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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】医用画像システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240110BHJP
   G16H 30/20 20180101ALI20240110BHJP
   G06Q 10/0635 20230101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B5/00 G
G16H30/20
G06Q10/0635
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020085921
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021178110
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 寛威
(72)【発明者】
【氏名】勝原 慎介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良平
(72)【発明者】
【氏名】飯田 のどか
(72)【発明者】
【氏名】清水 亜麻衣
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 諒一
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-330514(JP,A)
【文献】特開2009-157527(JP,A)
【文献】特開2006-051198(JP,A)
【文献】特開2020-060857(JP,A)
【文献】特表2017-515574(JP,A)
【文献】国際公開第2019/239153(WO,A1)
【文献】特開2006-192066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影制御装置と画像管理装置との通信間に位置する情報処理装置と、前記画像管理装置と、を備える医用画像システムであって、
前記情報処理装置は、
前記撮影制御装置から受信した医用画像から異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段による検出結果に基づいて、前記医用画像又は前記検出結果の、いずれか又は両方の送信先を決定する制御手段と、
を備え
前記制御手段は、前記検出結果に基づいて、前記医用画像に、当該医用画像を表示させる際の優先度を付与し、当該優先度を前記医用画像と対応付けて前記画像管理装置に送信し、
前記画像管理装置は、
前記情報処理装置から送信された医用画像を優先度と対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている医用画像に対応する優先度に基づいて、前記記憶手段に記憶されている医用画像のリストを表示手段に表示させる際の順序を決定する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記医用画像のリストを前記表示手段に表示させる際に、当該リストに含まれる医用画像を当該医用画像の検査日時に応じて所定の期間ごとに区切って表示させ、前記医用画像に対応する優先度に基づいて、前記所定の期間内での前記医用画像の順序を決定する医用画像システム
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出結果に基づいて、前記医用画像を前記画像管理装置に送信するか否かを判断する請求項1に記載の医用画像システム
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出結果に基づいて、前記医用画像又は前記検出結果を送信する送信先機器を決定する請求項1又は2に記載の医用画像システム
【請求項4】
前記制御手段は、前記検出結果及び医療従事者の属性に基づいて、前記医用画像の読影を依頼する医療従事者を決定する請求項1から3のいずれか一項に記載の医用画像システム
【請求項5】
前記医療従事者の属性は、専門科、読影能力、疲労度、稼働状況の少なくとも一つを含む請求項4に記載の医用画像システム
【請求項6】
前記異常検出手段は、前記医用画像から病変名、病変の位置、病変のサイズ、病変のカテゴリー、悪性度又は悪性度マップを生成する請求項1から5のいずれか一項に記載の医用画像システム
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記医用画像に対する追加検査又は再撮影の必要性及び検査項目を提示する追加検査判定手段を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の医用画像システム
【請求項8】
前記追加検査判定手段は、モダリティー、撮影部位、撮影方法の少なくとも一つを提示する請求項7に記載の医用画像システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機械学習の発展に伴い、医療分野においても、医師によってなされていた画像診断が機械学習により支援されるようになってきている。機械学習とは、大量のデータを使用して、機械にデータのパターンや相関を学習させ、識別、認識、検出、予測等を行うものである。
【0003】
また、医療の臨床現場では、検査、診断を適切かつ迅速に行う必要があり、検査、診断の効率化・最適化が求められている。
例えば、診断を効率的に行うために、患者症例に対して診断の難しさに応じたスコアを算出し、患者症例にランク付けを行う診断支援システムが提案されている(特許文献1参照)。このシステムでは、医師の診断能力に合わせて、各症例を適切な医師に割り当てることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2017-515574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療の臨床現場では、業務上のワークフローの更なる効率化・最適化が望まれている。
例えば、患者の撮影においては、患者を撮影して得られた医用画像を医師が読影した後で、追加撮影が必要になった場合、患者に再度の来院や脱衣を要求することになるとともに、検査装置の確保や検査技師による撮影の準備・設定が必要となり、生産性が低下するという問題があった。
