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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 1/02 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01P1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020057491
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156736
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 盛行
(72)【発明者】
【氏名】中村 正晴
(72)【発明者】
【氏名】長尾 理恵子
(72)【発明者】
【氏名】村松 宏基
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩市
(72)【発明者】
【氏名】小林 利成
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 元寿
(72)【発明者】
【氏名】金 京佑
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-17939(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0189783(US,A1)
【文献】特開2009-262548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 1/00- 3/80
G01D 5/00- 5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ素子と、
前記センサ素子に接続された配線部材と、
前記センサ素子と前記配線部材の端部を覆う第1樹脂成形部と、
前記第1樹脂成形部とは別に金型成形されて、前記第1樹脂成形部と一体的に組合わされた第2樹脂成形部と、
を備え、
前記第1樹脂成形部は、複数の樹脂切り用環状突部を有し、
前記第2樹脂成形部は、前記複数の樹脂切り用環状突部のうちの1つと連なった状態で、前記第1樹脂成形部の一部を覆う、センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記第1樹脂成形部と前記第2樹脂成形部とは、前記配線部材の端部のうち前記配線部材の延在方向において異なる領域を、別々直接的に覆う、センサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ装置であって、
前記第1樹脂成形部及び前記第2樹脂成形部は、前記配線部材の端部を連続的に覆う、センサ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセンサ装置であって、
前記複数の樹脂切り用環状突部は、第1樹脂切り用環状突部と、前記第1樹脂切り用環状突部よりも前記センサ素子から遠い位置に形成された第2樹脂切り用環状突部とを含み、
前記第2樹脂成形部は、前記第1樹脂成形部のうち前記第2樹脂切り用環状突部から前記配線部材が延出する側に向かう部分を覆う、センサ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセンサ装置であって、
前記複数の樹脂切り用環状突部は、第1樹脂切り用環状突部と、前記第1樹脂切り用環状突部よりも前記センサ素子から遠い位置に形成された第2樹脂切り用環状突部とを含み、
前記第2樹脂成形部は、前記第1樹脂成形部のうち前記第1樹脂切り用環状突部から前記配線部材が延出する側に向かう部分を覆う、センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、検出素子部に複数の出力電線部が接続されており、複数の出力電線部がシース電線としてまとめられていること、検出素子部とシース電線の端部とが樹脂モールド部内に埋設されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-096828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線部材の端部が樹脂モールド部内に埋設される構成において、配線部材の外周囲と樹脂モールド部との間の止水性をさらに向上させることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、配線部材の端部と樹脂成形部との間の止水性をさらに向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のセンサ装置は、センサ素子と、前記センサ素子に接続された配線部材と、前記センサ素子と前記配線部材の端部を覆う第1樹脂成形部と、前記第1樹脂成形部とは別に金型成形されて、前記第1樹脂成形部と一体的に組合わされた第2樹脂成形部と、を備えるセンサ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線部材の端部と樹脂成形部との間の止水性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態に係るセンサ装置を示す正面図である。
