(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
G01L 19/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01L19/00 Z
(21)【出願番号】P 2020013741
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】宮城 勝
(72)【発明者】
【氏名】大原 健治
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-173931(JP,A)
【文献】特開2018-173278(JP,A)
【文献】特開2018-017588(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0138921(US,A1)
【文献】特開2003-050175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
H01H 1/06-1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通過可能な流路を有するボディに設置して用いられるセンサユニットであって、
中空部を有するケースと、
前記中空部に収納され、端子を有し、前記流路を通過する前記流体の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサを前記ボディに対して押し付ける板状のブラケットと、
前記端子に電気接続されるバスバーとを備え、
前記バスバーは、前記中空部内で前記ブラケットの厚さ方向と交差する方向に延び、前記端子が接するとともに、前記バスバーの中心線が湾曲または屈曲して変形した変形部を有し、
前記変形部は、前記ケースに片持ち支持されることを特徴とするセンサユニット。
【請求項2】
前記変形部は、波形をなす請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記変形部は、固定端と自由端との間が折り返された折り返し部を有し、該折り返し部よりも前記自由端が前記固定端に近い請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記バスバーを複数備え、
前記複数のバスバーには、前記ブラケットの厚さ方向から見たときの前記変形部の形状が互いに異なるバスバーが含まれる請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記変形部は、前記端子が接する部分に、幅が拡大された拡幅部を有する請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記拡幅部は、前記変形部の自由端に設けられる請求項5に記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記変形部は、前記圧力センサが前記流体からの外力を受けた際、前記バスバーに生じる応力を緩和する機能を有する請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記バスバーは、前記圧力センサに対して前記ボディと反対側に配置され、前記圧力センサに電気接続されて、該圧力センサへの電流供給に用いられる電流供給用バスバーと、
前記圧力センサに対して前記ボディと反対側に配置され、前記圧力センサに電気接続されて、該圧力センサの接地に用いられる接地用バスバーと、
前記圧力センサに対して前記ボディと反対側に配置され、前記圧力センサに電気接続されて、該圧力センサの出力に用いられる出力用バスバーとを含む請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項9】
前記電流供給用バスバーおよび前記出力用バスバーの前記変形部の全長は、それぞれ、前記接地用バスバーの前記変形部の全長よりも長い請求項8に記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の車両に搭載され、油圧の制御を行う油圧制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の油圧制御装置は、オイルが流れる油路を有する油路ボディと、油路内を流れるオイルの圧力を計測する複数の圧力センサと、直線状をなし、各圧力センサと接続されるバスバーとを有する圧力センサ装置とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の油圧制御装置では、オイルの圧力の大きさによっては、圧力センサが変位して、バスバーを過剰に押圧するおそれがある。