジの位置から他方側のエッジの位置までの画素数に基づき、主走査方向のサイズを判定してもよい。サイズ判定回路88は、他の手法を用いて、主走査方向のサイズを判定してもよい。
【0072】
また、サイズ判定回路88は、搬送される用紙の副走査方向のサイズを判定できる。例えば、サイズ判定回路88は、搬送読取画像データi1の副走査方向のラインごとに、エッジ検知回路86が検知した副走査方向で最も一方側(先頭側、下流側)のエッジ画素から、副走査方向で最も他方側(後尾側、上流側)のエッジ画素までの距離を認識する。サイズ判定回路88は、認識した複数の距離の平均値を搬送される用紙の副走査方向のサイズと判定する。サイズ判定回路88は、他の手法を用いて、副走査方向のサイズを判定してもよい。
【0073】
例えば、操作パネル3は、印刷ジョブで用いる用紙サイズの選択を受け付ける。また、メイン制御部10は、コンピューター200から受信した印刷用データで指定された用紙のサイズを印刷ジョブで用いる用紙サイズと認識してもよい。
【0074】
サイズ判定回路88は、判定した用紙の主走査方向のサイズと、印刷に用いると選択された用紙の主走査方向のサイズとの差を認識する。サイズ判定回路88は、差の絶対値が予め定められたサイズ差上限値V2以上のとき、サイズミスマッチエラーが生じたと検知(判定)する。記憶部2は、サイズ差上限値V2を不揮発的に記憶する(図1参照)。サイズ差上限値V2は、例えば、0.5mmである。サイズ差上限値V2は、0.5mmより長くてもよいし、短くてもよい。操作パネル3は、サイズ差上限値V2の設定を受け付けてもよい。サイズミスマッチエラーを検知したとき、画像制御部8は、サイズミスマッチエラーの発生を、メイン制御部10とエンジン制御部9に通知する。
【0075】
スキュー判定回路89は、搬送される用紙のスキューエラーが生じたことを検知(判定)する。スキュー判定回路89は、例えば、搬送読取画像データi1のうちの判定範囲データに基づき、スキューエラーを検知する。例えば、スキュー判定回路89は、判定範囲データのうち、主走査方向のラインごとに、主走査方向で最も一方側のエッジの位置を認識する。スキュー判定回路89は、隣り合うエッジ同士を結ぶ直線の傾きを求める。スキュー判定回路89は、求めた傾きが予め定められた傾き上限値V3以上のとき、スキューエラーが生じたと検知(判定)する。記憶部2は、傾き上限値V3を不揮発的に記憶する(図1参照)。スキュー判定回路89は、他の手法を用いて、スキューエラーを検知してもよい。
【0076】
用紙が大きく傾いていれば、印刷される画像の傾きも大きくなる。用紙、画像の傾きが大きいと認められるとき、画像制御部8は、スキューエラーが生じたと判定する。なお、傾き上限値V3は予め定められる。スキューエラーを検知したとき、画像制御部8は、スキューエラーの発生を、メイン制御部10とエンジン制御部9に通知する。
【0077】
マスク処理回路810は、マスク処理を行う。マスク処理は、全てのページに対して行われる。マスク処理は、用紙外への描画(インク吐出)を防止するための処理である。マスク処理回路810は、通常印刷用画像データ又はやれ紙用画像データと、搬送読取画像データi1を重ねる。用紙の隅と通常印刷用画像データ又はやれ紙用画像データの隅があうように、マスク処理回路810は重ねる。マスク処理回路810は、通常印刷用画像データ又はやれ紙用画像データのうちのインクを吐出する画素のうち、搬送読取画像データi1上、用紙がないところにインクを吐出する画素を検知する。
【0078】
マスク処理回路810は、用紙がないところにインクを吐出する画素の画素値を吐出なしを示す画素値に変換する。これにより、例えば、パンチ穴のある用紙の混入や、用紙の端折れがあった場合でも、用紙がない位置への描画によって機内が汚れることを防ぐことができる。通常印刷用画像データについて、マスク処理によって画素値を変換した場合(インク不吐出への変更を行った場合)、マスク処理回路810はマスクエラーが生じたと判定する。マスク処理回路810はマスクエラーの発生を検知する。画像制御部8は、メイン制御部10とエンジン制御部9にマスクエラーが生じたことを通知する。
【0079】
(搬送用紙エラーを検知したときの処理)
次に、図7図8を用いて、実施形態に係るプリンター100での搬送用紙エラーを検知したときの処理の一例を説明する。図7は、実施形態に係るプリンター100での搬送用紙エラーを検知したときの処理の一例を示す図である。図8は、両面印刷時に搬送用紙エラーを検知したときの処理の一例を示す図である。
