(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】スライドドアの開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/662 20150101AFI20240110BHJP
E05F 15/643 20150101ALI20240110BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E05F15/662
E05F15/643
B60J5/06 A
(21)【出願番号】P 2020095267
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】水内 衛
(72)【発明者】
【氏名】配島 広成
(72)【発明者】
【氏名】森 雅斗
(72)【発明者】
【氏名】中野 必士
(72)【発明者】
【氏名】柴山 智志
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-69638(JP,A)
【文献】特開2007-23700(JP,A)
【文献】特開2007-56580(JP,A)
【文献】実開昭60-105777(JP,U)
【文献】米国特許第5140316(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
B60J 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車車両の後部スライドドアにより車両ボディのドア開口部を開閉するスライドドアの開閉装置であって、
前記ドア開口部の下縁を形成するロッカパネルに収容され、スライドドアのスライド方向に沿って配置されると共に前記スライドドアを移動させるための伝動ベルトと、前記ロッカパネル内において車両前後方向に沿って長尺に形成され、少なくとも前記ドア開口部の幅の長さにおいて前記伝動ベルトを収容する戸袋と、前記伝動ベルトに係合し、該伝動ベルトを移動させる駆動プーリと、前記駆動プーリを回転駆動する駆動モータとを備え、
前記戸袋の車両前後方向の前部側面には、前記伝動ベルトが挿通される開口が形成され、
前記駆動プーリと前記駆動モータとは、前記戸袋と離れて該戸袋の車両前後方向前方に配置され、前記開口に挿通された前記伝動ベルトが前記駆動プーリに懸架されていることを特徴とするスライドドアの開閉装置。
【請求項2】
前記駆動モータは、車両前後方向において前部座席下の位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載されたスライドドアの開閉装置。
【請求項3】
前記駆動プーリは、前記駆動モータの回転軸と同軸心上に回転可能に設けられ、前記駆動モータの直下に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたスライドドアの開閉装置。
【請求項4】
前記伝動ベルトが懸架され、該伝動ベルトの移動方向を規制する複数の従属プーリを備え、
前記駆動プーリの左右直近の2つの従属プーリによって鈍角に屈曲された前記伝動ベルトが駆動プーリに懸架されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたスライドドアの開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部のスライドドアの開閉装置に関し、例えば小型のハイブリッド車において、車両の動力源であるバッテリー装置と、スライドドアをスライド移動させる駆動源であるモータとの配置を両立させることのできるスライドドアの開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の後部座席に乗降車するために開閉可能に設けられたスライドドアは、一般に電動の開閉装置によってスライド移動する構造が採用されている。
図7は、特許文献1に開示される車両のスライドドア開閉装置の斜視図である。このスライドドア開閉装置は、スライドドア(図示省略)を開閉方向にスライド移動させるドア開閉ユニット200と、前記ドア開閉ユニット200を駆動させる駆動源のモータ210とを備えている。
【0003】
