(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240110BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240110BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/14
G03G21/00 386
G03G21/00 500
(21)【出願番号】P 2020001693
(22)【出願日】2020-01-08
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕徳
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-178488(JP,A)
【文献】特開2003-302873(JP,A)
【文献】特開2014-071409(JP,A)
【文献】特開2018-036525(JP,A)
【文献】特開2019-191248(JP,A)
【文献】特開2018-092038(JP,A)
【文献】特開2009-265173(JP,A)
【文献】特開2014-215581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を所定の搬送方向に給紙する給紙装置と、
前記給紙装置よりも前記搬送方向の下流側に配置されて、前記給紙装置から給紙された用紙にトナー像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも前記搬送方向の上流側に配置されて、前記給紙装置で給紙された用紙を前記画像形成部に搬送するレジストローラー対と、
前記画像形成部よりも前記搬送方向の下流側に配置されて、熱源によって加熱される定着部材と、前記定着部材との間に加圧領域を形成する加圧部材と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材とが回転することで、前記画像形成部を通過した用紙が前記加圧領域を通過する際に用紙にトナー像を定着する定着装置と、
前記給紙装置から前記画像形成部を通って前記定着装置へ用紙が搬送される搬送路と、
前記定着装置よりも前記搬送方向の下流側の前記搬送路に配置され、用紙の通過に応じてオン信号又はオフ信号を出力する第1センサーと、
前記レジストローラー対よりも前記搬送方向の上流側の前記搬送路に配置され、用紙の通過に応じてオン信号又はオフ信号を出力する第2センサーと、
前記第1センサー及び第2センサーからのオン信号又はオフ信号の受信に基づいて
用紙の紙詰まりの発生を判定して、前記熱源の稼働
の停止及び前記定着部材の回転
の停止をそれぞれ制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1センサーからのオン信号又はオフ信号を正常に検知しない場合には、
直ちに前記熱源の稼働を停止
し且つ前記定着部材の回転を停止し、
前記第2センサーからのオン信号又はオフ信号を正常に検知しない場合には、
直ちに前記熱源の稼働を停止
し、前記熱源の稼働の停止から所定時間経過後に前記定着部材の回転を停止
し、
前記所定時間は、前記第2センサーで用紙の通過を正常に検知しないまでの連続印字動作における印刷枚数が多いと長くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙の搬送に異常が発生したことを報知する報知部を備え、
前記第2センサーが用紙の通過を正常に検知しない場合に、前記報知部は、前記所定時間後に、用紙の搬送に異常が発生したことを報知することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着部材は、無端状の定着ベルトであり、
前記熱源は、前記定着部材の中空部に配置されるハロゲンヒーターであり、
前記加圧領域において前記定着部材を内周面側から潤滑剤を介して前記加圧部材に押し当てる押し当て部材をさらに備え、
前記定着部材は前記加圧部材の回転に従動して回転することを特徴とする請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙にトナー像を定着させる定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着ベルトを使用する方式の定着装置では、特許文献1に記載されているように、ハロゲンヒーターのような熱源が定着ベルトの中空部に搭載される場合がある。定着ベルトは、内周面側から押し当て部材によって加圧ローラーに押し当てられて、定着ベルトと加圧ローラーとの間に加圧領域が形成されている。加圧ローラーが駆動されて回転し、定着ベルトが加圧ローラーに従動して回転すると、トナー像が転写された用紙が加圧領域を通過する。用紙が加圧領域を通過中、トナー像が加熱及び加圧されて用紙に定着される。