図2図2図1のII-II線断面図である。
図3図3図1のIII-III線断面図である。
図4図4は第2樹脂成形部を金型成形する工程例を示す説明図である。
図5図5は変形例に係るセンサ装置を示す断面図である。
図6図6は変形例に係る第2樹脂成形部を金型成形する工程例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のセンサ装置は、次の通りである。
【0011】
(1)センサ素子と、前記センサ素子に接続された配線部材と、前記センサ素子と前記配線部材の端部を覆う第1樹脂成形部と、前記第1樹脂成形部とは別に金型成形されて、前記第1樹脂成形部と一体的に組合わされた第2樹脂成形部と、を備えるセンサ装置である。本センサ装置によると、第1樹脂成形部と、第2樹脂成形部とが別々に金型成形されるため、配線部材に加わる熱影響が少なくなる。これにより、配線部材の収縮が抑制されることや、樹脂部の薄肉化によるヒケの抑制等によって、配線部材の端部と樹脂成形部との間の止水性をさらに向上させることができる。また、第1樹脂成形部と第2樹脂成形部とが組合わされることによって、センサ装置として望まれる所望の形状が形作られる。
【0012】
(2)(1)のセンサ装置であって、前記第1樹脂成形部と前記第2樹脂成形部とは、前記配線部材の端部のうち前記配線部材の延在方向において異なる領域を、別々直接的に覆ってもよい。第1樹脂成形部及び第2樹脂成形部のそれぞれが、配線部材の端部を直接的に覆う長さが短くなる。これにより、第1樹脂成形部及び第2樹脂成形部を金型成形する際において、金型空間内において配線部材を位置決めする箇所を無くしあるいは少なくすることができる。これにより、止水性がさらに向上する。
【0013】
(3)(2)のセンサ装置であって、前記第1樹脂成形部及び前記第2樹脂成形部は、前記配線部材の端部を連続的に覆ってもよい。前記第1樹脂成形部及び前記第2樹脂成形部は、前記配線部材の端部を連続的に覆うため、止水性がさらに向上する。
【0014】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの態様に係るセンサ装置であって、前記第1樹脂成形部は、複数の樹脂切り用環状突部を有し、前記第2樹脂成形部は、前記複数の樹脂切り用環状突部のうちの1つと連なった状態で、前記第1樹脂成形部の一部を覆ってもよい。第2樹脂成形部が第1樹脂成形部を覆う領域が、複数の樹脂切り用環状突部によって柔軟に調整され得る。
【0015】
(5)(4)のセンサ装置であって、前記複数の樹脂切り用環状突部は、第1樹脂切り用環状突部と、前記第1樹脂切り用環状突部よりも前記センサ素子から遠い位置に形成された第2樹脂切り用環状突部とを含み、前記第2樹脂成形部は、第1樹脂成形部のうち前記第2樹脂切り用環状突部から前記配線部材が延出する側に向かう部分を覆ってもよい。センサ素子から離れた部分を、第2樹脂成形部によって覆うことができる。
【0016】
(6)(4)のセンサ装置であって、前記複数の樹脂切り用環状突部は、第1樹脂切り用環状突部と、前記第1樹脂切り用環状突部よりも前記センサ素子から遠い位置に形成された第2樹脂切り用環状突部とを含み、前記第2樹脂成形部は、前記第1樹脂成形部のうち前記第1樹脂切り用環状突部から前記配線部材が延出する側に向かう部分を覆ってもよい。センサ素子に近い部分を、第2樹脂成形部によって覆うことができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のセンサ装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
[実施形態]
以下、実施形態に係るセンサ装置について説明する。図1はセンサ装置10を示す正面図である。図2図1のII-II線断面図である。図3図1のIII-III線断面図である。図2においてセンサ素子20と内部ホルダ部40と配線部材30については、断面ではなく外形状が示されている。
【0019】
