(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像形成装置の構造体、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240110BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G03G21/16 119
H05K5/02 N
(21)【出願番号】P 2020039494
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】高木 勝
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-82881(JP,A)
【文献】特開2009-288695(JP,A)
【文献】特開平6-175419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
H05K 5/02
B41J 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部、前記給紙部から供給される用紙に画像を形成するプリント部および前記プリント部に現像剤を供給する現像剤コンテナを収容し支持する画像形成装置の構造体であって、
複数の角パイプで構成され、それぞれ縦に延びる4本の第1柱部と前記4本の第1柱部の下端部に溶接され矩形を形成する底枠部と前記4本の第1柱部の上端部に溶接され矩形を形成する第1仕切枠部と有する下層部と、
複数の角パイプで構成され、それぞれ前記4本の第1柱部の延長線に沿う状態で前記下層部に連なり縦に延びる4本の第2柱部と前記4本の第2柱部の上端部に溶接され矩形を形成する天枠部と前記第1仕切枠部および前記天枠部の間で前記4本の第2柱部に溶接され矩形を形成する第2仕切枠部とを有する上層部と、を備え、
前記第1柱部各々は前記第2柱部各々よりも太く、
前記下層部は、前記給紙部を収容する第1空間を形成し、
前記上層部における前記第2仕切枠部から下の部分は前記プリント部を収容する第2空間を形成し、
前記上層部における前記第2仕切枠部から上の部分は前記現像剤コンテナを収容する第3空間を形成する、画像形成装置の構造体。
【請求項2】
前記第1柱部各々と対応する前記第2柱部各々は、長手方向の一部分が他の部分よりも太く形成された、長手方向において継ぎ目のない一連の角パイプで構成されている、請求項1に記載の画像形成装置の構造体。
【請求項3】
前記第2柱部各々は、長手方向において継ぎ目のない一連の角パイプで構成されており、
前記第2柱部各々の下端部は前記第1仕切枠部に溶接されている、請求項1に記載の画像形成装置の構造体。
【請求項4】
給紙部と、
前記給紙部から供給される用紙に画像を形成するプリント部と、
前記プリント部に現像剤を供給する現像剤コンテナと、
前記給紙部、前記プリント部および前記現像剤コンテナを収容し支持する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置の構造体と、を備える画像形成装置。
【請求項5】
原稿の画像を読み取る画像読取ユニットをさらに備え、
前記画像読取ユニットは、前記上層部の前記天枠部に連結されている、請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の構造体および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、給紙部、プリント部および現像剤コンテナなどを備え、さらに、前記給紙部、前記プリント部および前記現像剤コンテナを収容し支持する構造体を備える。例えば、前記構造体は、複数の角パイプで構成される。
【0003】
また、前記構造体が、独立して構成される第1支持構造体および第2支持構造体を含み、前記第1支持構造体が、位置決めピンおよび位置決め穴の嵌合により、前記第2支持構造体の上に分離可能に連結されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記構造体が、独立した複数の要素体により構成される場合、前記要素体各々が所定の水準の強度を有する必要がある。そのため、前記複数の要素体において冗長なパイプ部材が必要になる。
【0006】
一方、前記構造体が、複数のパイプ部材が溶接されることにより一体化されることも考えられる。しかしながらこの場合、前記画像形成装置の落下試験において、前記画像形成装置全体の荷重に起因する大きな衝撃力が前記構造体の下方の部分に加わる。その結果、前記構造体の下方の部分が変形するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、冗長なパイプ部材を要することなく落下試験に対する十分な強度を実現可能な画像形成装置の構造体およびそれを有する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る画像形成装置の構造体は、給紙部、前記給紙部から供給される用紙に画像を形成するプリント部および前記プリント部に現像剤を供給する現像剤コンテナを収容し支持する。前記構造体は、下層部と、上層部と、を備える。前記下層部は、複数の角パイプで構成され、それぞれ縦に延びる4本の第1柱部と前記4本の第1柱部の下端部に溶接され矩形を形成する底枠部と前記4本の第1柱部の上端部に溶接され矩形を形成する第1仕切枠部と有する。前記上層部は、複数の角パイプで構成され、それぞれ前記4本の第1柱部の延長線に沿う状態で前記下層部に連なり縦に延びる4本の第2柱部と前記4本の第2柱部の上端部に溶接され矩形を形成する天枠部と前記第1仕切枠部および前記天枠部の間で前記4本の第2柱部に溶接され矩形を形成する第2仕切枠部とを有する。前記第1柱部各々は前記第2柱部各々よりも太い。前記下層部は、前記給紙部を収容する第1空間を形成する。前記上層部における前記第2仕切枠部から下の部分は前記プリント部を収容する第2空間を形成する。前記上層部における前記第2仕切枠部から上の部分は前記現像剤コンテナを収容する第3空間を形成する。
