(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像読取装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 30/412 20220101AFI20240110BHJP
G06V 30/42 20220101ALI20240110BHJP
【FI】
G06V30/412
G06V30/42
(21)【出願番号】P 2020000979
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 剛
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-024743(JP,A)
【文献】特開2002-032704(JP,A)
【文献】特開2008-271243(JP,A)
【文献】特開2017-102782(JP,A)
【文献】特開2010-176267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 30/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書の種別ごとに、該文書を示す画像に対する処理を対応付けて記憶するメモリと、プロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像を含む画像を取得し、
前記画像に対し、前記複数の符号化画像のそれぞれから前記情報を解読する第1処理を実行し、
前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、前記メモリにおいて該種別に対応付けられた、前記第1処理と異なる第2処理を実行する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれからも前記情報が解読されなかった場合に、前記第1処理及び前記第2処理のいずれとも異なる第3処理を実行する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定されない場合に、前記第1処理、及び前記第2処理のいずれとも異なる第4処理を実行する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、該種別に応じて1以上の前記第2処理のリストを取得し、該リストの順に該第2処理を実行する
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第2処理により、解読された情報を前記メモリに記憶させるとともに、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、該情報が前記メモリに記憶されていない場合に、前記リストが示す次の前記第2処理を実行する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されなかった場合に、利用者から該情報の入力を受付ける
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1処理、又は前記第2処理は、前記画像の解像度を変更する処理、又は前記画像を二値化する処理を含む
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像が描かれた文書を読取り、該文書を示す画像を生成するスキャナと、
文書の種別ごとに、該文書を示す画像に対する処理を対応付けて記憶するメモリと、
プロセッサと、を有し、前記プロセッサは、
前記スキャナが生成した前記画像を取得し、
前記画像に対し、前記複数の符号化画像のそれぞれから前記情報を解読する第1処理を実行し、
前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、前記メモリにおいて該種別に対応付けられた、前記第1処理と異なる第2処理を実行する
画像読取装置。
【請求項9】
文書の種別ごとに、該文書を示す画像に対する処理を対応付けて記憶するメモリと、プロセッサと、を有するコンピュータに、
情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像を含む画像を取得する機能と、
前記画像に対し、前記複数の符号化画像のそれぞれから前記情報を解読する第1処理を実行する機能と、
前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、前記メモリにおいて該種別に対応付けられた、前記第1処理と異なる第2処理を実行する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像読取装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、文書に記載された情報を取得する技術として、文書に印刷された符号化された画像(以下、符号化画像ともいう)から情報を光学的に読み取ることにより情報を取得する技術が知られている。例えば、特許文献1には、記入情報が記入され、かつ、基本サイズを示す情報を取得するための識別コードを有する記入欄を含む原稿の画像データを入力すると、入力された画像データに含まれる識別コードに基づいて基本サイズ情報を取得し、この基本サイズ情報を用いて認識対象領域のサイズを変更して、変更後の認識対象領域に対して記入情報の認識処理を実行する情報処理装置、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した文書の一例として、例えば車検証は、普通車、軽自動車等の車種ごとに符号化画像を光学的に読取るためのフォーマットが定められている。また、いずれかの車種の、いずれかのバージョンの車検証には、それぞれ情報を符号化した複数の符号化画像が記載されている。しかし、地紋や汚れ、光学読み取りの際の解像度等により、それら符号化画像が解読できないこともある。
