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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】プログラム及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240110BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240110BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/11 100
A61B5/16 130
A61B5/11 110
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020015367
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021124750
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】後藤 浩一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】河崎 由美子
(72)【発明者】
【氏名】沢辺 泰代
(72)【発明者】
【氏名】植山 生仁
(72)【発明者】
【氏名】平岡 千穂
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-233027(JP,A)
【文献】特開2019-187970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/06- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、記憶部と、を備える情報処理装置が実行可能なプログラムであって、
ユーザの睡眠中の動作を検知するセンサの出力に基づいて生成された睡眠に関する複数の指標を第1指標として取得する第1取得処理と、
予め定められている閾値に基づいて、複数の上記第1指標がそれぞれ異常であるかを判定する第1判定処理と、
常であると判定された上記第1指標のうち、1つの上記第1指標を第2指標として選択する選択処理と、
上記第2指標を上記記憶部に記憶する第1記憶処理と、
上記第1指標のそれぞれに対応して上記記憶部に予め記憶されている助言のうち、上記第2指標に対応する助言を取得する第2取得処理と、
取得した助言を出力する出力処理と、を上記情報処理装置に実行させ、
上記選択処理において、複数の上記第1指標が異常であることを条件として、直近の所定期間に記憶部に記憶された上記第2指標を読み出して、読み出した上記第2指標に該当しない1つの上記第1指標が、異常である上記第1指標から新たな上記第2指標として選択されるプログラム。
【請求項2】
上記ユーザの睡眠に対する評価を取得する第3取得処理と、
取得された上記評価を上記記憶部に記憶する第2記憶処理と、を上記情報処理装置にさらに実行させ、
上記選択処理において、新たな上記第2指標は、上記記憶部に記憶されているユーザの睡眠に関する評価との相関の大きさに基づいて、異常であると判定された複数の上記第1指標から選択される請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
上記相関は、上記第1指標それぞれ及び上記評価を単回帰分析することによって求められる請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
上記センサの出力に基づく就寝時刻、入眠時刻、覚醒時刻、及び起床時刻の少なくともいずれか一つの睡眠に関する時刻を取得する第4取得処理と
取得した上記時刻が、上記記憶部に予め記憶された所定の時刻範囲外であるときに時刻に対して異常である判定する第2判定処理と、
記時刻が異常であると判定したことを条件として、上記第1判定処理を実行せずに、上記就寝時刻、上記入眠時刻、上記覚醒時刻、及び上記起床時刻ごとに上記記憶部に予め記憶されている助言のうち、異常であると判定した上記就寝時刻、上記入眠時刻、上記覚醒時刻、及び上記起床時刻対応する助言を取得する第5取得処理を、上記情報処理装置に実行させ
上記出力処理は、上記時刻に対応する助言を出力し、
上記第1判定処理は、上記時刻が異常でないと判定したことを条件として実行される請求項1から3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
上記情報処理装置は、ユーザ入力を受け付ける入力部を更に備えるものであって、
睡眠の習慣に直接関係する事項に対する回答入力を上記ユーザ入力として受け付ける受付処理と、
上記ユーザ入力と、上記事項に予め定められている上記第1指標への対応関係とに基づいて、上記第1判定処理を実行しない上記第1指標を決定する決定処理と、を上記情報処理装置に実行させる請求項1から4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
上記第1判定処理において、上記第1指標の全てに異常がないと判定したことに応じて、上記第2取得処理において、異常がないことに対応して上記記憶部に予め記憶されている助言を取得する請求項1から5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
上記第1判定処理において、上記第1指標のそれぞれの値に対して予め定められている複数の上記閾値に基づいて、上記第1指標異常を場合分けし、
上記第2取得処理において、上記第1指標に対する異常の場合分けに対応して上記記憶部に予め記憶されている異常に関する助言のうち、上記第2指標として選択された上記第1指標に関する助言を取得する請求項1から6のいずれかに記載のプログラム。
【請求項8】
上記情報処理装置は、表示部を更に備えており、
上記出力処理によって出力された上記助言を上記表示部に表示する処理を上記情報処理装置に実行させる請求項1から7のいずれかに記載のプログラム。
【請求項9】
ユーザの睡眠中の動作を検知するセンサと、当該センサの出力に基づいて睡眠に関する複数の指標を生成する生成部と、コントローラ、記憶部、を備える情報処理装置と、を備えるシステムであって、
上記情報処理装置は、
上記複数の指標を第1指標として取得する第1取得処理と、
予め定められている閾値に基づいて、複数の上記第1指標がそれぞれ異常であるかを判定する第1判定処理と、
常であると判定された上記第1指標のうち、1つの上記第1指標を第2指標として選択する選択処理と、
上記第2指標を上記記憶部に記憶する第1記憶処理と、
上記第1指標のそれぞれに対応して上記記憶部に予め記憶されている助言のうち、上記第2指標に対応する助言を取得する第2取得処理と、
取得した助言を出力する出力処理と、実行し、
