(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】内燃機関の吸気装置
(51)【国際特許分類】
F02M 35/12 20060101AFI20240110BHJP
F02M 35/04 20060101ALI20240110BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20240110BHJP
F02M 35/104 20060101ALI20240110BHJP
B60K 13/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F02M35/12 A
F02M35/04 C
F02M35/10 101M
F02M35/10 301P
F02M35/104 H
B60K13/02 C
(21)【出願番号】P 2020079532
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】町野 厚己
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-173721(JP,A)
【文献】特開2011-74762(JP,A)
【文献】特開2001-99023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
B60K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気筒列が車幅方向に延びる内燃機関の上方に設置され、上流端部に設けられた吸気口から空気を吸い込む吸気ダクトと、
前記内燃機関の上方に設置され、前記吸気ダクトから導入される吸入空気を浄化するエアクリーナと、
連通部によって前記吸気ダクトに連通する容積部を有し、前記容積部が前記エアクリーナの近傍に設置されるレゾネータと、
前記レゾネータの後方に位置するように前記内燃機関の後方に設置され、前記エアクリーナによって浄化された吸入空気が導入される吸気マニホールドとを備え、
前記容積部は、前記内燃機関の気筒列方向に延びる前壁部を有し、
前記容積部は、前記前壁部が前記エアクリーナの前端よりも後方で、かつ、前記エアクリーナの後端より前方に位置するように前記エアクリーナと前記気筒列方向で並ぶように設置されており、
前記前壁部は、前記エアクリーナから離れる一端部が、前記エアクリーナに近づく他端部よりも車両の前方に突出し
、かつ前記一端部から前記他端部に向かうにつれて車両後側および前記エアクリーナ側に向かうように湾曲していることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】
前記吸気ダクトは、前記前壁部よりも前方に設置され、前記前壁部の下側の部分と前後方向に対向して前記気筒列方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項3】
前記吸気ダクトの下流端部は、前記エアクリーナ
の気筒列方向に向いた側面の前側
部に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される内燃機関の吸気装置として、特許文献1に記載されるものが知られている。特許文献1に記載される吸気装置は、エンジンの前側の上方にエアクリーナが設置されており、エアクリーナの一側面には吸気ダクトの下流端部が連結されている。
【0003】
エアクリーナの一側面にはレゾネータが取付けられており、レゾネータは、エアクリーナの一側面から前方に向かって延び、吸気ダクトの途中に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近時の四輪自動車にあっては、フロントバンパの開口面積を低減してエンジンルームに取り入れられる空気量を最小限にすることにより、空気抵抗を低減している。
【0006】
しかしながら、エンジンルームに取り入れられる空気量を最小限にすると、エンジンルームの内部の温度が上昇し、吸気装置を流れる吸入空気の温度が上昇する。
【0007】
従来の吸気装置では、フロントバンパの開口面積を低減した場合に吸気装置を流れる吸入空気の温度を低下させることが考慮されていないので、エンジンに導入される吸入空気の密度が低くなって内燃機関の充填効率が低下し、内燃機関の出力性能と燃費が悪化するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、エンジンルームに空気を取り入れるための開口面積が低減された場合であっても、吸気温度を下げて内燃機関の充填効率を向上でき、内燃機関の出力性能と燃費を向上できる内燃機関の吸気装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、気筒列が車幅方向に延びる内燃機関の上方に設置され、上流端部に設けられた吸気