(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】施解錠モジュール及びドアハンドルモジュール
(51)【国際特許分類】
E05B 85/16 20140101AFI20240110BHJP
E05B 79/06 20140101ALI20240110BHJP
H04B 1/3822 20150101ALI20240110BHJP
【FI】
E05B85/16 B
E05B85/16 C
E05B79/06 C
H04B1/3822
(21)【出願番号】P 2020013910
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小泉 貴明
(72)【発明者】
【氏名】林 勇輝
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-222841(JP,A)
【文献】特開2012-010064(JP,A)
【文献】特開2007-211578(JP,A)
【文献】特開2003-221948(JP,A)
【文献】実開昭62-131064(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
B60R 25/00
H04B 1/3822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの解錠もしくは施錠の可否を判定するための通信を無線通信端末と行う通信部、
前記通信部を搭載した基板、及び、
前記基板を収容したハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記ドアのボディにおける、前記車両の幅方向の外側に前記ドアの開閉操作部を操作可能に支持する支持フレームに収容される施解錠モジュール。
【請求項2】
前記通信部は、
前記無線通信端末と第一通信方式により無線通信する第一通信部、及び、
前記第一通信部に接続された第一アンテナ、を有し、
前記基板は、前記第一アンテナを搭載した第一基板を有し、
前記第一基板は、前記ハウジングにおける前記幅方向における外側に配置され、前記幅方向における外側に向く請求項1に記載の施解錠モジュール。
【請求項3】
前記通信部は、
前記ドアの解錠もしくは施錠の可否を判定するための通信を制御する制御部、
前記無線通信端末と第二通信方式により無線通信する第二通信部、及び、
前記第二通信部に接続された第二アンテナ、を更に有し、
前記基板は、前記第二アンテナを搭載した第二基板を更に有し、
前記第二基板は、前記第一基板と交差する仮想面上に配置され、
前記第一通信方式では、蓄電装置を搭載した前記無線通信端末と通信する方式であり、
前記制御部は、前記第一通信部と前記第二通信部とを切り替えて前記通信を行う請求項2に記載の施解錠モジュール。
【請求項4】
前記第一基板の平面視において、前記第二アンテナは、前記第一基板と重複していない請求項
3に記載の施解錠モジュール。
【請求項5】
前記第一アンテナは、前記第一基板と平行な環状に形成されており、
前記通信部は、
前記ドアの解錠もしくは施錠の可否を判定するための通信を制御する制御部、
前記無線通信端末と第二通信方式により無線通信する第二通信部、及び、
前記第二通信部に接続された第二アンテナ、を更に有し、
前記第二アンテナは、前記第一基板に搭載されており、前記第一アンテナの環の内側領域に配置されている請求項
2に記載の施解錠モジュール。
【請求項6】
前記第二通信方式は、前記第一通信方式よりも遠距離通信が可能な方式である請求項3
から5のいずれか一項に記載の施解錠モジュール。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記ドアのボディに固定される被固定部を有し、
前記第一アンテナは、前記開閉操作部に対して車両後方側、車両前方側、もしくは下方側に配置されている請求項2から6の何れか一項に記載の施解錠モジュール。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記ドア
のボディに固定される被固定部を有し、
前記第一アンテナは、前記ドアのボディから外側に突出して配置されている請求項2から7の何れか一項に記載の施解錠モジュール。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記ドアのボディに固定される被固定部を有し、
前記第一アンテナは、前記開閉操作部に対して鉛直方向下側に配置されている請求項2から8の何れか一項に記載の施解錠モジュール。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載の施解錠モジュールと、
車両のドアの開閉操作部と、
前記車両の幅方向における前記ドアのボディの内側に配置され、前記開閉操作部を前記車両の幅方向における前記ボディの外側において操作可能に支持する支持フレームと、を備え、
前記支持フレームは、前記施解錠モジュールを収容するモジュール保持部を有するドアハンドルモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの施解錠モジュール及びこれを搭載したドアハンドルモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のドア(以下、車両用ドアと記載する)の解錠もしくは施錠(以下、施解錠と記載する)を、無線通信により実現した車両、車両用ドア、もしくはドアハンドル等が普及している。このような施解錠を実現したシステムは、例えばキーレスエントリーシステムなどと称される。
