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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240110BHJP
   G01N 21/47 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N21/59 M
G01N21/27 Z
G01N21/47 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020093911
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021189017
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 大介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 崇史
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-281808(JP,A)
【文献】特開2019-128262(JP,A)
【文献】特開2013-195177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0213166(US,A1)
【文献】米国特許第6548813(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/74
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01J 3/00 - G01J 3/52
B41J 1/00 - B41J 11/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 21/00
B65H 7/00 - B65H 7/20
B65H 43/00 - B65H 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の拡散性物質を透過する透過光を測定する光測定装置であって、
ランバーシアン特性を有し、前記拡散性物質に平行な発光面を有する光源と、
前記光源に対向して配置され、前記拡散性物質を透過した透過光を検知するセンサと、
前記光源および前記センサを通過する直線を基準とした特定角度範囲の入射光に対する前記透過光を通過させる絞りと、を備えることを特徴とする光測定装置。
【請求項2】
前記特定角度範囲は、前記拡散性物質上の照度の変化率が0となる特定角度を含むことを特徴とする請求項1に記載の光測定装置。
【請求項3】
前記特定角度範囲は、前記拡散性物質上の照度の変化率の絶対値が第1の所定値以下となる角度範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光測定装置。
【請求項4】
前記拡散性物質および前記絞りの距離が第2の所定値以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光測定装置。
【請求項5】
校正用のミラーをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)やPP(Production Print)などの画像形成装置においては、例えば、記録材の種類(紙種)によってトナーやインクの定着条件が異なる。このため、印刷の際、紙種設定が必要である。従来は、所定の操作パネルなどをユーザが操作することで、ユーザ自身が紙種設定を変更していた。
【0003】
近年では、所定のセンサ(例えば、メディアセンサ)を用いて紙種を判別し、自動的に紙種設定を変更する画像形成装置が広く用いられている。自動的に紙種設定をするセンサとして、例えば、紙に光を照射し、その透過光量から坪量を識別するものがある。また、自動的な紙種設定を行う技術として、特許文献1に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-64003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙などの拡散性物体の透過光量を測定する装置において、例えば光源およびセンサは紙面を介して互いに反対側に配置される。光源およびセンサの相対位置が所定の原因で変化した場合に、センサでの検出光量が大きく変化してしまう。このような変化によって、坪量の識別に誤りが生じ、紙種判別に誤りが生じる。その結果、適切でない定着条件に従った不良印刷がなされ得るという問題がある。