口から空気を吸い込む吸気ダクトと、前記内燃機関の上方に設置され、前記吸気ダクトから導入される吸入空気を浄化するエアクリーナと、連通部によって前記吸気ダクトに連通する容積部を有し、前記容積部が前記エアクリーナの近傍に設置されるレゾネータと、前記レゾネータの後方に位置するように前記内燃機関の後方に設置され、前記エアクリーナによって浄化された吸入空気が導入される吸気マニホールドとを備え、前記容積部は、前記内燃機関の気筒列方向に延びる前壁部を有し、前記容積部は、前記前壁部が前記エアクリーナの前端よりも後方で、かつ、前記エアクリーナの後端より前方に位置するように前記エアクリーナと前記気筒列方向で並ぶように設置されており、前記前壁部は、前記エアクリーナから離れる一端部が、前記エアクリーナに近づく他端部よりも車両の前方に突出し、かつ前記一端部から前記他端部に向かうにつれて車両後側および前記エアクリーナ側に向かうように湾曲していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように上記の本発明によれば、エンジンルームに空気を取り入れるための開口面積が低減された場合であっても、吸気温度を下げて内燃機関の充填効率を向上でき、内燃機関の出力性能と燃費を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関の正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関を右斜め前方から見た図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関の右側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態に係る内燃機関の吸気装置は、気筒列が車幅方向に延びる内燃機関の上方に設置され、上流端部に設けられた吸気口から空気を吸い込む吸気ダクトと、内燃機関の上方に設置され、吸気ダクトから導入される吸入空気を浄化するエアクリーナと、連通部によって吸気ダクトに連通する容積部を有し、容積部がエアクリーナの近傍に設置されるレゾネータと、レゾネータの後方に位置するように内燃機関の後方に設置され、エアクリーナによって浄化された吸入空気が導入される吸気マニホールドとを備え、容積部は、内燃機関の気筒列方向に延びる前壁部を有し、前壁部は、エアクリーナから離れる一端部が、エアクリーナに近づく他端部よりも車両の前方に突出している。
【0013】
これにより、本発明の一実施の形態に係る内燃機関の吸気装置は、エンジンルームに空気を取り入れるための開口面積が低減された場合であっても、吸気温度を下げて内燃機関の充填効率を向上でき、内燃機関の出力性能と燃費を向上できる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の一実施例に係る内燃機関の吸気装置について、図面を用いて説明する。
図1から
図4は、本発明の一実施例に係る内燃機関の吸気装置を示す図である。
図1から
図4において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の内燃機関を基準とし、車両の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車両の幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする。
【0015】
まず、構成を説明する。
図1において、車両1のエンジンルーム1Aには内燃機関としてのエンジン2が設置されている。
図3に示すように、エンジンルーム1Aは、ダッシュパネル1B(
図3参照)によって図示しない車室と仕切られており、上部がフロントフード1Cによって覆われている。
【0016】
エンジンルーム1Aの前部は、フロントバンパ1Dによって閉じられており、エンジンルーム1Aにはフロントバンパ1Dに形成された図示しないフロントグリル等の開口部を通して走行風が取り入れられる。
【0017】
図1から
図3に示すように、エンジン2は、シリンダブロック3と、シリンダブロック3の上部に設けられたシリンダヘッド4と、シリンダヘッド4の上部に設けられたシリンダヘッドカバー5と、シリンダブロック3とシリンダヘッド4の右側面に取付られたチェーンカバー6とを備えている。
【0018】
シリンダブロック3には図示しない複数の気筒が設けられており、気筒は、車両1の幅方向(以下、車幅方向という)に並んで設置されている。なお、気筒の配列方向(左右方向)を気筒列方向Lという。本実施例のエンジン2は、横置きエンジンである。
【0019】
気筒にはそれぞれ図示しないピストンが収容されており、ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介して図示しないクランク軸に連結されている。ピストンは、気筒内で往復運動することにより、コネクティングロッドを介してクランク軸を回転させる。
