IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-センサー付照明装置 図1
  • 特許-センサー付照明装置 図2
  • 特許-センサー付照明装置 図3
  • 特許-センサー付照明装置 図4
  • 特許-センサー付照明装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】センサー付照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/115 20200101AFI20240110BHJP
【FI】
H05B47/115
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020057475
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157966
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】久保 博樹
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-289473(JP,A)
【文献】特開2017-134792(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0215930(US,A1)
【文献】特開2017-016781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
G01S 7/00-7/42
13/00-13/95
G08B 13/00-15/02
19/00-21/24
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を放射する照明部と;
物体の動きを検知するセンサー部と;
前記センサー部の検知結果に応じて前記照明部を制御するコントロール部と;
を備えるセンサー付照明装置であって、
前記センサー部は、マイクロ波を発信するとともに、物体によって反射されたマイクロ波を受信し、発信するマイクロ波の発信強度を変更することが可能であり、
前記コントロール部は、前記センサー部の検知範囲を設定する設定モードを有し、前記設定モードにおいて、前記センサー部の発信強度を変化させ、前記センサー部によって受信されたマイクロ波の受信強度に基づいて、前記センサー部が発信するマイクロ波の発信強度を設定する、センサー付照明装置。
【請求項2】
前記コントロール部は、前記センサー部が発信するマイクロ波の発信強度を変化させるとともに、マイクロ波の発信強度に対するマイクロ波の受信強度の比を算出し、前記比が飽和し始めるときに前記センサー部が発信したマイクロ波の発信強度を前記センサー部が発信するマイクロ波の発信強度に設定する、請求項1に記載のセンサー付照明装置。
【請求項3】
前記コントロール部は、前記センサー部の検知結果に応じて前記照明部が一定時間のあいだ点灯するように、前記照明部を制御するとともに、その一定時間のあいだ、前記センサー部がマイクロ波の発信を一時的に停止するように、前記センサー部を制御する、請求項1または2に記載のセンサー付照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサー付照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロ波センサーを用いて人物の存・不在を検知して照明の点灯状態を変化させるマイクロ波センサー付照明が知られている。
【0003】
マイクロ波センサーは、人感センサーとして一般的な赤外線センサーと比較して、検知範囲が広い、環境影響を受けにくいなどの利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-256510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、その反面、マイクロ波センサーは、建築部材によっては、検知範囲が壁を通り越えて広がり、壁の向こうの人物の移動を不必要にとらえてしまうこともある。これは、マイクロ波センサー付照明の誤動作の原因となる。
【0006】
このような誤動作の発生が少なく動作するセンサー付照明装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るセンサー付照明装置は、照明光を放射する照明部と、物体の動きを検知するセンサー部と、前記センサー部の検知結果に応じて前記照明部を制御するコントロール部とを備える。前記センサー部は、マイクロ波を発信するとともに、物体によって反射されたマイクロ波を受信する。前記センサー部は、発信するマイクロ波の発信強度を変更することが可能である。前記コントロール部は、前記センサー部の検知範囲を設定する設定モードを有し、前記設定モードにおいて、前記センサー部の発信強度を変化させ、前記センサー部によって受信されたマイクロ波の受信強度に基づいて、前記センサー部が発信するマイクロ波の発信強度を設定する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によると、誤動作の発生が少なく動作するセンサー付照明装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るセンサー付照明装置のブロック図である。
