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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/52 20060101AFI20240110BHJP
   B65H 29/70 20060101ALI20240110BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H29/52
B65H29/70
G03G15/00 461
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020048595
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147175
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】松岡 達朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍一
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-48392(JP,A)
【文献】特開2007-112546(JP,A)
【文献】特開2001-80806(JP,A)
【文献】特開2009-120312(JP,A)
【文献】特開2000-264525(JP,A)
【文献】米国特許第6698752(US,B1)
【文献】特開平4-41361(JP,A)
【文献】特開2007-131428(JP,A)
【文献】特開平3-23153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/52
B65H 29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1及び第2の搬送経路のうち、湾曲した前記第2の搬送経路が直線状の前記第1の搬送経路と合流する合流位置の前記シートの搬送方向に沿った下流側に配置され、前記搬送方向と交差する方向に沿って外径が異なる複数のロール対により前記シートを波形状に変形させて搬送する搬送手段と、
前記合流位置において前記第2の搬送経路から前記第1の搬送経路に向けて配置され、前記第2の搬送経路に沿って搬送される前記シートの前記第1の搬送経路側に突出した前記波形状の凸部を支持する櫛歯状の支持手段と、
を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、軸方向に沿って外径が相対的に大きな第1のロールと、外径が相対的に小さな第2のロールとを交互に配置してなる請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記支持手段は、前記第2のロールに対応した位置に配置される請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記支持手段は、その先端が前記第2のロールのニップ部に前記第1の搬送経路と平行に設けた接線より前記第1の搬送経路側に突出するよう配置される請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記複数の搬送経路は、前記シートを直線状に搬送する第1の搬送経路と、前記シートを湾曲した状態で搬送する第2の搬送経路とを有する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記支持手段は、前記第2の搬送経路に配置される請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記支持手段は、可撓性を有するフィルム状部材からなる請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記支持手段は、前記シートの搬送方向に沿った下流側に向けて先細り形状且つ先端が湾曲形状に形成されている請求項7に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートを搬送するシート搬送手段と、
を備え、
前記シート搬送手段として請求項1乃至8のいずれかに記載のシート搬送装置を用いた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート搬送装置に関する技術としては、例えば、特許文献1~3等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、定着器によりトナー像が定着された用紙を、機外に、用紙の幅方向断面を波形に変形させながら送り出す送出ローラと、定着器を経由して進んできた用紙を、定着器から送出ローラに到る湾曲した案内路に沿って案内する用紙ガイドとを有し、用紙ガイドが、送出ローラにより変形する用紙形状とほぼ同一の断面形状を有するものであるように構成したものである。
【0004】
特許文献2は、合流部の中央部に位置する搬送ガイドから合流部内を湾曲搬送路に向けて延設された用紙ガイド部材を備え、用紙ガイド部材は、その延設された先端部が合流部内の他の搬送ガイドに対し非接触に配置されているように構成したものである。
【0005】
特許文献3は、所定高さでシート材を搬送する第1搬送経路と、第1搬送経路よりも低い高さでシート材を搬送する第2搬送経路とが合流する段差合流部を備えるシート材搬送装置であって、段差合流部における、第1搬送経路の前記シート材を支持する支持面の端縁の中央部は、シート材の搬送方向において凹んだ凹形状を有するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-230746号公報