【0020】
シリンダヘッド4には図示しない複数の吸気ポートと複数の排気ポートが形成されている。 吸気ポートは、それぞれ気筒に連通しており、吸入空気を気筒に導入する。
図1に示すように、シリンダヘッド4との前部には排気マニホールド4Aが形成されている。
【0021】
排気マニホールド4Aは、排気ポートを通して複数の気筒に連通しており、複数の気筒から排出された排気ガスを集合して排気口4aから図示しない触媒コンバータに排出する。
【0022】
チェーンカバー6は、いずれも図示しないクランク軸のクランクスプロケットと吸気カム軸の吸気スプロケットと排気カム軸の排気スプロケットとに巻き掛けられたチェーンを覆っている。
【0023】
図1、
図4に示すように、シリンダヘッドカバー5の上方には吸気装置10が設置されており、吸気装置10は、吸気ダクト11、エアクリーナ12、レゾネータ13、エアアウトレットホース14および吸気マニホールド15を備えている。
【0024】
図4に示すように、吸気ダクト11は、エンジン2の気筒列方向Lに延びている。吸気ダクト11の気筒列方向Lの右端部には気筒列方向Lの右方(一方)に向かって開口する吸気口11aが設けられている(
図2、
図3参照)。吸気口11aは、吸気ダクトの上流端部に設けられている。
【0025】
エンジン2を車両1の上方から見た場合に、吸気ダクト11は、吸気口11aから後方に湾曲し、湾曲方向の後端から気筒列方向Lに延びた後、前方に湾曲するU字形状に形成されている。
【0026】
吸気ダクト11は、車両1の前方からエンジンルーム1Aに取り入れられた走行風を吸気口11aから取り入れる。具体的には、吸気ダクト11は、エンジン2の負圧によって外気を吸入する。
【0027】
吸気ダクト11にはブラケット25が取付けられており、吸気ダクト11は、ブラケット25によって補強され、湾曲した形状が維持される。本実施例の吸気ダクト11は、U字形状に形成されているので、吸気ダクト11の気筒列方向Lの寸法を短縮できる。
【0028】
なお、吸気ダクト11は、気筒列方向Lに直線状に延びてもよい。すなわち、吸気ダクト11は、U字形状であっても直線状であっても、気筒列方向Lに延びていればよい。
【0029】
レゾネータ13は、連通管部16と箱状の容積部17を有する。連通管部16は、吸気ダクト11と容積部17とを連結しており、連通管部16の内部には吸気ダクト11と容積部17とを連通する連通路16aが形成されている。
【0030】
容積部17は、シリンダヘッドカバー5の上方において吸気ダクト11の後方でエアクリーナ12の近傍に設置されている。
【0031】
レゾネータ13は、吸気ダクト11から連通路16aを通して容積部17に吸入空気が導入されることにより、容積部17によって吸気騒音を低減する。本実施例の連通路16aを有する連通管部16は、本発明の連通部を構成する。
【0032】
エアクリーナ12は、シリンダヘッドカバー5の上方に設置されており、吸気ダクト11および容積部17と気筒列方向Lで並ぶように容積部17に対して気筒列方向Lの一方側である左方側に設置されている。
【0033】
エアクリーナ12の気筒列方向Lの右側面12aの前側には吸気ダクト11の下流端部11bが連結されており、エアクリーナ12には吸気ダクト11から吸入空気が導入される。
【0034】
エアクリーナ12の内部には図示しないエアクリーナエレメントが設けられており、吸気ダクト11からエアクリーナ12に導入された吸入空気に含まれた塵等の異物は、エアクリーナエレメントによって除去される。
【0035】
図4に示すように、吸気マニホールド15は、箱状のサージタンク18と分岐管19A、19B、19Cとを有し、エンジン2の後方に設置されている。
【0036】
図3に示すように、サージタンク18の前部は、前後方向でシリンダヘッドカバー5に重なっており、サージタンク18の後部は、シリンダヘッドカバー5の後方に位置している。サージタンク18は、気筒列方向Lに延びており(
図4参照)、容積部17の前壁部17Aよりも後方に設置されている。
【0037】
図4に示すように、エアアウトレットホース14は、エアクリーナ12とサージタンク18とを連結しており、サージタンク18には吸気ダクト11からエアクリーナ12に導入されて浄化された吸入空気がエアアウトレットホース14を通して導入される。
【0038】
分岐管19A、19B、19Cは、サージタンク18からエンジン2の後部に延びており、延びる方向の下流端部19bがシリンダヘッド4に連結されている。
【0039】
具体的には、
図3に示すように、分岐管19A、19B、19Cは、吸入空気の流れる方向の下流端部がシリンダヘッド4の後部に連結されており(但し、
図3は、分岐管19Cのみを図示)、下流端部からシリンダヘッドカバー5の上面5aよりも上方に突出し、上流端部19uがサージタンク18に連結されている。
