IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

特許7415568軸受交換方法、軸受構造および車両用主電動機
<>
  • 特許-軸受交換方法、軸受構造および車両用主電動機 図1
  • 特許-軸受交換方法、軸受構造および車両用主電動機 図2
  • 特許-軸受交換方法、軸受構造および車両用主電動機 図3
  • 特許-軸受交換方法、軸受構造および車両用主電動機 図4
  • 特許-軸受交換方法、軸受構造および車両用主電動機 図5
  • 特許-軸受交換方法、軸受構造および車両用主電動機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】軸受交換方法、軸受構造および車両用主電動機
(51)【国際特許分類】
   F16C 35/06 20060101AFI20240110BHJP
   F16C 35/077 20060101ALI20240110BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20240110BHJP
   H02K 7/08 20060101ALI20240110BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F16C35/06 A
F16C35/077
H02K5/173 A
H02K7/08 Z
H02K15/14 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020001528
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021110363
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】保坂 泰斗
(72)【発明者】
【氏名】谷村 浩二
(72)【発明者】
【氏名】坂井 赳巳
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-060794(JP,A)
【文献】特開2020-043696(JP,A)
【文献】実開昭57-018864(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 35/06 - 35/078
H02K 5/173
H02K 7/08
H02K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケースと、前記ケースの内周壁に固定されたステータ鉄心と、前記ステータ鉄心の内側に配置したロータシャフトに固定されたロータ鉄心と、前記ケースの軸方向両端に接続されて前記ステータ鉄心及び前記ロータ鉄心を収納する一対のサイドブラケットと、前記一対のサイドブラケットの内径側に形成されて前記ロータシャフトが貫通しているブラケット内径部と、前記一対のサイドブラケットの外壁に固定された一対の軸受ハウジングと、前記一対の軸受ハウジングに保持されて前記ロータシャフトを回転自在に支持する一対の軸受と、を備えた車両用主電動機の前記一対の軸受を交換する方法であって、
前記サイドブラケットに対する前記軸受ハウジングの固定を解除し、前記サイドブラケットのブラケット内径部でロータシャフトを仮支持した状態で、前記軸受及び前記軸受ハウジングを前記ロータシャフトから抜き取る工程と、
新たな軸受及び前記軸受ハウジングを前記ロータシャフトに装着し、前記軸受ハウジングを前記サイドブラケットの外壁に固定する工程と、を備え
前記サイドブラケットの外壁には、前記ロータシャフトの端部に向うに従い徐々に拡径したブラケット側テーパ周面が形成されており、前記軸受ハウジングには、前記ブラケット側テーパ周面に面接触状態で当接するハウジング側テーパ周面が形成されており、
前記新たな軸受を前記ロータシャフトに装着するときに、前記ブラケット側テーパ周面及び前記ハウジング側テーパ周面を当接させた状態で前記軸受ハウジングを前記サイドブラケットに固定することで、前記軸受の心出し調整が行われるようにしたことを特徴とする車両用主電動機の軸受交換方法。
【請求項2】
前記軸受ハウジングは、前記ブラケット内径部に当接して前記軸受を保持している第1ハウジングと、前記ブラケット内径部から離間した位置で前記第1ハウジングに隣接して前記軸受を保持する第2ハウジングとで構成されており、前記第1ハウジングの軸方向外周には係合周溝が形成され、前記第2ハウジングには、前記サイドブラケットの外壁に向って貫通するねじ穴が形成されており、
前記軸受と前記軸受ハウジングとを前記ロータシャフトから抜き取る工程において、
前記サイドブラケットに対する前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの固定を解除し、
前記第2ハウジングの前記ねじ穴にねじ込んだボルトの先端を前記サイドブラケットの外壁に当接させ、前記ボルトの前記ねじ穴に対するねじ込み量を増大させることで前記第2ハウジングを、前記ロータシャフトの端部側に移動させるとともに、