【0006】
なお、センサを装置本体に設け、光源を装置本体に対して移動可能な構成要素(例えば、扉)に設ける場合がある。この場合においての所定の原因は、例えば装置本体と移動可能な構成要素との位置ずれに起因するものである。
【0007】
上記事情に鑑みて、本発明では、光源およびセンサの相対位置の変化に対し、記録材の透過光量の測定に関して所望の精度を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1):シート状の拡散性物質を透過する透過光を測定する光測定装置であって、ランバーシアン特性を有し、前記拡散性物質に平行な発光面を有する光源と、前記光源に対向して配置され、前記拡散性物質を透過した透過光を検知するセンサと、前記光源および前記センサを通過する直線を基準とした特定角度範囲の入射光に対する前記透過光を通過させる絞りと、を備えることを特徴とする光測定装置。
【0010】
(2):前記特定角度範囲は、前記拡散性物質上の照度の変化率が0となる特定角度を含むことを特徴とする(1)に記載の光測定装置。
【0011】
(3):前記特定角度範囲は、前記拡散性物質上の照度の変化率の絶対値が第1の所定値以下となる角度範囲であることを特徴とする(1)または(2)に記載の光測定装置。
【0012】
(4):前記拡散性物質および前記絞りの距離が第2の所定値以下であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載の光測定装置。
【0013】
(5):校正用のミラーをさらに備えることを特徴とする(1)から(4)のいずれか1つに記載の光測定装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光源およびセンサの相対位置の変化に対し、記録材の透過光量の測定に関して所望の精度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態における光測定装置の概略図の例である。
図2】絞りの例である。
図3】絞りの比較例である。
図4】絞りの他の例(その1)である。
図5】絞りの他の例(その2)である。
図6】画像形成装置に実装された光測定装置の例である。
図7】光源の位置変化を示す説明図である。
図8】光源の位置変化(+z方向)に対する、光線角度と紙上の照度変化率との関係を示すグラフである。
図9図8のグラフの拡大図である。
図10】光源の位置変化(-z方向)に対する、光線角度と紙上の照度変化率との関係を示すグラフである。
図11図10のグラフの拡大図である。
図12】絞りを光源に近づけた光測定装置の比較例である。
図13】絞りをセンサに近づけた光測定装置の比較例である。
図14】ミラーを備えた光測定装置の例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
なお、本実施形態において、特段の事情が無い限り、「平行」という語は、略平行の意味を含むこととする。また、段の事情が無い限り、「垂直」という語は、略垂直の意味を含むこととする。また、特段の事情が無い限り、「ランバーシアン」は、略ランバーシアンの意味も含むこととする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の光測定装置100は、光源1と、センサ2と、絞り3とを備えている。光源1、絞り3、センサ2は、この順で、z方向(+z方向)に並んで配置されている。z方向とは、光源1とセンサ2とを通過する直線の方向であり、紙Pの紙面垂直方向に一致する。
【0018】
光源1は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。光源1は、z方向を正面としたランバーシアン特性を持つ。つまり、z方向を法線方向とする発光面(仮想面)をランバート光源とすることができる。例えば、光源1と絞り3との距離を7mmとし、絞りとセンサ2との受光面との距離を14mmとすることができ、光源1の発光面サイズを1.5mm×1.5mmとすることができる。つまり、光源1は、センサ2から十分に離れており、点光源として扱うことができる。
【0019】
センサ2は、光源1に対向して配置され、光源1から紙Pに向けて照射された光の透過光(紙Pを透過した透過光)を検知する。センサ2の受光面(仮想面)は、z方向に垂直であり、光源1の発光面と平行である。例えば、センサ2の受光面サイズを1.5mm×1.5mmとすることができる。つまり、センサ2は、光源1から十分に離れており、点として扱うことができる。