【0040】
ここで、上流、下流とは吸入空気が流れる方向に対して上流、下流を表す。吸気口11aに対して分岐管19A、19B、19C側が下流であり、分岐管19A、19B、19Cに対して吸気口11a側が上流である。
【0041】
吸気ダクト11、レゾネータ13および吸気マニホールド15は、前側から後側に向かって吸気ダクト11、レゾネータ13および吸気マニホールド15の順に設置されており、前後方向に並んでいる。
【0042】
分岐管19A、19B、19Cの内部には図示しない分岐通路が形成されており、分岐通路は、シリンダヘッド4の吸気ポートにそれぞれ連通されている。
【0043】
エアアウトレットホース14からサージタンク18に導入された吸入空気は、分岐通路から吸気ポートを通して各気筒に分配される。
【0044】
図4に示すように、エアアウトレットホース14とサージタンク18の間にバルブボディ20が設けられており、バルブボディ20にはスロットルバルブ20Aが収容されている。
【0045】
スロットルバルブ20Aは、エアアウトレットホース14の通路断面積を可変してエンジン2の気筒に送り込む吸入空気量を調整する。
【0046】
図1、
図2に示すように、吸気装置10は、ガイド部材21を備えており、ガイド部材21は、底壁22と縦壁23を有する。
【0047】
底壁22は、吸気ダクト11の吸気口11aの下方に位置し、吸気口11aよりも前方側で、かつ、吸気口11aよりも気筒列方向Lの右方側に延びている。
【0048】
縦壁23は、底壁22の気筒列方向Lの右端部22aから上方に延びており、後部が気筒列方向Lで吸気口11aに対向している(
図4参照)。
【0049】
ガイド部材21は、車両1の前方からエンジンルーム1Aに取付られた走行風を底壁22と縦壁23とによって吸気口11aやレゾネータ13に導く。
【0050】
図1、
図2に示すように、容積部17は、エンジン2の気筒列方向Lに延びる前壁部17Aを有する。
図4に示すように、前壁部17Aは、エアクリーナ12から気筒列方向Lに離れる気筒列方向Lの右端部17aが、気筒列方向Lでエアクリーナ12に近づく気筒列方向Lの左端部17bよりも前方に突出している。
【0051】
具体的には、前壁部17Aは、右端部17aから左方に向かって後方に湾曲している。容積部17とエアクリーナ12とは気筒列方向Lに近づくように気筒列方向Lに並んでおり、前壁部17Aは、エアクリーナ12の前端12fよりも後方で、かつ、後端12rより前方に位置している。
【0052】
本実施例の右端部17aは、本発明の前壁部の一端部を構成し、左端部17bは、本発明の前壁部の他端部を構成する。
【0053】
図1に示すように、吸気ダクト11は、前壁部17Aよりも前方に設置され、前壁部17Aの下側の部分と前後方向に対向して気筒列方向Lに延びており、エンジン2を前方から見た場合に前壁部17Aの上側の部分は、前方から目視可能となっている。
【0054】
次に、本実施例の吸気装置10の効果を説明する。
本実施例の吸気装置10は、気筒列が車幅方向に延びるエンジン2のシリンダヘッドカバー5の上方に設置され、上流端部に設けられた吸気口11aから空気を吸い込む吸気ダクト11と、シリンダヘッドカバー5の上方に設置され、吸気ダクト11から導入される吸入空気を浄化するエアクリーナ12とを有する。
【0055】
また、吸気装置10は、連通路16aによって吸気ダクト11に連通する容積部17を有し、容積部17がエアクリーナ12の近傍に設置されるレゾネータ13と、レゾネータ13の後方に位置するようにエンジン2の後方に設置され、エアクリーナ12によって浄化された吸入空気が導入される吸気マニホールド15とを備えている。
【0056】
容積部17は、エンジン2の気筒列方向Lに延びる前壁部17Aを有し、前壁部17Aは、エアクリーナ12から離れる右端部17aが、エアクリーナ12に近づく左端部17bよりも前方に突出している。
【0057】
これにより、
図4に示すように、車両1の前方からエンジンルーム1Aに取り入られた低温の走行風Wを、前壁部17Aの湾曲面に沿ってエアクリーナ12側に誘導できる。
【0058】
このため、エンジンルーム1Aに走行風W(空気)を取り入れるためのフロントバンパ1Dの開口面積、すなわち、フロントグリル等の開口面積が低減された場合であっても、前壁部17Aによってエアクリーナ12側に誘導された走行風Wによってエアクリーナ12を冷却できる。
【0059】
したがって、エアクリーナ12を流れる吸入空気の温度、すなわち、吸気温度を下げてエンジン2の気筒に導入される吸入空気の密度を高くできる。この結果、エンジン2の気筒に導入される吸入空気の充填効率を向上でき、エンジン2の出力性能と燃費を向上できる。
【0060】
