(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光通信素子、光送信器及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20240110BHJP
H04B 10/572 20130101ALI20240110BHJP
【FI】
G02F1/01 F
H04B10/572
(21)【出願番号】P 2020052257
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-10-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 知之
(72)【発明者】
【氏名】小田 祥一朗
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-064657(JP,A)
【文献】特開2019-135524(JP,A)
【文献】特開2014-059542(JP,A)
【文献】特開2001-044934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0151509(US,A1)
【文献】特開2016-212173(JP,A)
【文献】特開2004-094213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
G02B 6/12-6/14
H04B 10/00-10/90
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上のカプラと、
前記カプラ間を接続し、一方のカプラから2分岐出力された各光信号を他方のカプラに出力する一対の導波路と、
前記導波路を通過する各光信号の位相量を調整する、当該導波路毎に備えた移相器と、
前記3個以上のカプラの内、前記光信号の進行方向の最下流のカプラから2分岐出力された位相調整後の光信号のパワー量を検出する検出部と、
前記検出部にて検出された前記パワー量に基づき、前記一対の導波路の各移相器を制御する制御部と
、を有し、
前記検出部は、
現在の位相量に第1の位相量を加算して設定した場合の前記検出部にて検出された、前記最下流のカプラの出力反転ポートからの前記光信号の第1のパワー量と、前記現在の位相量から第2の位相量を減算して設定した場合の前記検出部にて検出された前記出力反転ポートからの前記光信号の第2のパワー量とを検出し、
前記制御部は、
前記第1のパワー量と前記第2のパワー量との比較結果に基づき、前記検出部にて検出された前記パワー量が減少する方向に、前記一対の導波路の各移相器を制御することを特徴とする光通信素子。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1のパワー量と前記第2のパワー量との比較結果に基づき、前記検出部にて検出された前記パワー量が減少する方向に透過スペクトルの位相量をシフトすべく、前記一対の導波路の各移相器を制御することを特徴とする請求項
1に記載の光通信素子。
【請求項3】
入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上のカプラと、
前記カプラ間を接続し、一方のカプラから2分岐出力された各光信号を他方のカプラに出力する一対の導波路と、
前記導波路を通過する各光信号の位相量を調整する、当該導波路毎に備えた移相器と、
前記3個以上のカプラの内、前記光信号の進行方向の最下流のカプラから2分岐出力された位相調整後の光信号のパワー量を検出する検出部と、
前記検出部にて検出された前記パワー量に基づき、前記一対の導波路の各移相器を制御する制御部と、を有し、
前記検出部は、
現在の位相量に第1の位相量を加算して設定した場合の前記検出部にて検出された、前記最下流のカプラの出力正転ポートからの光タップで検出された前記光信号の第1のパワー量と、前記現在の位相量から第2の位相量を減算して設定した場合の前記出力正転ポートからの前記光タップで検出された前記光信号の第2のパワー量とを検出し、
前記制御部は、
前記第1のパワー量と前記第2のパワー量との比較結果に基づき、前記光タップで検出された前記パワー量が増加する方向に、前記一対の導波路の各移相器を制御することを特徴とする光通信素子。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1のパワー量と前記第2のパワー量との比較結果に基づき、前記光タップで検出された前記パワー量が増加する方向に透過スペクトルの位相量をシフトすべく、前記一対の導波路の各移相器を制御することを特徴とする請求項
3に記載の光通信素子。
【請求項5】
前記制御部は、
前記一対の導波路毎に異なるタイミングで当該一対の導波路の各移相器を制御することを特徴とする請求項1に記載の光通信素子。
【請求項6】
前記一対の導波路の内、前記光信号の進行方向に流れる上流側の前記一対の導波路から異なるタイミングで当該一対の導波路の各移相器を制御することを特徴とする請求項
5に記載の光通信素子。
【請求項7】
入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上のカプラと、
前記カプラ間を接続し、一方のカプラから2分岐出力された各光信号を他方のカプラに出力する一対の導波路と、
前記導波路を通過する各光信号の位相量を調整する、当該導波路毎に備えた移相器と、
前記3個以上のカプラの内、前記光信号の進行方向の最下流のカプラから2分岐出力された位相調整後の光信号のパワー量を検出する検出部と、
前記検出部にて検出された前記パワー量に基づき、前記一対の導波路の各移相器を制御する制御部と、を有し、
前記3個以上のカプラと、前記カプラ間に接続された一対の導波路と、前記導波路毎に備えた前記移相器とを有する可変カプラを有し、
前記検出部は、
前記可変カプラ内の前記最下流のカプラから分岐出力された前記位相調整後の光信号のパワー量を検出し、
前記制御部は、
前記検出部にて検出された前記パワー量に基づき、前記一対の導波路毎に異なるタイミングで、当該一対の導波路内の各移相器を制御することを特徴とする光通信素子。
【請求項8】
複数の可変カプラをツリー構造に接続し、
前記制御部は、
前記複数の可変カプラの内、前記光信号の進行方向に流れる上流側の可変カプラから、当該可変カプラ内の複数の一対の導波路の内、上流側の一対の導波路の各移相器を順次制御することを特徴とする請求項
7に記載の光通信素子。
【請求項9】
前記光通信素子は、
シリコン光集積回路で構成することを特徴とする請求項1に記載の光通信素子。
【請求項10】
第1の光源と、
第2の光源と、
前記第1の光源からの第1の光信号をデータ信号で光変調することで、垂直偏波の第1の光信号及び水平偏波の第1の光信号を生成する第1の光変調部と、
前記第2の光源からの第2の光信号をデータ信号で光変調することで、垂直偏波の第2の光信号及び水平偏波の第2の光信号を生成する第2の光変調部と、
前記第1の光変調部からの前記垂直偏波の第1の光信号と前記第2の光変調部からの前記垂直偏波の第2の光信号とを合波する第1のWDM(Wavelength Division Multiplexing)部と、
前記第2の光変調部からの前記水平偏波の第1の光信号と前記第2の光変調部からの前記水平偏波の第2の光信号とを合波する第2のWDM部と、
前記第1のWDM部で合波した前記垂直偏波の光信号と、前記第2のWDM部で合波した前記水平偏波の光信号とを合波するPBC(Polarization Beam Combiner)と
を有し、
前記第1のWDM部及び前記第2のWDM部は、
入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上のカプラと、
前記カプラ間を接続し、一方のカプラから2分岐出力された各光信号を他方のカプラに出力する一対の導波路と、
前記導波路を通過する各光信号の位相量を調整する、当該導波路毎に備えた移相器と、
前記3個以上のカプラの内、前記光信号の進行方向の最下流のカプラから2分岐出力された位相調整後の光信号のパワー量を検出する検出部と、
前記検出部にて検出された前記パワー量に基づき、前記一対の導波路の各移相器を制御する制御部と
を有することを特徴とする光送信器。
【請求項11】
前記第1の光源と前記第1の光変調部との間に配置され、前記第1の光源からの前記第1の光信号を増幅し、増幅後の前記第1の光信号を前記第1の光変調部に出力する第1の光増幅部と、
前記第2の光源と前記第2の光変調部との間に配置され、前記第2の光源からの前記第2の光信号を増幅し、増幅後の前記第2の光信号を前記第2の光変調部に出力する第2の光増幅部とを有することを特徴とする請求項
10に記載の光送信器。
【請求項12】
前記第1の光変調部と前記第1のWDM部との間に配置され、前記第1の光変調部からの前記垂直偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記垂直偏波の第1の光信号を前記第1のWDM部に出力する第1の光増幅部と、
前記第1の光変調部と前記第2のWDM部との間に配置され、前記第1の光変調部からの前記水平偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記水平偏波の第1の光信号を前記第2のWDM部に出力する第2の光増幅部と、
前記第2の光変調部と前記第1のWDM部との間に配置され、前記第2の光変調部からの前記垂直偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記垂直偏波の第1の光信号を前記第1のWDM部に出力する第3の光増幅部と、
前記第2の光変調部と前記第2のWDM部との間に配置され、前記第2の光変調部からの前記水平偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記水平偏波の第1の光信号を前記第2のWDM部に出力する第4の光増幅部とを有することを特徴とする請求項
10に記載の光送信器。
【請求項13】
前記第1のWDM部と前記PBCとの間に配置され、前記第1のWDM部から合波後の前記垂直偏波の光信号を増幅し、増幅後の前記垂直偏波の光信号を前記PBCに出力する第1の光増幅部と、
前記第2のWDM部と前記PBCとの間に配置され、前記第2のWDM部から合波後の前記水平偏波の光信号を増幅し、増幅後の前記水平偏波の光信号を前記PBCに出力する第2の光増幅部とを有することを特徴とする請求項
10に記載の光送信器。
【請求項14】
前記第1の光源と前記第1の光変調部との間に配置され、前記第1の光源からの前記第1の光信号を増幅し、増幅後の前記第1の光信号を前記第1の光変調部に出力する第1の光増幅部と、
前記第2の光源と前記第2の光変調部との間に配置され、前記第2の光源からの前記第2の光信号を増幅し、増幅後の前記第2の光信号を前記第2の光変調部に出力する第2の光増幅部と、
前記第1の光変調部と前記第1のWDM部との間に配置され、前記第1の光変調部からの前記垂直偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記垂直偏波の第1の光信号を前記第1のWDM部に出力する第3の光増幅部と、
前記第1の光変調部と前記第2のWDM部との間に配置され、前記第1の光変調部からの前記水平偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記水平偏波の第1の光信号を前記第2のWDM部に出力する第4の光増幅部と、
前記第2の光変調部と前記第1のWDM部との間に配置され、前記第2の光変調部からの前記垂直偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記垂直偏波の第1の光信号を前記第1のWDM部に出力する第5の光増幅部と、
前記第2の光変調部と前記第2のWDM部との間に配置され、前記第2の光変調部からの前記水平偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記水平偏波の第1の光信号を前記第2のWDM部に出力する第6の光増幅部とを有することを特徴とする請求項
10に記載の光送信器。
【請求項15】
多波長光源と、
多波長光源からの多波長光信号から第1の光信号及び第2の光信号を分波する光分波部と、
前記光分波部からの第1の光信号をデータ信号で光変調することで、垂直偏波の第1の光信号及び水平偏波の第1の光信号を生成する第1の光変調部と、
前記光分波部からの第2の光信号をデータ信号で光変調することで、垂直偏波の第2の光信号及び水平偏波の第2の光信号を生成する第2の光変調部と、
前記第1の光変調部からの前記垂直偏波の第1の光信号と前記第2の光変調部からの前記垂直偏波の第2の光信号とを合波する第1のWDM(Wavelength Division Multiplexing)部と、
前記第2の光変調部からの前記水平偏波の第1の光信号と前記第2の光変調部からの前記水平偏波の第2の光信号とを合波する第2のWDM部と、
前記第1のWDM部で合波した前記垂直偏波の光信号と、前記第2のWDM部で合波した前記水平偏波の光信号とを合波するPBC(Polarization Beam Combiner)と
を有し、
前記第1のWDM部及び前記第2のWDM部は、
入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上のカプラと、
前記カプラ間を接続し、一方のカプラから2分岐出力された各光信号を他方のカプラに出力する一対の導波路と、
前記導波路を通過する各光信号の位相量を調整する、当該導波路毎に備えた移相器と、
前記3個以上のカプラの内、前記光信号の進行方向の最下流のカプラから2分岐出力された位相調整後の光信号のパワー量を検出する検出部と、
前記検出部にて検出された前記パワー量に基づき、前記一対の導波路の各移相器を制御する制御部と
を有することを特徴とする光送信器。
【請求項16】
前記多波長光源と前記光分波部との間に配置され、前記多波長光源からの前記多波長光信号を増幅し、増幅後の前記多波長光信号を前記光分波部に出力する光増幅部を有することを特徴とする請求項
15に記載の光送信器。
【請求項17】
前記光分波部と前記第1の光変調部との間に配置され、前記光分波部からの前記第1の光信号を増幅し、増幅後の前記第1の光信号を前記第1の光変調部に出力する第1の光増幅部と、
前記光分波部と前記第2の光変調部との間に配置され、前記光分波部からの前記第2の光信号を増幅し、増幅後の前記第2の光信号を前記第2の光変調部に出力する第2の光増幅部とを有することを特徴とする請求項
15に記載の光送信器。
【請求項18】
前記光分波部と前記第1の光変調部との間に配置され、前記光分波部からの前記第1の光信号を増幅し、増幅後の前記第1の光信号を前記第1の光変調部に出力する第1の光増幅部と、
前記光分波部と前記第2の光変調部との間に配置され、前記光分波部からの前記第2の光信号を増幅し、増幅後の前記第2の光信号を前記第2の光変調部に出力する第2の光増幅部と、
前記第1の光変調部と前記第1のWDM部との間に配置され、前記第1の光変調部からの前記垂直偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記垂直偏波の第1の光信号を前記第1のWDM部に出力する第3の光増幅部と、
前記第1の光変調部と前記第2のWDM部との間に配置され、前記第1の光変調部からの前記水平偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記水平偏波の第1の光信号を前記第2のWDM部に出力する第4の光増幅部と、
前記第2の光変調部と前記第1のWDM部との間に配置され、前記第2の光変調部からの前記垂直偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記垂直偏波の第1の光信号を前記第1のWDM部に出力する第5の光増幅部と、
前記第2の光変調部と前記第2のWDM部との間に配置され、前記第2の光変調部からの前記水平偏波の第1の光信号を増幅し、増幅後の前記水平偏波の第1の光信号を前記第2のWDM部に出力する第6の光増幅部とを有することを特徴とする請求項
15に記載の光送信器。
【請求項19】
前記多波長光源は、
単一波長光源と、
前記単一波長光源からの光信号を位相変調して、前記第1の光信号又は前記第2の光信号を生成する位相変調器と
を有することを特徴とする請求項
15に記載の光送信器。
【請求項20】
前記多波長光源は、
単一波長光源と、
前記単一波長光源からの光信号を位相変調して、前記第1の光信号又は前記第2の光信号を生成する共鳴型位相変調器と