【0006】
また、情報伝達においては、感染症の患者に対しては、即時に対応する必要があり、医療従事者へのタイムリーな連絡が必要となる。
また、画像診断においては、適切な医師(属性や読影能力等)による読影が求められる。
【0007】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、医療分野における業務上のワークフローの効率化及び最適化を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、撮影制御装置と画像管理装置との通信間に位置する情報処理装置と、前記画像管理装置と、を備える医用画像システムであって、前記情報処理装置は、前記撮影制御装置から受信した医用画像から異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段による検出結果に基づいて、前記医用画像又は前記検出結果の、いずれか又は両方の送信先を決定する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検出結果に基づいて、前記医用画像に、当該医用画像を表示させる際の優先度を付与し、当該優先度を前記医用画像と対応付けて前記画像管理装置に送信し、前記画像管理装置は、前記情報処理装置から送信された医用画像を優先度と対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている医用画像に対応する優先度に基づいて、前記記憶手段に記憶されている医用画像のリストを表示手段に表示させる際の順序を決定する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記医用画像のリストを前記表示手段に表示させる際に、当該リストに含まれる医用画像を当該医用画像の検査日時に応じて所定の期間ごとに区切って表示させ、前記医用画像に対応する優先度に基づいて、前記所定の期間内での前記医用画像の順序を決定する
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像システムにおいて、前記制御手段は、前記検出結果に基づいて、前記医用画像を前記画像管理装置に送信するか否かを判断する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医用画像システムにおいて、前記制御手段は、前記検出結果に基づいて、前記医用画像又は前記検出結果を送信する送信先機器を決定する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の医用画像システムにおいて、前記制御手段は、前記検出結果及び医療従事者の属性に基づいて、前記医用画像の読影を依頼する医療従事者を決定する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の医用画像システムにおいて、前記医療従事者の属性は、専門科、読影能力、疲労度、稼働状況の少なくとも一つを含む。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の医用画像システムにおいて、前記異常検出手段は、前記医用画像から病変名、病変の位置、病変のサイズ、病変のカテゴリー、悪性度又は悪性度マップを生成する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の医用画像システムにおいて、前記情報処理装置は、前記医用画像に対する追加検査又は再撮影の必要性及び検査項目を提示する追加検査判定手段を備える。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の医用画像システムにおいて、前記追加検査判定手段は、モダリティー、撮影部位、撮影方法の少なくとも一つを提示する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、医療分野における業務上のワークフローの効率化及び最適化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態における医用画像システムのシステム構成図である。
図2】画像診断支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3】医師属性テーブルのデータ構成例を示す図である。
図4】(a)は、胸部X線画像の例である。(b)は、胸部X線画像に対して生成された悪性度マップの例である。
図5】画像管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
図6】医用画像DBのデータ構成例を示す図である。
図7】画像診断支援装置により実行される画像診断支援処理を示すフローチャートである。
図8】異常検出結果と医師の属性との突合せ処理を示すフローチャートである。
図9】読影医師確定処理を示すフローチャートである。
図10】(a)は、医用画像のデータの例である。(b)は、悪性度に基づいてソートした表示例である。
図11】(a)は、変形例における医用画像のデータの例である。(b)は、検査日で区切りつつ、悪性度に基づいてソートした表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る情報処理装置及び医用画像システムの実施の形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0022】
〔医用画像システムの構成〕
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、医用画像システム100は、モダリティー10、コンソール20、画像診断支援装置30、画像管理装置40、RIS(Radiology Information System:放射線科情報システム)51、電子カルテサーバー52、予約システム53、医療従事者用端末54等から構成され、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。医用画像システム100を構成する各装置は、HL7(Health Level Seven)やDICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、HL7やDICOMに則って行われる。なお、モダリティー10、コンソール20、医療従事者用端末54の台数は、特に限定されない。
【0023】
