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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】車両用シート装置及び車両用報知装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240110BHJP
   B60N 2/30 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020047448
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021146839
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 善久
(72)【発明者】
【氏名】栗須 拓郎
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-042295(JP,A)
【文献】特開2008-308135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90
B60N 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知ブザーを共有する複数のシートについて該シート毎に前記報知ブザーを吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部と、
前記イベントに応じた前記報知ブザーの吹鳴制御を実行する吹鳴制御部と、を備え、
前記イベント検出部は、前記各シートについて、構成要素の作動制御が開始されたことを前記イベントとして検出するとともに、
前記吹鳴制御部は、何れかの前記シートについて前記作動制御が開始されるときに先行する作動中の前記シートがある場合において、該先行する作動中の前記シートを対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御が実行中である場合には、該吹鳴制御中に前記作動制御が開始された後続の前記シートを対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御を実行しない
車両用シート装置。
【請求項2】
報知ブザーを共有する複数のシートについて該シート毎に前記報知ブザーを吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部と、
前記イベントに応じた前記報知ブザーの吹鳴制御を実行する吹鳴制御部と、を備え
前記イベント検出部は、前記各シートについて、構成要素の作動制御が終了したことを前記イベントとして検出するとともに、
前記報知ブザーの前記吹鳴制御において、前記各シートにおける前記作動制御の終了を示す前記報知ブザーの吹鳴時間は所定時間に設定されており、
前記吹鳴制御部は、
何れかの前記シートについて前記作動制御の終了が検出されたときに後続となる作動中の前記シートがない場合には、該作動制御を終了した前記シートを対象とした前記作動制御の終了を示す前記吹鳴制御を実行するものであって、
何れかの前記シートについて前記作動制御の終了が検出されたときに後続となる作動中の前記シートがある場合において、該作動制御の終了が検出された前記シートにおける前記報知ブザーの前記吹鳴時間よりも長く設定された重複判定時間の経過前に前記後続となる前記シートの前記作動制御が終了すると推定される場合には、前記作動制御の終了が検出された先行の前記シートを対象とした前記作動制御の終了を示す前記吹鳴制御を実行しな
車両用シート装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の車両用シート装置において、
前記各シートは、車両フロアに設けられた格納凹部に折り畳み状態で前記構成要素が格納される格納シートであって、
前記作動制御は、前記格納凹部に格納された前記構成要素を前記車両フロア上に展開する展開制御、及び前記車両フロア上に展開された前記構成要素を前記格納凹部に格納する格納制御の少なくとも何れかであること、を特徴とする車両用シート装置。
【請求項4】
請求項1~請求項の何れか一項に記載の車両用シート装置において、
前記イベント検出部が検出する複数種類の前記イベントについて該イベント毎に優先順位を保持する優先順位保持部を備え、
前記吹鳴制御部は、異なる種類の前記イベントが重複して発生した場合には、前記優先順位の高い前記イベントを対象とした前記吹鳴制御を優先して実行すること、
を特徴とする車両用シート装置。
【請求項5】
報知ブザーを共有する複数の車載装備について該車載装備毎に前記報知ブザーを吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部と、
前記イベントに応じた前記報知ブザーの吹鳴制御を実行する吹鳴制御部と、を備え、
前記イベント検出部は、前記各車載装備について、構成要素の作動制御が開始されたことを前記イベントとして検出するとともに、
前記吹鳴制御部は、何れかの前記車載装備について前記作動制御が開始されるときに先行する作動中の前記車載装備がある場合において、該先行する作動中の前記車載装備を対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御が実行中である場合には、該吹鳴制御中に前記作動制御が開始された後続の前記車載装備を対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御を実行しない
車両用報知装置。
【請求項6】
報知ブザーを共有する複数の車載装備について該車載装備毎に前記報知ブザーを吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部と、
前記イベントに応じた前記報知ブザーの吹鳴制御を実行する吹鳴制御部と、を備え、
前記イベント検出部は、前記各車載装備について、構成要素の作動制御が終了したことを前記イベントとして検出するとともに、