【0003】
定着ベルトは、加圧ローラーに従動して回転する際、押し当て部材に対して摺動する。一般に、押し当て部材と定着部材との摩擦を低減するために、定着ベルトと押し当て部材との間には潤滑剤(オイルやグリース)が介在されている。これにより、定着部材を円滑に回転させることができる。
【0004】
このような定着装置を備える画像形成装置において、画像形成動作中に紙詰まりが発生すると、一般的に、画像形成装置は、定着動作を含む画像形成動作を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙詰まりが発生して定着動作が停止した場合、上記特許文献1に記載された定着装置では、加圧ローラーの駆動が停止されて定着ベルトの回転が停止する。すると、ハロゲンヒーターに蓄積された熱によって、定着ベルトが部分的に過昇温(オーバーヒート)することがある。オーバーヒートが頻繁に発生すると、定着ベルトと押し当て部材との間に介在される潤滑剤が枯渇して、定着ベルトが加圧ローラーに従動して円滑に回転しなくなってしまう。この結果、定着装置で紙詰まりが発生することがある。
【0007】
本発明は上記事情を考慮し、紙詰まり発生時の定着ベルトのオーバーヒートを抑制できる定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、用紙を所定の搬送方向に給紙する給紙装置と、前記給紙装置よりも前記搬送方向の下流側に配置されて、前記給紙装置から給紙された用紙にトナー像を形成する画像形成部と、前記画像形成部よりも前記搬送方向の下流側に配置されて、熱源によって加熱される定着部材と、前記定着部材との間に加圧領域を形成する加圧部材と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材とが回転することで、前記画像形成部を通過した用紙が前記加圧領域を通過する際に用紙にトナー像を定着する定着装置と、前記給紙装置から前記画像形成部を通って前記定着装置へ用紙が搬送される搬送路と、前記定着装置よりも前記搬送方向の下流側の前記搬送路に配置された第1センサーと、前記定着装置よりも前記搬送方向の上流側の前記搬送路に配置された第2センサーと、を備え、前記定着装置は、前記第1センサーが用紙の通過を正常に検知しない場合には、前記熱源の稼働を停止すると共に前記定着部材の回転を停止し、前記第2センサーが用紙の通過を正常に検知しない場合には、前記熱源の稼働を停止すると共に所定時間経過後に前記定着部材の回転を停止することを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置においが、前記所定時間は、前記第2センサーで用紙の通過を正常に検知しないまでの連続印字動作における印刷枚数が多いと長くすることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の画像形成装置において、用紙の搬送に異常が発生したことを報知する報知部を備え、前記第2センサーが用紙の通過を正常に検知しない場合に、前記報知部は、前記所定時間後に、用紙の搬送に異常が発生したことを報知することを特徴としてもよい。
【0011】
本発明の画像形成装置において、前記定着部材は、無端状の定着ベルトであり、前記熱源は、前記定着部材の中空部に配置されるハロゲンヒーターであり、前記加圧領域において前記定着部材を内周面側から潤滑剤を介して前記加圧部材に押し当てる押し当て部材をさらに備え、前記定着部材は前記加圧部材の回転に従動して回転することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、定着装置以外で紙詰まり等の用紙の搬送の異常が発生した場合は、熱源の稼働を停止してから所定時間は定着部材を回転させるので、定着部材が局所的に過昇温することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の定着装置と定着センサーとを示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の定着装置を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の定着装置を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の画像形成装置について説明する。
【0015】
まず、
図1を参照して、画像形成装置1について説明する。
図1は画像形成装置1の内部構成を模式的に示す正面図である。以下の説明において、
図1の紙面手前方向を画像形成装置1の前側とする。各図に適宜示されるFr、Rr、L、Rは、画像形成装置1の前側、後側、左側、右側をそれぞれ示す。
【0016】