【0003】
特許文献1には、車両に搭載される本体機と、操作者によって携帯される携帯機(無線通信端末)とを含むキーレスエントリーシステムの一例が記載されている。本体機は、制御部、送受信部、アンテナ及び送電部を備えている。制御部はマイクロコンピュータを備え、本体機全体の制御や、送電部及びドアロックアクチュエータの制御等を行う。制御部は、送受信部及びアンテナを介して携帯機と交信を行い、携帯機との交信結果に応じてドアロック機構の施錠や解錠を行うドアロックアクチュエータの制御を行う。
【0004】
このようなキーレスエントリーシステムにおいて、鍵装置となる無線通信端末と車両側との通信は、特許文献2、3に記載されるように、その使用態様に応じて近距離ないし遠距離通信に適した通信方式を選択可能である。
【0005】
特許文献2には、いわゆるスマートフォンなどのポータブルコンピューティングデバイス(無線通信端末)による車両へのアクセスに関する発明が記載されている。この発明によれば、スマートフォンと車両との無線通信により、車両のドアのロック解除が実現される。無線通信の一例としては、Bluetooth(ブルートゥース、登録商標)やWi-Fi(ワイファイ、登録商標)のような遠距離通信に適した通信方式や、その他の近距離通信を実現する通信方式の利用が例示されている。
【0006】
特許文献3には、近距離通信(NFC)を利用する車両のキーレスエントリーシステムが記載されている。車両側のNFCアセンブリは、運転者のドアの上またはその近くに配置され、例えば、Bピラートリム、ベルトラインモールディング、ミラーハウジングまたはドアハンドルが含まれる。
【0007】
このようなキーレスエントリーシステムを実現する回路等は、車両の搭乗者ないし使用者(以下、使用者と記載する)が車両への搭乗などの際に触れるドアハンドルに搭載される場合がある。
【0008】
特許文献4には、従来のスマートキーシステムに関し、アンテナやセンサといった一部の回路がドアハンドルに装備され、制御回路が車内に装備される場合が多いことが記載されている。また、これらドアハンドル側の回路と車内の回路との間の信号の伝達を非接触で実現すべく、電磁結合装置を有するドアハンドルが提案されている。この電磁結合装置を有し、且つ、スマートキーシステムを実現する回路の一部を装備したドアハンドルでは、車両ドアから当該回路に対し、電磁結合装置を介して電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-254993号公報
【文献】米国特許出願公開第2013/0099892号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0050616号明細書
【文献】国際公開第2010/143292号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のごとく、キーレスエントリーシステムでは、種々の通信方式が利用されており、これら通信方式にはそれぞれ方式上の長所短所が存在する。そのため、使用者の利便性を考慮すれば、キーレスエントリーシステムを実現する回路ないし当該回路を搭載した装置等(以下、施解錠モジュールと記載する)においては、使用者の希望や好みなどの要望に応じて適切な通信方式を利用可能であることが望まれる。そして、このような施解錠モジュールによる施解錠は、使用者が従来から慣れ親しんだ、鍵で施解錠する場合と同様の操作や位置で施解錠できることが望まれる。
【0011】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、使用者が従来から慣れ親しんだ、鍵で施解錠する場合と同様の操作や位置で施解錠できる施解錠モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る施解錠モジュールの特徴構成は、車両のドアの解錠もしくは施錠の可否を判定するための通信を無線通信端末と行う通信部、前記通信部を搭載した基板、及び、前記基板を収容したハウジングを備え、前記ハウジングは、前記ドアのボディにおける、前記車両の幅方向の外側に前記ドアの開閉操作部を操作可能に支持する支持フレームに収容される点にある。
【0013】
上記構成によれば、ハウジングが支持フレームに収容されるため、通信部を、取っ手などの開閉操作部の近傍、且つ、当該開閉操作部よりも車両の幅方向における内側に配置することができる。これにより、使用者は、従来から慣れ親しんだ、鍵で施解錠する場合と同様の操作や位置で、無線通信端末と通信部との間で車両のドアの解錠もしくは施錠の可否を判定するための通信を行わせて施解錠できる。
【0014】
本発明に係る施解錠モジュールの更なる特徴構成は、前記通信部は、前記無線通信端末と第一通信方式により無線通信する第一通信部、及び、前記第一通信部に接続された第一アンテナ、を有し、前記基板は、前記第一アンテナを搭載した第一基板を有し、前記第一基板は、前記ハウジングにおける前記幅方向における外側に配置され、前記幅方向における外側に向く点にある。
【0015】
上記構成によれば、第一アンテナを搭載した第一基板がハウジングにおける、車両の幅方向における外側に配置され、かつ、第一基板が幅方向における外側に向けられる。これにより、第一アンテナが車両の幅方向における外側に配置され、かつ、第一基板が幅方向における外側に向けられるから、開閉操作部近傍での通信を行いやすくなる。