前記第1ハウジングの前記係合周溝に、前記ロータシャフトの端部に配置したプーラーの係合爪を係合し、前記プーラーの操作により前記係合爪とともに前記第1ハウジング及び前記軸受を前記ロータシャフトの端部側に移動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用主電動機の軸受交換方法。
【請求項3】
前記軸受ハウジングは、前記ブラケット内径部に当接して前記軸受を保持している第1ハウジングと、前記ブラケット内径部から離間した位置で前記第1ハウジングに隣接して前記軸受を保持する第2ハウジングとで構成されており、前記第2ハウジングには、前記サイドブラケットの外壁に向って貫通するねじ穴が形成されており、
前記軸受と前記軸受ハウジングとを前記ロータシャフトから抜き取る工程において、
前記サイドブラケットに対する前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの固定を解除し、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの両者を固定しておき、
前記第2ハウジングの前記ねじ穴にねじ込んだボルトの先端を前記サイドブラケットの外壁に当接させ、前記ボルトの前記ねじ穴に対するねじ込み量を増大させることで前記第1ハウジング、第2ハウジング及び前記軸受を、前記ロータシャフトの端部側に移動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用主電動機の軸受交換方法。
【請求項4】
筒状のケースと、
前記ケースの内周壁に固定されたステータ鉄心と、
前記ステータ鉄心の内側に配置したロータシャフトに固定されたロータ鉄心と、
前記ケースの軸方向両端に接続されて前記ステータ鉄心及び前記ロータ鉄心を収納する一対のサイドブラケットと、
前記一対のサイドブラケットの内径側に形成されて前記ロータシャフトが貫通しているブラケット内径部と、
前記一対のサイドブラケットの外壁に固定された一対の軸受ハウジングと、
前記一対の軸受ハウジングに保持されて前記ロータシャフトを回転自在に支持する一対の軸受と、を備え、
前記サイドブラケットに対する前記軸受ハウジングの固定を解除し、前記軸受及び前記軸受ハウジングを前記ロータシャフトから抜き取った状態とすると、前記サイドブラケットの前記ブラケット内径部が前記ロータシャフトを仮支持し、
前記サイドブラケットの外壁には、前記ロータシャフトの両端部に向うに従い徐々に拡径したブラケット側テーパ周面が形成されており、前記軸受ハウジングには、前記ブラケット側テーパ周面に面接触状態で当接するハウジング側テーパ周面が形成されており、
前記ブラケット側テーパ周面及び前記ハウジング側テーパ周面を当接させた状態で前記軸受ハウジングを前記サイドブラケットに固定することで、前記軸受の心出し調整が行われることを特徴とする車両用主電動機の軸受構造。
【請求項5】
前記一対の軸受ハウジングの各々は、前記ブラケット内径部の外壁に当接して前記軸受の一方の軸方向端面及び外周に当接する第1ハウジングと、前記軸受の他方の軸方向端面及び前記第1ハウジングの外周に当接し、前記ブラケット側テーパ周面に面接触状態で当接するハウジング側テーパ周面が形成されている第2ハウジングと、を備え、前記第2ハウジングを貫通したハウジング用ボルトが前記サイドブラケットにねじ込まることで前記サイドブラケットに固定された前記第1及び第2ハウジングが前記軸受を支持することを特徴とする請求項4記載の車両用主電動機の軸受構造。
【請求項6】
前記一対の軸受ハウジングの各々は、軸方向に2分割され、前記ブラケット側テーパ周面の一部に面接触する第1ハウジング側テーパ周面を形成した第1ハウジングと、前記ブラケット側テーパ周面の他の一部に面接触する第2ハウジング側テーパ周面を形成した第2ハウジングと、を備え、
前記第1ハウジングは、前記ブラケット内径部の外壁に当接して前記軸受の一方の軸方向端面及び外周の一部に当接し、
前記第2ハウジングは、前記軸受の他方の軸方向端面及び外周の他の一部に当接し、
前記第2ハウジングを貫通したハウジング用ボルトが前記サイドブラケットにねじ込まれることで前記サイドブラケットに固定された前記第1及び第2ハウジングが前記軸受を支持することを特徴とする請求項4記載の車両用主電動機の軸受構造。
【請求項7】
筒状のケースと、
前記ケースの内周壁に固定されたステータ鉄心と、
前記ステータ鉄心の内側に配置したロータシャフトに固定されたロータ鉄心と、
外壁に前記ロータシャフトの両端部に向うに従い徐々に拡径したブラケット側テーパ周面が形成されるとともに、前記ケースの軸方向両端に接続されて前記ステータ鉄心及び前記ロータ鉄心を収納する一対のサイドブラケットと、
前記一対のサイドブラケットの内径側に形成されて前記ロータシャフトが貫通しているブラケット内径部と、
前記ブラケット側テーパ周面に面接触状態で当接するハウジング側テーパ周面が形成されて、前記一対のサイドブラケットの外壁に固定された一対の軸受ハウジングと、
前記一対の軸受ハウジングに保持されて前記ロータシャフトを回転自在に支持する一対の軸受と、を備え、
