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特許7415703直流無停電電源装置および直流無停電電源装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】直流無停電電源装置および直流無停電電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H02J9/06 120
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020048017
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021151062
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】北野 陽大
(72)【発明者】
【氏名】黒▲崎▼ 陽
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/008549(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/142579(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0117734(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0069482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00 -11/00
H02J 1/00 - 1/16
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PWM制御により装置外部から入力された交流電力を直流電力に変換して出力するPWMコンバータと、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するとともに、出力側が前記PWMコンバータの出力側に接続される昇降圧部とを含む電力変換部と、
前記電力変換部の出力側に接続され、装置外部から入力された交流電力を直流電力に変換して出力するバイパス整流器を含むバイパス部と、
装置外部の負荷への出力を前記電力変換部の出力から前記バイパス部の出力に切り換えるバイパス給電切換動作または装置外部の負荷への出力を前記バイパス部の出力から前記電力変換部の出力に切り換える電力変換部給電切換動作の少なくともいずれかの切換動作時において、前記バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値または前記バイパス部からの出力電圧である第1出力電圧の少なくともいずれか一方に基づいて、前記昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を変化させる制御を行うように構成されている制御部と、を備える直流無停電電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記バイパス給電切換動作時に、前記昇降圧部を制御して、前記第1出力電圧の電圧よりも前記第2出力電圧の電圧を降圧する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の直流無停電電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記バイパス給電切換動作時に、前記昇降圧部からの出力電流の電流値である第2電流値と、前記第1電流値と前記第2電流値との合計値である第3電流値との差分に基づいて、前記昇降圧部により前記第2出力電圧を降圧することによって、前記第1電流値および前記第2電流値を変化させる制御を行うように構成されている、請求項2に記載の直流無停電電源装置。
【請求項4】
前記バイパス給電切換動作時に、前記第2電流値が所定の電流値以下になった場合に、前記昇降圧部と前記バイパス部との電気的な接続を切り離すように構成されている、請求項3に記載の直流無停電電源装置。
【請求項5】
前記バイパス給電切換動作後に、前記PWMコンバータと装置外部の交流電源との間の電流経路を電気的に接続して前記バッテリへの充電を開始するように構成されている、請求項4に記載の直流無停電電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電力変換部給電切換動作時に、前記昇降圧部を制御して、前記第1出力電圧の電圧よりも前記第2出力電圧の電圧を昇圧する制御を行うように構成されている、請求項5に記載の直流無停電電源装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記電力変換部給電切換動作時に、前記第2電流値と、前記第3電流値との差分に基づいて、前記昇降圧部により前記第2出力電圧を昇圧することによって、前記第1電流値および前記第2電流値を変化させる制御を行うように構成されている、請求項6に記載の直流無停電電源装置。
【請求項8】
前記電力変換部給電切換動作時に、前記第1電流値が所定の電流値以下になった場合に、前記昇降圧部と前記バイパス部との電気的な接続を切り離すように構成されている、請求項7に記載の直流無停電電源装置。
【請求項9】
前記昇降圧部は、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するチョッパ方式コンバータであり、
前記制御部は、前記切換動作時に、前記PWMコンバータと装置外部の交流電源との間の電流経路を電気的に切り離した状態において、前記チョッパ方式コンバータを制御して、前記チョッパ方式コンバータからの出力電圧である第2出力電圧を変化させる制御を行うように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の直流無停電電源装置。
【請求項10】
バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力する昇降圧部と、前記昇降圧部の出力側に接続され、装置外部の交流電源からの交流電力を直流電力に変換して出力するバイパス部とを含み、直流電力を装置外部に出力する直流無停電電源装置の制御方法であって、
前記バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値または前記バイパス部の出力電圧である第1出力電圧を取得するステップと、
取得した前記第1電流値または前記第1出力電圧の少なくともいずれか一方に基づいて、前記昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を変化させるステップと、を備える、直流無停電電源装置の制御方法。
【請求項11】
前記昇降圧部は、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するチョッパ方式コンバータであり、
前記第2出力電圧を変化させるステップは、前記チョッパ方式コンバータからの出力電圧である前記第2出力電圧を変化させるステップである、請求項10に記載の直流無停電電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流無停電電源装置および直流無停電電源装置の制御方法に関し、特に、装置外部から入力された交流電力を出力するバイパス部を備える直流無停電電源装置および直流無停電電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置外部から入力された交流電力を出力するバイパス回路を備える交流無停電電源装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、装置外部の交流電源からの交流電力を直流電力に変換するPWMコンバータと、PWMコンバータから出力される直流電力またはバッテリからの直流電力を交流電力に変換して装置外部の負荷に供給(出力)するインバータと、装置外部の交流電源と装置外部の負荷との間に接続されたバイパス回路とを備える交流無停電電源装置が開示されている。この特許文献1に記載の交流無停電電源装置では、通常時(交流電源から正常に交流電力が供給されている時)はインバータによって生成された交流電力を装置外部の負荷に供給し、インバータが故障した場合に交流電源からの交流電力をバイパス回路を介して装置外部の負荷に供給するように構成されている。
【0004】