【文献】特開2016-050096号公報
【文献】特開2011-152960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、合流位置の中央部に位置する搬送ガイドから合流位置内を湾曲搬送路に向けて延設された用紙ガイド部材を備えた場合に比べて、湾曲した第2の搬送経路が第1の搬送経路と合流する合流位置において、湾曲した第2の搬送経路を搬送される波形状に変形したシートの後端が通過する際に、搬送ガイドに押し付けられていたシートの後端が急激に弾かれることで発生する後端はねによる衝撃音を低減することが可能なシート搬送装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、シートを搬送する第1及び第2の搬送経路のうち、湾曲した前記第2の搬送経路が直線状の前記第1の搬送経路と合流する合流位置の前記シートの搬送方向に沿った下流側に配置され、前記搬送方向と交差する方向に沿って外径が異なる複数のロール対により前記シートを波形状に変形させて搬送する搬送手段と、
前記合流位置において前記第2の搬送経路から前記第1の搬送経路に向けて配置され、前記第2の搬送経路に沿って搬送される前記シートの前記第1の搬送経路側に突出した前記波形状の凸部を支持する櫛歯状の支持手段と、
を備えるシート搬送装置である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、前記搬送手段は、軸方向に沿って外径が相対的に大きな第1のロールと、外径が相対的に小さな第2のロールとを交互に配置してなる請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、前記支持手段は、前記第2のロールに対応した位置に配置されている請求項2に記載のシート搬送装置である。
【0011】
請求項4に記載された発明は、前記支持手段は、その先端が前記第2のロールのニップ部に前記第1の搬送経路と平行に設けた接線より前記第1の搬送経路側に突出するよう配置されている請求項2に記載のシート搬送装置である。
【0012】
請求項5に記載された発明は、前記複数の搬送経路は、前記シートを直線状に搬送する第1の搬送経路と、前記シートを湾曲した状態で搬送する第2の搬送経路とを有する請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0013】
請求項6に記載された発明は、前記支持手段は、前記第2の搬送経路に配置される請求項5に記載のシート搬送装置である。
【0014】
請求項7に記載された発明は、前記支持手段は、可撓性を有するフィルム状部材からなる請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0015】
請求項8に記載された発明は、前記支持手段は、前記シートの搬送方向に沿った下流側に向けて先細り形状且つ先端が湾曲形状に形成されている請求項7に記載のシート搬送装置である。
【0016】
請求項9に記載された発明は、シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートを搬送するシート搬送手段と、
を備え、
前記シート搬送手段として請求項1乃至8のいずれかに記載のシート搬送装置を用いた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、合流位置の中央部に位置する搬送ガイドから合流位置内を湾曲搬送路に向けて延設された用紙ガイド部材を備えた場合に比べて、湾曲した第2の搬送経路が第1の搬送経路と合流する合流位置において、湾曲した第2の搬送経路を搬送される波形状に変形したシートの後端が通過する際に、搬送ガイドに押し付けられていたシートの後端が急激に弾かれることで発生する後端はねによる衝撃音を低減することが可能となる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、搬送手段は、軸方向に沿って外径が相対的に大きな第1のロールと、外径が相対的に小さな第2のロールとを交互に配置していない場合に比べて、シートの姿勢を矯正して搬送することができる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、支持手段は、第2のロールに対応した位置に配置されていない場合に比べて、波形状に変形したシートの後端が第1の搬送経路に突き当たる際に発生する音を確実に低減することができる。
【0020】
請求項4に記載された発明に比べて、支持手段は、その先端が第2のロールのニップ部に第1の搬送経路と平行に設けた接線より突出していない場合に比べて、第1の搬送経路側に突出した波形状の凸部を確実に支持することができる。
【0021】
請求項5に記載された発明によれば、複数の搬送経路は、シートを直線状に搬送する第1の搬送経路と、シートを湾曲した状態で搬送する第2の搬送経路とを有しない場合に比べて、搬送手段によってシートを搬送する際の自由度を向上させることができる。
【0022】
請求項6に記載された発明によれば、支持手段は、第2の搬送経路に配置されていない場合に比べて、第1の搬送経路を搬送されるシートの支障となることを抑制できる。
【0023】
請求項7に記載された発明によれば、支持手段は、可撓性を有するフィルム状部材から構成しない場合に比べて、支持手段を簡易に設けることができる。
【0024】
請求項8に記載された発明によれば、支持手段は、シートの搬送方向に沿った下流側に向けて幅が変化しない場合に比べて、支持手段がシート搬送の障害となるのを抑制することができる。