【0005】
本願発明は、複数の符号化画像を含む画像に対して第1処理を実行して、それら符号化画像のうちのいずれかが解読できず、かつ、その画像が示す文書の種別が特定できた場合に、種別に関係なく決められた処理を第1処理に続けて実行する場合に比べて、解読できなかった符号化画像を解読し易くすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、文書の種別ごとに、該文書を示す画像に対する処理を対応付けて記憶するメモリと、プロセッサと、を有し、前記プロセッサは、情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像を含む画像を取得し、前記画像に対し、前記複数の符号化画像のそれぞれから前記情報を解読する第1処理を実行し、前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、前記メモリにおいて該種別に対応付けられた、前記第1処理と異なる第2処理を実行する情報処理装置である。
【0007】
本発明の請求項2に係る情報処理装置は、請求項1に記載の態様において、前記プロセッサは、前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれからも前記情報が解読されなかった場合に、前記第1処理及び前記第2処理のいずれとも異なる第3処理を実行する情報処理装置である。
【0008】
本発明の請求項3に係る情報処理装置は、請求項1又は2に記載の態様において、前記プロセッサは、前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定されない場合に、前記第1処理、及び前記第2処理のいずれとも異なる第4処理を実行する情報処理装置である。
【0009】
本発明の請求項4に係る情報処理装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、前記プロセッサは、前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、該種別に応じて1以上の前記第2処理のリストを取得し、該リストの順に該第2処理を実行する情報処理装置である。
【0010】
本発明の請求項5に係る情報処理装置は、請求項4に記載の態様において、前記プロセッサは、前記第2処理により、解読された情報を前記メモリに記憶させるとともに、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、該情報が前記メモリに記憶されていない場合に、前記リストが示す次の前記第2処理を実行する情報処理装置である。
【0011】
本発明の請求項6に係る情報処理装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載の態様において、前記プロセッサは、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されなかった場合に、利用者から該情報の入力を受付ける情報処理装置である。
【0012】
本発明の請求項7に係る情報処理装置は、請求項1から6のいずれか1項に記載の態様において、前記第1処理、又は前記第2処理は、前記画像の解像度を変更する処理、又は前記画像を二値化する処理を含む情報処理装置である。
【0013】
本発明の請求項8に係る画像読取装置は、情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像が描かれた文書を読取り、該文書を示す画像を生成するスキャナと、文書の種別ごとに、該文書を示す画像に対する処理を対応付けて記憶するメモリと、プロセッサと、を有し、前記プロセッサは、前記スキャナが生成した前記画像を取得し、前記画像に対し、前記複数の符号化画像のそれぞれから前記情報を解読する第1処理を実行し、前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、前記メモリにおいて該種別に対応付けられた、前記第1処理と異なる第2処理を実行する画像読取装置である。
【0014】
本発明の請求項9に係るプログラムは、文書の種別ごとに、該文書を示す画像に対する処理を対応付けて記憶するメモリと、プロセッサと、を有するコンピュータに、情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像を含む画像を取得する機能と、前記画像に対し、前記複数の符号化画像のそれぞれから前記情報を解読する第1処理を実行する機能と、前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、前記メモリにおいて該種別に対応付けられた、前記第1処理と異なる第2処理を実行する機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、7、8、9に係る発明によれば、複数の符号化画像を含む画像に対して第1処理を実行して、それら符号化画像のうちのいずれかが解読できず、かつ、その画像が示す文書の種別が特定できた場合に、種別に関係なく決められた処理を第1処理に続けて実行する場合に比べて、解読できなかった符号化画像が解読し易くなる。