図2図2は、図1に示されたセンサー部から発信されるマイクロ波の発信強度に対する反射率のグラフである。
図3図3は、図1に示されたセンサー付照明装置の設置例を示す平面図であり、図2において反射率が増大する範囲内にある発信強度において発信されたマイクロ波の様子を示している。
図4図4は、図1に示されたセンサー付照明装置の設置例を示す平面図であり、図2において反射率が飽和し始める発信強度において発信されたマイクロ波の様子を示している。
図5図5は、図1に示されたセンサー付照明装置の設置例を示す平面図であり、図2において反射率が飽和した範囲内にある発信強度において発信されたマイクロ波の様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態のセンサー付照明装置10は、照明光を放射する照明部20と、物体の動きを検知するセンサー部30と、前記センサー部30の検知結果に応じて前記照明部20を制御するコントロール部40とを備える。前記センサー部30は、マイクロ波を発信するとともに、物体によって反射されたマイクロ波を受信する。前記センサー部30は、発信するマイクロ波の発信強度を変更することが可能である。前記コントロール部40は、前記センサー部30によって受信されたマイクロ波の受信強度に基づいて、前記センサー部30が発信するマイクロ波の発信強度を設定する。
【0011】
〈センサー付照明装置の構成〉
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。図1は、実施形態に係るセンサー付照明装置のブロック図である。
【0012】
図1に示されるように、センサー付照明装置10は、照明光を放射する照明部20と、物体の動きを検知するセンサー部30と、照明部20とセンサー部30を制御するコントロール部40と、マイクロ波の発信強度の設定の開始を指示するスイッチ部50とを備える。
【0013】
照明部20は、照明光を生成する光源22と、光源22に電力を供給する電源24とを有する。
【0014】
光源22は、たとえば、LEDアレイで構成される。電源24は、施設電源から電力を受けて、光源22に供給する電力を出力する。施設電源の電力は交流電圧であり、光源22に供給する電力は直流電圧である。たとえば、施設電源は、100ボルトの交流電圧を供給し、電源24は、交流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する。光源22は、電源24からの電力供給を受けて、照明光を発する。電源24は、コントロール部40から供給される点灯信号Siによって、オン/オフが制御される。
【0015】
センサー部30は、マイクロ波を発受信する発受信部32と、発受信部32を制御する制御部34とを有する。
【0016】
発受信部32は、マイクロ波を発信するとともに、物体によって反射されたマイクロ波を受信する。発受信部32は、発信するマイクロ波の発信強度を変更することが可能である。
【0017】
制御部34は、発受信部32を制御する。たとえば、制御部34は、発受信部32が発信するマイクロ波の発信強度を制御する。制御部34はまた、発受信部32が受信したマイクロ波の受信信号を生成する。受信信号は、マイクロ波の受信強度と、マイクロ波の受信周波数を含む。
【0018】
たとえば、制御部34は、発受信部32のオン/オフすなわちマイクロ波の発信/停止を制御する。または、制御部34がマイクロ波の発信/停止を制御することなく、発受信部32がマイクロ波を発信し続ける構成であってもよい。
【0019】
たとえば、制御部34は、ASIC(特定用途向け集積回路)などを含むハードウエア回路によって構成される。または、制御部34は、プロセッサと、プロセッサに制御部34の機能を実施させるプログラムを記憶したメモリとで構成されてもよい。
【0020】
コントロール部40は、センサー部30に電力Psを供給するとともに、センサー部30と通信信号Ssによって通信する。コントロール部40とセンサー部30の間の通信は双方向通信である。通信信号Ssは、マイクロ波の発信強度の設定値、マイクロ波の発信強度の指定値、マイクロ波の受信強度、マイクロ波の受信周波数の信号を含む。また、通信信号Ssは、マイクロ波の発信/停止の指示の信号を含んでもよい。
【0021】
また、コントロール部40は、センサー部30からの通信信号Ssに基づいて、一定時間のあいだ、点灯信号Siを照明部20へ供給する。照明部20は、点灯信号Siが供給される間、電源24がオンになり、光源22は照明光を放射する。
【0022】
コントロール部40は、マイクロ波の発信強度の設定と点灯信号Siの生成をおこなう制御部42と、マイクロ波の発信強度の設定値を記憶するメモリ44と、制御部42とメモリ44に電力を供給する電源46とを有する。
【0023】
