(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】生体情報検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240110BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20240110BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240110BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B5/113
A61B5/0245 C
B60W40/08
(21)【出願番号】P 2020081520
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 暁琳
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 領
(72)【発明者】
【氏名】柴田 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】上田 吾朗
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153783(JP,A)
【文献】特開2005-294583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0327774(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02- 5/03
5/06- 5/22
B60N 2/00- 2/90
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G01C 3/00- 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、
前記測定対象者の前記身体を通過した前記無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、
前記受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する距離特定部(S102)と、
前記距離特定部により特定された前記アンテナ間距離に基づいて前記受信機から出力される前記受信信号の振幅を補正する補正部(S106)と、
前記補正部により補正された前記受信信号に基づいて前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、
前記測定対象者が着座するシート(60)のシートバック(62)およびヘッドレストの少なくとも一方に配置された検出マーク(31)と、を備え、
前記送信アンテナおよび前記受信アンテナのいずれか一方は、前記シートのシートバックに設置されており、
前記距離特定部は、前記検出マークを含む画像を撮像するモニタカメラ(30)からの前記画像に含まれる前記検出マークの大きさに基づいて前記送信アンテナと前記受信アンテナとの前記アンテナ間距離を特定する、生体情報検出装置。
【請求項2】
測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、
前記測定対象者の前記身体を通過した前記無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、
前記受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する距離特定部(S102)と、
前記距離特定部により特定された前記アンテナ間距離に基づいて前記受信機から出力される前記受信信号の振幅を補正する補正部(S106)と、
前記補正部により補正された前記受信信号に基づいて前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、
前記測定対象者が着座するシート(60)の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部(S200)と、を備え、
前記送信アンテナおよび前記受信アンテナのいずれか一方は、前記シートのシートバック(62)に設置されており、
前記距離特定部は、前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に基づいて前記送信アンテナと前記受信アンテナとの前記アンテナ間距離を特定する、生体情報検出装置。
【請求項3】
測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、
前記測定対象者の前記身体を通過した前記無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、
前記受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する距離特定部(S102)と、
前記距離特定部により特定された前記アンテナ間距離に基づいて前記受信機から出力される前記受信信号の振幅を補正する補正部(S106)と、
前記補正部により補正された前記受信信号に基づいて前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、
前記無線周波信号の通過特性の補正量と前記アンテナ間距離の関係を示す補正量マップを記憶した記憶部(42)と、を備え、
前記補正部は、前記記憶部に記憶された前記補正量マップを参照して前記測定対象者の前記身体を通過する前記無線周波信号の前記通過特性の補正量を特定し、該通過特性の補正量を用いて前記受信機から出力される前記受信信号の振幅を補正する、生体情報検出装置。
【請求項4】
測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、
前記測定対象者の前記身体を通過した前記無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、
前記受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する距離特定部(S102)と、
前記距離特定部により特定された前記アンテナ間距離に基づいて前記受信機から出力される前記受信信号の振幅を補正する補正部(S106)と、
前記補正部により補正された前記受信信号に基づいて前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、
前記測定対象者の前記身体を含む画像を撮像するモニタカメラ(30)からの前記画像から前記測定対象者の前記身体の体幅を推定する体幅推定部(S301)と、を備え、
前記補正部は、前記体幅推定部より特定された前記測定対象者の前記身体の体幅に対応する前記無線周波信号の通過特性の補正量を特定し、該通過特性の補正量を用いて前記受信機から出力される前記受信信号の振幅を補正する、生体情報検出装置。
【請求項5】
前記送信アンテナおよび前記受信アンテナのいずれか一方は、前記測定対象者が着座するシート(60)のシートバック(62)に設置されている請求項
3または4に記載の生体情報検出装置。
【請求項6】
測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、
前記測定対象者の身体を通過した前記無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、
前記受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、
車両の車室内に移動可能に設置されたシートの位置を示す電圧信号を含む位置情報を取得する位置情報取得部(S400)と、
前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に含まれる前記シートの位置を示す前記電圧信号にフーリエ変換処理を施す第1フーリエ変換処理部(S402)と、
前記受信機から出力された前記受信信号に対してフーリエ変換処理を施す第2フーリエ変換処理部(S404)と、
前記第1フーリエ変換処理部の処理結果から前記シートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定する周波数成分特定部(S408)と、
前記第2フーリエ変換処理部の処理結果から前記周波数成分特定部によって特定された前記周波数成分をキャンセルする周波数成分キャンセル部(S410)と、