【0080】
印刷ジョブ中、エンジン制御部9は、給紙を行い、用紙を搬送する。搬送される用紙に異常があるとき、搬送読取画像データi1に基づき、画像制御部8は、搬送用紙エラーが生じたと検知(判定)する。画像制御部8は、搬送用紙エラーが発生したこと、及び、検知した搬送用紙エラーの種類を、メイン制御部10に通知する。この通知を受けたとき、メイン制御部10は、搬送用紙エラーが発生したこと、及び、通知された搬送用紙エラーの種類を知らせるメッセージを表示パネル31に表示させる。
【0081】
また、メイン制御部10は、搬送用紙エラー発生により、新たな用紙の給紙の禁止をエンジン制御部9に指示する。この指示に基づき、エンジン制御部9は、搬送用紙エラーと判定した後、新たな用紙の給紙を給紙部4に行わせない。なお、搬送用紙エラーを検知したときに給紙中の用紙については、エンジン制御部9は、給紙部4は給紙を中断させず、給紙を最後まで行わせる。エンジン制御部9は、搬送用紙エラー発生と判定した後、給紙開始済であり、かつ、用紙搬送部5に残る用紙をいずれかの排出トレイまで搬送する。
【0082】
図7は、印刷ジョブ実行時の搬送用紙エラーを検知したときの処理の一例を示す図である。図7のスタートは、搬送読取画像データi1に基づき、画像制御部8が搬送用紙エラー(センタリングエラー、サイズミスマッチエラー、スキューエラー、マスクエラー)の発生を検知した時点である。
【0083】
画像制御部8は、やれ紙(不良紙、損紙)を設定する(ステップ♯11)。具体的に、画像制御部8は、搬送用紙エラーを検知した用紙と、搬送用紙エラーを検知した用紙よりも後に給紙された用紙(搬送用紙エラーの検知時に両面未印刷の用紙)をやれ紙と判定する。搬送用紙エラーの原因は複数ある。商業印刷では、印刷の品質が重要である。原因によっては、搬送用紙エラーを検知した用紙に続く用紙にも同じエラーが引き継がれる場合がある。画像制御部8は、搬送用紙エラーを検知した用紙と、当該用紙に続く用紙もやれ紙と扱う。
【0084】
エンジン制御部9は、やれ紙の搬送を続ける。片面印刷の場合、エンジン制御部9は、ラインヘッド60に向けてやれ紙を搬送させる。エンジン制御部9は、ラインヘッド60の下面(ノズル)と向かい合わせて、やれ紙を搬送する。
【0085】
両面印刷の場合、エンジン制御部9は、2回、ラインヘッド60の下面(ノズル)と向かい合わせて、やれ紙を搬送する(やれ紙でない場合と同様)。1回目のラインヘッド60の通過後、エンジン制御部9は、やれ紙をスイッチバック搬送部5sに進入させ、やれ紙の表裏を反転させる。続いて、エンジン制御部9は、やれ紙を第1搬送部5aに再合流させる。エンジン制御部9は、やれ紙を再度、ラインヘッド60の下面に進入させる。
【0086】
画像制御部8は、やれ紙用画像データを生成する(ステップ♯12)。やれ紙用画像データは、やれ紙を印刷するための画像データである。画像制御部8(変換回路85)は、やれ紙の印刷に用いる予定であった通常印刷用画像データに基づき、やれ紙用画像データを生成する。
【0087】
具体的に、画像制御部8(変換回路85)は、通常印刷用画像データに基づいて印刷するよりも色材の消費量が少なくなるように、やれ紙用画像データを生成する。画像制御部8は、やれ紙の印刷に用いる予定であった通常印刷用画像データを変換して、やれ紙画像データを生成する。画像制御部8は、通常印刷用画像データの各画素の画素値を変換して、やれ紙用画像データを生成する。
【0088】
具体的に、画像制御部8(変換回路85)は、通常印刷用画像データに基づき印刷するときよりも、1画素の液滴の量が減るように、やれ紙用画像データを生成する。画像制御部8は、通常印刷用画像データよりも液滴のサイズを落とす。
【0089】
画像制御部8(変換回路85)は、1画素に吐出する1色の液滴の量が予め定められた最低値となるように、やれ紙用画像データを生成してもよい。最低値が最小の液滴サイズの場合、画像制御部8は、例えば、液滴のサイズがSよりも大きい画素の値を、Sを示す値に変換する。
【0090】
また、画像制御部8(変換回路85)は、間引き処理を行って、色材の使用量を減らしてもよい。間引き処理は、通常印刷用画像データのうち、インクを吐出する画素を減らす処理である。例えば、インクを吐出する画素の数を1/2にすれば、色材の使用量もおよそ1/2になる。画像制御部8は、通常印刷用画像データのうち、インクを吐出する画素の値を、インク不吐出を示す値に変換する。