【0020】
絞り3は、光源1から紙Pに向けて照射された光の透過光の一部を遮蔽する。絞り3は、例えば、板状体とすることができるが、これに限定されない。絞り3の板厚は十分に小さい。
紙Pは、光源1から照射された光を拡散させる拡散性物体の例である。紙Pは、シート状であり、紙面垂直方向はz方向である。よって、光源1の発光面は、紙Pの紙面と平行とすることができるがこれに限定されない。また、絞り3は、紙Pと平行とすることができるがこれに限定されない。
【0021】
[絞りの詳細]
図2に示すように、例えば、絞り3は、環状の開口部3aを備えたものとすることができる。開口部3aの中心は、光源1とセンサ2とを通過する直線上にある。例えば、開口部3aの内径を6mmとし、外径を8mmとすることができるが、これに限定されない。開口部3aにより、絞り3は、光源1から紙Pに照射された光の透過光のうち、光源1からの正面方向の透過光を遮ることができるとともに、開口部3aを通過する透過光をセンサ2に受光させることができる。換言すれば、絞り3は、光源1およびセンサ2を通過する直線を基準とした特定角度範囲の、光源1からの入射光に対する透過光を通過させることができる。
【0022】
図2に示す絞り3を用いて、紙Pを完全拡散面として光線シミュレーションを行った場合について説明する。図1に示す構成において、光源1がz方向に0.5mmシフトする(光源1をセンサ2に近づける)とセンサ2の受光量は-1.2%変化する。また、光源1がz方向に-0.5mmシフトする(光源1をセンサ2から遠ざける)とセンサ2の受光量は-1.1%変化する。
【0023】
一方、比較例として、図3に示すように、同じ径8mmの円形の開口部31aを有する絞り31を用いて光線シミュレーションを行った場合について説明する。この場合、光源1がz方向に0.5mmシフトするとセンサ2の受光量は+9%も変化し、光源1がz方向に-0.5mmシフトするとセンサ2の受光量は-7%も変化する。図2図3の例により、光源1の正面方向の透過光を遮り、正面から外れた透過光をセンサ2側へ透過させる環状の絞りを用いることで、光源1の位置変化(zシフト)に起因する透過光の光量変化を抑えることができるといえる。
【0024】
絞り3の開口部は、さまざまな形状にすることができる。例えば、図4に示すように、絞り32が有する環状の開口部32aの周方向全体のうち一部を開口せず、絞り32の中心にある円板と開口部32aの周囲板とが一体に成形されていてもよい。また、図5に示すように、多角形の環状の開口部33aを有する絞り33を用いてもよい。なお、図2に示す、環状の開口部33aを有する絞り3は、例えば、円形の開口部を有する板に、当該開口部よりも径の小さな円を塗りつぶしたフィルムを同心軸上に貼設することで実現することができる。図5の絞り33についても同様である。
【0025】
[画像形成装置への実装]
例えば、図6に示すように、構成部材(板材)W1,W2から構成される、紙Pの搬送路101を挟んで光源1およびセンサ2を配置することで、本実施形態の光測定装置100が画像形成装置に実装される。光源1に近い構成部材W1は、光源1からの所定角度範囲に照射される光が通過可能となるように開口している。また、センサ2に近い構成部材W2は、絞り3(図2)を含む部材であり、開口部3a(図2)を有する。紙Pが(図6にて上方向に)搬送される際、光源1からの光が紙Pに照射された後、一部の透過光が紙Pから開口部3aを通過してセンサ2に受光される。
【0026】
図6の構成によれば、光測定装置100は、搬送路101を通過する紙Pの透過性を測定することができる。また、絞り3と紙Pとを近接させることができるため、センサ2に対する光源1の位置変化に起因するセンサ2の受光量変化を小さくすることができる(詳細は後記)。
【0027】
[光源の位置変化とセンサの受光量との関係]
図7に示すように、光源1とセンサ2との間に、光源1の発光面およびセンサ2の受光面に平行な紙Pを配置した構成を参照して説明する。図7中、Aは、光源1と紙Pとの距離である。また、θは、光源1から紙Pへの入射角であり、光源1から出射する光線角度である。周知技術により、紙P上におけるθごとの照度を測定することが可能である。この照度の測定は、Aを適宜変更して行うことが可能である。
【0028】
