IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-空気調和装置の室外機 図1
  • 特許-空気調和装置の室外機 図2
  • 特許-空気調和装置の室外機 図3
  • 特許-空気調和装置の室外機 図4
  • 特許-空気調和装置の室外機 図5
  • 特許-空気調和装置の室外機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】空気調和装置の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/36 20110101AFI20240110BHJP
   F24F 1/44 20110101ALI20240110BHJP
   F24F 1/50 20110101ALI20240110BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F24F1/36
F24F1/44
F24F1/50
F24F13/22 222
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020053982
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021156445
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 慎弥
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-208376(JP,A)
【文献】特開2006-071162(JP,A)
【文献】実開昭59-124928(JP,U)
【文献】特開2000-104952(JP,A)
【文献】特開2019-020043(JP,A)
【文献】実開昭56-092057(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/06-1/68
F24F 13/22、13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に機器を格納可能な第一筐体を有し、
前記第一筐体は、
上面が略水平な板状の第一パネル部材と、
前記第一パネル部材に対して略直角に立設されており、上面視において前記第一パネル部材を囲むとともに、それぞれの上端が前記第一パネル部材の前記上面よりも上側に位置するように、前記第一パネル部材の上面視における外周部に接合されている板状の複数の第二パネル部材と、
を有し、
複数の前記第二パネル部材のうちの少なくとも1つの上端部には、前記第一パネル部材の前記上面よりも高い位置に位置する部分を含み、且つ底面が複数の前記第二パネル部材のうちの前記少なくとも1つの上端よりも低い位置に位置する切り欠きまたは貫通孔である排出部が設けられており、
上面視における前記第一パネル部材の外周部のうちの前記排出部が設けられている前記第二パネル部材が接合される部分には、下側に向かって延出する板状部が設けられており、
前記板状部に前記排出部が設けられている前記第二パネル部材が接合されている
空気調和装置の室外機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和装置の室外機であって、
前記排出部の底面は、前記第一パネル部材の前記上面と同じ高さであるか、または前記上面よりも低い、
空気調和装置の室外機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気調和装置の室外機であって、
前記第一パネル部材の前記上面は上面視において略長方形であり、
前記排出部が設けられている前記第二パネル部材は、前記第一パネル部材の上面視における外周部の短辺に接合されている、
空気調和装置の室外機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の空気調和装置の室外機であって、
前記空気調和装置は、冷媒を圧縮して吐出することにより冷媒回路に前記冷媒を循環させる圧縮機と、前記圧縮機の駆動力源でありガスを燃料として動作する内燃機関と、前記冷媒と外気との間で熱交換を行う室外熱交換器と、を有するガスヒートポンプ方式の空気調和装置であり、
前記第一筐体の上側に配置されており内部に機器を配置可能な第二筐体をさらに有し、
前記第一筐体の内部には前記圧縮機および前記内燃機関が格納されており、前記第二筐体の内部には前記室外熱交換器が格納されている、
空気調和装置の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスヒートポンプ(GHP)方式の空気調和装置の室外機は、例えば、筐体の上部空間(熱交換器室)に熱交換器およびファンが配置され、筐体の下部空間(エンジン室)にガスエンジン(内線機関)および圧縮機などが配置されるという構成を有している。そして、下部空間の内部に雨水などの液体が侵入することを防止するため、上部空間と下部空間とは仕切り板(ドレンパン)によって仕切られている。
【0003】