センサ装置10は、センサ素子20と、配線部材30と、第1樹脂成形部50と、第2樹脂成形部60とを備える。センサ素子20は、配線部材30に接続されている。第1樹脂成形部50は、センサ素子20と配線部材30の端部を覆っている。第2樹脂成形部60は、第1樹脂成形部50とは別に金型成形された部分である。第2樹脂成形部60は、第1樹脂成形部50と一体的に組合わされる。第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とは、別々に金型成形されて、一体的な樹脂成形部となって、センサ素子20と配線部材30の端部を覆っている。
【0020】
より具体的には、センサ素子20は、磁気、光、温度等の物理量或いはそれらの変化量を検出する素子である。ここでは、センサ素子20は、素子本体部22と、リード部24とを備える。素子本体部22は、例えば,方形状に形成される。リード部24は、金属等によって形成された細長い部分である。リード部24は、素子本体部22から外方に延出している。センサ素子20の出力信号は、リード部24を介して外部に出力される。本センサ装置10は、例えば、車両における車輪の回転速度を検出するセンサとして用いられる。より具体的には、本センサ装置10は、ABS(アンチロックブレーキシステム)用のセンサとして用いられてもよい。
【0021】
配線部材30は、センサ素子20に接続されている。配線部材30は、少なくとも1つの線状導体を含む。ここでは、配線部材30は、複数(ここでは2本)の電線32を含む。電線32は、導体である芯線32aと、芯線32aの周囲を覆う絶縁被覆32bとを備える。複数の電線32は束ねられた状態でシース34によって覆われている。シース34は、樹脂等によって形成された被覆である。シース34の端部から複数の電線32が延出している。複数の電線32の端部において芯線32aが露出している。複数の電線32のそれぞれの端部の芯線32aが、上記リード部24に接続される。芯線32aとリード部24との接続は、例えば、はんだ付け、圧着によりなされてもよい。配線部材は、1つの電線であってもよい。配線部材は複数の電線がシースによって覆われずに露出した状態で束ねられた部材であってもよい。
【0022】
第1樹脂成形部50は、センサ素子20と配線部材30の端部とを覆っている。ここでは、センサ素子20と、センサ素子20と配線部材30との接続部とが、内部ホルダ部40によって一定姿勢に保持されている。内部ホルダ部40は、例えば、センサ素子20と、リード部と芯線32aとの接続部分をインサート部分として、金型成形された樹脂成形部分である。センサ素子20と、センサ素子20と配線部材30との接続部とが、内部ホルダ部40によって保持された部品は、中間部品40Mであると把握されてもよい。かかる中間部品40Mをインサート部分として、第1樹脂成形部50を金型成形することで、センサ素子20が第1樹脂成形部50内において正確な位置に埋設される。また、内部ホルダ部40を覆うように第1樹脂成形部50を金型成形することによって、センサ素子20に対する止水性が高められる。なお、内部ホルダ部40は、センサ素子20等をインサート部分として、金型成形された部品であることは必須ではない。例えば、内部ホルダ部40は、センサ素子20等を嵌め込み可能な形状に金型成形されており、これにセンサ素子20等が嵌め込まれてもよい。また、センサ装置10が内部ホルダ部40を備えることは必須ではない。第1樹脂成形部50は、センサ素子20を直接覆ってもよい。
【0023】
第1樹脂成形部50は、内部ホルダ部40を介してセンサ素子20を覆っている。また、第1樹脂成形部50は、配線部材30の端部、ここでは、シース34の端部を覆っている。つまり、第1樹脂成形部50は、センサ素子20からシース34の端部に至る部分を覆っている。かかる第1樹脂成形部50は、センサ素子20と当該センサ素子20に接続された配線部材30の端部とを、一定の位置関係に保つように覆う部材である。
【0024】
第2樹脂成形部60は、第1樹脂成形部50とは別に金型成形された部分であり、第1樹脂成形部50と一体的に組合わされる。なお、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とは、別々に金型成形されていることから、それらが同じ材料で形成されていたとしても、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60との間には境界が現れることが考えられる。
【0025】