上記選択処理において、複数の上記第1指標が異常であることを条件として、直近の所定期間内に記憶された上記第2指標を読み出して、読み出した上記第2指標に該当しない1つの上記第1指標が、異常である上記第1指標から新たな上記第2指標として選択されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの睡眠について助言を表示するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ユーザ条件及び健康条件から提供内容を生成する情報処理システムを開示する。具体的には、ユーザの個人情報(ユーザ条件)と、疲労指標・睡眠指標(健康条件)と、当該指標を改善するアドバイス(提供内容)と、を関連付けたテーブルが設けられ、提供内容に関連付けられたユーザ条件と健康条件とが満たされると当該提供内容が示される。
【0003】
特許文献2は、睡眠評価点数からアドバイスを決定するプログラムを開示する。具体的には、睡眠評価点数とアドバイスコードとを記憶したテーブルと、アドバイスコードとアドバイスメッセージとを記憶したテーブルを有し、各テーブルを順に参照することによってアドバイスメッセージを決定し、出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】再表2015/107710号公報
【文献】特開2017-164580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載された情報処理システム又はプログラムでは、睡眠に関する指標に助言を行う場合に、短期間に何度も同じ内容の助言を表示するおそれがある。同じ内容の助言が繰り返されれば、ユーザは、助言に対する興味をなくす。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、睡眠に関する指標に助言を行う場合に、短期間に何度も同じ内容の助言が表示されることを抑制するプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係るプログラムは、コントローラと、記憶部と、を備える情報処理装置が実行可能である。ユーザの睡眠中の動作を検知するセンサの出力に基づいて生成された睡眠に関する複数の指標を取得する第1取得処理と、上記複数の指標がそれぞれ異常であるかを判定する判定処理と、複数の上記指標が異常であることを条件として、所定期間内に選択した指標を上記記憶部から読み出して、読み出された当該指標に該当しない1つの上記指標を選択する選択処理と、選択した上記指標を上記記憶部に記憶する記憶処理と、選択した上記指標に関する助言を取得する第2取得処理と、取得した助言を出力する出力処理と、を上記情報処理装置に実行させる。
【0008】
睡眠に関する異常な指標に関する助言について、連続して同じ指標に関する助言が出力されることが抑制される。
【0009】
(2) 好ましくは、上記選択処理において、上記記憶部から読み出された指標に該当しない複数の上記指標それぞれとユーザの睡眠に関する評価との相関の大きさに基づいて1つの上記指標を選択する。
【0010】
ユーザの睡眠の満足度に比較的影響が少ない指標に対する助言ではなく、比較的影響が大きい指標に対する助言が選択され易い。
【0011】
(3) 例えば、上記相関は、上記指標それぞれ及び上記評価を単回帰分析することによって求められる。
【0012】
(4) 好ましくは、上記センサの出力に基づく就寝時刻、入眠時刻、覚醒時刻、及び起床時刻の少なくともいずれか一つの睡眠に関する時刻を取得し、取得した上記時刻が、上記記憶部に記憶された時刻に対して異常であるかを判定し、上記時刻が異常でないと判定したことを条件として上記判定処理を実行し、上記時刻が異常であると判定したことを条件として、上記判定処理を実行せずに、異常であると判定した時刻に応じた助言を取得する処理を、上記情報処理装置に実行させる。
【0013】
上記指標が異常でないと判定されるときであっても、就寝時刻、入眠時刻、覚醒時刻及び起床時刻の少なくともいずれか一つが異常である場合がある。このような場合には、通常と異なる状況がユーザに起こっており、その状況をユーザが認識している可能性がある。このような場合には、睡眠に関する指標に対応する助言ではなく、就寝時刻、入眠時刻、覚醒時刻又は起床時刻に対応した助言を出力することができる。
【0014】
(5) 好ましくは、上記情報処理装置は、ユーザ入力を受け付ける入力部を更に備えるものである。上記ユーザ入力に基づいて上記判定処理を実行しない上記指標を決定する処理を上記情報処理装置に実行させる。
【0015】
ユーザの個人的な事情により改善が困難である指標がある場合に、当該指標に対する助言が出力されることを回避することができる。
【0016】
(6) 例えば、上記判定処理において、上記指標の全てに異常がないと判定したことに応じて、異常がないことに対応する助言を取得する処理を上記情報処理装置に実行させる。
【0017】
(7) 例えば、上記判定処理において、上記複数の指標が異常であることを段階的に判定し、上記第2取得処理において、選択した上記指標の異常の段階に応じた助言を取得する。
【0018】
(8) 例えば、上記情報処理装置は、表示部を更に備えており、上記出力処理によって出力された上記助言を上記表示部に表示する処理を上記情報処理装置に実行させる。
【0019】
(9) 本発明に係るシステムは、ユーザの睡眠中の動作を検知するセンサと、当該センサの出力に基づいて睡眠に関する複数の指標を生成する生成部と、コントローラ、記憶部、を備える情報処理装置と、を備える。上記情報処理装置は、上記複数の指標を取得する第1取得処理と、上記複数の指標がそれぞれ異常であるかを判定する判定処理と、複数の上記指標が異常であることを条件として、所定期間内に選択した指標を上記記憶部から読み出して、読み出された当該指標に該当しない1つの上記指標を選択する選択処理と、選択した上記指標を上記記憶部に記憶する記憶処理と、選択した上記指標に関する助言を取得する第2取得処理と、取得した助言を出力する出力処理と、実行する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るプログラムによれば、睡眠に関する指標に助言を行う場合に、短期間に何度も同じ指標に関する助言が表示されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、情報処理システム100の構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システム100のブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るCPU34が実行する処理のフローチャートである。
図4図4(A)は、テーブル41の一例を示す図であり、図4(B)は、テーブル42の一例を示す図である。
図5図5は、ディスプレイ33の表示例であって、(A)は、ユーザ入力71の受け付け画面81を示す図であり、図5(B)は、ユーザ入力72の受け付け画面82を示す図である。
図6図6は、テーブル43の一例を示す図である。
図7図7(A)は、ディスプレイ33の表示例であって、評価91の受け付け画面83を示す図であり、図7(B)は、単相関係数47に基づく睡眠指標16の順位の一例を示す図である。
図8図8は、記憶された睡眠指標16及び評価91の一例を示す図である。
図9図9は、テーブル45の一例を示す図である。
図10図10は、変形例3に係る情報処理システム100のブロック図である。