モダリティー10は、X線撮影装置(DR、CR)、超音波診断装置(US)、CT、MRI等の画像生成装置であり、患者を撮影して得られた医用画像を生成する。モダリティー10は、DICOM規格に則って、付帯情報(患者情報、検査情報等)を医用画像の画像ファイルのヘッダーに書き込むことにより、医用画像に付帯情報を付帯させる。
【0024】
コンソール20は、モダリティー10における撮影を制御する撮影制御装置である。コンソール20は、撮影条件や画像読取条件をモダリティー10に出力し、モダリティー10において撮影された医用画像の画像データを取得する。コンソール20は、制御部、表示部、操作部、通信部、記憶部等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0025】
画像診断支援装置30は、コンソール20と画像管理装置40との通信間に位置する情報処理装置であり、コンソール20から医用画像を受信し、画像管理装置40に医用画像を送信する。画像診断支援装置30は、医用画像に対し、CAD(Computer Aided Diagnosis)による病変の検出を含む画像診断・画像解析を行うAI(Artificial Intelligence)を利用した装置である。
【0026】
画像管理装置40は、モダリティー10において生成された医用画像の画像データを記憶し、管理する。画像管理装置40としては、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が挙げられる。
【0027】
RIS51は、放射線機器による検査や治療の予約、検査結果等の放射線科内の情報を管理する。RIS51は、電子カルテサーバー52において発行された検査オーダーを管理し、検査対象のモダリティー10に対して検査オーダーを送信する。
【0028】
電子カルテサーバー52は、医療従事者用端末54からの操作指示に応じて、患者に対する診療行為や診断結果を記録した電子カルテ情報や、患者に対する検査を依頼するための検査オーダーを生成する。
【0029】
予約システム53は、モダリティー10における撮影等、病院内の検査の予約を管理する。
【0030】
医療従事者用端末54は、医療従事者により使用されるPC(Personal Computer)等のコンピューター装置である。医療従事者は、医療従事者用端末54において、電子カルテの作成、検査オーダーの生成、医用画像の閲覧、読影レポートの作成等を行う。医療従事者用端末54は、制御部、表示部、操作部、通信部、記憶部等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0031】
〔画像診断支援装置の構成〕
図2に、画像診断支援装置30の機能的構成を示す。
図2に示すように、画像診断支援装置30は、制御部31、表示部32、操作部33、通信部34、記憶部35等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0032】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、画像診断支援装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部35に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0033】
表示部32は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0034】
操作部33は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0035】
通信部34は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部34は、モダリティー10により患者を撮影して得られた医用画像をコンソール20から受信する。通信部34は、医用画像を画像管理装置40に送信する。
【0036】
記憶部35は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリー等により構成される記憶装置である。記憶部35は、制御部31により実行される各種プログラムを記憶しているほか、各種プログラムを実行するために必要なパラメーターやデータを記憶している。例えば、記憶部35には、送信制御プログラムP1、異常検出プログラムP2、追加検査判定プログラムP3が記憶されている。また、記憶部35には、医師属性テーブル351、通知先テーブル352が記憶されている。
【0037】
送信制御プログラムP1は、医用画像の異常検出結果に基づいて、医用画像又は異常検出結果の送信内容又は送信先を決定する処理を実行させるためのプログラムである。
異常検出プログラムP2は、医用画像から異常を検出する処理を実行させるためのプログラムである。
追加検査判定プログラムP3は、追加検査(追加撮影、再撮影)の要否を判定する処理を実行させるためのプログラムである。
【0038】
医師属性テーブル351は、医師の属性情報を管理するためのテーブルである。属性情報は、画像診断支援装置30又は画像診断支援装置30に接続可能ないずれかの装置から、入力されることとしてもよい。図3に、医師属性テーブル351のデータ構成例を示す。医師属性テーブル351には、医師ごとに、医師名、ユーザーID、専門科、読影能力、疲労度、稼働状況が対応付けられて格納されている。
医師名は、医師の氏名である。
ユーザーIDは、医師が医用画像システム100を使用する際のユーザーIDである。
専門科は、医師の専門とする診療科、医師が所属する診療科である。
読影能力は、医師の読影技術のレベルを示す情報である。読影能力は、例えば、高、中、低という区分で表現され、読影年数、累積読影枚数等から判定される。
疲労度は、医師の疲労の度合いを示す情報である。疲労度は、例えば、大、中、小という区分で表現され、任意期間の読影枚数等から判定される。最も単純な方法では、1日の読影枚数から判定される。なお、医師(ユーザー)本人が疲労度を設定してもよい。
稼働状況は、医師の稼働状況を示す情報である(0~100%等)。稼働状況は、溜まっている読影枚数や予約状況等、現在の読影状況から算出される。なお、医師(ユーザー)本人が稼働状況を設定してもよい(特に、遠隔読影会社を使用する場合等)。
【0039】
通知先テーブル352は、画像診断支援装置30から通知を行う通知先となる医療従事者(ユーザー)ごとに、通知先を管理するためのテーブルである。通知先テーブル352には、医療従事者ごとに、ユーザーID、氏名、メールアドレス等が対応付けられて格納されている。