【0009】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記給紙部と、前記プリント部と、前記現像剤コンテナと、前記画像形成装置の前記構造体と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冗長なパイプ部材を要することなく落下試験に対する十分な強度を実現可能な画像形成装置の構造体およびそれを有する画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る構造体を備える画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る構造体の斜視図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る構造体6は、画像形成装置10に採用される。
図1に示されるように、画像形成装置10は、本体ユニット1および画像読取ユニット2を備える。
【0014】
本体ユニット1は、給紙部30、用紙搬送装置3、プリント部4、1つ以上の現像剤コンテナ5および構造体6を備える。画像読取ユニット2は、本体ユニット1の上部に連結されている。画像読取ユニット2は、原稿の画像を読み取る装置である。
【0015】
給紙部30は、複数枚の用紙を収容し、収容した前記用紙を1枚ずつ用紙搬送路300へ送り出す装置である。用紙搬送装置3は、前記用紙を用紙搬送路300に沿って搬送する複数組の搬送ローラー対31を備える。
【0016】
プリント部4は、給紙部30から用紙搬送装置3を通じて供給される前記用紙に画像を形成する装置である。
図1に示される例では、プリント部4は、電子写真方式で前記用紙に画像を形成する。
【0017】
電子写真方式のプリント部4は、レーザースキャニングユニット40、1つ以上の作像装置4xと、転写装置44と、定着装置45とを備える。
【0018】
図1に示される例において、プリント部4は、タンデム方式のカラー画像プリント装置である。そのため、プリント部4は、4色のトナーに対応する4つの作像装置4xを備える。さらに、画像形成装置10は、4つの作像装置4xに対応する4つの現像剤コンテナ5を備える。
【0019】
作像装置4x各々において、ドラム状の感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の外周面を帯電させ、レーザースキャニングユニット40が感光体41の外周面に静電潜像を書き込み、現像装置43が前記静電潜像をトナー像へ現像する。
【0020】
さらに、転写装置44において、中間転写ベルト440が4つの感光体41に接触しつつ回転し、4つの作像装置4xに対応する4つの一次転写装置441が前記トナー像を中間転写ベルト440へ転写し、二次転写装置442が中間転写ベルト440上の前記トナー像を、用紙搬送路300を搬送中の前記用紙に転写する。
【0021】
定着装置45は、前記用紙上の前記トナー像を加熱しつつ加圧することによって前記用紙へ定着させる。用紙搬送装置3は、画像が形成された前記用紙を用紙搬送路300から排出する。
【0022】
現像剤コンテナ5各々は、プリント部4における対応する現像装置43へトナーを供給する。前記トナーは現像剤の一例である。なお、プリント部4が、インクジェット方式またはその他の方式で前記用紙に画像を形成する装置であってもよい。
【0023】
構造体6は、給紙部30、用紙搬送装置3、プリント部4および現像剤コンテナ5を収容し支持する。構造体6は、複数のパイプ部材60の組み合わせにより構成されている(
図2参照)。
【0024】
ところで、構造体6が、独立した複数の要素体により構成される場合、前記要素体各々が所定の水準の強度を有する必要がある。そのため、前記複数の要素体において冗長なパイプ部材60が必要になる。
【0025】
一方、構造体6が、複数のパイプ部材60が溶接されることにより一体化されることも考えられる。しかしながらこの場合、画像形成装置10の落下試験において、画像形成装置10全体の荷重に起因する大きな衝撃力が構造体6の下方の部分に加わる。その結果、構造体6の下方の部分が変形するおそれがある。
【0026】
しかしながら、本実施形態に係る構造体6は、
図2に示されるような構成を備える。これにより、構造体6は、冗長なパイプ部材60を要することなく落下試験に対する十分な強度を実現可能である。
【0027】
[構造体6]
構造体6は、複数のパイプ部材60で構成されている。パイプ部材60各々は、角パイプである。構造体6は、複数のパイプ部材60が溶接により連結された一体の部材である。
【0028】
図2に示されるように、構造体6は、それぞれ複数のパイプ部材60で構成された下層部61および上層部62を備える。上層部62は、下層部61の上に積載された状態で、下層部61の上面に溶接されている。
【0029】
下層部61は、4本の第1柱部611と底枠部612と第1仕切枠部613とを有する。4本の第1柱部611は、長方形の四隅を成す位置でそれぞれ縦に延びて形成されている。
【0030】
本実施形態において、構造体6を構成する複数のパイプ部材60は、太さの異なる2種類の角パイプを含む。前記2種類の角パイプの一方は4本の第1柱部611であり、他方は第1柱部611よりも細い細パイプ60aである。
【0031】
即ち、4本の第1柱部611は他のパイプ部材60よりも太い角パイプである。上層部62全体および下層部61における4本の第1柱部611を除く残りの部分は、同じ太さの細パイプ60aの組合せにより構成されている。
【0032】