前記ブラケット側テーパ周面及び前記ハウジング側テーパ周面を当接させた状態で前記軸受ハウジングを前記サイドブラケットに固定することを特徴とする車両用主電動機。
【請求項8】
前記一対の軸受ハウジングの各々は、前記ブラケット内径部の外壁に当接して前記軸受の一方の軸方向端面及び外周に当接する第1ハウジングと、前記軸受の他方の軸方向端面及び前記第1ハウジングの外周に当接し、前記ブラケット側テーパ周面に面接触状態で当接するハウジング側テーパ周面が形成されている第2ハウジングと、を備え、前記第2ハウジングを貫通したハウジング用ボルトが前記サイドブラケットにねじ込まれることで前記サイドブラケットに固定された前記第1及び第2ハウジングが前記軸受を支持することを特徴とする請求項7記載の車両用主電動機。
【請求項9】
前記一対の軸受ハウジングの各々は、軸方向に2分割され、前記ブラケット側テーパ周面の一部に面接触する第1ブラケット側テーパ周面を形成した第1ハウジングと、前記ブラケット側テーパ周面の他の一部に面接触する第2ブラケット側テーパ周面を形成した第2ハウジングと、を備え、
前記第1ハウジングは、前記ブラケット内径部の外壁に当接して前記軸受の一方の軸方向端面及び外周の一部に当接し、
前記第2ハウジングは、前記軸受の他方の軸方向端面及び外周の他の一部に当接し、
前記第2ハウジングを貫通したハウジング用ボルトが前記サイドブラケットにねじ込まれることで前記サイドブラケットに固定された前記第1及び第2ハウジングが前記軸受を支持することを特徴とする請求項7記載の車両用主電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両を駆動する全閉型の車両用主電動機の軸受交換方法、車両用主電動機の軸受構造およびこの軸受構造を備える車両用主電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両では、車体の床下に配置された台車に車輪を駆動する全閉型の主電動機が取り付けられている。
例えば特許文献1の車両用主電動機は、略円筒状のフレームの内周側に固定されたステータ鉄心と、このステータ鉄心の内側であってロータシャフトに固定されたロータ鉄心と、フレームの両端の内周側に軸受ブラケットを介して配置された一対の軸受ハウジングと、これら一対の軸受ハウジングの内周側に配置され、ロータシャフトを回転自在に支持する一対の軸受と、軸受ブラケットに固定され、軸受ブラケットに対してロータシャフトの軸方向に移動可能に配置した回転支持部材と、ロータシャフトに固定され、回転支持部材が軸方向に移動することで当接する支持受け部材と、を備えている。
【0003】
車両用主電動機の軸受に充填されたグリースは、機内の熱や外気中の塵埃が冷却風の通風力による負圧作用で軸受内部に侵入するため、徐々に劣化しやすい。また、グリース内に含まれる基油は枯渇しやすいので、軸受の定期的な分解保守でグリースを再充填することで十分に基油を含んだ最適状態のグリースとする必要がある。
特許文献1の車両用主電動機が軸受を分解保守する場合は、先ず、回転支持部材を軸方向に移動して支持受け部材に当接させ、軸受ブラケットを介してフレームでロータシャフトを保持しておく。これにより、主電動機のステータ鉄心、ロータ鉄心、ロータシャフトなどを全面的に分解せずに軸受を交換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-994981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の車両用主電動機の軸受の分解保守は、軸受をロータシャフトから引き抜く前に、ロータシャフトをフレームで保持する作業が必要となるので、軸受の分解保守が大幅に軽減されているとはいえない。
また、ロータシャフトをフレームで支持するための回転支持部材及び支持受け部材が必要であり、部品の増大による製造コストの面で問題がある。
そこで、軸受をロータシャフトから引き抜く際にロータシャフトを保持する部材を必要とせず軸受の分解保守に費やす労力を大幅に低減することができる車両用主電動機の軸受交換方法と、製造コストの低減化を図ることができる車両用主電動機の軸受構造および車両用主電動機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る車両用主電動機の軸受交換方法は、筒状のケースと、前記ケースの内周壁に固定されたステータ鉄心と、ステータ鉄心の内側に配置したロータシャフトに固定されたロータ鉄心と、ケースの軸方向両端に接続されてステータ鉄心及びロータ鉄心を収納する一対のサイドブラケットと、一対のサイドブラケットの内径側に形成されてロータシャフトが貫通しているブラケット内径部と、一対のサイドブラケットの外壁に固定された一対の軸受ハウジングと、一対の軸受ハウジングに保持されてロータシャフトを回転自在に支持する一対の軸受と、を備えた車両用主電動機の前記一対の軸受を交換する方法であって、サイドブラケットに対する軸受ハウジングの固定を解除し、サイドブラケットのブラケット内径部でロータシャフトを仮支持した状態で、軸受及び軸受ハウジングをロータシャフトから抜き取る工程と、新たな軸受及び軸受ハウジングをロータシャフトに装着し、軸受ハウジングをサイドブラケットの外壁に固定する工程と、を備え、サイドブラケットの外壁には、ロータシャフトの端部に向うに従い徐々に拡径したブラケット側テーパ周面が形成されており、軸受ハウジングには、ブラケット側テーパ周面に面接触状態で当接するハウジング側テーパ周面が形成されており、新たな軸受をロータシャフトに装着するときに、ブラケット側テーパ周面及びハウジング側テーパ周面を当接させた状態で軸受ハウジングをサイドブラケットに固定することで、軸受の心出し調整が行われるようにした。