特許文献1に開示されている空気調和装置の室外機は、雨水などの液体が下部空間に浸入することを防止するため、上部空間と下部空間とを仕切る仕切り板の外周(四辺)に上側に延出する側壁部(長編側壁部および短辺側壁部)が設けられるとともに、仕切り板の四隅部に切り欠き状の液体排出部が設けられている。さらに、下部空間を囲む複数のパネル(下部空間とその外部とを仕切るパネル)の四隅部には、これらのパネルの一部分とパッキンとによって区画された排水経路が設けられている。このような構成であれば、仕切り板の上面に落下した雨水などの液体は、液体排出部から流出して排水経路を通じて流下する。このため、下部空間の内部に液体が浸入することが防止される。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、液体排出部の開口面積を大きくすると、それに合わせて排水経路の断面積を大きくしなければならない。そしてそのためには、パネルの端部およびパッキンの位置をずらさなければならず、パッキンの位置をずらすとパッキンを支えるために支柱を太くしなければならない。このため、製品コストが上昇する。つまり、特許文献1に開示されている構成では、製品コストを上昇させることなく、液体排出部の開口面積を大きくすることは困難である。そして、液体排出部の開口面積を大きくできないと、仕切り板の上面に落下した落ち葉や砂などの異物が排出されることなく留まり、見栄えが悪くなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-20043号公報
【発明の概要】
【0006】
(発明が解決しようとする課題)
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、仕切り板の上面に落下した液体および異物を排出するための排出部の寸法を大きくできる空気調和装置の室外機を提供することである。
【0007】
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するため、本発明に係る空気調和装置(10)の室外機(12)は、
内部に機器を格納可能な第一筐体(14)を有し、
前記第一筐体(14)は、
上面(165)が略水平な板状の第一パネル部材(ドレンパン(16))と、
前記第一パネル部材(ドレンパン(16))に対して略直角に立設されており、上面視において前記第一パネル部材(ドレンパン(16))の周囲を囲むとともに、それぞれの上端が前記第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面(165)よりも上側に位置するように、前記第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面視における外周部に接合されている板状の複数の第二パネル部材(下部外周パネル(32))と、
を有し、
前記複数の第二パネル部材(下部外周パネル(32))のうちの少なくとも1つ(サイドパネル(35))の上端部には、第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面(165)よりも高い位置に位置する部分を含み、且つ底面(355)が複数の前記第二パネル部材(下部外周パネル(32))のうちの前記少なくとも1つの上端よりも低い位置に位置する切り欠きまたは貫通孔である排出部(354a,354b)が設けられており、
上面視における前記第一パネル部材(ドレンパン(16))の外周部のうちの前記排出部(354a,354b)を有する前記第二パネル部材(サイドパネル(35))が接合される部分には、下側に向かって延出する板状部(第二板状部(162))が設けられており、
前記板状部(第二板状部(162))に前記排出部が設けられている前記第二パネル部材(サイドパネル(35))が接合されている。
【0008】
本発明がこのように構成されると、第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面(165)に落下した雨水などの液体および砂などの異物は、排出部(354a,354b)を通じて第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面(165)から排出される。そして、排出部(354a,354b)が第二パネル部材(サイドパネル(35))の上端部に設けられた切り欠きまたは開口部であると、排出部(354a,354b)の位置および寸法は第一筐体(14)を構成する他の部材の影響を受けない。したがって、雨水などの液体や砂などの異物の排出に充分な寸法の排出部(354a,354b)を設けることができる。このため、第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面(165)に雨水や砂などの異物が溜まらないようにできる。また、排出部(354a,354b)がこのような構成であると、第二パネル部材(サイドパネル(35))を製造する際(例えば金属板を切り出す際またはプレス加工する際)に、併せて排出部(354a,354b)を成形できるから、排出部(354a,354b)を成形するために特別な工程が不要である。さらに、排出部(354a,354b)を成形するために部材を別途用意しなくてもよい。したがって、空気調和装置(10)の室外機(12)の製造コストの上昇を招くことが無い。