を有することを特徴とする請求項
15に記載の光送信器。
【請求項21】
前記多波長光源からの多波長光信号から第1の光信号及び第2の光信号を分波する他の光分波部と、
前記他の光分波部からの第1の光信号で受信光を干渉し、当該受信光からデータ信号を復調する第1の復調部と、
前記他の光分波部からの第2の光信号で受信光を干渉し、当該受信光からデータ信号を復調する第2の復調部と
を有することを特徴とする請求項
15に記載の光送信器。
【請求項22】
前記光分波部からの第1の光信号で受信光を干渉し、当該受信光からデータ信号を復調する第1の復調部と、
前記光分波部からの第2の光信号で受信光を干渉し、当該受信光からデータ信号を復調する第2の復調部と
を有することを特徴とする請求項
15に記載の光送信器。
【請求項23】
入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上のカプラと、
前記カプラ間を接続し、一方のカプラから2分岐出力された各光信号を他方のカプラに出力する一対の導波路と、
前記導波路を通過する各光信号の位相量を調整する、当該導波路毎に備えた移相器とを有する光通信素子が、
前記3個以上のカプラの内、前記光信号の進行方向の最下流のカプラから2分岐出力された位相調整後の光信号のパワー量を検出し、
検出された前記パワー量に基づき、前記一対の導波路の各移相器を制御
し、
前記光信号のパワー量を検出する処理として、
現在の位相量に第1の位相量を加算して設定した場合における前記最下流のカプラの出力反転ポートからの前記光信号の第1のパワー量と、前記現在の位相量から第2の位相量を減算して設定した場合における前記出力反転ポートからの前記光信号の第2のパワー量とを検出し、
前記一対の導波路の各移相器を制御する処理として、
前記第1のパワー量と前記第2のパワー量との比較結果に基づき、検出された前記パワー量が減少する方向に、前記一対の導波路の各移相器を制御する
処理を実行することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信素子、光送信器及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信素子は、例えば、光変調部や受光素子等を1個のシリコン光集積回路に搭載することで、小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-80109号公報
【文献】特開2008-209955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコン光集積回路内のシリコン導波路では、高屈折率材料のコアと、低屈折率材料のクラッドとを有する。シリコン導波路では、コアとクラッドとの間の屈折率のコントラストが大きいため、導波路を伝播する光の平均的な屈折率である等価屈折率の変化が導波路のコアの揺らぎに大きく影響する。導波路のコアの揺らぎによってWDM(Wavelength Division Multiplexing)部内の干渉計の特性にバラツキが生じる。その結果、WDM部での導波路毎の信号に位相バラツキが生じる。従って、WDM部をシリコン光集積回路で実現するのは困難である。
【0005】
図23Aは、従来のWDM部の理想の合波特性の一例を示す説明図、
図23Bは、従来のWDM部の実際の合波特性の一例を示す説明図である。
図23Aに示すλ1P~λ4Pの特性は、WDM部の出力であるλ1~λ4の光信号の出力パワーの設計時の理想の出力特性である。
図23Aに示すλ1P~λ4Pは、λ1の光信号の出力パワーλ1P、λ2の光信号の出力パワーλ2P、λ3の光信号の出力パワーλ3P及びλ4の光信号の出力パワーλ4Pである。これに対して、
図23Bに示すλ1P~λ4Pの特性は、WDM部の出力であるλ1~λ4の光信号の出力パワーの実際の出力特性である。
図23Bに示すλ1P~λ4Pは、λ1の光信号の出力パワーλ1P、λ2の光信号の出力パワーλ2P、λ3の光信号の出力パワーλ3P及びλ4の光信号の出力パワーλ4Pである。
図23Aに示す理想の特性と
図23Bに示す実際の特性とを比較した場合、WDM部の導波路毎の信号に位相バラツキが生じる。
【0006】
また、シリコン光集積回路に限らず、WDM部では、導波路毎の信号に位相バラツキが生じるものの、シリコン光集積回路で実現するWDM部では、その導波路毎の信号の位相バラツキが顕著に表れる。
【0007】
一つの側面では、導波路毎の信号の位相バラツキを改善できる光通信素子等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの態様の光通信素子は、少なくとも3個以上のカプラと、一対の導波路と、移相器と、検出部と、制御部とを有する。カプラは、入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する。一対の導波路は、カプラ間を接続し、一方のカプラから2分岐出力された各光信号を他方のカプラに出力する。移相器は、導波路毎に備え、導波路を通過する光信号の位相量を調整する。検出部は、複数のカプラの内、光信号の進行方向の最下流のカプラから2分岐出力された位相調整後の光信号のパワー量を検出する。制御部は、検出部にて検出されたパワー量に基づき、一対の導波路の各移相器を制御する。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面によれば、導波路毎の信号の位相バラツキを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施例の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、WDM部の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、導波路対の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、個別位相調整処理の処理タイミングの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、全体位相調整処理に関わる制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の個別位相調整処理に関わる制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、位相調整前のWDM部の合波特性の一例を示す説明図である。
【
図7B】
図7Bは、位相調整後のWDM部の合波特性の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、個別位相調整処理の他の処理タイミングの一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施例2のWDM部の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、第2の個別位相調整処理に関わる制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施例3の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施例4の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施例5の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施例6の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施例7の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、実施例8の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、実施例9の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図18】
図18は、実施例10の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、実施例11の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図20】
図20は、実施例12の光送信器の一例を示すブロック図である。
【
図21】
図21は、実施例13の光送受信器の一例を示すブロック図である。
【
図22】
図22は、実施例14の光送受信器の一例を示すブロック図である。
【
図23A】
図23Aは、従来のWDM部の理想の合波特性の一例を示す説明図である。
【
図23B】
図23Bは、従来のWDM部の実際の合波特性の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光通信素子等の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0012】
図1は、本実施例の光送信器1の一例を示すブロック図である。
図1に示す光送信器1は、4個の光源2と、4個の光変調部3と、2個のWDM(Wavelength Division Multiplexing)部4と、PBC(Polarization Beam Combiner)5とを有する。4個の光源2は、例えば、第1の光源2A、第2の光源2B、第3の光源2C及び第4の光源2Dである。第1の光源2Aは、例えば、λ1の光信号を発光する。第2の光源2Bは、例えば、λ2の光信号を発光する。第3の光源2Cは、例えば、λ3の光信号を発光する。第4の光源2Dは、例えば、λ4の光信号を発光する。尚、λ1~λ4の光信号は、異なる波長の光信号である。4個の光変調部3は、例えば、第1の光変調部3A、第2の光変調部3B、第3の光変調部3C及び第4の光変調部3Dである。第1の光変調部3Aは、第1の光源2Aからのλ1の光信号をデータ信号で光変調する。第2の光変調部3Bは、第2の光源2Bからのλ2の光信号をデータ信号で光変調する。第3の光変調部3Cは、第3の光源2Cからのλ3の光信号をデータ信号で光変調する。第4の光変調部3Dは、第4の光源2Dからのλ4の光信号をデータ信号で光変調する。
【0013】
第1の光変調部3Aは、データ変調部11と、DAC12と、2個の変調器13とを有する。尚、説明の便宜上、第1の光変調部3Aの内部構成を例示するが、第2の光変調部3B、第3の光変調部3C及び第4の光変調部3Dの内部構成も第1の光変調部3Aの内部構成と同一である。従って、同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。データ変調部11は、データ信号を変調する。DAC(Digital Analogue Convertor)12は、データ変調部11にて変調されたデータ信号をアナログ変換する。
【0014】
2個の変調器13は、例えば、第1の変調器13A及び第2の変調器13Bを有する、例えば、MZ(マッハツェンダ)干渉器である。第1の変調器13Aは、アナログ変換後のデータ信号で第1の光源2Aからのλ1の光信号を光変調し、光変調後のλ1の水平偏波の光信号を出力する。第2の変調器13Bは、アナログ変換後のデータ信号で第1の光源2Aからのλ1の光信号を光変調し、光変調後のλ1の垂直偏波の光信号を出力する。
【0015】
2個のWDM部4は、多段接続非対称MZ干渉計型の合波器である。2個のWDM部4は、例えば、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4B等の光通信素子である。第1のWDM部4Aは、複数のMZ干渉器を相互に接続することで構成する。第1のWDM部4Aは、光変調後のλ1の水平偏波の光信号と、光変調後のλ2の水平偏波の光信号と、光変調後のλ3の水平偏波の光信号と、光変調後のλ4の水平偏波の光信号とを合波する。
【0016】
第2のWDM部4Bは、複数のMZ干渉器を相互に接続することで構成する。第2のWDM部4Bは、光変調後のλ1の垂直偏波の光信号と、光変調後のλ2の垂直偏波の光信号と、光変調後のλ3の垂直偏波の光信号と、光変調後のλ4の垂直偏波の光信号とを合波する。
【0017】
PBC5は、第1のWDM部4Aからのλ1+λ2+λ3+λ4の水平偏波の光信号と、第2のWDM部4Bからのλ1+λ2+λ3+λ4の垂直偏波の光信号とを合波出力する。
【0018】
図2は、第1のWDM部4Aの一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、第1のWDM部4Aの内部構成を例示するが、第2のWDM部4Bも同一の構成であるため、同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0019】
図2に示す第1のWDM部4Aは、3個の可変カプラ21と、3個の検出部22と、制御部23とを有する。3個の可変カプラ21は、例えば、第1の可変カプラ21A、第2の可変カプラ21B及び第3の可変カプラ21Cである。第1の可変カプラ21Aは、λ1の光信号とλ2の光信号とを合波し、合波後のλ1+λ2の光信号を出力正転ポート及び出力反転ポートに分岐出力する。第1の可変カプラ21A内の出力正転ポートは第3の可変カプラ21Cに接続し、出力反転ポートは後述する第1の検出部22Aに接続する。第2の可変カプラ21Bは、λ3の光信号とλ4の光信号とを合波し、合波後のλ3+λ4の光信号を出力正転ポート及び出力逆転ポートに分岐出力する。第2の可変カプラ21B内の出力正転ポートは第3の可変カプラ21Cに接続し、出力反転ポートは後述する第2の検出部22Bに接続する。第3の可変カプラ21Cは、第1の可変カプラ21Aからの合波後のλ1+λ2の光信号と第2の可変カプラ21Bからの合波後のλ3+λ4の光信号とを合波し、合波後のλ1+λ2+λ3+λ4の光信号を出力正転ポート又は出力逆転ポートに分岐出力する。第3の可変カプラ21C内の出力正転ポートは出力に接続し、出力反転ポートは後述する第3の検出部22Cに接続する。
【0020】
3個の検出部22は、例えば、第1の検出部22A、第2の検出部22B及び第3の検出部22Cである。検出部22は、例えば、Geフォトダイオードである。第1の検出部22Aは、第1の可変カプラ21Aから分岐出力された出力反転ポートからの合波後のλ1+λ2の光信号のパワー量を検出する。第2の検出部22Bは、第2の可変カプラ21Bから分岐出力された出力反転ポートからの合波後のλ3+λ4の光信号のパワー量を検出する。第3の検出部22Cは、第3の可変カプラ21Cから分岐出力された出力反転ポートからの合波後のλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量を検出する。
【0021】
第1の可変カプラ21Aは、入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上の2×2型の固定カプラ31を有する。第1の可変カプラ21Aは、例えば、4個の固定カプラ31と、3個の導波路対32と、3個のヒータ制御部33とを有する。4個の固定カプラ31は、例えば、第1の固定カプラ31A、第2の固定カプラ31B、第3の固定カプラ31C及び第4の固定カプラ31Dである。第1の固定カプラ31Aは、第1の可変カプラ21A内の複数の固定カプラ31の内、光進行方向の最上流の固定カプラ31である。第2の固定カプラ31Bは、第1の可変カプラ21A内の複数の固定カプラ31の内、2番目に上流の固定カプラ31である。第3の固定カプラ31Cは、第1の可変カプラ21A内の複数の固定カプラ31の内、3番目に上流の固定カプラ31である。第4の固定カプラ31Dは、第1の可変カプラ21A内の複数の固定カプラ31の内、4番目に上流(最下流)の固定カプラ31である。第4の固定カプラ31Dは、λ1+λ2の光信号を第1の検出部22A及び第1の可変カプラ21Aの出力として第3の可変カプラ21C内の第1の固定カプラ31Aに分岐出力する。
【0022】
3個の導波路対32は、例えば、第1の導波路対32A、第2の導波路対32B及び第3の導波路対32Cである。
図3は、第1の導波路対32Aの一例を示す説明図である。
図3に示す第1の導波路対32は、第1の固定カプラ31Aと第2の固定カプラ31Bとの間を接続する一対の導波路35を有し、第1の可変カプラ21A内の複数の導波路対32の内、光進行方向の最上流の導波路対32である。尚、一対の導波路35は、例えば、シリコン導波路である。第2の導波路対32Bは、第2の固定カプラ31Bと第3の固定カプラ31Cとの間を接続する一対の導波路35を有し、第1の可変カプラ21A内の複数の導波路対32の内、2番目に上流の導波路対32である。第3の導波路対32Cは、第3の固定カプラ31Cと第4の固定カプラ31Dとの間を接続する一対の導波路35を有し、第1の可変カプラ21A内の複数の導波路対32の内、3番目に上流(最下流)の導波路対32である。