【0091】
画像制御部8(変換回路85)は、液滴のサイズを落とす処理と間引き処理の両方を行ってもよいし、何れか一方のみを行ってもよい。そして、画像制御部8は、やれ紙用画像データを用いて、やれ紙を印刷する(ステップ♯13)。片面印刷の場合、画像制御部8は、やれ紙の片面を印刷させる。両面印刷の場合、画像制御部8は、やれ紙の両面を印刷させる。全てのやれ紙を印刷すると、メイン制御部10、画像制御部8、エンジン制御部9は、印刷ジョブを終了する(エンド)。
【0092】
エンジン制御部9は、通常印刷用画像データに基づき印刷した用紙と、やれ紙用画像データに基づき印刷した用紙と、を、異なる排出トレイに排出させる(ステップ♯14)。エンジン制御部9は、印刷ジョブでやれ紙ではない用紙を、操作パネル3で排出先と選択された排出トレイに排出する。エンジン制御部9は、やれ紙を、排出先と選択されなかった排出トレイに排出する。やれ紙とやれ紙でない用紙を自動で仕分けることができる。
【0093】
図8を用いて、両面印刷で搬送用紙エラー検知後の印刷の流れの一例を説明する。図8のうち、1段目の図は、両面印刷物の仕上がりイメージの一例を示す。図8は、6枚の用紙を両面印刷する例を示す。図8では、便宜上、第1面(裏面)の印刷内容として、文字囲なしのアルファベットを記している。また、第2面(表面)の印刷内容として、破線文字囲付きのアルファベットを記している(アルファベットのA、C、E、G、I、K)。
【0094】
図8のうち、2段目の図は、両面印刷物の印刷順(ラインヘッド60の通過順)の一例を示す。スイッチバック(用紙の循環、第1搬送部5aへの再合流)には、ある程度の時間を要する。図8は、用紙をスイッチバックしている間、次の用紙の第1面(片面、裏面)を印刷する例を示す。
【0095】
図8のうち、3段目の図(一番下の段の図)は、やれ紙と判定したときの両面印刷の一例を示す。上段の図のページよりも印刷内容が薄いページが、やれ紙用画像データに基づき印刷するページを示す。
【0096】
両面印刷の場合、搬送読取画像データi1に基づいてエラー発生と判定した後でも、通常印刷用画像データに基づき印刷するページがある。画像制御部8は、エラー発生と判定する前に給紙が開始された用紙であって、エラー検知後、スイッチバック後にラインヘッド60に再進入してきた片面印刷済の用紙については、通常印刷用画像データに基づき印刷する。
【0097】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、用紙搬送部5、エンジン制御部9、画像形成部6、排出トレイ、搬送イメージセンサー71、及び、画像制御部8を備える。用紙搬送部5は搬送ローラーを含む。用紙搬送部5は用紙を搬送する。エンジン制御部9は用紙搬送部5を制御する。画像形成部6は搬送される用紙に画像を形成する。排出トレイは印刷がなされた用紙が排出される。搬送イメージセンサー71は、画像形成部6よりも用紙搬送方向上流側に設けられる。搬送イメージセンサー71は画像形成部6に向けて搬送される用紙を読み取る。画像制御部8は、搬送イメージセンサー71の読み取りによって得られた搬送読取画像データi1に基づきそれぞれの搬送される用紙について、搬送用紙エラーが生じたことを検知する。画像制御部8は、通常印刷用画像データを生成する。画像制御部8は、搬送用紙エラーを検知した用紙を検知しない用紙については、通常印刷用画像データに基づいて印刷を画像形成部6に行わせる。画像制御部8は、搬送用紙エラーを検知した用紙と搬送用紙エラーを検知した用紙よりも後に給紙された用紙であるやれ紙については、通常印刷用画像データに基づいて印刷するよりも色材の消費量が少なくなるやれ紙用画像データを生成する。画像制御部8は、やれ紙用画像データに基づき、やれ紙の印刷を画像形成部6に行わせる。
【0098】
やれ紙への印刷結果に基づき、どのような搬送用紙エラー(不良)が生じたか、及び、生じたエラーの程度を目視で確認(認識)することができる。例えば、各用紙で印刷位置のずれの原因や、どれほどずれているかを認識することができる。搬送用紙エラーの種類、程度の把握に高濃度での印刷は不要である。やれ紙の印刷では、搬送用紙エラーが生じていないときよりも色材の消費量を減らす。そのため、色材の消費を抑えることができる。また、搬送用紙エラーの原因をすみやかに把握できるので、すみやかに問題を解消することができる。その結果、搬送用紙エラーの頻発を防ぐことができる。エラー頻発を防ぐことができるので、色材、用紙の無駄な消費の繰り返しをなくすことができる。