上記特許文献1には明示されていないが、上記特許文献1に記載のような従来の交流無停電電源装置では、バイパス回路との切り換えを行うバイパス切換動作時には、バイパス回路側からの突入電流と、装置外部の負荷に対する負荷変動とを抑制するために、インバータからの出力電圧の位相をずらしながら、インバータから電流が出力されている状態からバイパス回路から電流が出力されている状態へ電流分担を徐々に移動させる制御を行っている。すなわち、インバータからの電流量を減少させ、バイパス回路からの電流量を増加させる制御を行っている。
【0005】
また、装置外部の交流電源からの交流電力を直流電力に変換するPWMコンバータと、装置外部の交流電源と装置外部の負荷との間に接続されたバイパス回路とを備える直流無停電電源装置が従来知られている。直流無停電電源装置は、装置外部の交流電源からの交流電力をPWMコンバータにより直流電力に変換して、PWMコンバータから出力される直流電力もしくはバッテリからの直流電力を装置外部の負荷に供給するか、または、交流電源からの交流電力をバイパス回路に設けられた整流器により直流電力に変換して装置外部の負荷に供給するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/094142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、直流無停電電源装置において、バイパス回路からの出力およびPWMコンバータからの出力は、共に、直流電力であるので、電圧の高低によって、バイパス回路からの出力と、PWMコンバータからの出力との間の電流分担が決まってしまう。そのため、交流電力をPWMコンバータにより直流電力に変換する直流無停電電源装置において、上記特許文献1に記載のような従来の交流無停電電源装置のように、PWMコンバータから電流が出力されている状態からバイパス回路から電流が出力されている状態へ電流分担を徐々に移動させる制御を行う場合、バイパス回路からの出力電圧がPWMコンバータからの出力電圧よりも低い場合には、PWMコンバータからの出力電圧を減少させ、バイパス回路からの出力電圧に追従させる必要がある。
【0008】
しかしながら、PWMコンバータは、原理上、PWMコンバータから出力させる直流電圧によって、PWMコンバータに入力可能な交流入力の上限値が変化する。具体的には、PWMコンバータから出力させる電圧が低くなると装置外部の交流電力から入力可能な交流入力の上限値が低下する。そのため、バイパス回路からの出力電圧に合わせるために、PWMコンバータからの出力電圧を減少させる際に、PWMコンバータへ入力可能な交流入力の電圧の上限値が装置外部の交流電力の電圧より低くなった場合には、装置外部の交流電力からPWMコンバータに交流入力される正弦波の波形のピーク部分が潰れ、装置外部の交流電力の一部しかPWMコンバータに入力することができなくなる。
【0009】
そのため、正弦波の波形のピーク部分の潰れが大きくなり、PWMコンバータに入力可能な交流入力の電圧の上限値と、装置外部の交流電力の電圧との差が大きくなり過ぎるとPWMコンバータからの出力電圧の制御が困難になる。そのため、PWMコンバータからの出力電圧をバイパス回路からの出力電圧に合わせ(追従させ)、PWMコンバータから電流が出力されている状態からバイパス回路から電流が出力されている状態へ電流分担を徐々に移動させる制御を行うことが困難になる。すなわち、PWMコンバータからの電流量を減少させ、バイパス回路からの電流量を増加させる制御を行うことが困難になる。その結果、装置外部の負荷に対する負荷変動の増大を抑制することができず、バイパス切換が行えないという問題が考えられる。そのため、交流電力をPWMコンバータにより直流電力に変換する直流無停電電源においても、バイパス切換動作時における装置外部の負荷に対する負荷変動を抑制することが望まれている。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、交流電力をPWMコンバータにより直流電力に変換するとともに、バイパス切換動作時における装置外部の負荷に対する負荷変動を抑制可能な直流無停電電源装置および直流無停電電源装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による直流無停電電源装置は、PWM制御により装置外部から入力された交流電力を直流電力に変換して出力するPWMコンバータと、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するとともに、出力側がPWMコンバータの出力側に接続される昇降圧部とを含む電力変換部と、電力変換部の出力側に接続され、装置外部から入力された交流電力を直流電力に変換して出力するバイパス整流器を含むバイパス部と、装置外部の負荷への出力を電力変換部の出力からバイパス部の出力に切り換えるバイパス給電切換動作または装置外部の負荷への出力をバイパス部の出力から電力変換部の出力に切り換える電力変換部給電切換動作の少なくともいずれかの切換動作時において、バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値またはバイパス部からの出力電圧である第1出力電圧の少なくともいずれか一方に基づいて、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を変化させる制御を行うように構成されている制御部と、を備える。
【0012】
上記第1の局面による直流無停電電源装置では、上記のように、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するとともに、出力側がPWMコンバータの出力側に接続される昇降圧部を含む電力変換部を備える。そして、バイパス部の出力に切り換えるバイパス給電切換動作または電力変換部の出力に切り換える電力変換部給電切換動作の少なくともいずれかの切換動作時において、バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値またはバイパス部からの出力電圧である第1出力電圧の少なくともいずれか一方に基づいて、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を変化させる制御を行うように構成されている。これにより、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力する昇降圧部を電力変換部からの出力電圧の調整に用いることによって、出力させる電圧が低い場合に装置外部の交流電力から入力可能な交流入力の上限値が低下するPWMコンバータを用いる場合と異なり、電力変換部からの出力電圧をバイパス部からの出力電圧である第1出力電圧に容易に追従させることができる。したがって、バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値またはバイパス部からの出力電圧である第1出力電圧に基づいて、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を変化(昇圧または降圧)させることにより、電力変換部から電流が出力されている状態からバイパス部から電流が出力されている状態へ電流分担を徐々に移動させることができる。その結果、交流電力をPWMコンバータにより直流電力に変換するとともに、バイパス切換動作時における装置外部の負荷に対する負荷変動を抑制可能な直流無停電電源装置を提供することができる。
【0013】
上記第1の局面による直流無停電電源装置において、好ましくは、制御部は、バイパス給電切換動作時に、昇降圧部を制御して、第1出力電圧の電圧よりも第2出力電圧の電圧を降圧する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、バイパス給電切換動作時において、制御部による昇降圧部の制御によって、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧をバイパス部からの出力電圧である第1出力電圧よりも低くすることができる。その結果、バイパス給電切換動作時において、昇降圧部からの出力電流を減少させることができるとともに、バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値を増加させることができる。
【0014】