前記報知ブザーの前記吹鳴制御において、前記各車載装備における前記作動制御の終了を示す前記報知ブザーの吹鳴時間は所定時間に設定されており、
前記吹鳴制御部は、
何れかの前記車載装備について前記作動制御の終了が検出されたときに後続となる作動中の前記車載装備がない場合には、該作動制御を終了した前記車載装備を対象とした前記作動制御の終了を示す前記吹鳴制御を実行するものであって、
何れかの前記車載装備について前記作動制御の終了が検出されたときに後続となる作動中の前記車載装備がある場合において、該作動制御の終了が検出された前記車載装備における前記報知ブザーの前記吹鳴時間よりも長く設定された重複判定時間の経過前に前記後続となる前記車載装備の前記作動制御が終了すると推定される場合には、前記作動制御の終了が検出された先行の前記車載装備を対象とした前記作動制御の終了を示す前記吹鳴制御を実行しない
車両用報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート装置及び車両用報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、車両には、利用者に対してブザー音による報知出力を行うための報知ブザーが設けられている。例えば、特許文献1に記載のシート装置は、車両フロアに設けられた格納凹部に折り畳み状態で格納される格納シートについて、その展開及び格納動作をモータ駆動により制御する。そして、この従来例においては、この格納シートを対象とした作動制御の開始時及び終了時、並びに異常検出時に、それぞれ、その対応する報知ブザーの吹鳴制御が実行される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-62511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、左右の格納シート等、複数の車載装備が一つの報知ブザーを共有する場合、つまりは、共通の報知ブザーを用いて報知出力を行う複数の車載装備が存在する構成においては、その報知ブザーを吹鳴させる複数のイベントが互いに近接したタイミングで発生する可能性がある。そして、これにより、複数の吹鳴制御が重複することで、その報知ブザーの吹鳴による報知出力の効果が低下するおそれがあることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、より効果的に報知ブザーの吹鳴による報知出力を行うことのできる車両用シート装置及び車両用報知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両用シート装置は、報知ブザーを共有する複数のシートについて該シート毎に前記報知ブザーを吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部と、前記イベントに応じた前記報知ブザーの吹鳴制御を実行する吹鳴制御部と、を備え、前記イベント検出部は、前記各シートについて、構成要素の作動制御が開始されたことを前記イベントとして検出するとともに、前記吹鳴制御部は、何れかの前記シートについて前記作動制御が開始されるときに先行する作動中の前記シートがある場合において、該先行する作動中の前記シートを対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御が実行中である場合には、該吹鳴制御中に前記作動制御が開始された後続の前記シートを対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御を実行しない。
【0010】
上記構成によれば、違和感の生じ難い適切なタイミングで、その作動制御の開始を示すブザー音を吹鳴することができる
【0012】
上記課題を解決する車両用シート装置報知ブザーを共有する複数のシートについて該シート毎に前記報知ブザーを吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部と、前記イベントに応じた前記報知ブザーの吹鳴制御を実行する吹鳴制御部と、を備え前記イベント検出部は、前記各シートについて、構成要素の作動制御が終了したことを前記イベントとして検出するとともに、前記報知ブザーの前記吹鳴制御において、前記各シートにおける前記作動制御の終了を示す前記報知ブザーの吹鳴時間は所定時間に設定されており、前記吹鳴制御部は、何れかの前記シートについて前記作動制御の終了が検出されたときに後続となる作動中の前記シートがない場合には、該作動制御を終了した前記シートを対象とした前記作動制御の終了を示す前記吹鳴制御を実行するものであって、何れかの前記シートについて前記作動制御の終了が検出されたときに後続となる作動中の前記シートがある場合において、該作動制御の終了が検出された前記シートにおける前記報知ブザーの前記吹鳴時間よりも長く設定された重複判定時間の経過前に前記後続となる前記シートの前記作動制御が終了すると推定される場合には、前記作動制御の終了が検出された先行の前記シートを対象とした前記作動制御の終了を示す前記吹鳴制御を実行しない。
【0013】
上記構成によれば、違和感の生じ難い適切なタイミングで、その作動制御の終了を示すブザー音を吹鳴することができる。
上記課題を解決する車両用シート装置において、前記各シートは、車両フロアに設けられた格納凹部に折り畳み状態で前記構成要素が格納される格納シートであって、前記作動制御は、前記格納凹部に格納された前記構成要素を前記車両フロア上に展開する展開制御、及び前記車両フロア上に展開された前記構成要素を前記格納凹部に格納する格納制御の少なくとも何れかであることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、報知ブザーの吹鳴により、複数の格納シートについて、効果的に、その展開制御又は格納制御の開始及び終了を報知することができる。
