(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光書込装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20240110BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20240110BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240110BHJP
H04N 1/195 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/447 101P
B41J2/45
G02B3/00 A
H04N1/195
(21)【出願番号】P 2020040398
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヌルナビラ ムハマドマクタ
(72)【発明者】
【氏名】大木 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 和樹
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-233278(JP,A)
【文献】特開2008-302606(JP,A)
【文献】特開2008-302538(JP,A)
【文献】特開2009-151339(JP,A)
【文献】特開2010-247338(JP,A)
【文献】特開2018-054724(JP,A)
【文献】特開2020-034795(JP,A)
【文献】特開2010-139549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G02B 3/00
H04N 1/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光点が2次元に配列された発光点群を複数配置した発光基板と、
前記発光基板に配置された発光点群から出射された光線を感光体上の異なる位置に結像させて倒立像を形成させる結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系は、
複数の前記発光点群の各々に対向して配置された複数の結像レンズを有する複数のレンズアレイと、
光軸に沿って前記発光点群に最も近いレンズアレイを第1レンズアレイ、前記感光体に最も近いレンズアレイを第2レンズアレイとしたとき、前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に配置され、複数の前記発光点群の各々に対して配置された複数の絞り開口部を有する絞り板と、
前記発光基板と前記発光基板に対向する前記第1レンズアレイとの間に配置され、複数の前記発光点群の各々に対して配置された複数の第1開口部を有する第1遮光体と、
前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に配置され、複数の前記発光点群の各々に対して配置された複数の第2開口部を有する第2遮光体と、
を備え
、
前記第2遮光体は、前記第1レンズアレイと前記第1レンズアレイに対向する前記絞り板との間に配置され、
前記レンズアレイは、副方向において、前記発光基板及び前記感光体に対して傾いて配置され、
前記レンズアレイの、前記感光体側に傾いている方を副方向下方、前記発光基板側に傾いている方を副方向上方としたとき、
前記第2遮光体は、副方向下方への迷光を遮光する副方向遮光部を備え、
前記第1レンズアレイの前記絞り板に対向する前記結像レンズであって、副方向下方に隣接する結像レンズが存在する上方結像レンズの光学面において、前記上方結像レンズの副方向下端部を点Dとし、
前記絞り板の前記第1レンズアレイに対向する面において、副方向に隣接する副方向隣接結像レンズに対向する副方向隣接絞り開口部の副方向下端部を点Eとし、
前記第2遮光体の前記第1レンズアレイに対向する面において、前記上方結像レンズに対向する第2開口部の副方向下端部を点Fとし、
前記点Dを通って前記点Eへ進む光線と、前記点Fから副方向下方に伸ばした線と、の
交点を点DEとしたとき、
前記副方向遮光部の副方向長さは、前記点Fと前記点DEとを結ぶ線分の長さであることを特徴とする光書込装置。
【請求項2】
前記第2遮光体は、主方向に隣接する前記第2開口部間の長さが、前記絞り板の主方向に隣接する前記絞り開口部間の長さと等しいことを特徴とする請求項
1に記載の光書込装置。
【請求項3】
前記第1レンズアレイの前記絞り板に対向する前記結像レンズの光学面において、前記結像レンズの面頂点と副方向において同じ位置にある、前記結像レンズの光学面と主方向に隣接する主方向隣接結像レンズの光学面との境界線上の点を点Aとし、
前記絞り板の前記第1レンズアレイに対向する面において、前記主方向隣接結像レンズに対向する主方向隣接絞り開口部の、前記点Aから主方向において最も遠い点を点Bとするとともに、前記点Aから主方向において最も近い点を点Cとし、