請求項2に係る発明によれば、第1処理を実行して、いずれの符号化画像も解読できなかった場合に、処理を停止する場合に比べて、解読できなかった符号化画像が解読し易くなる。
請求項3に係る発明によれば、第1処理を実行して、それら符号化画像のうちのいずれかが解読できず、かつ、その画像が示す文書の種別が特定できない場合に、種別に関係なく決められた処理を第1処理に続けて実行する場合に比べて、解読できなかった符号化画像を解読し易くなる。
請求項4に係る発明によれば、複数の符号化画像を含む画像に対して第1処理を実行して、それら符号化画像のうちのいずれかが解読できず、かつ、その画像が示す文書の種別が特定できた場合に、種別に応じて決められた1つの処理だけを第1処理に続けて実行する場合に比べて、解読できなかった符号化画像が解読し易くなる。
請求項5に係る発明によれば、1以上の第2処理により一度、解読された情報を、その後に実行される他の第2処理が解読する必要がない。
請求項6に係る発明によれば、符号化画像のうちのいずれかが解読できない場合に、その符号化画像が示す情報の入力が利用者から受付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】画像読取システム9の全体構成の一例を示す図。
【
図2】情報処理装置1、及び画像読取装置2の構成の一例を示す図。
【
図7】情報処理装置1の機能的構成の一例を示す図。
【
図8】情報処理装置1の動作の流れを示すフロー図。
【
図9】情報処理装置1が第2処理を実行する動作の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
<画像読取システムの構成>
図1は、画像読取システム9の全体構成の一例を示す図である。画像読取システム9は、情報処理装置1と、画像読取装置2と、通信回線3と、を有する。
【0018】
通信回線3は、情報処理装置1と、画像読取装置2と、を通信可能に接続する通信回線であり、例えばLAN(Local Area Network)である。通信回線3は、LANのほか、WAN(Wide Area Network)であってもよいし、インターネットであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0019】
画像読取装置2は、検査証、帳票等の文書を画像として光学的に読取って、読取ったその画像を示す画像データを生成する装置である。画像読取装置2が読取りの対象とする文書は、符号化画像を含む。
【0020】
情報処理装置1は、画像読取装置2が生成した画像データにより示される画像から、上述した文書の情報を解読する装置であり、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0021】
なお、画像読取装置2が生成した画像データは、通信回線3を介して図示しないサーバ装置に送信され、記憶されてもよい。この場合、情報処理装置1は、通信回線3を介してこのサーバ装置から画像データを受信すればよい。また、画像読取装置2が生成した画像データを記憶する機能、及び記憶した画像データを情報処理装置1へ供給する機能等は、複数のサーバ装置により提供されるクラウドコンピューティングによって実現されてもよい。
【0022】
また、画像読取システム9が有する情報処理装置1、画像読取装置2、及び通信回線3のそれぞれの数は
図1に示すものに限られず1つであってもよいし複数であってもよい。
【0023】
<情報処理装置の構成>
図2は、情報処理装置1、及び画像読取装置2の構成の一例を示す図である。
図2に示す情報処理装置1は、プロセッサ11、メモリ12、通信部13、操作部14、及び表示部15を有する。
【0024】
プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)を有し、CPUがROM又はメモリ12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)をRAM等に読み出して実行することにより情報処理装置1の各部を制御する。
【0025】
通信部13は、有線又は無線により通信回線3に接続する通信回路である。情報処理装置1は、通信部13により、通信回線3に接続された画像読取装置2や他の外部装置(図示せず)と情報をやり取りする。
【0026】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル等の操作子を備えており、利用者による操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ11に送る。利用者による操作は、例えば、キーボードに対するキーストロークやタッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0027】
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ11の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。
【0028】
メモリ12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等の記憶手段であり、プロセッサ11のCPUに読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する。また、メモリ12は、種別処理表121、及び解読情報表122を有する。