図11図11は、変形例4に係る情報処理システム100のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム100の概略図である。図1に示されるように、情報処理システム100は、ユーザが睡眠をとる寝室20を主として設けられる。情報処理システム100は、センサ装置11と、携帯端末装置12と、データベース装置17を備える。情報処理システム100は、システムの一例である。携帯端末装置12は、情報処理装置10の一例である。
【0024】
寝室20は、例えばユーザの住居である建物に設けられているが、ユーザが睡眠する場所であればリビングや応接室等であってもよい。また、ユーザの住居に限定されず、ホテル等の一室であってもよい。ユーザは、寝室20に設けれたベッド25において睡眠する。
【0025】
寝室20は、例えば、床21と、壁22と、天井23と、扉(不図示)と、壁22に設けられた窓24と、を有する。また、寝室20には、ベッド25、センサ装置11、携帯端末装置12及びクロック13と、が設置されている。携帯端末装置12及びクロック13は、ユーザが携帯して寝室20から持ち出してもよい。
【0026】
センサ装置11は、天井23内に位置し、埋め込まれている。センサ装置11は、天井23内に限られず、天井23から突出していてもよく、また、天井23の表面に固定されていてもよい。また、センサ装置11は、天井23に限られず、壁22やベッド25、床21に位置してもよい。また、センサ装置11は、ユーザの腕等に巻きつけたり、身体等に取り付けたりするウェアラブル型であってもよい。
【0027】
図2は、本実施形態に係る情報処理システム100のブロック図である。図2に示されるように、センサ装置11、携帯端末装置12及びデータベース装置17は、通信ネットワーク18を通じて相互に通信可能に構成されている。通信ネットワーク18の具体例は特に限定されないが、例えば、インターネット、有線LAN、無線LAN、或いはこれらの組み合わせであってもよい。または、センサ装置11、携帯端末装置12及びデータベース装置17は、USBケーブル等によって接続されていてもよい。
【0028】
センサ装置11は、センサ14とネットワークI/F(不図示)とを備える。センサ14は、生体情報を検知するドップラーセンサである。また、センサ14は、生体情報を検知し得るものであれば、例えば、マットレスの下に設置した圧力センサなどであってもよい。センサ14は、生体にマイクロ波を照射し、照射したマイクロ波の反射波を受信し、照射したマイクロ波と受信したマイクロ波との周波数の差に基づいて体表の動きを検知する。センサ14は、体表の動きに応じた信号を出力する。また、センサ装置11は、センサ14が出力した信号を、データベース装置17に送信する。
【0029】
図1及び図2に示されるように、データベース装置17は、所謂サーバとして機能するものであり、寝室20を有する建物の中に設置されていてもよいし、寝室20を有する建物とは別の場所に設置されていてもよい。図2に示されるように、データベース装置17は、CPU28と、メモリ29と、ネットワークI/F(不図示)と、を備える。データベース装置17は、センサ装置11が送信した信号を受信する。CPU28及びメモリ29は、睡眠判定部15を構成する。
【0030】
CPU28は、データベース装置17の全体動作を制御するものである。CPU28は、ネットワークI/F(不図示)を通じて外部装置から受信した各種情報に基づいて、各種プログラムをメモリ29から取得して実行する。
【0031】
メモリ29は、各プログラムの実行に必要なデータ或いは情報等を記憶する。メモリ29は、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、データベース装置17に着脱されるUSBメモリ等の可搬記憶媒体、CPU28が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成される。
【0032】
睡眠判定部15は、センサ14が出力した信号に基づいて睡眠指標16を算出する演算装置である。睡眠判定部15は、メモリ29に記憶された所定のプログラムに基づいて睡眠指標16を演算する。データベース装置17は、睡眠判定部15が算出した睡眠指標16を携帯端末装置12に出力する。睡眠判定部15は生成部の一例である。睡眠判定部15は、データベース装置17が受信したセンサ14に基づく信号をメモリ29に記憶する。
【0033】
睡眠指標16の算出方法は、特に限定されないが、例えば、センサ14が出力した信号を解析して、呼吸数、心拍数及び体動数を得る。呼吸数及び心拍数は、例えば、センサ14が出力した信号を周波数解析することによって得られる。また、体動数は、例えば、センサ14が出力した信号の振幅が閾値以上となる回数から得られる。
【0034】
睡眠判定部15は、ベッド25にヒトがいるか否かを判定できる。例えば、センサ14が出力した信号が、所定の出力以上であることに基づいて、睡眠判定部15は、ベッド25にヒトがいると判定できる。
【0035】
睡眠判定部15は、ベッド25にいるヒトが睡眠していると判定したことに応じて、センサ14が出力する信号を周期的に取得し、取得した信号に基づいて、ユーザの呼吸、心拍及び体動を決定し、ユーザの睡眠・覚醒並びに睡眠の深さを信号の取得に応じて単位時間ごとに判定する。センサ14が出力する信号から呼吸、心拍、及び体動を決定する手法や、睡眠・覚醒並びに睡眠の深さを判定する手法は公知のものが用いられる。また、睡眠判定部15が、センサ14が出力する信号を取得する周期は、例えば、1~5分間隔程度である。
【0036】
睡眠判定部15は、例えば、単位時間あたりの体動数からユーザの睡眠、覚醒を判定する。睡眠判定部15は、単位時間あたりの体動数が予め設定された基準値以下であれば、睡眠と判定する。一方、睡眠判定部15は、単位時間あたりの体動数が予め設定された基準値より多ければ覚醒と判断する。なお、睡眠・覚醒の判定には、例えば、体動数だけでなく単位時間あたりの呼吸数やこれらの組み合わせが用いられてもよい。
【0037】
睡眠判定部15は、ユーザの睡眠・覚醒の判定において、睡眠と判定したことに応じて、睡眠の深さを判定する。
【0038】
睡眠の深さは、ノンレム睡眠とレム睡眠とに分けられる。ノンレム睡眠は、例えば、睡眠の深さに応じて段階1から段階4に分けられる。また、睡眠の深さには周期がある。睡眠の深さの周期においては、通常、ノンレム睡眠とレム睡眠とが交互に繰り返される。ノンレム睡眠時における睡眠の深さは、一般に成人の場合、入眠の後、段階1から段階4の順に深くなっていき、入眠後約1時間以内に段階4に達する。睡眠の深さは、段階4の後、浅くなっていき、段階1を経てレム睡眠となる。段階1の睡眠の深さは、例えば、他の段階2~4と比べて浅い。レム睡眠の睡眠の深さは、ノンレム睡眠と比べて浅い。レム睡眠は、例えば入眠から起床までの睡眠時間が6~8時間であって睡眠の深さの周期の1周期分の長さが90分である場合、3~5度繰り返されることとなる。
【0039】