【0016】
本発明に係る施解錠モジュールの更なる特徴構成は、前記通信部は、前記ドアの解錠もしくは施錠の可否を判定するための通信を制御する制御部、前記無線通信端末と第二通信方式により無線通信する第二通信部、及び、前記第二通信部に接続された第二アンテナ、を更に有し、前記基板は、前記第二アンテナを搭載した第二基板を更に有し、前記第二基板は、記第一基板と交差する仮想面上に配置され、前記第一通信方式では、蓄電装置を搭載した前記無線通信端末と通信する方式であり、前記制御部は、前記第一通信部と前記第二通信部とを切り替えて前記通信を行う点にある。
【0017】
従来技術についての説明でも述べたように、施解錠モジュール(キーレスエントリーシステムの回路)は、ドアハンドルもしくはその近傍に搭載される場合がある。しかし、複数の通信方式に対応した施解錠モジュールを、ドアハンドルのような小さな構造物中に搭載するのは容易ではない。これに対し上記構成によれば、基板を、少なくとも第一アンテナを搭載した第一基板と、他の電子部品を搭載した第二基板とに分け、更に、互いの面が交差する位置関係で配置することで、基板及び施解錠モジュールを小型化することができる。
【0018】
上記構成によれば、第一通信部は、第一アンテナを使用して第一通信方式により無線通信端末と無線通信することができ、第二通信部は、第二アンテナを使用して第二通信方式により無線通信端末と無線通信することができる。そして、第一通信部、第二通信部は、それぞれ別個に第一通信方式による通信(以下、第一通信と記載する)、第二通信方式による通信(以下、第二通信と記載する)を行う。この通信を行う際、制御部は、第一通信部と第二通信部とを切り替えて第一通信もしくは第二通信を行い、車両のドア(以下、車両用ドアと記載する)の解錠もしくは施錠の可否を判定するための通信を行うことができる。
【0019】
本発明に係る施解錠モジュールの更なる特徴構成は、前記第二通信方式は、前記第一通信方式よりも遠距離通信が可能な方式である点にある。
【0020】
上記構成によれば、遠距離通信は第二通信方式で行い、近距離通信は第一通信方式もしくは第二通信方式で行える。これにより、車両との距離に応じて適切な通信方式を選択できる。特に近距離においては、通信方式の特徴に応じて適切な通信方式を選択できる。例えば、近距離通信は、無線通信端末を第一アンテナにかざす程度の近距離で行うものを選択し、遠距離通信はそれよりも遠い距離での通信が可能なものを選択することができる。
【0021】
本発明に係る施解錠モジュールの更なる特徴構成は、前記第一アンテナは、前記第一基板と平行な環状に形成されており、前記第二アンテナは、前記第一基板に搭載されており、前記第一アンテナの環の内側領域に配置されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、第一アンテナと第二アンテナとの両方のアンテナを第一基板に搭載して施解錠モジュールの小型化を実現できると共に、第一アンテナと第二アンテナとの互いの干渉を小さくして電磁波の送受波(通信)を良好に行うことができる。
【0023】
本発明に係る施解錠モジュールの更なる特徴構成は、前記第一基板の平面視において、前記第二アンテナは、前記第一基板と重複していない点にある。
【0024】
上記構成によれば、第二アンテナが第一基板により遮蔽されない。そのため、第二通信部は第二通信を良好に行うことができる。
【0025】
本発明に係る施解錠モジュールの更なる特徴構成は、前記ハウジングは、前記ドアのボディに固定される被固定部を有し、前記第一アンテナは、前記開閉操作部に対して車両の後方に配置されている点にある。
【0026】
上記構成によれば、ハウジングをドア(開閉操作部を搭載したドア本体)のボディに直接固定して、施解錠モジュールをドアと一体化して使用できるため耐久性が向上する。また、施解錠モジュールがドアに固定された状態で、常に第一アンテナが開閉操作部に対して車両後方側、車両前方側、もしくは下方側という、従来の解施錠用の鍵のシリンダが配置されていた場所の近傍に配置されるため、使用者は従来から慣れ親しんだ、鍵で施解錠する場合と同様の操作位置で施解錠できる。そのため、使用者に良好な使用感を与えることができる。
【0027】
本発明に係る施解錠モジュールの更なる特徴構成は、前記ハウジングは、前記ドアのボディに固定される被固定部を有し、前記第一アンテナは、前記ドアのボディから外側に突出して配置されている点にある。
【0028】
施解錠モジュールでは、小型化しつつも無線通信に用いる電磁波を遮らないアンテナの配置に配慮が必要である。また、ドアハンドルが可動な構造である場合には、その動きに伴う応力の影響をモジュールに与えない工夫が必要となる。そこで上記構成によれば、ハウジングをドアのボディに直接固定して、施解錠モジュールをドアと一体化して使用できるため耐久性が向上する。また、施解錠モジュールがドアに固定された状態で、常に第一アンテナがドアから車両横外側に突出して配置されるため、ドアのボディ(板金)により第一通信の電磁波が遮蔽されることなく、良好な通信を実現可能である。
【0029】
本発明に係る施解錠モジュールの更なる特徴構成は、前記ハウジングは、前記ドアのボディに固定される被固定部を有し、前記第一アンテナは、前記開閉操作部に対して鉛直方向下側に配置されている点にある。
【0030】