【0029】
図3は、種別処理表121の一例を示す図である。
図3に示す種別処理表121は、文書の種別と、その種別の文書に対して実行する処理(第2処理という)の内容を決定するパラメータと、を対応付けて記憶する表である。
【0030】
種別処理表121における「種別」は、文書の種別を示す識別情報である。
図3に示す種別処理表121において、種別には少なくとも「普通自動車」及び「軽自動車」の2つがある。この種別処理表121において、種別は、文書が上述した自動車の車種に対応する自動車検査証であることを示す。
【0031】
種別処理表121における「第2処理」は、文書の種別ごとに、その文書を示す画像に対して実行する処理の内容を示すパラメータ群である。
図3に示す種別処理表121の第2処理は、「解像度」及び「二値化閾値」を含む。
【0032】
種別処理表121の「解像度」は、画像読取装置2で読取られた画像に対して実行する解像度変換において指定される解像度である。この解像度変換を実行した後の画像は、解像度が指定したこの解像度になっている。
【0033】
ここで、この解像度変換は、画像を単に拡大するだけではなく、いわゆる「再サンプル」という処理を行う。すなわち、この解像度変換は、例えば、200dpi(dots per inch)の画像に対して400dpiを指定した場合、この画像の1辺を単に2倍に拡大するのではなく、新たに生成される画素を、周辺画素の情報に基づいて補完する。新たな画素を補完するアルゴリズムは、例えば、ニアレストネイバー法、バイリニア法、バイキュービック法等である。
【0034】
種別処理表121の「二値化閾値」は、画像読取装置2で読取られた画像に対して実行する二値化処理において指定される閾値である。情報処理装置1が二値化処理の対象とする画像は、例えば、256階調のグレースケールである。情報処理装置1は、この画像に対して、1から255までのいずれかの閾値を指定して、閾値未満の画素を黒、閾値以上の画素を白に分類する二値化処理を実行する。したがって、
図3に示す種別処理表121により示される第2処理は、画像の解像度を変更する処理、又は画像を二値化する処理を含む。
【0035】
図3に示す「二値化閾値」は、「125,165,115,185,255」という5つの数値で指定されている。これは、情報処理装置1が、指定された解像度による解像度変換とともに、これら5通りの閾値を左から順番に変更して二値化処理を実行することを意味する。つまり、
図3に示す種別処理表121は、文書の種別ごとに、1以上の第2処理のリストを記憶している。
【0036】
図4は、解読情報表122の一例を示す図である。解読情報表122は、文書を示す画像に含まれる符号化画像から解読された情報を記憶する表である。
図4に示す解読情報表122は、キーと、バリューと、を対応付けて記憶する表である。
【0037】
解読情報表122における「キー」は、文書を示す画像に含まれる符号化画像からそれぞれ解読された情報を識別する識別情報である。
図4に示す通り、キーは、例えば、「自動車登録番号又は車両番号」、「標板の枚数及び大きさ」、「車台番号」等である。1つの文書から抽出される複数の情報のキーは、重複することがない。
【0038】
解読情報表122における「バリュー」は、解読された情報において、上述したキーに対応付けられているデータである。
図4に示す解読情報表122は、例えば「車台番号」が「xxxx-0116XXX」であることを示す。情報処理装置1は、画像読取装置2で読取られた画像に対して、各種の処理を実行し、解読された情報をこの解読情報表122に記憶する。
【0039】
また、「キー」が「名前」で「バリュー」が「登録車検査証」の場合は、符号化画像から解読される情報としては符号化画像自体の種別を表す情報であるが、この情報に基づき特定された文書の種別が「登録車検査証」である場合に、「キー」を「名前」とし、「バリュー」を「登録車検査証」として読み替えて解読情報表122に記述している。つまり、情報処理装置1は、符号化画像を解読して得られたデータだけでなく、得られたデータをもとに読み替えられたデータを解読情報表122に記述するようにしてもよい。
【0040】
<画像読取装置の構成>
図2に示す画像読取装置2は、プロセッサ21、記憶部22、通信部23、操作部24、表示部25、及びスキャナ27を有する。
【0041】
プロセッサ21は、例えばプロセッサ11と共通の構成であり、画像読取装置2の各部を制御する。記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25も、情報処理装置1のメモリ12、通信部13、操作部14、及び表示部15と共通の構成である。
【0042】
なお、画像読取装置2は、操作部24、及び表示部25を有しなくてもよい。また、画像読取装置2は、情報処理装置1や他の外部装置と情報をやり取りする必要がない場合に、通信部23を有しなくてもよい。
【0043】
スキャナ27は、光源及びイメージセンサ等を備え、文書の表面に形成されている画像を光学的に読み取る画像読取手段である。スキャナ27は、例えばプラテンガラスを有し、この上に置かれた文書に向けて光源から光を照射し、反射光をイメージセンサで計測して、計測結果から上述した画像を示す画像データを生成する。スキャナ27は、生成した画像データをプロセッサ21に供給する。
【0044】
図5は、普通自動車の自動車検査証の例を示す図である。
図5に示す自動車検査証は、罫線により囲まれた複数の文字欄を有する。例えば、