この場合、バスバーは、撓んで応力(内部応力)を解消しようとするが、前記のように直線状をなすため、十分に変形することができず、結果、応力が解消するまでには至らないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、バスバーに無理な力が作用するのを防止することができるセンサユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサユニットの一つの態様によれば、流体が通過可能な流路を有するボディに設置して用いられるセンサユニットであって、中空部を有するケースと、前記中空部に収納され、端子を有し、前記流路を通過する前記流体の圧力を検出する圧力センサと、前記圧力センサを前記ボディに対して押し付ける板状のブラケットと、前記端子に電気接続されるバスバーとを備え、前記バスバーは、前記中空部内で前記ブラケットの厚さ方向と交差する方向に延び、前記端子が接するとともに、前記バスバーの中心線が湾曲または屈曲して変形した変形部を有し、前記変形部は、前記ケースに片持ち支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のセンサユニットの一つの態様によれば、バスバーに無理な力が作用するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明のセンサユニット(第1実施形態)の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すセンサユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すセンサユニットの分解斜視図(圧力センサとバスバーとの位置関係を示す分解斜視図)である。
【
図7】
図7は、本発明のセンサユニット(第2実施形態)の使用状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すセンサユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のセンサユニットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
以下、
図1~
図6を参照して、本発明のセンサユニットの第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸を設定する。一例として、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。本明細書中において、上下方向、水平方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
図1に示すように、圧力制御装置100は、ボディ20と、ボディ20に設置されたセンサユニット1とを備える。圧力制御装置100は、例えば自動車等の車両に搭載され、油圧の制御を行う油圧制御装置として用いられる。
図4に示すように、ボディ20は、流体Qが通過可能な流路201を内部に有する。ボディ20は、例えば、複数枚の板状の部材が重なって組み立てられた組立体で構成される。なお、流体Qとしては、特に限定されず、例えば、圧力制御装置100が自動車用の油圧制御装置として用いられる場合、トランスミッションオイルとすることができる。
【0011】
センサユニット1は、ボディ20の上部に設置して用いられる。センサユニット1は、圧力センサ2と、バスバー6と、ケース5と、キャップ8と、ブラケット3と、位置決め部4とを備える。以下、各部の構成について説明する。
圧力センサ2は、流路201を通過する流体Qの圧力を検出する。圧力センサ2は、回路基板(図示せず)が内蔵されたセンサ本体23と、センサ本体23の上部に突出した3本の端子21と、センサ本体23の下部に設置された圧力検出素子24とを有する。
【0012】
センサ本体23は、外形形状が円柱状または円盤状をなす部分である。センサ本体23の外周部には、周方向に沿ったリング状のフランジ部22が設けられている。本実施形態では、フランジ部22は、端子21の軸と直交する方向、すなわち、XY平面と平行な方向に突出した状態となる。
各端子21は、Z軸方向に向かって突出しており、センサ本体23の内部で前記回路基板と電気接続されている。
【0013】
圧力検出素子24は、例えば歪ゲージを有し、流体Qから作用する力によって、歪ゲージの抵抗値が変化するよう構成される。そして、前記回路基板は、圧力検出素子24での抵抗値を、流体Qの圧力値として変換することができる。