ドア開閉ユニット200は、スライドドアのスライド方向に沿って回動可能に配置される伝動ベルト201と、この伝動ベルト201を回動させるための駆動プーリ202を有する。伝動ベルト201には、スライドドアに連結されるドアブラケット203が固定されており、伝動ベルト201の移動(回動)に伴いスライドドアがスライド移動する。
ドア開閉ユニット200は、車両ボディ下縁を形成するロッカパネル60内に設置され、モータ210は車室内のフロア上に設置されている。また、駆動プーリ202はこれを回転駆動させるためのモータ210の直下に配置される。
【0004】
ここで、
図8に特許文献1に開示の発明の構成と同様に、ドア開閉ユニット200をロッカパネル60内に収容し、フロア上にモータ210を配置した構成の平断面図を示す。
図9は、
図8のA-A矢視断面図であり、
図10は、
図8のB-B矢視断面図である。
図8乃至
図10に示すように、ドア開閉ユニット200の駆動プーリ202の直上にモータ210が配置され、モータ210の駆動によって駆動プーリ202が回転駆動され、それによってロッカパネル250内に配置された伝動ベルト201が移動し、伝動ベルト201に連結されたスライドドア51が開閉動作されることになる。
尚、
図8に示すように、ドア開閉ユニット200を構成する前記伝動ベルト201と前記駆動プーリ202とは、車両前後方向に沿って長尺に形成された戸袋230に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年にあっては、バッテリーを駆動源とするハイブリッド車が普及し、特にスライドドアを備える小型のハイブリッド車への要求が高くなっている。
図8に破線で示すように一般にハイブリッド車の動力源であるバッテリー装置300は、車内空間を広く確保するために薄型で広面積に形成される。そのため、後部座席に座る乗員の足下の領域にまたがり配置されることが多い。
【0007】
しかしながら、前述した構成にあっては、伝動ベルト201が懸架される駆動プーリ202は、車両前後方向においてドア開口部の前部付近に配置されるため、駆動プーリ202の直上のモータ210は、後部座席の乗員の足下のフロア領域に配置されることになる。即ち、バッテリー装置300の配置領域とモータ210の配置位置とが干渉するため、バッテリー装置300の平面方向の大きさが制限されるという課題があった。
【0008】
前記課題を解決するには、ドア開閉ユニット200を前方に長く延長し、モータ210を前部座席の下に配置することが考えられるが、その場合、伝動ベルト201と駆動プーリ202とを収容する戸袋230をより長く形成する必要があるため、重量増加とともにコストが高くなるという課題があった。
【0009】
また、戸袋230内に配置された伝動ベルト201とスライドドア51とを連結可能するためにロッカパネル60(及び戸袋230)の側面には車両前後方向に横長な開口が形成されており、その開口から埃、塵が侵入し、これが駆動プーリ202に塗布されたグリスに付着し、異音発生などの原因となるという課題もあった。
【0010】
更に、
図8に示す構成にあっては、ドア開口部の幅に沿って伝動ベルト201が配置され、その幅内に配置された駆動プーリ202に伝動ベルト201を係合させる必要がある。駆動プーリ202の回転により伝動ベルト201を駆動するには、駆動プーリ202の左右に従属プーリ204A、204Bを配置し、駆動プーリ202に懸架する伝動ベルト201を駆動プーリ202の左右両側で略直角に屈曲させる必要があった。
しかしながら、そのように伝動ベルト201を駆動プーリ202の左右両側で略直角に屈曲させると、負荷が大きくなるため、駆動モータ210を高出力で駆動する必要があり、コスト高になるという課題があった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、バッテリーを駆動源とするハイブリッド車などにおいて、スライドドアを移動させるための駆動モータの配置位置が、車両の動力源であるバッテリー装置の配置領域に干渉することを回避するとともに、埃、塵の付着による異音発生の防止、低出力でのモータ駆動、伝動ベルトの耐久性向上を可能とするスライドドアの開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した課題を解決するために、本発明に係るスライドドアの開閉装置は、自動車車両の後部スライドドアにより車両ボディのドア開口部を開閉するスライドドアの開閉装置であって、前記ドア開口部の下縁を形成するロッカパネルに収容され、スライドドアのスライド方向に沿って配置されると共に前記スライドドアを移動させるための伝動ベルトと、前記ロッカパネル内において車両前後方向に沿って長尺に形成され、少なくとも前記ドア開口部の幅の長さにおいて前記伝動ベルトを収容する戸袋と、前記伝動ベルトに係合し、該伝動ベルトを移動させる駆動プーリと、前記駆動プーリを回転駆動する駆動モータとを備え、前記戸袋の車両前後方向の前部側面には、前記伝動ベルトが挿通される開口が形成され、前記駆動プーリと前記駆動モータとは、前記戸袋と離れて該戸袋の車両前後方向前方に配置され、前記開口に挿通された前記伝動ベルトが前記駆動プーリに懸架されていることに特徴を有する。
【0013】
尚、前記駆動モータは、車両前後方向において前部座席下の位置に配置されることが望ましい。
また、前記駆動プーリは、前記駆動モータの回転軸と同軸心上に回転可能に設けられ、前記駆動モータの直下に配置されていることが望ましい。
また、前記伝動ベルトが懸架され、該伝動ベルトの移動方向を規制する複数の従属プーリを備え、前記駆動プーリの左右直近の2つの従属プーリによって鈍角に屈曲された前記伝動ベルトが駆動プーリに懸架されていることが望ましい。
【0014】
このように本発明によれば、スライドドアをスライド方向に移動させるためにドア開口部の幅に沿って配置された伝動ベルトをドア開口部よりも前方まで延長し、伝動ベルトを回動させるための駆動プーリ及び駆動モータを、前記ドア開口部前方に配置するようにした。
これにより、駆動モータを車両前後方向において車両の前部座席下に配置することができ、車両の動力源であるバッテリー装置を駆動モータに干渉させることなく後部座席乗員の足下の領域に配置することができる。
また、戸袋内に駆動プーリを配置しないため、戸袋内の埃、塵が直接的に駆動プーリに付着することがなく、戸袋内の埃、塵が戸袋の開口から外に排出されたとしても駆動プーリに達する前に下方へ落下するため、駆動プーリへの付着を防止することができる。
また、駆動プーリの回転により伝動ベルトを駆動するために、伝動ベルトを屈曲させる必要がなく、駆動モータが低出力であっても駆動効率を維持することができ、従来よりベルト長が長くなっても耐久性を保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、バッテリーを駆動源とするハイブリッド車などにおいて、スライドドアを移動させるための駆動モータの配置位置が、車両の動力源であるバッテリー装置の配置領域に干渉することを回避するとともに、埃、塵の付着による異音発生の防止、低出力でのモータ駆動、伝動ベルトの耐久性向上を可能とするスライドドアの開閉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、スライドドアを備えるハイブリッド車を後方からみた斜視図である。
【
図2】
図2は、ドア開口部の下部(ロッカパネル)付近の平断面図である。
【
図3】
図3は、
図2のA-A矢視断面図(車幅方向断面図)である。
【
図4】
図4は、
図2のB-B矢視断面図(車両前後方向の断面図)である。
【
図5】
図5は、本発明に係る開閉装置の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る開閉装置の一部拡大した模式図(断面図)である。
【
図7】
図7は、従来の車両のスライドドア開閉装置の斜視図である。
【
図8】
図8は、ドア開閉ユニットをロッカパネル内に収容し、フロア上にモータを配置した構成の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかるスライドドアの開閉装置の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
図1は、スライドドア51を備えるハイブリッド車を後方からみた斜視図であり、後部座席側に設けられたスライドドア51を開けた状態を示している。本発明の実施の形態に係るスライドドアの開閉装置は、車両ボディ50において、リアのスライドドア51によって開閉されるドア開口部52の下部53の周辺(鎖線で囲む位置)に、車両前後方向に沿って設けられる。
【0018】