上記給電切換動作時に、第1出力電圧の電圧よりも第2出力電圧の電圧を降圧する制御を行う構成において、好ましくは、制御部は、バイパス給電切換動作時に、昇降圧部からの出力電流の電流値である第2電流値と、第1電流値と第2電流値との合計値である第3電流値との差分に基づいて、昇降圧部により第2出力電圧を降圧することによって、第1電流値および第2電流値を変化させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、バイパス給電切換動作時において、第2電流値と、第3電流値との差分からバイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値を取得することができる。その結果、第1電流値と、第2電流値とに基づいて、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を降圧させることにより、容易に電力変換部(昇降圧部)の出力からバイパス部の出力へ電流量の分担を徐々に移動させることができる。
【0015】
上記第2電流値と、第3電流値との差分に基づいて、昇降圧部により第2出力電圧を降圧する構成において、好ましくは、バイパス給電切換動作時に、第2電流値が所定の電流値以下になった場合に、昇降圧部とバイパス部との電気的な接続を切り離すように構成されている。このように構成すれば、バイパス給電切換動作時において、昇降圧部からの出力電流の電流値である第2電流値が十分に低下して、装置外部の負荷に対する電流量の分担が昇降圧部の出力からバイパス部の出力に十分に移った状態において、装置外部の負荷への出力を昇降圧部の出力からバイパス部の出力へ切り換えることができる。その結果、バイパス給電切換動作時における装置外部の負荷に対する負荷変動をより抑制することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、バイパス給電切換動作後に、PWMコンバータと装置外部の交流電源との間の電流経路を電気的に接続してバッテリへの充電を開始するように構成されている。このように構成すれば、バッテリから電力が放電されるバイパス給電切換動作後に、バッテリへの充電が開始されるので、バイパス給電切換動作後に、装置外部の負荷への出力をバイパス部の出力から電力変換部の出力に切り換える電力変換部給電切換動作を行う際に、バッテリに充電された電力が不足することを防止することができる。
【0017】
上記第1の局面による直流無停電電源装置において、好ましくは、制御部は、電力変換部給電切換動作時に、昇降圧部を制御して、第1出力電圧の電圧よりも第2出力電圧の電圧を昇圧する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、電力変換部給電切換動作時において、制御部による昇降圧部の制御によって、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧をバイパス部からの出力電圧である第1出力電圧よりも高くすることができる。その結果、バイパス給電切換動作時において、昇降圧部からの出力電流の電流値である第2電流値を増加させることができるとともに、バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値を減少させることができる。
【0018】
上記電力変換部給電切換動作時に、第1出力電圧の電圧よりも第2出力電圧の電圧を昇圧する制御を行う構成において、好ましくは、制御部は、電力変換部給電切換動作時に、第2電流値と、第3電流値との差分に基づいて、昇降圧部により第2出力電圧を昇圧することによって、第1電流値および第2電流値を変化させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、電力変換部給電切換動作時において、第2電流値と、第3電流値との差分からバイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値を取得することができる。その結果、第1電流値と、第2電流値とに基づいて、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を昇圧させることにより、容易にバイパス部の出力から電力変換部(昇降圧部)の出力へ電流量の分担を徐々に移動させる(電力変換部からの出力の電流分担を上げる)ことができる。
【0019】
この場合、好ましくは、電力変換部給電切換動作時に、第1電流値が所定の電流値以下になった場合に、昇降圧部とバイパス部との電気的な接続を切り離すように構成されている。このように構成すれば、電力変換部給電切換動作時において、バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値が十分に低下して、装置外部の負荷に対する電流量の分担がバイパス部の出力から昇降圧部の出力へ十分に移った状態において、装置外部の負荷への出力をバイパス部の出力から昇降圧部の出力へ切り換えることができる。その結果、電力変換部給電切換動作時における装置外部の負荷に対する負荷変動をより抑制することができる。
【0020】
上記第1の局面による直流無停電電源装置において、好ましくは、昇降圧部は、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するチョッパ方式コンバータであり、制御部は、切換動作時に、PWMコンバータと装置外部の交流電源との間の電流経路を電気的に切り離した状態において、チョッパ方式コンバータを制御して、チョッパ方式コンバータからの出力電圧である第2出力電圧を変化させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、フライバック方式などにより、バッテリからの電力を絶縁形直流電圧変換する場合に比べて、バッテリからの電力を効率よく、昇圧または降圧することができる。
【0021】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面による直流無停電電源装置の制御方法は、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力する昇降圧部と、昇降圧部の出力側に接続され、装置外部の交流電源からの交流電力を直流電力に変換して出力するバイパス部とを含み、直流電力を装置外部に出力する直流無停電電源装置の制御方法であって、バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値またはバイパス部の出力電圧である第1出力電圧を取得するステップと、取得した第1電流値または第1出力電圧の少なくともいずれか一方に基づいて、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を変化させるステップと、を備える。
【0022】
上記第2の局面による直流無停電電源装置の制御方法では、上記のように、バイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値またはバイパス部の出力電圧である第1出力電圧を取得するステップと、取得した第1電流値または第1出力電圧の少なくともいずれか一方に基づいて、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力する昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を変化させるステップと、を備える。これにより、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力する昇降圧部を電力変換部からの出力電圧の調整に用いることによって、出力させる電圧が低い場合に装置外部の交流電力から入力可能な交流入力の上限値が低下するPWMコンバータを用いる場合と異なり、電力変換部からの出力電圧をバイパス部からの出力電圧である第1出力電圧に容易に追従させることができる。したがって、取得したバイパス部からの出力電流の電流値である第1電流値またはバイパス部からの出力電圧である第1出力電圧の少なくともいずれか一方に基づいて、昇降圧部からの出力電圧である第2出力電圧を変化(昇圧または降圧)させることにより、電力変換部から電流が出力されている状態からバイパス部から電流が出力されている状態へ電流分担を徐々に移動させることができる。その結果、交流電力をPWMコンバータにより直流電力に変換するとともに、バイパス切換動作時における装置外部の負荷に対する負荷変動を抑制可能な直流無停電電源装置の制御方法を提供することができる。
【0023】