【0007】
また、本発明の一態様に係る車両用主電動機の軸受構造は、筒状のケースと、ケースの内周壁に固定されたステータ鉄心と、ステータ鉄心の内側に配置したロータシャフトに固定されたロータ鉄心と、ケースの軸方向両端に接続されてステータ鉄心及びロータ鉄心を収納する一対のサイドブラケットと、一対のサイドブラケットの内径側に形成されてロータシャフトが貫通しているブラケット内径部と、一対のサイドブラケットの外壁に固定された一対の軸受ハウジングと、一対の軸受ハウジングに保持されてロータシャフトを回転自在に支持する一対の軸受と、を備え、サイドブラケットに対する軸受ハウジングの固定を解除し、軸受及び軸受ハウジングをロータシャフトから抜き取った状態とすると、サイドブラケットのブラケット内径部がロータシャフトを仮支持し、サイドブラケットの外壁には、ロータシャフトの両端部に向うに従い徐々に拡径したブラケット側テーパ周面が形成されており、軸受ハウジングには、ブラケット側テーパ周面に面接触状態で当接するハウジング側テーパ周面が形成されており、ブラケット側テーパ周面及びハウジング側テーパ周面を当接させた状態で軸受ハウジングをサイドブラケットに固定することで、軸受の心出し調整が行われるようにした。
【0008】
さらに、本発明の一態様に係る車両用主電動機は、筒状のケースと、ケースの内周壁に固定されたステータ鉄心と、ステータ鉄心の内側に配置したロータシャフトに固定されたロータ鉄心と、外壁にロータシャフトの両端部に向うに従い徐々に拡径したブラケット側テーパ周面が形成されるとともに、ケースの軸方向両端に接続されてステータ鉄心及び前記ロータ鉄心を収納する一対のサイドブラケットと、一対のサイドブラケットの内径側に形成されてロータシャフトが貫通しているブラケット内径部と、ブラケット側テーパ周面に面接触状態で当接するハウジング側テーパ周面が形成されて、一対のサイドブラケットの外壁に固定された一対の軸受ハウジングと、一対の軸受ハウジングに保持されてロータシャフトを回転自在に支持する一対の軸受と、を備え、ブラケット側テーパ周面及びハウジング側テーパ周面を当接させた状態で軸受ハウジングを前記サイドブラケットに固定している。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用主電動機の軸受交換方法によれば、軸受をロータシャフトから引き抜いた際には、一対のサイドブラケットのブラケット内径部がロータシャフトを仮支持するので、軸受の分解保守に費やす労力を大幅に低減することができる。
また、本発明に係る車両用主電動機の軸受構造および車両用主電動機によれば、軸受をロータシャフトから引き抜くときだけ使用するロータシャフトを保持する部品を設ける必要がないので、製造コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る第1実施形態の車両用主電動機を示す軸方向半断面図である。
図2】第1実施形態の車両用主電動機の軸受構造の要部を示す図である。
図3】第1実施形態の車両用主電動機の軸受構造において軸受ハウジングを構成する第2ハウジングを引き抜く動作を示す図である。
図4】第1実施形態の車両用主電動機の軸受構造において軸受ハウジングを構成する第1ハウジングと軸受を引き抜く動作を示す図である。
図5】本発明に係る第2実施形態の車両用主電動機の軸受構造の要部を示す図である。
図6】第2実施形態の車両用主電動機の軸受構造において軸受ハウジングを構成する第1及び第2ハウジングと軸受を引き抜く動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る第1実施形態の車両用主電動機1であり、鉄道車両の台車に取付けられて車輪を駆動する。
この車両用主電動機1は、金属材料で形成した円筒状のケース2と、ケース2の軸方向両端で接続された一対のサイドブラケット3,4と、ケース2の内周に固定され、軸方向両端面からステータコイル5aが突出しているステータ鉄心5と、ステータ鉄心5の内側において略同一の軸方向長さでロータシャフト6に固定されているロータ鉄心7と、一対のサイドブラケット3,4の内径側の外壁に固定された一対の軸受ハウジング8,9と、一対の軸受ハウジング8,9の内径側に配置されてロータシャフト6を回転自在に支持する一対の軸受10,11と、を備えている。
【0013】
一対の軸受10,11は、各々円環状の内輪10a,11a、外輪10b,11b及び複数の転動体10c,11cを備えている。
一方のサイドブラケット3は、ケース2の軸方向端部と接続する外径側ブラケット13と、外径側ブラケット13と中間ブラケット14を介して連続するブラケット内径部15、とを備えている。