【0099】
画像制御部8は、搬送される用紙の主走査方向のセンターの位置と理想のセンター位置とのずれ量の絶対値がセンターずれ上限値V1を超えているとき、印刷に用いると選択された用紙サイズと搬送読取画像データi1に基づき認識した用紙サイズの差の絶対値がサイズ差上限値V2を超えているとき、搬送読取画像データi1に基づき用紙が斜行していると判定したとき、搬送読取画像データi1と通常印刷用画像データを重ね合わせた場合に色材をのせる位置が用紙の無い部分となっているとき、のうち、何れか1つ、または、複数に該当するとき、搬送用紙エラーが生じていると判定する。商業印刷では、納品する印刷物の検品が行われることがある。印刷位置のずれは、検品で不合格を受ける原因となる。不合格を受けてしまうような用紙の不良(搬送用紙エラー)の発生を検知することができる。
【0100】
排出トレイは複数である(第1排出トレイ103、第2排出トレイ104)。エンジン制御部9は、通常印刷用画像データに基づき印刷した用紙と、やれ紙用画像データに基づき印刷した用紙とを、異なる排出トレイに排出させる。問題のある用紙(やれ紙)と、問題なく印刷できた用紙を自動的に仕分けることができる。やれ紙のみを容易に確認することができる。
【0101】
色材はインクである。画像形成部6は、インクを用いて、搬送される用紙を印刷するラインヘッド60を含む。ラインヘッド60は、複数のノズルを備え、ノズルからインクの液滴を吐出することにより印刷する。変換回路85は、通常印刷用画像データに基づき印刷するときよりも、1画素の液滴の量が減るように、やれ紙用画像データを生成する。やれ紙の印刷でのインク消費量を、通常の印刷(用紙搬送エラーがなかった場合の印刷)よりも減らすことができる。
【0102】
変換回路85は、1画素に吐出する1色の液滴の量が予め定められた最低値となるように、やれ紙用画像データを生成する。やれ紙の印刷でのインク消費量を最低レベルにまで減らすことができる。
【0103】
変換回路85は、通常印刷用画像データのうち、インクを吐出する画素を減らす間引き処理を行って、やれ紙用画像データを生成する。やれ紙の印刷でインクを吐出する画素数を減らすことができる。やれ紙の印刷でのインク消費量を減らすことができる。
【0104】
画像形成装置は、両面印刷を行うためのスイッチバック搬送部5sを備える。スイッチバック搬送部5sは、スイッチバックローラー対59を含む。スイッチバック搬送部5sは、スイッチバックローラー対59を用いて画像形成部6の通過時に第1面が印刷された片面印刷済用紙の表裏を反転する。複数枚の用紙を連続して両面印刷するとき、画像制御部8は、表裏反転後、画像形成部6よりも用紙搬送方向上流側に戻された片面印刷済用紙の第2面の印刷を画像形成部6に行わせる。画像制御部8は、やれ紙とやれ紙の間で搬送される用紙であって、搬送用紙エラーと判定されずに一面が印刷された片面印刷済用紙については、通常印刷用画像データに基づき、片面印刷済用紙の第2面を画像形成部6に印刷させる。両面印刷時に搬送用紙エラーを検知したとき、搬送用紙エラーの検知前に片面印刷済の用紙については、通常どおり(色材を減らさずに)印刷することができる。搬送用紙エラーではない用紙については、両面印刷を完了することができる。
【0105】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、印刷前に搬送される用紙を読み取る画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
100 プリンター(画像形成装置) 103 第1排出トレイ
104 第2排出トレイ 5 用紙搬送部
51 第1搬送ローラー対 52 第2搬送ローラー対
53 第3搬送ローラー対 59 スイッチバックローラー対
5s スイッチバック搬送部 6 画像形成部
60 ラインヘッド 71 搬送イメージセンサー
8 画像制御部 85 変換回路
9 エンジン制御部 i1 搬送読取画像データ
図1
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図3
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図8