上記構成によれば、ハウジングをドアのボディに直接固定して、施解錠モジュールをドアと一体化して使用できるため耐久性が向上する。また、施解錠モジュールがドアに固定された状態で、常に第一アンテナが開閉操作部に対して車両の鉛直方向下側という、従来の鍵のシリンダが配置されていた場所の近傍に配置されるため、使用者は従来から慣れ親しんだ、鍵で施解錠する場合と同様の操作位置で施解錠できる。また、第一アンテナが使用者の手元近傍に配置されるため、使用者は楽な姿勢で施解錠できる。そのため、使用者に良好な使用感を与えることができる。
【0031】
上記目的を達成するための本発明に係るハンドルモジュールの特徴構成は、上記の施解錠モジュールと、車両のドアの開閉操作部と、前記車両の幅方向における前記ドアのボディの内側に配置され、前記開閉操作部を前記車両の幅方向における前記ボディの外側において操作可能に支持する支持フレームと、を備え、前記支持フレームは、前記施解錠モジュールを収容するモジュール保持部を有する点にある。なお、車両の幅方向とは、前後方向と交差し、且つ、地面に平行となる向きのことを言う。
【0032】
上記構成によれば、車両の幅方向におけるドアのボディ(板金)の外側に開閉操作部を配置し、当該ボディの内側に支持フレームを配置し、支持フレームと開閉操作部とで当該ボディを挟み込む態様で、開閉操作部を支持フレームによりドアに固定して搭載できる。この際、施解錠モジュールは、支持フレームに形成されたモジュール保持部に収容した状態でドアに搭載できる。これにより使用者は、従来から慣れ親しんだ、鍵をシリンダに挿通して施解錠する場合と同様の操作位置の近傍で施解錠できる。
【発明の効果】
【0033】
複数の通信方式のうちから適宜適切な通信方式を選択して利用可能な施解錠モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】施解錠モジュールが搭載された車両の側面図である。
【
図6】車両用ドアのドアハンドル近傍を車両横外側から視た図である。
【
図7】ドアハンドルを取り除いた状態で車両用ドアのドアハンドル近傍を、車両横外側から視た図である。
【
図8】平面視におけるドアの横外側部分の断面図である
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る施解錠モジュール、及びこれを搭載したドアハンドルモジュールについて説明する。
【0036】
(施解錠モジュール及びその施解錠の判定の概要)
図1には、解錠もしくは施錠(以下、単に施解錠と記載する)の可否を判定するための通信を行い、解錠もしくは施錠の可否を判定する車両のECU(エレクトロニックコントロールユニット)に通信結果を送出する通信制御用のプロセッサC(制御部の一例)を搭載した施解錠モジュール(以下、モジュール100と記載する)を示している。
【0037】
モジュール100は、
図2に示すように、車両200のドアDに搭載(固定)され、ドアDの施解錠の可否を判定するための通信を行う。
図2では、車両200の走行方向における前向きを前方F、その逆を後方Rとして示している。以下では、車両200の走行方向と同じ向きを、単に前後方向と記載する。車両200のドアDは、その前方F側でヒンジHにより支持されて開閉可能となっている。ドアDの鉛直方向における上方側には窓Wが設けられ、窓Wの下方、且つ、ドアDの後方R側寄りの位置に、ドアハンドルN(ドアハンドルモジュールの一例)が配置されている。モジュール100は、ドアハンドルNに搭載されている。
【0038】
モジュール100は、蓄電装置を搭載した無線通信端末(例えば、スマートフォン。以下、端末Sと記載する)と無線通信を行う。本実施形態における蓄電装置とは、一次電池や、充放電可能な二次電池、コンデンサやキャパシタなどのことをいう。プロセッサCは、無線通信を制御すると共に、この無線通信の結果(通信結果)をECUに送出する。ECUは、施解錠が可能であり、且つ、施解錠の要求を受け付けたと判定すると、ドアDの施解錠機構(図示せず)に解錠ないし施錠を指示する指令を送出する。
【0039】
モジュール100は、端末Sと、近距離無線通信方式(第一通信方式の一例)と遠距離無線通信方式(第二通信方式の一例)との二種類の通信方式で通信可能に構成されている。以下では、近距離無線通信方式もしくは遠距離無線通信方式の何れかを特定しない通信を、単に通信と記載する。また、近距離無線通信方式で行う通信は、第一通信と記載する。また、遠距離無線通信方式で行う通信は、第二通信と記載する。
【0040】
端末Sは、
図3に示すような回路を有し、少なくとも第一通信が可能に構成されている。端末Sは、第一通信を行うための回路を構成する電子部品等として、端末アンテナ93、端末アンテナ93を駆動して電磁波を発信し、また、端末アンテナ93で電磁波を受信してエネルギー及び情報を取得する端末回路91、抵抗92、及びコンデンサ94を有する。端末Sにおいて、端末アンテナ93、コンデンサ94及び端末回路91は電気的に並列接続されており、端末アンテナ93とコンデンサ94との一端側は、抵抗92を介して電気的に接続されている。
【0041】
以下では、第一通信がNFC通信方式で行われ、端末Sに搭載された通信システムが第一通信を行う場合において、モジュール100から供給された電磁波をエネルギー源として動作する場合を例示して説明する。また、以下では、第二通信がBluetooth(登録商標)に準じた方式で行われ、端末Sに搭載された通信システムが、端末Sに搭載された二次電池(図示せず)から供給された電力で動作可能である場合を例示して説明する。NFC通信方式やBluetoothは、公知の通信方式であるから、通信方式の詳細説明や、これら通信を実現する回路の詳細説明は適宜省略する。また、NFC通信方式で行う第一通信は、蓄電装置を搭載しないカード型端末(いわゆるNFCカード)との間でも行え、これによる施解錠も可能であるが、詳細説明は省略する。