画像形成装置1の装置本体2には、用紙Sが収容される給紙カセット3と、給紙カセット3から用紙Sを送り出す給紙装置5と、用紙Sにトナー像を形成する画像形成部7と、トナー像を用紙Sに定着する定着装置9と、用紙Sを排紙する排紙装置11と、排紙された用紙Sが積載される排紙トレイ13と、が備えられている。さらに、装置本体2には、給紙装置5から、画像形成部7と定着装置9とを通って排紙装置11に向かう搬送方向Yに沿った用紙Sの搬送経路15が形成されている。搬送経路15には、画像形成部7の上流側に、レジストローラー対17が備えられている。
【0017】
さらに、搬送経路15には、レジストローラー対17の上流側に、第2センサーとしての給紙センサー21が設けられ、定着装置9の下流側に、第1センサーとしての定着センサー23が設けられる。
【0018】
図2を参照して、定着センサー23の一例について説明する。
図2は定着装置9と定着センサー23とを示す正面図である。なお、給紙センサー21も定着センサー23と同様の構成である。
【0019】
定着センサー23は、用紙Sが当接することで回動するアクチュエータ25と、アクチュエータ25の回動によって光路が形成又は遮断されるフォトインターラプター27と、を備える。フォトインターラプター27は、制御部19と電気的に接続して、光路が形成されるとオン信号を制御部19に送信し、光路が遮断されるとオフ信号を制御部19に送信する。
【0020】
次に、
図3及び
図4を参照して、定着装置9について説明する。
図3は定着装置9の断面図、
図4は定着装置9の分解斜視図である。
【0021】
定着装置9は、定着部材としての定着ベルト31と、定着ベルト31を加熱する熱源としてのハロゲンヒーター33と、定着ベルト31との間に加圧領域Nを形成する加圧部材としての加圧ローラー35と、加圧領域Nにおいて定着ベルト31を加圧ローラー35に押し当てる押し当て部材37と、ファン39(
図1参照)と、を備えている。
【0022】
定着ベルト31は、所定の内径を有し、用紙Sの幅よりも長い幅を有する無端状ベルトである。定着ベルト31は、可撓性を有する材料で形成され、基材層と、基材層の外周面に設けられる弾性層と、弾性層の外周面に設けられる離型層と、を有している。基材層は、SUSやNi等の金属で形成されている。弾性層は、シリコンゴム等で形成される。離型層は、PFAチューブ等で形成される。定着ベルト31の両端部は、定着ハウジング(図示省略)に回転可能に支持されている。
【0023】
定着ベルト31の中空部の下部には、ステー41が貫通している。ステー41は、定着ベルト31の幅方向Xの長さよりも長い、上面が開口したチャンネル状の部材である。ステー41の両端部は、定着ハウジングに支持されている。ステー41の底板には、幅方向Xに所定の間隔を開けて3つの位置決め孔43が形成されている。ステー41の上面には、反射板45が支持されている。
【0024】
ハロゲンヒーター33は、定着ベルト31の幅方向Xに沿う長さと同等の長さを有している。ハロゲンヒーター33は、定着ベルト31の中空部の上部(ステー41の上方)に配置されて、両端部が定着ハウジングに支持されている。ハロゲンヒーター33は、定着ベルト31の内周面(主に上側の半周よりもやや狭い部分)に輻射熱を放射し、定着ベルト31を加熱する。ハロゲンヒーター33から下方に放射された輻射熱は、反射板45によって定着ベルト31の内周面に反射される。ハロゲンヒーター33は制御部19と電気的に接続している。
【0025】
加圧ローラー35は、芯金と、芯金の外周面に設けられる弾性層と、弾性層の外周面に設けられる離型層と、を有している。弾性層は、シリコンゴム等で形成される。離型層は、PFAチューブ等で形成される。
【0026】
加圧ローラー35は、定着ベルト31の下方に配置されて、定着ハウジングに支持されている。加圧ローラー35は、定着ベルト31の外周面に接触して、加圧ローラー35と定着ベルト31との間に加圧領域Nを形成する。加圧ローラー35は、モーター(図示省略)に接続して回転駆動される。モーターは、制御部19と電気的に接続している。加圧ローラー35が
図3の反時計回り方向に回転すると、定着ベルト31は、加圧ローラー35に従動して加圧ローラー35の回転方向とは反対の時計回り方向に回転する。この結果、用紙Sが搬送方向Yに沿って加圧領域Nを通過する。
【0027】
押し当て部材37は、ベース板47と、ベース板47に巻き付けられて固定される摺動シート49と、を有している。
【0028】
ベース板47は、定着ベルト31の幅方向Xに長い扁平な略直方体状の部材であり、液晶ポリマー等の樹脂で形成されている。ベース板47の上面には、複数個(18個)の突起51と、複数本(7本)の固定ピン53と、複数本(3本)の位置決めピン55と、が所定の位置に立設されている。ベース板47の下面は凹状に形成されている。
【0029】