電源46は、施設電源から電力を受けて、制御部42とメモリ44に供給する電力を出力する。制御部42とメモリ44に供給する電力は直流電圧である。たとえば、電源46は、5ボルトの直流電圧を出力する。
【0024】
制御部42は、必要時、マイクロ波の受信強度に基づいて、マイクロ波の発信強度を設定する。また、制御部42は、マイクロ波の受信周波数に基づいて、点灯信号Siを生成する。
【0025】
たとえば、制御部42は、ASIC(特定用途向け集積回路)などを含むハードウエア回路によって構成される。または、制御部42は、プロセッサと、プロセッサに制御部42の機能を実施させるプログラムを記憶したメモリとで構成されてもよい。
【0026】
メモリ44は、制御部42によって設定されたマイクロ波の発信強度の設定値を記憶する。制御部42は、必要時、マイクロ波の発信強度の設定値をメモリ44から読み出してセンサー部30へ送信する。
【0027】
スイッチ部50は、設置者の操作に応じて、マイクロ波の発信強度の設定の開始信号をコントロール部40へ送信する。コントロール部40は、マイクロ波の発信強度の設定の開始信号を受けて設定モードに入り、マイクロ波の発信強度の設定を開始する。たとえば、スイッチ部50は、物理的なスイッチで構成される。または、スイッチ部50は、IRリモコンで構成されてもよい。あるいは、最初の電源投入時に、コントロール部40がマイクロ波の発信強度の設定を開始してもよい。この場合、スイッチ部50は省略されてもよいし、スイッチ部50を有していてもよい。
【0028】
〈マイクロ波の発信強度の設定〉
センサー付照明装置10は、ビルディングなどの建築物に設置される。図3図5は、センサー付照明装置10の設置例を示す平面図である。
【0029】
この設置例では、図3図5に示されるように、センサー付照明装置10は、階段84が置かれた階段室の踊り場の壁に設置される。階段84は、躯体84と壁90とドア86によって取り囲まれ、ドア86と壁90によって通路82と隔てられている。たとえば、躯体84はコンクリート製であり、壁90は、木製であり、ドア86は金属製である。コンクリート製の躯体84はマイクロ波を通さないが、木製の壁90はマイクロ波を通しやすく、金属製のドア86はマイクロ波を通しにくい。
【0030】
以下、図3図5の設置例を参考にして、マイクロ波の発信強度の設定について説明する。
【0031】
センサー付照明装置10の設置者は、設置終了後、建築物に含まれない余計な物体が存在しないことを確認したうえで、スイッチ部50を操作して、マイクロ波の発信強度の設定を指示する。これを受けて、スイッチ部50は、マイクロ波の発信強度の設定の開始信号をコントロール部40へ送信する。
【0032】
開始信号の受信に応じて、コントロール部40は、マイクロ波の発信強度の設定モードに入り、マイクロ波の発信強度の設定を開始する。設定モードでは、制御部42は、マイクロ波の発信の指示と発信強度の指定値の信号を生成し、これをコントロール部40がセンサー部30へ送信する。これを受けて、センサー部30では、制御部34は、発受信部32が指定値の発信強度でマイクロ波を発信するように、発受信部32を制御する。ここでは、発信強度の指定値は、センサー部30が発信し得るマイクロ波の発信強度の最小値である。
【0033】
さらに、制御部42は、マイクロ波の発信強度の指定値を最小値から最大値まで経時的に変化させる信号を生成し、これをコントロール部40がセンサー部30へ送信する。これを受けて、センサー部30では、制御部34は、発受信部32の発信するマイクロ波の発信強度が経時的に最小値から最大値まで変化するように、発受信部32を制御する。
【0034】
また、制御部34は、発受信部32が受信したマイクロ波の受信強度を含む受信信号を生成し、これをセンサー部30がコントロール部40へ送信する。
【0035】
コントロール部40は、マイクロ波の発信強度の指定値と、受信信号に含まれるマイクロ波の受信強度に基づいて、反射率を演算する。ここで、反射率は、マイクロ波の発信強度に対するマイクロ波の受信強度の比である。すなわち、マイクロ波の発信強度をIout、マイクロ波の受信強度をIinとすると、反射率は、Iin/Ioutで表される。
【0036】
図2は、センサー部30から発信されるマイクロ波の発信強度に対する反射率のグラフである。図2に示されるように、反射率は、発信強度が増大するにつれて、最初のうちは増大するが、途中からは一定になる。以下では、一定になることを、便宜上、飽和すると称する。言い換えると発信強度の変化に対する反射率の変化が所定値未満になることを反射率の比が飽和するという。発信強度とその反射強度とのデータから求められる反射率のデータは複数回測定した結果の平均値を用いても良い。
【0037】
図3は、反射率が増大する範囲内にある発信強度たとえばIにおいて発信されたマイクロ波の様子を示している。図3に示される状態では、マイクロ波が届く範囲は、センサー付照明装置10の近くに限られている。このため、マイクロ波を用いて人物の存・不在や物体の動きを検知できる範囲(マイクロ波による検知範囲)は相当に狭い。このことは、たとえば、人物が階段84に侵入したにもかかわらず、センサー付照明装置10が点灯しないといった誤動作を引き起こす要因となる。