上記第2の局面による直流無停電電源装置の制御方法において、好ましくは、昇降圧部は、バッテリから出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するチョッパ方式コンバータであり、第2出力電圧を変化させるステップは、チョッパ方式コンバータからの出力電圧である第2出力電圧を変化させるステップである。このように構成すれば、第2出力電圧を変化させるステップにおいて、フライバック方式などにより、バッテリからの電力を絶縁形直流電圧変換する場合に比べて、バッテリからの電力を効率よく、昇圧または降圧することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、交流電力をPWMコンバータにより直流電力に変換するとともに、バイパス切換動作時における装置外部の負荷に対する負荷変動を抑制可能な直流無停電電源装置および直流無停電電源装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による直流無停電電源装置の構成を示した図である。
図2】本発明の一実施形態の直流無停電電源装置による制御部の制御を説明するための図である。
図3】バイパス給電切換動作時の制御部の処理の一例を説明するための第1フローチャートである。
図4】バイパス給電切換動作時の制御部の処理の一例を説明するための第2フローチャートである。
図5】電力変換部給電切換動作時の制御部の処理の一例を説明するための第1フローチャートである。
図6】電力変換部給電切換動作時の制御部の処理の一例を説明するための第2フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(直流無停電電源装置の全体構成)
図1を参照して、本実施形態による直流無停電電源装置100の構成について説明する。
【0028】
本実施形態による直流無停電電源装置100は、直流電力を装置外部の負荷200に出力する無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply、または、PCS:Power Conditioning System)である。直流無停電電源装置100は、装置外部の交流電源201(交流電源202)からの交流電力を変換した直流電力を装置外部の負荷200に出力する装置である。そして、直流無停電電源装置100は、停電時など、装置外部の交流電源201からの交流電力が供給されない場合において、装置外部のバッテリ40からの出力電力を変換して、装置外部の負荷200に出力する装置である。なお、バッテリ40は、装置内部に設けられていてもよい。
【0029】
直流無停電電源装置100は、電力変換部10と、バイパス部20と、制御部30と、を備える。電力変換部10は、PWMコンバータ11と、昇降圧部12とを含む。また、電力変換部10は、電解コンデンサC1と、ヒューズF1、F2およびF3とを含む。
【0030】
PWMコンバータ11は、PWM制御により装置外部から入力された交流電力を直流電力に変換して出力するように構成されている。具体的には、PWMコンバータ11は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御方式の三相電圧系コンバータであって、装置外部の交流電源201から交流電力を直流電力に変換して出力するように構成されている。
【0031】
電力変換部10のPWMコンバータ11と、装置外部の交流電源201との間には、交流入力スイッチ51が設けられている。交流入力スイッチ51は、PWMコンバータ11と装置外部の交流電源201との間の電流経路を電気的に接続した状態(ON状態)と、電気的に切り離した状態(OFF状態)とに切り換え可能に構成されている。
【0032】
また、交流入力スイッチ51と、電力変換部10との間には、交流入力スイッチ51側から順に、リアクトルL1、コンデンサC2、リアクトルL2が設けられている。また、PWMコンバータ11と、リアクトルL2との間には、ヒューズF1が設けられている。
【0033】
昇降圧部12は、バッテリ40から出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するように構成されている。また、昇降圧部12は、出力側がPWMコンバータ11の出力側に接続されるように構成されている。昇降圧部12は、PWMコンバータ11から出力された直流電力を昇圧または降圧して出力して、バッテリ40を充電可能に構成されている。すなわち、昇降圧部12は、直流電力を双方向(バッテリ40またはPWMコンバータ11)に入力および出力可能に構成されている。
【0034】
昇降圧部12は、バッテリ40から出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するチョッパ方式コンバータである。具体的には、昇降圧部12は、バッテリ40から出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するように構成されている昇降圧チョッパ方式双方向DC/DCコンバータである。
【0035】
電力変換部10の昇降圧部12と、バッテリ40との間には、バッテリ入力スイッチ52が設けられている。バッテリ入力スイッチ52は、昇降圧部12とバッテリ40との間の電流経路を電気的に接続した状態(ON状態)と、電気的に切り離した状態(OFF状態)とに切り換え可能に構成されている。
【0036】
バッテリ入力スイッチ52と、電力変換部10との間には、交流入力スイッチ51側から順に、コンデンサC3、リアクトルL3が設けられている。また、昇降圧部12と、リアクトルL3との間には、ヒューズF3が設けられている。
【0037】
また、電力変換部10と、装置外部の負荷200との間には、電力変換部10の出力側から順に、ダイオードDおよびUPS出力スイッチ53が設けられている。UPS出力スイッチ53は、電力変換部10(PWMコンバータ11および昇降圧部12)とバイパス部20からの出力(装置外部の負荷200)との間の電流経路を電気的に接続した状態(ON状態)と、電気的に切り離した状態(OFF状態)とに切り換え可能に構成されている。
【0038】
また、PWMコンバータ11(昇降圧部12)と、ダイオードDとの間には、ヒューズF2が設けられており、PWMコンバータ11(昇降圧部12)と、ヒューズF2との間には、電解コンデンサC1が設けられている。
【0039】
本実施形態では、バイパス部20は、電力変換部10の出力側(昇降圧部12の出力側)に接続され、装置外部から入力された交流電力を直流電力に変換して出力するバイパス整流器21を含む。また、バイパス部20には、半導体スイッチSW、リアクトルL4、および、バイパススイッチ22が設けられている。バイパススイッチ22は、バイパス整流器21と、装置外部の交流電源202との間の電流経路を電気的に接続した状態(ON状態)と、電気的に切り離した状態(OFF状態)とに切り換え可能に構成されている。
【0040】
バイパス整流器21は、三相全波方式の整流器であって、装置外部の交流電源202から入力された交流電力を直流電力に変換して出力するように構成されている。
【0041】
バイパススイッチ22および半導体スイッチSWは、装置外部の交流電源202と、バイパス整流器21との間に配置されており、リアクトルL4は、バイパススイッチ22および半導体スイッチSWと、バイパス整流器21との間に配置されている。
【0042】
制御部30は、後述する制御に基づいて、昇降圧部12のゲートを駆動させるゲート駆動回路60を制御することにより、昇降圧部12による電力の昇圧および降圧(昇降圧)の制御を行うように構成されている。制御部30は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0043】
直流無停電電源装置100には、電流検出部71および72が設けられている。電流検出部71および72は、直流無停電電源装置100の電流経路における電流を検出するように構成されている。電流検出部71および72は、電流の検出結果を制御部30に出力するように構成されている。電流検出部71および72は、ホールCT(Current Transformer)などを含む。
【0044】
電流検出部71は、昇降圧部12(電力変換部10)からの出力電流の電流値である電流値IDCを検出するように構成されている。なお、電流値IDCは、特許請求の範囲の「第2電流値」の一例である。
【0045】
電流検出部72は、直流無停電電源装置100から装置外部の負荷200に対して出力される出力電流の電流値である電流値IOUTを検出するように構成されている。なお、電流値IOUTは、特許請求の範囲の「第3電流値」の一例である。
【0046】
また、直流無停電電源装置100から装置外部の負荷200に対して出力される出力電流の電流値である電流値IOUTは、昇降圧部12(電力変換部10)からの出力電流の電流値である電流値IDCと、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypとの合計値である。これにより、電流値IOUTと電流値IDCとの差分から、電流値IBypを算出することができる。なお、電流値IBypは、特許請求の範囲の「第1電流値」の一例である。