【0023】
一対の導波路35は、例えば、第1の導波路35A及び第2の導波路35Bである。第1の導波路35Aには、第1の移相器である第1のヒータ部34Aを有する。第2の導波路35Bには、第2の移相器である第2のヒータ部34Bを有する。
【0024】
第1の可変カプラ21Aは、少なくとも2個以上、例えば、3個のMZ干渉器で構成し、最上流のMZ干渉器は、例えば、第1の固定カプラ31Aと、第1の導波路対32Aと、第2の固定カプラ31Bとで構成する。更に、2番目に上流のMZ干渉器は、例えば、第2の固定カプラ31Bと、第2の導波路対32Bと、第3の固定カプラ31Cとで構成する。更に、最下流のMZ干渉器は、例えば、第3の固定カプラ31Cと、第3の導波路対32Cと、第4の固定カプラ31Dとで構成する。
【0025】
3個のヒータ制御部33は、例えば、第1のヒータ制御部33A、第2のヒータ制御部33B及び第3のヒータ制御部33Cである。ヒータ制御部33は、例えば、CMOS電子回路等である。第1のヒータ制御部33Aは、第1の可変カプラ21A内の第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。ヒータ量を調整することで透過スペクトルの位相量が変化する。第1のヒータ部34Aのヒータ量は、第1のヒータ部34Aのヒータ抵抗値RHeaterと、第1のヒータ部34Aへの電圧VUpperとを用いて、VUpper2/RHeaterで算出する第1のヒータ部34Aのヒータ電力量PUpperである。第2のヒータ部34Bのヒータ量は、第2のヒータ部34Bのヒータ抵抗値RHeaterと、第2のヒータ部34Bへの電圧VLowerとを用いて、VLower2/RHeaterで算出する第2のヒータ部34Bのヒータ電力量PLowerである。尚、第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bは、少なくともどちらか一方のヒータ量を調整することで、第1の導波路35Aを通過する光信号と第2の導波路35Bを通過する光信号との間で位相差が生じ、位相差に応じて出力光の光強度が変化する。その結果、出力光の光強度の変化に応じて任意の比率で出力光を分配する。
【0026】
第2のヒータ制御部33Bは、第1の可変カプラ21A内の第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第3のヒータ制御部33Cは、第1の可変カプラ21A内の第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第1の検出部22Aは、第1の可変カプラ21A内の最下流である4番目に上流の第4の固定カプラ21Dで第1の検出部22A側に分岐出力された出力反転ポートのλ1+λ2の光信号のパワー量を検出する。
【0027】
第1の可変カプラ21A内の第1のヒータ制御部33Aは、第1の検出部22Aで検出したλ1+λ2の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第1のヒータ制御部33Aは、ヒータ量を増加させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第1の検出部22Aへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力は出力反転ポート、他方の分岐出力は出力正転ポートである。第1のヒータ制御部33Aは、第1の検出部22Aで検出したλ1+λ2の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第1の導波路対32Aの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第1のヒータ制御部33Aは、ヒータ量を減少させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第1の検出部22Aへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0028】
第1の可変カプラ21A内の第2のヒータ制御部33Bは、第1の検出部22Aで検出したλ1+λ2の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第2のヒータ制御部33Bは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第1の検出部22Aへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力は出力反転ポート、他方の分岐出力は出力正転ポートである。第2のヒータ制御部33Bは、第1の検出部22Aで検出したλ1+λ2の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第2の導波路対32Bの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第2のヒータ制御部33Bは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第1の検出部22Aへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0029】
第1の可変カプラ21A内の第3のヒータ制御部33Cは、第1の検出部22Aで検出したλ1+λ2の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第3のヒータ制御部33Cは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第1の検出部22Aへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力は出力反転ポート、他方の分岐出力は出力正転ポートである。第3のヒータ制御部33Cは、第1の検出部22Aで検出したλ1+λ2の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第3の導波路対32Cの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第3のヒータ制御部33Cは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第1の検出部22Aへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0030】
制御部23は、第1の可変カプラ21A内の第1のヒータ制御部33A→第2のヒータ制御部33B→第3のヒータ制御部33Cの順序で光進行方向の上流から個別位相調整処理を順次実行する。その結果、第1の可変カプラ21Aの導波路毎の信号の位相バラツキを改善することで、第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加できる。
【0031】
第2の可変カプラ21Bは、入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上の2×2型の固定カプラ31を有する。第2の可変カプラ21Bは、例えば、4個の固定カプラ31と、3個の導波路対32と、3個のヒータ制御部33とを有する。4個の固定カプラ31は、例えば、第1の固定カプラ31A、第2の固定カプラ31B、第3の固定カプラ31C及び第4の固定カプラ31Dである。第1の固定カプラ31Aは、第2の可変カプラ21B内の複数の固定カプラ31の内、光進行方向の最上流の固定カプラ31である。第2の固定カプラ31Bは、第2の可変カプラ21B内の複数の固定カプラ31の内、2番目に上流の固定カプラ31である。第3の固定カプラ31Cは、第2の可変カプラ21B内の複数の固定カプラ31の内、3番目に上流の固定カプラ31である。第4の固定カプラ31Dは、第2の可変カプラ21B内の複数の固定カプラ31の内、4番目に上流(最下流)の固定カプラ31である。第4の固定カプラ31Dは、λ3+λ4の光信号を第2の検出部22B及び第2の可変カプラ21Bの出力として第3の可変カプラ21C内の第1の固定カプラ31Aに分岐出力する。
【0032】
3個の導波路対32は、例えば、第1の導波路対32A、第2の導波路対32B及び第3の導波路対32Cである。第1の導波路対32Aは、第1の固定カプラ31Aと第2の固定カプラ31Bとの間を接続する一対の導波路35を有し、第2の可変カプラ21B内の複数の導波路対32の内、光進行方向の最上流の導波路対32である。第2の導波路対32Bは、第2の固定カプラ31Bと第3の固定カプラ31Cとの間を接続する一対の導波路35を有し、第2の可変カプラ21B内の複数の導波路対32の内、2番目に上流の導波路対32である。第3の導波路対32Cは、第2の可変カプラ21B内の複数の導波路対32の内、3番目に上流(最下流)の導波路対32である。
【0033】
一対の導波路35は、例えば、第1の導波路35A及び第2の導波路35Bである。第1の導波路35Aには、第1の移相器である第1のヒータ部34Aを有する。第2の導波路35Bには、第2の移相器である第2のヒータ部34Bを有する。
【0034】
第2の可変カプラ21Bは、少なくとも2個以上、例えば、3個のMZ干渉器で構成し、最上流のMZ干渉器は、例えば、第1の固定カプラ31Aと、第1の導波路対32Aと、第2の固定カプラ31Bとで構成する。更に、2番目に上流のMZ干渉器は、例えば、第2の固定カプラ31Bと、第2の導波路対32Bと、第3の固定カプラ31Cとで構成する。更に、最下流のMZ干渉器は、例えば、第3の固定カプラ31Cと、第3の導波路対32Cと、第4の固定カプラ31Dとで構成する。
【0035】
3個のヒータ制御部33は、例えば、第1のヒータ制御部33A、第2のヒータ制御部33B及び第3のヒータ制御部33Cである。第1のヒータ制御部33Aは、第2の可変カプラ21B内の第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第2のヒータ制御部33Bは、第2の可変カプラ21B内の第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第3のヒータ制御部33Cは、第2の可変カプラ21B内の第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第2の検出部22Bは、第2の可変カプラ21B内の最下流である4番目に上流の第4の固定カプラ31Dで第2の検出部22B側に分岐出力された出力反転ポートのλ3+λ4の光信号のパワー量を検出する。
【0036】
第2の可変カプラ21B内の第1のヒータ制御部33Aは、第2の検出部22Bで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第1のヒータ制御部33Aは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第2の検出部22Bへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第2の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第1のヒータ制御部33Aは、第2の検出部22Bで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第1の導波路対32Aの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第1のヒータ制御部33Aは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第2の検出部22Bへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0037】
第2の可変カプラ21B内の第2のヒータ制御部33Bは、第2の検出部22Bで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第2のヒータ制御部33Bは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第2の検出部22Bへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第2のヒータ制御部33Bは、第2の検出部22Bで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第2の導波路対32Bの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第2のヒータ制御部33Bは、ヒータ量を変化させるために透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第2の検出部22Bへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0038】
第2の可変カプラ21B内の第3のヒータ制御部33Cは、第2の検出部22Bで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第3のヒータ制御部33Cは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第2の検出部22Bへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第3のヒータ制御部33Cは、第2の検出部22Bで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第3の導波路対32Cの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第3のヒータ制御部33Cは、ヒータ量を変化させるために透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第2の検出部22Bへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0039】
制御部23は、第2の可変カプラ21B内の第1のヒータ制御部33A→第2のヒータ制御部33B→第3のヒータ制御部33Cの順序で光進行方向の上流から個別位相調整処理を順次実行する。その結果、第2の可変カプラ21Bの導波路毎の信号の位相バラツキを改善することで、第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加できる。
【0040】
第3の可変カプラ21Cは、入力された2本の光信号を合波すると共に、合波後の光信号を2分岐出力する、少なくとも3個以上の2×2型の固定カプラ31を有する。第3の可変カプラ21Cは、例えば、4個の固定カプラ31と、3個の導波路対32と、3個のヒータ制御部33とを有する。4個の固定カプラ31は、例えば、第1の固定カプラ31A、第2の固定カプラ31B、第3の固定カプラ31C及び第4の固定カプラ31Dである。第1の固定カプラ31Aは、第3の可変カプラ21C内の複数の固定カプラ31の内、光進行方向の最上流の固定カプラ31である。第2の固定カプラ31Bは、第3の可変カプラ21C内の複数の固定カプラ31の内、2番目に上流の固定カプラ31である。第3の固定カプラ31Cは、第3の可変カプラ21C内の複数の固定カプラ31の内、3番目に上流の固定カプラ31である。第4の固定カプラ31Dは、第3の可変カプラ21C内の複数の固定カプラ31の内、4番目に上流(最下流)の固定カプラ31である。第4の固定カプラ31Dは、λ1+λ2+λ3+λ4の光信号を第3の検出部22C及び第3の可変カプラ21Cの出力段に分岐出力する。
【0041】
3個の導波路対32は、例えば、第1の導波路対32A、第2の導波路対32B及び第3の導波路対32Cである。第1の導波路対32Aは、第1の固定カプラ31Aと第2の固定カプラ31Bとの間を接続する一対の導波路35を有し、第3の可変カプラ21C内の複数の導波路対32の内、光進行方向の最上流の導波路対32である。第2の導波路対32Bは、第2の固定カプラ31Bと第3の固定カプラ31Cとの間を接続する一対の導波路35を有し、第3の可変カプラ21C内の複数の導波路対32の内、2番目に上流の導波路対32である。第3の導波路対32Cは、第3の可変カプラ21C内の複数の導波路対32の内、3番目に上流(最下流)の導波路対32である。