上記課題を解決する車両用シート装置において、前記イベント検出部が検出する複数種類の前記イベントについて該イベント毎に優先順位を保持する優先順位保持部を備え、前記吹鳴制御部は、異なる種類の前記イベントが重複して発生した場合には、前記優先順位の高い前記イベントを対象とした前記吹鳴制御を優先して実行することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、優先順位の高いイベントについて、より効果的に、その報知ブザーの吹鳴による報知出力を実行することができる。
上記課題を解決する車両用報知装置は、報知ブザーを共有する複数の車載装備について該車載装備毎に前記報知ブザーを吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部と、前記イベントに応じた前記報知ブザーの吹鳴制御を実行する吹鳴制御部と、を備え、前記イベント検出部は、前記各車載装備について、構成要素の作動制御が開始されたことを前記イベントとして検出するとともに、前記吹鳴制御部は、何れかの前記車載装備について前記作動制御が開始されるときに先行する作動中の前記車載装備がある場合において、該先行する作動中の前記車載装備を対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御が実行中である場合には、該吹鳴制御中に前記作動制御が開始された後続の前記車載装備を対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御を実行しない。
上記課題を解決する車両用報知装置は、報知ブザーを共有する複数の車載装備について該車載装備毎に前記報知ブザーを吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部と、前記イベントに応じた前記報知ブザーの吹鳴制御を実行する吹鳴制御部と、を備え、前記イベント検出部は、前記各車載装備について、構成要素の作動制御が終了したことを前記イベントとして検出するとともに、前記報知ブザーの前記吹鳴制御において、前記各車載装備における前記作動制御の終了を示す前記報知ブザーの吹鳴時間は所定時間に設定されており、前記吹鳴制御部は、何れかの前記車載装備について前記作動制御の終了が検出されたときに後続となる作動中の前記車載装備がない場合には、該作動制御を終了した前記車載装備を対象とした前記作動制御の終了を示す前記吹鳴制御を実行するものであって、何れかの前記車載装備について前記作動制御の終了が検出されたときに後続となる作動中の前記車載装備がある場合において、該作動制御の終了が検出された前記車載装備における前記報知ブザーの前記吹鳴時間よりも長く設定された重複判定時間の経過前に前記後続となる前記車載装備の前記作動制御が終了すると推定される場合には、前記作動制御の終了が検出された先行の前記車載装備を対象とした前記作動制御の終了を示す前記吹鳴制御を実行しない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より効果的に、報知ブザーの吹鳴による報知出力を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】格納シートの側面図。
図2】格納シートの側面図。
図3】シート装置の概略構成を示すブロック図。
図4】格納シートの作動が開始されたことを示す報知ブザーの吹鳴制御について一例を示すタイムチャート。
図5】格納シートの作動が開始されたことを示す報知ブザーの吹鳴制御について一例を示すタイムチャート。
図6】作動制御の開始を報知する吹鳴制御の処理手順を示すフローチャート。
図7】格納シートの作動が終了したことを示す報知ブザーの吹鳴制御について一例を示すタイムチャート。
図8】格納シートの作動が終了したことを示す報知ブザーの吹鳴制御について一例を示すタイムチャート。
図9】作動制御の終了を報知する吹鳴制御の処理手順を示すフローチャート。
図10】報知ブザーを吹鳴するイベント、及び、その優先順位を規定するテーブルの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両用シート装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に設けられたシートバック3とを備えている。本実施形態のシート1において、シートクッション2の下方には、このシートクッション2を車両フロア4上に支持するシートレッグ5,5が設けられている。また、シートバック3の上端部には、ヘッドレスト3aが設けられている。そして、シートクッション2とシートバック3との間には、図示しないモータを駆動源としてシートクッション2に対するシートバック3の傾動角度を調整可能なリクライニング装置6が設けられている。
【0019】
また、本実施形態のシート1において、シートレッグ5,5の下端部分には、それぞれ、このシート1を車両フロア4に固定し、及びその固定を解除することが可能なロック装置7,7が設けられている。具体的には、これらの各ロック装置7,7は、図示しないストライカに係脱するラッチ機構を備えた周知の構成を有している。更に、これらの各ロック装置7,7は、図示しないモータを駆動源とするロックアクチュエータ8の作動によりアンロック動作する。そして、本実施形態のシート1は、これにより、そのロック装置7,7の機能に基づいて、車両フロア4に設けられた格納凹部9内に折り畳み状態でシート1を格納することが可能な格納シート10としての構成を有している。
【0020】
詳述すると、本実施形態のシート1は、格納凹部9の底部9b及びシートクッション2に対して、それぞれ、回動可能に連結された回動リンク11を備えている。本実施形態の格納凹部9は、車両フロア4に設定されたシート展開部12よりも車両後方側(図1及び図2中、右側)に形成されている。そして、回動リンク11は、その一端側がシートクッション2の後端に連結されるとともに、他端側が格納凹部9の底部9b、詳しくは、その前端部分に連結されている。
【0021】