【0047】
また、直流無停電電源装置100には、電圧検出部81、82および83が設けられている。電圧検出部81~83は、直流無停電電源装置100の電流経路における電圧を検出するように構成されている。電圧検出部81、82および83は、電圧の検出結果を制御部30に出力するように構成されている。電圧検出部81~83は、シャント抵抗、ホールCT(Current Transformer)などを含む。
【0048】
電圧検出部81は、バッテリ40からの出力電圧である出力電圧VBATを検出するように構成されている。
【0049】
電圧検出部82は、昇降圧部12(電力変換部10)からの出力電圧である出力電圧VDCを検出するように構成されている。なお、出力電圧VDCは、特許請求の範囲の「第2出力電圧」の一例である。
【0050】
電圧検出部83は、直流無停電電源装置100から装置外部の負荷200に対して出力される出力電圧である出力電圧VOUTを検出するように構成されている。
【0051】
また、直流無停電電源装置100から装置外部の負荷200に対して出力される出力電圧である出力電圧VOUTは、昇降圧部12(電力変換部10)からの出力電圧である出力電圧VDCと、バイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypとの合計値である。これにより、出力電圧VOUTと出力電圧VDCとの差分から、出力電圧VBypを算出することができる。なお、出力電圧VBypは、特許請求の範囲の「第1出力電圧」の一例である。
【0052】
(制御部の構成)
次に、本実施形態における制御部30の切換動作時における制御のための構成について、図2を参照して、説明する。
【0053】
制御部30は、電流検出部71により検出された電流値IDCと、電流検出部72により検出された電流値IOUTとの差分から、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypを算出する。そして、算出した電流値IBypと出力電流指令IDC[ref]とに基づいて、電流分担制御を行う。電流分担制御は、電流値IBypを昇降圧部12から出力される出力電流を目標となる値に近づけるための制御であり、PI制御(比例・積分制御)により行われる。電流分担制御により、昇降圧部12から出力される出力電流を目標となる値に近づけるための指令値である出力電流指令値が出力される。
【0054】
出力電流指令IDC[ref]に対して、電流値IBypが低い場合には、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCを降圧するための指令値(出力電流指令値)が出力され、出力電流指令に対して、電流値IBypが高い場合には、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCを昇圧するための指令値(出力電流指令値)が出力される。
【0055】
制御部30は、電圧検出部82により検出された出力電圧VDCと、電圧検出部83により検出された出力電圧VOUTとの差分から、バイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypを算出する。そして、算出した出力電圧VBypと出力電圧指令VDC[ref]とに基づいて、昇降圧部12から出力される出力電圧を目標となる値に近づけるための指令値である出力電圧指令値を出力する。
【0056】
そして、制御部30は、出力電流指令値と、出力電圧指令値とに基づいて、出力定電圧制御を行う。出力定電圧制御は、出力電圧を一定にするための制御であり、ドループ制御により行われる。
【0057】
また、制御部30は、電圧検出部81により検出された出力電圧VBATと、バッテリ40からの出力電圧の設定値(出力電圧指令VBAT[ref])とに基づいて、バッテリ40から出力される出力電圧を目標となる値に近づけるための指令値であるバッテリ電圧指令値を出力する。
【0058】
次に、制御部30は、バッテリ定電圧制御を行う。バッテリ定電圧制御は、バッテリ電圧指令値と出力定電圧制御の結果に対して、急激な放電をしないための昇降圧部12の入力側の調整制御を行う制御であり、PI制御により行われる。
【0059】
そして、制御部30は、バッテリ定電圧制御により得られた結果をλ(ラムダ)演算した後に、PWM変換することにより得られた制御信号より、昇降圧部12のゲートを駆動させるゲート駆動回路60をPWM制御する。これにより、昇降圧部12を制御して、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCの昇降圧の制御を行うように構成されている。前述した制御部30による制御の応答速度は各制御ブロックで設定の時定数に従う一方、出力電圧に大きな変動を与えないよう、緩やかに行われる。
【0060】
また、制御部30は、図2に示した制御に基づいて、切換動作(バイパス給電切換動作時および電力変換部給電切換動作)時において、バイパス電圧追従制御を行う。バイパス電圧追従制御は、バイパス入力電圧(交流電源202からの出力電圧)を参照し、出力電圧VDCを所定値に合わせる制御である。
【0061】
本実施形態では、制御部30は、バイパス給電切換動作または電力変換部給電切換動作の少なくともいずれかの切換動作時において、バイパス部20からの出力電流の電流値であるIBypまたはバイパス部20からの出力電圧であるVBypの少なくともいずれか一方に基づいて、昇降圧部12からの出力電圧であるVDCを変化させる制御を行うように構成されている。
【0062】
具体的には、制御部30は、切換動作時に、PWMコンバータ11と装置外部の交流電源201との間の電流経路を電気的に切り離した状態において、昇降圧部12(チョッパ方式コンバータ)を制御して、昇降圧部12(チョッパ方式コンバータ)からの出力電圧である出力電圧VDCを変化させる制御を行うように構成されている。すなわち、PWMコンバータ11の運転を停止させ、バッテリ40からの出力電力を、昇降圧部12を介して装置外部の負荷200に出力するバッテリ運転状態で、電力変換部10(昇降圧部12)の出力と、バイパス部20からの出力との間の電流量の負荷分担を行うように構成されている。
【0063】
バイパス給電切換動作は、装置外部の負荷200への出力を電力変換部10の出力からバイパス部20の出力に切り換える動作である。具体的には、バイパス給電切換動作は、直流無停電電源装置100のメンテナンス時などにおいて行われる切換動作であり、装置外部の負荷200への出力を電力変換部10の出力から、バイパス部20の出力(装置外部の交流電源202からの出力)へ切り換える切換動作である。
【0064】
また、電力変換部給電切換動作は、装置外部の負荷200への出力をバイパス部20の出力から電力変換部10の出力に切り換える動作である。具体的には、バイパス給電切換動作は、直流無停電電源装置100のメンテナンス終了後に直流無停電電源装置100の通常運転に戻す際において行われる切換動作であり、装置外部の負荷200への出力をバイパス部20の出力(装置外部の交流電源202からの出力)から、装置外部の負荷200への出力を電力変換部10の出力に切り換える切換動作である。
【0065】
(バイパス給電切換動作時の制御)
バイパス給電切換動作時において、制御部30は、昇降圧部12を制御して、出力電圧VBypの電圧よりも出力電圧VDCの電圧を降圧する制御を行うように構成されている。
【0066】
制御部30は、バイパス給電切換動作時において、バイパス電圧追従制御の開始のために、バッテリ40からの出力電力を、昇降圧部12を介して、装置外部の負荷200へ出力するバッテリ運転に切り換える。そして、制御部30は、電力変換部10(昇降圧部12)からの出力が通常のバッテリ運転時と同じ所定の電圧を出力するように昇降圧部12を制御する。これにより、装置外部の負荷200への出力の全てが、電力変換部10(昇降圧部12)からの出力となるようにする。そして、制御部30は、通常のバッテリ運転時と同じ所定の電圧を出力した状態で、バイパススイッチ22をON状態にし、目標となる電流指令値に従い、出力電圧VDCを降圧する制御を行う。
【0067】
制御部30は、バイパス給電切換動作時に、昇降圧部12からの出力電流の電流値である電流値IDCと、電流値IBypと電流値IDCとの合計値である電流値IOUTとの差分(電流値IByp)に基づいて、昇降圧部12により出力電圧VDCを降圧することによって、電流値IBypおよび電流値IDCを変化させる制御を行うように構成されている。
【0068】