ロータシャフト6の外周に接触しているロータ鉄心7の内径部には、軸方向外方に延在するスリーブ7aが形成されており、スリーブ7aの端部側外周には環状溝7bが形成されている。そして、スリーブ7aより径方向外方位置に複数条の環状凹部7cが軸方向に延在して形成されている。
【0014】
ブラケット内径部15は、ロータ鉄心7の軸方向端面に近接しながらロータシャフト6の軸線Pに直交する半径方向に延在している。このブラケット内径部15の内径部15aはロータ鉄心7のスリーブ7aの外周に挿入されている。そして、ブラケット内径部15には、ロータ鉄心7の複数の環状凹部7cに入り込む複数条の環状凸部15bが形成されており、複数条の環状凹部7c及び環状凸部15bによりラビリンス構造が採用されている。
【0015】
また、中間ブラケット14の外壁には、ブラケット内径部15側に第1ブラケット側テーパ周面14aが形成され、外径側ブラケット13側に第2ブラケット側テーパ周面14bが形成され、第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bの間に軸線Pに直交する方向に延在する軸直周面14cが形成されている。第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bは、ブラケット内径部15から外径側ブラケット13に向うに従い徐々に拡径した面である。
また、一対のブラケット3,4のうち他方のブラケット4も、一方のブラケット3と同様に、外径側ブラケット13、中間ブラケット14及びブラケット内径部15を備え、中間ブラケット14の外壁に、第1ブラケット側テーパ周面14a、第2ブラケット側テーパ周面14b及び軸直周面14cが形成されている。
【0016】
一方の軸受ハウジング8は、図2に示すように、ブラケット内径部15の外壁に当接し、ロータ鉄心7のスリーブ7aの外周に挿入されて軸受10を支持する環状の第1ハウジング16と、軸受10及び第1ハウジング16を支持する環状の第2ハウジング17と、を備えている。
第1ハウジング16の内側には、軸直支持面16a及び軸方向支持面16bが互いに直交する面で形成されており、軸直支持面16aに軸受10の一方の軸方向側面(図2の左側)が当接し、軸方向支持面16bに外輪10bの外周が当接した状態で配置されている。軸直支持面16aの軸受10を向く面には、グリースを溜めておくグリースポケット16cが形成されている。そして、第1ハウジング16の内径部は、環状溝7bが形成されているスリーブ7aの外周に挿入されている。そして、ロータシャフト6の軸線Pに沿う第1ハウジング16の外周には係合周溝20が形成されている。
【0017】
第2ハウジング17の内径部は、カラー23を介してロータシャフト6の外周に挿入されている。カラー23の外周には環状溝23aが形成されている。この第2ハウジング17は、軸直支持面17a及び軸方向支持面17bが互いに直交する面で形成されている。軸方向支持面17bの軸受10を向く面には、グリースを溜めておくグリースポケット17eが形成されている。
第2ハウジング17の外径側には、中間ブラケット14の第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bに面接触する第1ハウジング側テーパ周面17c及び第2ハウジング側テーパ周面17dが形成されている。また、第2ハウジング17には、軸方向に貫通するボルト貫通穴18及びハウジング移動用ねじ穴19が形成されており、ハウジング移動用ねじ穴19には、ねじ穴閉塞ボルトB2がねじ込まれている。
【0018】
また、中間ブラケット14には、ブラケット側ねじ穴14dが形成されている。このブラケット側ねじ穴14dは、第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bに、第2ハウジング17の第1ハウジング側テーパ周面17c及び第2ハウジング側テーパ周面17dが当接し、軸受10の他方の軸方向側面に第2ハウジング17の軸直支持面17aが当接し、軸受10の外輪10bに第2ハウジング17の軸方向支持面17bが当接したときに、ボルト貫通穴18に対向する。
そして、ボルト貫通穴18に挿通したハウジング用ボルトB1を、中間ブラケット14のブラケット側ねじ穴14dにねじ込むと、第2ハウジング17の第1ハウジング側テーパ周面17c及び第2ハウジング側テーパ周面17dが第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bに密着した状態で、第2ハウジング17の軸直支持面17aが軸受10の軸方向及び第1ハウジング16を支持し、軸方向支持面17bが軸受10の径方向を支持する。
【0019】
また、一対の軸受ハウジング8,9のうち他方の軸受ハウジング9も、一方の軸受ハウジング8と同一形状に形成されており、ブラケット内径部15の外壁に当接して軸受11を支持する環状の第1ハウジング16と、軸受11及び第1ハウジング16を支持する環状の第2ハウジング17と、を備えている。
【0020】
[第1実施形態の軸受交換方法]
次に、上記構成の車両用主電動機1から一対の軸受10,11を交換する方法について、図2から図4を参照して説明する。