図5に示す文字欄F1は、車台番号を示しており、その内容は「000-000000」である。
【0045】
また、
図5に示す自動車検査証は、上述した罫線で囲まれた領域の右下に、複数の符号化画像を表示する、符号化画像領域C1を有する。普通自動車用の自動車検査証では、符号化画像領域C1は、4つの符号化画像領域C11、C12、C13、C14で構成されている。
【0046】
このうち、符号化画像領域C14は、1つの符号化画像で構成されているが、他は複数の符号化画像で構成されている。すなわち、符号化画像領域C11、及び符号化画像領域C12は、いずれも2つの符号化画像で構成されている。また、符号化画像領域C13は、3つの符号化画像で構成されている。
【0047】
上述した複数の文字欄において、文字により示されている各種の情報は、符号化画像領域C1にも含まれている。したがって、文字欄のいずれかを偽造したとしても、符号化画像領域C1と照合することで、利用者はこの自動車検査証が偽造されていることを検知することが可能である。
【0048】
図6は、軽自動車の自動車検査証の例を示す図である。
図6に示す自動車検査証も、複数の文字欄と、複数の符号化画像と、を有する点において、
図5に示す自動車検査証と共通している。しかし、
図6に示す自動車検査証は、
図5に示す自動車検査証と種別が異なるため、文字欄の構成、及び符号化画像の構成が、異なる。
【0049】
例えば、
図6に示す文字欄F2は、車台番号を示しており、その内容は「ABC-1234567」であるが、
図5に示す自動車検査証と記載される位置が異なっている。また、
図6に示す符号化画像領域C2は、
図5に示す符号化画像領域C1と異なり、3つの符号化画像領域C21、C22、C23で構成されている。また、これら3つの符号化画像領域C21、C22、C23は、
図5に示す符号化画像領域C11、C12、C13と異なり、いずれも1つの符号化画像で構成されている。
【0050】
つまり、
図5及び
図6で示す通り、文書の種別ごとに、その文書に含まれる符号化画像の構成が異なる。このため、情報処理装置1は、或る種別の文書を解読する処理を、他の種別の文書に対して実行すると、この文書を解読することができない場合がある。
【0051】
<情報処理装置の機能的構成>
図7は、情報処理装置1の機能的構成の一例を示す図である。情報処理装置1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、取得部111、第1実行部112、判定部113、特定部114、第2実行部115、第3実行部116、第4実行部117、受付部118、及び記憶制御部119として機能する。
【0052】
取得部111は、通信部13が画像読取装置2から受信した画像データが示す画像を取得する。この画像は、自動車検査証等の文書を光学的に読取った画像であり、複数の符号化画像を含む。したがって、この取得部111を実現するプロセッサ11は、情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像を含む画像を取得するプロセッサの一例である。
【0053】
第1実行部112は、取得した画像に対し、複数の符号化画像のそれぞれから情報を解読する第1処理を実行する。第1処理は、いわゆるデフォルトの処理であり、例えば、256階調のグレースケール画像に対して、階調値が175未満の画素を黒、175以上の画素を白とする二値化処理等である。すなわち、第1実行部112が実行する第1処理は、取得した画像を二値化する処理を含む。
【0054】
判定部113は、取得部111が取得した画像に対し、第1実行部112が第1処理を実行することによって、複数の符号化画像がそれぞれ解読されたか否か、を判定する。また、判定部113は、第1処理を実行することによって、上述した画像が示す文書の種別が特定されるか否かを判定する。
【0055】
ここで、文書の種別を特定する方法は、少なくとも2通りある。1つは、第1処理を実行した結果、いずれかの符号化画像から文書の種別を示すデータが解読された場合に、そのデータが示す種別により、特定する方法である。もう1つは、第1処理を実行した結果、いずれの符号化画像からも文書の種別を示すデータが解読されなかった事実を以て、文書の種別を推定する方法である。
【0056】
特定部114は、判定部113が、第1処理により、複数の符号化画像のいずれかから情報が解読されず、かつ、画像が示す文書の種別が特定される、と判定したときに、この種別を特定する。
【0057】
第2実行部115は、メモリ12に記憶されている種別処理表121を参照して、特定部114が特定した文書の種別に対応する第2処理を特定し、この第2処理を実行する。つまり第2実行部115を実現するプロセッサ11は、特定した種別にメモリ12において対応付けられた、第1処理と異なる処理である、第2処理を実行する。
【0058】
メモリ12が、
図3に示す種別処理表121を記憶している場合、第2実行部115として機能するプロセッサ11は、特定部114が特定した種別に応じて1以上の第2処理のリストを取得し、このリストの順にこの第2処理を実行する。
【0059】
第3実行部116は、判定部113が、第1処理により複数の符号化画像のいずれからも情報が解読されなかったと判断したときに、予め決められた第3処理を実行する。この第3処理は、上述した第1処理、及び第2処理のいずれとも異なる処理である。つまり、第3実行部116を実現するプロセッサ11は、第1処理により、複数の符号化画像のいずれからも情報が解読されなかった場合に、第1処理及び第2処理のいずれとも異なる第3処理を実行するプロセッサの一例である。