また、直流無停電電源装置100は、バイパス給電切換動作時に、電流値IDCが所定の電流値以下になった場合に、昇降圧部12とバイパス部20との電気的な接続を切り離すように構成されている。具体的には、直流無停電電源装置100は、制御部30の制御により、電流値IDCが所定の電流値以下になった場合、すなわち、電流値IDCが電流値IBypに対して十分に小さく負荷変動が十分に抑制可能な値になった場合にUPS出力スイッチ53をOFF状態にして、直流無停電電源装置100からの出力電力をバイパス部20からの出力に切り換えるように構成されている。なお、所定の電流値は、負荷変動を十分に抑制することができる値である。所定の電流値は、たとえば、電流値IBypの1割から2割程度である。
【0069】
直流無停電電源装置100は、バイパス給電切換動作後に、PWMコンバータ11と装置外部の交流電源201との間の電流経路を電気的に接続してバッテリ40への充電を開始するように構成されている。具体的には、直流無停電電源装置100は、バイパス給電切換動作後に、制御部30の制御により、交流入力スイッチ51をON状態にして、PWMコンバータ11を運転状態に戻して、バッテリ40への充電を開始するように構成されている。
【0070】
(電力変換部給電切換動作時の制御)
本実施形態では、制御部30は、電力変換部給電切換動作時に、昇降圧部12を制御して、出力電圧VBypの電圧よりも出力電圧VDCの電圧を昇圧する制御を行うように構成されている。
【0071】
電力変換部給電切換動作において、制御部30は、バイパス電圧追従制御の開始のために、バッテリ40からの出力電力を、昇降圧部12を介して、装置外部の負荷200へ出力するバッテリ運転に切り換える。そして、制御部30は、電力変換部10(昇降圧部12)からの出力が通常のバッテリ運転時と同じ所定の電圧を出力するように昇降圧部12を制御する。そして、制御部30は、昇降圧部12を制御して、昇降圧部12からの出力電圧VDCを所定の初期値に降圧する。なお、昇降圧部12の出力電圧VDCを降圧する際の所定の初期値は、バイパス整流器21からの出力電圧の最小値以下である。たとえば、バイパス入力電圧(交流)の実効値の1.2倍以下である。また、所定の初期値への降圧は、バッテリ運転に切り換える際に行ってもよい。そして、制御部30は、UPS出力スイッチ53をON状態にして、目標となる電流指令値に従い、出力電圧VDCを昇圧する制御を行う。
【0072】
制御部30は、電流値IDCと、電流値IOUTとの差分(電流値IByp)に基づいて、昇降圧部12により出力電圧VDCを昇圧することによって、電流値IBypおよび電流値IDCを変化させる制御を行うように構成されている。
【0073】
また、直流無停電電源装置100は、電力変換部給電切換動作時に、電流値IBypが所定の電流値以下になった場合に、昇降圧部12とバイパス部20との電気的な接続を切り離すように構成されている。具体的には、直流無停電電源装置100は、制御部30の制御により、電流値IBypが所定の電流値以下になった場合、すなわち、電流値IBypが電流値IDCに対して十分に小さく負荷変動が十分に抑制可能な値になった場合にUPS出力スイッチ53をOFF状態にして、直流無停電電源装置100からの出力電力を電力変換部10からの出力にするように構成されている。なお、所定の電流値は、負荷変動を十分に抑制することができる値である。所定の電流値は、たとえば、電流値IDCの1割から2割程度である。
【0074】
(バイパス給電切換動作時の処理)
次に、図3および図4を参照して、本実施形態の制御部30によるバイパス給電切換動作時の制御の処理の一例をフローチャートに基づいて説明する。なお、一連のバイパス給電切換動作時における制御部30による制御は、バイパス給電切換動作を開始するための操作に基づいて開始される。
【0075】
なお、バイパス給電切換動作の開始において、交流入力スイッチ51、バッテリ入力スイッチ52、および、UPS出力スイッチ53は、ON状態である。また、バイパススイッチ22は、OFF状態である。そして、PWMコンバータ11および昇降圧部12が運転状態であり、バッテリ40は充電中である。
【0076】
ステップS1において、制御部30は、出力電圧(バイパス電圧)VBypが定格範囲内であるか否かの判定を行う。制御部30により、出力電圧VBypが定格範囲内でないと判定された場合には、処理ステップは、ステップS2へ移行する。制御部30により、出力電圧VBypが定格範囲内であると判定された場合には、処理ステップは、ステップS3へ移行する。
【0077】
ステップS2において、制御部30は、バイパス給電切換動作を開始するための操作の受付を拒否する。ステップS2の完了後、処理ステップは、ステップS1に戻る。
【0078】
ステップS3において、制御部30は、バイパス給電切換動作時を開始するための操作を受け付ける。操作受付後、処理ステップは、ステップS4へ移行する。
【0079】
ステップS4において、制御部30は、交流入力スイッチ51をOFF状態にする制御を行い、PWMコンバータ11を停止させ、バッテリ運転モードに切り換える制御を行う。そして、制御部30は、バッテリ40からの出力電力を昇降圧部12により昇圧する制御を行う。
【0080】
ステップS5において、制御部30は、バイパススイッチ22をON状態にする。バイパススイッチ22をON状態にすることにより、電力変換部10(昇降圧部12)からの出力とバイパス部20からの出力とが突き合わせされる(合流させられる)。この時、昇降圧部12から出力電圧である出力電圧VDCがバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypよりも高い状態である。
【0081】
ステップS6において、制御部30は、バイパス電圧追従制御を行う。ステップS7において、制御部30は、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypおよびバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypを取得している。そして、制御部30は、取得した電流値IBypおよび出力電圧VBypに基づいて、バイパス入力電圧(交流電源202からの出力電圧)を参照し、出力電圧VDCを所定値に合わせるバイパス電圧追従制御を行う。
【0082】
ステップS7において、制御部30は、電流分担制御を行う。制御部30は、昇降圧部12を制御して、出力電圧VDCを徐々に減少させていき、バイパス部20からの電流量を増加させていく。ステップS7において、制御部30は、電流値IBypおよび出力電圧VBypを取得し続けており、取得した電流値IBypおよび出力電圧VBypに基づいて、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCを変化させている。
【0083】
ステップS8において、制御部30は、電流値IDCが所定の電流値以下であるか否かの判定を行う。制御部30により、電流値IDCが所定の電流値以下であると判定された場合には、処理ステップは、ステップS9へ移行する。なお、所定の電流値は、負荷変動を十分に抑制することができる値である。所定の電流値は、たとえば、電流値IBypの1割から2割程度である。制御部30により、電流値IDCが所定の電流値以下でないと判定された場合には、ステップS8を繰り返す。
【0084】
ステップS9において、制御部30は、UPS出力スイッチ53をOFF状態にする制御を行う。
【0085】
ステップS10において、制御部30は、交流入力スイッチ51をON状態にする制御を行い、PWMコンバータ11の運転を開始させる(再始動させる)制御を行う。PWMコンバータ11の運転の開始させる(再始動させる)ことによりバッテリ40の充電が開始される。
【0086】
(電力変換部給電切換動作時の処理)
次に、図5および図6を参照して、本実施形態の制御部30による電力変換部給電切換動作時の制御の処理の一例をフローチャートに基づいて説明する。なお、一連の電力変換部給電切換動作時における制御部30による制御は、電力変換部給電切換動作を開始するための操作に基づいて開始される。
【0087】
なお、電力変換部給電切換動作の開始において、交流入力スイッチ51、バッテリ入力スイッチ52、および、バイパススイッチ22は、ON状態である。また、UPS出力スイッチ53は、OFF状態である。そして、PWMコンバータ11および昇降圧部12が運転状態であり、バッテリ40は充電中または放電中である。
【0088】
ステップS101において、制御部30は、装置外部の交流電源201からの交流入力電圧が定格範囲内であるか否かの判定を行う。制御部30により、交流入力電圧が定格範囲内でないと判定された場合には、処理ステップは、ステップS102へ移行する。制御部30により、交流入力電圧が定格範囲内であると判定された場合には、処理ステップは、ステップS103へ移行する。