前記点Aを通って前記点Bへ進む光線と、前記点Cから前記第1レンズアレイに向けて光軸方向に伸ばした線と、の交点を点ABとしたとき、
前記第2遮光体の光軸方向長さは、前記点Cと前記点ABとを結ぶ線分の長さであることを特徴とする請求項
1又は
2に記載の光書込装置。
【請求項4】
前記第2遮光体は、前記絞り板に対して位置決めされることを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の光書込装置。
【請求項5】
感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電部と、
前記帯電部により帯電された前記感光体に対して光を照射することで前記感光体上に静電潜像を形成する請求項1~
4のいずれか一項に記載の光書込装置と、
前記光を照射された前記感光体に現像剤を供給することで前記静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部と、
前記現像剤による像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部により転写された前記現像剤による像を前記用紙に定着する定着部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書込装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙上に画像を形成するプリンターや複写機が知られている。これらプリンターや複写機に代表される画像形成装置は、光書込装置を用いて静電潜像を形成し、形成された静電潜像によりトナー画像を作成し、そのトナー画像を定着器により加熱及び加圧して用紙上に定着させることで、用紙上に画像を形成する。
【0003】
光書込装置は、複数の発光点(例えば、LED、OLED)からなる発光点群を主方向及び副方向に2次元的に複数配置した発光基板と、発光点群に対して1対1で対向配置された結像レンズを有するレンズアレイと、を備えて構成されている。このような光書込装置では、発光点から射出された光が、結像レンズを介在させることで、感光体上の所望の位置に所望のビームのみを形成する。
レンズアレイは隣り合う光路が近いため、発光点群から射出された光が本来入射すべき結像レンズと異なる結像レンズに入射するリスクが高い。異なる結像レンズに入射した光が感光体まで到達すると、感光体が露光されてしまうため、画像不良の原因となる。
【0004】
そこで、発光素子グループ(発光点群)とレンズアレイとの間に、発光素子グループごとに導光孔を設けた遮光部材を用いる構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この構成によれば、発光素子グループから射出された光のうち、当該発光素子グループに対応する導光孔以外に向かう光を、遮光することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の構成によれば、発光素子グループを配置した発光基板とレンズアレイとの間に設けられた遮光部材により、本来入射すべき結像レンズと異なる結像レンズに入射する迷光を遮光することはできるが、一方で、遮光部材の内部面反射により迷光を発生させてしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、発光基板とレンズアレイとの間に設けられる遮光部材の内部面反射による迷光を遮光して、画像不良の発生を抑制することが可能な光書込装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
光書込装置において、
複数の発光点が2次元に配列された発光点群を複数配置した発光基板と、
前記発光基板に配置された発光点群から出射された光線を感光体上の異なる位置に結像させて倒立像を形成させる結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系は、
複数の前記発光点群の各々に対向して配置された複数の結像レンズを有する複数のレンズアレイと、
光軸に沿って前記発光点群に最も近いレンズアレイを第1レンズアレイ、前記感光体に最も近いレンズアレイを第2レンズアレイとしたとき、前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に配置され、複数の前記発光点群の各々に対して配置された複数の絞り開口部を有する絞り板と、
前記発光基板と前記発光基板に対向する前記第1レンズアレイとの間に配置され、複数の前記発光点群の各々に対して配置された複数の第1開口部を有する第1遮光体と、
前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に配置され、複数の前記発光点群の各々に対して配置された複数の第2開口部を有する第2遮光体と、
を備え、
前記第2遮光体は、前記第1レンズアレイと前記第1レンズアレイに対向する前記絞り板との間に配置され、
前記レンズアレイは、副方向において、前記発光基板及び前記感光体に対して傾いて配置され、
前記レンズアレイの、前記感光体側に傾いている方を副方向下方、前記発光基板側に傾いている方を副方向上方としたとき、