一方の軸受10をロータシャフト6から引き抜く場合は、先ず、ハウジング移動用ねじ穴19にねじ込まれているねじ穴閉塞ボルトB2を抜き取る。次に、中間ブラケット14のブラケット側ねじ穴14dにねじ込まれているハウジング用ボルトB1を、ブラケット側ねじ穴14d及びボルト貫通穴18から抜き取り、ハウジング移動用ねじ穴19にねじ込んでいく。
【0021】
次に、図3に示すように、ハウジング移動用ねじ穴19に対するハウジング用ボルトB1のねじ込み量を増大させ、ハウジング用ボルトB1の先端を中間ブラケット14の軸直周面14cに当接させることで、中間ブラケット14の第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bから第2ハウジング17の第1ハウジング側テーパ周面17c及び第2ハウジング側テーパ周面17dを離間させた状態で、第2ハウジング17を軸方向の一端側(図3の右側)に移動させてロータシャフト6の外周から取り外す。次いで、ロータシャフト6の外周に配置されているカラー23もロータシャフト6の外周から取り外す。
【0022】
次に、図4に示すように、ロータシャフト6の一端側で、第1ハウジング16の係合周溝20に、プーラー22の係合爪22fを係合させる。
プーラー22は、ねじ軸22aと、ねじ軸22aの一方の端部に設けた回転ハンドル22bと、ねじ軸22aの雄ねじに螺合する雌ねじ22cを設けたプーラー本体22dと、プーラー本体22dの外周の周方向に等間隔の位置で連結されて外方に突出している複数の係合部材22eと、各係合部材22eの先端に設けた係合爪22fと、を備えている。
このプーラー22のねじ軸22aをロータシャフト6の軸線Pに同軸に配置し、ねじ軸22aの他方の端部をロータシャフト6の一端側の端面に当接した状態で、複数の係合部材22eの係合爪22fを、第1ハウジング16の係合周溝20に係合する。
【0023】
次に、回転ハンドル22bの操作によりねじ軸22aを所定方向に回転してプーラー本体22dをねじ軸22aの一方の端部側(図3の右側)に移動させていく。プーラー本体22dとともに複数の係合部材22eがねじ軸22aの一方の端部側に移動することで、複数の係合部材22eの係合爪22fに係合周溝20が係合している第1ハウジング16及び第1ハウジング16の軸直支持面16aに一方の軸方向側面が当接している軸受10とが、ロータシャフト6の一端側に移動していく。これにより、第1ハウジング16及び軸受10をロータシャフト6の外周から引き抜くことができる。
【0024】
この際、軸受ハウジング8(第1ハウジング16、第2ハウジング17)及び軸受10が引き抜かれたロータシャフト6は、サイドブラケット3のブラケット内径部15の内径部15aにロータ鉄心7のスリーブ7aを介して仮支持される。
また、他方の軸受11をロータシャフト6から引き抜く際にも、上述した一方の軸受10をロータシャフト6から引き抜く方法と同様の手順で行う。そして、軸受ハウジング9(第1ハウジング16、第2ハウジング17)及び軸受11が引き抜かれたロータシャフト6も、サイドブラケット3のブラケット内径部15の内径部15aにロータ鉄心7のスリーブ7aを介して仮支持される。
【0025】
一方、分解保守した新たな軸受10を車両用主電動機1に装着する場合には、先ず、第1ハウジング16の内径部をロータ鉄心7のスリーブ7aに装着し、ブラケット内径部15の外壁に当接させる。次いで、新たな軸受10をロータシャフト6の外周に装着する。
次に、ロータシャフト6の外周にカラー23を挿入した後、第2ハウジング17をカラー23の外周に装着する。そして、第2ハウジング17を、ロータシャフト6の外周に配置した第1ハウジング16及び軸受10側に向けて移動していく。そして、第2ハウジング17を中間ブラケット14の外壁に当接させた状態で、第2ハウジング17のボルト貫通穴18を挿通したハウジング用ボルトB1を中間ブラケット14のブラケット側ねじ穴14dにねじ込む。これにより、新たな軸受10が車両用主電動機1に装着される。
【0026】
この際、第1ハウジング16及び第2ハウジング17に支持される軸受10は、第2ハウジング17の第1ハウジング側テーパ周面17c及び第2ハウジング側テーパ周面17dが中間ブラケット14の第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bに面接触した状態で配置されることで、ロータシャフト6の軸線Pに一致するように心出し調整が行われる。
また、他方の新たな軸受11を分解保守して車両用主電動機1に装着する場合にも、上述した新たな軸受10を車両用主電動機1に装着する方法と同様の手順で行う。
【0027】
[第1実施形態の効果]
上述した第1実施形態によると、一対の軸受ハウジング8,9及び一対の軸受10,11が引き抜かれたロータシャフト6は、一対のサイドブラケット3,4のブラケット内径部15の内径部15aにロータ鉄心7のスリーブ7aを介して仮支持されるので、軸受10,11の分解保守に費やす労力を大幅に低減することができる。