【0009】
前記排出部(354a,354b)の底面(355)は、前記第一パネル部材(ドレンパン(16))の前記上面(165)と同じ高さであるか、または前記上面(165)よりも低い、という構成であってもよい。
【0010】
本発明がこのように構成されると、第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面(165)に雨水や砂などの異物が排出されずに滞留することが防止または抑制できる。すなわち、排出部(354a,354b)の底面(355)が第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面(165)よりも上側に位置していると、第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面に落下した雨水などの液体や砂などの異物が、排出部(354a,354b)の底面(355)を超えなければ排出されず、少なくとも一部が第二パネル部材(下部外周パネル(32))の上端部に堰き止められて滞留する。これに対して本発明がこのように構成されると、雨水などの液体や砂などの異物が第二パネル部材(下部外周パネル(32))の上端部に堰き止められることがない。
【0011】
前記第一パネル部材(ドレンパン(16))の前記上面(165)は上面視において略長方形であり、
前記排出部(354a,354b)が設けられている前記第二パネル部材(サイドパネル(35))は、前記第一パネル部材(ドレンパン(16))の上面視における外周部の短辺に接合されている、という構成であってもよい。
【0012】
このような構成であると、排出部(354a,354b)が目立たないようにできる。したがって、空気調和装置(10)の室外機(12)の見栄えの向上を図ることができる。
【0013】
空気調和装置(10)は、冷媒を圧縮して吐出することにより冷媒回路に前記冷媒を循環させる圧縮機(202)と、前記圧縮機(202)の駆動力源でありガスを燃料として動作する内燃機関(ガスエンジン(201))と、前記冷媒と外気との間で熱交換を行う室外熱交換器(206)と、を有するガスヒートポンプ方式の空気調和装置であり、
前記第一筐体(14)の上側に配置されている第二筐体(15)をさらに有し、
前記第一筐体(14)の内部には前記圧縮機(202)および前記内燃機関(ガスエンジン(201))が格納されており、前記第二筐体の内部には前記室外熱交換器(206)が格納されている、
という構成が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置の室外機の構成例を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る空気調和装置の室外機の構成例を示し外観斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に掛かる空気調和装置の室外機の第一筐体の構成例を示す図である。
図4図4は、排出部の構成例を示す斜視図である。
図5図5は、排出部の構成例を示す断面図である。
図6図6は、変形例に係る排出部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る空気調和装置10は、ガスヒートポンプ(GHP)方式の空気調和装置である。本発明の実施形態に係る空気調和装置10は室内機11と室外機12とを有している。以下の説明では、本発明の実施形態に係る空気調和装置10の室外機12を「本実施装置」と記すことがある。また、以下の説明における本実施装置12の上下方向および各部材の向きは、地面等に設置されている状態での方向を基準とする。各図においては、本実施装置12の上側を矢印Upで示し、下側を矢印Dwで示し、前側を矢印Frで示し、後ろ側を矢印Rrで示し、右側を矢印Rで示し、左側を矢印Lで示す。なお、本実施装置12の前後左右の各向きは、説明のための便宜上の向きである。
【0016】
まず、本実施装置12の全体構造について説明する。図1は、本実施装置12を含む空気調和装置10の構成例を示す模式図である。図2は、本実施装置12の構成例を示す斜視図である。本実施装置12は、筐体13を有し、この筐体13は、下部を構成する第一筐体14と、第一筐体14の上側に配置されて筐体13の上部を構成する第二筐体15とを有している。第一筐体14の内部には第一機器室141(エンジン室)が設けられており、第二筐体15の内部には第二機器室151(熱交換器室)が設けられている。そして、第一機器室141と第二機器室151とはドレンパン16によって区分けされている。
【0017】
第一機器室141には、ガスエンジン201と、圧縮機202と、四方弁203と、アキュムレータ204と、サブ熱交換器205とが格納されている。第二機器室151には、室外熱交換器206と送風機207とが格納されている。そして、これらの各機器および室内機11の室内熱交換器101は、冷媒が通過可能な冷媒パイプ208によって接続されており、冷媒回路を構成している。