【0060】
第4実行部117は、判定部113が、第1処理により複数の符号化画像のいずれかから情報が解読されず、かつ、その結果から、処理の対象とした画像が示す文書の種別が特定されない、と判断したときに、予め決められた第4処理を実行する。この第4処理は、上述した第1処理、及び第2処理のいずれとも異なる処理である。つまり、第4実行部117を実現するプロセッサ11は、第1処理により、複数の符号化画像のいずれかから情報が解読されず、かつ、画像が示す文書の種別が特定されない場合に、第1処理、及び第2処理のいずれとも異なる第4処理を実行するプロセッサの一例である。なお、第4処理の内容は、第3処理と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0061】
受付部118は、判定部113が、第1処理により複数の符号化画像のいずれかから情報が解読されなかったと判定したときに、操作部14を介して利用者から、この解読されなかった情報の入力を受付ける。
【0062】
記憶制御部119は、取得した画像に含まれる複数の復号化画像から解読された情報、又は利用者から入力された情報をメモリ12の解読情報表122に記憶させる。
【0063】
<情報処理装置の動作>
図8は、情報処理装置1の動作の流れを示すフロー図である。情報処理装置1のプロセッサ11は、通信部13を介して画像読取装置2から、文書を示す画像を取得し(ステップS101)、この画像に対して、予め決められた第1処理を実行する(ステップS102)。
【0064】
プロセッサ11は、第1処理を実行した結果、取得した画像に含まれる全ての符号化画像が解読されたか否かを判定する(ステップS103)。全ての符号化画像が解読された、と判定する場合(ステップS103;YES)、プロセッサ11は、処理を終了する。
【0065】
一方、全ての符号化画像が解読された、と判定しない場合(ステップS103;YES)、プロセッサ11は、1以上の符号化画像が解読されたか否かを判定する(ステップS104)。1以上の符号化画像が解読された、と判定しない場合(ステップS104;NO)、プロセッサ11は、予め決められた第3処理を実行する(ステップS105)。この場合は、すなわち、取得した画像に含まれる複数の符号化画像のいずれからも情報が解読されなかった場合である。
【0066】
一方、1以上の符号化画像が解読された、と判定する場合(ステップS104;YES)、プロセッサ11は、文書の種別が特定されたか否かを判定する(ステップS106)。文書の種別が特定された、と判定しない場合(ステップS106;NO)、プロセッサ11は、予め決められた第4処理を実行する(ステップS107)。この場合は、すなわち、取得した画像に含まれる符号化画像のうち、いずれか1以上の符号化画像からは情報が解読され、それ以外の符号化画像からは情報が解読されず、かつ、文書の種別が特定されない場合である。
【0067】
一方、文書の種別が特定された、と判定する場合(ステップS106;YES)、プロセッサ11は、特定された種別に応じた第2処理を特定し(ステップS108)、この第2処理を実行する(ステップS200)。
【0068】
図9は、情報処理装置1が第2処理を実行する動作の流れを示すフロー図である。情報処理装置1のプロセッサ11は、
図3に示す種別処理表121を参照して、第1処理の実行によって特定された文書の種別に応じた第2処理のリストを取得する。そして、プロセッサ11は、この第2処理のリスト上に未実行の第2処理があるか否かを判定する(ステップS201)。
【0069】
リスト上に未実行の第2処理がある、と判定しない場合(ステップS201;NO)、プロセッサ11は、例えば、表示部15に警告文等を表示することで、第2処理によっても解読されなかった情報がある旨を、利用者に警告する(ステップS202)。そして、プロセッサ11は、利用者に、未解読の情報を操作部14により入力するか否か、選択させる(ステップS203)。利用者が未解読の情報を入力することを指示した場合(ステップS203;YES)、プロセッサ11は、操作部14を介して、この情報の入力を受付ける(ステップS204)。また、利用者が未解読の情報を入力することを指示しなかった場合(ステップS203;NO)、プロセッサ11は、処理を終了する。
【0070】
一方、ステップS201において、リスト上に未実行の第2処理がある、と判定する場合(ステップS201;YES)、プロセッサ11は、そのリストに記載された優先順位が示す順番で、そのリストに含まれる1つの第2処理を選択し、これを実行する(ステップS205)。そして、プロセッサ11は、この第2処理を実行した結果、解読された情報を、メモリ12に記憶する(ステップS206)。
【0071】
そして、プロセッサ11は、上述した第2処理を実行しても未解読の情報が残っているか否かを判定する(ステップS207)。未解読の情報がある、と判定する場合(ステップS207;YES)、プロセッサ11は、処理をステップS201に戻す。一方、未解読の情報がある、と判定しない場合(ステップS207;NO)、プロセッサ11は、処理を終了する。
【0072】
以上、説明したとおり、この情報処理装置1のプロセッサ11は、特定された文書の種別に応じた1以上の第2処理のリストを取得し、このリストに含まれる第2処理を順に実行する。そして、プロセッサ11は、第2処理により解読した情報をメモリ12に記憶し、未解読の情報が存在している場合には、リストに含まれる次の第2処理を実行する。そして、プロセッサ11は、全ての情報を解読すると、処理を終了する。