【0025】
請求項9に記載された発明によれば、シート搬送手段として請求項1乃至8のいずれかに記載のシート搬送装置を用いない場合に比べて、シートを搬送する際に発生する音を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置を適用した画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置を示す構成図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置の要部を示す平面構成図である。
図4】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置の要部を示す正面構成図である。
図5】従来のシート搬送装置の作用を示す断面構成図である。
図6】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置の要部を示す断面構成図である。
図7】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置の作用を示す断面構成図である。
図8】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置の作用を示す断面構成図である。
図9】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置の作用を示す斜視説明図である。
図10】この発明の実施の形態1に係る用紙排出装置の作用を示す説明図である。
図11】この発明の実施の形態2に係るシート搬送装置の支持部材を示す構成図である。
図12】支持フィルムの変形例を示す平面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。
【0029】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラー複写機として構成されたものである。画像形成装置1は、図示しない原稿を画像読取装置2の読み取り位置へ搬送する自動原稿搬送装置3と、図示しない原稿の画像を読み取る画像読取装置2と、装置本体1aの内部に配置されて画像読取装置2で読み取られた画像データなどに基づいてシート(記録媒体)の一例としての記録用紙5に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部4とを備えている。画像形成装置1の装置本体1aは、支持構造部材、外装カバー等で形成されている。また、図中の破線は、画像形成装置1の装置本体1aの内部において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示している。
【0030】
画像形成装置1の画像形成部4は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録用紙5に二次転写する二次転写部まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写部に供給すべき所要の記録用紙5を収容して供給する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。
【0031】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において水平方向に沿って1列に並べた状態となるよう配置されている。
【0032】
各作像装置10(Y,M,C,K)は、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えている。感光体ドラム11の周囲には、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある各色用の静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。なお、各作像装置10(Y,M,C,K)の部材を示す符号は、イエローの作像装置10Yにのみ付して他のマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の作像装置10(M,C,K)では省略している。
【0033】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
【0034】
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成されている。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を採用してもよい。
【0035】
露光装置13は、各作像装置10の感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる。露光装置13には、潜像形成時になると制御装置100から画像読取装置2で読み取られた図示しない原稿の画像情報や画像形成装置1に任意の手段で入力されるフルカラー又は白黒に対応した画像情報(信号)が送信される。なお、露光装置13としては、画像形成装置1に入力される画像情報等に応じて構成されるレーザ光を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射し静電潜像を形成するものを用いても良い。
【0036】