【0042】
モジュール100による施解錠は、以下のように行われる。すなわち、モジュール100と端末Sとが通信した結果、モジュール100が端末Sから解錠ないし施錠の権限を付与されたID情報(以下、許可IDと記載する)を取得すると、ECUは、施解錠が可能であると判定して施解錠機構に施解錠を指示する指令を送出する。なお、許可IDは、あらかじめECUなどの不揮発メモリ等に記憶しておくことができる。施解錠機構は、この指令に基づいてドアDの施解錠を行う。なお、モジュール100は、第一通信もしくは第二通信のうち、少なくとも一方の通信が可能であれば、当該通信の結果に基づいて施解錠を指示する指令を施解錠機構に送出する。以下では、モジュール100が施解錠を指示する指令を施解錠機構に送出することを、単に施解錠指令をすると記載する。
【0043】
(施解錠モジュールの詳細説明)
図1に示すように、モジュール100は、通信部としての回路等を搭載した基板3、及び、基板3を収容したハウジング4を備えている。通信部は、端末Sと近距離無線通信方式により無線通信する第一回路1(第一通信部の一例)、第一回路1に接続された第一アンテナ10(通信部の一例、給電コイルの一例)、端末Sと遠距離無線通信方式により無線通信する第二回路2(第二通信部の一例)、第二回路2に接続された第二アンテナ20、プロセッサC、及び、プロセッサCが動作するためのプログラムを記憶させた記憶部Mを含む。
【0044】
基板3は、少なくとも第一アンテナ10を搭載した平板上の第一基板31と、プロセッサC等を搭載した平板上の第二基板32とを含む。
【0045】
第一基板31は、第一回路1、第一アンテナ10、第二回路2、及び第二アンテナ20が搭載され、これらを電気的に接続する電気配線としての配線パターンを形成されたプリント基板である。第一基板31は、例えば矩形の一辺が外側に向けて台形状に延出した六角形の平板状に形成されている。
【0046】
第二基板32は、プロセッサC、記憶部M、及び、モジュール100の電源回路(図示せず)が搭載され、電気配線を形成されたプリント基板である。第二基板32は、矩形状で平板状に形成されている。第二基板32の電気配線は、第一基板31の電気配線と、リード線などにより電気的に接続されている。なお、電源回路は、ドアD(車両200)から供給された電力で駆動する。
【0047】
第一アンテナ10は、第一基板31の配線パターンとして形成されたパターンアンテナであって、コイル状に形成されている。第一アンテナ10は、第一基板31の周縁に沿い配線されている。
【0048】
第一回路1は、第一通信を行うためのASIC及びこれらに付帯するIC等の電子部品で構成される。第一回路1は、第一アンテナ10と電気的に接続されており、第一アンテナ10を介して電磁波を入出力して端末Sと通信する。第一回路1は、第一アンテナ10を形成する環状の配線の内側領域に配置されている。
【0049】
図3には、端末Sの模式的な回路図を示している。
図4には、第一回路1及び第一アンテナ10の模式的な回路図を示している。
【0050】
第一回路1は、
図4に示すように、第一アンテナ10を駆動して電磁波を発信させる駆動回路11、第一アンテナ10で受信した電磁波を復調して情報(例えばID情報)を取得する復調部12、及び抵抗13、及びコンデンサ14,15を含む。駆動回路11は、その電極の一端から順に、コンデンサ15、抵抗13、第一アンテナ10の順で電気的に直列に接続されており、第一アンテナ10の他端は駆動回路11の他の電極と電気的に接続されている。コンデンサ14は、コンデンサ15と抵抗13との間の配線と第一アンテナ10の他端側の配線とに接続されている。
【0051】
駆動回路11は、無変調の信号を発信(交流電圧を印加)しており、この信号が、抵抗13、第一アンテナ10、及びコンデンサ15で構成されるRLC共振回路で共振して増幅されて、電磁波として第一アンテナ10から送出される。
【0052】
第一アンテナ10から電磁波が送出され、当該電磁波が
図3に示す端末Sの端末アンテナ93で受信される(給電工程の一例)と、当該電磁波のエネルギーは、抵抗92、端末アンテナ93、コンデンサ94で構成されるRLC共振回路の共振により蓄積されて端末回路91を駆動する(無線給電の一例)。端末回路91は、この蓄積されたエネルギーで端末アンテナ93を駆動して、自己のID情報を含む変調された電磁波を端末アンテナ93から発信する。したがって第一通信を行う場合は、端末Sは自己の蓄電池からの電力供給を必ずしも要しない。端末Sは、二次電池が消耗(電池切れ)して電力供給を行えない場合であっても、第一アンテナ10から送出された電磁波のエネルギーで第一通信を行える。
【0053】
図4に示す第一アンテナ10で受信された電磁波の信号(電圧)は、抵抗13、第一アンテナ10、及びコンデンサ14で構成されるRLC共振回路で共振して増幅され、復調部12で復調される。
【0054】
プロセッサCは、第一回路1が第一通信を行ってID情報を取得すると、第一回路1からECUに当該ID情報を送出させる。ECUは、このID情報を取得すると、当該ID情報を許可IDと照合する。ECUは、取得したID情報が許可IDと一致すれば、施解錠が可能であると判定して施解錠指令をする。