前記周波数成分キャンセル部によって前記周波数成分がキャンセルされた前記受信信号に基づいて心拍数を特定する前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、を備えた生体情報検出装置。
【請求項7】
測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、
前記測定対象者の身体を通過した前記無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、
前記受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、
車両の車室内に移動可能に設置されたシート(60)のシートバック(62)およびヘッドレスト(63)の少なくとも一方に配置された検出マーク(31)と、
前記検出マークを含む画像を撮像するモニタカメラ(30)からの複数の前記画像に含まれる前記検出マークの大きさの時間波形に対してフーリエ変換処理を施す第1フーリエ変換処理部(S502)と、
前記受信機から出力された前記受信信号に対してフーリエ変換処理を施す第2フーリエ変換処理部(S504)と、
前記第1フーリエ変換処理部の処理結果から前記シートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定する周波数成分特定部(S508)と、
前記第2フーリエ変換処理部の処理結果から前記周波数成分特定部によって特定された前記周波数成分をキャンセルする周波数成分キャンセル部(S510)と、
前記周波数成分キャンセル部によって前記周波数成分がキャンセルした前記受信信号に基づいて心拍数を特定する前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、を備えた生体情報検出装置。
【請求項8】
前記生体情報特定部は、前記周波数成分キャンセル部によって前記周波数成分がキャンセルした前記受信信号にフーリエ変換処理を施し、該フーリエ変換処理の結果から前記生体情報を特定する請求項
6または7に記載の生体情報検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両においては、特に乗員の走行中の覚醒度が低下することが考えられる。このため、乗員の心拍数や呼吸数等の生体情報を検出し、その検出結果に応じて警告表示等を行うシステムの開発が進められている。
【0003】
特許文献1には、心拍数を検出する装置が記載されている。この装置は、測定対象者の所定の部位に無線周波信号を送信する無線送信手段と、測定対象者の体内を透過した無線周波信号を受信する無線受信手段と、を備えている。
【0004】
さらに、この装置は、受信した無線周波信号を位相もしくは振幅によって検波する検波手段と、検波された信号から測定対象者の心拍を検出する心拍検知手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように乗員の心拍数や呼吸数等を検出する場合、運転の妨げにならないようにすることが望まれる。そこで、例えば、車両側に送信アンテナを、運転者が着座するシートに受信アンテナを配置し、送信アンテナから測定対象者の身体に無線周波信号を送信し、測定対象者の身体内を透過した無線周波信号を受信アンテナで受信するといったことが考えられる。
【0007】
ところで、自動運転車両においては、走行中に運転者がシートを車両前後方向に移動させたり、シートを大きく倒してくつろぐことが考えられる。この際、送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離が変化するため、特に、送信アンテナから測定対象者の体をまわり込むように進む回折波の受信レベルが大きく変動する。この場合、心拍数や呼吸数の検出誤差が大きくなるといった問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑みたもので、生体情報の検出誤差を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1~4に記載の発明は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する距離特定部(S102)と、距離特定部により特定されたアンテナ間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部(S106)と、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、を備えている。
請求項1に記載の発明は、測定対象者が着座するシート(60)のシートバック(62)およびヘッドレストの少なくとも一方に配置された検出マーク(31)を備え、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方は、シートのシートバックに設置されており、距離特定部は、検出マークを含む画像を撮像するモニタカメラ(30)からの画像に含まれる検出マークの大きさに基づいて送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する。
請求項2に記載の発明は、測定対象者が着座するシート(60)の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部(S200)を備え、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方は、シートのシートバック(62)に設置されており、距離特定部は、位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する。
請求項3に記載の発明は、無線周波信号の通過特性の補正量とアンテナ間距離の関係を示す補正量マップを記憶した記憶部(42)を備え、補正部は、記憶部に記憶された補正量マップを参照して測定対象者の身体を通過する無線周波信号の通過特性の補正量を特定し、該通過特性の補正量を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。
請求項4に記載の発明は、測定対象者の身体を含む画像を撮像するモニタカメラ(30)からの画像から測定対象者の身体の体幅を推定する体幅推定部(S301)を備え、補正部は、体幅推定部より特定された測定対象者の身体の体幅に対応する無線周波信号の通過特性の補正量を特定し、該通過特性の補正量を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。
【0010】
このような構成によれば、補正部によって、距離特定部により特定されたアンテナ間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅が補正され、生体情報特定部によって、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方が生体情報として特定される。したがって、生体情報の検出誤差を抑制することができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、車両の車室内に移動可能に設置されたシートの位置を示す電圧信号を含む位置情報を取得する位置情報取得部(S400)と、位置情報取得部により取得された位置情報に含まれるシートの位置を示す電圧信号にフーリエ変換処理を施す第1フーリエ変換処理部(S402)と、受信機から出力された受信信号に対してフーリエ変換処理を施す第2フーリエ変換処理部(S404)と、第1フーリエ変換処理部の処理結果からシートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定する周波数成分特定部(S408)と、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルする周波数成分キャンセル部(S410)と、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルされた受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、を備える。