ユーザーID、氏名、メールアドレスは、それぞれ、医療従事者のユーザーID、氏名、メールアドレスである。メールアドレスに代えて、他の通知先の情報が格納されていてもよい。
【0040】
制御部31は、異常検出プログラムP2との協働により、コンソール20から受信した医用画像から異常を検出する。すなわち、制御部31は、異常検出手段として機能する。
制御部31は、医用画像から病変名(所見名)、病変の位置、病変のサイズ、病変のカテゴリー、悪性度又は悪性度マップを生成する。
【0041】
病変のカテゴリーとは、悪性疑いの度合いを示す情報である。マンモグラフィーの場合、カテゴリーは、以下のように、1~5に分類され、カテゴリー3以上が要精密検査となる。
カテゴリー1:異常なし。
カテゴリー2:明らかに良性と診断できる。
カテゴリー3:良性。しかし、悪性を否定できない。
カテゴリー4:悪性疑い。悪性の可能性が高く、良性の可能性もあり、細胞診、生検が推奨される。
カテゴリー5:悪性。ほぼ乳癌と考えられる。
【0042】
悪性度とは、病変名、病変の位置、病変のサイズ、病変のカテゴリー等に基づいて、悪性の度合いを数値化したものである。悪性度は、医用画像単位で算出してもよい。また、1枚の画像内で、病変別の悪性度(肺癌:0.13、結核0.72、気胸:0.86等)をそれぞれ算出してもよい。
【0043】
悪性度マップとは、医用画像の各領域の悪性度に応じて色分けしたヒートマップである。悪性度マップにより、悪性度(数値データ)の強弱が可視化される。図4(a)に示す胸部X線画像に対して生成された悪性度マップの例を図4(b)に示す。悪性度が高い領域を赤色で表す等、悪性度が高い領域に注意が向くようにする。
【0044】
制御部31は、生成した悪性度マップの「参照SOPインスタンスUID」のタグに、悪性度マップの元になった医用画像の「SOPインスタンスUID」を書き込むことによって、悪性度マップが医用画像に対応するものであることを記録する。
【0045】
異常検出を含む医用画像の解析機能は、機械学習により、実現される。制御部31は、予め用意された学習データセット(医用画像と、当該医用画像から検出された異常検出結果の組み合わせ)により学習した検出器を用いて、病変候補情報等の異常検出結果を出力する。
【0046】
制御部31は、追加検査判定プログラムP3との協働により、医用画像に対する追加検査又は再撮影の必要性及び検査項目を提示する。すなわち、制御部31は、追加検査判定手段として機能する。検査項目は、検査内容を特定するための情報(モダリティー、撮影部位等)である。具体的には、制御部31は、検査に係るモダリティー10、撮影部位、撮影方法の少なくとも一つを提示する。撮影方法には、撮影方向や、拡大撮影の指定等が含まれる。
【0047】
制御部31は、送信制御プログラムP1との協働により、異常検出結果に基づいて、医用画像又は検出結果の送信内容又は送信先を決定する。ここで、送信先には、実際に医用画像又は検出結果の情報が送信される送信先だけでなく、医用画像又は検出結果の情報が公開される公開先も含む。
【0048】
例えば、制御部31は、検出結果に基づいて、医用画像を画像管理装置40に送信するか否かを判断する。
【0049】
制御部31は、検出結果に基づいて、医用画像又は検出結果を送信する送信先機器を決定する。送信先機器としては、画像管理装置40(PACS)、コンソール20、RIS51、電子カルテサーバー52、予約システム53、医療従事者用端末54(タブレット端末、携帯端末等を含む。)、HIS(Hospital Information System:病院情報システム)等が挙げられる。
【0050】
制御部31は、検出結果及び医療従事者の属性に基づいて、医用画像の読影を依頼する医療従事者を決定する。医療従事者の属性は、専門科、読影能力、疲労度、稼働状況の少なくとも一つを含む。
【0051】
制御部31は、検出結果に基づいて、医用画像に、当該医用画像を表示させる際の優先度を付与し、当該優先度を医用画像と対応付けて画像管理装置40に送信する。
【0052】
制御部31は、画像管理装置40、医療従事者用端末54等から取得した各医師の情報に基づいて、記憶部35に記憶されている医師属性テーブル351の疲労度及び稼働状況を更新する。更新タイミングは、10分ごと、1時間ごと等、任意である。
【0053】
〔画像管理装置の構成〕
図5に、画像管理装置40の機能的構成を示す。
図5に示すように、画像管理装置40は、制御部41、通信部42、記憶部43等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0054】
制御部41は、CPU、RAM等から構成され、画像管理装置40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部43に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0055】
通信部42は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0056】
記憶部43は、HDDや不揮発性メモリー等により構成される記憶装置である。記憶部43は、制御部41により実行される各種プログラムを記憶しているほか、各種プログラムを実行するために必要なパラメーターやデータを記憶している。記憶部43には、ユーザー情報テーブル431、医用画像DB432が記憶されている。また、記憶部43は、医用画像記憶領域433を有する。
【0057】
ユーザー情報テーブル431は、医用画像システム100を利用するユーザー(医療従事者)ごとに、ユーザーに関するユーザー情報を管理するためのテーブルである。ユーザー情報テーブル431には、ユーザーごとに、ユーザーID、氏名、所属施設、専門科等が対応付けられて格納されている。
ユーザーID、氏名は、それぞれ、ユーザーの識別情報、氏名である。
所属施設は、ユーザーが所属する医療施設である。
専門科は、ユーザーの専門科である。
【0058】
医用画像DB432は、画像管理装置40で管理されている医用画像に関する情報を管理するためのデータベースである。図6に、医用画像DB432のデータ構成例を示す。医用画像DB432には、医用画像ごとに、患者ID、患者名、検査日時、検査ID、モダリティー、SOPインスタンスUID、画像ファイル名、ファイル格納先、異常検出結果、読影医師、優先度等が対応付けられている。
【0059】
患者ID、患者名は、画像検査の対象患者の患者ID、氏名である。