【0089】
ステップS102において、制御部30は、電力変換部給電切換動作を開始するための操作の受付を拒否する。ステップS102の完了後、処理ステップは、ステップS101に戻る。
【0090】
ステップS103において、制御部30は、電力変換部給電切換動作を開始するための操作を受け付ける。操作受付後、処理ステップは、ステップS4へ移行する。
【0091】
ステップS104において、制御部30は、交流入力スイッチ51をOFF状態にする制御を行い、PWMコンバータ11を停止させ、バッテリ運転モードに切り換える制御を行う。そして、制御部30は、バッテリ40からの出力電力を昇降圧部12により昇圧する制御を行う。
【0092】
ステップS105において、制御部30は、バイパス電圧追従制御を行う。ステップS105において、制御部30は、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypおよびバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypを取得している。そして、制御部30は、取得した電流値IBypおよび出力電圧VBypに基づいて、バイパス入力電圧(交流電源202からの出力電圧)を参照し、出力電圧VDCを所定値に合わせるバイパス電圧追従制御を行う。そして、処理ステップは、ステップS106へ移行する。
【0093】
ステップS106において、制御部30は、UPS出力スイッチ53をON状態にする。UPS出力スイッチ53をON状態にすることにより、電力変換部10(昇降圧部12)からの出力とバイパス部20からの出力とが突き合わせされる(合流させられる)。この時、昇降圧部12から出力電圧である出力電圧VDCがバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypよりも低い状態である。
【0094】
ステップS107において、制御部30は、電流分担制御を行う。制御部30は、昇降圧部12を制御して、出力電圧VDCを徐々に増加させていき、バイパス部20からの電流量を減少させていく。ステップS107において、制御部30は、電流値IBypおよび出力電圧VBypを取得し続けており、取得した電流値IBypおよび出力電圧VBypに基づいて、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCを変化させている。
【0095】
ステップS108において、制御部30は、電流値IOUTと電流値IDCとの差分が所定の電流値以下であるか否かの判定を行う。すなわち、電流値IBypが所定の電流値以下であるか否かの判定を行う。制御部30により、電流値IOUTと電流値IDCとの差分(電流値IByp)が所定の電流値以下であると判定された場合には、処理ステップは、ステップS109へ移行する。なお、所定の電流値は、負荷変動を十分に抑制することができる値である。所定の電流値は、たとえば、電流値IDCの1割から2割程度である。制御部30により、電流値IOUTと電流値IDCとの差分(電流値IByp)が所定の電流値以下でないと判定された場合には、ステップS108を繰り返す。
【0096】
ステップS109において、制御部30は、バイパススイッチ22をOFF状態にする制御を行う。
【0097】
ステップS110において、制御部30は、交流入力スイッチ51をON状態にする制御を行い、PWMコンバータ11の運転を開始させる(再始動させる)制御を行う。そして、制御部30が、PWMコンバータ11の運転を開始させる(再始動させる)ことにより、PWMコンバータ11が装置外部の交流電源201からの電力を変換して、装置外部の負荷200への出力およびバッテリ40への出力(充電)を開始する。
【0098】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0099】
本実施形態では、制御部30は、バイパス給電切換動作および電力変換部給電切換動作の切換動作時において、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypおよびバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypに基づいて、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCを変化させる制御を行う。これにより、バッテリ40から出力された直流電力を昇圧または降圧して出力する昇降圧部12を電力変換部10からの出力電圧の調整に用いることによって、出力させる電圧が低い場合に装置外部の交流電力から入力可能な交流入力の上限値が低下するPWMコンバータ11を用いる場合と異なり、電力変換部10からの出力電圧をバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypに容易に追従させることができる。したがって、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypまたはバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypに基づいて、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCを変化(昇圧または降圧)させることにより、電力変換部10から電流が出力されている状態からバイパス部20から電流が出力されている状態へ電流分担を徐々に移動させることができる。その結果、交流電力をPWMコンバータ11により直流電力に変換するとともに、バイパス切換動作時における装置外部の負荷200に対する負荷変動を抑制可能な直流無停電電源装置100および直流無停電電源装置100の制御方法を提供することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、制御部30は、バイパス給電切換動作時に、昇降圧部12を制御して、出力電圧VBypの電圧よりも出力電圧VDCの電圧を降圧する制御を行う。これにより、バイパス給電切換動作時において、制御部30による昇降圧部12の制御によって、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCをバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypよりも低くすることができる。その結果、バイパス給電切換動作時において、昇降圧部12からの出力電流の電流値IDCを減少させることができるとともに、バイパス部20からの出力電流の電流値IBypを増加させることができる。
【0101】
また、本実施形態では、上記のように、制御部30は、バイパス給電切換動作時に、昇降圧部12からの出力電流の電流値である電流値IDCと、電流値IOUTとの差分(電流値IByp)に基づいて、昇降圧部12により出力電圧VDCを降圧することによって、電流値IBypおよび電流値IDCを変化させる制御を行う。これにより、バイパス給電切換動作時において、電流値IDCと、電流値IOUTとの差分からバイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypを取得することができる。その結果、電流値IBypと、電流値IDCとに基づいて、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCを降圧させることにより、容易に電力変換部10(昇降圧部12)の出力からバイパス部20の出力へ電流量の分担を徐々に移動させることができる。
【0102】
また、本実施形態では、上記のように、直流無停電電源装置100は、バイパス給電切換動作時に、電流値IDCが所定の電流値以下になった場合に、昇降圧部12とバイパス部20との電気的な接続を切り離すように構成されている。これにより、バイパス給電切換動作時において、昇降圧部12からの出力電流の電流値である電流値IDCが十分に低下して、装置外部の負荷200に対する電流量の分担が昇降圧部12の出力からバイパス部20の出力に十分に移った状態において、装置外部の負荷200への出力を昇降圧部12の出力からバイパス部20の出力へ切り換えることができる。その結果、バイパス給電切換動作時における装置外部の負荷200に対する負荷変動をより抑制することができる。
【0103】