【0018】
ガスエンジン201は圧縮機202の駆動力源であり、都市ガスまたはプロパンガスなどのガスを燃料として動作する内燃機関である。圧縮機202は、ガスエンジン201の駆動力によって動作することにより、冷媒を吸入して圧縮し、圧縮した高温高圧の冷媒を吐出する。四方弁203は、空気調和装置10の運転モード(冷房運転または暖房運転)に応じて冷媒の経路を切り替える。例えば、冷房運転時には、四方弁203は、圧縮機202が吐出した高温高圧の冷媒が室外熱交換器206に流入し、室内機11の室内熱交換器101から戻ってきた冷媒がアキュムレータ204に流入するように、冷媒の経路を切り替える。一方、暖房運転時には、四方弁203は、圧縮機202が吐出した高温高圧の冷媒が室内機11の室内熱交換器101に流入し、室外熱交換器206から戻ってきた冷媒がアキュムレータ204に流入するように、冷媒の経路を切り替える。アキュムレータ204は、圧縮機202に吸入される前の冷媒の気液分離を行う。サブ熱交換器205は、冷媒とガスエンジン201の冷却水との間で熱交換を行う。
【0019】
室外熱交換器206は、外気と冷媒との間で熱交換を行う。送風機207は、ファンとこのファンを回転させるモータなどの駆動力源とを有しており、室外熱交換器206を通過する空気の流れを作り出す。
【0020】
なお、上述した各機器の構成は特に限定されるものではなく、従来公知の構成が適用できる。さらに、第一筐体14の第一機器室141にはガスエンジン201および圧縮機202が格納され、第二筐体15の第二機器室152には室外熱交換器206が格納される構成であればよく、それら以外の機器の格納位置は特に限定されるものではない。
【0021】
次に、本実施装置12の筐体13について説明する。図2に示すように、本実施装置12の筐体13は略直方体であり、本実施装置12の筐体13の上面視における形状は略長方形である。以下の説明では、上面視における長方形の一方の長辺に対応する側を「前側」と記し、もう一方の長辺に対応する側を「後側」と称し、2つの短辺に対応する側をそれぞれ「右側」「左側」と記すことがある。そして、図2に示すように、筐体13は、第一筐体14と、第一筐体14の上側に設けられている第二筐体15とを有している。
【0022】
図3は、第一筐体14の構成例を示す斜視図である。図3に示すように、第一筐体14は、ベースパネル31と、複数の下部外周パネル32と、ドレンパン16とを有している。これらの部材は、第一筐体14の外装を構成する。このほか第一筐体14は、本実施装置12を地面等に固定するための脚部36を有している。
【0023】
ベースパネル31は、上面視の形状が略長方形の部材であり、第一筐体14の下部に位置している。ベースパネル31は、本体部311と、本体部311と一体に設けられている外周板状部312とを有している。本体部311は、本実施装置12が地面等に設置された状態で上面が略水平(重力方向に対して略直角)の板状の部分である(換言すると、本実施装置12は、ベースパネル31の本体部311の上面および後述するドレンパン16の本体部160の上面165が略水平となるように設置される)。外周板状部312は、本体部311から上側に向かって延出する板状の部分であり、上面視において本体部311の外周部に設けられている。このため、ベースパネル31は、全体として上側が開口する底の浅い箱状またはトレイ状の形状を有している。なお、外周板状部312には、下部外周パネル32を固定するためのネジ39を挿通可能なネジ挿通孔313が形成されている。ベースパネル31は、例えば金属材料(例えば鉄系の金属材料)からなり、プレス加工によって製造される。この場合、金属板の外周部をプレス加工によって上側に曲げ起こすことによって、外周板状部312を本体部311と一体に成形できる。
【0024】
脚部36は、ベースパネル31の下側に取り付けられている。なお、脚部36は、地面等に設置できる構成であればよく、具体的な構成は限定されない。
【0025】
下部外周パネル32は、本発明の第二パネル部材の例である。下部外周パネル32は、金属材料からなる部材であり、ベースパネル31および後述するドレンパン16の本体部160の上面165の面方向に対して略直角に立設されている。複数の下部外周パネル32は、それぞれ、第一筐体14の前側、後側、右側、及び左側に立設する。以下の説明では、第一筐体14の前側(上面視における長方形の一方の長辺に対応する側)の面(外装)を構成する下部外周パネル32を「フロントパネル33」と記し、後側(上面視における長方形もう一方の長辺に対応する側)の面を構成する下部外周パネル32を「リアパネル34」と記し、右側と左側(上面視における長方形の短辺に対応する側)の面を構成する下部外周パネル32を「サイドパネル35」と記すことがある。
【0026】