検査日時は、医用画像に係る検査が実施された日時である。
検査IDは、医用画像に係る検査の識別情報である。
モダリティーは、検査(撮影)に用いられたモダリティーである。
SOPインスタンスUIDは、医用画像に付与された識別情報である。
画像ファイル名は、医用画像のファイルの名称である。
ファイル格納先は、医用画像記憶領域433における、医用画像のファイルの格納場所を示す情報である。
【0060】
異常検出結果は、医用画像に対する異常検出処理により得られた情報であり、異常の有無、病変名、病変の位置、病変のサイズ、病変のカテゴリー、悪性度等が含まれる。
読影医師は、医用画像に対して指定された読影医師である。具体的には、後述する読影医師確定処理(図9参照)において決定された読影医師の情報が、画像診断支援装置30から取得され、「読影医師」フィールドに格納されることになる。
優先度は、医用画像を表示する際の優先度である。本実施の形態では、優先度として、医用画像から得られた悪性度を用いる。
【0061】
医用画像記憶領域433には、医用画像のファイルが格納される。
医用画像DB432において、医用画像の画像ファイル名及びファイル格納先と、優先度とが対応付けられているため、記憶部43には、画像診断支援装置30から送信された医用画像と優先度とが対応付けられて記憶されることになる。
【0062】
制御部41は、通信部42を介して、外部機器から医用画像の取得要求があった場合に、当該取得要求に応じて、要求された医用画像を表示するための表示用データを当該外部機器に送信する。
【0063】
制御部41は、記憶部43に記憶されている医用画像に対応する優先度に基づいて、医用画像のリストを表示手段(医療従事者用端末54の表示部等)に表示させる際の順序を決定する。すなわち、制御部41は、表示制御手段として機能する。
【0064】
〔画像診断支援装置の動作〕
次に、画像診断支援装置30における動作について説明する。
図7は、画像診断支援装置30により実行される画像診断支援処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部31のCPUと記憶部35に記憶されているプログラム(送信制御プログラムP1、異常検出プログラムP2、追加検査判定プログラムP3)との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0065】
まず、制御部31は、モダリティー10により生成された医用画像を、コンソール20から通信部34を介して受信する(ステップS1)。
【0066】
次に、制御部31は、機械学習により得られた検出器を用いて、医用画像に対して異常検出処理を行う(ステップS2)。制御部31は、医用画像から異常(病変候補、画像異常等)を検出するとともに、病変名、病変の位置、病変のサイズ、病変のカテゴリー、悪性度、悪性度マップを生成する。医用画像から異常を検出する際に、ディープラーニングの技術を用いることとしてもよい。
【0067】
ディープラーニングを用いた胸部単純X線画像における病変検出タスクに関する技術は、例えば、以下の文献に開示されている。
Xiaosong Wang,他5名,“ChestX-ray8:Hospital-scale Chest X-ray Database and Benchmarks on Weakly-Supervised Classification and Localization of Common Thorax Diseases”,<URL:https://arxiv.org/pdf/1705.02315.pdf>
Ivo M. Baltruschat,他4名,“Comparison of Deep Learning Approaches for Multi-Label Chest X-Ray Classification”,<URL:https://arxiv.org/pdf/1803.02315.pdf>
【0068】
ここで、制御部31は、異常検出処理の結果に基づいて、感染症等、即時対応が必要な病気の疑いがあるか否かを判断する(ステップS3)。例えば、制御部31は、胸部疾患の場合、結核、肺炎等の疑いがあるか否かを判断する。
【0069】
即時対応が必要な病気の疑いがある場合には(ステップS3;YES)、制御部31は、医用画像に係る検査の依頼医師又は検査技師等の医療従事者の医療従事者用端末54に、通信部34を介して通知する(ステップS4)。
医用画像に係る検査の依頼医師、検査技師等の情報は、例えば、医用画像に付帯情報として付帯されている。制御部31は、医用画像に係る検査の依頼医師又は検査技師等の医療従事者に対応するメールアドレス等の通知先を記憶部35の通知先テーブル352から読み出し、この通知先に、即時対応が必要な病気の疑いがあることを通知する。
【0070】
また、制御部31は、医療従事者用端末54又はコンソール20の表示部に、即時対応が必要な病気の疑いがある旨のメッセージが記載されたポップアップウィンドウを表示させることとしてもよい。また、制御部31は、医療従事者用端末54又はコンソール20の表示部に検査リストが表示されている場合に、リスト上の該当検査の行に、即時対応が必要であることを知らせるマークを表示させることとしてもよい。また、制御部31は、医療従事者用端末54又はコンソール20の表示部に、即時対応が必要であることを示す専用のアイコンを点滅させて表示させることとしてもよい。
【0071】
ステップS3において、即時対応が必要な病気の疑いがない場合(ステップS3;NO)、又は、ステップS4の後、制御部31は、追加検査判定処理を行う(ステップS5)。追加検査判定処理は、追加の検査が必要であるか否かを判定する処理である。制御部31は、追加撮影を実施するモダリティー10、撮影部位、撮影方法等を判定する。
例えば、制御部31は、体動、異物混入により、画質が所定のレベルに達していない場合や、胸部画像における肺野欠損等、診断に適さない画像である場合には、再撮影が必要であると判定する。肺野欠損とは、照射領域に胸郭全体が納まらず、肺野が欠けた状態である。また、制御部31は、異常検出結果に基づいて、追加撮影として必要な撮影方向、拡大撮影の有無等を判定する。
【0072】
ここで、制御部31は、追加検査判定処理の結果、ステップS1で受信した医用画像が生成されたモダリティー10と同一のモダリティー10での撮影(再撮影、追加撮影)が必要であるか否かを判断する(ステップS6)。