【0042】
一対の導波路35は、例えば、第1の導波路35A及び第2の導波路35Bである。第1の導波路35Aには、第1の移相器である第1のヒータ部34Aを有する。第2の導波路35Bには、第2の移相器である第2のヒータ部34Bを有する。
【0043】
第3の可変カプラ21Cは、少なくとも2個以上、例えば、3個のMZ干渉器で構成し、最上流のMZ干渉器は、例えば、第1の固定カプラ31Aと、第1の導波路対32Aと、第2の固定カプラ31Bとで構成する。更に、2番目に上流のMZ干渉器は、例えば、第2の固定カプラ31Bと、第2の導波路対32Bと、第3の固定カプラ31Cとで構成する。更に、最下流のMZ干渉器は、例えば、第3の固定カプラ31Cと、第3の導波路対32Cと、第4の固定カプラ31Dとで構成する。
【0044】
3個のヒータ制御部33は、例えば、第1のヒータ制御部33A、第2のヒータ制御部33B及び第3のヒータ制御部33Cである。第1のヒータ制御部33Aは、第3の可変カプラ21C内の第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第2のヒータ制御部33Bは、第3の可変カプラ21C内の第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第3のヒータ制御部33Cは、第3の可変カプラ21C内の第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第3の検出部22Cは、第3の可変カプラ21C内の最下流である4番目に上流の第4の固定カプラ31Dで第3の検出部22C側に分岐出力された出力反転ポートのλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量を検出する。
【0045】
第3の可変カプラ21C内の第1のヒータ制御部33Aは、第3の検出部22Cで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第1のヒータ制御部33Aは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第3の検出部22Cへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第1のヒータ制御部33Aは、第3の検出部22Cで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第1の導波路対32Aの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。第1のヒータ制御部33Aは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第3の検出部22Cへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0046】
第3の可変カプラ21C内の第2のヒータ制御部33Bは、第3の検出部22Cで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第2のヒータ制御部33Bは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第3の検出部22Cへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第2のヒータ制御部33Bは、第3の検出部22Cで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第2の導波路対32Bの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。第2のヒータ制御部33Bは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第3の検出部22Cへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0047】
第3の可変カプラ21C内の第3のヒータ制御部33Cは、第3の検出部22Cで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第3のヒータ制御部33Cは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第3の検出部22Cへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。第3のヒータ制御部33Cは、第3の検出部22Cで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が最小になるように第3の導波路対32Cの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第3のヒータ制御部33Cは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの一方の分岐出力である第3の検出部22Cへの光信号のパワー量が減少した場合、第4の固定カプラ31Dの他方の分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0048】
制御部23は、第3の可変カプラ21C内の第1のヒータ制御部33A→第2のヒータ制御部33B→第3のヒータ制御部33Cの順序で光進行方向の上流から個別位相調整処理を順次実行する。その結果、第3の可変カプラ21Cの導波路毎の信号の位相バラツキを改善することで、第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加できる。そして、制御部23は、第1の可変カプラ21A→第2の可変カプラ21B→第3の可変カプラ21Cの順序で光進行方向の上流から個別位相調整処理を順次実行する。その結果、WDM部4の導波路毎の信号の位相バラツキを改善することで、WDM部4の出力段の光信号のパワー量を増加できる。
【0049】
図4は、個別位相調整処理の処理タイミングの一例を示す説明図である。個別位相調整処理の処理順序は、第1の可変カプラ21A内の第1のヒータ制御部33Aの処理A、第1の可変カプラ21A内の第2のヒータ制御部33Bの処理B、第1の可変カプラ21A内の第3のヒータ制御部33Cの処理Cの順である。続いて、処理順序は、第2の可変カプラ21B内の第1のヒータ制御部33Aの処理D、第2の可変カプラ21B内の第2のヒータ制御部33Bの処理E、第2の可変カプラ21B内の第3のヒータ制御部33Cの処理Fの順である。続いて、処理順序は、第3の可変カプラ21C内の第1のヒータ制御部33Aの処理G、第3の可変カプラ21C内の第2のヒータ制御部33Bの処理H、第3の可変カプラ21C内の第3のヒータ制御部33Cの処理Iの順である。尚、制御部23は、可変カプラ21毎にヒータ制御部33毎の個別位相処理を実行した後、可変カプラ21のヒータ制御部33の導波路対32に対応した位相調整処理の実行済みフラグをセットする。
【0050】
つまり、制御部23は、第1の可変カプラ21A内の第1のヒータ制御部33Aの処理Aを実行した場合、第1の可変カプラ21A内の第1の導波路対32Aの実行済みフラグをセットする。更に、制御部23は、第1の可変カプラ21A内の第2のヒータ制御部33Bの処理Bを実行した場合、第1の可変カプラ21A内の第2の導波路対32Bの実行済みフラグをセットする。更に、制御部23は、第1の可変カプラ21A内の第3のヒータ制御部33Cの処理Cを実行した場合、第1の可変カプラ21A内の第3の導波路対32Cの実行済みフラグをセットする。つまり、制御部23は、第1の可変カプラ21A内の全導波路対32の実行済みフラグのセット内容を参照し、第1の可変カプラ21A内の全ての導波路対32の位相調整処理を実行したことを認識する。
【0051】
更に、制御部23は、第2の可変カプラ21B内の第1のヒータ制御部33Aの処理Dを実行した場合、第2の可変カプラ21B内の第1の導波路対32Aの実行済みフラグをセットする。更に、制御部23は、第2の可変カプラ21B内の第2のヒータ制御部33Bの処理Eを実行した場合、第2の可変カプラ21B内の第2の導波路対32Bの実行済みフラグをセットする。更に、制御部23は、第2の可変カプラ21B内の第3のヒータ制御部33Cの処理Fを実行した場合、第2の可変カプラ21B内の第3の導波路対32Cの実行済みフラグをセットする。つまり、制御部23は、第2の可変カプラ21B内の全導波路対32の実行済みフラグのセット内容を参照し、第2の可変カプラ21B内の全ての導波路対32の位相調整処理を実行したことを認識する。
【0052】
更に、制御部23は、第3の可変カプラ21C内の第1のヒータ制御部33Aの処理Gを実行した場合、第3の可変カプラ21C内の第1の導波路対32Aの実行済みフラグをセットする。更に、制御部23は、第3の可変カプラ21C内の第2のヒータ制御部33Bの処理Hを実行した場合、第3の可変カプラ21C内の第2の導波路対32Bの実行済みフラグをセットする。更に、制御部23は、第3の可変カプラ21C内の第3のヒータ制御部33Cの処理Iを実行した場合、第3の可変カプラ21C内の第3の導波路対32Cの実行済みフラグをセットする。つまり、制御部23は、第3の可変カプラ21C内の全導波路対32の実行済みフラグのセット内容を参照し、第3の可変カプラ21C内の全ての導波路対32の位相調整処理を実行したことを認識する。そして、制御部23は、第3の可変カプラ21C内の第3の導波路対32Cの実行済みフラグをセットした場合、全ての実行済みフラグをリセットする。
【0053】
図5は、全体位相調整処理に関わる制御部23の処理動作の一例を示すフローチャートである。尚、説明の便宜上、位相調整処理の処理タイミングは、第1の可変カプラ21A→第2の可変カプラ21B→第3の可変カプラ21Cの順序とする。
図5において制御部23は、位相調整要求を検出したか否かを判定する(ステップS11)。尚、位相調整要求は、例えば、WDM部4に光信号が入力したタイミングで光送信器1内の図示せぬコントローラが発行する要求である。制御部23は、位相調整要求を検出した場合(ステップS11:Yes)、第1の可変カプラ21Aの位相調整が完了したか否かを判定する(ステップS12)。尚、第1の可変カプラ21Aの位相調整が完了したか否かを判定する処理は、第1の可変カプラ21A内の全ての導波路対32の実行済みフラグがセットされたか否か、若しくは、最下流の第3の導波路対32Cの実行済みフラグがセットされたか否かで判定する。
【0054】
制御部23は、第1の可変カプラ21Aの位相調整が完了した場合(ステップS12:Yes)、第2の可変カプラ21Bの位相調整が完了したか否かを判定する(ステップS13)。尚、第2の可変カプラ21Bの位相調整が完了したか否かを判定する処理は、第2の可変カプラ21B内の全ての導波路対32の実行済みフラグがセットされたか否か、若しくは、最下流の第3の導波路対32Cの実行済みフラグがセットされたか否かで判定する。制御部23は、第2の可変カプラ21Bの位相調整が完了した場合(ステップS13:Yes)、第3の可変カプラ21Cの位相調整が完了したか否かを判定する(ステップS14)。尚、第3の可変カプラ21Cの位相調整が完了したか否かを判定する処理は、第3の可変カプラ21C内の全ての導波路対32の実行済みフラグがセットされたか否か、若しくは、最下流の第3の導波路対32Cの実行済みフラグがセットされたか否かで判定する。
【0055】
制御部23は、第3の可変カプラ21Cの位相調整が完了した場合(ステップS14:Yes)、全ての位相調整処理が完了したものと判断し、実行済みフラグをリセットし(ステップS15)、
図5に示す処理動作を終了する。
【0056】
制御部23は、位相調整要求を検出しなかった場合(ステップS11:No)、
図5に示す処理動作を終了する。制御部23は、第1の可変カプラ21Aの位相調整が完了しなかった場合(ステップS12:No)、個別位相調整処理を実行する(ステップS16)。個別位相調整処理は、導波路対32毎の位相を調整する処理である。制御部23は、個別位相調整処理を実行した後、第1の可変カプラ21A内の位相調整が完了したか否かを判定すべく、ステップS12に移行する。また、制御部23は、第2の可変カプラ21Bの位相調整が完了しなかった場合(ステップS13:No)、又は、第3の可変カプラ21Cの位相調整が完了しなかった場合(ステップS14:No)、個別位相調整処理を実行すべく、ステップS16に移行する。
【0057】
図6は、第1の個別位相調整処理に関わるヒータ制御部33の処理動作の一例を示すフローチャートである。第1の個別位相調整処理は、各可変カプラ21内のヒータ制御部33毎に位相調整を実行する処理である。
図6においてヒータ制御部33は、可変カプラ21内の未指定の導波路対32があるか否かを判定する(ステップS21)。尚、未指定の導波路対32は、位相調整処理が実行済み前の導波路対32である。ヒータ制御部33は、可変カプラ21内の未指定の導波路対32がある場合(ステップS21:Yes)、未指定の導波路対32の内、光進行方向の最上流の導波路対32を指定する(ステップS22)。
【0058】
そして、ヒータ制御部33は、現在のヒータ量を基準ヒータ量に設定し(ステップS23)、基準ヒータ量から所定量増加した第1のヒータ量を第1のヒータ部34Aに設定する(ステップS24)。ヒータ制御部33は、一定時間を経過したか否かを判定する(ステップS25)。尚、一定時間は、ヒータ量が所定量増加するまでの所要時間である。ヒータ制御部33は、一定時間を経過した場合(ステップS25:Yes)、検出部22にて最下流の光信号のパワー量の測定動作を開始する(ステップS26)。尚、最下流の光信号のパワー量は、同一可変カプラ21内の光進行方向の内、最下流の固定カプラ31から分岐出力した光信号のパワー量である。
【0059】
ヒータ制御部33は、検出部22のパワー量の測定動作を開始した後、パワー量の測定が完了したか否かを判定する(ステップS27)。ヒータ制御部33は、測定結果である第1のパワー量を記憶する(ステップS28)。
【0060】
更に、ヒータ制御部33は、基準ヒータ量から所定量減少した第2のヒータ量を第2のヒータ部34Bに設定する(ステップS29)。ヒータ制御部33は、一定時間を経過したか否かを判定する(ステップS30)。尚、一定時間は、ヒータ量が所定量減少するまでの所要時間である。ヒータ制御部33は、一定時間を経過した場合(ステップS30:Yes)、検出部22にて最下流の光信号のパワー量の測定動作を開始する(ステップS31)。尚、最下流の光信号のパワー量は、同一可変カプラ21内の光進行方向の内、最下流の固定カプラ31から分岐出力した光信号のパワー量である。
【0061】
ヒータ制御部33は、検出部22のパワー量の測定動作を開始した後、パワー量の測定が完了したか否かを判定する(ステップS32)。ヒータ制御部33は、測定結果である第2のパワー量を記憶する(ステップS33)。
【0062】
ヒータ制御部33は、第1のパワー量が第2のパワー量未満であるか否かを判定する(ステップS34)。ヒータ制御部33は、第1のパワー量が第2のパワー量未満の場合(ステップS34:Yes)、パワー量が減少する方向に透過スペクトルの位相を増加方向にシフトすべく、第1のヒータ量を第1のヒータ部34Aに設定する(ステップS35)。その結果、WDM部4は、透過スペクトルの位相が増加方向にシフトすることで、可変カプラ21から分岐出力する検出部22への光信号のパワー量が減少し、可変カプラ21の出力段の光信号のパワー量が増加することになる。
【0063】
そして、ヒータ制御部33は、指定した制御対象の導波路対32の実行済みフラグをセットし(ステップS36)、可変カプラ21内の未指定の導波路対32があるか否かを判定すべく、ステップS21に移行する。
【0064】
また、ヒータ制御部33は、第1のパワー量が第2のパワー量未満でない場合(ステップS34:No)、パワー量が減少する方向に透過スペクトルの位相を減少方向にシフトすべく、第2のヒータ量を第2のヒータ部34Bに設定する(ステップS37)。その結果、WDM部4は、透過スペクトルの位相が減少方向にシフトすることで、可変カプラ21から分岐出力する検出部22への光信号のパワー量が減少し、可変カプラ21の出力段の光信号のパワー量が増加することになる。そして、ヒータ制御部33は、第2のヒータ量を第2のヒータ部34Bに設定した後、指定した制御対象の導波路対32の実行済みフラグをセットすべく、ステップS36に移行する。