前記第2遮光体は、副方向下方への迷光を遮光する副方向遮光部を備え、
前記第1レンズアレイの前記絞り板に対向する前記結像レンズであって、副方向下方に隣接する結像レンズが存在する上方結像レンズの光学面において、前記上方結像レンズの副方向下端部を点Dとし、
前記絞り板の前記第1レンズアレイに対向する面において、副方向に隣接する副方向隣接結像レンズに対向する副方向隣接絞り開口部の副方向下端部を点Eとし、
前記第2遮光体の前記第1レンズアレイに対向する面において、前記上方結像レンズに対向する第2開口部の副方向下端部を点Fとし、
前記点Dを通って前記点Eへ進む光線と、前記点Fから副方向下方に伸ばした線と、の
交点を点DEとしたとき、
前記副方向遮光部の副方向長さは、前記点Fと前記点DEとを結ぶ線分の長さであることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光書込装置において、
前記第2遮光体は、主方向に隣接する前記第2開口部間の長さが、前記絞り板の主方向に隣接する前記絞り開口部間の長さと等しいことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光書込装置において、
前記第1レンズアレイの前記絞り板に対向する前記結像レンズの光学面において、前記結像レンズの面頂点と副方向において同じ位置にある、前記結像レンズの光学面と主方向に隣接する主方向隣接結像レンズの光学面との境界線上の点を点Aとし、
前記絞り板の前記第1レンズアレイに対向する面において、前記主方向隣接結像レンズに対向する主方向隣接絞り開口部の、前記点Aから主方向において最も遠い点を点Bとするとともに、前記点Aから主方向において最も近い点を点Cとし、
前記点Aを通って前記点Bへ進む光線と、前記点Cから前記第1レンズアレイに向けて光軸方向に伸ばした線と、の交点を点ABとしたとき、
前記第2遮光体の光軸方向長さは、前記点Cと前記点ABとを結ぶ線分の長さであることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の光書込装置において、
前記第2遮光体は、前記絞り板に対して位置決めされることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、
画像形成装置において、
感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電部と、
前記帯電部により帯電された前記感光体に対して光を照射することで前記感光体上に静電潜像を形成する請求項1~4のいずれか一項に記載の光書込装置と、
前記光を照射された前記感光体に現像剤を供給することで前記静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部と、
前記現像剤による像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部により転写された前記現像剤による像を前記用紙に定着する定着部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発光基板とレンズアレイとの間に設けられる遮光部材の内部面反射による迷光を遮光して、画像不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図5】第1遮光体及び第2遮光体の一配置例を示す図である。
【
図6】第2遮光体の、主方向に隣接する第2開口部間の長さを説明するための図である。
【
図7】第2遮光体の光軸方向長さを説明するための図である。
【
図10】第2遮光体の副方向遮光部の副方向長さを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
本実施形態に係る画像形成装置1000は、例えば、プリンターやデジタル複写機等として用いられ、
図1に示すように、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色ごとに設けられた複数の光書込装置100と、光書込装置100に対応して設けられた感光体ドラム等の感光体200と、感光体200を帯電させる帯電部210と、光を照射された感光体200に現像剤を供給することで静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部220と、中間転写ベルト300と、現像剤による像を用紙Pに転写する転写ローラー(転写部)400と、転写ローラー400により転写された現像剤による像を用紙Pに定着する定着部500と、を備えて構成されている。
【0019】
画像形成装置1000は、光書込装置100より照射される光によって感光された感光体200でトナー像を形成し、中間転写ベルト300上に当該トナー像を転写させる。次に、画像形成装置1000は、中間転写ベルト300に転写されたトナー像を転写ローラー400によって用紙Pに押圧して転写させ、定着部500によって当該用紙Pを加熱及び加圧することで、トナー像を用紙P上に定着する。そして、画像形成装置1000は、用紙Pを排紙ローラー(図示省略)等により搬送してトレイ(図示省略)に排紙することで画像形成処理を行う。