図4に示すように、本実施形態では、ボディ20は、XY平面と平行な流路201につながる側孔202がZ軸方向に沿って設けられている。流路201を通過した流体Qは、側孔202に入り込んで、圧力検出素子24を押圧することができる。このとき、圧力検出素子24は、流体Qから力を受けて、前記のように流体Qの圧力値が検出される。
【0014】
また、圧力センサ2とボディ20との間には、リング状のパッキン203が側孔202と同心状に配置されている。これにより、流体Qが圧力センサ2とボディ20との間から漏出するのを防止することができる。パッキン203は、弾性を有し、圧力センサ2とボディ20との間で圧縮状態となっているのが好ましい。これにより、圧力センサ2とボディ20との間の液密性が高まり、流体Qの漏出防止に寄与する。
【0015】
圧力センサ2に対してボディ20と反対側、すなわち、圧力センサ2の上側には、バスバー6が配置される。バスバー6は、線状をなし、導電性を有する金属材料で構成される。バスバー6は、圧力センサ2の各端子21に電気接続されており、
図2に示すように、電流供給用バスバー6Aと、接地用バスバー6Bと、出力用バスバー6Cとを含む。電流供給用バスバー6Aは、圧力センサ2への電流供給に用いられる。接地用バスバー6Bは、圧力センサ2の接地に用いられる。出力用バスバー6Cは、圧力センサ2の出力に用いられる。電流供給用バスバー6Aと、接地用バスバー6Bと、出力用バスバー6Cとは、XY平面と平行に間隔を置いて配置されている。
【0016】
また、バスバー6には、外部コネクタ(図示せず)が電気接続される。そして、バスバー6と外部コネクタとが電気接続された状態では、電流供給用バスバー6Aを介して、外部からの電流が圧力センサ2に供給される。また、接地用バスバー6Bを介して、圧力センサ2が外部に接地される。また、出力用バスバー6Cを介して、圧力センサ2の出力が外部に送信される。
【0017】
バスバー6は、長さ方向(長手方向)の途中で屈曲または湾曲しており、一端部64および他端部65のうちの他端部65がX軸方向に沿う。このように、バスバー6は、その長さ方向の一端側をブラケット3の短手方向とし、他端側をブラケット3の長手方向として屈曲または湾曲する形状をなしている。これにより、センサユニット1を、少なくとも面方向において、小型化することができる。
【0018】
バスバー6は、ケース5の内側で、支持、固定されている。これにより、バスバー6の不本意な変形を防止するとともに、バスバー6を圧力センサ2の各端子21に対して、より正確に電気接続することができる。
図1、
図2に示すように、ケース5は、長尺状をなすブラケット3の長手方向の途中に配置されている。なお、後述するように、ブラケット3は、圧力センサ2をボディ20に対して押し付ける部材である。また、ケース5は、ブラケット3に固定される固定部50を有する。これにより、ケース5がブラケット3から離脱するのを防止することができ、よって、バスバー6と圧力センサ2との位置関係を維持する、すなわち、バスバー6と圧力センサ2との電気接続を維持することができる。
【0019】
固定部50は、当該固定部50をZ軸方向に貫通する中空部51を有する。中空部51内では、バスバー6の長さ方向の一端部64が露出する。中空部51の下方には、圧力センサ2の一部が収納され、すなわち、各端子21が露出する。これにより、圧力センサ2の各端子21と、当該各端子21に電気接続されるバスバー6とを保護することができ、バスバー6と圧力センサ2とのより確実な電気接続が可能となる。
【0020】
また、ケース5は、固定部50から連続して延びるコネクタ部52を有する。コネクタ部52には、前記外部コネクタがX軸方向負側から挿入される凹部521を含む。凹部521内では、バスバー6の長さ方向の他端部65が露出する。これにより、簡単な構成で、前記外部コネクタとの電気接続が可能となる。
ケース5は、樹脂製であるのが好ましい。これにより、センサユニット1全体の軽量化を図ることができる。なお、ケース5を構成する樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルを用いることができる。
【0021】
図1、
図2に示すように、ケース5の固定部50には、キャップ8が装着される。キャップ8は、円板状をなす。また、
図5に示すように、キャップ8の中央部分は、周縁部分よりもZ軸方向正側に向かって隆起する。