第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とは、配線部材30の端部のうち配線部材30の延在方向において異なる領域を、別々に直接的に覆っている。ここでは、第2樹脂成形部60は、第1樹脂成形部50のうち配線部材30が延出する側の部分を覆っている。さらに、第2樹脂成形部60は、第1樹脂成形部50に対して配線部材30が延出する側に延出し、第1樹脂成形部50から延出する配線部材30のシース34も覆っている。つまり、センサ素子20に接続された配線部材30の端部のうちセンサ素子20により近い部分が第1樹脂成形部50によって直接的に覆われ、センサ素子20からより遠い部分が第2樹脂成形部60によって直接的に覆われる。
【0026】
第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とが、配線部材30の端部を、別々に直接的に覆うことは必須ではない。例えば、第2樹脂成形部は、第1樹脂成形部の外周側に形成されており、配線部材を直接的に覆わなくてもよい。また、第2樹脂成形部60が第1樹脂成形部50を覆っていることは必須ではない。例えば、第2樹脂成形部が、第1樹脂成形部のうち配線部材が延出する側の端部に連なっていてもよい。
【0027】
第1樹脂成形部50は、配線部材30の端部をその延在方向に沿って連続的に覆っており、第2樹脂成形部60も配線部材30の端部をその延在方向に沿って連続的に覆っている。ここで、第1樹脂成形部50或いは第2樹脂成形部60が配線部材30の端部を連続的に覆うとは、途中で配線部材30を露出させることなく、第1樹脂成形部50或いは第2樹脂成形部60が配線部材30の端部を覆っていることをいう。つまり、第1樹脂成形部50及び第2樹脂成形部60の途中に、第1樹脂成形部50及び第2樹脂成形部60を金型成形する際に、配線部材30を位置決めするための位置決めピンの跡が存在しない。
【0028】
第2樹脂成形部60に、固定部38が固定されている。ここでは、第2樹脂成形部60の長手方向中間部に固定部38が固定される。固定部38は、第2樹脂成形部60の周囲に固定されるセンサ側固定部38aと、当該センサ側固定部38aから外方向に突出する車体側固定部38bとを含む。センサ側固定部38aには、第2樹脂成形部60が配置される貫通孔38ahが形成されている。車体側固定部38bには、ネジ止孔38bhが形成されている。固定部38が金型内に位置決めされた状態で、第2樹脂成形部60が金型成形されるとよい。これにより、固定部38が第2樹脂成形部60の外周部に固定される。固定部38の貫通孔38ahに第2樹脂成形部60が嵌め込まれることによって、固定部38が第2樹脂成形部60に固定されてもよい。このように、第2樹脂成形部60は、固定部38を固定するための形状部分を形作る部分であると把握されてもよい。
【0029】
このように構成されたセンサ装置10によると、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とが別々に金型成形されるため、配線部材30に加わる熱影響が少なくなる。例えば、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60に相当する部分が1つの樹脂成形部として金型成形されるとすると、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とに対応する量の加熱溶融樹脂が配線部材30の周りに供給される。このため、配線部材30に加わる熱的影響が大きくなる可能性がある。これに対して、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とが別々に金型成形されると、第1樹脂成形部50に対応する加熱溶融樹脂と、第2樹脂成形部60に対応する加熱溶融樹脂とが小分けして、配線部材30の周りに供給される。このため、配線部材30に加わる温度が小さくなり、また、高温に保たれる時間も短くなる。これにより、配線部材30に加わる熱影響が少なくなる。これにより、配線部材30の熱膨張が抑制され、また、その後の配線部材30の収縮も抑制される。また、小分けによって第1樹脂成形部50を薄肉化できてヒケも抑制される。これらにより、配線部材30と第1樹脂成形部50との密着性が向上し、配線部材30の端部と第1樹脂成形部50との間の止水性がさらに向上する。また、同様に、配線部材30と第2樹脂成形部60との密着性が向上し、配線部材30の端部と第2樹脂成形部60との間の止水性がさらに向上する。また、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とが組合わされることによって、センサ装置10として望まれる所望の形状が形作られる。例えば、第1樹脂成形部50によって、センサ素子20から延出する配線部材30の形状を一体に保ち、第2樹脂成形部60によって固定部38を所定位置で所定姿勢に保持する形状が実現される。
【0030】