また、本実施形態のシート1において、シートクッション2の内側には、図示しないモータを駆動源として上記回動リンク11を駆動するリンクアクチュエータ13が設けられている。更に、上記のようにシートクッション2とシートバック3との間に設けられたリクライニング装置6には、そのシートバック3の傾動規制を解除して、当該シートバック3の前倒し操作を可能とする前倒し機構15が設けられている。そして、本実施形態のシート1は、これにより、リンクアクチュエータ13の駆動力に基づき回動リンク11が回動することで、そのシートクッション2が上記シート展開部12と格納凹部9との間を移動するように構成されている。
【0022】
具体的には、本実施形態のシート1において、各シートレッグ5,5は、格納凹部9内にシートクッション2が移動する際、その基端側が回動する態様でシートクッション2の内側に折り畳まれる。更に、シートバック3は、リクライニング装置6に設けられた前倒し機構15の作動によって、シートクッション2上に折り畳まれる。そして、本実施形態のシート1は、これにより、その構成要素Eが格納凹部9内に格納される構成となっている。
【0023】
また、図3に示すように、上記のように構成されたシート1を搭載する車両には、このシート1に設けられた上記ロックアクチュエータ8及びリンクアクチュエータ13の作動を制御するECU20が搭載される。また、このECU20には、シート1や車室内、或いは利用者が保持する携帯機等に設けられた操作スイッチ21に対する操作入力信号Scが入力される。即ち、本実施形態のECU20は、この操作入力信号Scに示される作動要求に基づいて、そのロックアクチュエータ8及びリンクアクチュエータ13の作動を制御する。そして、本実施形態においては、これにより、その格納シート10としての構成を有したシート1を、モータ駆動により展開及び格納動作させることのできるシート装置30が形成されている。
【0024】
詳述すると、本実施形態のシート装置30は、車両の第1シート1a及び第2シート1bを構成する左右一対の格納シート10a,10bについて、それぞれ、そのロックアクチュエータ8a,8b及びリンクアクチュエータ13a,13bの作動を独立に制御するECU20を備えている。
【0025】
具体的には、本実施形態のシート装置30において、このECU20は、各格納シート10a,10bに設けられた着座センサ31a,31bの出力信号Sza,Szbに基づいて、これらの各格納シート10a,10bに対する乗員の着座状態を、それぞれ、独立に検出する。また、このECU20は、上記操作入力信号Scに示される各格納シート10a,10bの作動要求Rqa,Rqbを、それぞれ、独立に受け付ける。更に、このECU20には、各格納シート10a,10bに設けられたパルスセンサ32a,32bが出力するリンクアクチュエータ13の作動に同期したパルス信号Spa,Spbが入力される。そして、本実施形態のECU20は、これらの各パルス信号Spa,Spbをカウントすることにより、その車両フロア4に設定されたシート展開部12と格納凹部9との間を移動する各格納シート10a,10bの作動位置Xa,Xbを、それぞれ、独立に検出する構成になっている。
【0026】
また、本実施形態のECU20は、各格納シート10a,10bの原点位置Xa0,Xb0を、それぞれ独立に、その記憶領域35に保持する。更に、このECU20は、各パルス信号Spa,Spbの変化に基づいて、各格納シート10a,10bにおける挟み込みの発生を、それぞれ、独立に検知する。そして、本実施形態のECU20は、これにより、これらの各格納シート10a,10bについて、それぞれ、独立に、その展開及び格納制御を実行することが可能となっている。
【0027】
尚、以下、説明の便宜上、このような格納シート10a,10bとしての構成を有した第1シート1a及び第2シート1bについての「作動制御」とは、そのシートクッション2、シートバック3、及び各シートレッグ5等の構成要素Eを車両フロア4上に展開する展開制御、又は格納凹部9内に格納する格納制御の何れかを示すものとする。
【0028】
さらに詳述すると、本実施形態のシート装置30は、各格納シート10a,10bの利用者に対してブザー音による報知出力を行うための報知ブザー33を備えている。そして、本実施形態のシート装置30においては、この報知ブザー33もまた、ECU20によって、その作動が制御されている。
【0029】
具体的には、本実施形態のECU20は、報知ブザー33の吹鳴制御を実行することにより、上記のように、それぞれが格納シート10a,10bとしての構成を有する第1シート1a及び第2シート1bについて、その作動制御の開始及び終了を報知する。そして、本実施形態のECU20は、その他、これらの第1シート1a及び第2シート1bに挟み込みの発生が検知された場合や、着座禁止位置にある場合、或いは、その原点位置Xa0,Xb0が未学習である場合等にも、この報知ブザー33の吹鳴制御を実行する。
【0030】
また、本実施形態のシート装置30においては、これらの第1シート1a及び第2シート1bが、一つの報知ブザー33を共有する。尚、本実施形態のシート装置30において、この報知ブザー33は、ECU20と一体に配置されている。そして、本実施形態のECU20は、上記のようなイベントが第1シート1a及び第2シート1bの何れで発生した場合にも、この報知ブザー33を用いて、そのブザー音による報知出力を実行する構成となっている。
【0031】
(報知ブザーの吹鳴制御)
次に、本実施形態のECU20が実行する報知ブザー33の吹鳴制御について、その態様を説明する。
【0032】
本実施形態のECU20は、上記のような報知ブザー33を吹鳴させるイベントが複数発生した場合、その個々のイベントに対応した報知ブザー33の吹鳴制御が、互いに重複するか否かを判定する。そして、複数の吹鳴制御が重複する場合には、その重複する複数の吹鳴制御のうちの何れか一つを優先して実行する構成となっている。
【0033】