図8は、図7の構成において、光源1を+z方向にA/10だけ動かしたとき(変位したとき)の紙P上の同じ位置における照度の変化率と、θとの関係を示すグラフである。なお、光源1は、ランバーシアン特性であり、光源1の発光面と紙Pは平行である。また、光源1の大きさは、絞り3や紙Pの照射面に対して十分小さい。なお図8の横軸θは光源1がz方向に変位していないときの光線角度である。光源1がz方向に変位した後に紙P上の同一位置に進む光線角度は、z方向に変位していないときの光線角度に比べるとやや変化する。
【0029】
紙Pを透過してセンサ2に入射する透過光の光量は、紙P上の照度に比例する。このため、図8の縦軸の値(照度の変化率)の絶対値が小さいほど、光源1の変位に対するセンサ2の受光量の変化が小さい。
【0030】
図8のグラフによれば、光線角度θが0°付近の光、および、光線角度θが90°付近の光は、照度変化率の絶対値が最も大きい。よって、絞り3によってこれらの光を遮ることで、光源1の変位に起因するセンサ2の受光量の変化を小さくすることができる。このため、絞り3の開口部3aを、正面方向の透過光を遮ることができる環状とすることが好ましい。照度変化率の絶対値が大きい光線角度θが90°付近の透過光もまた、絞り3における環状の開口部3aの外側部分によって遮られる。
【0031】
なお、図8のグラフは、一般的には、Aの変化量、つまり、光源1の位置の変位量に応じて変化する。しかし、Aの変化量に関わらず、光線角度θ(横軸)が大きいほど、紙P上における照度の変化率(縦軸)が単調減少するという傾向は変わらない。
【0032】
また、図8のグラフの拡大図である図9のグラフによれば、光線角度θ=43.5°を境にして、紙P上における照度の変化率(縦軸)の符号が逆転している。つまり、θが43.5度より小さい光は、光源1を動かしたときの紙P上で照度分布が上昇し、センサ2の受光量は増大する。一方、θが43.5度より大きい光については、光源1を動かしたときの紙P上で照度分布が下降し、逆にセンサ2の受光量は減少する。図10図11は光源1を-z方向にA/10だけ動かしたときの紙P上における照度の変化率と、θとの関係を示すグラフである。光線角度θ=46.5°を境にして、紙P上における紙P上における照度の変化率(縦軸)の符号が逆転している。この符号が逆転する角度は、光源1が+z方向に動く場合には45度より小さく、-z方向に動く場合には45度より大きくなるが、z方向変位量が大きくなりすぎない限り45度付近をとり、変位量が十分に小さければ45度になる。
【0033】
よって、光線角度θが45°以下の透過光、および、光線角度θが45°以上の透過光の両方をセンサ2が受光できるように絞り3の形状を設計することが好ましい。このような設計により、光源1の位置変化に起因するセンサ2の受光量の変化を相殺することができ、変化量総和を小さくすることができる。その結果、光測定装置100の測定精度を向上させることができる。
【0034】
なお、図9のグラフにおいて、一般的には、紙P上における照度の変化率(縦軸)の符号が逆転する光線角度θは、Aの変化量、つまり、光源1の位置の変位量に応じて変化するため、45°に限られない。しかし、当該符号が逆転する光線角度θは確実に存在する。よって、絞り3の形状を、当該符号が逆転する光線角度θを含む角度範囲の透過光をセンサ2が受光可能とする形状にすることが好ましい。紙P上における照度の変化率の符号が逆転する光線角度θは、拡散性物質上の照度の変化率が0となる特定角度である。
【0035】
また、図9のグラフによれば、光線角度θ=36.9°の、紙P上における照度の変化率が+5%であり、光線角度θ=50.5°の、紙P上における照度の変化率が-5%である。一方で図9bのグラフによれば、光線角度θ=38.7°の、紙P上における照度の変化率が+5%であり、光線角度θ=53.7°の、紙P上における照度の変化率が-5%である。よって、絞り3の形状を、38.7°~50.5°の光線角度θの透過光をセンサ2が受光可能とする形状にすることが好ましい。かかる形状にすることで、紙P上における照度の変化率の絶対値が5%以下となる角度範囲の光のみをセンサ2に受光させることができる。その結果、光源1が位置変化したときのセンサ2の受光量変化を5%以下に低減することができ、光測定装置100の測定精度を所定値以上にすることができる。上記38.7°~50.5°は、前記拡散性物質上の照度の変化率の絶対値が第1の所定値以下となる角度範囲の例である。
【0036】