【0055】
第二アンテナ20は、
図1に示すように、第一基板31の配線パターンとして形成されたパターンアンテナであって、往復する矩形状の波形状に形成されている。第二アンテナ20は、第一基板31における、第一アンテナ10を形成する環状の配線の内側領域に配置されている。
【0056】
第二回路2は、第二通信を行うためのASIC及びこれらに付帯するIC等の電子部品で構成される。第二回路2は、第二アンテナ20と電気的に接続されており、第二アンテナ20を介して電磁波を入出力して端末Sと通信する。第二回路2は、第二アンテナ20を形成する環状の配線の内側領域に配置されている。
【0057】
プロセッサCは、第二回路2が第二通信を行ってID情報を取得すると、第二回路2からECUに当該ID情報を送出させる。ECUは、このID情報を取得すると、当該ID情報を許可IDと照合する。ECUは、取得したID情報が許可IDと一致すれば、施解錠の要求を受付可能な状態で待機する(いわゆる、Bluetooth通信におけるペアリングされた状態)。プロセッサCは、第二回路2によるその後の通信の結果、施解錠の要求を含む情報を第二回路2が受信すると、施解錠の要求を含む情報をEUCに送出させる。ECUは、当該情報を取得すると、施解錠が可能であると判定して施解錠指令をする。
【0058】
ハウジング4には、
図1、
図5に示すように、第一基板31を収容する第一収容部41、第二基板32を収容する第二収容部42、ハウジング4をドアD(
図2参照)にねじ等で固定する座部45(被固定部の一例)が形成されている。ハウジング4は、電磁波を遮蔽しない材料(本実施形態では、樹脂を基材とした素材)などで形成されている。
【0059】
第一収容部41は、やや厚みのある板状の箱型で、第一基板31全体を収容する内部空間を有する収容容器である。第一収容部41における、第一基板31の面と対向する面であって、ハウジング4の外側に向く面は、平面状に形成されている。
【0060】
第二収容部42は、やや厚みのある板状の箱型で、第二基板32全体を収容する内部空間を有する収容容器である。第二収容部42は、第二基板32と平行な面(仮想面の一例)が、第一基板31と平行な面と直交し、且つ、第二基板32と平行な面が、第一基板31と交差しないよう状態で第二基板32を収容する。すなわち、第一基板31の平面視において、第二基板32は、第一基板31と重複していない。
【0061】
第二収容部42の長手方向における一端は、第一収容部41の一端と一体に結合している。第二収容部42の板面は、第一収容部41の板面と直交している。すなわち、ハウジング4は、第二収容部42の一端から第二収容部42の延在方向と直交する方向の一方に第一収容部41が延出するL字型形状に形成されている。以下では、モジュール100(ハウジング4)において、第二収容部42の延在方向における第一収容部41が形成された側を表側、その逆側を奥側と記載する場合がある。
【0062】
座部45は、ボルトねじやビス等(以下、単にねじと記載する)を挿通するねじ穴(図示せず)を有するねじ座である。座部45は、第二収容部42における、第二収容部42から視て第一収容部41が延出している側において、第一収容部41が結合している側の端部に寄せた位置に第二収容部42と一体に形成されている。座部45のねじ穴は、例えば第二収容部42と平行、且つ、第一収容部41に向けて延在している。座部45と第一収容部41とは離間しており、両者間には隙間が形成されている。
【0063】
(施解錠モジュールの固定)
図6は、ドアDのドアハンドルN近傍を車両200の横外側から視た図である。ドアDは、ドア本体6の板金部分である車両ボディ60(ボディの一例)とドア本体6に装備されたドアハンドルNとを備えている。
【0064】
ドアハンドルNは、使用者がドアDを開閉するための取っ手であるハンドルケース61(開閉操作部の一例)と、その支持フレーム62とを有している。モジュール100は、ドアハンドルNの後方R側における、ハンドルケース61から視て車両200の内側に搭載されており、ハンドルケース61により車両200の横外側を覆われている。ハンドルケース61は、電磁波を遮蔽しない材料(本実施形態では、樹脂を基材とした素材)などで形成されている。使用者がドアDの施解錠を望む場合、使用者が端末SをドアハンドルNの後方R側付近にかざすことで、第一通信を実行させてドアDの施解錠を行うことができる。なお、ドアハンドルNの後方R側付近は、従来の車両において、解施錠用の鍵のシリンダが搭載されていた場所である。モジュール100をドアハンドルNの後方R側に搭載することで、使用者は従来から親しみのある操作に近い動作を行うことで施解錠できるため、使用者に良好な使用感を与えることができる。
【0065】
図7には、ドアDのドアハンドルN近傍を車両200の横外側から視た図であって、ドアハンドルNを取り除いて、車両200の横外側から視た図である。
図8は、ドア本体6に対するドアハンドルNやモジュール100の取り付け態様を説明するための、平面視におけるドアDの模式的な断面図である。
図8に示すように、車両200(
図2参照)の横外側から内側に向けて、ドアハンドルNのハンドルケース61、ドアDのドア本体6の車両ボディ60、ドアハンドルNの支持フレーム62が配置されている。ハンドルケース61は、車両200の幅方向に沿って見た場合に、支持フレーム62と重複させて配置されている。なお、車両200の幅方向とは、前後方向と交差し、且つ、地面と平行な方向のことを言う。以下では、車両200の幅方向と同じ方向を、単に幅方向と記載する。