同一のモダリティー10での撮影が必要である場合には(ステップS6;YES)、制御部31は、ステップS1で受信した医用画像の画像管理装置40への送信を待機し(ステップS7)、当該医用画像を送信してきたコンソール20に、再撮影又は追加撮影が必要であること、及び、再撮影又は追加撮影の指示(検査項目、撮影部位、撮影方向等)を、通信部34を介して通知する(ステップS8)。
【0073】
コンソール20の表示部には、再撮影又は追加撮影の指示が表示される。例えば、制御部31は、コンソール20の表示部に、再撮影又は追加撮影の指示が記載されたポップアップウィンドウを表示させる。また、制御部31は、コンソール20の表示部に検査リストが表示されている場合に、リスト上の該当検査の行に、再撮影又は追加撮影を知らせるマークを表示させることとしてもよい。また、制御部31は、コンソール20の表示部に、再撮影又は追加撮影を知らせる専用のアイコンを点滅させて表示させることとしてもよい。
【0074】
なお、同一のモダリティー10での再撮影の場合には、再撮影により生成された医用画像について、ステップS1以降の処理を行った後、更なる再撮影の必要がなければ、再撮影された医用画像を送信対象とする。最初に撮影された医用画像は、画像管理装置40へは送信されない。
【0075】
ステップS6において、同一のモダリティー10での撮影が必要でない場合(ステップS6;NO)、又は、ステップS8の後、制御部31は、追加検査判定処理の結果、ステップS1で受信した医用画像が生成されたモダリティー10と別のモダリティー10での撮影が必要であるか否かを判断する(ステップS9)。
別のモダリティー10での撮影が必要である場合には(ステップS9;YES)、制御部31は、予約システム53に追加撮影を登録する(ステップS10)。具体的には、制御部31は、追加撮影を実施するモダリティー10、撮影部位、撮影方法等の情報を、通信部34を介して予約システム53に送信する。予約システム53では、追加撮影に係る検査予約が登録される。
【0076】
なお、制御部31は、予約システム53に追加撮影を登録する前に、表示部32に、追加撮影が必要であること、及び、追加撮影を実施するモダリティー10、撮影部位、撮影方法等の情報を表示させ、ユーザーによる操作部33からの確認指示を待ってから、予約システム53に追加撮影の指示を送信することとしてもよい。
【0077】
ステップS9において、別のモダリティー10での撮影が必要でない場合(ステップS9;NO)、又は、ステップS10の後、制御部31は、異常検出結果と医師の属性との突合せ処理を行う(ステップS11)。
【0078】
ここで、図8を参照して、異常検出結果と医師の属性との突合せ処理について説明する。
制御部31は、ステップS2の異常検出処理により得られた異常検出結果(病変名、病変の位置、病変のサイズ、悪性度等)を取得する(ステップS21)。
【0079】
次に、制御部31は、医用画像に対する診断の難度を決定する(ステップS22)。例えば、制御部31は、異常検出結果に含まれる悪性度に基づいて、診断が難しい症例を「難度:高」とする。具体的には、悪性度が0.4~0.6の場合に「難度:高」、悪性度が0.2~0.4又は0.6~0.8の場合に「難度:中」、悪性度が0~0.2又は0.8~1.0の場合に「難度:低」とする。ここでは、悪性度が中程度の医用画像が、最も診断が難しいという判断基準を採用している。
【0080】
なお、病変名、病変の位置、病変のサイズ等に基づいて、難度を算出することとしてもよい。病変名は、発生頻度が少ない病変ほど、難度が高いと判断する。病変の位置は、人体の構造物と重なっている位置ほど、難度が高いと判断する。病変のサイズは、サイズが小さいほど、難度が高いと判断する。
【0081】
次に、制御部31は、記憶部35に記憶されている医師属性テーブル351から、各医師の属性情報(専門科、読影能力、疲労度、稼働状況)を取得する(ステップS23)。
【0082】
次に、制御部31は、異常検出結果に含まれる病変名から、当該病変名に適した専門科を判定する(ステップS24)。
【0083】
次に、制御部31は、専門科に基づいて、読影医師候補(候補群A)を選定する(ステップS25)。具体的には、制御部31は、属性情報の「専門科」が、ステップS24で判定された「専門科」と一致する医師を抽出する。
【0084】
次に、制御部31は、医用画像の難度と、医師の読影能力に基づいて、候補群Aから読影医師候補(候補群B)を選定する(ステップS26)。具体的には、制御部31は、候補群Aに含まれる医師のうち、属性情報の「読影能力」が、ステップS22で決定された難度に対応する医師を抽出する。例えば、「難度:高」の場合には「読影能力:高」の医師を選定し、「難度:低」の場合には「読影能力:低」の医師を選定する。
【0085】
次に、制御部31は、読影医師確定処理を行う(ステップS27)。読影医師確定処理は、医師の属性情報に含まれる疲労度及び稼働状況に基づいて、読影医師を確定する処理である。
【0086】
図9を参照して、読影医師確定処理について説明する。
制御部31は、候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が小、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在するか否かを判断する(ステップS31)。
候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が小、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在する場合には(ステップS31;YES)、制御部31は、疲労度が小、かつ、稼働状況が100%以下の医師の中で、稼働状況が最も低い医師を読影医師に決定する(ステップS32)。
【0087】
ステップS31において、候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が小、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在しない場合には(ステップS31;NO)、制御部31は、候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が中、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在するか否かを判断する(ステップS33)。
候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が中、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在する場合には(ステップS33;YES)、制御部31は、疲労度が中、かつ、稼働状況が100%以下の医師の中で、稼働状況が最も低い医師を読影医師に決定する(ステップS34)。