詳述すると、例えば、図4に示す例においては、第1シート1aの作動制御を開始したとき(時間t1)、他方の第2シート1bは、作動していない状態にある。本実施形態のECU20は、この場合、その第1シート1aの作動制御を開始するタイミングにあわせて、この第1シート1aを対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を開始する。尚、本実施形態のシート装置30においては、この場合における報知ブザー33の吹鳴時間Ts、即ち所謂作動開始ブザーの吹鳴時間Tsは、予め定められた所定時間に設定されている。そして、本実施形態のECU20は、この吹鳴時間Tsが経過した時点(時間t4)において、その報知ブザー33の吹鳴制御を終了する。
【0034】
また、この図4に示す例においては、第1シート1aについて、その作動制御の開始を報知する吹鳴制御が終了した時点(時間t2)よりも後に、その第2シート1bの作動制御が開始されている(時間t3)。つまり、この例においては、第2シート1bの作動制御を開始する時点においては、既に報知ブザー33が吹鳴していない状態にある。そして、本実施形態のECU20は、この場合もまた、その第2シート1bの作動制御を開始するタイミングにあわせて、この第2シート1bを対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を開始する。
【0035】
これに対し、図5に示す例では、第1シート1aの作動制御が開始された時点(時間t5)から、その作動開始ブザーの吹鳴時間Tsが経過する時点(時間t7)よりも前に、第2シート1bの作動制御が開始されている(時間t6)。つまり、この例においては、第1シート1aを対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御中に、第2シート1bの作動制御が開始されている。そして、本実施形態のECU20は、このような場合、先行する第1シート1aを対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を優先する構成となっている。
【0036】
具体的には、本実施形態のECU20は、先行する第1シート1aについては、その作動制御の開始から所定の吹鳴時間Ts、報知ブザー33の吹鳴制御を実行する。一方、この作動開始ブザーの吹鳴中に作動制御を開始した後続の第2シート1bについては、その作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない。尚、図5に示す例とは反対に、第2シート1bが先行し、第1シート1aが後続する場合には、その先行する第2シート1bを対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御が優先される。そして、本実施形態のシート装置30は、これにより、第1シート1a及び第2シート1bの作動制御が互いに近接したタイミングで開始された場合であっても、効果的に、その報知ブザー33の吹鳴による作動制御の開始を示す報知出力を実行することが可能となっている。
【0037】
即ち、図6のフローチャートに示すように、本実施形態のECU20は、第1シート1a及び第2シート1bの何れか一方について、その作動制御を開始する場合(ステップ101)、先ず、先行する作動中のシート1があるか、つまりは他方側が作動中であるかを判定する(ステップ102)。そして、本実施形態のECU20は、先行する作動中のシート1がないと判定した場合(ステップ102:NO)に、その新たに作動制御を開始するシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行する(ステップ103)。
【0038】
また、本実施形態のECU20は、上記ステップ102において、先行する作動中のシート1があると判定した場合(ステップ102:YES)、続いて、この先行するシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御が実行中であるかを判定する(ステップ104)。そして、吹鳴制御の実行中ではない、つまりは、先行するシート1については、既に、その作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を終了していると判定した場合(ステップ104:NO)には、その新たに作動制御を開始する後続のシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行する(ステップ103)。
【0039】
一方、上記ステップ104において、先行するシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御が実行中であると判定した場合(ステップ104:YES)、ECU20は、後続のシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない(ステップ105)。そして、本実施形態のECU20は、これにより、先行するシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を優先する構成になっている。
【0040】
さらに詳述すると、例えば、図7に示す例においては、第1シート1aの作動制御が終了したとき(時間t11)、第2シート1bは作動制御中となっている。更に、この例においては、その第1シート1aを対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御が終了した時点(t12)よりも後に、その第2シート1bの作動制御が終了する(時間t13)。尚、本実施形態のシート装置30においては、このような作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴時間Te、即ち所謂作動終了ブザーの吹鳴時間Teもまた、予め定められた所定時間に設定されている。そして、この後続の第2シート1bについてもまた、先行する第1シート1aと同じく、所定の吹鳴時間Te、その作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御が実行されている。
【0041】