図5に示すように、キャップ8をケース5の固定部50に装着するには、固定部50の内周部(内壁部)504の上部に設けられた段差部502にキャップ8を載置する。また、固定部50の内周部には、段差部502よりも上側にリブ503が突出して設けられる。リブ503は、固定部50の内周部504の周方向に沿ったリング状をなす。そして、段差部502にキャップ8を載置した状態で、例えばリブ503を固定部50の中心に向かって倒して塑性変形させることにより、キャップ8は、カシメにより固定されることとなる。これにより、キャップ8がケース5の固定部50に装着された状態(以下「装着状態」と言う)となる。
【0022】
また、装着状態のキャップ8は、固定部50の中空部51を上側から覆うことができる。これにより、中空部51内に、例えば塵や埃の異物等が入り込むことによる、端子21同士間のショートや、圧力センサ2の誤作動を防止することができる。
また、中空部51内において、キャップ8と、バスバー6の一端部64とは離間している、すなわち、非接触状態となっている。これにより、例えば、流路201を通過する流体Qの圧力変動により圧力センサ2がZ軸方向に若干移動しても、これに追従して、バスバー6の一端部64が変形することができる。その際、キャップ8は、一端部64から離間しているため、一端部64の変形を許容することができる。これにより、バスバー6と各端子21との電気接続の状態を好適に維持することができる。
【0023】
キャップ8も、ケース5と同様に、樹脂製であるのが好ましい。これにより、ケース5とともに、センサユニット1全体の軽量化を図ることができる。なお、キャップ8を構成する樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、ケース5と同じ樹脂材料を用いることができる。
【0024】
図1、
図2に示すように、圧力センサ2の上側には、ブラケット3が配置されている。ブラケット3は、X軸方向に沿った長尺状な板部材で構成されている。ブラケット3は、厚さ方向がZ軸方向と平行となる姿勢で、圧力センサ2を下側に向かって、すなわち、ボディ20に対して押し付けることができる。
ブラケット3は、センサ用孔31(
図5参照)と、2つのボルト用孔32と有する。
【0025】
センサ用孔31は、Z軸方向に貫通し、圧力センサ2が下側から挿入されて取り付けられる円形の孔である。また、センサ用孔31の縁部には、圧力センサ2のフランジ部22が当接する。そして、
図4に示すように、ブラケット3は、ボルト30を介して、ボディ20に固定されれば、圧力センサ2をボディ20に対して押し付けることができる。これにより、圧力センサ2の圧力検出素子24が流体Qから力を受けることができる。
【0026】
また、
図5に示すように、センサ用孔31には、バスバー6の一端部64が臨んだ状態となる。これにより、バスバー6を圧力センサ2の各端子21を電気接続する際、上側から中空部51を介して、バスバー6および各端子21を一括して視認することができ、よって、電気接続作業をより簡単に行うことができる。
【0027】
2つのボルト用孔32は、センサ用孔31を介して、X軸方向両側に配置されている。各ボルト用孔32は、Z軸方向に貫通し、ボルト30が上側から挿入される円形の孔である。
図4に示すように、各ボルト用孔32に挿入されたボルト30は、雄ねじ301が、ボディ20に設けられた雌ねじ204に締結される。これにより、ブラケット3をボディ20に固定することができる。なお、ボルト用孔32の配置数は、本実施形態では2つであるが、これに限定されず、例えば、3つ以上であってもよい。また、ボルト30は、ねじの呼びがM5以上M10以下であるのが好ましく、M6以上M8以下であるのがより好ましい。
【0028】
なお、ブラケット3の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等の金属材料、ケース5と同じ樹脂材料等を用いることができる。
また、センサユニット1では、ブラケット3、バスバー6およびケース5は、インサート成形による一体成形品であるのが好ましい。これにより、センサユニット1を簡便に製造することができる。
【0029】
位置決め部4は、ブラケット3をボディ20に対して、XY平面方向、X軸回り、Y軸回りおよび圧力センサ2回り(Z軸回り)の方向とに位置決めする部分である。
例えば位置決め部4が省略されている場合、センサユニット1を組み立てる組立作業者等の技量によって、ボディ20に対するブラケット3の位置や姿勢が変わってしまうおそれがある。ボディ20に対するブラケット3の位置や姿勢が組立作業者によって変わってしまうと、ブラケット3が正確に位置決めされず、ブラケット3で圧力センサ2をボディ20に対して均一に押し付けることができないおそれがある。均一に押し付けられていない圧力センサ2では、計測される圧力が不正確となるおそれがある。