フロントパネル33およびリアパネル34は、いずれも前面視および後面視において略四辺形の平板状の部材であり、それらの上端(上辺)は略水平である。図2および図3においては、第一筐体14の前面に2枚のフロントパネル33が並列に配置される構成を示すが、フロントパネル33の枚数は限定されるものではなく、1枚のフロントパネル33が配置される構成または3枚以上のフロントパネル33が配置される構成であってもよい。同様に、リアパネル34の枚数も限定されるものではない。フロントパネル33とリアパネル34のそれぞれの下端部には、ベースパネル31と互いに固定するネジ39を挿通するためのネジ挿通孔331が設けられ、上端部には、ドレンパン16と互いに固定するネジ39を挿通するためのネジ挿通孔332が設けられている。左右方向の端部には、サイドパネル35と互いに固定するためのネジ39を挿通するためのネジ挿通孔333が設けられている。なお、これらのネジ挿通孔331,332,333の具体的な位置および数は限定されるものではない。
【0027】
右側と左側のサイドパネル35は、それぞれ本実施装置12の左右方向視において略四辺形であり、それらの上端は略水平である。これらのサイドパネル35は、それぞれ、本体部351と前側板状部352と後側板状部353とを有している。本体部351は、上下方向および前後方向に平行な平板状の部分である。本体部351の上端部には、上側が開口する切り欠きである排出部354aが設けられている。排出部354aは、ドレンパン16の本体部160の上面165に落下した雨水などの液体や砂などの異物(以下、「雨水等」と記すことがある)を上面165から排出するための経路である。なお、排出部354aの構成については後述する。本体部351の上端部であって排出部354aよりも下側には、ドレンパン16と互いに固定するためのネジ39を挿通するネジ挿通孔356が設けられている。本体部351の下端部には、ベースパネル31と互いに固定するためのネジ39を挿通するネジ挿通孔357が設けられている。
【0028】
サイドパネル35の前側板状部352および後側板状部353は、本体部351からもう一方のサイドパネル35の側に向かって延出する平板状の部分である。前側板状部352は本体部351の前端部に設けられており、後側板状部353は本体部351の後端部に設けられている。前側板状部352にはフロントパネル33と互いに固定するためのネジ39を挿通するネジ挿通孔358が設けられている。後側板状部353にはリアパネル34と互いに固定するためのネジ39を挿通するネジ挿通孔359が設けられている。前側板状部352および後側板状部353は、本体部351に一体に成形されている。サイドパネル35は、例えば金属材料(例えば鉄系の金属材料)からなり、プレス加工によって製造される。この場合、金属板の外周部をプレス加工によって曲げ起こすことによって、前側板状部352および後側板状部353を本体部351と一体に成形できる。
【0029】
ドレンパン16は、本発明の第一パネル部材の例である。ドレンパン16は、本体部160と、第一板状部161と、第二板状部162とを有している。ドレンパン16の本体部160は、その上面165が略水平で、上面視において略長方形の平板状の部分である。第一板状部161は、本体部160の上面視における外周部(長方形の四辺)のうち、フロントパネル33が配置される前側およびリアパネル34が配置される後側に位置する部分(長方形の長辺に対応する部分)から上側に向かって延出する平板状の部分である。第二板状部162は、本体部160の上面視における外周部のうち、サイドパネル35が配置される右側及び左側に位置する部分(長方形の短辺に対応する部分)から下側に向かって延出する平板状の部分である。つまり、ドレンパン16には、本体部160の前側の外周及び後側の外周から上方に立ち上がる第一板状部161及び、本体部160の右側の外周及び左側の外周から下方に立ち下がる第二板状部162が、それぞれ形成されている。第一板状部161には、フロントパネル33またはリアパネル34と互いに固定するためのネジ39を挿通するネジ挿通孔163が設けられている。第二板状部162には、サイドパネル35と互いに固定するためのネジ39を挿通するネジ挿通孔164が設けられている。このほか、ドレンパン16には、冷媒パイプ208を挿通するための開口部などが設けられている。
【0030】
次に、第一筐体14の組付け構造について説明する。図3に示すように、サイドパネル35の下端部はベースパネル31の左右両側に設けられている外周板状部312のそれぞれの外側に重ねられ、その状態でネジ39によりサイドパネル35とベースパネル31が互いに固定されている。なお、雨水等の浸入を防止するため、ベースパネル31の外周板状部312とサイドパネル35の間には、シール部材38が介在している。シール部材38は長尺の板状の部材であり、圧縮変形可能で耐水性を有する材料により形成されている。例えば、シール部材38には、ゴムや発泡樹脂(例えばスポンジ)などが適用できる。なお、シール部材38には、ネジ39を挿通するための貫通孔が開けられており、ベースパネル31とサイドパネル35とを互いに固定するネジ39はこの貫通孔を通過している。
【0031】