請求項7に記載の発明は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ(12)と、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、車両の車室内に移動可能に設置されたシート(60)のシートバック(62)およびヘッドレスト(63)の少なくとも一方に配置された検出マーク(31)と、検出マークを含む画像を撮像するモニタカメラ(30)からの複数の画像に含まれる検出マークの大きさの時間波形に対してフーリエ変換処理を施す第1フーリエ変換処理部(S502)と、受信機から出力された受信信号に対してフーリエ変換処理を施す第2フーリエ変換処理部(S504)と、第1フーリエ変換処理部の処理結果からシートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定する周波数成分特定部(S508)と、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルする周波数成分キャンセル部(S510)と、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルした受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部(S110)と、を備える。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】生体情報検出装置の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図である。
【
図2】生体情報検出装置の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図であって、
図1の配置図を鉛直方向から見下ろした図である。
【
図3】第1実施形態に係る生体情報検出装置のブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る生体情報検出装置の制御部のフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る生体情報検出装置のアンテナ間距離と検出マークの画像サイズの関係を示した図である。
【
図6】第1実施形態に係る生体情報検出装置の通過特性の補正量とアンテナ間距離の関係を示した図である。
【
図7】シート変動を考慮しない比較例における受信信号の波形と、この受信信号をFFT処理したFFTアナライザの表示画面の表示例である。
【
図8】本実施形態の生体情報検出装置における受信信号の波形と、この受信信号をFFT処理したFFTアナライザの表示画面の表示例である。
【
図9】第2実施形態に係る生体情報検出装置の制御部のフローチャートである。
【
図10】第3実施形態に係る生体情報検出装置の制御部のフローチャートである。
【
図11】第4実施形態に係る生体情報検出装置の制御部のフローチャートである。
【
図12】シートの位置に変動があった際に、受信機から出力される受信信号に対して行ったFFT処理の結果である。
【
図13】シートから出力される位置情報に含まれる電圧信号に対して行ったFFT処理の結果である。
【
図14】受信機から出力される受信信号に対するFFT処理の結果から、所定の周波数成分がキャンセルされる様子を表した図である。
【
図15】第5実施形態に係る生体情報検出装置の制御部のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る生体情報検出装置について
図1~
図9を用いて説明する。
図1、
図2に示すように、本生体情報検出装置は、車両に搭載され、車両の運転席のシート60に着座した乗員の心拍数を生体情報として検出する。なお、シート60に着座した乗員は、被測定者に相当する。
図3に示すように、本生体情報検出装置は、発信機11、送信アンテナ12、受信アンテナ13、受信機14および生体情報検知部4を備えている。
【0015】
発信機11は、所定の周波数(例えば900MHz帯の周波数)の送信信号を送信アンテナ12に出力する。本実施形態の送信アンテナ12は、車両の車室内に固定されている。本実施形態では、送信アンテナ12は、車両のステアリングコラム50の上部カバー51に固定されている。送信アンテナ12は、車両のシート60に対して車両進行方向前側に配置されている。送信アンテナ12は、車両のシート60に着座した乗員の身体へ発信機11からの送信信号に応じた無線周波信号を送信する。
【0016】
受信アンテナ13は、車両の車室内に移動可能に設置されている。乗員を挟んで送信アンテナ12と対向して配置されている。具体的には、受信アンテナ13は、送信アンテナ12から送信された無線周波信号を受信できる構成となっている。受信アンテナ13は、送信アンテナ12から乗員の身体を直進して透過する透過波だけでなく、送信アンテナ12から乗員の身体をまわり込むように進む回折波も受信することが可能となっている。
【0017】
車両のシート60は、
図1に示したように、シートクッション61、シートバック62およびヘッドレスト63を有している。シート60は、図示しない操作部を操作することにより変動する電動シートとなっている。シート60は、図示しないアクチュエータにより車両前後方向に移動可能となっている。シート60は、さらに、図示しないアクチュエータによりシートクッション61の角度を調整可能となっている。シート60は、シートクッション61の車両前後方向の位置およびシートバック62のシート角度を含む位置情報を生体情報検知部4に出力する。本実施形態においては、シートクッション61の車両前後方向の位置およびシートバック62のシート角度は、電圧信号として出力される。本実施形態の受信アンテナ13は、車両のシートバック62に埋設されている。このように、受信アンテナ13がシートバック62に埋設されているので、シート60に着座した乗員の身体に近い位置に受信アンテナ13を配置することができる。また、受信アンテナ13がシートバック62に埋め込まれているので、運転の妨げにならないように受信アンテナ13を配置することができる。受信機14は、受信アンテナ13が受信した無線周波信号を増幅し、この増幅した無線周波信号に応じた受信信号を出力する。
【0018】
生体情報検知部4は、入力部41、記憶部42、出力部43、制御部44を含んでいる。入力部41は、受信機14から入力されたアナログ信号である受信信号をデジタル信号に変換して制御部44に出力する。記憶部42は、RAM、ROM、書き込み可能な不揮発性記憶媒体等を含む。RAM、ROM、書き込み可能な不揮発性記憶媒体は、いずれも非遷移的実体的記憶媒体である。出力部43は、制御部44から入力された信号を生体情報検知部4の外部の装置に出力する。出力先の外部の装置は、例えば、経路案内等を行う車載ナビゲーション装置でもよいし、車両の外部と通信を行う車載データ通信モジュールでもよいし、乗員が携帯する携帯通信端末でもよい。
【0019】
制御部44は、記憶部42のROMまたは書き込み可能な不揮発性記憶媒体に記録されたプログラムに従った処理を実行する装置であり、実行の際には、記憶部42のRAMを作業領域として使用する。
【0020】
車両のシートバック62には、送信アンテナ12と受信アンテナ13との間のアンテナ間距離を推定するための検出マーク31が固定されている。検出マーク31は、例えば、ヘッドレスト63の車幅方向の一端部で、かつ、モニタカメラ30により撮影されるシート画像に含まれる位置に設けられている。本実施形態の検出マーク31は、円形状を成している。検出マーク31は、ヘッドレスト63の車幅方向の一端部に設けられるので、乗員の首によって遮られることなくシート画像に映り込むことができる。
【0021】
また、車両には、運転席の乗員を撮像するモニタカメラ30が固定されている。モニタカメラ30は、車室内のインストルメントパネルに設けられている。本実施形態では、モニタカメラ30として、運転席の乗員の目の動きを監視するドライバモニタを利用する。本実施形態のモニタカメラ30は、運転席の乗員の上半身および検出マーク31を含むシート画像を撮像することが可能となっている。モニタカメラ30によって撮像されたシート画像は、生体情報検知部4に入力される。
【0022】
以下、上記した生体情報検出装置の作動について説明する。発信機11は、所定の送信信号を送信アンテナ12に出力する。すると、送信アンテナ12は、発信機11からの送信信号に応じた無線周波信号をシート60および乗員の身体に向けて送信する。
【0023】
この無線周波信号のうち一部は、乗員の身体を直進するように透過して受信アンテナ13に受信される。この無線周波信号のうち他の一部は、乗員の身体をまわり込むようにして受信アンテナ13に受信される。