【0065】
また、ヒータ制御部33は、可変カプラ21内の未指定の導波路対32がない場合(ステップS21:No)、
図6に示す処理動作を終了する。また、ヒータ制御部33は、ステップS25にて一定時間を経過したのでない場合、一定時間を経過したか否かを判定すべく、ステップS25に移行する。ヒータ制御部33は、パワー量の測定が完了していない場合(ステップS27:No)、パワー量の測定が完了するか否かを判定すべく、ステップS27に移行する。また、ヒータ制御部33は、ステップS30にて一定時間を経過したのでない場合、一定時間を経過したか否かを判定すべく、ステップS30に移行する。ヒータ制御部33は、パワー量の測定が完了していない場合(ステップS32:No)、パワー量の測定が完了するか否かを判定すべく、ステップS32に移行する。
【0066】
図7Aは、位相調整前のWDM部4の合波特性の一例を示す説明図である。
図7Aに示すλ1P~λ4Pの特性は、λ1の光信号の入力パワーλ1P、λ2の光信号の入力パワーλ2P、λ3の光信号の入力パワーλ3P及びλ4の光信号の入力パワーλ4Pを示している。これに対して、λ1S~λ4Sの特性は、λ1の光信号の透過スペクトルλ1S、λ2の光信号の透過スペクトルλ2S、λ3の光信号の透過スペクトルλ3S及びλ4の光信号の透過スペクトルλ4Sを示している。
図7Aに示す位相調整前の特性では、λ1の光信号の入力パワーλ1Pとλ1の光信号の透過スペクトルλ1Sとの間、λ2の光信号の入力パワーλ2Pとλ2の光信号の透過スペクトルλ2Sとの間で大きく位相差が生じている状態である。更に、位相調整前の特性では、λ3の光信号の入力パワーλ3Pとλ3の光信号の透過スペクトルλ3Sとの間、λ4の光信号の入力パワーλ4Pとλ4の光信号の透過スペクトルλ4Sとの間で大きく位相差が生じている状態である。すなわち、導波路毎の光信号の位相バラツキが生じる状態である。
【0067】
図7Bは、位相調整後のWDM部4の合波特性の一例を示す説明図である。
図7Bに示す位相調整後の特性では、λ1の光信号の入力パワーλ1Pがλ1の光信号の透過スペクトルλ1Sで透過、λ2の光信号の入力パワーλ2Pがλ2の光信号の透過スペクトルλ2Sで透過するように各透過スペクトルの位相がシフトした状態である。更に、位相調整後の特性では、λ3の光信号の入力パワーλ3Pがλ3の光信号の透過スペクトルλ3Sで透過、λ4の光信号の入力パワーλ4Pがλ4の光信号の透過スペクトルλ4Sで透過するように各透過スペクトルの位相がシフトした状態である。すなわち、導波路毎の光信号の位相バラツキが改善された状態である。
【0068】
その結果、WDM部4内の第1の可変カプラ21A、第2の可変カプラ21B及び第3の可変カプラ21C等の導波路毎の光信号の位相バラツキを改善できる。
【0069】
実施例1のヒータ制御部33は、可変カプラ21内の最下流の第4の固定カプラ31Dから光分岐した検出部22で光信号のパワー量を検出する。更に、ヒータ制御部33は、検出部22で検出した光信号のパワー量が最小になるようにヒータ量を変化させるために透過スペクトルの位相を増加方向にシフトすべく、第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。その結果、WDM部4は、透過スペクトルの位相が増加方向にシフトすることで、検出部22で検出する光信号のパワー量が減少し、可変カプラ21の出力段で出力する光信号のパワー量を増加する。つまり、導波路毎の光信号の位相バラツキが改善できる。
【0070】
ヒータ制御部33は、可変カプラ21内の最下流の第4の固定カプラ31Dから光分岐した検出部22で光信号のパワー量を検出する。更に、ヒータ制御部33は、検出部22で検出した光信号のパワー量が最小になるようにヒータ量を変化させるために透過スペクトルの位相を減少方向にシフトすべく、第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。その結果、WDM部4は、透過スペクトルの位相が減少方向にシフトすることで、可変カプラ21から分岐出力する光信号のパワー量が減少し、導波路毎の光信号の位相バラツキが改善できる。
【0071】
ヒータ制御部33は、導波路対32毎に異なるタイミングで導波路毎の第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bを制御する、例えば、導波路対32毎に異なるタイミングで個別位相調整処理を実行する。その結果、導波路対毎の個別位相調整処理の影響が同時に生じるような事態を回避できる。
【0072】
ヒータ制御部33は、導波路対32の内、光信号の進行方向に流れる上流側の導波路対32から異なるタイミングで当該導波路対32の第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bを制御する。上流側の導波路対32の位相調整の影響が光進行方向の下流の導波路対に大きく影響する。従って、上流側の導波路対32から下流の導波路対32に向けて順次位相調整することで効率的な位相調整を可能になる。
【0073】
ヒータ制御部33は、可変カプラ21内の最下流の第4の固定カプラ31Dから分岐出力された位相調整後の光信号のパワー量に基づき、導波路対32毎に異なるタイミングで、当該導波路対32内の第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bを制御する。その結果、可変カプラ21単位での光信号の位相バラツキを改善できる。
【0074】
光通信素子のWDM部4は、第1の可変カプラ21Aと第3の可変カプラ21Cとを接続し、第2の可変カプラ21Bと第3の可変カプラ21Cとを接続するツリー構造にした。更に、WDM部4は、光信号の進行方向に流れる上流側の可変カプラ21内の複数の導波路対32の内、上流側の導波路対32から、第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bを順次制御する。その結果、ツリー構造の場合でも、可変カプラ単位での位相調整が可能になり、上流側の可変カプラ21から下流の可変カプラ21に向けて順次位相調整することで効率的な位相調整が可能になる。
【0075】
WDM部4は、シリコン光集積回路で構成する。その結果、シリコン光集積回路で構成した場合でも、光導波路毎の光信号の位相バラツキを改善できる。WDM部4のシリコン導波路では、コアとクラッドとの間の屈折率のコントラストが大きくなるが、第1のヒータ部34A又は第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定した。その結果、シリコン光集積回路で構成するWDM部4での導波路毎の光信号の位相バラツキを改善できる。
【0076】
尚、
図4に示す個別位相調整処理の処理タイミングの順序では、第1の可変カプラ21A→第2の可変カプラ21B→第3の可変カプラ21C→第1の可変カプラ21A→…の順に個別位相調整処理を実行する場合を例示した。しかしながら、この順序に限定されるものではなく、光進行方向の上流の可変カプラ21から順次実行すればよく、適宜変更可能である。
【0077】
図8は、個別位相調整処理の他の処理タイミングの一例を示す説明図である。WDM部4では、第1の可変カプラ21Aと第2の可変カプラ21Bとが光進行方向の上流か否かを判定するための順序が同位、例えば、第1の可変カプラ21A内の第1の導波路対32Aと第2の可変カプラ21B内の第1の導波路対32Aとが同位とする。また、第1の可変カプラ21A内の第2の導波路対32Bと第2の可変カプラ21B内の第2の導波路対32Bとが同位、第1の可変カプラ21A内の第3の導波路対32Cと第2の可変カプラ21B内の第3の導波路対32Cとが同位とする。処理順序は、第1の可変カプラ21A内の第1のヒータ制御部33Aの処理A及び第2の可変カプラ21B内の第1のヒータ制御部33Aの処理D→第1の可変カプラ21A内の第2のヒータ制御部33Bの処理B及び第2の可変カプラ21B内の第2のヒータ制御部33Bの処理E→第1の可変カプラ21A内の第3のヒータ制御部33Cの処理C及び第2の可変カプラ21B内の第3のヒータ制御部33Cの処理F→第3の可変カプラ21C内の第1のヒータ制御部33Aの処理G→第3の可変カプラ21C内の第2のヒータ制御部33Bの処理H→第3の可変カプラ21C内の第3のヒータ制御部33Cの処理I→…の順でも良く、適宜変更可能である。
【0078】
また、説明の便宜上、第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34B等のヒータ部を移相器として使用する場合を例示したが、導波路の光信号の位相を調整する機能であれば良く、適宜変更可能である。
【0079】
また、ヒータ部のヒータ量(位相量)を調整することで透過スペクトルの位相を調整する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、光信号側の位相を調整しても良く、適宜変更可能である。尚、位相量として、現在の位相量に第1の位相量を加算して設定する場合と、現在の位相量から第2の位相量を減算して設定する場合とを例示したが、第1の位相量と第2の位相量とは同一量でも異なる量でも良く、適宜変更可能である。
【0080】
実施例1のヒータ制御部33は、可変カプラ21内の最下流の第4の固定カプラ31Dで分岐出力された検出部22で検出した光信号のパワー量が減少するように透過スペクトルの位相を調整すべく、ヒータ量(位相量)を調整する場合を例示した。
【0081】
しかながら、パワー量が減少するようにヒータ量を変化させるための透過スペクトルの位相を調整するだけでなく、パワー量が増加するように透過スペクトルの位相を調整しても良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例2】
【0082】
図9は、実施例2のWDM部4の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、第1のWDM部4Aの内部構成を例示した。しかしながら、第2のWDM部4Bも同一の構成であるため、第1のWDM部4Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0083】
図9に示す第1のWDM部4Aは、3個の可変カプラ21と、3個の検出部22と、制御部23とを有する。3個の可変カプラ21は、例えば、第1の可変カプラ21A、第2の可変カプラ21B及び第3の可変カプラ21Cである。第1の可変カプラ21Aは、λ1の光信号とλ2の光信号とを合波し、合波後のλ1+λ2の光信号を分岐出力する。第2の可変カプラ21Bは、λ3の光信号とλ4の光信号とを合波し、合波後のλ3+λ4の光信号を分岐出力する。第3の可変カプラ21Cは、第1の可変カプラ21Aからの合波後のλ1+λ2の光信号と第2の可変カプラ21Bからの合波後のλ3+λ4の光信号とを合波し、合波後のλ1+λ2+λ3+λ4の光信号を分岐出力する。
【0084】
3個の検出部22は、例えば、第4の検出部22D、第5の検出部22E及び第6の検出部22Fである。第4の検出部22Dは、第1の可変カプラ21A内の第4の固定カプラ31Dから分岐出力された第1の可変カプラ21Aの出力段(出力正転ポート)の合波後のλ1+λ2の光信号の一部のパワー量を光タップで検出する。第5の検出部22Eは、第2の可変カプラ21B内の第4の固定カプラ31Dから分岐出力された第2の可変カプラ21Bの出力段(出力正転ポート)の合波後のλ3+λ4の光信号の一部のパワー量を光タップで検出する。第6の検出部22Fは、第3の可変カプラ21C内の第4の固定カプラ31Dから分岐出力された第3の可変カプラ21Cの出力段(出力正転ポート)の合波後のλ1+λ2+λ3+λ4の光信号の一部のパワー量を光タップで検出する。
【0085】
第1の可変カプラ21Aは、2×2型のカプラである。第1の可変カプラ21Aは、例えば、4個の固定カプラ31と、3個の導波路対32と、3個のヒータ制御部33とを有する。4個の固定カプラ31は、例えば、第1の固定カプラ31A、第2の固定カプラ31B、第3の固定カプラ31C、第4の固定カプラ31Dである。第1の固定カプラ31Aは、第1の可変カプラ21A内の複数の固定カプラ31の内、光進行方向の最上流の固定カプラ31である。第2の固定カプラ31Bは、第1の可変カプラ21A内の複数の固定カプラ31の内、2番目に上流の固定カプラ31である。第3の固定カプラ31Cは、第1の可変カプラ21A内の複数の固定カプラ31の内、3番目に上流の固定カプラ31である。第4の固定カプラ31Dは、第1の可変カプラ21A内の複数の固定カプラ31の内、4番目に上流(最下流)の固定カプラ31である。
【0086】
3個の導波路対32は、例えば、第1の導波路対32A、第2の導波路対32B及び第3の導波路対32Cである。第1の導波路対32Aは、第1の固定カプラ31Aと第2の固定カプラ31Bとの間を接続する一対の導波路35を有し、第1の可変カプラ21A内の複数の導波路対32の内、最上流の導波路対32である。第2の導波路対32Bは、第2の固定カプラ31Bと第3の固定カプラ31Cとの間を接続する一対の導波路35を有し、第1の可変カプラ21A内の複数の導波路対32の内、2番目に上流の導波路対32である。第3の導波路対32Cは、第3の固定カプラ31Cと第4の固定カプラ31Dとの間を接続する一対の導波路35を有し、第1の可変カプラ21A内の複数の導波路対32の内、3番目に上流(最下流)の導波路対32である。
【0087】
一対の導波路35は、例えば、第1の導波路35A及び第2の導波路35Bである。第1の導波路35Aには、第1の移相器である第1のヒータ部34Aを有する。第2の導波路35Bには、第2の移相器である第2のヒータ部34Bを有する。
【0088】
3個のヒータ制御部33は、例えば、第4のヒータ制御部33D、第5のヒータ制御部33E及び第6のヒータ制御部33Fである。第4のヒータ制御部33Dは、第1の可変カプラ21A内の第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第5のヒータ制御部33Eは、第1の可変カプラ21A内の第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第6のヒータ制御部33Fは、第1の可変カプラ21A内の第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第4の検出部22Dは、第1の可変カプラ21A内の最下流である4番目に上流の第4の固定カプラ31Dで分岐出力された第1の可変カプラ21Aの出力段(出力正転ポート)のλ1+λ2の光信号の一部のパワー量を光タップで検出する。
【0089】
第1の可変カプラ21A内の第4のヒータ制御部33Dは、第4の検出部22Dで検出したλ1+λ2の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第4のヒータ制御部33Dは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加する。第4のヒータ制御部33Dは、第4の検出部22Dで検出したλ1+λ2の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第1の導波路対32Aの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第4のヒータ制御部33Dは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第1の可変カプラ21Aの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0090】
第1の可変カプラ21A内の第5のヒータ制御部33Eは、第4の検出部22Dで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第5のヒータ制御部33Eは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加する。第5のヒータ制御部33Eは、第4の検出部22Dで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第2の導波路対32Bの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第5のヒータ制御部33Eは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0091】