ベースパネル31の前側にはフロントパネル33が固定され、ベースパネル31の後側にはリアパネル34が固定される。具体的には、フロントパネル33とリアパネル34のそれぞれの下端部は、ベースパネル31の前後両側に設けられている外周板状部312のそれぞれに重ねられており、その状態でネジ39により互いに固定されている。なお、サイドパネル35の固定構造と同様に、ベースパネル31の外周板状部312とフロントパネル33とリアパネル34の下端部のそれぞれとの間には、シール部材38が介在している。
【0032】
さらに、フロントパネル33およびリアパネル34と左右のサイドパネル35とは、ネジ39によってたがいに固定されている。具体的には、左右のサイドパネル35の前側板状部352の外側(前側)にシール部材38を介してフロントパネル33の外周部が重ねられ、フロントパネル33と左右のサイドパネル35はその状態でネジ39によって互いに固定される。同様に、左右のサイドパネル35の後側板状部353の外側(後側)にシール部材38を介してリアパネル34の外周部が重ねられ、リアパネル34と左右のサイドパネル35はその状態でネジ39によって互いに固定される。
【0033】
なお、サイドパネル35は、本体部351と一体の前側板状部352および後側板状部353を有することによって(換言すると、サイドパネル35が単純な平板ではなく、前後両端部において折れ曲がっている部分が設けられることによって)、第一筐体14の強度部材として機能する。すなわち、サイドパネル35が、従来の支柱の機能を包含する。
【0034】
ドレンパン16は、フロントパネル33、リアパネル34およびサイドパネル35の上端部に固定される。具体的には、フロントパネル33の上端部の内周側(後側)にドレンパン16の前側の第一板状部161がシール部材38を介して重なるように配置され、フロントパネル33とドレンパン16とがネジ39によって互いに固定される。また、リアパネル34の上端部の内周側(前側)にドレンパン16の後側の第一板状部161がシール部材38を介して重なるように配置され、リアパネル34とドレンパン16とがネジ39によって互いに固定される。また、左右のサイドパネル35のそれぞれの上部の内周側にドレンパン16の左右の第二板状部162のそれぞれがシール部材38を介して重なるように配置され、左右のサイドパネル35とドレンパン16とがネジ39によって互いに固定される。このように、ドレンパン16は、フロントパネル33とリアパネル34と左右のサイドパネル35に囲まれた領域に配置されている。
【0035】
また、ドレンパン16に上記のようにしてフロントパネル33、リアパネル34及びサイドパネル35を固定すると、これらのパネル33,34,35のそれぞれの上端が、ドレンパン16の本体部160の上面165よりも上側に位置する。換言すれば、ドレンパン16の本体部160の上面165は、フロントパネル33、リアパネル34およびサイドパネル35の上端(上辺)よりも下側に位置している。なお、ドレンパン16の第一板状部161の上端(上辺)は、フロントパネル33およびリアパネル34の上端と同じ高さ位置である。
【0036】
このように、第一筐体14は、ベースパネル31、左右のサイドパネル35、フロントパネル33、リアパネル34、およびドレンパン16を有している。そして、これらの部材に囲まれる領域が第一機器室141である。
【0037】
ドレンパン16の上側には第二筐体15が配置される。図2に示すように、第二筐体15は、本実施装置12の外装の一部を構成する上部外周パネル152、メッシュパネル153および天板154を有している。そして、上部外周パネル152、メッシュパネル153、天板154および第一筐体14のドレンパン16によって第二機器室151が区画される。すなわち、上部外周パネル152、メッシュパネル153、天板154および第一筐体14のドレンパン16によって囲まれる空間が第二機器室151である。
【0038】
上部外周パネル152および天板154は、金属からなる板状の部材である。天板154には、排気用の開口部155(貫通孔)が設けられている。メッシュパネル153は、空気が通過可能な部材であり、例えば樹脂材料からなる網状の部材である。そして、上部外周パネル152およびメッシュパネル153は上下方向に立設されており、第二筐体15の外装の前面、後面および左右の側面を構成する。天板154は、上部外周パネル152およびメッシュパネル153の上側に配置されており、第二筐体15の外装の上面を構成する。このような構成によれば、第二筐体15の内部に格納されている送風機207が作動すると、外気がメッシュパネル153を通じて第二機器室151に流入し、第二筐体15の内部に格納されている室外熱交換器206を通過して天板154の開口部155から第二筐体15の外部に排出される。
【0039】
なお、第二機器室151に格納される各部材および各機器の配置構造は特に限定されない。ただし、ドレンパン16の本体部160の上面165に落下した雨水等の排出が妨げられないように、室外熱交換器206およびメッシュパネル153とドレンパン16の本体部160の上面165との間に隙間が存在する。また、上部外周パネル152は、排出部354aを塞がない位置に設けられる。すなわち、上部外周パネル152の下端がドレンパン16の本体部160の上面165に接していなければよい。例えば、上部外周パネル152は、その下辺がサイドパネル35の上辺と同じ高さ位置であるか、それ以上の高さ位置に配置される。