【0024】
ここで、例えば、走行中に運転者がシート60を車両前後方向に移動させたり、シートバック62を大きく倒すと、送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離が変化する。この際、特に、送信アンテナ12から乗員の身体をまわり込むように進む回折波の受信レベルが大きく変動する。この場合、心拍数や呼吸数の検出誤差が大きくなる。
【0025】
そこで、本実施形態の生体情報検出装置は、送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離に応じて受信機14より出力される受信信号を補正し、この補正した受信信号に基づいて乗員の心拍数を検出する処理を実施する。
【0026】
次に、本生体情報検出装置の制御部44の処理について
図4を用いて説明する。本生体情報検出装置は、車両のイグニッションスイッチがオンすると動作状態となり、制御部44は、
図4に示す処理を周期的に実施する。
【0027】
まず、制御部44は、S100にて、モニタカメラ30からのシート画像を取得する。モニタカメラ30からのシート画像には、運転席の乗員の上半身および検出マーク31が含まれる。
【0028】
次に、制御部44は、S102にて、送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離を特定する。受信アンテナ13と検出マーク31は、それぞれシートバック62に配置されているため、シートバック62の位置が変更されると受信アンテナ13と検出マーク31の位置も変更される。
【0029】
図5に、検出マーク31の画像サイズとアンテナ間距離の関係を示す。検出マーク31がモニタカメラ30から離れるとモニタカメラ30からのシート画像に含まれる検出マーク31の大きさは小さくなる。また、検出マーク31がモニタカメラ30に近づくとモニタカメラ30からのシート画像に含まれる検出マーク31の大きさは大きくなる。
【0030】
図5のような検出マーク31の画像サイズとアンテナ間距離の関係を示したマップ1が記憶部42に記憶されている。なお、モニタカメラ30と送信アンテナ12の位置が同一で、かつ、受信アンテナ13と検出マーク31の位置が同一であるのが好ましい。しかし、実際には、モニタカメラ30と送信アンテナ12の位置、および、受信アンテナ13と検出マーク31の位置は異なっている。記憶部42には、これらの位置の違いを補正したデータが記憶されている。
【0031】
制御部44は、記憶部42に記憶されたマップ1を用いて、モニタカメラ30からの画像に含まれる検出マーク31の大きさから送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離を特定する。
【0032】
次に、制御部44は、S104にて、無線周波信号の通過特性の補正量を特定する。送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離が長くなるほど無線周波信号の通過特性は低下する。すなわち、アンテナ間距離が長くなるほど無線周波信号は減衰する。
【0033】
図6に、通過特性の補正量とアンテナ間距離の関係を示す。アンテナ間距離が長くなるほど通過特性の補正量が大きくなっている。
図6のような通過特性の補正量とアンテナ間距離の関係を示したマップ2が記憶部42に記憶されている。マップ2は補正量マップに相当する。
【0034】
制御部44は、記憶部42に記憶されたマップ2を用いて、アンテナ間距離から通過特性の補正量を特定する。例えば、アンテナ間距離が比較的長い場合には、無線周波信号が減衰するため、通過特性の補正量は大きくなるよう特定される。また、アンテナ間距離が比較的短い場合には、無線周波信号の減衰量が少ないため、通過特性の補正量が小さくなるよう特定される。
【0035】
次に、制御部44は、S106にて、S104で特定した通過特性の補正量を用いて受信機14から出力された受信信号を補正する。具体的には、通過特性の補正量を受信信号の振幅に加算する。
【0036】
次に、制御部44は、S108にて、先のS108で補正された受信信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を行う。FFTは、高速フーリエ変換のことである。具体的には、制御部44は、所定期間(例えば、2秒)分の受信信号をサンプリングタイム毎にFFT処理する。このFFT処理により振幅を縦軸、周波数を横軸とするFFT処理の結果を得ることができる。
【0037】
次に、制御部44は、S110にて、心拍数を特定する。具体的には、制御部44は、振幅の最も大きなピークの周波数を特定し、この周波数の逆数を1秒当たりの心拍数として特定する。さらに、1秒当たりの心拍数に60を乗算して1分当たりの心拍数を特定する。
【0038】
次に、制御部44は、S112にて、先のS110にて特定した心拍数を生体情報として出力部43から出力する。
【0039】
図7(a)は、シート変動を考慮しない比較例における受信信号の波形を示している。
図7(b)は、(a)の受信信号をFFT処理したFFTアナライザの表示画面を示している。また、
図8(a)は、本実施形態の生体情報検出装置における受信信号の波形を示している。
図8(b)は、(a)の受信信号をFFT処理したFFTアナライザの表示画面を示している。
図7(b)、
図8(b)中の表示画面の横軸は周波数、縦軸は振幅となっている。
【0040】
図7(a)では、乗員がシート60を車両前方に移動させた後、元の位置に戻したことによる影響が受信信号波形のCH1、CH2に現れている。さらに、その後、乗員がシート60を再度車両前方に移動させた後、元の位置に戻したことによる影響が受信信号波形のCH3、CH4に現れている。
【0041】
このように、シート変動を考慮しない比較例では、
図7(b)に示すように、シート変動による影響がFFT処理の結果に表れる。そして、FFT処理の結果においてシート変動による影響が振幅の最も大きなピークとして現れると心拍数を誤って算出してしまう。
【0042】
これに対し、本実施形態の生体情報検出装置は、アンテナ間距離に基づいて通過特性の補正量を特定し、この補正量を用いて受信機14から出力された受信信号を補正する。
【0043】
図8(a)では、乗員がシート60を車両前方に移動させた後、車両前方に戻したことによる受信信号への影響がCH1、CH2に表れている。さらに、その後、乗員がシート60を車両前方に移動させた後、車両前方に戻したことによる受信信号への影響がCH3、CH4に表れている。
【0044】
そこで、アンテナ間距離に基づいて特定した通過特性の補正量を用いて受信機14から出力された受信信号を補正すると、
図8(b)に示すように、受信信号の波形からシート変動による影響を取り消すことができる。そして、
図8(c)に示すように、シート変動による影響がFFT処理の結果に現れなくなる。したがって、シート変動による影響を受けることなく精度よく乗員の心拍数を算出することができる。
【0045】
なお、本生体情報検出装置は、乗員の心拍数等を算出することで、乗員の健康状況を監視する。そして、乗員に突然の体調異変が発生したことを判定した場合、自動的に情報センタや医療機関等に救急通報を実施することも可能である。また、本生体情報検出装置から出力される心拍数等の生体情報に合わせて、車室内空調、車室内等に装備されたイルミネーション等の車室内環境を制御することも可能である。
【0046】
以上、説明したように、本実施形態の生体情報検出装置は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ12と、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ13と、を備えている。また、受信アンテナ13によって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機14と、送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離を特定する距離特定部と、を備えている。また、距離特定部により特定されたアンテナ間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部と、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍を生体情報として特定する生体情報特定部と、を備えている。
【0047】