【0088】
ステップS33において、候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が中、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在しない場合には(ステップS33;NO)、制御部31は、候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が大、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在するか否かを判断する(ステップS35)。
候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が大、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在する場合には(ステップS35;YES)、制御部31は、疲労度が大、かつ、稼働状況が100%以下の医師の中で、稼働状況が最も低い医師を読影医師に決定する(ステップS36)。
【0089】
ステップS35において、候補群Bに含まれる医師の中に、疲労度が大、かつ、稼働状況が100%以下の医師が存在しない場合には(ステップS35;NO)、制御部31は、各医師の疲労度及び稼働状況を取得し直し、記憶部35の医師属性テーブル351における各医師の疲労度及び稼働状況を更新する(ステップS37)。
ステップS37の後、ステップS31に戻り、更新された疲労度及び稼働状況に基づいて、処理が繰り返される。
【0090】
ステップS32、ステップS34又はステップS36の後、読影医師確定処理が終了する。
読影医師確定処理の後、図8に戻り、異常検出結果と医師の属性との突合せ処理も終了する。
【0091】
図7に戻り、ステップS11の後、制御部31は、異常検出結果に基づいて、医用画像に、当該医用画像を表示させる際の優先度を付与する(ステップS12)。ここでは、制御部31は、優先度として「悪性度」を利用する。
【0092】
次に、制御部31は、医用画像を、異常検出結果(異常の有無、病変名、病変の位置、病変のサイズ、病変のカテゴリー、悪性度等)、読影医師、優先度と対応付けて、通信部34を介して画像管理装置40に送信する(ステップS13)。
また、異常検出処理において、悪性度マップを生成した場合には、制御部31は、医用画像とともに、悪性度マップを、通信部34を介して画像管理装置40に送信する。
以上で、画像診断支援処理が終了する。
【0093】
画像管理装置40の制御部41は、画像診断支援装置30から送信された医用画像、異常検出結果、読影医師、優先度を、通信部42を介して受信する。制御部41は、画像診断支援装置30から送信された医用画像を記憶部43の医用画像記憶領域433に記憶させるとともに、当該医用画像に関する情報を医用画像DB432に格納する。制御部41は、医用画像DB432に、患者ID、患者名、検査日時、検査ID、モダリティー、SOPインスタンスUID、画像ファイル名、ファイル格納先、異常検出結果、読影医師、優先度等を対応付けて格納する。
なお、患者ID、患者名、検査日時、検査ID、モダリティー、SOPインスタンスUIDは、医用画像の付帯情報から取得する。
【0094】
また、制御部41は、画像診断支援装置30から医用画像とともに悪性度マップを受信した場合には、悪性度マップを、悪性度マップの元になった医用画像と対応付けて記憶部43に記憶させる。具体的には、制御部41は、悪性度マップの「参照SOPインスタンスUID」のタグに、悪性度マップの元になった医用画像の「SOPインスタンスUID」が書き込まれていることで、悪性度マップと医用画像とが対応付けられる。
【0095】
制御部41は、医療従事者用端末54からアクセスがあった場合に、医療従事者用端末54において入力された「ユーザーID」等により、医療従事者用端末54を操作している医療従事者を特定する。具体的には、制御部41は、記憶部43のユーザー情報テーブル431を参照し、ユーザーIDに基づいて、医療従事者用端末54を操作している医療従事者(ユーザーの氏名)を特定する。
【0096】
制御部41は、記憶部43の医用画像DB432を参照し、「読影医師」フィールドが、医療従事者用端末54を操作している医療従事者であるレコード(医用画像)を抽出し、医療従事者用端末54を操作している医療従事者にとって、読影すべき医用画像のリスト(検査リスト)を、医療従事者用端末54の表示部に表示させる。
【0097】
図10(a)に、医療従事者用端末54を操作している医療従事者に読影が依頼された医用画像のデータ(患者ID、患者名、検査日、悪性度等)の例を示す。
【0098】
図10(b)は、図10(a)のデータを悪性度(優先度)に基づいてソートした表示例である。図10(b)では、各医用画像に対応するデータ(患者ID、患者名、検査日、悪性度等)が、悪性度が高い順にソートされている。
【0099】
制御部41は、医療従事者用端末54の操作部からの操作に応じて、リスト上から選択された医用画像を、医療従事者用端末54の表示部に表示させる。
制御部41は、読影時に医用画像を表示させる際に、当該医用画像と対応付けられている悪性度マップを、医用画像とともに表示させることとしてもよい。
【0100】
以上説明したように、本実施の形態に係る画像診断支援装置30によれば、医用画像から異常を検出した検出結果に基づいて、医用画像又は検出結果の送信内容又は送信先を決定するので、医療分野における業務上のワークフローの効率化及び最適化を実現することができる。
【0101】
例えば、検出結果に基づいて、感染症等、即時対応が必要な病気の疑いがある場合に、医用画像に係る検査の依頼医師又は検査技師等の医療従事者の医療従事者用端末54に通知するので、医療従事者へのタイムリーな連絡が可能となる。
【0102】
また、画像診断支援装置30は、検出結果及び医療従事者の属性に基づいて、医用画像の読影を依頼する医療従事者を決定することで、医用画像や検出結果の公開先を決定することができる。これにより、適切な医療従事者に読影を依頼することができる。
【0103】
また、画像診断支援装置30は、検出結果に基づいて、医用画像を画像管理装置40に送信するか否かを判断することができる。例えば、検出結果に基づいて、同一のモダリティー10での再撮影が必要であると判断された場合には、最初に撮影された医用画像については、画像管理装置40に送信しない。