【0030】
これに対し、センサユニット1では、位置決め部4により、ブラケット3がボディ20に対して正確に位置決めされることで、センサ用孔31の縁部が圧力センサ2のフランジ部22に対して位置ずれすることなく当接できるため、圧力センサ2をボディ20に対して均一に押し付けることができる。これにより、圧力センサ2で正確な計測を行うことができる。
【0031】
図1、
図2に示すように、本実施形態では、位置決め部4は、ブラケット3のZ軸方向に貫通する2つの位置決め孔33と、各位置決め孔33に圧入された位置決めピン54とを有する。これにより、位置決め部4を簡単な構成とすることができる。
【0032】
2つの位置決め孔33は、センサ用孔31を介して、X軸方向両側に配置される。すなわち、2つの位置決め孔33の間に、センサ用孔31が配置される。これにより、2つの位置決め孔33をできる限り離間させることができ、よって、ボディ20に対するブラケット3の位置決め精度が向上する。
【0033】
なお、位置決め部4は、2つの位置決め孔33を有するが、位置決め孔33の配置数については、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
また、各位置決め孔33の直径は、例えば、3mm以上8mm以下であるのが好ましく、5mm以上6mm以下であるのがより好ましい。
【0034】
ケース5は、固定部50からX軸方向両側に突出する2つの腕部53を有し、各腕部53の固定部50と反対側の端部において、位置決めピン54が支持されている。
位置決めピン54は、各位置決め孔33に圧入されている。これにより、各位置決めピン54は、下側に向かって突出した状態となる。そして、
図1に示すように、各位置決めピン54は、ボディ20に設けられた位置決め孔205に挿入され、はめ合わされる。これにより、ブラケット3をボディ20に対して、XY平面方向、X軸回り、Y軸回りおよび圧力センサ2回りの方向とに正確に位置決めすることができる。なお、位置決めピン54と位置決め孔205とのはめ合いは、「すきまばめ」が好ましい。
【0035】
図5、
図6に示すように、ケース5の中空部51内に位置するバスバー6の各一端部64には、変形部61が設けられている。各変形部61は、ブラケット3の厚さ方向(Z軸方向)と交差する方向、すなわち、XY平面に平行な方向に延び、バスバー6の中心線O6が湾曲または屈曲して変形した部分である。また、各変形部61は、中空部51内で端子21が接することができる。
【0036】
各変形部61は、電流供給用バスバー6A、接地用バスバー6Bおよび出力用バスバー6Cに設けられており、いずれも、中空部51内での支持状態は、同じであるため、1つの変形部61の支持状態について代表的に説明する。
【0037】
図6に示すように、変形部61は、ケース5(固定部50)の内側で片持ち支持される。本明細書でいう「ケース5(固定部50)の内側で片持ち支持」とは、変形部61が、固定部50の中空部51に接する内周部504の1箇所で固定され、当該内周部504側の固定端611と、固定端611と反対側の自由端612とを有する状態のことを言う。また、本明細書において、変形部61と一端部64とは、同じ部分を示し、変形部61を一端部64と称することがある。
【0038】
圧力センサ2は、流体Qからの外力を受けた際、当該外力の大きさによっては、Z軸方向に振動して(移動して)、一端部64をZ軸方向正側に過剰に押圧するおそれがある。一端部64は、Z軸方向に過剰に押圧されると、撓んで(変形して)、応力(内部応力)を解消しようとするが、例えば、変形部61が省略され、すなわち、直線状をなし、かつ、両持ち支持されている場合、十分に撓むことができず、結果、応力が解消するまでには至らない。そして、このような現象が繰り返されていくと、一端部64に金属疲労が蓄積していき、遂には、破損や破断が生じるおそれがある。一端部64に破損や破断が生じると、バスバー6を介した信号のやり取りが困難となる。
【0039】
これに対し、センサユニット1では、電流供給用バスバー6A、接地用バスバー6Bおよび出力用バスバー6Cのそれぞれに変形部61が設けられており、当該変形部61が片持ち支持されている。これにより、電流供給用バスバー6A、接地用バスバー6Bおよび出力用バスバー6Cのいずれでも、変形部61は、中心線O6が湾曲または屈曲して変形した変形形状をなす分、圧力センサ2からの押圧力が作用した際に、容易に変形することができる。また、変形部61は、片持ち支持されており、両持ち支持された場合に比べて、自由度、すなわち、Z軸方向(上下方向)への可動域が増す。