上記した構成によれば、このような構成によれば、補正部によって、距離特定部により特定されたアンテナ間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅が補正される。そして、生体情報特定部によって、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸が生体情報として特定される。したがって、生体情報の検出誤差を抑制することができる。
【0048】
また、補正部は、距離特定部により特定されたアンテナ間距離に基づいて測定対象者の身体を通過する無線周波信号の通過特性の補正量を特定し、該通過特性の補正量を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。
【0049】
このように、測定対象者の身体を通過する無線周波信号の通過特性の補正量を特定し、該通過特性の補正量を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を補正することができる。
【0050】
また、受信アンテナ13は、測定対象者が着座するシート60のシートバック62に設置されている。
【0051】
このように、受信アンテナ13は、測定対象者が着座するシート60のシートバック62に設置されているので、測定対象者の身体に位置に受信アンテナ13を配置することができ、脈拍の検出精度を向上することができる。また、運転の妨げにならないように受信アンテナ13を配置することもできる。
【0052】
また、生体情報検出装置は、シートのシートバックおよびヘッドレストの少なくとも一方に配置された検出マーク31を備えている。そして、距離特定部は、検出マークを含む画像を撮像するモニタカメラ30からの画像に含まれる検出マークの大きさに基づいて送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離を特定する。
【0053】
これによれば、モニタカメラ30からの画像に含まれる検出マークの大きさに基づいて送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離を特定するので、簡素な構成でアンテナ間距離を特定することができる。
【0054】
また、生体情報検出装置は、無線周波信号の通過特性の補正量とアンテナ間距離の関係を示す補正量マップを記憶した記憶部42を有している。そして、補正部は、記憶部42に記憶された補正量マップを参照して測定対象者の身体を通過する無線周波信号の通過特性の補正量を特定し、該通過特性の補正量を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。
【0055】
このように、記憶部42に記憶された補正量マップを参照して測定対象者の身体を通過する無線周波信号の通過特性の補正量を特定することができる。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る生体情報検出装置について
図9を用いて説明する。本実施形態の生体情報検出装置の構成は、上記第1実施形態の生体情報検出装置に対し、制御部44の処理と、車両のシートバック62に、検出マーク31が設けられていない点と、モニタカメラ30によって撮像された画像が生体情報検知部4に入力されるよう構成されていない点が異なる。
【0057】
本実施形態の生体情報検知部4の制御部44の処理について
図9を用いて説明する。制御部44は、周期的に
図9に示す処理を実施する。
【0058】
まず、制御部44は、S200にて、シート60からシートの位置情報を取得する。なお、シートの位置情報には、シートクッション61の車両前後方向の位置およびシートバック62のシート角度が含まれる。
【0059】
次に、制御部44は、S202にて、電動シートとして構成されているシート60から出力されるシートの位置情報から送信アンテナ12と受信アンテナ13との間のアンテナ間距離を特定する。なお、生体情報検知部4の記憶部42には、シート60の位置情報とアンテナ間距離の関係を示すマップが記憶されている。制御部44は、シート60の位置情報とアンテナ間距離の関係を示すマップを用いてアンテナ間距離を特定する。
【0060】
S104以降の処理については、第1実施形態の生体情報検知部4の制御部44の処理と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0061】
上記したように、シート60の位置を示す位置情報を取得し、この取得した位置情報に基づいて送信アンテナ12と受信アンテナ13との間のアンテナ間距離を特定することもできる。
【0062】
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
【0063】
また、生体情報検出装置は、シートの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を備えている。そして、距離特定部は、位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する。
【0064】
このように、シートの位置を示す位置情報に基づいて送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定することもできる。
【0065】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る生体情報検出装置について
図10を用いて説明する。本実施形態の生体情報検出装置の構成は上記第1実施形態と同じである。本実施形態の生体情報検出装置は、上記第1実施形態の生体情報検出装置と比較して制御部44の処理が異なる。
【0066】
本実施形態の生体情報検知部4の制御部44の処理について
図10を用いて説明する。制御部44は、周期的に
図10に示す処理を実施する。
【0067】
まず、制御部44は、S300にて、モニタカメラ30からの画像を取得する。モニタカメラ30からの画像には、運転席の乗員の上半身および検出マーク31が含まれる。
【0068】
次に、制御部44は、S301にて、乗員の体幅を推定する。乗員の体幅は、モニタカメラ30からの画像に含まれる乗員の上半身の幅から推定することができる。
【0069】
次に、制御部44は、S102にて、送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離を特定する。具体的には、
図5のような検出マーク31の画像サイズとアンテナ間距離の関係を示したマップ1を用いてモニタカメラ30からの画像に含まれる検出マークの画像サイズからアンテナ間距離を特定する。
【0070】
次に、制御部44は、S303にて、アンテナ間距離の変化量ΔDを算出し、このアンテナ間距離の変化量ΔDが予め定められた基準値A以下であるか否かを判定する。制御部44は、定期的にアンテナ間距離を算出するようになっている。ここでは、前回算出したアンテナ間距離と今回算出したアンテナ間距離との差分をアンテナ間距離の変化量ΔDとして算出する。そして、アンテナ間距離の変化量ΔDが予め定められた基準値A以下であるか否かを判定する。
【0071】
ここで、アンテナ間距離の変化量ΔDが予め定められた基準値A以下の場合、制御部44は、S304にて、通過特性の補正量を特定する。送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離が長くなるほど無線周波信号の通過特性は低下する。すなわち、アンテナ間距離が長くなるほど無線周波信号は減衰する。また、乗員の体幅が広い場合には、乗員の体幅が狭い場合よりも無線周波信号は減衰する。
【0072】
本実施形態の生体情報検出装置には、体幅、無線周波信号の通過特性の補正量およびアンテナ間距離の関係を示した体幅マップが用意されている。この体幅マップ2は、記憶部42に記憶されている。制御部44は、この体幅マップを用いて乗員の体幅に対応する通過特性の補正量を特定する。
【0073】
次に、制御部44は、S106にて、通過特性の補正量を用いて受信機14から出力される受信信号を補正する。具体的には、通過特性の補正量を受信信号の振幅に加算する。
【0074】
次に、制御部44は、S108にて、受信機14から出力される受信信号に対してFFT処理を実施する。S108以降の処理については、第1実施形態の生体情報検知部4の制御部44の処理と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0075】