【0020】
光書込装置100は、
図1~
図3に示すように、帯電部210により帯電された感光体200に対して光Hを照射することで、感光体200上に静電潜像を形成する装置である。光書込装置100は、光Hを出射させる複数の発光点111が2次元に配列された発光点群112を複数配置した発光基板11と、複数の発光点群112の各々に対向して配置された複数の結像レンズ121を有し、複数の発光点111から出射された光Hを感光体200上に集光させる複数のレンズアレイ12(第1レンズアレイ12A(光軸に沿って発光点群112に最も近いレンズアレイ12)、第2レンズアレイ12B(光軸に沿って感光体200に最も近いレンズアレイ12))と、第1レンズアレイ12Aと第2レンズアレイ12Bとの間に配置され、複数の発光点群112の各々に対して配置された複数の絞り開口部131(
図5参照)を有する絞り板13と、発光基板11と発光基板11に対向する第1レンズアレイ12Aとの間に配置された第1遮光体14(
図5参照)と、第1レンズアレイ12Aと絞り板13との間に配置された第2遮光体15(
図5参照)と、を備えて構成されている。レンズアレイ12(第1レンズアレイ12A、第2レンズアレイ12B)、絞り板13及び複数の遮光体(第1遮光体14、第2遮光体15)は、発光点群112から出射された光Hを感光体200上の異なる位置に結像させて倒立像を形成させる本発明の結像光学系として機能する。
【0021】
以下の説明では、
図2等に示す発光基板11及びレンズアレイ12の短手方向(副方向)をX方向、長手方向(主方向)をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向(光Hの光軸方向)とする。
【0022】
発光基板11は、
図3(a)に示すように、X方向の長さが異なる3つの略矩形状に形成された板材11a~11cがX方向の一端を合わせた状態で積層され、各板材11a~11cにおいて、複数の発光点群112がY方向に沿って略直線上に並べられて配置されている。すなわち、感光体200から発光点群112までの距離をL(
図2参照)としたとき、X方向に配列されている発光点群112において距離Lの水準は2つ以上(本実施形態では3つ)あり、Y方向に配列されている発光点群112においては距離Lが同一となるように配置されている。発光基板11は、線膨張係数の小さいガラス(例えば、無アルカリガラス)により形成されている。発光点111は、ボトムエミッション型の有機EL(OLED)であり、発光基板11の上に発光点111が2次元配列されている(
図3(b)参照)。各発光点111の直径は30μmであり、Y方向については2400dpiの1ドットに相当する10.6μmピッチで配置されている。1行あたり26個の発光点111があり、全体としては128個の発光点111が平行四辺形に並んでいる。
【0023】
レンズアレイ12は、
図2に示すように、発光基板11と感光体200との間に配置され、複数の結像レンズ121が発光基板11上の複数の発光点群112と対向する位置、すなわち、光軸方向(Z方向)で重なり合う位置に並べられて配置されている。すなわち、発光点群112の各々は、それぞれ対応する結像レンズ121と正対するように配置されている。複数の結像レンズ121の各々は、中心軸、すなわち、光軸での屈折率が低く、中心軸から離れるほど屈折率が高くなるように形成されている。発光基板11の複数の発光点111から出射された光は、レンズアレイ12の複数の結像レンズ121を透過し、感光体200の表面上に微小なスポットとして結像される。レンズアレイ12は、ガラス基板及び樹脂で形成されたレンズ面から構成されている。
図2に示す例では、X方向に3つの結像レンズ121が配置されている。また、実際には、Y方向にも繰り返し結像レンズ121が配置されており、全体としては約287個の結像レンズ121が配置されている。
【0024】
図4に、結像光学系の光路図を示す。
図4の左側(発光点111側)が物体側であり、右側(感光体200側)が像側である。感光体200は、非常に大きなものを想定しており、受光面をほぼ平面(XY平面)と見做している。
図4に示す例では、X方向の3箇所に発光点群112が配置され、発光点群112のそれぞれに対応する結像光学系がある。それぞれの結像光学系は、2つの凸レンズ(結像レンズ121)からなる。結像レンズ121は、ガラス板122の上に樹脂を積層する方法で作成されている。各結像レンズ121は、一枚の共通のガラス板122上に形成されている。なお、図示は省略しているが、感光体200と結像レンズ121との間に、透明な平板ガラス板を配置するようにしてもよい。この平板ガラス板と外装とによって、結像レンズ121が積層された2枚のガラス板122(レンズアレイ12)が覆われており、結像レンズ121にごみが付着しないように構成されている。
【0025】
図5に、第1遮光体14及び第2遮光体15の一配置例を示す。
本実施形態では、