【0066】
図7、
図8に示すように、車両ボディ60には、これを貫通する一対のドアハンドル固定穴60aが形成されている。車両ボディ60(
図2参照)の内側(車室側)には、ハンドルケース61(
図8参照)を回動操作可能に支持する支持フレーム62が配置されている。ドアハンドル固定穴60aには、ドアハンドルNが固定される。
【0067】
支持フレーム62の外縁内側には、モジュール100が奥側から挿通されて装着される挿通穴62b(モジュール保持部の一例)と、ハンドルケース61が取り付けられる固定穴62cとが形成されている。固定穴62cは一対形成(一方の固定穴62cのみ図示し、他方は図示を省略)されており、それぞれドアハンドル固定穴60aと幅方向から見て重複するように配置されている。
【0068】
図8に示すように、支持フレーム62は、留め具62aと対になり、ドアハンドル固定穴60aを介して、ドアハンドル固定穴60a周縁を挟み込むことで車両ボディ60に固定されている。これにより、車両ボディ60の内側に配置された支持フレーム62と車両ボディ60の外側に配置されたハンドルケース61とで車両ボディ60を挟み込んだ状態でドアハンドルNが車両ボディ60に搭載(固定)される。
【0069】
挿通穴62bは、モジュール100の奥側を幅方向内側に向けた状態で、モジュール100を保持する。モジュール100は、幅方向外側からハウジング4を挿通穴62bに挿通された状態で支持フレーム62に嵌め込まれて固定保持される。このように固定保持される際、モジュール100は、ハウジング4に一体成型された座部45を、車両ボディ60の内側からねじなどの固定部材によって固定して取り付けられる。挿通穴62bは、挿通されたモジュール100のハウジング4が密に嵌るように、ハウジング4の外側形状に沿わせた内面形状に形成される。本実施形態では、挿通穴62bは、従来の鍵装置のシリンダを保持する穴と同じ形状である。
【0070】
挿通穴62bは、従来の鍵装置のシリンダを保持する場合と同じ位置に配置されている。挿通穴62bの地面からの設置高さは、従来の鍵装置のシリンダを保持する高さと同じである。
図7、
図8では、挿通穴62bがハンドルケース61と同じ高さであって、ドアハンドルNの後方R側に配置されている場合を図示している。挿通穴62bは、ドアハンドルNの前方F側に配置してもよい。挿通穴62bは、ドアハンドル固定穴60aと幅方向から見て重複して配置されている。
【0071】
ハンドルケース61を幅方向に沿って見た場合に支持フレーム62と重複させて配置されているため、挿通穴62b及びこれに挿通されるモジュール100は、従来の解施錠用の鍵のシリンダが配置されていた場所の近傍に配置される。
【0072】
加えて、
図8に示すように、モジュール100は、座部45の部分を車両ボディ60にねじ止めされて、ドア本体6に固定されている。
【0073】
図7、
図8に示すように、モジュール100において、第一基板31(第一アンテナ10)は、ドア本体6の車両200における横外側に配置されている。第一基板31は、車両ボディ60と面一、もしくは車両ボディ60よりも車両200における横外側に突出して配置されている。第一基板31は、車両ボディ60の面に沿わせて配置されている。
【0074】
(施解錠操作)
使用者は、車両200から離れた位置にいる状態でドアDの施解錠をしたい場合、端末Sとモジュール100が第二通信可能であれば、端末Sの操作などによりモジュール100に施解錠を指示(施解錠の要求を含む情報を送信)できる。しかし、端末Sの蓄電池が電池切れの場合のように、端末Sの操作を行えない場合や、ドアDの正面にいる場合は、端末SをドアハンドルNの後方R側の端部近傍にかざすことで第一通信を行わせ、ドアDの施解錠を指示できる。
【0075】
以上のようにして、複数の通信方式のうちから適宜適切な通信方式を選択して利用可能な施解錠モジュールを提供することができる。
〔別実施形態〕
【0076】
(1)上記実施形態では、モジュール100は、第一基板31に、第一回路1、第一アンテナ10、第二回路2、及び第二アンテナ20が搭載されており、第二基板32に、プロセッサC及び記憶部Mが搭載されている場合を説明した。しかし、モジュール100は、
図9に示すように、第一基板31に第一アンテナ10が搭載されており、第二基板32に、第一回路1、第二回路2、第二アンテナ20、プロセッサC、及び記憶部Mが搭載されていてもよい。
【0077】
第一基板31に第一アンテナ10が搭載されており、第二基板32に、第一回路1、第二回路2、第二アンテナ20、プロセッサC、及び記憶部Mが搭載されている場合、第一基板31の平面視において、第二アンテナ20は、第一基板31と重複させないことが好ましい(
図5参照)。このように重複させないことで、第二通信のための電磁波が第一基板31もしくはこれに搭載される第一アンテナ10に遮蔽されず、第一アンテナ10を介した第一通信と第二アンテナ20を介した第二通信における相互の干渉を回避することができるので、適切な通信を行える。
【0078】
(2)上記実施形態では、モジュール100は、端末Sと、近距離無線通信方式と遠距離無線通信方式との二種類の通信方式で通信可能に構成されている場合を説明した。しかし、モジュール100は、端末Sと異なる二種類の近距離無線通信方式で通信可能に構成されている場合もある。この場合、少なくとも一方の通信方式は、自己の蓄電池からの電力供給を要さずに端末Sが通信可能な通信方式を採用するとよい。