また、アンテナ間距離の変化量ΔDが予め定められた基準値Aよりも大きい場合、制御部44は、S304へ進むことなく、S300へ戻る。
【0076】
したがって、アンテナ間距離の変化量ΔDが基準値Aよりも大きい場合には、心拍数を特定することなく、また、生体情報も出力しない。
【0077】
このように、アンテナ間距離の変化量ΔDが基準値Aよりも大きい場合には、生体情報を出力しないようにすることができる。
【0078】
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
【0079】
また、生体情報検出装置は、測定対象者の身体を含む画像を撮像するモニタカメラ30からの画像から測定対象者の身体の体幅を推定する体幅推定部を備えている。そして、補正部は、体幅推定部により特定された測定対象者の身体の体幅に対応する無線周波信号の通過特性の補正量を特定する。さらに、該通過特性の補正量を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。
【0080】
したがって、測定対象者の身体の体幅に応じて無線周波信号の通過特性の補正量を異ならせることができ、測定対象者の身体の体幅の違いによる生体情報の変動を抑制することができる。
【0081】
また、アンテナ間距離の変化量ΔDが基準値Aよりも大きい場合には、心拍数を特定することなく生体情報も出力しないので、誤った生体情報を出力しないようにすることができる。
【0082】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る生体情報検出装置について
図11~
図14を用いて説明する。本実施形態の生体情報検出装置は、上記第1~第3実施形態の生体情報検出装置と比較して制御部44の処理が異なる。
【0083】
上記第1~第3実施形態では、送信アンテナ12と受信アンテナ13とのアンテナ間距離を特定し、このアンテナ間距離に基づいて受信機14から出力される受信信号の振幅を補正し、この補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍を特定するようにした。これに対し、本実施形態では、アンテナ間距離を特定することなく測定対象者の心拍を特定する。
【0084】
次に、本実施形態の制御部44の処理について
図11を用いて説明する。制御部44は、周期的に
図11に示す処理を実施する。
【0085】
まず、制御部44は、S400にて、シート60からシートの位置情報を取得する。なお、シートクッション61の車両前後方向の位置およびシートバック62のシート角度が含まれる。また、シートの位置情報には、シートの位置を示す電圧信号が含まれる。具体的には、シートの位置情報には、シートクッション61の車両前後方向の位置を示す電圧信号と、シートバック62のシート角度を示す電圧信号が含まれる。
【0086】
次に、制御部44は、S402にて、シート60から出力される位置情報に含まれる電圧信号にFFT処理を行う。本実施形態では、シートクッション61の車両前後方向の位置を示す電圧信号と、シートバック62のシート角度を示す電圧信号の両方にFFT処理を行う。このFFT処理により振幅を縦軸、周波数を横軸とするFFT処理の結果を得ることができる。ここで、シートクッション61の車両前後方向の位置に変動があると所定の周波数領域に強度の大きなピークが現れる。また、シートバック62のシート角度に変動があると所定の周波数領域に強度の大きなピークが現れる。また、シート60に位置に変動がないと、所定の周波数領域にピークは現れない。
【0087】
次に、制御部44は、S404にて、受信機から出力される受信信号にFFT処理を行う。このFFT処理により振幅を縦軸、周波数を横軸とするFFT処理の結果を得ることができる。
【0088】
次に、制御部44は、S406にて、シートの位置に変動があったか否かを判定する。具体的には、制御部44は、S402におけるFFT処理の処理結果からシート60の位置に変動があったか否かを判定する。
【0089】
S402におけるFFT処理の処理結果において、所定周波数領域に基準値以上のピークが現れていない場合、シート60の位置に変動がないと判定され、制御部44は、S110にて、受信機14の出力信号に基づいて心拍数を特定し、S112にて、心拍数を生体情報として出力部43から出力する。
【0090】
また、S402におけるFFT処理の処理結果において、所定周波数領域に基準値以上のピークが現れている場合、シート60の位置に変動があると判定され、制御部44は、S408にて、先のS402のFFT処理の結果からシート位置の変動に起因して変動する周波数成分およびその強度を特定する。
【0091】
次に、制御部44は、S410にて、受信機14から出力される受信信号に対するFFT処理の結果から、先のS408で特定した周波数成分をキャンセルする。具体的には、S408にて、特定した強度と同等分をキャンセルする。
【0092】
次に、制御部44は、S110にて、先のS410で周波数成分がキャンセルされた受信信号に基づいて心拍数を特定し、S112にて、心拍数を生体情報として出力部43から出力する。
【0093】
図12は、シート60の位置に変動があった際に、受信機14から出力される受信信号に対して行ったFFT処理の結果である。周波数f1にシート60の変動によるピークが現れており、周波数f2に心拍によるピークが現れている。
【0094】
図13は、シート60から出力される位置情報に含まれる電圧信号に対して行ったFFT処理の結果である。周波数f1にシート60の変動によるピークが現れている。
【0095】
図14は、上記処理のS410にて、受信機から出力される受信信号に対するFFT処理の結果から、先のS408で特定した周波数成分がキャンセルされる様子を表している。
【0096】
以上、説明したように、本実施形態の生体情報検出装置は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ12と、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ13と、を備えている。また、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機14と、車両の車室内に移動可能に設置されたシートの位置を示す電圧信号を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、を備えている。また、位置情報取得部により取得された位置情報に含まれるシートの位置を示す電圧信号にフーリエ変換処理を施す第1フーリエ変換処理部を備えている。また、受信機から出力された受信信号に対してフーリエ変換処理を施す第2フーリエ変換処理部を備えている。また、第1フーリエ変換処理部の処理結果からシートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定する周波数成分特定部を備えている。また、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルする周波数成分キャンセル部を備えている。また、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルした受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部を備えている。
【0097】
上記した構成によれば、車両の車室内に移動可能に設置されたシートの位置を示す電圧信号を含む位置情報にフーリエ変換処理を実施してシートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定することもできる。
【0098】
そして、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルし、この周波数成分がキャンセルされた受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍を生体情報として特定することもできる。
【0099】
また、生体情報特定部は、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルした受信信号にフーリエ変換処理を施し、該フーリエ変換処理の結果から生体情報を特定する。
【0100】
このように、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルした受信信号にフーリエ変換処理を施して生体情報を特定することができる。