また、本実施形態では、上記のように、直流無停電電源装置100は、バイパス給電切換動作後に、PWMコンバータ11と装置外部の交流電源201との間の電流経路を電気的に接続してバッテリ40への充電を開始するように構成されている。これにより、バッテリ40から電力が放電されるバイパス給電切換動作後に、バッテリ40への充電が開始されるので、バイパス給電切換動作後に、装置外部の負荷200への出力をバイパス部20の出力から電力変換部10の出力に切り換える電力変換部給電切換動作を行う際に、バッテリ40に充電された電力が不足することを防止することができる。
【0104】
また、本実施形態では、上記のように、制御部30は、電力変換部給電切換動作時に、昇降圧部12を制御して、出力電圧VBypの電圧よりも出力電圧VDCの電圧を昇圧する制御を行う。これにより、電力変換部給電切換動作時において、制御部30による昇降圧部12の制御によって、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCをバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VBypよりも高くすることができる。その結果、バイパス給電切換動作時において、昇降圧部12からの出力電流の電流値IDCを増加させることができるとともに、バイパス部20からの出力電流の電流値IBypを減少させることができる。
【0105】
また、本実施形態では、上記のように、制御部30は、電力変換部給電切換動作時に、電流値IDCと、電流値IOUTとの差分(電流値IByp)に基づいて、昇降圧部12により出力電圧VDCを昇圧することによって、電流値IBypおよび電流値IDCを変化させる制御を行う。これにより、電力変換部給電切換動作時において、電流値IDCと、電流値IOUTとの差分からバイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypを取得することができる。その結果、電流値IBypと、電流値IDCとに基づいて、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧IDCを昇圧させることにより、容易にバイパス部20の出力から電力変換部10(昇降圧部12)の出力へ電流量の分担を徐々に移動させる(電力変換部10からの出力の電流分担を上げる)ことができる。
【0106】
また、本実施形態では、上記のように、直流無停電電源装置100は、電力変換部給電切換動作時に、電流値IBypが所定の電流値以下になった場合に、昇降圧部12とバイパス部20との電気的な接続を切り離すように構成されている。これにより、電力変換部給電切換動作時において、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IBypが十分に低下して、装置外部の負荷200に対する電流量の分担がバイパス部20の出力から昇降圧部12の出力へ十分に移った状態において、装置外部の負荷200への出力をバイパス部20の出力から昇降圧部12の出力へ切り換えることができる。その結果、電力変換部給電切換動作時における装置外部の負荷200に対する負荷変動をより抑制することができる。
【0107】
また、本実施形態では、上記のように、昇降圧部12は、バッテリ40から出力された直流電力を昇圧または降圧して出力するチョッパ方式コンバータであり、制御部30は、切換動作時に、PWMコンバータ11と装置外部の交流電源201との間の電流経路を電気的に切り離した状態において、昇降圧部12(チョッパ方式コンバータ)を制御して、昇降圧部12からの出力電圧である出力電圧VDCを変化させる制御を行う。これにより、フライバック方式などにより、バッテリ40からの電力を絶縁形直流電圧変換する場合に比べて、バッテリ40からの電力を効率よく、昇圧または降圧することができる。
【0108】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0109】
たとえば、上記実施形態では、制御部30は、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IByp(第1電流値)およびバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VByp(第1出力電圧)に基づいて、出力電圧VDC(第2出力電圧)を変化させる制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、第1出力電圧または第1出力電流の一方のみに基づいて、第2出力電圧を変化させる制御を行うようにしてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、制御部30は、切換動作時に、バイパス部20からの出力電流の電流値である電流値IByp(第1電流値)およびバイパス部20からの出力電圧である出力電圧VByp(第1出力電圧)を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、第1電流値または第1出力電圧の一方のみを取得するようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、制御部30は、バイパス給電切換動作時に、昇降圧部12からの出力電流の電流値である電流値IDC(第2電流値)と、電流値IOUT(第3電流値)との差分に基づいて、昇降圧部12により出力電圧VDCを降圧することによって、電流値IByp(第1電流値)および電流値IDC(第2電流値)を変化させる制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、バイパス給電切換動作時において、第1出力電圧に基づいて、昇降圧部12により第2出力電圧を降圧することによって、第1電流値および第2電流値を変化させる制御を行うようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、直流無停電電源装置100は、バイパス給電切換動作後に、PWMコンバータ11と装置外部の交流電源201との間の電流経路を電気的に接続してバッテリ40への充電を開始するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直流無停電電源装置は、電力変換部給電切換動作前にバッテリ40への充電を開始するように構成してもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、制御部30は、電力変換部給電切換動作時に、電流値IDC(第2電流値)と、電流値IOUT(第3電流値)との差分に基づいて、昇降圧部12により出力電圧VDC(第2出力電圧)を昇圧することによって、電流値IByp(第1電流値)および電流値IDC(第2電流値)を変化させる制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、電力変換部給電切換動作時において、第1出力電圧に基づいて、昇降圧部12により第2出力電圧を昇圧することによって、第1電流値および第2電流値を変化させる制御を行うようにしてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、昇降圧部12は、チョッパ方式コンバータである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、昇降圧部は、フライバック方式などにより、バッテリからの電力を絶縁形直流電圧変換するように構成されてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、一台の直流無停電電源装置100が装置外部の負荷に対して、電力を出力(供給)する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、装置外部の負荷に対して、電気的に並列に配列される複数台の直流無停電電源装置に本発明を適用してもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部30のバイパス給電切換動作時および電力変換部給電切換動作時の制御の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部による処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 電力変換部
11 PWMコンバータ
12 昇降圧部
20 バイパス部
21 バイパス整流器
30 制御部
40 バッテリ
100 直流無停電電源装置
Byp 電流値(第1電流値)
DC 電流値(第2電流値)
OUT 電流値(第3電流値)
Byp 出力電圧(第1出力電圧)
DC 出力電圧(第2出力電圧)
図1
図2
図3
図4
図5
図6