また、第1実施形態の車両用主電動機1は、軸受10,11をロータシャフト6から引き抜くときだけ使用するロータシャフト6を支持する部品を設ける必要がなく、従来の車両用主電動機と比較して部品点数を減らすことができるので、製造コストの低減化を図ることができる。
【0028】
また、図3に示したように、ハウジング移動用ねじ穴19に対するハウジング用ボルトB1のねじ込み量を増大させ、ハウジング用ボルトB1の先端を中間ブラケット14の軸直周面14cに当接させることで、第2ハウジング17を軸方向の端部に移動させてロータシャフト6の外周から簡単に取り外すことができる。また、図4に示したように、プーラー22の回転ハンドル22bの操作によりねじ軸22aを所定方向に回転してプーラー本体22dをねじ軸22aの端部側に移動させていくと、プーラー本体22dとともに複数の係合部材22eがねじ軸22aの一方の端部側に移動し、第1ハウジング16及び軸受10(11)が、ロータシャフト6の端部に移動していくので、第1ハウジング16及び軸受10(11)もロータシャフト6の外周から簡単に引き抜くことができる。
【0029】
また、分解保守した新たな軸受10,11を車両用主電動機1に装着する場合は、第2ハウジング17の第1ハウジング側テーパ周面17c及び第2ハウジング側テーパ周面17dが、中間ブラケット14の第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bに密着(面接触)した状態で配置されることで、ロータシャフト6の軸線Pに一致するように軸受10,11の心出し調整を自動的に行うことができるので、軸受10,11の組付け精度を向上させることができる。
【0030】
[第2実施形態]
次に、図5及び図6は、本発明に係る第2実施形態の車両用主電動機1の軸受構造の要部を示すものである。なお、図1から図4で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の軸受ハウジング8は、図5に示すように、ブラケット内径部15の外壁に当接して軸受10を支持する環状の第1及び第2ハウジング25,26を備えている。これら第1及び第2ハウジング25,26は、ロータシャフト6の軸線P方向に2分割された形状である。
【0031】
第1ハウジング25の内側には、軸直支持面25a及び軸方向支持面25bが互いに直交する面で形成されており、軸直支持面25aに軸受10の一方の軸方向側面(図5の左側)が当接し、軸方向支持面25bに外輪10bの外周の一部が当接した状態で配置されている。第1ハウジング25の外周には、中間ブラケット14の第1ブラケット側テーパ周面14aに面接触で当接する第1ハウジング側テーパ周面25cが形成されている。
第2ハウジング26の内径側には、軸直支持面26a及び軸方向支持面26bが互いに直交する面で形成されている。軸直支持面26aに軸受10の他方の軸方向側面が当接し、軸方向支持面26bに外輪10bの残りの外周が当接した状態で配置されている。第2ハウジング26の外周には、中間ブラケット14の第2ブラケット側テーパ周面14bに面接触で当接する第2ハウジング側テーパ周面26cが形成されている。
【0032】
第1及び第2ハウジング25,26には、軸方向に貫通するボルト貫通穴27,28が形成されており、中間ブラケット14のハウジング移動用ねじ穴14dは、ボルト貫通穴27,28に対向している。そして、ボルト貫通穴27,28に挿通したハウジング用ボルトB1を、中間ブラケット14のブラケット側ねじ穴14dにねじ込むと、第1ハウジング25の第1ハウジング側テーパ周面25c及び第2ハウジング26の第2ハウジング側テーパ周面26cが、中間ブラケット14の第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bに密着した状態で、第1及び第2ハウジング25,26が軸受10を支持する。
【0033】
また、第1ハウジング25には連結用ねじ穴29が形成され、第2ハウジング26には、第1ハウジング25の連結用ねじ穴29に対応する連結用ねじ穴30が貫通して形成され、ハウジング用ボルトB3をねじ込むことで、第1及び第2ハウジング25,26が連結されている。
さらに、第2ハウジング26には、中間ブラケット14の軸直周面に対向して軸方向に貫通するハウジング移動用ねじ穴31が形成されており、ハウジング移動用ねじ穴31にねじ穴閉塞ボルトB2がねじ込まれている。
また、図示しないが、一対の軸受ハウジング8,9のうち他方の軸受ハウジング9も、一方の軸受ハウジング8と同一形状に形成されており、ブラケット内径部15の外壁に当接して軸受11を支持する環状の第1及び第2ハウジング25,26を備えている。
【0034】
[第2実施形態の軸受交換方法]
そして、一方の軸受10をロータシャフト6から引き抜く場合には、先ず、ハウジング移動用ねじ穴31にねじ込まれているねじ穴閉塞ボルトB2を抜き取る。次に、中間ブラケット14のブラケット側ねじ穴14dにねじ込まれているハウジング用ボルトB1を、ブラケット側ねじ穴14d及びボルト貫通穴27,28から抜き取り、ハウジング移動用ねじ穴31にねじ込んでいく。
【0035】