【0101】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る生体情報検出装置について
図15を用いて説明する。本実施形態の生体情報検出装置の構成は上記第1実施形態と同じである。また、本実施形態の生体情報検出装置は、上記第4実施形態の生体情報検出装置と比較して制御部44の処理が異なる。
【0102】
上記第4実施形態では、シート60から出力される位置情報に含まれる電圧信号にFFT処理を行うようにした。これに対し、本実施形態の制御部44は、モニタカメラにより撮影されるシート画像に含まれる検出マーク31の大きさを所定期間収集し、検出マーク31の大きさの時間波形に対してFFT処理を行う。
【0103】
次に、本実施形態の制御部44の処理について
図15を用いて説明する。まず、制御部44は、S500にて、モニタカメラ30からのシート画像を所定期間分取得する。モニタカメラ30からのシート画像には、運転席の乗員の上半身および検出マーク31が含まれる。
【0104】
次に、制御部44は、S502にて、検出マークの大きさを表す時間波形に対してFFT処理を行う。なお、先のS500では、所定期間に亘って撮影された複数のシート画像が取得される。ここで、シート60の位置が変動すると複数のシート画像に含まれる検出マークの大きさも変化する。本実施形態の制御部44は、検出マークの大きさを縦軸、時間を横軸とする時間波形に対してFFT処理を行う。ここで、シートクッション61の車両前後方向の位置に変動があると所定の周波数領域に強度の大きなピークが現れる。また、シートバック62のシート角度に変動があると所定の周波数領域に強度の大きなピークが現れる。また、シート60に位置に変動がないと、所定の周波数領域にピークは現れない。
【0105】
次に、制御部44は、S504にて、受信機14から出力される受信信号にFFT処理を行う。このFFT処理により振幅を縦軸、周波数を横軸とするFFT処理の結果を得ることができる。
【0106】
次に、制御部44は、S506にて、シートの位置に変動があったか否かを判定する。具体的には、制御部44は、S502におけるFFT処理の処理結果からシート60の位置に変動があったか否かを判定する。
【0107】
S502におけるFFT処理の処理結果において、所定周波数領域に基準値以上のピークが現れていない場合、シート60の位置に変動がないと判定され、制御部44は、S110にて、受信機14の出力信号に基づいて心拍数を特定し、S112にて、心拍数を生体情報として出力部43から出力する。
【0108】
また、S502におけるFFT処理の処理結果において、所定周波数領域に基準値以上のピークが現れている場合、シート60の位置に変動があると判定され、制御部44は、S508にて、先のS502のFFT処理の結果からシート位置の変動に起因して変動する周波数成分およびその強度を特定する。
【0109】
次に、制御部44は、S510にて、受信機から出力される受信信号に対するFFT処理の結果から、先のS508で特定した周波数成分をキャンセルする。具体的には、受信機から出力される受信信号に対するFFT処理の結果から、S508にて特定した強度と同等分をキャンセルする。
【0110】
次に、制御部44は、S110にて、先のS510で周波数成分がキャンセルされた受信信号に基づいて心拍数を特定し、S112にて、心拍数を生体情報として出力部43から出力する。
【0111】
以上、説明したように、本実施形態の生体情報検出装置は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナ12と、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ13と、を備えている。また、受信アンテナ13によって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機14と、車両の車室内に移動可能に設置されたシート60のシートバック62およびヘッドレスト63の少なくとも一方に配置された検出マーク31と、を備えている。また、検出マークを含む画像を撮像するモニタカメラ30からの複数の画像に含まれる検出マークの大きさの時間波形に対してフーリエ変換処理を施す第1フーリエ変換処理部を備えている。また、受信機から出力された前記受信信号に対してフーリエ変換処理を施す第2フーリエ変換処理部を備えている。また、第1フーリエ変換処理部の処理結果に基づいてシートの位置に変動があったか否かを判定するシート変動判定部を備えている。また、シート変動判定部によりシートの位置に変動があったと判定された場合、第1フーリエ変換処理部の処理結果からシートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定する周波数成分特定部を備えている。また、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルする周波数成分キャンセル部を備えている。また、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルした受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部を備えている。
【0112】
上記した構成によれば、モニタカメラ30からの複数の画像に含まれる検出マークの大きさの時間波形に対してフーリエ変換処理を実施して、シートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定することもできる。
【0113】
そして、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルし、この周波数成分がキャンセルされた受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍を生体情報として特定することもできる。
【0114】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、自動運転車両に本生体情報検出装置を搭載した例を示したが、自動運転車両以外の車両に本生体情報検出装置を搭載することもできる。
【0115】
(2)上記各実施形態では、運転席の乗員を測定対象者として、乗員の心拍数を検出する例を示したが、運転席以外の乗員の心拍数を検出するよう構成することもできる。
【0116】
(3)上記各実施形態では、測定対象者の心拍数を生体情報として検出したが、測定対象者の呼吸数を生体情報として検出するようにしてもよい。また、測定対象者の心拍数と呼吸数を生体情報として検出するようにしてもよい。
【0117】
(4)上記各実施形態では、受信アンテナ13をシートバック62に埋設するようにしたが、送信アンテナ12をシートバック62に埋設するようにしてもよい。
【0118】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0119】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、生体情報検出装置は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナと、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナと、を備えている。また、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機と、送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する距離特定部と、を備えている。また、距離特定部により特定されたアンテナ間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部を備えている。また、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部を備えている。
【0120】
また、第2の観点によれば、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方は、測定対象者が着座するシートのシートバックに設置されている。
【0121】
このように、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方は、測定対象者が着座するシートのシートバックに設置されているので、測定対象者の身体に位置に受信アンテナを配置することができ、脈拍の検出精度を向上することができる。また、運転の妨げにならないように送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方を配置することもできる。