これに対し、図8に示す例においては、作動終了ブザーの吹鳴時間Teよりも短い間隔で、それぞれ、その第1シート1a及び第2シート1bについての各作動制御が終了している。詳しくは、先行する第1シート1aについて、その作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行した場合の終了時点(時間t17)よりも前に、後続の第2シート1bについて、その作動制御が終了する(時間t16)。そして、本実施形態のECU20は、このような場合、後続の第2シート1bを対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を優先する構成となっている。
【0042】
具体的には、本実施形態のECU20は、作動終了ブザーの吹鳴時間Teを基準に予め設定された当該吹鳴時間Teよりも長い重複判定時間Txを、その記憶領域35に保持する(図3参照)。尚、本実施形態のシート装置30において、この重複判定時間Txは、作動終了ブザーの吹鳴時間Teよりも僅かに長く設定されている。また、本実施形態のECU20は、先行する第1シート1aの作動制御を終了する際、後続の第2シート1bの作動位置Xbに基づいて、この第2シート1bの作動制御が終了するタイミング(時間t16)を推定する。そして、本実施形態のECU20は、先行する第1シート1aの作動制御が終了した時点(時間t15)から、上記重複判定時間Txが経過する前に、後続の第2シート1bについて、その作動制御が終了すると推定される場合には、先行の第1シート1aを対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない構成となっている。
【0043】
つまり、本実施形態のECU20は、このような場合、後続の第2シート1bについてのみ、その作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行する。尚、図8に示す例とは反対に、第2シート1bが先行し、第1シート1aが後続する場合には、後続の第1シート1aを対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御が優先される。そして、本実施形態のシート装置30は、これにより、第1シート1a及び第2シート1bの作動制御が互いに近接したタイミングで終了した場合であっても、効果的に、その報知ブザー33の吹鳴による作動制御の終了を示す報知出力を実行することが可能となっている。
【0044】
即ち、図9のフローチャートに示すように、本実施形態のECU20は、第1シート1a及び第2シート1bの何れか一方について、その作動制御を終了した場合(ステップ201)、先ず、後続となる作動中のシート1があるか、つまりは他方側が作動中であるかを判定する(ステップ202)。そして、本実施形態のECU20は、後続となる作動中のシート1がないと判定した場合(ステップ202:NO)に、その作動制御を終了したシート1を対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行する(ステップ203)。
【0045】
また、本実施形態のECU20は、上記ステップ202において、後続となる作動中のシート1があると判定した場合(ステップ202:YES)、続いて、この後続のシート1について、上記重複判定時間Txを経過する前に、その作動制御が終了するかを推定する(ステップ204)。そして、このステップ204において、重複判定時間Txの経過前に、後続となるシート1の作動制御が終了しないと推定される場合(ステップ204:NO)にも、その先行して作動制御を終了したシート1を対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行する(ステップ203)。
【0046】
一方、上記ステップ204において、重複判定時間Txを経過する前に、その後続となるシート1の作動制御が終了すると推定される場合(ステップ204:YES)、ECU20は、先行して作動制御を終了したシート1を対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない(ステップ205)。そして、本実施形態のECU20は、これにより、後続のシート1を対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を優先する構成になっている。
【0047】
また、図10に示すように、本実施形態のECU20は、その記憶領域35に、報知ブザー33を吹鳴させる上記各イベント、及び、その優先順位を規定するテーブル40を保持する。具体的には、本実施形態のシート装置30においては、挟み込み検知ブザーの優先順位が最も高くなっている。また、以下、着座禁止位置警告ブザー、原点位置未学習ブザー、作動開始ブザー、作動終了ブザー、作動条件不成立ブザーの順に、その優先順位が高く設定されている。そして、本実施形態のECU20は、このような各イベントと優先順位との関係を、そのテーブル40に保持する構成となっている。
【0048】
即ち、本実施形態のECU20は、テーブル40に規定されたイベントの発生を検出した場合に、その報知ブザー33を吹鳴させる。そして、異なる種類のイベントが重複して発生した場合には、このテーブル40に基づいて、その優先順位の高いイベントを対象とした報知ブザー33の吹鳴制御を優先して実行する構成となっている。
【0049】
具体的には、本実施形態のECU20は、重複して発生した各イベントのうち、最も優先順位が高いイベントを対象とした報知ブザー33の吹鳴制御を実行し、他のイベントを対象とした報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない。尚、本実施形態のシート装置30において、挟み込み検知ブザーは、その後の反転作動中ブザーに連続するかたちで吹鳴される。そして、本実施形態のシート装置30は、これにより、優先順位の高いイベントについて、効果的に、その報知ブザー33の吹鳴による報知出力を実行することが可能となっている。