【0079】
(3)上記実施形態では、第一基板31の平面視において、第二基板32は、第一基板31と重複していない場合を説明した。しかし、当該平面視において、第二基板32が第一基板31と重複していてもよく、この場合でもモジュール100と端末Sとの通信は可能である。
【0080】
(4)上記実施形態では、第一基板31(第一アンテナ10)は、ドア本体6の車両200における横外側に配置されており、車両ボディ60と面一、もしくは車両ボディ60よりも車両200における横外側に突出して配置されている場合を説明した。しかし、第一基板31(第一アンテナ10)が、車両ボディ60よりも車両200における内側に配置されていてもよく、この場合でもモジュール100と端末Sとの通信は可能である。
【0081】
(5)上記実施形態では、モジュール100は、ドアハンドルNの後方R側における、ハンドルケース61から視て車両200の内側に搭載されている場合を説明した。しかし、モジュール100は、ドアハンドルNの前方F側における、ハンドルケース61から視て車両200の内側に搭載してもよい。
【0082】
(6)上記実施形態では、モジュール100は、ドアハンドルNの後方R側における、ハンドルケース61から視て車両200の内側に搭載されており、ハンドルケース61により車両200の横外側を覆われている場合を説明した。しかし、モジュール100は、ドアハンドルNの近傍に搭載されていれば使用者にとっての使用感が良好である。この場合、モジュール100は、ハンドルケース61で覆われていなくてもよい。たとえば、モジュール100を、ドアハンドルNの鉛直方向における下方に位置させて搭載してもよい。また、モジュール100を、ドアハンドルNの後方R側、且つ、ドアハンドルNの鉛直方向における下方に位置させて搭載してもよい。ドアハンドルNの上方よりも、下方のほうが使用者の手元に近く、使用者にとっての使用感が良好である。この場合は、第一基板31が、車両ボディ60と面一、もしくは車両ボディ60よりも車両200における横内側に配置されることが好ましい。またこの場合、モジュール100は、支持フレーム62に収容される構成であってもいいが、支持フレーム62に収容されることなく、座部45の車両ボディ60へのねじ止めなどのみによってドア本体6に固定するように構成してもよい。
【0083】
(7)上記実施形態では、ECUが施解錠を判定する場合を説明した。しかし、モジュール100(プロセッサC)が施解錠の判定を行う場合もある。
【0084】
(8)上記実施形態では、第一通信がNFC通信方式で、第二通信がBluetoothである場合を例示した。しかし、第一通信や第二通信は他の通信方式であってもよい。例えば。第一通信は、RFIDのような他の通信方式を採用しうる。第二通信は、Wi-Fiや、ZigBee(ジグビー、登録商標)などの通信方式も採用しうるし、いわゆるUWBであってもよい。
【0085】
(9)上記実施形態では、モジュール100は、ハウジング4を挿通穴62bに挿通されて支持フレーム62に嵌め込まれて固定保持されており、かつ、モジュール100の座部45の部分を車両ボディ60にねじ止めされてドア本体6に固定されている場合を説明した。しかしながら、モジュール100は、少なくとも支持フレーム62に固定保持されていればよく、ドア本体6に直接固定されなくてもよい。
【0086】
(10)上記実施形態では、モジュール100は、ハウジング4を挿通穴62bに挿通されて支持フレーム62に嵌め込まれて固定保持されている場合を説明したが、モジュール100は、支持フレーム62にねじ止めやスナップフィットなどの他の方法で固定されてもよい。
【0087】
(11)上記実施形態では、モジュール100は、端末Sと、近距離無線通信方式(第一通信方式の一例)と遠距離無線通信方式(第二通信方式の一例)との二種類の通信方式で通信可能に構成されており、モジュール100は、端末Sと近距離無線通信方式により無線通信する第一回路1(第一通信部の一例)、第一回路1に接続された第一アンテナ10(給電コイルの一例)、端末Sと遠距離無線通信方式により無線通信する第二回路2(第二通信部の一例)、第二回路2に接続された第二アンテナ20等の回路等を搭載した基板3、及び、基板3を収容したハウジング4を備えている場合を説明した。しかし、
図10に示すように、モジュール100は、少なくとも端末Sと近距離無線通信方式により無線通信する第一回路1に接続された第一アンテナ10を搭載した基板3、及び、基板3を収容したハウジング4を備えていればよい。
【0088】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、車両用のドアの施解錠モジュールに適用できる。
【符号の説明】
【0090】
1 :第一回路(第一通信部)
2 :第二回路(第二通信部)
3 :基板
4 :ハウジング
6 :ドア本体
10 :第一アンテナ(通信部)
20 :第二アンテナ
31 :第一基板(基板)
32 :第二基板(基板)
45 :座部(被固定部)
60 :車両ボディ(ボディ)
61 :ハンドルケース
62 :支持フレーム
62b :挿通穴(モジュール保持部)
100 :モジュール(施解錠モジュール)
200 :車両
C :プロセッサ(制御部)
D :ドア
N :ドアハンドル(開閉操作部、ドアハンドルモジュール)
S :端末