図5に示すように、発光基板11と発光基板11に対向する第1レンズアレイ12Aとの間に、複数の発光点群112の各々に対して配置された複数の第1開口部141を有する第1遮光体14が配置されている。また、第1レンズアレイ12Aと第1レンズアレイ12Aに対向する絞り板13との間に、複数の発光点群112の各々に対して配置された複数の第2開口部151を有する第2遮光体15が配置されている。このように、第2遮光体15を、第1レンズアレイ12Aと第2レンズアレイ12Bとの間に配置することで、第1遮光体14の内部面反射による迷光を含めて第1レンズアレイ12Aから射出された迷光が、本来入射すべき絞り開口部131と異なる絞り開口部131に入射しないように遮光することができる。
【0026】
図6に、第2遮光体15の、主方向(Y方向)に隣接する第2開口部151間の長さL1を説明するための図を示す。
第2遮光体15の、Y方向に隣接する第2開口部151間の長さL1は、
図6(a)に示すように、絞り板13のY方向に隣接する絞り開口部131間の長さL2と等しく設定されることが最も好ましい。L1とL2を等しくすることで、第1レンズアレイ12Aと第2遮光体15とのZ方向(光軸方向)の間隔を最も広くすることができるので、第2遮光体15を調整しやすくすることができる。一方、
図6(b)に示すように、L1をL2よりも短くした場合、第1レンズアレイ12Aと第2遮光体15とのZ方向(光軸方向)の間隔が狭くなるので、第2遮光体15の調整が難しくなり、調整時に第1レンズアレイ12Aの光学面(結像レンズ121)と衝突するおそれがある。
【0027】
図7に、第2遮光体15の光軸方向(Z方向)長さL3を説明するための図を示す。また、
図8に、点Aを説明するための図を示す。また、
図9に、点B及び点Cを説明するための図を示す。
【0028】
まず、
図7及び
図8に示すように、第1レンズアレイ12Aの絞り板13に対向する結像レンズ121の光学面において、結像レンズ121の面頂点VとX方向において同じ位置にある稜線(結像レンズ121の光学面と主方向(Y方向)に隣接する主方向隣接結像レンズ121Aの光学面との境界線)A1上の点を点Aとする。
次に、
図7及び
図9に示すように、絞り板13の第1レンズアレイ12Aに対向する面において、主方向隣接結像レンズ121Aに対向する主方向隣接絞り開口部131Aの、点AからY方向において最も遠い点を点Bとするとともに、点AからY方向において最も近い点を点Cとする。
【0029】
ここで、点Aを通って点Bへ進む光線(迷光線)H1と、点Cから第1レンズアレイ12Aに向けてZ方向に伸ばした線と、の交点を点ABとしたとき、第2遮光体15のZ方向長さL3は、点Cと点ABとを結ぶ線分の長さである。
第2遮光体15のZ方向長さL3を上記のように設定することで、光線H1よりも点C側に進む迷光線が、主方向隣接絞り開口部131Aを通らないように遮光することができる。
【0030】
図10に、第2遮光体15の副方向遮光部152の副方向(X方向)長さL4を説明するための図を示す。また、
図11に、点Dを説明するための図を示す。また、
図12に、点Eを説明するための図を示す。また、
図13に、点Fを説明するための図を示す。なお、本実施形態では、
図10に示すように、レンズアレイ12は、X方向において、発光基板11の発光位置に合わせて発光基板11及び感光体200に対して傾いて配置されている。以下、レンズアレイ12の感光体200側に傾いている方をX方向下方(一方)、発光基板11側に傾いている方をX方向上方(他方)として説明する。
【0031】
まず、
図4及び
図10に示すように、結像光学系のうち、X方向上部の結像光学系を上部結像光学系K1、X方向中央の結像光学系を中央結像光学系K2、X方向下部の結像光学系を下部結像光学系K3とする。
ここで、
図10及び
図11に示すように、第1レンズアレイ12Aの絞り板13(第2遮光体15)に対向する結像レンズ121であって、上部結像光学系K1の結像レンズ121の光学面において、結像レンズ121のX方向下端部(下方の端部)を点Dとする。
次に、
図10及び
図12に示すように、絞り板13の第1レンズアレイ12A(第2遮光体15)に対向する面において、上部結像光学系K1の結像レンズ121とX方向(副方向)に隣接する副方向隣接結像レンズ(中央結像光学系K2の結像レンズ121)121Bに対向する副方向隣接絞り開口部(中央結像光学系K2の絞り開口部131)131BのX方向下端部を点Eとする。
次に、
図10及び
図13に示すように、第2遮光体15の第1レンズアレイ12Aに対向する面において、上部結像光学系K1の結像レンズ121に対向する第2開口部151のX方向下端部を点Fとする。
【0032】
本実施形態において、第2遮光体15は、
図10に示すように、X方向下方への迷光(副方向隣接絞り開口部131Bを通る迷光)を遮光する副方向遮光部152を備えている。
ここで、点Dを通って点Eへ進む光線(迷光線)H2と、点FからX方向下方に伸ばした線と、の交点を点DEとしたとき、第2遮光体15の副方向遮光部152のX方向長さL4は、点Fと点DEとを結ぶ線分の長さである。
第2遮光体15の副方向遮光部152のX方向長さL4を上記のように設定することで、光線H2よりも点F側に進む迷光線が、副方向隣接絞り開口部131Bを通らないように遮光することができる。