【0050】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のシート装置30においては、第1シート1a及び第2シート1bの作動制御が開始されたことを示す報知ブザー33の吹鳴制御が重複する場合には、これらのうちの先行するシート1を対象とした報知ブザー33の吹鳴制御が優先される。また、その作動制御が終了したことを示す報知ブザー33の吹鳴制御が重複する場合には、後続のシート1を対象とした報知ブザー33の吹鳴制御が優先される。そして、これにより、これら第1シート1a及び第2シート1bの作動制御が互いに近接したタイミングで開始され、及び終了した場合においても、報知ブザー33の吹鳴によって、効果的に、その作動制御の開始及び終了を報知することが可能になる。
【0051】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)車両用のシート装置30を構成するECU20は、報知ブザー33を共有する複数のシート1について、これらのシート1毎に、その報知ブザー33を吹鳴させるイベントの発生を検出するイベント検出部20aとして機能を備える。また、このECU20は、その検出されたイベントに応じた報知ブザー33の吹鳴制御を実行する吹鳴制御部20bとしての機能を備える。そして、ECU20は、報知ブザー33を吹鳴させるイベントが発生したシート1が複数ある場合に、その重複する複数の吹鳴制御のうちの何れか一つを優先して実行する。このような構成を採用することで、報知ブザー33の吹鳴によって、その吹鳴制御の実行を優先したイベントの発生を、効果的に報知することができる。
【0052】
(2)ECU20は、各シート1について、構成要素Eの作動制御が開始されたことを、その報知ブザー33を吹鳴させるイベントとして検出する。更に、ECU20は、その構成要素Eの作動制御を開始したシート1が複数ある場合には、これらの各シート1について、その作動制御の開始を報知する報知ブザー33の吹鳴制御が重複するか否かを判定する。そして、ECU20は、その報知ブザー33の吹鳴制御が重複すると判定した場合には、最初に作動制御が開始されたシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を優先して実行する。
【0053】
上記構成によれば、複数のシート1についての作動制御が、互いに近接したタイミングで開始された場合においても、報知ブザー33の吹鳴によって、効果的に、その作動制御が開始されたことを報知することができる。
【0054】
(3)ECU20は、何れかのシート1について構成要素Eの作動制御が開始されたことを示す報知ブザー33の吹鳴制御中に、その構成要素Eの作動制御が開始された後続のシート1がある場合、この後続のシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない。これにより、違和感の生じ難い適切なタイミングで、その作動制御の開始を示すブザー音を吹鳴することができる。
【0055】
(4)ECU20は、各シート1について、構成要素Eの作動制御が終了したことを、その報知ブザー33を吹鳴させるイベントとして検出する。更に、ECU20は、その作動制御を終了するシート1が複数ある場合には、これらの各シート1について、その作動制御の終了を報知する報知ブザー33の吹鳴制御が重複するか否かを判定する。そして、ECU20は、その報知ブザー33の吹鳴制御が重複すると判定した場合には、最後に作動制御が終了するシート1を対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を優先して実行する。
【0056】
上記構成によれば、複数のシート1についての作動制御が、互いに近接したタイミングで終了する場合においても、報知ブザー33の吹鳴によって、効果的に、その作動制御が終了したことを報知することができる。
【0057】
(5)ECU20は、何れかのシート1について構成要素Eの作動制御が終了したことが検出された場合に、その作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴時間Teよりも長く設定された重複判定時間Txの経過前に、その作動制御が終了すると推定される後続のシート1があるか否かを判定する。そして、このような後続のシート1がある場合、その作動制御の終了が検出された先行のシート1を対象とした作動制御の終了を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない。これにより、違和感の生じ難い適切なタイミングで、その作動制御の終了を示すブザー音を吹鳴することができる。
【0058】
(6)各シート1は、車両フロア4に設けられた格納凹部9に折り畳み状態で、その構成要素Eとしてのシートクッション2、シートバック3、及び各シートレッグ5が格納される格納シート10としての構成を有する。そして、ECU20は、その構成要素Eの作動制御として、その格納凹部9に格納されたシート1の構成要素Eを車両フロア4上に展開する展開制御、及び車両フロア4上に展開されたシート1の構成要素Eを格納凹部9に格納する格納制御を実行する。
【0059】
即ち、このような構成に上記(2)~(5)を適用することで、報知ブザー33の吹鳴により、複数の格納シート10について、効果的に、その展開制御又は格納制御の開始及び終了を報知することができる。
【0060】
(7)ECU20は、報知ブザー33を吹鳴させる複数種類のイベントについて、これらのイベント毎に優先順位を保持する優先順位保持部20cとしての機能を有する。そして、ECU20は、異なる種類のイベントが重複して発生した場合には、優先順位の高いイベントを対象とした報知ブザー33の吹鳴制御を優先して実行する。これにより、優先順位の高いイベントについて、より効果的に、その報知ブザー33の吹鳴による報知出力を実行することができる。
【0061】
(8)ECU20は、重複して発生した各イベントのうち、最も優先順位が高いイベントを対象とした報知ブザー33の吹鳴制御を実行し、他のイベントを対象とする報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない。これにより、優先順位の高いイベントについて、より効果的に、その報知ブザー33の吹鳴による報知出力を実行することができる。