【0038】
図5は、反射率が飽和した範囲内にある発信強度たとえばIにおいて発信されたマイクロ波の様子を示している。図5に示される状態では、マイクロ波が届く範囲は、壁90とドア86を超えて、通路82を横切って広がっている。このため、マイクロ波を用いて人物の存・不在や物体の動きを検知できる範囲は相当に広い。これは、通路82を通る人物を誤って検知してしまい、人物が階段84に侵入して来ていないもかかわらず、センサー付照明装置10が点灯してしまうといった誤動作を引き起こす要因となる。
【0039】
図4は、反射率が飽和し始める発信強度Iにおいて発信されたマイクロ波の様子を示している。図4に示される状態では、マイクロ波が届く範囲は、壁90とドア86を超えて広がっているが、金属製のドア86はマイクロ波を通しにくく、ドア86が閉まった状態では、通路82へのはみ出しはわずかである。このため、マイクロ波を用いて人物の存・不在や物体の動きを検知できる範囲は広すぎず狭すぎず適切な範囲であると言える。たとえば、階段84に侵入した人物は確実に検知するが、通路82を通る人物はほとんど検知しない。このときのマイクロ波の発信強度は適切であると言ってよい。
【0040】
以上の状況を踏まえ、コントロール部40は、反射率が飽和し始める発信強度Iを、センサー部30のマイクロ波の発信強度に設定する。コントロール部40はまた、発信強度の設定値をメモリ44に記憶させる。設定する発信強度は、厳密に反射率が飽和し始める発信強度Iである必要はなく、発信強度Iの近くの許容範囲内の値であってもよい。マイクロ波の発信強度の設定後、コントロール部40による制御のもと、センサー部30は設定値の発信強度でマイクロ波を発信する。
【0041】
〈監視動作と点灯制御〉
その後、センサー付照明装置10は、通常動作、すなわち、センサー部30による監視動作と照明部20の点灯制御に入る。
【0042】
センサー部30は、コントロール部40による制御のもと、前述したように設定された設定値の発信強度でマイクロ波を発信する。
【0043】
たとえば、コントロール部40は、センサー部30がマイクロ波を常に発信するように、センサー部30を制御する。
【0044】
または、コントロール部40は、センサー部30がマイクロ波を間欠的に発信するように、センサー部30を制御してもよい。この場合、たとえば、コントロール部40は、マイクロ波の2秒間の発信とそれに続くマイクロ波の1秒間の停止の指示信号を含む通信信号Ssをセンサー部30へ送信する。たとえば、指示信号は、マイクロ波の初回の発信信号に続く、2秒後の発信停止信号と1秒後の発信停止信号の繰り返しであってよい。これを受けて、センサー部30では、制御部34が、発受信部32を2秒間オンにしたのち1秒間オフにする動作を繰り返す。このような間欠的な発信においては、発受信部32の運転が間欠的に停止されるため、省電力に有効であるとともに、発受信部32の動作負荷が減り、発受信部32の長寿命化に有効である。
【0045】
制御部34はまた、発受信部32が受信したマイクロ波の受信周波数を含む通信信号Ssをコントロール部40へ送信する。コントロール部40において、制御部42は、マイクロ波の受信周波数を監視する。
【0046】
階段84への人物の侵入やドア86の開閉がない限り、マイクロ波の受信周波数は、多少のゆらぎや変動はあるものの、ほぼ一定である。以下では、この多少のゆらぎや変動を、便宜上、消灯時のゆらぎや変動と称する。これに対して、階段84への人物の侵入やドア86の開閉があると、ドップラー効果によって、マイクロ波の受信周波数は、消灯時のゆらぎや変動の幅を大きく超えて変化する。
【0047】
コントロール部40は、階段84への人物の侵入やドア86の開閉がないときのマイクロ波の受信周波数をメモリ44に記憶している。このときのマイクロ波の受信周波数を、便宜上、マイクロ波の基準受信周波数と称する。たとえば、制御部42は、センサー付照明装置10の設置時に、マイクロ波の基準受信周波数をメモリ44に記憶させる。また、制御部42は、照明部20の消灯時に、適宜、メモリ44に記憶されているマイクロ波の基準受信周波数を更新してもよい。
【0048】
制御部42は、センサー部30から送信されて来るマイクロ波の受信周波数と、メモリ44に記憶されているマイクロ波の基準受信周波数との差分を演算する。制御部42はまた、この差分が、消灯時のゆらぎや変動の幅よりも大きい所定のしきい値よりも大きいか否かを判断する。
【0049】
差分がしきい値よりも小さい場合は、制御部42は、これまでの動作を維持する。
【0050】
反対に、差分がしきい値よりも大きい場合は、制御部42は、一定時間のあいだ、点灯信号Siを生成し、これをコントロール部40が照明部20へ供給する。照明部20は、点灯信号Siが供給される間、電源24がオンになり、光源22は照明光を放射する。つまり、コントロール部40は、照明部20が一定時間のあいだ点灯するように、照明部20を制御する。
【0051】
これは、人物やドア86等の動きをセンサー部30が検知し、これに応じてコントロール部40が照明部20を点灯させた動作といってよい。照明部20が点灯している一定時間が経過する間に、センサー部30が人物やドア86等の動きを再び検知すれば、その都度、照明部20が点灯している時間は一定時間ずつ延長される。