段階1は、単位時間当たりの体動数によって抽出されてもよい。体動は、レム睡眠の前後の段階1、特にレム睡眠の直後の段階1において、回数が増える傾向がある。最も浅い睡眠は、体動数が増える段階1の検知によって抽出され得る。体動数以外の呼吸数や心拍数、あるいはそれらの組み合わせによって、レム睡眠が抽出され得る場合は、最も浅い睡眠としてレム睡眠が決定されてもよい。つまり、最も浅い睡眠は、ノンレム睡眠における段階1として把握されても、レム睡眠として把握されてもよい。
【0040】
睡眠判定部15は、センサ14がベッドにヒトがいると判定することによって、就寝時刻19Aを得る。また、睡眠判定部15は、睡眠・覚醒並びに睡眠の深さを判定することによって、その他の睡眠の内容に関するデータを得る。睡眠の内容に関するデータとは、例えば、就寝時刻19A、入眠時刻19B、覚醒時刻19C、起床時刻19Dの4つの時刻19、中途覚醒の回数、レム睡眠の回数及びノンレム睡眠の回数である。なお、本明細書における覚醒時刻19Cとは、中途覚醒をした時刻ではなく、起床前の覚醒時刻19Cのことを示す。
【0041】
睡眠判定部15は、センサ14が出力した信号を取得した時刻と、センサ14の信号、あるいはセンサ14の信号に基づく呼吸数、心拍数、及び体動数、睡眠の内容に関するデータなどとを、メモリ29に記憶する。なお、睡眠判定部15は、これらをセンサ装置11内のメモリ(不図示)や携帯端末装置12のメモリ35に記憶させてもよい。
【0042】
睡眠判定部15は、ユーザが起床したと判定したことに応じて、睡眠指標16を算出する。
【0043】
睡眠指標16は、センサ14から出力された信号に基づいて算出された睡眠に関する指標である。本実施形態における睡眠指標16には、睡眠効率、睡眠時間、中途覚醒の回数、入眠潜時及び眠りの質が用いられる。なお、睡眠指標16は、これらの指標に限られず、中途覚醒の時間、レム睡眠の時間或いはノンレム睡眠の時間等の公知のものが用いられてもよく、また、これらのうち少なくとも1つが用いられてもよい。
【0044】
睡眠効率は、入眠時刻19Bから覚醒時刻19Cまでの時間を、就寝時刻19Aから起床時刻19Dまでの時間で割って求められる。
【0045】
睡眠時間は、入眠時刻19Bから覚醒時刻19Cまでの時間を表す。
【0046】
中途覚醒の回数は、入眠から起床前の覚醒までの間にユーザが覚醒した回数である。
【0047】
入眠潜時は、就寝時刻19Aから入眠時刻19Bまでの時間である。
【0048】
眠りの質は、レム睡眠の回数を、レム睡眠の回数とノンレム睡眠の回数とを合わせた数で割って求められる。
【0049】
データベース装置17は、就寝時刻19A、入眠時刻19B、覚醒時刻19C、起床時刻19D及び算出した睡眠指標16を携帯端末装置12に送信する。また、データベース装置17は、携帯端末装置12の要求に基づいて助言を携帯端末装置12に送信する。
【0050】
携帯端末装置12は、データベース装置17から睡眠指標16及び助言を受信する。図2に示されるように、携帯端末装置12は、ネットワークI/F31と、入力I/F32と、ディスプレイ33と、CPU34と、メモリ35と、通信バス36と、クロック37と、を主に備える。携帯端末装置12を構成する各構成要素は、通信バス36を通じて相互に接続されている。
【0051】
ネットワークI/F31は、センサ装置11等の外部装置と通信可能なインタフェースである。すなわち、本実施形態においては、携帯端末装置12は、ネットワークI/F31を通じてセンサ装置11及びデータベース装置17へ各種情報を送信し、ネットワークI/F31を通じてセンサ装置11及びデータベース装置17から各種情報を受信する。ネットワークI/F31の具体的な通信手順は特に限定されないが、例えば、Wi-Fi(登録商標)を採用することができる。また、携帯端末装置12及びセンサ装置11がUSBケーブルで接続される場合、ネットワークI/F31は、USBケーブルを着脱可能なUSBインタフェースであってもよい。
【0052】
入力I/F32は、ユーザによる入力操作を受け付けるユーザインタフェースである。具体的には、入力I/F32はボタンを有しており、押下されたボタンに対応づけられた各種の操作信号をCPU34へ出力する。さらに、入力I/F32は、ディスプレイ33の表示面に表示されたオブジェクトを指定する操作、文字列或いは数字列を入力する操作は、ユーザ操作の一例である。「オブジェクト」とは、例えば、ディスプレイ33に表示された文字列、アイコン、ボタン、リンク、ラジオボタン、チェックボックス、プルダウンメニュー等である。
【0053】
タッチセンサとして実現される入力I/F32は、ユーザがタッチした表示面上の位置を示す位置情報を出力する。なお、本明細書中における「タッチ」とは、入力媒体を表示面に接触させる操作全般を含む。また、入力媒体が表示面に触れていなくても、表示面との間の距離がごく僅かな位置まで入力媒体を近接させる「ホバー」或いは「フローティングタッチ」を、前述の「タッチ」の概念に含めてもよい。さらに入力媒体とは、ユーザの指であってもよいし、タッチペン等であってもよい。ディスプレイ33に表示されたオブジェクトの位置をタップするユーザ操作は、当該オブジェクトを指定する操作入力の一例である。入力I/F32は、入力部の一例である。
【0054】
ディスプレイ33は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、各種情報を表示する表示画面を備える。ディスプレイ33は、表示部の一例である。
【0055】
CPU34は、携帯端末装置12の全体動作を制御するものである。CPU34は、ネットワークI/F31を通じて外部装置から受信した各種情報、入力I/F32から出力される各種情報に基づいて、後述する各種プログラムをメモリ35から取得して実行する。CPU34は、コントローラ26の一例である。
【0056】
メモリ35は、OS38と、助言プログラム39と、を記憶している。また、メモリ35は、各プログラムの実行に必要なデータ或いは情報等を記憶する。メモリ35は、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、携帯端末装置12に着脱されるUSBメモリ等の可搬記憶媒体、CPU34が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成される。メモリ35は、記憶部の一例である。
【0057】
クロック37は、日時情報を出力する。クロック37が出力した日時情報は、メモリ35に一時記憶される。
【0058】
OS38は、例えば、Android(登録商標) OS、iOS(登録商標)、Windows Phone(登録商標) Operating System等であってもよい。
【0059】
助言プログラム39は、主に、取得した睡眠指標16について異常を判定し、選択した1つの睡眠指標16に関する助言をテーブル41から取得してディスプレイ33に表示する。助言プログラム39は、異常な睡眠指標16の選択に際し、メモリ35に記憶された直前4日間における睡眠指標16の選択情報及び睡眠指標16の順位情報を参照する。
【0060】