【0033】
すなわち、第1レンズアレイ12Aの絞り板13に対向する結像レンズ121であって、X方向下方に隣接する結像レンズ121が存在する上方結像レンズ(上部結像光学系K1の結像レンズ121、中央結像光学系K2の結像レンズ121)の光学面において、上方結像レンズのX方向下端部を点Dとし、絞り板13の第1レンズアレイ12Aに対向する面において、X方向に隣接する副方向隣接結像レンズ(中央結像光学系K2の結像レンズ121、下部結像光学系K3の結像レンズ121)121Bに対向する副方向隣接絞り開口部(中央結像光学系K2の絞り開口部131、下部結像光学系K3の絞り開口部131)131BのX方向下端部を点Eとし、第2遮光体15の第1レンズアレイ12Aに対向する面において、上方結像レンズに対向する第2開口部(上部結像光学系K1の第2開口部151、中央結像光学系K2の第2開口部151)151のX方向下端部を点Fとし、点Dを通って点Eへ進む光線と、点FからX方向下方に伸ばした線と、の交点を点DEとしたとき、副方向遮光部152のX方向長さL4は、点FとDEとを結ぶ線分の長さである。
【0034】
本実施形態において、第2遮光体15は、絞り板13との間にある隙間から漏れる迷光の発生を抑制するために、上記の隙間が最低限なものとなるよう、絞り板13に対して位置決めされる。なお、第2遮光体15を絞り板13と一体化すれば、より好適な遮光効果を得ることができる。
【0035】
本実施形態の発光基板11(
図3等参照)は、複数の板材11a~11cが光軸方向(Z方向)にずれて積層されるユニットとして構成されている。このような構成を採用する場合、第1遮光体14の内部面に反射された迷光が、第1レンズアレイ12Aを介してX方向下方の結像光学系の絞り開口部131に入射しやすくなるが、第1レンズアレイ12Aと絞り板13との間に第2遮光体15を配置することで、より多くの迷光を遮光することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る光書込装置100は、複数の発光点111が2次元に配列された発光点群112を複数配置した発光基板11と、発光基板11に配置された発光点群112から出射された光線を感光体200上の異なる位置に結像させて倒立像を形成させる結像光学系と、を備える。結像光学系は、複数の発光点群112の各々に対向して配置された複数の結像レンズ121を有する複数のレンズアレイ12と、光軸に沿って発光点群112に最も近いレンズアレイ12を第1レンズアレイ12A、感光体200に最も近いレンズアレイ12を第2レンズアレイ12Bとしたとき、第1レンズアレイ12Aと第2レンズアレイ12Bとの間に配置され、複数の発光点群112の各々に対して配置された複数の絞り開口部131を有する絞り板13と、発光基板11と発光基板11に対向する第1レンズアレイ12Aとの間に配置され、複数の発光点群112の各々に対して配置された複数の第1開口部141を有する第1遮光体14と、第1レンズアレイ12Aと第2レンズアレイ12Bとの間に配置され、複数の発光点群112の各々に対して配置された複数の第2開口部151を有する第2遮光体15と、を備える。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第1遮光体14の内部面反射による迷光を含めて第1レンズアレイ12Aから射出された迷光が、本来入射すべき絞り開口部131と異なる絞り開口部131に入射しないように遮光することができるので、画像不良の発生を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第2遮光体15は、第1レンズアレイ12Aと第1レンズアレイ12Aに対向する絞り板13との間に配置される。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第1遮光体14の内部面反射による迷光を含めて第1レンズアレイ12Aから射出された迷光が、本来入射すべき絞り開口部131と異なる絞り開口部131に入射しないように最適に遮光することができるので、画像不良の発生をより確実に抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第2遮光体15は、主方向に隣接する第2開口部151間の長さが、絞り板13の主方向に隣接する絞り開口部131間の長さと等しい。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第1レンズアレイ12Aと第2遮光体15とのZ方向(光軸方向)の間隔を最も広くすることができるので、第1レンズアレイ12Aから射出されて本来入射すべき絞り開口部131と異なる絞り開口部131に入射する主方向の迷光を遮光しつつ、第2遮光体15を調整しやすくすることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第1レンズアレイ12Aの絞り板13に対向する結像レンズ121の光学面において、結像レンズ121の面頂点と副方向において同じ位置にある、結像レンズ121の光学面と主方向に隣接する主方向隣接結像レンズ121Aの光学面との境界線上の点を点Aとし、絞り板13の第1レンズアレイ12Aに対向する面において、主方向隣接結像レンズ121Aに対向する主方向隣接絞り開口部131Aの、点Aから主方向において最も遠い点を点Bとするとともに、点Aから主方向において最も近い点を点Cとし、点Aを通って点Bへ進む光線と、点Cから第1レンズアレイ12Aに向けて光軸方向に伸ばした線と、の交点を点ABとしたとき、第2遮光体15の光軸方向長さは、点Cと点ABとを結ぶ線分の長さである。