摺動シート49は、ベース板47の幅と等しい幅で、ベース板47に一周巻き付け可能な長さを有する長方形のシート状の部材であり、一例として、PTFE繊維とPPS繊維を編み込んで形成されている。摺動シート49は、ベース板47に一周巻き付けられて、両端部がベース板47の上面に重ねられている。両端部には、それぞれ、ベース板47の突起51と固定ピン53と位置決めピン55とがそれぞれ嵌合可能な貫通孔61と固定孔63と位置決め孔65とが開けられている。
【0030】
押し当て部材37は、ベース板47の位置決めピン55が、ステー41の位置決め孔43に嵌め込まれることで、ステー41に位置決めされている。押し当て部材37(摺動シート49)は、加圧領域Nにおいて定着ベルト31の内周面に潤滑剤(オイル、グリース)を介して接触している。
【0031】
ファン39は、定着ベルト31及び加圧ローラー35の手前側に配置されている(
図1には便宜的に加圧ローラー35の下方に描かれている)。ファン39は、外部の空気を吸引して定着ベルト31や加圧ローラー35に吹き付ける。ファン39は制御部19と電気的に接続している。
【0032】
次に、
図5のブロック図を参照して、制御部19について説明する。制御部19には、給紙センサー21と定着センサー23の各フォトインターラプター27から、オン信号又はオフ信号が入力される。
【0033】
制御部19は、フォトインターラプター27から受信された信号を基にして紙詰まりを判定する。例えば、用紙Sが当接してアクチュエータ25が一方向に回動して光路が形成される(
図2の二点鎖線参照)と、フォトインターラプター27はオン信号を制御部19に送信する。用紙Sが適切に搬送されてアクチュエータ25から用紙Sが離間し、アクチュエータ25が他方向に回動して光路が遮断されると、フォトインターラプター27はオフ信号を制御部19に出力する。制御部19は、オン信号の受信時間が所定時間の場合は、用紙Sが適切に搬送されたと判定する。一方、オン信号の受信時間が所定時間よりも長い場合(所定時間後にオン信号からオフ信号に切り替わらない場合)は、用紙Sがアクチュエータ25から離間せずアクチュエータ25が光路を形成したままの状態である、すなわち、用紙Sが適切に搬送されずに紙詰まりが発生していると判定する。また、給紙センサー21のオン信号の受信から所定時間経過し、かつ給紙センサー21がオフ信号を検知しているのに定着センサー23のオン信号が受信されない場合にも、用紙Sが定着装置9の下流に適切に搬送されずに紙詰まりが発生していると判定する。
【0034】
制御部19は、ハロゲンヒーター33を稼働又は稼働を停止する。また、制御部19は、加圧ローラー35のモーターを駆動して加圧ローラー35を所定の方向に回転させる。さらに、制御部19は、ファン39を駆動又は駆動を停止する。さらに、制御部19には、1回の画像形成動作(定着動作)における印刷枚数が入力される。印刷枚数は、例えば、スタートボタンが押されたり画像形成命令が入力されたりすることで開始される1回のJOB当たりの印刷枚数であり、例えば、給紙センサー21のオン信号とオフ信号との切り替え回数等に基づいて算出される。
【0035】
また、制御部10は、報知部としての操作パネル71と電気的に接続している。操作パネル71には、液晶ディスプレイや、画像形成動作に関する種々の指示を入力する操作ボタン等が備えられている。
【0036】
上記構成を有する定着装置9の定着動作について説明する。まず、制御部19がモーターを駆動して加圧ローラー35を回転させる。定着ベルト31は、押し当て部材37によって加圧ローラー35に押し当てられて、加圧ローラー35の回転方向とは反対の方向に従動回転する。この際、摺動シート49は、潤滑剤を介して定着ベルト31の内周面に対して摺動する。さらに、制御部19はハロゲンヒーター33を稼働し、ハロゲンヒーター33が定着ベルト31を加熱する。定着ベルト31は、トナー像を用紙Sに定着可能な定着可能温度(例えば、160℃)となるまで加熱される。このように定着ベルト31が加熱された後、トナー像が転写された用紙Sが加圧領域Nに搬送される。加圧領域Nにおいて、用紙Sは定着ベルト31と加圧ローラー35とに挟持されて搬送される。この際、定着ベルト31によってトナー像が加熱されると共に加圧ローラー35と定着ベルト31とによって加圧されて、トナー像が用紙Sに定着される。トナー像が定着された用紙Sは、搬送経路15に沿って搬送される。
【0037】
次に、給紙センサー21で紙詰まりが検知された場合について説明する。給紙装置5が給紙動作を開始してから所定時間経過しても給紙センサー21がオン信号を検知しない場合は、制御部19は、用紙Sが給紙カセット3から給紙センサー21まで適切に搬送されずに無給紙が発生したと判定する。また、給紙センサー21のオン信号を受信してから所定のタイミングでレジストローラー対17の回転を開始して、所定時間経過しても給紙センサー23のオフ信号が受信されない場合も、制御部19は、レジストローラー対17により用紙Sが適切に搬送されずに、紙詰まりが発生していると判定する。給紙センサー21で紙詰まり等の用紙Sの搬送の異常が検知された場合、制御部19は、ハロゲンヒーター33の稼働を停止する。さらに、紙詰まりが検知されてから所定の時間経過した後、モーターの駆動を停止して、加圧ローラー35の回転を停止する、すなわち、定着ベルト31の回転を停止する。