【0122】
また、第3の観点によれば、生体情報検出装置は、シートのシートバックおよびヘッドレストの少なくとも一方に配置された検出マークを備えている。また、距離特定部は、検出マークを含む画像を撮像するモニタカメラからの画像に含まれる検出マークの大きさに基づいて送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する。
【0123】
これによれば、モニタカメラからの画像に含まれる検出マークの大きさに基づいて送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定するので、簡素な構成でアンテナ間距離を特定することができる。
【0124】
また、第4の観点によれば、生体情報検出装置は、シートの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を備えている。また、距離特定部は、位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定する。
【0125】
このように、シートの位置を示す位置情報に基づいて送信アンテナと受信アンテナとのアンテナ間距離を特定することもできる。
【0126】
また、第5の観点によれば、生体情報検出装置は、無線周波信号の通過特性の補正量とアンテナ間距離の関係を示す補正量マップを記憶した記憶部を有している。また、補正部は、記憶部に記憶された補正量マップを参照して測定対象者の身体を通過する無線周波信号の通過特性の補正量を特定し、該通過特性の補正量を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。
【0127】
このように、記憶部42に記憶された補正量マップを参照して測定対象者の身体を通過する無線周波信号の通過特性の補正量を特定することができる。
【0128】
また、第6の観点によれば、生体情報検出装置は、測定対象者の身体を含む画像を撮像するモニタカメラからの画像から測定対象者の身体の体幅を推定する体幅推定部を備えている。また、補正部は、体幅推定部より特定された測定対象者の身体の体幅に対応する無線周波信号の通過特性の補正量を特定する。そして、該通過特性の補正量を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。
【0129】
したがって、測定対象者の身体の体幅に応じて無線周波信号の通過特性の補正量を異ならせることができ、測定対象者の身体の体幅の違いによる生体情報の変動を抑制することができる。
【0130】
また、第7の観点によれば、生体情報検出装置は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナと、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナと、を備えている。また、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機と、車両の車室内に移動可能に設置されたシートの位置を示す電圧信号を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、を備えている。また、位置情報取得部により取得された位置情報に含まれるシートの位置を示す電圧信号にフーリエ変換処理を施す第1フーリエ変換処理部を備えている。また、受信機から出力された受信信号に対してフーリエ変換処理を施す第2フーリエ変換処理部と、第1フーリエ変換処理部の処理結果からシートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定する周波数成分特定部を備えている。また、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルする周波数成分キャンセル部を備えている。また、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルされた受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する生体情報特定部を備えている。
【0131】
上記した構成によれば、車両の車室内に移動可能に設置されたシートの位置を示す電圧信号を含む位置情報にフーリエ変換処理を実施してシートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定することもできる。
【0132】
そして、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルし、この周波数成分がキャンセルされた受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍を生体情報として特定することもできる。
【0133】
また、第8の観点によれば、生体情報検出装置は、測定対象者の身体へ無線周波信号を送信する送信アンテナと、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナと、を備えている。また、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機と、車両の車室内に移動可能に設置されたシートのシートバックおよびヘッドレストの少なくとも一方に配置された検出マークと、を備えている。また、検出マークを含む画像を撮像するモニタカメラからの複数の画像に含まれる検出マークの大きさの時間波形に対してフーリエ変換処理を施す第1フーリエ変換処理部を備えている。また、第1フーリエ変換処理部の処理結果からシートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定する周波数成分特定部を備えている。また、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルする周波数成分キャンセル部を備えている。また、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルした受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として特定する。
【0134】
上記した構成によれば、モニタカメラ30からの複数の画像に含まれる検出マークの大きさの時間波形に対してフーリエ変換処理を実施して、シートの位置の変動に起因して変化する周波数成分を特定することもできる。
【0135】
そして、第2フーリエ変換処理部の処理結果から周波数成分特定部によって特定された周波数成分をキャンセルし、この周波数成分がキャンセルされた受信信号に基づいて心拍数を特定する測定対象者の心拍を生体情報として特定することもできる。
【0136】
また、第9の観点によれば、生体情報検出部は、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルした受信信号にフーリエ変換処理を施し、該フーリエ変換処理の結果から生体情報を特定する。
【0137】
このように、周波数成分キャンセル部によって周波数成分がキャンセルした受信信号にフーリエ変換処理を施して生体情報を特定することができる。
【0138】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S102の処理が距離特定部に相当し、S106の処理が補正部に相当し、S110の処理が生体情報特定部に相当する。また、S200、S400の処理が位置情報取得部に相当し、S301の処理が体幅推定部に相当し、S402の処理が第1フーリエ変換処理部に相当し、S404の処理が第2フーリエ変換処理部に相当し、S406の処理がシート変動判定部に相当する。また、S408の処理が周波数成分特定部に相当し、S410、S510の処理が周波数成分キャンセル部に相当し、S110の処理が生体情報特定部に相当し、S506の処理がシート変動判定部に相当し、S508の処理が周波数成分特定部に相当する。
【符号の説明】
【0139】
4 生体情報検知部
11 発振機
12 送信アンテナ
13 受信アンテナ
14 受信機
31 検出マーク
42 記憶部
44 制御部
60 シート
61 シートクッション
62 シートバック
63 ヘッドレスト