第1の可変カプラ21A内の第6のヒータ制御部33Fは、第4の検出部22Dで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第6のヒータ制御部33Fは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加する。第6のヒータ制御部33Fは、第4の検出部22Dで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第3の導波路対32Cの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第6のヒータ制御部33Fは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0092】
第2の可変カプラ21Bは、2×2型のカプラである。第2の可変カプラ21Bは、例えば、4個の固定カプラ31と、3個の導波路対32と、3個のヒータ制御部33とを有する。4個の固定カプラ31は、例えば、第1の固定カプラ31A、第2の固定カプラ31B、第3の固定カプラ31C及び第4の固定カプラ31Dである。3個の導波路対32は、例えば、第1の導波路対32A、第2の導波路対32B及び第3の導波路対32Cである。
【0093】
3個のヒータ制御部33は、例えば、第4のヒータ制御部33D、第5のヒータ制御部33E及び第6のヒータ制御部33Fである。第4のヒータ制御部33Dは、第2の可変カプラ21B内の第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第5のヒータ制御部33Eは、第1の可変カプラ21A内の第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第6のヒータ制御部33Fは、第2の可変カプラ21B内の第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第5の検出部22Eは、第2の可変カプラ21B内の最下流である4番目に上流の第4の固定カプラ31Dで分岐出力された第2の可変カプラ21Bの出力段(出力正転ポート)のλ3+λ4の光信号の一部のパワー量を光タップで検出する。
【0094】
第2の可変カプラ21B内の第4のヒータ制御部33Dは、第5の検出部22Eで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第4のヒータ制御部33Dは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加する。第4のヒータ制御部33Dは、第5の検出部22Eで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第1の導波路対32Aの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第4のヒータ制御部33Dは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0095】
第2の可変カプラ21B内の第5のヒータ制御部33Eは、第5の検出部22Eで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第5のヒータ制御部33Eは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加する。第5のヒータ制御部33Eは、第5の検出部22Eで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第2の導波路対32Bの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第5のヒータ制御部33Eは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0096】
第2の可変カプラ21B内の第6のヒータ制御部33Fは、第5の検出部22Eで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第6のヒータ制御部33Fは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加する。第6のヒータ制御部33Fは、第5の検出部22Eで検出したλ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第3の導波路対32Cの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第6のヒータ制御部33Fは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第2の可変カプラ21Bの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0097】
第3の可変カプラ21Cは、2×2型のカプラである。第3の可変カプラ21Cは、例えば、4個の固定カプラ31と、3個の導波路対32と、3個のヒータ制御部33とを有する。4個の固定カプラ31は、例えば、第1の固定カプラ31A、第2の固定カプラ31B、第3の固定カプラ31C及び第4の固定カプラ31Dである。3個の導波路対32は、例えば、第1の導波路対32A、第2の導波路対32B及び第3の導波路対32Cである。
【0098】
3個のヒータ制御部33は、例えば、第4のヒータ制御部33D、第5のヒータ制御部33E及び第6のヒータ制御部33Fである。第4のヒータ制御部33Dは、第3の可変カプラ21C内の第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第5のヒータ制御部33Eは、第3の可変カプラ21C内の第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第6のヒータ制御部33Fは、第3の可変カプラ21C内の第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bのヒータ量を制御する。第6の検出部22Fは、第3の可変カプラ21C内の最下流である4番目に上流の第4の固定カプラ31Dで分岐出力された第3の可変カプラ21Cの出力段(出力正転ポート)のλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量の一部を光タップで検出する。
【0099】
第3の可変カプラ21C内の第4のヒータ制御部33Dは、第6の検出部22Fで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第1の導波路対32Aの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第4のヒータ制御部33Dは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加する。第4のヒータ制御部33Dは、第6の検出部22Fで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第1の導波路対32Aの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第4のヒータ制御部33Dは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0100】
第3の可変カプラ21C内の第5のヒータ制御部33Eは、第6の検出部22Fで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第2の導波路対32Bの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第5のヒータ制御部33Eは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加する。第5のヒータ制御部33Eは、第6の検出部22Fで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第2の導波路対32Bの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第5のヒータ制御部33Eは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0101】
第3の可変カプラ21C内の第6のヒータ制御部33Fは、第6の検出部22Fで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第3の導波路対32Cの第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。そして、第6のヒータ制御部33Fは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を増加方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加する。第6のヒータ制御部33Fは、第6の検出部22Fで検出したλ1+λ2+λ3+λ4の光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するように第3の導波路対32Cの第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。そして、第6のヒータ制御部33Fは、ヒータ量を変化させることで透過スペクトルの位相を減少方向にシフトさせる。その結果、第4の固定カプラ31Dの分岐出力である第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加する。
【0102】
制御部23は、第3の可変カプラ21C内の第4のヒータ制御部33D→第5のヒータ制御部33E→第6のヒータ制御部33Fの順序で光進行方向の上流から個別位相調整処理を順次実行する。その結果、第3の可変カプラ21Cの導波路毎の光信号の位相バラツキを改善することで、第3の可変カプラ21Cの出力段の光信号のパワー量が増加できる。そして、制御部23は、第1の可変カプラ21A→第2の可変カプラ21B→第3の可変カプラ21Cの順序で光進行方向の上流から個別位相調整処理を順次実行する。その結果、WDM部4の導波路毎の光信号の位相バラツキを改善することで、WDM部4の出力段の光信号のパワー量を増加できる。
【0103】
図10は、第2の個別位相調整処理に関わるヒータ制御部33の処理動作の一例を示すフローチャートである。尚、第4の検出部22D、第5の検出部22E及び第6の検出部22Fは、可変カプラ21の最下流の第4の固定カプラ31Dで分岐出力された光信号の内、可変カプラ21の出力段(出力正転ポート)の光信号のパワー量を光タップで検出するものとする。
図10においてヒータ制御部33は、第1のパワー量が第2のパワー量以上であるか否かを判定する(ステップS34A)。ヒータ制御部33は、第1のパワー量が第2のパワー量以上の場合(ステップS34A:Yes)、パワー量が増加する方向に透過スペクトルの位相を増加方向にシフトすべく、第1のヒータ量を第1のヒータ部34Aに設定する(ステップS35A)。その結果、WDM部4は、透過スペクトルの位相が増加方向にシフトすることで、可変カプラ21から分岐出力する光信号のパワー量が増加することになる。
【0104】
ヒータ制御部33は、第2のヒータ量を第2のヒータ部34Bに設定した後、指定した制御対象の導波路対32の実行済みフラグをセットし(ステップS36A)、可変カプラ21内の未指定の導波路対32があるか否かを判定すべく、ステップS21に移行する。
【0105】
また、ヒータ制御部33は、第1のパワー量が第2のパワー量以上でない場合(ステップS34A:No)、パワー量が増加する方向に透過スペクトルの位相を減少方向にシフトすべく、第2のヒータ量を第2のヒータ部34Bに設定する(ステップS37A)。その結果、WDM部4は、透過スペクトルの位相が減少方向にシフトすることで、可変カプラ21から分岐出力する光信号のパワー量が増加することになる。そして、ヒータ制御部33は、第2のヒータ量を第2のヒータ部34Bに設定した後、指定した導波路対32の実行済みフラグをセットすべく、ステップS36Aに移行する。
【0106】
実施例2のヒータ制御部33は、光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するようにヒータ量を変化させるために透過スペクトルの位相を増加方向にシフトすべく、第1のヒータ部34Aのヒータ量を増加方向に設定する。その結果、WDM部4は、透過スペクトルの位相が増加方向にシフトすることで、可変カプラ21から分岐出力する光信号のパワー量が増加し、導波路毎の光信号の位相バラツキが改善できる。
【0107】
ヒータ制御部33は、光信号のパワー量に基づき、パワー量が増加するようにヒータ量を変化させるために透過スペクトルの位相を減少方向にシフトすべく、第2のヒータ部34Bのヒータ量を減少方向に設定する。その結果、WDM部4は、透過スペクトルの位相が減少方向にシフトすることで、可変カプラ21から分岐出力する光信号のパワー量が増加し、導波路毎の光信号の位相バラツキが改善できる。
【実施例3】
【0108】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例3の光送信器1Aを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
図11は、実施例3の光送信器1Aの一例を示すブロック図である。尚、実施例1の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0109】
図11に示す光送信器1Aは、4個の光源2、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、光源2と光変調部3との間に配置された4個のSOA(Semiconductor Optical Amplifier)101を有する。4個のSOA101は、例えば、第1のSOA101A、第2のSOA101B、第3のSOA101C及び第4のSOA101Dである。
【0110】
第1のSOA101Aは、第1の光源2Aからのλ1の光信号を光増幅し、光増幅後のλ1の光信号を第1の光変調部3Aに出力する。第2のSOA101Bは、第2の光源2Bからのλ2の光信号を光増幅し、光増幅後のλ2の光信号を第2の光変調部3Bに出力する。第3のSOA101Cは、第3の光源2Cからのλ3の光信号を光増幅し、光増幅後のλ3の光信号を第3の光変調部3Cに出力する。第4のSOA101Dは、第4の光源2Dからのλ4の光信号を光増幅し、光増幅後のλ4の光信号を第4の光変調部3Dに出力する。
【0111】
実施例3の光送信器1Aでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、各光源2の出力パワーが小さい場合でも、高いOSNRを確保できる。
【実施例4】
【0112】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例4の光送信器1Bを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例4として以下に説明する。
図12は、実施例4の光送信器1Bの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~3の光送信器と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0113】
図12に示す光送信器1Bは、4個の光源2、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、光変調部3とWDM部4との間に配置された8個のSOA102を有する。8個のSOA102は、例えば、一対の第5のSOA102A、一対の第6のSOA102B、一対の第7のSOA102C、一対の第8のSOA102Dである。
【0114】
一対の第5のSOA102Aは、第1の光変調部3A内の第1の変調器13Aと第1のWDM部4Aとの間に接続する第5のSOA102A1と、第2の変調器13Bと第2のWDM部4Bとの間に接続する第5のSOA102A2とを有する。第5のSOA102A1は、第1の変調器13Aからのλ1の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ1の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第5のSOA102A2は、第2の変調器13Bからのλ1の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ1の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0115】