助言プログラム39は、メモリ35に記憶されている閾値に基づいて睡眠指標16の異常を判定する。本実施形態では、各睡眠指標16の閾値は、予め定められている。助言プログラム39は、睡眠効率が、例えば、0.85未満又は0.9を超えるとき、睡眠効率を異常と判定する。助言プログラム39は、睡眠時間が、例えば、ユーザの通常の睡眠時間よりも30分を超えて長い又は短いとき、睡眠時間を異常と判定する。助言プログラム39は、中途覚醒の回数が、例えば、1回以上であれば中途覚醒の回数を異常と判定する。助言プログラム39は、入眠潜時が、例えば、10分未満又は30分を超えるとき、入眠潜時を異常と判定する。助言プログラム39は、眠りの質が、例えば、0.44未満又は0.66を超えるとき、眠りの質を異常と判定する。
【0061】
ユーザの通常の睡眠時間は、ユーザ入力71に基づく時間である。ユーザ入力71は、助言プログラム39がディスプレイ33に表示した、オブジェクト51(図5(A)参照)に対するユーザの入力である。オブジェクト51は、助言プログラム39が携帯端末装置12において最初に起動されたときにディスプレイ33に表示される。オブジェクト51には、就寝時刻19A及び起床時刻19Dの入力欄が設けられ、ユーザは、就寝時刻19A及び起床時刻19Dを入力する。助言プログラム39は、ユーザ入力71からユーザの通常の睡眠時間を求め、メモリ35に記憶する。
【0062】
図4(A)に示されるように、テーブル41は、睡眠指標16と助言とを対応させる。テーブル41は、メモリ29に記憶される。助言プログラム39は、選択した1つの異常な睡眠指標16をデータベース装置17に送信し、助言を要求する。データベース装置17は、受信した睡眠指標16に対応する助言を、携帯端末装置12に送信する。なお、助言プログラム39は、全ての睡眠指標16が異常でないと判定したときは、異常なしに対応する助言をデータベース装置17から取得する。
【0063】
また、助言プログラム39は、睡眠指標16について異常を判定する前に、就寝時刻19A、入眠時刻19B、覚醒時刻19C及び起床時刻19Dについて異常を判定し、異常と判定した時刻19に関する助言をテーブル42から取得してディスプレイ33に表示する。
【0064】
助言プログラム39は、メモリ35に記憶されている範囲に基づいて時刻19の異常を判定する。本実施形態では、各時刻19の範囲は、予め定められている。助言プログラム39は、各時刻19が予め定められた範囲外であったときに、時刻19を異常と判定する。より具体的には、助言プログラム39は、ユーザの通常の時刻19の前後3時間を、取得した各時刻19が外れたとき、当該時刻19を異常と判定する。
【0065】
ユーザの通常の就寝時刻19A及び起床時刻19Dは、ユーザ入力71に基づく時刻である。ユーザの通常の入眠時刻19Bは、例えば、ユーザ入力71の就寝時刻19Aの20分後の時刻である。ユーザの通常の覚醒時刻19Cは、例えば、ユーザ入力71の起床時刻19Dの20分前の時刻である。
【0066】
図4(B)に示されるように、テーブル42は、時刻19と助言とを対応させる。テーブル42は、メモリ29に記憶される。助言プログラム39は、異常な時刻19を全てデータベース装置17に送信し、助言を要求する。データベース装置17は、受信した全ての時刻19に対応する助言を、携帯端末装置12に送信する。
【0067】
また、助言プログラム39は、睡眠指標16について異常を判定する前に、受け付けたユーザ入力72に基づいて異常の判定をしない睡眠指標16を決定し、異常の判定から睡眠指標16を除く。
【0068】
ユーザ入力72は、助言プログラム39が表示したオブジェクト52に対するユーザの入力である。助言プログラム39は、図5(B)に示されるように、オブジェクト52を睡眠指標16について判定を行う前にディスプレイ33に表示させる。例えば、オブジェクト52は、助言プログラム39がユーザ入力71を受け付けた後にディスプレイ33に表示される。なお、助言プログラム39は、睡眠指標16を受信した後にオブジェクト52を表示させてもよい。
【0069】
オブジェクト52は、睡眠の習慣に直接関係する事項についてのユーザに対する質問である。質問は、例えば、介護・子育て中であるか、アルコール依存症であるか、ナルコレプシーであるか、睡眠障害で眠れないか、或いは睡眠障害で途中で起きてしまうか等である。
【0070】
図6に示されるように、テーブル43は、ユーザ入力72と睡眠指標16とを対応させるためのものである。助言プログラム39は、ユーザ入力72でもってテーブル43を更新し、ユーザが該当するとした項目に対応する睡眠指標16について異常の判定をしないと決定する。助言プログラム39は、図5(B)及び図6の例では、「介護のために夜中に起きる」の項目に対しユーザ入力72を受け付け、テーブル43の同項目の欄にユーザ入力72を「あり」と記憶する。助言プログラム39は、当該欄に「あり」と記憶したことによって、判定しない睡眠指標16を中途覚醒の回数と決定する。
【0071】
[携帯端末装置12の動作]
以下、図3が参照されつつ、本実施形態に係る助言プログラム39に記述された命令に従ったCPU34の動作が説明される。なお、CPU34による処理は、OS38を介したハードウェア制御も含む。なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU34が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU34がデータを取得する」という概念に含まれる。
【0072】
ユーザは、携帯端末装置12において助言プログラムを起動する。図3に示されるように、助言プログラム39は、起動されるとメモリ35にユーザ入力71が記憶されていないことを条件として(S11:Yes)、オブジェクト51をディスプレイ33に表示させる(S12)。ユーザは、ディスプレイ33に表示されたオブジェクト51に対して、普段の就寝時刻及び普段の起床時刻を入力する。助言プログラム39は、ユーザの入力を入力I/F32を介して受け付けて、メモリ35に記憶する(S13)。このとき、助言プログラム39は、普段の就寝時刻及び普段の起床時刻をユーザの通常の就寝時刻19A及び起床時刻19Dとしてメモリ35に記憶する。また、助言プログラム39は、例えば、ユーザの通常の就寝時刻19Aに20分を加えてユーザの通常の入眠時刻19Bとして、ユーザの通常の起床時刻19Dから20分減らしてユーザの通常の覚醒時刻19Cとして、メモリ35に記憶する。また、助言プログラム39は、例えば、ユーザの通常の各時刻19を設定するのと同時に、各時刻19の前後3時間の範囲を、ユーザの時刻19の範囲として記憶する。また、助言プログラム39は、ユーザ入力72に基づいて通常の睡眠時間を算出しメモリ35に記憶する。
【0073】
助言プログラム39は、ステップS13の後、又はメモリ35にユーザ入力71が記憶されていることを条件として、携帯端末装置12における助言プログラムの起動が初回であるかを判断する(S14)。例えば、メモリ35には、助言プログラムの起動が実行さされたか否かに応じたフラグが記憶されている。助言プログラム39は、当該フラグを読み出して、当該フラグの値に基づいて、助言プログラムの起動が初回であるかを判断する。
【0074】