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第2遮光体15の光軸方向長さを必要最低限の長さに設定することができるので、第1レンズアレイ12Aと第2遮光体15とのZ方向(光軸方向)の間隔を最も広くすることが可能となり、第1レンズアレイ12Aから射出されて本来入射すべき絞り開口部131と異なる絞り開口部131に入射する主方向の迷光を遮光しつつ、第2遮光体15を調整しやすくすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、レンズアレイ12は、副方向において、発光基板11及び感光体200に対して傾いて配置され、レンズアレイ12の、感光体200側に傾いている方を副方向下方、発光基板11側に傾いている方を副方向上方としたとき、第2遮光体15は、副方向下方への迷光を遮光する副方向遮光部152を備える。第1レンズアレイ12Aの絞り板13に対向する結像レンズ121であって、副方向下方に隣接する結像レンズ121が存在する上方結像レンズの光学面において、上方結像レンズの副方向下端部を点Dとし、絞り板13の第1レンズアレイ12Aに対向する面において、副方向に隣接する副方向隣接結像レンズ121Bに対向する副方向隣接絞り開口部131Bの副方向下端部を点Eとし、第2遮光体15の第1レンズアレイ12Aに対向する面において、上方結像レンズに対向する第2開口部151の副方向下端部を点Fとし、点Dを通って点Eへ進む光線と、点Fから副方向下方に伸ばした線と、の交点を点DEとしたとき、副方向遮光部152の副方向長さは、点Fと点DEとを結ぶ線分の長さである。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第1レンズアレイ12Aから射出されて本来入射すべき絞り開口部131と異なる絞り開口部131に入射する副方向の迷光を遮光することができるので、画像不良の発生を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第2遮光体15は、絞り板13に対して位置決めされる。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第2遮光体15と絞り板13との間にある隙間から漏れる迷光の発生を抑制することができるので、本来入射すべき絞り開口部131と異なる絞り開口部131に入射する迷光を最適に遮光することができる。
【0042】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、
図5に示すように、第2遮光体15を、第1レンズアレイ12Aと絞り板13との間に配置するようにしているが、これに限定されるものではない。すなわち、第2遮光体15が、第1レンズアレイ12Aと第2レンズアレイ12Bとの間に配置されていれば、いかなる配置方法を採用してもよい。例えば、
図14に示すように、第2遮光体15を、第1レンズアレイ12Aと絞り板13との間に配置することに加えて、絞り板13と第2レンズアレイ12Bとの間にも配置するようにしてもよい。また、
図15に示すように、第2遮光体15を、第1レンズアレイ12Aと絞り板13との間に配置する代わりに、絞り板13と第2レンズアレイ12Bとの間に配置するようにしてもよい。このように、第2遮光体15を、第1レンズアレイ12Aと第2レンズアレイ12Bとの間に配置することで、第1遮光体14の内部面反射による迷光を含めて第1レンズアレイ12Aから射出された迷光が、本来入射すべき絞り開口部131と異なる絞り開口部131に入射しないように遮光することができる。
【0044】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
1000 画像形成装置
100 光書込装置
11 発光基板
11a~11c 板材
111 発光点
112 発光点群
12 レンズアレイ(結像光学系)
12A 第1レンズアレイ
12B 第2レンズアレイ
121 結像レンズ
121A 主方向隣接結像レンズ
121B 副方向隣接結像レンズ
122 ガラス板
13 絞り板(結像光学系)
131 絞り開口部
131A 主方向隣接絞り開口部
131B 副方向隣接絞り開口部
14 第1遮光体(結像光学系)
141 第1開口部
15 第2遮光体(結像光学系)
151 第2開口部
152 副方向遮光部
200 感光体
210 帯電部
220 現像部
300 中間転写ベルト
400 転写ローラー(転写部)
500 定着部
K1 上部結像光学系
K2 中央結像光学系
K3 下部結像光学系