現像装置14はいずれも、開口部と現像剤の収容室が形成された装置筐体140の内部に、現像剤を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像剤保持体の一例としての現像ロール141と、現像剤を攪拌しながら現像ロール141に供給するスクリューオーガー等の供給搬送部材142と、供給搬送部材142との間で現像剤を遣り取りしながら撹拌しつつ搬送するスクリューオーガー等の撹拌搬送部材143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する図示しない層厚規制部材などを配置して構成したものである。4色の各現像剤(Y,M,C,K)としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0037】
一次転写装置15は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0038】
ドラム清掃装置16は、一部が開口する容器状の本体と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板と、清掃板で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材等で構成されている。
【0039】
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するよう配置される。中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写部を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写体(像保持手段)の一例としての中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22~27と、ベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写手段の一例としての二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置28とで主に構成されている。
【0040】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23,24は中間転写ベルト21の画像形成面を形成する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール25は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロール及び中間転写ベルト21の蛇行を補正する蛇行補正ロールとして構成され、ベルト支持ロール26は二次転写の背面支持ロールとして構成され、ベルト支持ロール27はベルト清掃装置28の対向ロールとして構成されている。
【0041】
二次転写装置30は、中間転写装置20におけるベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写部において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写手段を構成する二次転写ロール31と、従動ロール32と、二次転写ロール31と従動ロール32の間に掛け渡された二次転写ベルト33を備えた接触型の転写装置である。二次転写ロール31は、中間転写ベルト21を介して位置が固定されたベルト支持ロール26に所要の押圧力で接触するように配置されている。二次転写装置30は、二次転写ロール31、従動ロール32及び二次転写ベルト33と中間転写ベルト21の背面を支持するベルト支持ロール26とから構成されている。また、二次転写ロール31又はベルト支持ロール26には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
【0042】
ベルト清掃装置28は、ドラム清掃装置16と同様に構成され、一部が開口する容器状の本体と、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する図示しない清掃板と、清掃板で取り除いたトナー等の付着物を回収して回収システムに送り出すよう搬送する図示しないスクリューオーガー等の送出部材等で構成されている。
【0043】
定着装置40は、表面温度が所要の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。定着装置40は、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
【0044】
給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容容器の一例としての給紙トレイ51と、給紙トレイ51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52で主に構成されている。給紙トレイ51は、例えば、画像形成装置1の装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
【0045】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、トレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0046】
画像形成装置1の装置本体1aの内部には、給紙装置50と二次転写装置30との間に、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写部まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ロール対53,54や図示しない搬送ガイド等で構成される給紙搬送路55が設けられている。用紙搬送ロール対54は、例えば、記録用紙5の二次転写部への搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30の二次転写ロール31から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するための搬送ベルト56が設けられている。