助言プログラム39は、携帯端末装置12における助言プログラムの起動が初回であると判断したときのみ(S14:Yes)、オブジェクト52をディスプレイ33に表示させる(S15)。オブジェクト52は、例えば、睡眠の習慣に直接関係する事項についての質問が一覧として用意され、各質問項目に対する回答入力のためのチェックボックスが設けられている。ユーザは、ディスプレイ33に表示されたオブジェクト52に対して、該当する項目をタップしてチェックを入力する。
【0075】
助言プログラム39は、オブジェクト52に対する操作が入力I/F32を経由されてユーザ入力72を受け付ける。助言プログラム39は、受け付けたユーザ入力72をメモリ35に記憶する(S16)。ユーザ入力72は、例えば、オブジェクト52に設けられた各項目のチェックボックスに対するユーザのチェックの入力の有無である。助言プログラム39は、チェックが入力された項目に対してユーザ入力72が「あり」として、チェックが入力されなかった項目に対してユーザ入力72が「なし」として識別するための所定値を記憶する。
【0076】
当該所定値は、メモリ35に記憶されたテーブル43(図6参照)のユーザ入力72の列に、各項目と対応させて記憶される。また、助言プログラム39は、メモリ35に記憶されている上記フラグを起動が実行された値に更新する。
【0077】
助言プログラム39は、データベース装置17から時刻19及び算出された複数の睡眠指標16を取得する(S17)。助言プログラム39がデータベース装置17から時刻19及び睡眠指標16を取得するタイミングは、ユーザが助言プログラム39を起動したタイミングであってもよいし、ユーザが助言プログラム39を起動したかに拘わらず、予め設定された時刻にデータベース装置17から時刻19及び睡眠指標16を取得してもよい。ステップS17は、第1取得処理の一例である。
【0078】
助言プログラム39は、時刻19を取得したことを条件として、時刻19の異常を判定する(S18)。例えば、助言プログラム39は、メモリ35に記憶されているユーザの時刻19の範囲を読み出す。助言プログラム39は、取得した時刻19と読み出した当該範囲とをそれぞれ比較する。助言プログラム39は、時刻19が当該範囲内であるか否かに応じたフラグの値を、時刻19それぞれに設定する。
【0079】
助言プログラム39は、時刻19に異常があると判定したことを条件として(S18:Yes)、異常と判定した時刻19をデータベース装置17に送信し、時刻19に対応する助言を取得する(S28)。例えば、助言プログラム39は、時刻19のいずれかに当該範囲内でないことに応じたフラグの値が設定されていることを条件として、どの時刻19に対し当該フラグの値が設定されたということの認識可能な信号をデータベース装置17に送信し、送信した時刻19に対応する助言を取得する。データベース装置17は、受信した時刻19に対応する助言をテーブル42から読み出して携帯端末装置12に送信する。
【0080】
助言プログラム39は、時刻19に異常がないと判定したことを条件として(S18:No)、判定しない睡眠指標16をテーブル43から読み出す(S19)。例えば、助言プログラム39は、時刻19のいずれもが当該範囲内であることに応じたフラグの値が設定されていることを条件として、テーブル43を参照し、「あり」と識別される所定値が記憶されているユーザ入力72に対応する判定しない睡眠指標16の列に記憶された睡眠指標16を読み出す。
【0081】
助言プログラム39は、判定しない睡眠指標16を除いて、取得した睡眠指標16の異常を判定する(S20)。例えば、助言プログラム39は、読み出した睡眠指標16に対応する取得した睡眠指標16の値を削除する。また、助言プログラム39は、メモリ35に記憶されている各睡眠指標16の閾値を読み出す。助言プログラム39は、取得した睡眠指標16と読み出した閾値とをそれぞれ比較する。助言プログラム39は、当該閾値に基づいて各睡眠指標16が異常であるか否かに応じたフラグを、それぞれに設定する。
【0082】
助言プログラム39は、睡眠指標16に異常がないと判定したことを条件として(S20:なし)、「異常なし」をデータベース装置17に送信し、「異常なし」に対応する助言を取得する(S27)。例えば、助言プログラム39は、睡眠指標16のいずれもが異常でないことに応じたフラグの値が設定されていることを条件として、全ての睡眠指標16に対し当該フラグの値が設定されたということの認識可能な信号をデータベース装置17に送信し、送信した睡眠指標16に対応する助言を取得する。データベース装置17は、受信した「異常なし」に対応する助言をテーブル41から読み出して携帯端末装置12に送信する。なお、ステップS20は、判定処理の一例である。
【0083】
助言プログラム39は、いずれか1つの睡眠指標16に異常があると判定したことを条件として(S20:1つ)、異常があると判定した睡眠指標16をメモリ35に記憶する(S25)。例えば、助言プログラム39は、異常であることに応じたフラグの値が設定されている睡眠指標16を計上する。助言プログラム39は、計上された結果が「1」であったことを条件として、異常であることに応じたフラグの値が設定されている睡眠指標16を、クロック37に基づく日時情報とともにメモリ35に記憶する。
【0084】
助言プログラム39は、異常があると判定した睡眠指標16をデータベース装置17に送信し、異常な睡眠指標16に対応する助言を取得する(S26)。例えば、助言プログラム39は、どの睡眠指標16に対し異常であることに応じたフラグの値が設定されたということの認識可能な信号をデータベース装置17に送信し、送信した睡眠指標16に対応する助言を取得する。データベース装置17は、受信した睡眠指標16に対応する助言をテーブル41から読み出して携帯端末装置12に送信する。
【0085】
助言プログラム39は、複数の睡眠指標16に異常があると判定したことを条件として(S20:複数)、直近4日間に選択した睡眠指標16をメモリ35から読み出す(S21)。例えば、助言プログラム39は、異常であることに応じたフラグの値が設定されている睡眠指標16を計上する。助言プログラム39は、計上された結果が「2」以上であったことを条件として、メモリ35に記憶された直近4日間に選択した睡眠指標16を読み出す。また、助言プログラム39は、睡眠指標16の順位をメモリ35から読み出す。
【0086】
助言プログラム39は、予め定められた睡眠指標16の順位が上位であって、読出した睡眠指標16に該当しない異常な睡眠指標16を優先して1つの睡眠指標16を選択する(S22)。助言プログラム39は、例えば、睡眠効率及び睡眠時間を異常と判定し、睡眠効率が睡眠時間より上位であり、選択した睡眠指標16として睡眠効率が読み出されたとき、睡眠時間を選択する。また、助言プログラム39は、例えば、睡眠時間、中途覚醒の回数、入眠潜時を異常と判定し、睡眠時間、中途覚醒の回数、入眠潜時の順に上位であり、選択した睡眠指標16として睡眠時間が読み出されたとき、中途覚醒の回数を選択する。また、助言プログラム39は、例えば、睡眠時間、中途覚醒の回数、入眠潜時、眠りの質を異常と判定し、睡眠時間、中途覚醒の回数、入眠潜時、眠りの質の順に上位であり、これら全てが選択した睡眠指標16として読み出されたとき、睡眠時間を選択する。なお、ステップS22は、選択処理の一例である。