【0040】
そして、前述した変形形状と片持ち支持との相乗効果により、変形部61は、Z軸方向に十分に撓むことができる。これにより、変形部61は、圧力センサ2が流体Qからの外力を受けた際、一端部64(バスバー6)に生じる応力を緩和する機能を発揮することができる。そして、変形部61の応力緩和機能により、一端部64に無理な力が作用するのを防止することができる。これにより、各バスバー6では、金属疲労の蓄積による破損や破断が防止される。
【0041】
図6に示すように、3つのバスバー6には、ブラケット3の厚さ方向、すなわち、Z軸方向から見たときの変形部61の形状(変形形状)が互いに異なるバスバー6が含まれる。本実施形態では、電流供給用バスバー6A、接地用バスバー6Bおよび出力用バスバー6Cのうち、電流供給用バスバー6Aの変形部61と出力用バスバー6Cの変形部61との形状が線対称で同じである(以下この変形部61を「変形部61α」と言う)。また、接地用バスバー6Bの変形部61(以下この変形部61を「変形部61β」と言う)の形状は、変形部61αと異なる。
【0042】
各変形部61αは、Z軸方向から見たとき(平面視で)、固定端611と自由端612との間が1回折り返された折り返し部613を有する。これにより、自由端612が折り返し部613よりも固定端611に近くなり、変形部61αの全長を可能な限り長く確保することができる。変形部61αのZ軸方向への可動域(変位量)は、変形部61αの全長に比例して、増加するため、変形部61αの全長が長いのが好ましい。
なお、固定端611と折り返し部613との間の部分614は、固定部50の内周部504の周方向に沿って円弧状(アーチ状)に湾曲した形状をなす。円弧状は、変形部61αの全長を長くするのに寄与する。
【0043】
変形部61βは、Z軸方向から見たとき、波形をなし、当該波形の「山」または「谷」に相当する複数のピーク615を有する。これにより、変形部61βは、波形をなす分、全長を可能な限り長く確保することができる。変形部61βも、変形部61αと同様に、Z軸方向への可動域は、変形部61βの全長に比例して、増加するため、変形部61βの全長が長いのが好ましい。また、変形部61βは、波形をなす分、長手方向に伸長することができ、Z軸方向への可動域の増加が可能となる。なお、ピーク615の形成数は、2つ以上であれば、特に限定されず、任意である。また、変形部61は、Z軸方向から見たとき、波形をなすが、これに限定されず、例えば、XY平面方向の一方向から見たとき(側面視で)波形をなしていてもよい。
【0044】
以上のように、センサユニット1では、変形部61の形状に関わらず、変形部61がZ軸方向に十分に撓むことができる。これにより、圧力センサ2が流体Qからの外力を受けた際、各バスバー6に生じる応力を緩和することができる。
また、変形部61αの全長と変形部61βの全長とは、同じであってもよいが、変形部61αの全長が変形部61βの全長よりも長いのが好ましい。これにより、Z軸方向から見たとき、圧力センサ2の各端子21の配置位置に合わせて、接地用バスバー6Bを中心に配置し、接地用バスバー6Bの両側に電流供給用バスバー6Aおよび出力用バスバー6Cを配置することができる。
3本のバスバー6の長さ、すなわち、電流供給用バスバー6A、接地用バスバー6Bおよび出力用バスバー6Cの全長は、各々が異なる長さでもよい。
【0045】
図3に示すように、各バスバー6の長手方向の途中には、バスバー6の幅方向に突出した突出部67が設けられる。突出部67は、固定部50内に噛み込んで(引掛り)、変形部61の位置を規制するアンカー効果を発揮する。これにより、各バスバー6と圧力センサ2との位置関係が維持され、よって、各バスバー6と圧力センサ2との接続状態が安定する。
【0046】
また、バスバー6には、ケース5の中空部51内に位置する部分に、貫通孔66(
図3参照)が形成されている。貫通孔66は、ブラケット3、バスバー6およびケース5をインサート成形で一体成形する際に用いられるが、変形部61と同様に、応力緩和にも寄与する。なお、一部の図面では、貫通孔66が省略されて描かれている。
【0047】
図3に示すように、変形部61は、端子21が接する部分に、幅が拡大され、端子21の直径よりも大となる拡幅部62を有する。これにより、圧力センサ2が流体Qからの外力を受けて、変形部61が撓んだ場合でも、圧力センサ2とバスバー6との電気接続を安定して維持することができる。
【0048】
