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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240110BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20240110BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/215
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020112867
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011613
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】内藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀典
(72)【発明者】
【氏名】八十島 宏
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-295673(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044515(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(31)と、
回転可能に設けられたロータ(34)と、
前記ロータの回転角度を検出する素子(58)を搭載している基板(59)と、
前記ステータ、前記ロータおよび前記基板を収容しているハウジング(20)と、
前記ハウジングにインサートされ、前記ハウジングの外部接続用コネクタ(27)から前記基板まで延びているターミナル(61,612,613,614,616)と、
を備え、
前記ターミナルは、前記外部接続用コネクタに保持されているコネクタ部(71)と、前記基板に接続されている接続部(72)と、前記コネクタ部から、前記ハウジングと前記基板との間の空間(65)に面する位置まで延びている延出部(73,732,733,736)と、前記延出部と前記接続部とを繋ぎ、少なくとも一箇所以上の屈曲部(76,761,762)または湾曲部を有する応力緩和部(74)とを有し、
前記接続部および前記応力緩和部を前記基板に垂直な方向から前記延出部に投影したときの投影像(77)が前記延出部内に収まり、
前記基板に垂直な方向から見て前記延出部の延出方向に垂直な方向を幅方向と定義すると、
前記ターミナルは、前記延出部の延出方向において少なくとも前記接続部および前記応力緩和部を含む所定範囲にわたって、前記延出部の幅方向の両側から前記基板に向けてそれぞれ突き出す壁部(78,784,786)を有する、回転電機。
【請求項2】
前記基板に垂直な方向から見て前記延出部の延出方向に垂直な方向を幅方向と定義すると、
前記投影像の幅方向の長さ(w1)は、前記延出部の幅方向の長さ(w2)よりも小さい、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記壁部の突き出し方向の端面(87)は、前記コネクタ部側から前記応力緩和部側に向かうにつれて前記壁部の突き出し長さが短くなるように傾斜している、請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ハウジングは、複数の前記ターミナルを一体化している一次成形体(62)と、前記一次成形体がインサートされた二次成形体(63)とを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転角度検出用の素子を実装した基板をハウジングに収容し、ハウジングにインサートされたターミナルにより基板と外部とを電気的に接続する回転電機が知られている。特許文献1では、基板には、ハウジングから真っ直ぐに突き出た基板接続端子が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4367204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、冷熱応力や振動による応力が基板とターミナルとの接続部にかかり易い。そのため、上記応力を緩和する構造を設けることが望ましい。これに対して、ターミナルのうちハウジングと基板との間の空間に位置する部分に応力緩和部を設けることが考えられる。
【0005】
しかし、上記応力緩和部を設ける場合、ハウジングの成型時に溶融樹脂が応力緩和部に流れ込まないようにするための樹脂切り部材が別途必要になり、部品点数が増加する。また、樹脂切り部材を用いることなく成形型のみで樹脂切りを行う場合、成形型の構造が複雑になり、製造が困難になる。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を増やさずに容易に製造可能であって、ターミナルの接続部にかかる応力を緩和できる回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ステータ(31)と、回転可能に設けられたロータ(34)と、ロータの回転角度を検出する素子(58)を搭載している基板(59)と、ステータ、ロータおよび基板を収容しているハウジング(20)と、ハウジングにインサートされ、ハウジングの外部接続用コネクタ(27)から基板まで延びているターミナル(61,612,613,614,616)と、を備える。