次に、図6に示すように、ハウジング移動用ねじ穴31に対するハウジング用ボルトB1のねじ込み量を増大させ、ハウジング用ボルトB1の先端を中間ブラケット14の軸直周面14cに当接させることで、第1及び第2ハウジング25,26、カラー23及び軸受10を軸方向の一端側(図6の右側)に移動させてロータシャフト6の外周から取り外す。
この際、軸受ハウジング8(第1ハウジング25、第2ハウジング26)及び軸受10が引き抜かれたロータシャフト6は、サイドブラケット3のブラケット内径部15の内径部15aにロータ鉄心7のスリーブ7aを介して仮支持される。
【0036】
また、他方の軸受11をロータシャフト6から引き抜く際にも、上述した一方の軸受10をロータシャフト6から引き抜く方法と同様の手順で行う。そして、軸受ハウジング9(第1ハウジング25、第2ハウジング26)及び軸受11が引き抜かれたロータシャフト6は、サイドブラケット4のブラケット内径部15の内径部15aにロータ鉄心7のスリーブ7aを介して仮支持される。
一方、分解保守した新たな軸受10を車両用主電動機1に装着する場合は、先ず、外周に軸受ハウジング9(第1ハウジング25、第2ハウジング26)を装着した新たな軸受10を、ロータシャフト6の外周に一端側から装着するとともに、第2ハウジング26の内径部にカラー23を装着する。そして、ボルト貫通穴27,28に挿通したハウジング用ボルトB1を、中間ブラケット14のブラケット側ねじ穴14dにねじ込む。これにより、新たな軸受10が車両用主電動機1に装着される。
【0037】
この際、第1ハウジング25及び第2ハウジング26に支持される軸受10は、第1ハウジング25の第1ハウジング側テーパ周面25c及び第2ハウジング26の第2ハウジング側テーパ周面26cが中間ブラケット14の第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bに面接触した状態で配置されることで、ロータシャフト6の軸線Pに一致するように心出し調整が行われる。
また、他方の新たな軸受11を分解保守して車両用主電動機1に装着する場合にも、上述した新たな軸受10を車両用主電動機1に装着する方法と同様の手順で行う。
【0038】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態によると、第1実施形態と同様に、一対の軸受ハウジング8,9及び一対の軸受10,11が引き抜かれたロータシャフト6は、一対のサイドブラケット3,4のブラケット内径部15の内径部15aにロータ鉄心7のスリーブ7aを介して仮支持されるので、軸受10,11の分解保守に費やす労力を大幅に低減することができる。
また、第2実施形態も、軸受10,11をロータシャフト6から引き抜くときにロータシャフト6を支持する部品を設ける必要がなく、従来の車両用主電動機と比較して部品点数を減らすことができるので、製造コストの低減化を図ることができる。
【0039】
また、分解保守した新たな軸受10,11を車両用主電動機1に装着する場合は、第1ハウジング25の第1ハウジング側テーパ周面25c及び第2ハウジング26の第2ハウジング側テーパ周面26cが中間ブラケット14の第1ブラケット側テーパ周面14a及び第2ブラケット側テーパ周面14bに面接触した状態で配置されることで、ロータシャフト6の軸線Pに一致するように軸受10,11の心出し調整を自動的に行うことができるので、軸受10,11の組付け精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 車両用主電動機
2 ケース
3,4 サイドブラケット
5 ステータ鉄心
6 ロータシャフト
7 ロータ鉄心
7a スリーブ
7b 環状溝
7c 環状凹部
8,9 軸受ハウジング
10,11 軸受
10a,11a 内輪
10b,11b 外輪
10c,11c 転動体
13 外径側ブラケット
14 中間ブラケット
14a 第1ブラケット側テーパ周面(ブラケット側テーパ周面)
14b 第2ブラケット側テーパ周面(ブラケット側テーパ周面)
14c 軸直周面
14d ブラケット側ねじ穴
15 ブラケット内径部
15a 内径部
15b 環状凸部
16 第1ハウジング
16a 軸直支持面
16b 軸方向支持面
16c グリースポケット
17 第2ハウジング
17a 軸直支持面
17b 軸方向支持面
17c 第1ハウジング側テーパ周面(ハウジング側テーパ周面)
17d 第2ハウジング側テーパ周面(ハウジング側テーパ周面)
17e グリースポケット
18 ボルト貫通穴
19 ハウジングねじ穴(ねじ穴)
20 係合周溝
22 プーラー
22a ねじ軸
22b 回転ハンドル
22c 雌ねじ
22d プーラー本体
22e 係合部材
22f 係合爪
25 第1ハウジング
25a 直支持面
25b 軸方向支持面
25c 1ハウジング側テーパ周面
26 第2ハウジング
26a 軸直支持面
26b 軸方向支持面
26c 第2ハウジング側テーパ周面
27,28 ボルト貫通穴
29,30 連結用ねじ穴
31 ハウジング移動用ねじ穴
B1,B3 ハウジング用ボルト
B2 ねじ穴閉塞ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6