【0047】
さらに、定着装置40の記録用紙5の搬送方向に沿った下流側であって記録用紙5の排出口に近い部分には、定着装置40から送り出される定着後の記録用紙5を装置本体1aの側面に設けられた図示しない排出用紙収容部に排出するためのシート搬送装置の一例としての用紙排出装置60が配置されている。用紙排出装置60は、定着後の記録用紙5を装置本体1aの側面に設けられた図示しない排出用紙収容部に排出する搬送手段の一例としての用紙排出ロール対61を有する第1の搬送経路の一例としての排出経路62と、定着後の記録用紙5の搬送方向を鉛直方向に沿った下方に切り替えて導入する導入経路63と、導入経路63を介して導入された記録用紙5の表裏を反転する用紙反転ロール対64を有する用紙反転経路65と、用紙反転経路65で表裏が反転された記録用紙5を排出する第2の搬送経路の一例としての反転排出経路66とを備えている。用紙排出装置60の用紙反転経路65によって表裏が反転された記録用紙5は、定着装置40によりトナー像が定着された画像面を下にして反転排出経路66を介して図示しない排出用紙収容部に排出される。なお、用紙排出装置60については、後に詳述する。
【0048】
また、用紙排出装置60の用紙反転経路65によって表裏が反転された記録用紙5は、両面画像形成時、複数の用紙排出ロール対67aが設けられた両面用搬送路67を介して給紙搬送路55へと再度搬送され、記録用紙5の両面に画像が形成される。
【0049】
図1中、符号145(Y,M,C,K)は、紙面に直交する方向に沿って複数配列され、対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含むイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応する現像剤を収容したトナーカートリッジをそれぞれ示している。なお、ブラック(K)のトナーカートリッジ145Kは、トナーの消費量が他のイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)のトナーカートリッジ145(Y,M,C)に比べて多いため2つ設けられている。
【0050】
また、図1中符号100は、装置本体1aのイエロー(Y)及びマゼンタ(M)の作像装置10(Y,M)の背面側に配置される画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備える。制御装置100は外部から入力される画像信号に所要の画像処理を施した後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置用の露光装置13(Y,M,C,K)に対応する画像信号を出力する。
【0051】
また、図1中符号101は、装置本体1aの側面に開閉可能に設けられた手差し給紙装置を示している。
【0052】
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0053】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する動作について説明する。
【0054】
画像形成装置1は、制御装置100が記録用紙5を指定した画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
【0055】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)では、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1では負極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13(Y,M,C,K)が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像信号を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0056】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(負極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0057】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写部まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
【0058】
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。
【0059】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写部まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて指定された普通紙や厚紙など所要の記録用紙5を給紙搬送路55に送り出す。給紙搬送路55では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対54が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写部に送り出して供給する。