一対の第6のSOA102Bは、第2の光変調部3B内の第1の変調器13Aと第1のWDM部4Aとの間に接続する第6のSOA102B1と、第2の変調器13Bと第2のWDM部4Bとの間に接続する第6のSOA102B2とを有する。第6のSOA102B1は、第1の変調器13Aからのλ2の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ2の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第6のSOA102B2は、第2の変調器13Bからのλ2の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ2の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0116】
一対の第7のSOA102Cは、第3の光変調部3C内の第1の変調器13Aと第1のWDM部4Aとの間に接続する第7のSOA102C1と、第2の変調器13Bと第2のWDM部4Bとの間に接続する第7のSOA102C2とを有する。第7のSOA102C1は、第1の変調器13Aからのλ3の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ3の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第7のSOA102C2は、第2の変調器13Bからのλ3の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ3の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0117】
一対の第8のSOA102Dは、第4の光変調部3D内の第1の変調器13Aと第1のWDM部4Aとの間に接続する第8のSOA102D1と、第2の変調器13Bと第2のWDM部4Bとの間に接続する第8のSOA102D2とを有する。第8のSOA102D1は、第1の変調器13Aからのλ4の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ4の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第8のSOA102D2は、第2の変調器13Bからのλ4の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ4の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0118】
実施例4の光送信器1Bでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、光変調部3による損失を補償することで、高いOSNRを確保できる。
【実施例5】
【0119】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例5の光送信器1Cを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例5として以下に説明する。
図13は、実施例5の光送信器1Cの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~4の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0120】
図13に示す光送信器1Cは、4個の光源2、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、WDM部4とPBC5との間に配置された2個のSOA103を有する。2個のSOA103は、例えば、第10のSOA103A及び第11のSOA103Bである。第10のSOA103Aは、第1のWDM部4Aからのλ1+λ2+λ3+λ4の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後の水平偏波の光信号をPBC5に出力する。第11のSOA103Bは、第2のWDM部4Bからのλ1+λ2+λ3+λ4の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後の垂直偏波の光信号をPBC5に出力する。
【0121】
実施例5の光送信器1Cでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、WDM部4による損失を補償することで、高いOSNRを確保できる。
【実施例6】
【0122】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例6の光送信器1Dを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例6として以下に説明する。
図14は、実施例6の光送信器1Dの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~5の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0123】
図14に示す光送信器1Dは、4個の光源2、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、光源2と光変調部3との間に配置された4個のSOA101と、光変調部3とWDM部4との間に配置された8個のSOA102とを有する。4個のSOA101は、例えば、第1のSOA101A、第2のSOA101B、第3のSOA101C及び第4のSOA101Dである。4個のSOA101は、各光源2の光信号の出力を増幅する増幅器である。8個のSOA102は、例えば、一対の第5のSOA102A、一対の第6のSOA102B、一対の第7のSOA102C、一対の第8のSOA102Dである。8個のSOA102は、光変調部3による損失を補償する増幅器である。
【0124】
実施例6の光送信器1Dでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、各光源2の出力を増幅すると共に、光変調部3による損失を補償することで、高いOSNRを確保できる。
【実施例7】
【0125】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例7の光送信器1Eを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例7として以下に説明する。
図15は、実施例7の光送信器1Eの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~6の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0126】
図15に示す光送信器1Eは、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、多波長光源106と、多波長光源106と光変調部3との間に配置された第3のWDM部107とを有する。多波長光源106は、複数の波長の光信号、例えば、λ1の光信号、λ2の光信号、λ3の光信号及びλ4の光信号を発光する。第3のWDM部107は、多段接続非対称MZ干渉計型の分波器である。第3のWDM部107は、多波長光源106からの複数波長の光信号からλ1の光信号、λ2の光信号、λ3の光信号及びλ4の光信号に分波出力する。第3のWDM部107は、分波したλ1の光信号を第1の光変調部3Aに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ2の光信号を第2の光変調部3Bに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ3の光信号を第3の光変調部3Cに出力する。更に、第3のWDM部107は、分波したλ4の光信号を第4の光変調部3Dに出力する。
【0127】
実施例7の光送信器1Eでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、単一の多波長光源106を使用することで実装面積を小さくして、高いOSNRを確保できる。
【実施例8】
【0128】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例8の光送信器1Fを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例8として以下に説明する。
図16は、実施例8の光送信器1Fの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~7の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0129】
図16に示す光送信器1Fは、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、多波長光源106と、第3のWDM部107と、多波長光源106と第3のWDM部107との間に配置された1個の第12のSOA108とを有する。
【0130】
第12のSOA108は、多波長光源106から入力した複数の波長の光信号、例えば、λ1の光信号、λ2の光信号、λ3の光信号及びλ4の光信号を光増幅し、光増幅後の光信号を第3のWDM部107に出力する。
【0131】
第3のWDM部107は、光増幅後のλ1の光信号、光増幅後のλ2の光信号、光増幅後のλ3の光信号及び光増幅後のλ4の光信号に分波出力する。第3のWDM部107は、分波したλ1の光信号を第1の光変調部3Aに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ2の光信号を第2の光変調部3Bに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ3の光信号を第3の光変調部3Cに出力する。更に、第3のWDM部107は、分波したλ4の光信号を第4の光変調部3Dに出力する。
【0132】
実施例8の光送信器1Fでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、出力パワーが小さい多波長光源106を使用する場合でも高いOSNRを確保できる。
【実施例9】
【0133】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例9の光送信器1Gを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例9として以下に説明する。
図17は、実施例9の光送信器1Gの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~8の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0134】
図17に示す光送信器1Gは、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、多波長光源106と、第3のWDM部107と、第3のWDM部107と光変調部3との間に配置された4個のSOA101とを有する。4個のSOA101は、例えば、第1のSOA101A、第2のSOA101B、第3のSOA101C及び第4のSOA101Dである。
【0135】
第3のWDM部107は、多波長光源106からの光信号からλ1~λ4の光信号を分波する。第3のWDM部107は、分波したλ1の光信号を第1のSOA101Aに出力する。第1のSOA101Aは、λ1の光信号を光増幅し、光増幅後のλ1の光信号を第1の光変調部3Aに出力する。
【0136】
第3のWDM部107は、分波したλ2の光信号を第2のSOA101Bに出力する。第2のSOA101Bは、λ2の光信号を光増幅し、光増幅後のλ2の光信号を第2の光変調部3Bに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ3の光信号を第3のSOA101Cに出力する。第3のSOA101Cは、λ3の光信号を光増幅し、光増幅後のλ3の光信号を第3の光変調部3Cに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ4の光信号を第4のSOA101Dに出力する。第4のSOA101Dは、λ4の光信号を光増幅し、光増幅後のλ4の光信号を第4の光変調部3Dに出力する。
【0137】
実施例9の光送信器1Gでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、第3のWDM部107で多波長光を分波し、相対的に出力パワーが小さくなった単一波長光への分波による損失を補償する。その結果、高いOSNRを確保できる。
【実施例10】
【0138】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例10の光送信器1Hを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例10として以下に説明する。
図18は、実施例10の光送信器1Hの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~9の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0139】
図18に示す光送信器1Hは、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、多波長光源106と、第3のWDM部107と、4個のSOA101と、8個のSOA102とを有する。4個の各SOA101は、多波長光源106と第3のWDM部107との間を接続する。8個の各SOA102は、光変調部3と2個のWDM部4との間を接続する。
【0140】
4個のSOA101は、例えば、第1のSOA101A、第2のSOA101B、第3のSOA101C及び第4のSOA101Dである。8個のSOA102は、例えば、一対の第5のSOA102A、一対の第6のSOA102B、一対の第7のSOA102C及び一対の第8のSOA102Dである。
【0141】
第3のWDM部107は、多波長光源106からの光信号からλ1~λ4の光信号を分波する。第3のWDM部107は、分波したλ1の光信号を第1のSOA101Aに出力する。第1のSOA101Aは、λ1の光信号を光増幅し、光増幅後のλ1の光信号を第1の光変調部3Aに出力する。
【0142】
第3のWDM部107は、分波したλ2の光信号を第2のSOA101Bに出力する。第2のSOA101Bは、λ2の光信号を光増幅し、光増幅後のλ2の光信号を第2の光変調部3Bに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ3の光信号を第3のSOA101Cに出力する。第3のSOA101Cは、λ3の光信号を光増幅し、光増幅後のλ3の光信号を第3の光変調部3Cに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ4の光信号を第4のSOA101Dに出力する。第4のSOA101Dは、λ4の光信号を光増幅し、光増幅後のλ4の光信号を第4の光変調部3Dに出力する。
【0143】
一対の第5のSOA102Aは、第1の光変調部3A内の第1の変調器13Aと第1のWDM部4Aとの間に接続する第5のSOA102A1と、第2の変調器13Bと第2のWDM部4Bとの間に接続する第5のSOA102A2とを有する。第5のSOA102A1は、第1の変調器13Aからのλ1の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ1の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第5のSOA102A2は、第2の変調器13Bからのλ1の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ1の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0144】