【0040】
次に、排出部354aについて説明する。図4は排出部354aの構成例を示す斜視図であり、図5は排出部354aの構成例を示す断面図である。図4および図5に示すように、排出部354aは上側が開口する切り欠き(換言すると、下側に向かって窪む凹部)であり、サイドパネル35の上端部に設けられている。ここで、上記したように、サイドパネル35の上端は、ドレンパン16の本体部160の上面165よりも上側に位置している。そして、排出部354aは、サイドパネル35のうちドレンパン16の本体部160の上面165よりも上側に位置する部分を含む位置に形成される。このように、ドレンパン16の本体部160の上面165は、上面165の前側及び後側の外周に設けられた第一板状部161および、上面165の右側及び左側の外周に配置されるサイドパネル35の上端部によって囲まれているとともに、サイドパネル35の上端部には切り欠き状の排出部354aが設けられている。
【0041】
このような構成であれば、ドレンパン16の本体部160の上面165に落下した雨水等は、排出部354aを介して排出されるから、ドレンパン16の本体部160の上面165に雨水等が溜まらないようにできる。また、ドレンパン16の本体部160の上面165は、上面165の前後左右の外周を囲むように配置されたフロントパネル33、リアパネル34および左右のサイドパネル35の上端よりも低い。このため、ドレンパン16の本体部160の上面165に落下した雨水等が排出部354aではない個所から排出されることが防止または抑制される。したがって、雨水等の排出の経路が限定されるため、雨水等が予期しない位置に流れることが防止される。
【0042】
そして、排出部354aがサイドパネル35に設けられている切り欠きであると、排出部354aの位置やサイズの制限が少ない。すなわち、特許文献1に記載の構成では、排出部354aの位置やサイズが筐体の支柱のサイズの影響を受ける。これに対して本実施装置12によれば、排出部354aの位置およびサイズが他の部材による影響を受けない。したがって、雨水等の排出に充分なサイズの排出部354aを設けることができる。また、排出部354aを目立たない位置(本実施装置12では左右の側面)に設けることによって、ドレンパン16の本体部160の上面165から流下する雨水等を目立たないようにできる。このため、本実施装置12の見栄えの向上に寄与する。なお、「雨水等の排出に充分なサイズ」は、ドレンパン16の本体部160の上面165の寸法などに応じて決まるものであり、限定されるものではない。
【0043】
さらに、このような構成の排出部354aであれば、サイドパネル35を製造する際に、工程を追加することなく排出部354aを成形できる。例えば、サイドパネル35をプレス加工により製造する場合には、プレスの際に排出部354aを成形できる。このように、排出部354aの成形のために特別の工程や材料が不要であるから、製造コストの増加を招かない。そして、排出部354aが設けられない構成と比較して、第一筐体14の組み立ての際に工程が増加することも複雑化することもない。
【0044】
そして、図5に示すように、排出部354aの底面355は、ドレンパン16の本体部160の上面165よりも下側に位置している。このような構成であれば、ドレンパン16の本体部160の上面165に落下した雨水等がドレンパン16の本体部160の上面165に溜まることが防止される。本実施形態では、排出部354aは左右方向視において略四辺形であり、その底面355は水平な平面(側面視において直線)である。そして、底面355の全域が、ドレンパン16の本体部160の上面165よりも下側に位置している。
【0045】
なお、排出部354aの底面355の高さ位置は、ドレンパン16の本体部160の上面165と同じであってもよい。すなわち、排出部354aの底面355の高さ位置は、ドレンパン16の本体部160の上面165の高さ位置と同じかそれよりも低ければよい。このような構成であれば、ドレンパン16の本体部160の上面165に落下した雨水等は、サイドパネル35に阻害されることなく、排出部354aから排出される。したがって、ドレンパン16の本体部160の上面165に雨水等が滞留することが防止される。このため、雨水等がたまってヘドロ化することが防止されるから、見栄えの向上を図ることができる。なお、排出部354aの底面355の高さ位置は、ドレンパン16の本体部160の第二板状部162の下端の高さ位置よりも高いのが良い。排出部354aの底面355の高さ位置が第二板状部162の下端の高さ位置よりも低いと、第二板状部162と排出部354aの底面355との間に隙間ができ、この隙間から第一筐体14内に雨水等が進入する虞がある。
【0046】