【0060】
二次転写部においては、二次転写装置30の二次転写ロール31が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置28が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0061】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール31から剥離された後に搬送ベルト56を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対61により、装置本体1aの側方に設置された図示しない排出用紙収容部に排出される。
【0062】
また、記録用紙5の両面に画像を形成するときは、片面に画像が形成された記録用紙5を用紙排出ロール対61により図示しない排出用紙収容部へ排出せずに、記録用紙5の搬送方向を下方に切り替える。下方に搬送された記録用紙5は、導入経路63を介して用紙反転ロール対64を備えた用紙反転経路65により表裏が反転された後、両面用搬送路67を介して給紙搬送路55へと再度搬送される。そして、用紙搬送ロール対54は、記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写部に送り出して供給し、記録用紙5の裏面に画像を転写して定着した後、用紙排出ロール対61により装置本体1aの側方に設置された図示しない排出用紙収容部に排出する。
【0063】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
【0064】
<用紙排出装置の構成>
図2はこの実施の形態1に係るシート搬送装置の一例としての用紙排出装置60の構成を示す概略構成図である。
【0065】
この実施の形態1に係る用紙排出装置60は、図2に示されるように、定着装置40から排出される記録用紙5を直線状に搬送する排出経路62と、定着装置40から排出され第1の切替ゲート68によって搬送方向を鉛直方向に沿った下方へと切り替えられた記録用紙5を搬送する導入経路63と、用紙反転経路65に搬送された記録用紙5を第2の切替ゲート69によって排出経路62と合流するよう搬送する湾曲した反転排出経路66とを備えている。
【0066】
排出経路62は、当該排出経路62の上部に配置される上部搬送ガイド部材621,622と、当該排出経路62の下部に配置される第1の切替ゲート68の上端部及び下部搬送ガイド部材623等で構成されている。
【0067】
反転排出経路66は、当該反転排出経路66の上部に配置される上部搬送ガイド部材を兼ねる第2の切替ゲート69と、排出経路62の下部搬送ガイド部材623の先端部623aの下面で兼用される上部搬送ガイド部材と、当該反転排出経路66の下部に配置される下部搬送ガイド部材661~664と、下部搬送ガイド部材662と下部搬送ガイド部材663との間に配置される搬送ロール対665等から構成されている。
【0068】
導入経路63は、当該導入経路63の上部に配置される上部搬送ガイド部材を兼ねる第1の切替ゲート68の下端面と、導入経路63の上部搬送ガイド部材631と、当該導入経路63の上部に配置される上部搬送ガイド部材を兼ねる第2の切替ゲート69と、当該導入経路63の下部に配置される下部搬送ガイド部材632,633と、下部搬送ガイド部材632と下部搬送ガイド部材633の間に配置される搬送ロール対634等から構成されている。なお、下部搬送ガイド部材632の上端部632aは、排出経路62の一部(下部)をも構成している。
【0069】
なお、導入経路63の下端部と両面用搬送路67が分岐する分岐位置には、先端が反転排出経路66の下部搬送ガイド部材661と接触するよう両面用搬送路67に設けられたフィルム状部材からなる分岐部材671が設けられている。用紙反転経路65へと搬送された記録用紙5は、反転排出時、その搬送方向に沿った後端が分岐部材671と第2の切替ゲート69の間に位置するときに用紙反転ロール対64が停止されて回転方向が反転される。すると、用紙反転経路65へと搬送された記録用紙5は、回転方向が反転される用紙反転ロール対64及び搬送経路を切り替える第2の切替ゲート69によって反転排出経路66へと搬送される。
【0070】
一方、用紙反転経路65へと搬送された記録用紙5は、両面画像形成時、その搬送方向に沿った後端が用紙反転ロール対64と分岐部材671の間に位置するときに用紙反転ロール対64が停止されて回転方向が反転される。すると、用紙反転経路65へと搬送された記録用紙5は、回転方向が反転される用紙反転ロール対64及び分岐部材671によって両面用搬送路67へと搬送される。
【0071】
排出経路62と反転排出経路66が合流する合流位置70の記録用紙5の搬送方向に沿った下流側には、図3及び図4(a)に示されるように、記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿って外径が異なる複数のロール対により当該記録用紙5を波形状に変形させて搬送する搬送手段の一例としての用紙排出ロール対61が設けられている。用紙排出ロール対61は、記録用紙5を波形状に変形させるコルゲーションロールとして機能する。
【0072】