図1に示すように、車両ボディ50には、スライドドア51をスライド方向にガイドするアッパーガイドレール55とロアガイドレール56とセンターガイドレール57とが設けられている。前記アッパーガイドレール55は、車両ボディ50のドア開口部52の上部付近に設けられ、前記ロアガイドレール56は、前記ドア開口部52の下部付近に設けられている。また、前記センターガイドレール57は、前記ドア開口部52の後部の高さ方向中央付近に設けられている。
【0019】
ロアガイドレール56は、ドア開口部52の下部ボディ(下縁)を形成するロッカパネル60内の所定位置に車両前後方向に沿って設けられている。各ガイドレール55,56,57には、スライドドア51の上端部、下端部、及び中央部にそれぞれ設けられたドアブラケットが各ガイドレール55,56,57に沿って転動可能な状態で連結されている。それによりスライドドア51が各ガイドレール55,56,57に沿ってスライド可能となされている。
【0020】
図2は、ドア開口部52の下縁(ロッカパネル60)付近の平断面図であり、
図3は、
図2のA-A矢視断面図(車幅方向断面図)であり、
図4は、
図2のB-B矢視断面図(車両前後方向の断面図)である。
ロッカパネル60は、
図3に示すように車幅方向内側に配置されたロッカインナ61と、ロッカインナ61よりも車幅方向外側に配置されたロッカアウタ62と、ロッカアウタ62よりも車幅方向外側に配置され、開口部52の下部に露出されるサイドアウタ63とが左右方向から合わされることにより中空状に形成されている。前記ロアガイドレール56は、後述の戸袋2の天井面に固定され設けられている。
【0021】
ロッカパネル60内には、本発明に係る開閉装置1が収容される。ロッカパネル60の車両幅方向外側側面には、車両前後方向に長く形成され細長開口60aが設けられ、この細長開口60aを通されたドアブラケット5を介して前記開閉装置1とロアガイドレール56とが連結される(図示省略)。前記細長開口60aの長さは、スライドドア51のスライド範囲と略同じ長さに形成されている。
【0022】
また、前記ロッカパネル60内には、該ロッカパネル60に沿って車両前後方向に沿って長尺に形成され、開閉装置1の一部を構成する戸袋2が収容されている。
前記開閉装置1は、
図2に示すように前記戸袋2と、戸袋2内に収容され、ロアガイドレール56に沿って配置された伝動ベルト3と、この伝動ベルト3が懸架され、伝動ベルト3の移動方向をガイド(規制)するように回転自在に設けられた複数の従属プーリ4とを備える。尚、前記戸袋2は、少なくともドア開口部52の幅の長さにおいて前記伝動ベルト3を収容している。
【0023】
前記戸袋2の車両幅方向外側側面には、前記ロッカパネル60の細長開口60aに合わせて細長開口2aが形成されており、
図2に示すように前記伝動ベルト3の移動(回動)とともに、該ベルトに固定されたドアブラケット5が移動するようになっている。前記ドアブラケット5は、スライドドア51及びロアガイドレール56に連結されており、伝動ベルト3の移動とともにロアガイドレール56に沿って移動することによって、スライドドア51がスライドするようになっている。
【0024】
図5に本発明に係る開閉装置1の斜視図を示す。前記戸袋2の前部側面には、開口2bが形成されている。本発明に係る開閉装置1は、前記伝動ベルト3が懸架される駆動プーリ6(
図2~
図4参照)と、駆動プーリ6の直上に設けられ、駆動プーリ6を回転駆動させる駆動モータ7とを備える。前記駆動プーリ6と駆動モータ7とは、回転軸8によって同一軸心上に接続されている。
また、
図2、
図4に示すように駆動プーリ6と駆動モータ7とは、前記戸袋2から離れて、戸袋2の前方に配置され、戸袋2に収容された伝動ベルト3の一部が前記開口2bを挿通されて戸袋2の前方に引き出され、戸袋2前方の前記駆動プーリ6に懸架されている。
【0025】
このように構成されたスライドドアの開閉装置1は、
図4に示すように戸袋2の前端(車両前側方向)がドア開口部52の前側端部付近に配置され、車両前後方向において、その前方の前部座席10の下に駆動プーリ6及び駆動モータ7が配置される。即ち、後部座席乗員の足下に駆動モータ7が配置されないため、バッテリー装置30の配置領域が広く確保される。
【0026】
また、戸袋2の前方に駆動プーリ6と駆動モータ7とが配置され、従来のように戸袋2内には駆動プーリ6が収容されないため、戸袋2内に溜まった埃、塵などが駆動プーリ6に付着することがなく、