また、排出部354aの底面355は平面でなくてもよい。さらに、排出部354aの底面355の少なくとも一部が、ドレンパン16の本体部160の上面165の高さ位置と同じかそれよりも低ければよい。さらに、ドレンパン16の第二板状部162とサイドパネル35の間にシール部材38が介在する構成である場合には、シール部材38の上端が排出部354aの底面355と同じ高さ位置であるか、それによりも低ければよい。
【0047】
本実施装置12では図3に示すように、両側のサイドパネル35のそれぞれ(すなわち、本実施装置12の左右両側の面)に設けられる構成を示したが、一方のサイドパネル35にのみ設けられる構成であってもよい。また、排出部354aは、フロントパネル33とリアパネル34の少なくとも一方に設けられてもよい。そしてこの場合には、ドレンパン16の上面視における外周のうち、少なくとも排出部354aを有する下部外周パネル32が位置する部分に下側に向かって延出する第二板状部162が設けられる構成であればよく、他の部分には上側に延出する第一板状部163が設けられる構成であってもよい。すなわち、ドレンパン16の本体部160の外周の少なくとも一辺に下側に向かって延出する第二板状部162が設けられ、この第二板状部162に対向するパネル(フロントパネル33、リアパネル34、サイドパネル35の少なくとも1つ)に排出部354aが設けられる構成であればよい。
【0048】
さらに、図3においては、1つのサイドパネル35に1か所の排出部354aが設けられる構成を示したが、1つのサイドパネル35に設けられる排出部354aの数は限定されない。すなわち、1つのサイドパネル35に2か所以上の排出部354aが設けられる構成であってもよい。さらに、一方のサイドパネル35と他方のサイドパネル35とで設けられる排出部354aの数が相違してもよい。同様に、排出部354aがフロントパネル33およびリアパネル34に設けられる場合には、フロントパネル33およびリアパネル34に設けられる排出部354aの数は限定されない。
【0049】
また、前記実施形態では、排出部354aが切り欠き状である構成を示したが、図6に示すように、排出部354bが貫通孔状であってもよい。排出部354bが貫通孔である場合であっても、排出部354bの底面355(貫通孔の内周面のうち最も下側に位置する部分)の高さ位置は、前記同様に、ドレンパン16の本体部160の上面165と同じかそれよりも低い。排出部354bが貫通孔であっても、上記同様の効果を奏することができる。なお、図6においては、排出部354bである貫通孔が略四辺形である例を示したが、貫通孔の形状は四辺形に限定されない。
【0050】
このように、排出部354a,354bは、下部外周パネル32(上記実施形態ではサイドパネル35)の上端よりも低い位置に設けられている底面355を有し、底面355の上側(より厳密には、底面355よりも上側で、かつ、下部外周パネル32の上端よりも下側)を雨水等が通過できるように構成されていればよい。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において改変が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0052】
例えば、第一機器室141と第二機器室151に格納される機器は一例であり、前記実施形態に記載の機器に限定されない。第一機器室141に駆動力源であるガスエンジン201とこのガスエンジン201により動作する圧縮機202が格納され、第二機器室151に少なくとも室外熱交換器206が格納される構成であればよい。
【0053】
前記実施形態では、サイドパネル35が前側板状部352および後側板状部353を有し、これらが強度部材として機能する構成を示したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、ベースプレートの四隅部に上側に向かって起立する支柱が設けられており、この支柱によって第一筐体14の強度を確保する構成であってもよい。この場合には、フロントパネル33およびサイドパネル35は支柱にネジなどによって固定される構造が適用できる。
【0054】
また、前記実施形態では、室外機12の筐体13が上面視において長方形である例を示したが、筐体13の上面視の形状は長方形に限定されない。要は、ドレンパン16の本体部160の上面165が略水平な面であり、上面視においてドレンパン16を囲むように複数の下部外周パネル32が配置される構成であればよい。そして、複数の下部外周パネル32の少なくとも1つに排出部354a,354bが設けられる構成であればよい。したがって、筐体13の上面視の形状にかかわらず、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0055】
10…空気調和装置、12…空気調和装置の室外機、13…室外機の筐体、14…第一筐体、141…第一機器室、16…ドレンパン、160…ドレンパンの本体部、161…ドレンパンの第一板状部、162…ドレンパンの第二板状部、32…下部外周パネル、33…フロントパネル、34…リアパネル、35…サイドパネル、354a,354b…排出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6