用紙排出ロール対61は、回転軸613の軸方向に沿って外径が異なる合成樹脂等によって形成される複数の排出ロール611,612を交互に配置した第1の排出ロール部材614と、回転軸616の軸方向に沿って外径が同一のゴム等によって形成される複数の排出ロール617を配置した第2の排出ロール部材615とから構成されている。第1の排出ロール部材614は、相対的に外径が小さい排出ロール611の方が相対的に外径が大きい排出ロール612より軸方向に沿った長さが長く設定されている。第2の排出ロール部材615の排出ロール617は、第1の排出ロール部材614の外径が異なる複数の排出ロール611,612のうち、一方の外径が相対的に小さい排出ロール611と接触するよう配置されている。なお、第1の排出ロール部材614の外径が相対的に大きい排出ロール612と対向する位置には、複数の搬送ガイド部材618がそれぞれ配置されている。
【0073】
用紙排出ロール対61は、例えば、第2の排出ロール部材615が図示しない駆動源によって回転駆動される。第1の排出ロール部材614は、第2の排出ロール部材615の排出ロール617と接触することにより従動して回転する。
【0074】
用紙排出ロール対61によって搬送される記録用紙5は、図4(b)に示されるように、軸方向に沿って外径が異なる複数のロール611,612を交互に配置した第1の排出ロール部材614と第2の排出ロール部材615とによって挟持され、外径が相対的に大きい排出ロール612と軸方向に沿って隣接する外径が相対的に小さい排出ロール611によって波形状に変形した状態で搬送される。そのため、波形状に変形した状態で搬送される記録用紙5は、図2に示されるように、剛性が高められて搬送方向に沿って直進するよう排出される。その結果、用紙排出ロール対61によって図示しない排出用紙収容部に排出される記録用紙5は、排出途中において、図示しない排出用紙収容部に既に排出された記録用紙5と接触して当該記録用紙5の姿勢を乱すことなく、排出用紙収容部の長手方向に沿って搬送された後に排出用紙収容部に既に排出された記録用紙5上に収容される。
【0075】
ところで、このように構成される用紙排出装置60では、図4(b)に示されるように、上記の如くコルゲーションロールとして機能する用紙排出ロール対61によって搬送される記録用紙5が波形状に変形される。そのため、用紙排出ロール対61によってニップされて搬送される記録用紙5は、搬送方向に沿った後端部にまでわたり波形状に変形された状態となる。
【0076】
用紙排出装置60では、図5に示されるように、記録用紙5の表裏を反転させて排出する際に、湾曲した反転排出経路66に沿って搬送される記録用紙5は、搬送方向に沿った後端部まで波形状に変形されて剛性が高められる。そのため、湾曲した反転排出経路66に沿って搬送される記録用紙5の後端5aは、合流位置70において反転排出経路66を離れるとき、記録用紙5の剛性によって排出経路62を形成する上部搬送ガイド部材622の下面に跳ねて突き当たり、衝突音が発生する。この衝突音は、剛性が高められた記録用紙5の後端5aが上部搬送ガイド部材622を殴打する音であり、静寂なオフィス等においては耳障りなものとなる。
【0077】
そこで、この実施の形態1に係る用紙排出装置60は、図6に示されるように、合流位置70において反転排出経路66から排出経路62に向けて配置され、反転排出経路66に沿って搬送される記録用紙5の排出経路62側に突出した波形状の凸部5bを支持する櫛歯状の支持手段80を備えるよう構成している。なお、ここで、櫛歯状とは、支持手段80が設けられている状態が櫛歯状であることを意味し、支持手段80自体の形状が櫛歯状であることを意味するものではない。支持手段80は、例えば、矩形状に形成された複数の支持手段を櫛歯状に配置することによって構成される。なお、図6中、符号71は記録用紙5の電荷を除去する除電ブラシを示している。
【0078】
すなわち、用紙排出装置60は、図6に示されるように、排出経路62と反転排出経路66が合流する合流位置70において、反転排出経路66を形成する下部搬送ガイド部材623の先端部623aの下面に排出経路62に向けて配置され、反転排出経路66に沿って搬送される記録用紙5の排出経路62側に突出した波形状の凸部5bを支持する櫛歯状の支持手段の一例としての支持フィルム80を備えている。支持フィルム80は、図3に示されるように、所要の厚さのマイラーフィルム等の可撓性を有するフィルム状部材から用紙排出ロール対61における排出ロール611に対応した位置に配置され、当該排出ロール611の軸方向に沿った長さと同等の幅を有する平面矩形状に形成されている。
【0079】
支持フィルム80は、図6に示されるように、用紙排出ロール対61の第1の排出ロール部材614のうち、相対的に外径が小さな排出ロール611に対応した位置において、下部搬送ガイド部材623の先端部623aの下面に両面テープ等による粘着又は接着等の手段により設けられている。また、支持フィルム80は、その先端80aが用紙排出ロール対61のニップ部に排出経路62と平行に引いた接線Lより排出経路62側に突出するよう配置されている。また、支持フィルム80は、その先端80aが上部搬送ガイド部材622の下面との間に間隙が形成されるよう離間して配置されている。
【0080】
<用紙排出装置の作用>
この実施の形態1に係る用紙排出装置60では、次のようにして、合流位置の中央部に位置する搬送ガイドから合流位置内を湾曲搬送路に向けて延設された用紙ガイド部材を備えた場合に比べて、湾曲した反転排出経路66が直線状の排出経路62と合流する合流位置70において、反転排出経路66を搬送される波形状に変形した記録用紙5の後端5aが急激に弾かれることで発生する後端はねによる衝撃音を低減することが可能となっている。
【0081】