【0104】
また、医師の読影を待ってから追加撮影の指示を出す場合、医師、検査技師、患者にとって生産性が悪いが、撮影直後に医用画像を解析して追加撮影の要否を判定することで、患者が撮影室にいる間に追加撮影を依頼することができ、生産性が向上する。
【0105】
また、画像診断支援装置30は、検出結果に基づいて、同一のモダリティー10での再撮影又は追加撮影が必要であると判断された場合には、コンソール20に、再撮影又は追加撮影の指示を送信することができる。
【0106】
また、画像診断支援装置30は、検出結果に基づいて、別のモダリティー10での撮影が必要であると判断された場合には、予約システム53に、追加撮影を実施するモダリティー10、撮影部位、撮影方法等の情報を送信することができる。
【0107】
また、画像診断支援装置30は、医用画像を表示させる際の優先度を、医用画像と対応付けて画像管理装置40に送信することで、医用画像の優先度を画像管理装置40に提供することができる。
【0108】
画像管理装置40では、医用画像に対応する優先度に基づいて、医用画像のリストを医療従事者用端末54の表示部等に表示させる際の医用画像の順序を決定することができる。
【0109】
〔変形例〕
変形例では、読影すべき医用画像のリストにおいて、リストに含まれる医用画像の検査日時が複数の日付に亘っている場合には、優先度に基づいてソートする際に、各検査日は跨がないようにする。
【0110】
画像管理装置40の制御部41は、記憶部43に記憶されている医用画像に対応する優先度に基づいて、医用画像のリストを表示手段(医療従事者用端末54の表示部等)に表示させる際の順序を決定する。
【0111】
制御部41は、医用画像のリストを表示手段に表示させる際に、当該リストに含まれる医用画像を当該医用画像の検査日時に応じて所定の期間ごとに区切って表示させ、医用画像に対応する優先度に基づいて、所定の期間内での医用画像の順序を決定する。変形例では、所定の期間として、1日(同日の0時から24時までの期間)を用いる。
【0112】
制御部41は、医療従事者用端末54からアクセスがあった場合に、医療従事者用端末54において入力された「ユーザーID」等により、医療従事者用端末54を操作している医療従事者を特定する。
【0113】
制御部41は、記憶部43の医用画像DB432を参照し、「読影医師」フィールドが、医療従事者用端末54を操作している医療従事者であるレコード(医用画像)を抽出し、医療従事者用端末54を操作している医療従事者にとって、読影すべき医用画像のリスト(検査リスト)を、医療従事者用端末54の表示部に表示させる。
【0114】
図11(a)に、医療従事者用端末54を操作している医療従事者に読影が依頼された医用画像のデータ(患者ID、患者名、検査日時、悪性度等)の例を示す。変形例においても、医用画像を表示する際の優先度として、悪性度を用いる。
【0115】
図11(b)は、図11(a)のデータを検査日で区切りつつ、悪性度(優先度)に基づいてソートした表示例である。図11(b)では、各医用画像に対応するデータ(患者ID、患者名、検査日、悪性度等)が、検査日ごとのグループG1,G2に区切られている。さらに、グループG1内では、検査日が「2020/1/23」の各医用画像に対応するデータが、悪性度が高い順にソートされている。また、グループG2内では、検査日が「2020/2/1」の各医用画像に対応するデータが、悪性度が高い順にソートされている。
【0116】
このように、複数の検査日に亘って生成された医用画像のリストを表示する際に、検査日は跨がないように、同日のデータ内で並べ替える。つまり、悪性度が高い医用画像(検査)については、検査日が同じものの中で、上段に位置するように表示させる。
【0117】
優先度のみに従ってリスト上での医用画像の順序を決定すると、優先度が低い医用画像の読影が後回しになってしまうおそれがあるが、変形例によれば、「所定の期間」を跨いで順序を入れ替えることはないので、優先度が低い医用画像の読影が必要以上に後回しになるのを防ぐことができる。
【0118】
なお、検査日時を区切る「所定の期間」としては、1日に限定されず、2日間、3日間等、複数の検査日ごとに区切ることとしてもよい。
【0119】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る情報処理装置及び医用画像システムの例であり、これに限定されるものではない。各装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0120】
上記実施の形態では、悪性度に応じて色分けした悪性度マップを生成する場合について説明したが、医用画像の各位置における診断難度に応じて色分けしたヒートマップを生成することとしてもよい。
【0121】
また、画像診断支援装置30の制御部31は、画像管理装置40に医用画像を送信する際に、優先度として、医用画像に対する診断の難度を付与することとしてもよい。また、制御部31は、難度が高い医用画像に、「難度:高」と判断した根拠(コメント)を付加することとしてもよい。
画像管理装置40は、画像診断支援装置30から送信された医用画像に診断難度が付与されている場合には、医用画像のリストを表示させる際に、難度が高い画像にマークを付けることで、読影医師に注意を促すようにしてもよい。
【0122】
また、画像診断支援装置30の制御部31は、コンソール20の表示部に、検査技師の読影所見欄を表示させる際に、医用画像の異常検出結果から得られた情報を記入した状態で表示させることとしてもよい。検査技師の読影所見欄の情報は、RIS51で管理される。
【0123】
また、各装置において各処理を実行するためのプログラムは、可搬型記録媒体に格納されていてもよい。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0124】
10 モダリティー
20 コンソール
30 画像診断支援装置
31 制御部
34 通信部
35 記憶部
40 画像管理装置
41 制御部
42 通信部
43 記憶部
51 RIS
52 電子カルテサーバー
53 予約システム
54 医療従事者用端末
100 医用画像システム
351 医師属性テーブル
352 通知先テーブル
431 ユーザー情報テーブル
432 医用画像DB
433 医用画像記憶領域
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11