【0087】
助言プログラム39は、選択した睡眠指標16を、クロック37に基づく日時情報とともにメモリ35に記憶する(S23)。助言プログラム39は、選択した睡眠指標16をデータベース装置17に送信し、選択した睡眠指標16に対応する助言を取得する(S24)。例えば、助言プログラム39は、どの睡眠指標16が選択されたということの認識可能な信号をデータベース装置17に送信し、送信した睡眠指標16に対応する助言を取得する。データベース装置17は、受信した睡眠指標16に対応する助言をテーブル41から読み出して携帯端末装置12に送信する。なお、ステップS23は、記憶処理の一例である。なお、ステップS24は、第2取得処理の一例である。
【0088】
助言プログラム39は、取得した助言をディスプレイ33に表示させる(S29)。なお、ステップS29は、出力処理の一例である。
【0089】
なお、情報処理装置10は、携帯端末装置12に限られず、PCであってもよく、寝室20に備えられた空調機器等の家電機器といった、CPUが組み込まれた機器であってもよい。また、本実施形態では、助言の出力は、携帯端末装置12のディスプレイ33に表示されることによって実行されたが、他の装置又は機器のディスプレイに表示されてもよく、また、音声として出力されてもよい。
【0090】
なお、情報処理システム100は、さらに寝室20に設置されたクロック13を備えてもよい。なお、日時情報は、本実施形態では、クロック37が出力したが、クロック37に代えてクロック13が出力してもよい。クロック13は、所謂時計である。クロック13は、置き時計であってもよいし、壁掛け時計や腕時計であってもよい。また、クロック13は、外部から時刻情報を受信可能な他のデバイスであってもよい。クロック13は、日時情報を携帯端末装置12に送信する。
【0091】
なお、オブジェクト52は、本実施形態では、助言プログラム39の初回起動時だけであったが(S14)、これに限られず定期的に表示されてもよい。助言プログラム39は、例えば、3か月ごとにオブジェクト52をディスプレイ33に表示させ、ユーザ入力72を受け付ける度に、テーブル43を更新する。
【0092】
なお、睡眠指標16の各閾値は、本実施形態では、予め定められているが、その他のユーザ入力、各メモリ29、35に蓄積されたユーザの睡眠に関する情報、或いはこれらの組み合わせから定められてもよい。また、各睡眠指標16の閾値は、助言プログラム39のアップデート等によって適宜変更されてもよく、季節ごとに変更されてもよい。
【0093】
なお、時刻19の各範囲は、本実施形態では、予め定められているが、睡眠指標16の各閾値と同様に、定められ、変更されてもよい。
【0094】
なお、ユーザの通常の睡眠時間及び時刻19は、ユーザ入力71に基づいて定められたが、所定期間分が記憶されたことを条件として、当該期間における平均を求めることによって変更されてもよい。所定期間は、例えば、直前の1週間、1か月、3か月等である。また、季節によっても変更されてもよい。
【0095】
なお、ステップS17で取得される時刻19は、少なくともいずれか1つであればよい。また、時刻19に対する助言の取得は、異常な時刻19の少なくともいずれか1つが選択されて実行されてもよい。また、助言プログラム39は、時刻19と睡眠指標16とを別々に取得してもよい。
【0096】
なお、ステップS21で読み出す睡眠指標16は、本実施形態では、直近4日間であったが、所定期間内であればよく、例えば、前日分、直近2日間、直近1週間であってもよい。また、当該読み出す睡眠指標16は、例えば、判定する睡眠指標16の項目数をnとしたとき、直近のn-1日分等であってもよい。
【0097】
なお、ステップS22では、予め定められた順位が用いられたが、順位に代えて乱数が用いられてもよい。
【0098】
なお、睡眠指標16の項目数は、本実施形態では、5つであったが少なくとも2つ以上であればよい。また、睡眠指標16は、本実施形態で示されなかったその他の睡眠指標16が用いられてもよい。例えば、睡眠指標16は、深部体温が最低となる時刻を有していてもよい。助言プログラム39は、深部体温が最低となる時刻が、通常の起床時刻19Dから2時間前の時刻よりも30分を超えて前後するとき、深部体温が最低となる時刻を異常と判定する。なお、情報処理システム100は、このとき、深部体温を計測するための体温計をさらに備える。体温計は、深部体温が計測可能であればよく、公知のものが用いられる。また、睡眠判定部15がセンサ14の出力に基づいて深部体温を推定してもよい。
【0099】
なお、図4(A)及び(B)のテーブル41及び42の助言は、助言の一例であって、これに限られず、対応する睡眠指標16又は時刻19に関するものであればよく、また、適宜変更されてもよい。
【0100】
なお、オブジェクト52に示された項目は、ユーザ入力72を受け付ける一例であって、その他の項目が示されてもよい。また、図6に示されるテーブル43は、判定しない睡眠指標16を決定する手段の一例であって、これに限られない。また、項目に対応する判定しない睡眠指標16は、図6の例に限られず、項目に応じて適宜設定される。
【0101】
なお、異常な時刻19に対する助言を取得する前に、異常な睡眠指標16と同様の選択処理を実行し、1つの時刻19を選択してもよい。
【0102】
睡眠指標16に異常がない場合、異常な睡眠指標16と同様の選択処理を実行し、選択した1つの睡眠指標16に対応する助言を出力してもよい。
【0103】
なお、メモリ29に記憶された各種情報は、メモリ35に記憶されてもよい。また、メモリ35に記憶された各種情報は、メモリ29に記憶されてもよい。
【0104】
なお、睡眠判定部15は、CPU28及びメモリ29から構成されたが、CPU34及びメモリ35により構成されてもよい。
【0105】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、異常な睡眠指標16に関する助言を行う場合に、所定期間内に繰り返して同じ内容の助言が出力されることが抑制される。
【0106】
また、助言プログラム39は、睡眠指標16が異常なしと判定したことを条件として、異常なしに関する助言を出力するが、時刻19について判定しなければ、就寝時刻19A、入眠時刻19B、覚醒時刻19C又は起床時刻19Dのいずれかが異常であったとしても、このことは助言に反映されない。このような場合にも、本実施形態では、時刻19の異常について判定するため、時刻19が異常であることに応じて助言を表示することができる。また、本実施形態では、睡眠指標16を判定する前に、時刻19を判定することによって、睡眠指標16を判定せずとも助言を表示することができる。
【0107】
また、本実施形態では、ユーザ入力72を受け付け、判定しない睡眠指標16を決定する。判定しない睡眠指標16は、助言を取得するための睡眠指標16とはならない。よって、本実施形態では、ユーザの個人的な事情により改善が困難である睡眠指標16がある場合、当該睡眠指標16に対する助言が出力されることを回避することができる。
【0108】
[変形例1]