【0062】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・上記実施形態では、先行するシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御中に、その作動制御を開始する後続のシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行しないこととした。しかし、これに限らず、先行するシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴時間よりも長い重複判定時間を設定して、この重複判定時間の間に作動制御を開始した後続のシート1を対象とした作動制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴制御を実行しない構成としてもよい。
【0064】
即ち、何れかのシート1について作動制御が開始されたことを示す報知ブザー33の吹鳴制御が開始された後、当該吹鳴制御の開始を示す報知ブザー33の吹鳴時間よりも長く設定された所定時間の経過前に作動制御が開始された後続のシート1がある場合には、この後続のシート1を対象とした作動制御の開始を示す吹鳴制御を実行しない。このような構成を採用することで、先行するシート1を対象とするブザー音と後続のシート1を対象とするブザー音との重複を回避して、効果的に、その作動制御が開始されたことを報知することができる。
【0065】
・上記実施形態では、第1シート1a及び第2シート1bとして左右一対の格納シート10a,10bを備える車両用のシート装置30に具体化した。更に、ECU20は、これらの各格納シート10a,10bについて、それぞれ、その構成要素Eの作動制御として、格納凹部9に格納されたシートクッション2、シートバック3、及び各シートレッグ5を車両フロア4上に展開する展開制御、及びこれらの構成要素Eを格納凹部9に格納する格納制御を実行する。そして、このような作動制御の開始及び終了を報知する報知ブザー33の吹鳴制御が重複する場合について、その重複する複数の吹鳴制御のうちの何れか一つを優先して実行することとした。
【0066】
しかし、これに限らず、格納シート10としての構成を有する3つ以上のシート1が一つの報知ブザー33を共有する構成に適用してもよい。また、車両フロア4上への展開、又は格納凹部への格納の何れか一方についてのみ、モータ駆動により、その作動を制御可能な構成に適用してもよい。そして、その作動制御の実行により展開及び格納される構成要素Eについてもまた、必ずしもシートクッション2、シートバック3、及び各シートレッグ5の組み合わせでなくともよく、任意に変更してもよい。
【0067】
・また、例えば、シートスライド制御やシートリクライニング制御等、構成要素Eの作動制御を開始し及び終了する際、複数のシート1が共有する報知ブザー33を吹鳴させる構成であれば、格納シート10の展開及び格納以外の作動制御に適用してもよい。そして、例えば、オットマンやサイドアーム等、上記実施形態のシート1に例示していない構成要素Eについての作動制御に適用してもよい。
【0068】
・更に、各シート1の構成要素Eについて複数種類の作動制御を実行する構成においては、その種類毎に、それぞれ、報知ブザー33の吹鳴制御が重複するか否かを判定し、その重複する複数の吹鳴制御のうちの何れか一つを優先して実行するとよい。そして、格納シート10の作動制御についてもまた、その展開制御と格納制御とを区別してもよく、これらの展開及び格納制御を同種の作動制御として取り扱う構成であってもよい。
【0069】
・また、報知ブザー33を吹鳴させるイベントの内容、及び、その優先順位についてもまた、任意に変更してもよい。更に、報知ブザー33を共有する複数の車載装備がある場合には、その対象をシート1以外に拡張してもよい。例えば、ウィンドレギュレータ装置とサンルーフ装置とが報知ブザー33を共有する構成において、この報知ブザー33の吹鳴制御が重複する場合に、その重複する吹鳴制御の何れか一方を優先して実行する構成としてもよい。そして、このような車両用報知装置において、その報知ブザー33を共有する車載装備の種類についてもまた、任意に設定してもよい。
【0070】
・上記実施形態では、優先して実行する報知ブザー33の吹鳴制御を実行し、重複する他の吹鳴制御は、実行しないこととした。しかし、これに限らず、「吹鳴制御を優先して実行する手法」については、任意に変更してもよい。例えば、優先しない吹鳴制御については、ブザー音の音量を低くする等によって、その優先する報知ブザー33の吹鳴制御を際立たせる構成としてもよい。このような構成としても、吹鳴制御の実行を優先したイベントの発生を、その報知ブザー33の吹鳴によって、効果的に報知することができる。
【0071】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記吹鳴制御部は、重複して発生した前記各イベントのうち、最も優先順位が高い前記イベントを対象とした前記吹鳴制御を実行し、前記重複する他の前記イベントを対象とした前記吹鳴制御を実行しないこと、を特徴とする車両用シート装置。これにより、優先順位の高いイベントについて、より効果的に、その報知ブザーの吹鳴による報知出力を実行することができる。
【0072】
(ロ)前記吹鳴制御部は、何れかの前記シートについて前記作動制御の開始を示す前記報知ブザーの吹鳴制御が開始された後、該吹鳴制御の開始を示す前記報知ブザーの吹鳴時間よりも長く設定された所定時間の経過前に前記作動制御が開始された後続の前記シートがある場合には、該後続の前記シートを対象とした前記作動制御の開始を示す前記吹鳴制御を実行しないこと、を特徴とする車両用シート装置。
【符号の説明】
【0073】
1…シート
20…ECU20
20a…イベント検出部
20b…吹鳴制御部
30…シート装置
33…報知ブザー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10