図6に模式的に示すように仮に開口2bから埃、塵80が外に排出されたとしても駆動プーリ6に達する前に落下させて駆動プーリ6への付着を防止することができる。
【0027】
また、戸袋2に開口2bを形成し、そこから伝動ベルト3を引き出して駆動プーリ6を戸袋2の前方に配置するように構成したため、戸袋2の長さを従来から変更することなく、従来からの重量及びコストの増加が抑えられる。
【0028】
また、従来(
図8の構成)は、ドア開口部の幅に沿って伝動ベルト201が配置され、その幅内に配置された駆動プーリ202に伝動ベルト201を係合させる必要がある。駆動プーリ202の回転により伝動ベルト201を駆動するには、駆動プーリ202の左右に従属プーリ204A、204Bを配置し、駆動プーリ202に懸架する伝動ベルト201を駆動プーリ202の左右両側で略直角に屈曲させる必要があった。
しかしながら、本発明の構成(
図2の構成)によれば、ドア開口部52(ロアガイドレール56)よりも車両前後方向前方に駆動プーリ6を配置するため、駆動プーリ6の左右直近の2つの従属プーリ4A,4Bによって伝動ベルト3を大きく屈曲させる必要が無い。即ち、従属プーリ4A,4Bによって、鈍角に屈曲させた伝動ベルト3を駆動プーリ6に懸架すればよいため、駆動プーリ6と、その左右直近の2つの従属プーリ4A,4Bとの間には、伝動ベルト3の直線部3aが形成される。
これにより、駆動モータ7が低出力であっても駆動効率を維持することができ、従来よりベルト長が長くなっても耐久性を保持することができる。
【0029】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、スライドドアをスライド方向に移動させるためにドア開口部の幅に沿って配置された伝動ベルトをドア開口部よりも前方まで延長し、伝動ベルトを回動させるための駆動プーリ6及び駆動モータ7を、前記ドア開口部前方に配置するようにした。
これにより、駆動モータ7を車両前後方向において車両の前部座席下に配置することができ、車両の動力源であるバッテリー装置を駆動モータ7に干渉させることなく後部座席乗員の足下の領域に配置することができる。
【0030】
また、戸袋2内に駆動プーリ6を配置しないため、戸袋2内の埃、塵が直接的に駆動プーリ6に付着することがなく、戸袋2内の埃、塵が開口2bから外に排出されたとしても駆動プーリ6に達する前に下方へ落下するため、駆動プーリ6への付着を防止することができる。
また、駆動プーリ6の回転により伝動ベルト3を駆動するために、伝動ベルト3を大きく屈曲させる必要がなく、駆動モータ7が低出力であっても駆動効率を維持することができ、従来よりベルト長が長くなっても耐久性を保持することができる。
【0031】
尚、前記した実施の形態においては、伝動ベルト3を収容する戸袋2をロッカパネル60とは別体として設けた構成としたが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではなく、ロッカパネル60と一体に戸袋2を形成する構成としてもよい。
【0032】
また、前記実施の形態においては、駆動プーリ6と駆動モータ7とを車両前後方向において前部座席下に配置する構成としたが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではなく、ドア開口部52の幅に合わせて配置される戸袋2の前方に配置できれば、前部座席下でなくともよい。
【0033】
また、前記実施の形態においては、駆動プーリ6は、駆動モータ7の回転軸8と同軸心上に回転可能に配置されるものとしたが、本発明にあっては、この構成に限定されるものではなく、駆動モータ7の回転に連動して駆動プーリ6が回転する構成であれば、それらは同軸心上でなくてもよい。
また、前期実施の形態においては、ハイブリッド車の例を示したが、バッテリーを駆動源とする車であれば何ら制限されることなく、例えば電気自動車(EV)などであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 スライドドアの開閉装置
2 戸袋
2b 開口
3 伝動ベルト
4 従属プーリ
5 ドアブラケット
6 駆動プーリ
7 駆動モータ
8 回転軸
10 座席
50 車両
51 スライドドア
52 ドア開口部
56 ロアガイドレール
60 ロッカパネル
60a 開口