上記実施形態では、異常と判定された睡眠指標16が複数あったとき、1つの睡眠指標16を選択する基準の1つに順位を用いた例を説明した。変形例1では、順位が睡眠指標16それぞれとユーザの睡眠に関する評価91との相関の大きさに基づいて更新される例を説明する。変形例1においては、上記実施形態と同じ処理についての説明が省略され、上記実施形態と異なるCPU34の処理について説明がされる。
【0109】
助言プログラム39は、取得した助言をディスプレイ33に表示させた後(S29)、ディスプレイ33に評価91を受け付けるためのオブジェクト53を表示する。図7(A)に示されるように、オブジェクト53は、例えば、「本日の睡眠の評価は何点でしたか?」とのテキスト表示と、ユーザが点数を入力するための入力欄とを有する。ユーザは、例えば、オブジェクト53の入力欄をタッチして、評価91を入力する。
【0110】
図8に示されるように、助言プログラム39は、取得した睡眠指標16と、受け付けた評価91と、クロック37に基づく日時情報と、をテーブル44に書き込んでメモリ35に記憶する。図8に示される例では、テーブル44には、2018年11月1日から2018年11月7日までの、助言プログラム39が取得した睡眠指標16及び受け付けた評価91が記憶されている。
【0111】
助言プログラム39は、テーブル44に睡眠指標16及び評価91が所定期間分蓄積されたことを条件として、メモリ35に記憶されたテーブル44から睡眠指標16及び評価91を読み出して、睡眠指標16それぞれと評価91とを単回帰分析により分析する。なお、当該所定期間とは、例えば、1週間であるが、これに限られず、3日間、2週間、1か月等であってもよい。
【0112】
図7(B)に示されるように、助言プログラム39は、単回帰分析により単相関係数47を睡眠指標16ごとに算出し、単相関係数47が大きい順にテーブル48における睡眠指標16の順位を変更する。テーブル48は、各睡眠指標16と、単相関係数47と、睡眠指標16ごとの順位と、を対応させるものである。テーブル48には、予め定められた睡眠指標16の順位が予め記憶されている。例えば、助言プログラム39は、図8に示される2018年11月1日から2018年11月7日までの睡眠効率と評価91とを単回帰分析し、得られた単相関係数47の値「0.93」をテーブル48に記憶する。助言プログラム39は、その他の睡眠指標16についても同様に、得られた単相関係数47の各値をそれぞれテーブル48に記憶する。助言プログラム39は、全ての睡眠指標16の単相関係数47の値が求められたことを条件として、テーブル48に記憶された単相関係数47の値が大きい順に睡眠指標16の順位を決定し、当該順位をもってテーブル48の順位の列を更新する。なお、単相関係数47は相関の一例である。
【0113】
[変形例1の作用効果]
ユーザの睡眠の満足度に比較的影響が低い指標に対する助言が先になされることを抑制できる。
【0114】
[変形例2]
上記実施形態では、各睡眠指標16の異常の段階に関わらず助言が取得されていた。例えば、助言プログラム39は、睡眠効率が0.85未満であっても、0.9を超えるものであっても、同じ助言を取得していた。変形例2では、各睡眠指標16の異常の段階に応じた助言を取得する例を説明する。変形例2においては、上記実施形態と同じ処理についての説明が省略され、上記実施形態と異なるCPU34の処理等について説明がされる。
【0115】
助言プログラム39は、異常と判定した複数の睡眠指標16から1つの睡眠指標16を選択した(S22)後、選択した睡眠指標16を取得する(S23)際に、選択した睡眠指標16の段階に応じた情報を付した睡眠指標16をデータベース装置17に送信する。例えば、助言プログラム39は、ステップS20において、取得した睡眠指標16と読み出した閾値とそれぞれ比較して、異常であることに応じたフラグの値が設定されている睡眠指標16に対し、さらに下記の例に示されるような段階分けに応じたフラグの値を設定する。データベース装置17は、メモリ29に記憶されているテーブル45(図9参照)から、受信した睡眠指標16及びその段階に応じた助言を読み出して携帯端末装置12に送信する。
【0116】
睡眠指標16は、例えば、次のように段階分けされる。睡眠効率は、0.9を超えるとき、段階Aとされ、0.85未満のとき段階Bとされる。睡眠時間は、ユーザの通常の睡眠時間よりも30分を超えて短いとき、段階Aとされ、30分を超えて長いとき段階Bとされる。中途覚醒の回数は、1回であるとき、段階Aとされ、2回以上であるとき、段階Bとされる。入眠潜時は、10分未満であるとき、段階Aとされ、30分を超えるとき、段階Bとされる。眠りの質は、0.44未満であるとき、段階Aとされ、0.66を超えるとき、段階Bとされる。
【0117】
図9に示されるように、テーブル45は、睡眠指標16と助言とを各睡眠指標16の段階ごとに対応させる。テーブル45は、メモリ29に記憶される。
【0118】
なお、変形例2では、いずれか1つの睡眠指標16に異常があると判定した(S20:1つ)後、異常があると判定した睡眠指標16に対応する助言を取得する(S26)の際にも、テーブル45を用いる。
【0119】
[変形例2の作用効果]
各睡眠指標16の異常の段階に応じた助言が出力されるため、比較的ユーザの異常に適した助言をユーザに提供できる。
【0120】
[変形例3]
上記実施形態では、データベース装置17のCPU28及びメモリ29が睡眠判定部15を構成したが、図10に示されるように、センサ装置11は、CPU61と、RAM62と、を備え、CPU61及びRAM62が睡眠判定部15を構成してもよい。変形例3では、センサ装置11は、上記実施形態と同様に、通信ネットワーク18を通じて携帯端末装置12及びデータベース装置17と相互に通信可能であってもよいが、携帯端末装置12と通信ネットワーク18を経由せず相互に通信可能に構成されてもよい。センサ装置11は、例えば、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等によって、携帯端末装置12に接続される。変形例3では、データベース装置17は、センサ装置11からの信号の出力を携帯端末装置12を経由して取得する。
【0121】
[変形例4]
上記実施形態では、情報処理システム100は、センサ装置11と、携帯端末装置12と、データベース装置17と、を備えていたが、図11に示されるように、情報処理システム100は、センサ装置11と、携帯端末装置12と、を備える構成であってもよい。変形例3では、各種情報は、メモリ35に記憶される。また、助言を含む各種情報は、メモリ35から取得される。
【符号の説明】
【0122】
10・・・情報処理装置
11・・・センサ装置
12・・・携帯端末装置
14・・・センサ
15・・・睡眠判定部(生成部の一例)
16・・・睡眠指標
19・・・時刻
19A・・・就寝時刻
19B・・・入眠時刻
19C・・・覚醒時刻
19D・・・起床時刻
32・・・入力I/F(入力部の一例)
33・・・ディスプレイ(表示部の一例)
34・・・CPU(コントローラの一例)
35・・・メモリ(記憶部の一例)
39・・・助言プログラム
47・・・単相関係数(相関の一例)
100・・・情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11