【0008】
ターミナルは、外部接続用コネクタに保持されているコネクタ部(71)と、基板に接続されている接続部(72)と、コネクタ部から、ハウジングと基板との間の空間に面する位置まで延びている延出部(73,732,733,736)と、延出部と接続部とを繋ぎ、少なくとも一箇所以上の屈曲部(76,761,762)または湾曲部を有する応力緩和部(74)とを有する。接続部および応力緩和部を基板に垂直な方向から延出部に投影したときの投影像(77)が延出部内に収まる。
基板に垂直な方向から見て延出部の延出方向に垂直な方向を幅方向と定義すると、ターミナルは、延出部の延出方向において少なくとも接続部および応力緩和部を含む所定範囲にわたって、延出部の幅方向の両側から基板に向けてそれぞれ突き出す壁部(78,784,786)を有する。
【0009】
このようにハウジングと基板との間の空間に応力緩和部を設けることで、冷熱応力や振動による応力がターミナルの接続部にかかり難くなる。これにより接続部にかかる応力が緩和され、信頼性が向上する。
【0010】
また、ハウジングまたはその一部を成型するとき、接続部および応力緩和部を収めるための成形型内の空間を延出部により蓋をして密閉可能であり、溶融樹脂が応力緩和部に流れ込まないように樹脂切りすることができる。つまり、樹脂切り部材を別途用いることなく、また樹脂切りを行うために成形型の構造を複雑にすることなく、ターミナルを用いて樹脂切りを行うことが可能である。そのため、部品点数を増やさずに容易に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態のモータを備える回転式アクチュエータが適用されたシフトバイワイヤシステムを説明する模式図。
図2図1の回転式アクチュエータの断面図。
図3図2のIII部分拡大図。
図4図3のセンサターミナルおよび一次成形体を矢印IV方向から見た図。
図5図4の一次成形体を成形する成形型の断面図。
図6図5の成形型のVI-VI線断面図。
図7】第2実施形態のセンサターミナルおよび一次成形体を示す図。
図8図7の一次成形体を成形する成形型の断面図。
図9図8の成形型のIX-IX線断面図。
図10】第3実施形態のセンサターミナルおよび一次成形体を示す図。
図11図10の一次成形体を成形する成形型の断面図。
図12図11の成形型のXII-XII線断面図。
図13】第4実施形態のセンサターミナルと、一次成形体を成形する成形型とを示す断面図。
図14図13の成形型のXIV-XIV線断面図。
図15】第5実施形態のセンサターミナルと、一次成形体を成形する成形型とを示す断面図。
図16図15の成形型のXVI-XVI線断面図。
図17】第6実施形態のセンサターミナルと、一次成形体を成形する成形型とを示す断面図。
図18図17の成形型のXVIII-XVIII線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、回転電機としてのモータの複数の実施形態を図面に基づき説明する。実施形態同士で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態のインナーロータ型回転電機としてのモータ30は、回転式アクチュエータ(以下、アクチュエータ)10に備えられる。アクチュエータ10は、車両用変速機11のケース12の外壁に固定され、シフトバイワイヤシステム13の動力源として用いられる。シフトバイワイヤシステム13は、制御装置15がシフト操作装置14からの指令信号に応じてアクチュエータ10を制御することにより、変速機11のシフトレンジ切替機構16を作動させてシフトレンジを切り替える。
【0014】
(アクチュエータ)
先ず、アクチュエータ10の全体構成について図2を参照して説明する。アクチュエータ10は、ハウジング20、モータ30および減速機40を備える。
【0015】
ハウジング20は、カップ状のフロントハウジング21およびリアハウジング22を有する。フロントハウジング21およびリアハウジング22は、開口部同士が組み合わされてボルト23により互いに締結されている。フロントハウジング21には、有底筒状の金属プレート24がインサートされている。リアハウジング22は、フロントハウジング21とは反対側に突き出す筒状突出部28を有する。リアハウジング22の外壁にはブラケット29が固定されている。アクチュエータ10は、ブラケット29を用いて変速機11のケース12(図1参照)に固定される。
【0016】
モータ30は、ハウジング20に収容されたステータ31およびロータ34を有する。ステータ31は、金属プレート24に例えば圧入等により固定されたステータコア32と、ステータコア32に設けられた巻線33とを有する。ロータ34は、モータ側軸受35および減速機側軸受36により回転軸心AX1まわりに回転可能に支持された回転軸37と、回転軸37の外側に嵌合して固定されたロータコア38とを有する。モータ側軸受35は、金属プレート24に設けられている。減速機側軸受36は、後述の出力部材44に設けられている。
【0017】