また、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とのそれぞれが、配線部材30の端部のうち配線部材30の延在方向において異なる領域を、別々に直接的に覆うことで、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とのそれぞれが、配線部材30の端部を直接的に覆う長さが短くなる。これにより、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60を金型成形する際において、金型空間内において配線部材30を位置決めする箇所を無くし、或いは、少なくすることができる。これにより、止水性がさらに向上する。
【0031】
なお、この場合において、配線部材の端部に筒状の弾性部材、粘着テープ等の外装部材が外装されており、外装部材が配線部材の一部となっていてもよい。この場合、第1樹脂成形部50及び第2樹脂成形部60の少なくとも一方は、外装部材を直接的に覆うことで、配線部材を直接的に覆う。
【0032】
上記のように、第1樹脂成形部50及び第2樹脂成形部60において、配線部材30の保持長が短くなり、位置決めピンを設ける必要がなくなれば、上記実施形態のように、第1樹脂成形部50及び第2樹脂成形部60が、配線部材30の端部を連続的に覆う構成を容易に実現し得る。これにより、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60と、配線部材30との間における止水性がさらに向上する。
【0033】
また、上記センサ装置10において、第1樹脂成形部50は、複数の樹脂切り用環状突部56、58を有する。ここでは、複数の樹脂切り用環状突部56、58は、第1樹脂切り用環状突部56と、第2樹脂切り用環状突部58とを含む。センサ素子20から配線部材30が延出する方向において、センサ素子20に対する第1樹脂切り用環状突部56と、第2樹脂切り用環状突部58との距離が異なっている。第2樹脂切り用環状突部58は、第1樹脂切り用環状突部56よりもセンサ素子20から遠い位置に形成されている。
【0034】
ここでは、第1樹脂切り用環状突部56は、第1樹脂成形部50のうち素子本体部分が埋設される部分に形成される。第1樹脂切り用環状突部56は、第1樹脂成形部50の外周方向に沿って外向けに突出する環状突起形状に形成されている。第1樹脂切り用環状突部56のうち配線部材30が延出する側の面は、突出方向外側(外周側)に向けて徐々に配線部材30から離れる方向に向う封止面56fに形成されている。封止面56fも、第1樹脂切り用環状突部56の周方向に沿って環状に設けられる。
【0035】
第2樹脂切り用環状突部58は、第1樹脂成形部50のうちセンサ素子20から配線部材30が延出する側に離れた位置に設けられる。ここでは、第2樹脂切り用環状突部58は、第1樹脂成形部50の長手方向中間部に形成される。第2樹脂切り用環状突部58は、第1樹脂成形部50の外周方向に沿って外向けに突出する環状突起形状に形成されている。第2樹脂切り用環状突部58のうち配線部材30が延出する側の面は、突出方向外側(外周側)に向けて徐々に配線部材30から離れる方向に向う封止面58fに形成されている。封止面58fも、第2樹脂切り用環状突部58の周方向に沿って環状に設けられる。
【0036】
第2樹脂成形部60は、複数の樹脂切り用環状突部56、58のうち1つと連なった状態で、第1樹脂成形部50の一部を覆っている。本実施形態では、第2樹脂成形部60は、第1樹脂成形部50のうち第2樹脂切り用環状突部58から配線部材30が延出する側に向う部分を覆い、さらに、第1樹脂成形部50から延出する配線部材30の端部を覆っている。
【0037】
上記第2樹脂切り用環状突部58は、第2樹脂成形部60を金型成形する際に、金型空間と外部空間とを分離させて、金型空間に充填された加熱溶融樹脂が外部に漏れることを抑制する役割を果すことができる。図4は第2樹脂成形部60を金型成形する工程例を示す説明図である。
【0038】
同図に示すように、第2樹脂成形部60を金型成形する際には、中間部品40M等を覆う第1樹脂成形部50を金型90に対して位置決めする必要がある。この場合において、第1樹脂成形部50の一部が金型90の金型空間内に配設され、第1樹脂成形部50の他の一部は金型空間に対して外側の外部空間に配置される。第1樹脂成形部50のうち金型空間から出る部分では、金型空間内の樹脂が漏れる隙間を可及的に塞ぐことが好ましい。そこで、第2樹脂切り用環状突部58を金型90外に配設し、第2樹脂切り用環状突部58の封止面58fを金型90に押付けるようにする(矢符P参照)。これにより、金型90と第1樹脂成形部50との隙間が可及的に塞がれる。
【0039】