【0073】
つまり、このプロセッサ11は、第2処理により、解読された情報をメモリに記憶させるとともに、複数の符号化画像のいずれかから情報が解読されず、かつ、その情報がメモリに記憶されていない場合に、リストが示す次の第2処理を実行するプロセッサの一例である。
【0074】
情報処理装置1の上述した動作により、画像読取システム9は、取得した画像に含まれる複数の符号化画像のうち、デフォルトの第1処理を実行して解読できないものがあると、文書の種別が特定される場合には、その種別に対応付けられた第2処理を実行するので、第1処理に続いて、種別に関係なく決められた処理を実行するシステムに比べて、文書の情報が解読される可能性が向上する。
【0075】
また、種別に対応付けられた第2処理は1以上存在し、リストによって優先順位が決められている。そのため、1つの第2処理で解読されない情報があっても、リスト上で次の第2処理によって、その情報が解読されることがある。つまり、この情報処理装置1は、種別に対応付けられた第2処理が1つしか決められていない場合に比べて、より多くの情報を解読する可能性がある。
【0076】
また、先に実行した第2処理で解読された情報は、累積的にメモリ12に記憶される。そのため、情報処理装置1は、一度、いずれかの第2処理によって解読した情報を、再度、他の第2処理によって解読する必要がない。
【0077】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は、組み合わされてもよい。
【0078】
<1>
上述した実施形態において、情報処理装置1のプロセッサ11は、第2処理によっても解読されなかった情報がある場合に、利用者から情報の入力を受付けていたが、これに限らない。例えば、ステップS105において第3処理の実行をした後や、ステップS107において第4処理の実行をした後に、解読されなかった情報がある場合、プロセッサ11は、利用者から情報の入力を受付けてもよい。
【0079】
<2>
上述した情報処理装置1は、CPUで構成されるプロセッサ11を有していたが、情報処理装置1を制御する制御手段は他の構成であってもよい。例えば、情報処理装置1は、CPU以外にも各種のプロセッサ等を有してもよい。
【0080】
ここでプロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば上述したCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0081】
上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。すなわち、上述した情報処理装置1は、以下に示す通り表現され得る。
【0082】
<3>
上述した実施形態において、情報処理装置1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、取得部111、第1実行部112、判定部113、特定部114、第2実行部115、第3実行部116、第4実行部117、受付部118、及び記憶制御部119として機能していた。しかし、これらの機能は画像読取装置2のプロセッサ21によって実現されてもよい。この場合、画像読取装置2は、上述した実施形態における情報処理装置1を兼ねてもよい。
【0083】
つまり、この変形例における画像読取装置2は、情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像が描かれた文書を読取り、この文書を示す画像を生成するスキャナと、文書の種別ごとに、この文書を示す画像に対する処理を対応付けて記憶するメモリと、プロセッサと、を有し、プロセッサは、スキャナが生成した画像を取得し、画像に対し、複数の符号化画像のそれぞれから情報を解読する第1処理を実行し、第1処理により、複数の符号化画像のいずれかから情報が解読されず、かつ、画像が示す文書の種別が特定される場合に、メモリにおいてこの種別に対応付けられた、第1処理と異なる第2処理を実行する画像読取装置の一例である。
【0084】
<4>
上述した情報処理装置1のプロセッサ11によって実行されるプログラムは、文書の種別ごとに、この文書を示す画像に対する処理を対応付けて記憶するメモリと、プロセッサと、を有するコンピュータに、情報をそれぞれ符号化した、複数の符号化画像を含む画像を取得する機能と、前記画像に対し、前記複数の符号化画像のそれぞれから前記情報を解読する第1処理を実行する機能と、前記第1処理により、前記複数の符号化画像のいずれかから前記情報が解読されず、かつ、前記画像が示す文書の種別が特定される場合に、前記メモリにおいてこの種別に対応付けられた、前記第1処理と異なる第2処理を実行する機能と、を実現させるプログラムの一例である。このプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…情報処理装置、11…プロセッサ、111…取得部、112…第1実行部、113…判定部、114…特定部、115…第2実行部、116…第3実行部、117…第4実行部、118…受付部、119…記憶制御部、12…メモリ、121…種別処理表、122…解読情報表、13…通信部、14…操作部、15…表示部、2…画像読取装置、21…プロセッサ、22…記憶部、23…通信部、24…操作部、25…表示部、27…スキャナ、3…通信回線、9…画像読取システム、C1…符号化画像領域、C2…符号化画像領域、F1…文字欄、F2…文字欄。