なお、上層部62全体および下層部61における4本の第1柱部611を除く残りの部分が、第1柱部611よりも細く、太さの異なる複数種類の角パイプで構成されてもよい。
【0033】
底枠部612は、4本のパイプ部材60で構成され、4本の第1柱部611の下端部に溶接され矩形を形成している。
【0034】
本実施形態において、底枠部612を構成する4本のパイプ部材60の両端部は、4本の第1柱部611の下端部の側面に溶接されている。これにより、底枠部612は、4本の第1柱部611の下端部とともに矩形を形成している。
【0035】
第1仕切枠部613は、4本のパイプ部材60で構成され、4本の第1柱部611の上端部に溶接され矩形を形成している。本実施形態において、底枠部612を構成する4本のパイプ部材60の一方の端部は、4本の第1柱部611の上端面に溶接され、他方の端部は隣接する他のパイプ部材60の端部の側面に溶接されている。
【0036】
上層部62は、4本の第2柱部621と天枠部622と第2仕切枠部623とを有する。4本の第2柱部621は、それぞれ4本の第1柱部611の延長線に沿う状態で下層部61に連なり縦に延びて形成されている。
【0037】
第1柱部611各々、および、第2柱部621各々は、長手方向において継ぎ目のない一連の角パイプで構成されている。本実施形態において、4本の第2柱部621の下端部は、第1仕切枠部613の上面に溶接されている。第2柱部621各々は、第1柱部611各々はよりも細い。換言すれば、第1柱部611各々は第2柱部621各々よりも太い。
【0038】
天枠部622は、4本の第2柱部621の上端部に溶接され矩形を形成している。画像読取ユニット2は、上層部62の天枠部622に連結されている。
【0039】
本実施形態において、天枠部622を構成する4本のパイプ部材60の一方の端部は、4本の第2柱部621の上端面に溶接され、他方の端部は隣接する他のパイプ部材60の端部の側面に溶接されている。
【0040】
なお、天枠部622を構成する4本のパイプ部材60の両端部が、4本の第2柱部621の上端部の側面に溶接されることも考えられる。この場合、天枠部622は、4本の第2柱部621の上端部とともに矩形を形成する。
【0041】
第2仕切枠部623は、第1仕切枠部613および天枠部622の間で4本の第2柱部621に溶接され、矩形を形成している。
【0042】
第2仕切枠部623を構成する4本のパイプ部材60の両端部は、4本の第2柱部621の側面に溶接されている。これにより、第2仕切枠部623は、4本の第2柱部621の一部とともに矩形を形成している。
【0043】
下層部61は、給紙部30および用紙搬送装置3の一部を収容する第1空間601を形成している(
図1,2参照)。また、上層部62における第2仕切枠部623から下の部分は、プリント部4および用紙搬送装置3の他の一部を収容する第2空間602を形成している。
【0044】
また、上層部62における第2仕切枠部623から上の部分は、現像剤コンテナ5を収容する第3空間603を形成している。本実施形態において、用紙搬送装置3の一部も第3空間603に収容される(
図1参照)。
【0045】
構造体6が採用される場合、独立した複数の要素体が嵌合機構などによって連結される場合のように前記要素体各々の強度を確保するための冗長なパイプ部材60は不要である。
【0046】
さらに、画像形成装置10の落下試験において、画像形成装置10全体の荷重に起因する大きな衝撃力が構造体6の下層部61に加わった場合でも、太い4本の第1柱部611が下層部61の変形を防止する。
【0047】
即ち、構造体6は、冗長なパイプ部材60を要することなく落下試験に対する十分な強度を実現している。
【0048】
[第2実施形態]
次に、
図3を参照しつつ第2実施形態に係る構造体6Xにすいて説明する。構造体6Xは、構造体6の代わりに画像形成装置10に採用される。
【0049】
図3において、
図1,2に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、構造体6Xにおける構造体6と異なる点について説明する。
【0050】
構造体6Xにおいて、4本の第1柱部611各々と対応する4本の第2柱部621各々が、長手方向において継ぎ目のない一連の異形角パイプ60bで構成されている。この点が、構造体6Xにおける構造体6との相違点である。
【0051】
異形角パイプ60bは、長手方向の一部分が他の部分よりも太く形成された角パイプである。異形角パイプ60bにおける太く形成された部分が第1柱部611であり、の頃の部分が第2柱部621である。
【0052】
本実施形態において、第1仕切枠部613を構成する4本のパイプ部材60の両端部は、4本の異形角パイプ60bの側面に溶接されている。これにより、第1仕切枠部613は、4本の異形角パイプ60bの一部とともに矩形を形成している。
【0053】
構造体6Xが採用される場合も、構造体6が採用される場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0054】
1 :本体ユニット
2 :画像読取ユニット
3 :用紙搬送装置
4 :プリント部
4x :作像装置
5 :現像剤コンテナ
6 :構造体
6X :構造体
10 :画像形成装置
30 :給紙部
31 :搬送ローラー対
40 :レーザースキャニングユニット
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
44 :転写装置
45 :定着装置
60 :パイプ部材
60a :細パイプ
60b :異形角パイプ
61 :下層部
62 :上層部
300 :用紙搬送路
440 :中間転写ベルト
441 :一次転写装置
442 :二次転写装置
601 :第1空間
602 :第2空間
603 :第3空間
611 :第1柱部
612 :底枠部
613 :第1仕切枠部
621 :第2柱部
622 :天枠部
623 :第2仕切枠部