【0052】
前述したように、マイクロ波を用いて人物の存・不在や物体の動きを検知できる範囲が適切な範囲になるように、マイクロ波の発信強度が設定されている。このため、センサー付照明装置10は、誤動作の発生が少なく動作する。
【0053】
これに加えて、コントロール部40は、照明部20が点灯しているあいだ、センサー部30によるマイクロ波の発信を一時的に停止するように、センサー部30を制御してもよい。たとえば、制御部42は、点灯信号Siの供給開始に遅れて、マイクロ波の発信を停止させるとともに所定時間の経過後に再びマイクロ波を発信させる指示信号を生成する。たとえば、指示信号は、マイクロ波の発信停止信号と、その所定時間後のマイクロ波の発信信号とであってよい。コントロール部40は、この指示信号を含む通信信号Ssをセンサー部30へ送信する。
【0054】
これを受けて、センサー部30では、制御部34が、発受信部32が所定時間のあいだマイクロ波の発信を停止し、その後、発受信部32が設定値の発信強度でマイクロ波を再び発信するように、発受信部32を制御する。
【0055】
点灯信号Siの供給開始に遅れてマイクロ波の発信が停止されるまでの時間と、再びマイクロ波が発信されるまでの時間との合計は、照明部20が点灯しているあいだの時間よりも短い。これは、マイクロ波による検知範囲内に人物が存在し続けていた場合に、瞬間的にでも照明が消えることを避けるためである。
【0056】
仮に、照明部20が点灯している一定時間の経過後にマイクロ波の発信が再開されるならば、すぐ直後に照明部20は点灯されるが、一瞬ではあるが照明部20が消灯してしまう。これは、センサー付照明装置10の好ましい動作ではない。
【0057】
このように、照明部20が点灯している間はセンサー部30によるマイクロ波の発信を停止することは、発受信部32の運転を間欠的に停止するため、センサー部30が人物等の動きを検知した後もマイクロ波を発信し続ける構成に比べて、省電力に貢献するとともに、発受信部32の動作負荷の軽減、発受信部32の長寿命化に貢献する。
【0058】
また、センサー付照明装置10の設置後にセンサー部30が常にマイクロ波を発信し続ける構成に比べて、発受信部32の動作負荷の軽減、発受信部32の長寿命化に大いに貢献する。
【0059】
以上に述べたように、実施形態のセンサー付照明装置10は、マイクロ波による検知範囲が適切な範囲になるようにマイクロ波の発信強度が設定されているため、誤動作の発生が少なく動作する。
【0060】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
例えば、上述した実施形態は、コントロール部40内の制御部42が反射率を演算する構成であるが、これに限らず、センサー部30内の制御部34が反射率を演算する構成であってもよい。
【0062】
また、照明部20の点灯の間のセンサー部30のマイクロ波の発信の休止に関して、コントロール部40がマイクロ波の発信の停止と再開のタイミングを指示する構成であるが、コントロール部40はマイクロ波の発信の停止のタイミングだけを指示し、発信の停止の指示を受けたセンサー部30が所定時間の経過後にマイクロ波の発信を再開する構成であってもよい。これは、制御部42と制御部34が受け持つ処理の分担を変更することで実施される。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 照明光を放射する照明部と;
物体の動きを検知するセンサー部と;
前記センサー部の検知結果に応じて前記照明部を制御するコントロール部と;
を備えるセンサー付照明装置であって、
前記センサー部は、マイクロ波を発信するとともに、物体によって反射されたマイクロ波を受信し、発信するマイクロ波の発信強度を変更することが可能であり、
前記コントロール部は、前記センサー部によって受信されたマイクロ波の受信強度に基づいて、前記センサー部が発信するマイクロ波の発信強度を設定する、センサー付照明装置。
[2] 前記コントロール部は、前記センサー部が発信するマイクロ波の発信強度を変化させるとともに、マイクロ波の発信強度に対するマイクロ波の受信強度の比を算出し、前記比が飽和し始めるときに前記センサー部が発信したマイクロ波の発信強度を前記センサー部が発信するマイクロ波の発信強度に設定する、[1]に記載のセンサー付照明装置。
[3] 前記コントロール部は、前記センサー部の検知結果に応じて前記照明部が一定時間のあいだ点灯するように、前記照明部を制御するとともに、その一定時間のあいだ、前記センサー部がマイクロ波の発信を一時的に停止するように、前記センサー部を制御する、[1]または[2]に記載のセンサー付照明装置。
【符号の説明】
【0063】
10…センサー付照明装置、20…照明部、22…光源、24…電源、30…センサー部、32…発受信部、34…制御部、40…コントロール部、42…制御部、44…メモリ、46…電源、50…スイッチ部、82…通路、84…階段、86…ドア、88…壁、90…壁。
図1
図2
図3
図4
図5