一対の第6のSOA102Bは、第2の光変調部3B内の第1の変調器13Aと第1のWDM部4Aとの間に接続する第6のSOA102B1と、第2の変調器13Bと第2のWDM部4Bとの間に接続する第6のSOA102B2とを有する。第6のSOA102B1は、第1の変調器13Aからのλ2の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ2の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第6のSOA102B2は、第2の変調器13Bからのλ2の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ2の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0145】
一対の第7のSOA102Cは、第3の光変調部3C内の第1の変調器13Aと第1のWDM部4Aとの間に接続する第7のSOA102C1と、第2の変調器13Bと第2のWDM部4Bとの間に接続する第7のSOA102C2とを有する。第7のSOA102C1は、第1の変調器13Aからのλ3の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ3の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第7のSOA102C2は、第2の変調器13Bからのλ3の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ3の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0146】
一対の第8のSOA102Dは、第4の光変調部3D内の第1の変調器13Aと第1のWDM部4Aとの間に接続する第8のSOA102D1と、第2の変調器13Bと第2のWDM部4Bとの間に接続する第8のSOA102D2とを有する。第8のSOA102D1は、第1の変調器13Aからのλ4の水平偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ4の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第8のSOA102Dは、第2の変調器13Bからのλ4の垂直偏波の光信号を光増幅し、光増幅後のλ4の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0147】
実施例10の光送信器1Hでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、第3のWDM部107の単一波長への分波による損失及び光変調部3による損失を補償することで、高いOSNRを確保できる。
【実施例11】
【0148】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例11の光送信器1Jを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例11として以下に説明する。
図19は、実施例11の光送信器1Jの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~10の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0149】
図19に示す光送信器1Jは、4個の光変調部、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、多波長光源110と、多波長光源110と光変調部3との間に配置された第3のWDM部107とを有する。多波長光源110は、単一波長光源111と、位相変調器112とを有する。単一波長光源111は、単一波長の光信号を発光する。位相変調器112は、単一波長光源111からの単一波長の光信号を位相変調することで、例えば、λ1の光信号、λ2の光信号、λ3の光信号及びλ4の光信号を第3のWDM部107に出力する。第3のWDM部107は、位相変調器112からの複数波長の光信号からλ1の光信号、λ2の光信号、λ3の光信号及びλ4の光信号に分波出力する。第3のWDM部107は、分波したλ1の光信号を第1の光変調部3Aに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ2の光信号を第2の光変調部3Bに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ3の光信号を第3の光変調部3Cに出力する。更に、第3のWDM部107は、分波したλ4の光信号を第4の光変調部3Dに出力する。
【0150】
実施例11の光送信器1Jでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、単一の多波長光源110を使用することで実装面積を小さくして、高いOSNRを確保できる。
【実施例12】
【0151】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例12の光送信器1Kを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例12として以下に説明する。
図20は、実施例12の光送信器1Kの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~11の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0152】
図20に示す光送信器1Kは、4個の光変調部3、2個のWDM部4及び1個のPBC5の他に、多波長光源110Aと、多波長光源110Aと光変調部3との間に配置された第3のWDM部107とを有する。多波長光源110Aは、単一波長光源111と、共鳴型位相変調器112Aとを有する。単一波長光源111は、単一波長の光信号を出力する。共鳴型位相変調器112Aは、単一波長光源111からの単一波長の光信号を位相変調することで、例えば、λ1の光信号、λ2の光信号、λ3の光信号及びλ4の光信号を第3のWDM部107に出力する。尚、共鳴型位相変調器112Aは、位相変調器112に比較して、低い駆動電圧で光信号の波長を出力できる。第3のWDM部107は、共鳴型位相変調器112Aからの複数波長の光信号からλ1の光信号、λ2の光信号、λ3の光信号及びλ4の光信号に分波出力する。第3のWDM部107は、分波したλ1の光信号を第1の光変調部3Aに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ2の光信号を第2の光変調部3Bに出力する。第3のWDM部107は、分波したλ3の光信号を第3の光変調部3Cに出力する。更に、第3のWDM部107は、分波したλ4の光信号を第4の光変調部3Dに出力する。
【0153】
実施例12の光送信器1Kでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、単一の多波長光源110Aを使用することで実装面積を小さくして、高いOSNRを確保できる。
【実施例13】
【0154】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例13の光送受信器1Lを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例13として以下に説明する。
図21は、実施例13の光送受信器1Lの一例を示すブロック図である。尚、実施例1~12の光送信器1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0155】
図21に示す光送受信器1Lは、多波長光源106と、光送信部201と、光受信部202とを有する。多波長光源106からの複数波長の光信号は、光送信部201の送信光源及び光受信部202の局発光源に使用される。
【0156】
多波長光源106は、複数波長の光信号、例えば、λ1~λ4の光信号を発光する。光送信部201は、第4のWDM部107Aと、4個の光変調部3と、2個のWDM部4と、1個のPBC5とを有する。第4のWDM部107Aは、多段接続非対称MZ干渉計型の分波器である。第4のWDM部107Aは、多波長光源106からの光信号からλ1~λ4の光信号を分波出力する。4個の光変調部3は、例えば、第1の光変調部3A、第2の光変調部3B、第3の光変調部3C及び第4の光変調部3Dである。第1の光変調部3Aは、λ1の光信号をデータ信号で光変調し、光変調後のλ1の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第1の光変調部3Aは、λ1の光信号をデータ信号で光変調し、光変調後のλ1の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。第2の光変調部3Bは、λ2の光信号をデータ信号で光変調し、光変調後のλ2の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第2の光変調部3Bは、λ2の光信号をデータ信号で光変調し、光変調後のλ2の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。第3の光変調部3Cは、λ3の光信号をデータ信号で光変調し、光変調後のλ3の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第3の光変調部3Cは、λ3の光信号をデータ信号で光変調し、光変調後のλ3の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。第4の光変調部3Dは、λ4の光信号をデータ信号で光変調し、光変調後のλ4の水平偏波の光信号を第1のWDM部4Aに出力する。第4の光変調部3Dは、λ4の光信号をデータ信号で光変調し、光変調後のλ4の垂直偏波の光信号を第2のWDM部4Bに出力する。
【0157】
光受信部202は、第5のWDM部107Bと、4個の光復調部120とを有する。第5のWDM部107Bは、多段接続非対称MZ干渉計型の分波器である。第5のWDM部107Bは、多波長光源106からの光信号からλ1~λ4の光信号(局発光信号)を分波出力する。4個の光復調部120は、例えば、第1の光復調部120A、第2の光復調部120B、第3の光復調部120C及び第4の光復調部120Dである。
【0158】
各光復調部120は、コヒーレントフロントエンド121と、ADC(Analog-Digital Convertor)122と、データ復調部123とを有する。コヒーレントフロントエンド121は、受信光を局発光と干渉させ、受信光から抽出した光の電界情報信号を生成する。ADC122は、コヒーレントフロントエンド121から出力される電界情報信号をデジタル変換する。データ復調部123は、デジタル変換後の電界情報信号からデータ信号を復調する。
【0159】
実施例13の光送受信器1Lでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、光信号の送受信を実現できる。しかも、送信光源及び局発光源を共用することで部品数の削減を図る。
【実施例14】
【0160】
実施例1の光送信器1の代わりに実施例14の光送受信器1Mを採用しても良く、その実施の形態につき、実施例14として以下に説明する。
図22は、実施例14の光送受信器1Mの一例を示すブロック図である。尚、実施例13の光送受信器1Lと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0161】
実施例14の光送受信器1Mが実施例13の光送受信器1Lと異なるところは、第4のWDM部107A及び第5のWDM部107Bの代わりに、第6のWDM部107Cを配置した点にある。第6のWDM部107Cは、多段接続非対称MZ干渉計型の分波器である。第6のWDM部107Cは、多波長光源106からλ1~λ4の光信号を分波出力する。第6のWDM部107Cは、多波長光源106から分波したλ1の光信号を光送信部201A側の第1の光変調部3A及び光受信部202A側の第1の光復調部120Aに夫々出力する。第1の光変調部3Aは、λ1の光信号をデータ信号で変調し、変調後のλ1の水平偏波及び垂直偏波の光信号をWDM部4に出力する。また、第1の光復調部120Aは、受信光をλ1の局発光と干渉し、受信光からデータ信号を復調する。
【0162】
また、第6のWDM部107Cは、多波長光源106から分波したλ2の光信号を光送信部201A側の第2の光変調部3B及び光受信部202A側の第2の光復調部120Bに夫々出力する。第2の光変調部3Bは、λ2の光信号をデータ信号で変調し、変調後のλ2の水平偏波及び垂直偏波の光信号をWDM部4に出力する。また、第2の光復調部120Bは、受信光をλ2の局発光と干渉し、受信光からデータ信号を復調する。
【0163】
また、第6のWDM部107Cは、多波長光源106から分波したλ3の光信号を光送信部201A側の第3の光変調部3C及び光受信部202A側の第3の光復調部120Cに夫々出力する。第3の光変調部3Cは、λ3の光信号をデータ信号で変調し、変調後のλ3の水平偏波及び垂直偏波の光信号をWDM部4に出力する。また、第3の光復調部120Cは、受信光をλ3の局発光と干渉し、受信光からデータ信号を復調する。
【0164】
また、第6のWDM部107Cは、多波長光源106から分波したλ4の光信号を光送信部201A側の第4の光変調部3D及び光受信部202A側の第4の光復調部120Dに夫々出力する。第4の光変調部3Dは、λ4の光信号をデータ信号で変調し、変調後のλ4の水平偏波及び垂直偏波の光信号をWDM部4に出力する。また、第4の光復調部120Dは、受信光をλ4の局発光と干渉し、受信光からデータ信号を復調する。
【0165】
実施例14の光送受信器1Mでは、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4Bで導波路毎の光信号の位相バラツキを抑制しながら、光信号の送受信を実現できる。しかも、送信光及び局発光を分波する第6のWDM部107Cを共用することで部品を削減できる。
【0166】
尚、本実施例のヒータ量を調整して光信号の位相を調整する第1のヒータ部34A及び第2のヒータ部34Bを移相器として例示したが、移相器はヒータ部に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0167】
本実施例の光通信素子として、第1のWDM部4A及び第2のWDM部4B等の光合波器を例示したが、第3のWDM部107、第4のWDM部107A、第5のWDM部107B及び第6のWDM部107C等の光分波器に適用しても良く、適宜変更可能である。この場合、第3の可変カプラ21Cの第3の導波路対32Cを最上流とし、第3の可変カプラ21Cの第3の導波路対32C→第3の可変カプラ21Cの第2の導波路対32B→第3の可変カプラ21Cの第1の導波路対32A→第2の可変カプラ21Bの第3の導波路対32C→第2の可変カプラ21Bの第2の導波路対32B→第2の可変カプラ21Bの第1の導波路対32A→第1の可変カプラ21Aの第3の導波路対32C→第1の可変カプラ21Aの第2の導波路対32B→第1の可変カプラ21Aの第1の導波路対32Aの処理順序にしても良い。更に、この場合、制御部23は、第3の可変カプラ21C内の最下流の導波路対32から分岐した光信号のパワー量を検出し、このパワー量に基づき、第3の可変カプラ21C内の導波路対32毎の位相調整処理を実行する。制御部23は、第2の可変カプラ21B内の最下流の導波路対32から分岐した光信号のパワー量を検出し、このパワー量に基づき、第2の可変カプラ21B内の導波路対32毎の位相調整処理を実行する。制御部23は、第1の可変カプラ21A内の最下流の導波路対32から分岐した光信号のパワー量を検出し、このパワー量に基づき、第1の可変カプラ21A内の導波路対32毎の位相調整処理を実行する。
【0168】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0169】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0170】
1 光送信器
4 WDM部
4A 第1のWDM部
4B 第2のWDM部
21 可変カプラ
21A 第1の可変カプラ
21B 第2の可変カプラ
21C 第3の可変カプラ
22 検出部
23 制御部
31 固定カプラ
32 導波路対
33 ヒータ制御部
34A 第1のヒータ部
34B 第2のヒータ部
35 導波路