【0038】
制御部19は、紙詰まりが検知されるまで(用紙Sの正常な通過が検知されないまで)の連続印字動作における印刷枚数を基にして、所定時間を決定する。具体的には、印刷枚数が多いほど、所定時間を長くする。一例として、印刷枚数が1~5枚の場合は0秒、6~29枚の場合は5秒、30~49枚の場合は10秒、50枚以上の場合は20秒とする。なお、この所定時間内に、制御部19は、操作パネル71に紙詰まり等の用紙Sの搬送の異常が発生したことを表示してもよい。あるいは、所定時間経過後(定着ベルト31の回転停止後)に、操作パネル71に表示してもよい。
【0039】
一方、定着センサー23で紙詰まり等の用紙Sの搬送の異常が検知された場合は、制御部19は、ハロゲンヒーター33の稼働を停止するとともに、モーターの駆動を停止して、加圧ローラー35の回転を停止する、すなわち、定着ベルト31の回転を停止する。この場合も、制御部19は、操作パネル71に紙詰まり等の用紙Sの搬送の異常が発生したことを表示してもよい。
【0040】
また、制御部19は、給紙センサー21又は定着センサー23によって紙詰まり等の用紙Sの搬送の異常が検知された場合、ファン39を駆動させて、定着ベルト31や加圧ローラー35を冷却する。あるいは、紙詰まりの処理のために、画像形成装置1のカバー(図示省略)が開かれた場合に、制御部19がファン39を駆動する。
【0041】
上記説明したように本発明の定着装置9によれば、定着装置9以外で紙詰まり等の用紙Sの搬送の異常が発生した場合は、ハロゲンヒーター33の稼働を停止してから所定時間は加圧ローラー35を回転させる、すなわち、定着ベルト31を回転させるので、定着ベルト31が局所的に過昇温することを防止できる。したがって、定着ベルト21の劣化や潤滑剤の枯渇を防ぎ、定着ベルト31を安定して回転させることができる。
【0042】
一方で、定着装置9で紙詰まり等の用紙Sの搬送の異常が発生した場合には、速やかにハロゲンヒーター33の稼働を停止すると共に加圧ローラー35の回転、すなわち、定着ベル31トの回転を停止するので、定着装置9で用紙Sが蛇腹状に折れ曲がったり、分離部材で適切に分離されずに巻き込まれたりする紙詰まりを防止できる。
【0043】
また、印刷枚数が多い場合は、ハロゲンヒーター33に蓄積される熱量が増えるので、ハロゲンヒーター33の温度が低下するまでの時間が長くなる。そこで、定着装置9以外で紙詰まりした場合には、連続印字動作における印刷枚数が多いと定着ベルト31の回転時間を長くすることで、定着ベルト31に伝わる熱量を分散して定着ベルト31の局所的なオーバーヒートを防止できる。なお、本実施形態では、1回のJOBにおける印刷枚数に基づいて所定時間を設定した。しかし、所定時間は、1回のJOBに限らず、紙詰まりが検知される前の所定時間(例えば、10分)内の印刷枚数に基づいて設定されてもよい。あるいは、JOBの回数や印刷枚数に関わらず、一定の時間であってもよい。あるいは、用紙Sの搬送の異常が検知される前の所定時間内の、定着ベルト31又はハロゲンヒーター33が所定温度以上に加熱された時間に基づいて設定されてもよい。
【0044】
なお、定着ベルト31を加熱する熱源は、ハロゲンヒーター33に限らない。また、定着装置9の上流側に配置される第2センサーも、給紙センサー21に限らず、画像形成部7等で発生する紙詰まりを検知するセンサーでもよい。ただし、第2センサーは、特に紙詰まりが発生しやすい箇所に配置することが好ましく、比較的紙詰まりが発生しやすい給紙装置5とレジストローラー対17との間に配置することが好ましい。さらに、定着装置1の定着方式も、本実施形態に限らない。ただし、本実施形態のように、定着ベルト31が押し当て部材37に対して摺動する方式の場合、定着ベルト31と押し当て部材37との間に介在される潤滑剤の枯渇を防止でき、定着ベルト31を安定に回転させる効果を高めることができる。なお、定着ベルトや潤滑剤を使用しない定着方式の場合には、定着部材の部分的な過昇温を防止して、定着部材の劣化を防止することができる。
【0045】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 画像形成装置
5 給紙装置
7 画像形成部
9 定着装置
15 搬送経路
21 給紙センサー(第2センサー)
23 定着センサー(第1センサー)
31 定着ベルト(定着部材)
33 ハロゲンヒーター(熱源)
35 加圧ローラー(加圧部材)
37 押し当て部材
71 操作パネル(報知部)