なお、すでに説明した通り、紙P上における照度の変化率(縦軸)の符号が逆転する光線角度θが確実に存在する。このため、絞り3の形状を、当該符号が逆転する光線角度θを含み、かつ、紙P上における照度の変化率の絶対値が5%以下となる角度範囲の透過光をセンサ2が受光可能とする形状にすることが好ましい。
【0037】
[絞りと紙との位置関係]
図12の比較例に示すように、光源1、絞り3、紙Pが、この順でz方向(+z方向)に並んで配置されている場合、光源1から紙Pに照射する光は、絞り3によって規制される。環状の開口部3aを有する絞り3が同じ角度の光を透過させる場合、光源1と絞り3との距離を大きくするほど、光源1が同じ量だけz方向に変位したときの紙P上での照度の変化率は小さくなり、センサ2の受光量の変化が小さくなる、という有利な効果を奏する。
【0038】
また、図13の比較例に示すように、光源1、紙P、絞り3が、この順でz方向(+z方向)に並んで配置されている場合、紙Pを透過してセンサ2に入る透過光は、絞り3によって光束規制される。環状の開口部3aを有する絞りが同じ角度の光を透過させる場合、絞り3がセンサ2から離れるほど、センサ2が同じ量だけz方向に変位したときの、センサ2の受光量の変化が小さくなる、という有利な効果を奏する。
【0039】
以上の説明から、環状の開口部3aを有する絞り3を、光源1とセンサ2の双方から離間するように配置することで、センサ2の受光量の変化を小さくすることができる。つまり、絞り3および紙Pが近接するように(光源1とセンサ2の間の距離に対する絞り3と紙Pの間の距離の割合が、微小値となる所定値(第2の所定値)以下となるように)、絞り3および紙Pを配置することで、光源1およびセンサ2の相対距離の変位に起因するセンサ2の受光量の変化を低減することができる。その結果、光測定装置100の測定精度を向上させることができる。
【0040】
[校正用のミラー]
図14に示すように光測定装置100は、ミラー4を備えることができる。ミラー4は、紙Pが無いときに(紙Pの未搬送時に)光源1からの光を反射してセンサ2に導くことができる。ミラー4の表面は、z方向に平行である。光源1の発光面およびセンサ2の受光面が平行であるため、ミラー4の表面は、光源1の発光面およびセンサ2の受光面に垂直である。また、絞り3とセンサ2との距離は、光源1と絞り3との距離よりも大きく、ミラー4は、絞り3よりもセンサ2側に配置されている。
【0041】
図14に示すように、紙Pが無いときに光源1から出射した光がミラー4を経由してセンサ2に届くようにする。光源1の発光量やセンサ2の感度は時間が経つと変化するため、光測定装置100は、紙Pが搬送されていない状態でミラー4を経由した光を参照して校正することで、絞り3を通過する光を設計値に調整することができる。その結果、透過光の測定を常に高い精度で実現できる。
【0042】
環状の開口部3aを有する絞り3は、光源1がz方向に変位しても紙P上および紙Pに平行な面上での照度変化が小さくなる角度の光を通過させることができる。しかし、光測定装置100がミラー4を備えることで、光源1がz方向に変位したとしても、光源1から出射され絞り3を通過した光は、ミラー4で反射して紙Pに平行なセンサ2に入射する。このとき光源1の発光面とセンサ2の受光面が平行で、ミラーがそれらに垂直なので、光線のセンサ2の受光面への入射角は、光線の紙Pへの入射角に等しい。このため、紙Pが無いときにおけるセンサ2の受光面上での照度変化を小さくすることができ、高い精度の校正が可能になる。
【0043】
<まとめ>
本実施形態によれば、絞り3が、光源1とセンサ2との相対距離の変化に大きな影響を受ける透過光として、正面方向の透過光を遮ることができる。したがって、光源およびセンサの相対位置の変化に対し、記録材の透過光量の測定に関して所望の精度を実現することができる。その結果、拡散性物質の坪量の識別を所望の精度で実現することができ、紙種判別を所望の精度で実現することができる。
【0044】
<変形例>
(a):本実施形態では、光源1、紙P、絞り3、センサ2を、この順で、z方向(+z方向)に並んで配置した場合について説明した。しかし、例えば、光源1、絞り3、紙P、センサ2を、この順で、z方向(+z方向)に並んで配置してもよい。絞り3および紙Pは近接していることが好ましい。
(b):本実施形態では、ミラー4をセンサ2側に配置した場合について説明した。しかし、ミラー4を光源1側に配置してもよい。
【符号の説明】
【0045】
100 光測定装置
1 光源
2 センサ
3 絞り
4 ミラー
P 紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14