図6に示すように、拡幅部62は、変形部61の自由端612に設けられる。自由端612は、変形部61の中で可動域が最大となる。従って、端子21に接して、圧力センサ2からの力を直接受ける拡幅部62は、可動域が最大となる自由端612に設けられるのが好ましい。これにより、圧力センサ2が前述したようにZ軸方向に振動した際、拡幅部62が圧力センサ2の振動に十分に追従することができ、拡幅部62(バスバー6)と圧力センサ2との電気接続がより安定して維持される。
【0049】
<第2実施形態>
以下、
図7、
図8を参照して本発明のセンサユニットの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、キャップの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0050】
図7、
図8に示すように、本実施形態では、キャップ8がケース5の固定部50に着脱自在に装着される。キャップ8は、板部81と、板部81から厚さ方向下側、すなわち、Z軸方向負側に突出する突出部82と、板部81の縁部に沿って厚さ方向に突出する側壁部83とを有する。
【0051】
突出部82は、弾性変形可能な弾性片で構成されている。そして、装着状態で、突出部82が固定部50の外壁部に接触することにより、キャップ8が固定部50に固定される。これにより、キャップ8の固定部50からの離脱をより確実に防止することができ、よって、中空部51内が不本意に露出するのを防止して、中空部51内を確実に保護することができる。
【0052】
また、弾性片で構成された突出部82には、厚さ方向に貫通する貫通孔821が設けられている。貫通孔821は、固定部50の外壁部に突出して設けられた爪501に引っ掛かることができる。貫通孔821の爪501との引っ掛かりと、突出部82の固定部50との接触との相乗効果により、キャップ8の固定部50からの離脱をさらに確実に防止することができる。なお、爪501は、突出量が下方に向かって漸増し、X軸方向から見たときの形状が楔状をなすのが好ましい。
【0053】
側壁部83は、装着状態で固定部50の外壁部(外周側)に接触する。これにより、側壁部83の分、キャップ8の固定部50に対する固定力がより大きくなり、よって、キャップ8の固定部50からの離脱をさらに確実に防止することができる。
また、側壁部83により、キャップ8の固定部50を覆う面積が増大して、中空部51内への異物の侵入をより確実に防止することができる。
なお、側壁部83の下方への突出量は、本実施形態では突出部82の下方への突出量よりも小さいが、これに限定されず、例えば、突出部82の下方への突出量と同じであってもよいし、突出部82の下方への突出量よりも大きくてもよい。
【0054】
以上、本発明のセンサユニットを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、センサユニットを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0055】
また、本発明のセンサユニットは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、センサユニット1が備えるバスバー6の配置数は、前記各実施形態では3つであるが、これに限定されず、例えば、2つまたは4つ以上であってもよい。
また、圧力センサ2の端子21と、バスバー6とは、例えば、レーザ溶接等により接合されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100…圧力制御装置、1…センサユニット、2…圧力センサ、21…端子、22…フランジ部、23…センサ本体、24…圧力検出素子、3…ブラケット、31…センサ用孔、32…ボルト用孔、33…位置決め孔、4…位置決め部、5…ケース、50…固定部、501…爪、502…段差部、503…リブ、504…内周部(内壁部)、51…中空部、52…コネクタ部、521…凹部、53…腕部、54…位置決めピン、6…バスバー、6A…電流供給用バスバー、6B…接地用バスバー、6C…出力用バスバー、61…変形部、61α…変形部、61β…変形部、611…固定端、612…自由端、613…折り返し部、614…部分、615…ピーク、62…拡幅部、64…一端部、65…他端部、66…貫通孔、67…突出部、8…キャップ、81…板部、82…突出部、821…貫通孔、83…側壁部、20…ボディ、201…流路、202…側孔、203…パッキン、204…雌ねじ、205…位置決め孔、30…ボルト、301…雄ねじ、O6…中心線、Q…流体