上記複数の樹脂切り用環状突部56、58は、互いに異なる形状の第2樹脂成形部を形成するのに役立つ。すなわち、上記したように、第1樹脂成形部50と第2樹脂成形部60とが組合わされることによって、センサ装置10として望まれる所望の形状が形作られ、例えば、第2樹脂成形部60によって、固定部38の保持位置等が決定される。図5に示すセンサ装置110のように、第2樹脂成形部60を他の形状の第2樹脂成形部160に変更することによって、固定部38の保持位置等を変更することが考えられる。図5に示す例では、第1樹脂成形部50は、上記センサ装置10における第1樹脂成形部50と共通する構成とされている。第2樹脂成形部60に対応する第2樹脂成形部160は、第1樹脂成形部50のうち第1樹脂切り用環状突部56から配線部材30が延出する側に向う部分を覆い、さらに、第1樹脂成形部50から延出する配線部材30の端部を覆っている。第2樹脂切り用環状突部58は、第2樹脂成形部160内に埋っている。この第2樹脂成形部160の長手方向中間部に固定部38が固定される。より具体的には、固定部38のセンサ側固定部38aが第1樹脂切り用環状突部56と第2樹脂切り用環状突部58との間に固定される。例えば、第2樹脂成形部160を金型成形する際に、センサ側固定部38aが金型190内に位置決めされた状態で、第2樹脂成形部160が金型成形されることによって、センサ側固定部38aが第2樹脂成形部160に固定される。センサ装置110における固定部38は、センサ装置10の固定部38と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0040】
上記第1樹脂切り用環状突部56は、第2樹脂成形部160を金型成形する際に、金型空間と外部空間とを分離させて、金型空間に充填された加熱溶融樹脂が外部に漏れることを抑制する役割を果す。図6は第2樹脂成形部160を金型成形する工程例を示す説明図である。
【0041】
同図に示すように、第2樹脂成形部160を金型成形する際には、中間部品40M等を覆う第1樹脂成形部50を金型190に対して位置決めする必要がある。この場合において、第1樹脂成形部50の一部が金型190の金型空間内に配設され、第1樹脂成形部50の他の一部は金型空間に対して外側の外部空間に配置される。第2樹脂成形部160は、第1樹脂成形部50を、上記第2樹脂成形部60よりも多くの領域で覆う。このため、第1樹脂成形部50のより多くの部分が金型190内に配置される。第1樹脂成形部50のうち金型空間から出る部分では、金型空間内の樹脂が漏れる隙間を可及的に塞ぐことが好ましいが、第1樹脂成形部50が金型空間から出る位置は、図4に示す位置とは異なっている。第2樹脂成形部160を金型成形する際には、第1樹脂切り用環状突部56を金型90外に配設し、第1樹脂切り用環状突部56の封止面56fを金型90に押付けるようにする(矢符P参照)。これにより、金型90と第1樹脂成形部50との隙間が可及的に塞がれる。これにより、第2樹脂成形部160を金型成形するための樹脂が金型90から外部に漏れ難くなる。

【0042】
このように、第1樹脂成形部50が複数の樹脂切り用環状突部56、58を有することによって、第2樹脂成形部60、160が第1樹脂成形部50を覆う領域が、柔軟に調整され得る。これにより、共通する第1樹脂成形部50に対して異なる形状の第2樹脂成形部60、160を容易に形成することができる。異なる形状の第2樹脂成形部60、160は、例えば、固定部38の固定位置変更等に貢献することができる。
【0043】
特に、第1樹脂切り用環状突部56と第2樹脂切り用環状突部58とが、センサ素子20に対する距離を変えて形成されることにより、第1樹脂成形部50のうちセンサ素子20から離れた部分を覆う第2樹脂成形部60と、第1樹脂成形部50のうちセンサ素子20近くの部分を覆う第2樹脂成形部160とを選択的に金型成形することができる。かかる第2樹脂成形部60、160の形成領域を異ならせることによって、固定部38の固定位置を、センサ素子20の近くに設定したり、センサ素子20の遠くに設定したりすることができる。
【0044】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0045】
10、110 センサ装置
20 センサ素子
22 素子本体部
24 リード部
30 配線部材
32 電線
32a 芯線
32b 絶縁被覆
34 シース
38 固定部
38a センサ側固定部
38ah 貫通孔
38b 車体側固定部
38bh ネジ止孔
40 内部ホルダ部
40M 中間部品
50 第1樹脂成形部
56 第1樹脂切り用環状突部
56f、58f 封止面
58 第2樹脂切り用環状突部
60、160 第2樹脂成形部
90、190 金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6