すなわち、本実施例の吸気装置10は、前壁部17Aの右端部17aを左端部17bよりも前方に突出させ、前壁部17Aの形状をエアクリーナ12に走行風Wを誘導可能な形状にすることにより、エンジンルーム1Aに取り入れられる空気量を最小限して空気抵抗を低減しつつ、エンジン2の出力性能と燃費の向上を図ることができる。
【0061】
また、容積部17とエアクリーナ12とは気筒列方向Lに近づくように気筒列方向Lに並んでおり、前壁部17Aは、エアクリーナ12の前端12fよりも後方で、かつ、後端12rより前方に位置している。
【0062】
これにより、前壁部17Aによって誘導される走行風Wをエアクリーナ12の右側面12aに確実に当てることができ、走行風Wによってエアクリーナ12を確実に冷却できる。
【0063】
これに加えて、本実施例の吸気装置10は、レゾネータ13の形状を工夫することにより、走行風Wをエアクリーナ12に誘導することができるため、エアガイド等の別部品を吸気装置10に追加することを不要にできる。このため、吸気装置10の部品点数が増加することを防止できるとともに、吸気装置10の製造コストが増大することを防止できる。
【0064】
また、本実施例の吸気装置10によれば、吸気ダクト11は、前壁部17Aよりも前方に設置され、前壁部17Aの下側の部分と前後方向に対向して気筒列方向Lに延びている。
【0065】
これにより、車両1の前方からエンジンルーム1Aに取り入られた低温の走行風Wによって吸気ダクト11を冷却でき、吸気ダクト11を流れる吸入空気の温度を下げることができる。
【0066】
また、前壁部17Aの上側の部位から走行風Wをエアクリーナ12に確実に誘導できる。このため、吸気ダクト11で冷却されてエアクリーナ12に導入された吸入空気を、前壁部17Aによって誘導された走行風Wによって確実に冷却でき、吸気温度をより一層下げることができる。
【0067】
この結果、エンジン2の気筒に導入される吸入空気の充填効率をより効果的に向上でき、エンジン2の出力性能と燃費をより効果的に向上できる。
【0068】
また、本実施例の吸気装置10によれば、吸気ダクト11の下流端部11bは、エアクリーナ12の右側面12aの前側に連結されている。
【0069】
これにより、前壁部17Aからエアクリーナ12に誘導された走行風Wを、吸気ダクト11を避けてエアクリーナ12の右側面12aに当てることができる。このため、前壁部17Aによって誘導された走行風Wによってエアクリーナ12を確実に冷却でき、吸気温度を確実に下げることができる。
【0070】
ここで、吸気ダクト11の下流端部11bがエアクリーナ12の前面に連結されると、吸気ダクト11がエアクリーナ12の前方に突出して吸気装置10の設置スペースが前後方向に大きくなる。
【0071】
本実施例の吸気装置10によれば、吸気ダクト11の下流端部11bがエアクリーナ12の右側面12aの前側に連結されているで、吸気ダクト11がエアクリーナ12の前方に突出して吸気装置10の設置スペースが前後方向に大きくなることを防止できる。
【0072】
なお、吸気ダクト11の下流端部11bは、エアクリーナ12の右側面12aの前側に連結されているものに限るものではない。すなわち、吸気ダクト11の下流端部11bは、エアクリーナ12の前側に連結されていれば良いので、エアクリーナ12の前面に連結されてもよい。
【0073】
このようにすれば、前壁部17Aによって誘導された走行風Wをエアクリーナ12の右側面12aの全体に当てることができ、吸気温度をより一層下げることができる。
【0074】
また、本実施例の吸気装置10によれば、エアクリーナ12は、容積部17と気筒列方向Lで並ぶように、容積部17に対して気筒列方向Lの左側に設置されている。
【0075】
これにより、前壁部17Aの上側の部位から走行風Wをエアクリーナ12の上側の部位に誘導できる。
【0076】
エンジンルーム1Aの内部は上方が下方よりも温度が高いので、前壁部17Aの上側の部位から走行風Wをエアクリーナ12の上側の部位に誘導することにより、下側の部位よりも温度が高いエアクリーナ12の上側の部位を効果的に冷却できる。
【0077】
このため、エアクリーナ12の吸気温度をより効果的に下げることができる。この結果、エンジン2の気筒に導入される吸入空気の充填効率をより効果的に向上でき、エンジン2の出力性能と燃費をより効果的に向上できる。
【0078】
なお、エアクリーナ12は、容積部17と気筒列方向Lで並ぶように、容積部17に対して気筒列方向Lの右側に設置されてもよい。
【0079】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0080】
1...車両、2...エンジン(内燃機関)、10...吸気装置、11...吸気ダクト、11a...吸気口、11b...下流端部、12...エアクリーナ、13...レゾネータ、15...吸気マニホールド、16...連通管部(連通部)、17...容積部、17A...前壁部、17a...右端部(前壁部の一端部)、17b...左端部(前壁部の他端部)