この実施の形態1に係る用紙排出装置60では、図2に示されるように、定着装置40によって一方の面に画像が定着された記録用紙5を図示しない排出用紙収容部に排出する際に、記録用紙5の画像面を下にして排出用紙収容部に排出するため、定着装置40によって一方の面に画像が定着された記録用紙5を第1の切替ゲート68により搬送方向を下方へ切り替える。そして、第1の切替ゲート68により搬送方向が下方へ切り替えられた記録用紙5は、その搬送方向に沿った後端5aが用紙反転ロール対64によって保持されている間に、当該用紙反転ロール対64の回転方向を逆転させて第2の切替ゲート69により搬送経路が切り替えられて反転排出経路66へと搬送される。
【0082】
搬送経路が反転排出経路66へと切り替えられた記録用紙5は、反転排出経路66の形状に倣って湾曲した状態で用紙排出ロール対61によって図示しない排出用紙収容部へと排出される。このとき、記録用紙5は、図4(b)に示されるように、軸方向に沿って外径が異なる複数の排出ロール611,612を備えた第1の排出ロール部材614によって波形状に変形される。
【0083】
波形状に変形された記録用紙5は、図7に示されるように、その後端5aが反転排出経路66から排出経路62へと移動する際に、当該記録用紙5の排出経路62側に突出した波形状の凸部5bが櫛歯状に設けられた複数の支持フィルム80によって支持される。
【0084】
更に説明すると、波形状に変形された記録用紙5は、反転排出経路66に沿って搬送される際に当該反転排出経路66の形状に倣って湾曲した形状に変形している。そして、波形状に変形された記録用紙5の後端5aは、反転排出経路66から排出経路62へ移行するときに、湾曲した形状から平坦な形状に変形する。
【0085】
ところで、反転排出経路66には、図8乃至図10に示されるように、反転排出経路66から排出経路62へ向けて櫛歯状の支持フィルム80が設けられている。波形状に変形された記録用紙5の後端5aのうち、排出経路62側へ突出した波形状の凸部5bは、櫛歯状の支持フィルム80に接触した状態で反転排出経路66から排出経路62へと支持されて案内される。その結果、波形状に変形された記録用紙5の後端5aは、湾曲した反転排出経路66から直線状の排出経路62へ移行するとき、湾曲した形状から平坦な形状に弾性変形しようとするが、波形状の凸部5bが櫛歯状の支持フィルム80に接触した状態で支持される。そのため、波形状に変形された記録用紙5の後端5aは、排出経路62を形成する上部搬送ガイド部材622の下面に衝突することなく、湾曲した形状が複数の支持フィルム80に支持されて徐々に排出経路62の形状である直線状に復帰した状態で排出経路62へと移行する。その後、波形状に変形された記録用紙5の後端5aは、用紙排出ロール対61によって図示しない排出用紙収容部へと排出される。
【0086】
また、支持フィルム80は、櫛歯状に配置され、しかも可撓性を有するフィルム状部材からなり、支持フィルム80と排出経路62との間に間隙も形成されているため、排出経路62を搬送される記録用紙5の搬送抵抗となることが防止乃至抑制される。
【0087】
さらに、通常通り画像面を上にして排出される記録用紙5は、波形状の凸部5bが櫛歯状の支持フィルム80の上方を通過するため、排出経路62を搬送される記録用紙5の搬送抵抗となることが防止乃至抑制される。
【0088】
このように、この実施の形態1に係る用紙排出装置60では、湾曲した反転排出経路66が直線状の排出経路62と合流する合流位置70において、反転排出経路66を搬送される波形状に変形した記録用紙5の後端5aが排出経路62に突き当たる際に発生する音を低減乃至防止することが可能となっている。
【0089】
これに対して、合流位置の中央部に位置する搬送ガイドから合流位置内を湾曲搬送路に向けて延設された用紙ガイド部材を単に備えた場合には、用紙ガイド部材が記録用紙5の排出経路側に突出した波形状の凸部とずれるため、反転排出経路66を搬送される波形状に変形した記録用紙5の後端5aが排出経路62に突き当たるのを回避することができず、波形状に変形した記録用紙5の後端5aが排出経路62に突き当たる際に発生する音を低減乃至防止することができない。
【0090】
[実施の形態2]
図11はこの発明の実施の形態2に係るシート搬送装置の一例としての用紙排出装置60の要部を示す構成図である。
【0091】
この実施の形態2に係る用紙排出装置60では、図11に示されるように、支持フィルム80が記録用紙5の搬送方向に沿った下流側に向けて先細り形状且つ先端が湾曲形状に形成されている。
【0092】
そのため、この実施の形態2に係る用紙排出装置60は、図11(b)に示されるように、支持フィルム80が下部搬送ガイド部材623の先端部623aの下面に対し多少傾斜して取り付けられる場合であっても、記録用紙5との接触抵抗が左右の両端縁でばらつくことが抑制される。
【0093】
なお、支持フィルム80としては、図12に示されるように、複数の支持フィルム80の基端部を一体的に形成した文字通り櫛歯状に形成したものを用いても良いことは勿論である。
【0094】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0095】
なお、前記実施の形態では、画像形成装置の一例として電子写真方向を採用したカラー複写機に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、画像形成部4は、電子写真方式に限定されるものではなく、記録媒体に画像を形成可能なものであればインクジェット方式やサーマルヘッド方式、あるいはリソグラフ方式など他の方式を採用したものであっても良い。
【符号の説明】
【0096】
1…画像形成装置
1a…装置本体
60…用紙排出装置
61…用紙排出ロール対
62…排出経路
66…反転排出経路
80…支持フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12