減速機40は、偏心軸41、リングギア42、偏心ギア43、出力部材44および伝達機構45を備える。偏心軸41は、回転軸心AX1に対して偏心する偏心軸心AX2上に設けられ、回転軸37と一体に形成されている。リングギア42は、回転軸心AX1と同軸上に設けられ、リアハウジング22に固定されている。偏心ギア43は、リングギア42の内歯部46と噛み合う外歯部47を有し、偏心軸41に設けられた軸受48により遊星運動可能に支持されている。遊星運動とは、偏心軸心AX2まわりに自転しつつ回転軸心AX1まわりに公転する運動のことである。遊星運動時の偏心ギア43の自転速度は、回転軸37の回転速度に対して変速させられる。
【0018】
出力部材44は、回転軸心AX1と同軸上に設けられ、リアハウジング22に設けられた軸受49により回転可能に支持されている。伝達機構45は、偏心ギア43に形成された係合突起51と、出力部材44に形成され、係合突起51が挿入された係合孔52とから構成され、偏心ギア43の偏心軸心AX2まわりの回転を出力部材44に伝達する。
【0019】
アクチュエータ10では、巻線33の通電相が切り替えられることにより回転磁界が発生し、この回転磁界により生じる磁気的吸引力または反発力を受けてロータ34が回転する。ロータ34と共に偏心軸41が回転軸心AX1まわりに回転すると偏心ギア43が遊星運動し、ロータ34の回転に対して減速させられた偏心ギア43の回転が出力部材44から出力される。
【0020】
(外部接続構造)
次に、回転角度検出素子を実装した基板59を外部に接続するための構成について説明する。以降、基板59と平行な方向を「基板平面方向」と記載する。上記「外部」は、アクチュエータ10の構成要素に対して外側の部分のことを指す。
【0021】
図2に示すように、アクチュエータ10は、ロータコア38に設けられた磁石57と、ロータ34の回転角度を検出する素子であって、磁石57の磁気に応じた信号を出力する磁気センサ58と、磁気センサ58を実装した基板59とを備える。
【0022】
フロントハウジング21は、樹脂製の本体部を構成する筒部25、底部26および外部接続用コネクタ27を有する。外部接続用コネクタ27は、筒部25の外側に形成されている。外部接続用コネクタ27には、外部コネクタ17が着脱可能に接続される。外部コネクタ17は、外部電源端子18および外部信号端子19を保持している。
【0023】
フロントハウジング21には、図示しない複数のモータターミナルと、複数のセンサターミナル61とがインサートされている。モータターミナルは、巻線33を外部に電気的に接続するターミナルである。センサターミナル61は、基板59を外部に電気的に接続するターミナルである。
【0024】
図2図3に示すように、モータターミナルおよびセンサターミナル61は、フロントハウジング21にインサートされている。第1実施形態では、フロントハウジング21は、モータターミナルおよびセンサターミナル61を一体化している一次成形体62と、一次成形体62がインサートされた二次成形体63とを含む。一次成形体62は、金属プレート24に形成された通孔64に挿入されている。センサターミナル61は、外部接続用コネクタ27から筒部25および底部26を通って基板59まで延びている。
【0025】
フロントハウジング21の底部26と基板59との間には空間65が区画されている。センサターミナル61は、外部接続用コネクタ27に保持されているコネクタ部71と、基板59に接続されている接続部72と、コネクタ部71から空間65に面する位置まで延びている延出部73と、延出部73と接続部72とを繋ぐ応力緩和部74とを有する。
【0026】
延出部73のうち基板59側の端部(以下、基板側端部75)は、底部26の内壁に沿って基板平面方向へ延出している。基板側端部75の延出方向は基板平面方向と同じである。センサターミナル61は、基板側端部75がハウジング20の内部空間に露出するように一次成形体62にインサートされている。
【0027】
応力緩和部74は、少なくとも一箇所以上の屈曲部または湾曲部を有することによって、温度変化や振動に起因するフロントハウジング21と基板59との相対位置変化を吸収する。これにより接続部72にかかる応力が緩和される。第1実施形態では、応力緩和部74は、2つの屈曲部76を有する。具体的には、応力緩和部74は、基板側端部75の先端から基板59に向けて延び出したのち、基板側端部75の延出方向のコネクタ部71側に向けて屈曲する第1屈曲部761と、基板側端部75の延出方向のコネクタ部71側に延び出したのち、基板59に向けて屈曲する第2屈曲部762とを有する。第1屈曲部761と第2屈曲部762とを区別しない場合、屈曲部76と記載する。
【0028】
図4に示すように、基板59に垂直な方向(以下、基板垂直方向)から見て基板側端部75の延出方向に垂直な方向を幅方向と定義する。また、幅方向の長さのことを「幅」と記載する。接続部72および応力緩和部74の幅w1は、基板側端部75の幅w2と同じである。基板垂直方向から見たとき、接続部72および応力緩和部74の全体が基板側端部75に完全に重なる。つまり、接続部72および応力緩和部74を基板垂直方向から延出部73に投影したときの投影像77が延出部73内に収まる。図4において投影像77は二点鎖線のハッチングで示されている。
【0029】
一次成形体62は、図5図6に示す成形型80を用いて製造される。成形型80は、コネクタ部71を保持する第1金型81と、一次成形体62のうち筒部25(図3参照)に対応する部分を形成する第2金型82と、一次成形体62のうち底部26(図3参照)に対応する部分を形成する第3金型83とを有する。延出部73は、第2金型82と第3金型83との境界部に設置される。
【0030】
接続部72および応力緩和部74を一次成形体62(図3参照)外に完全に露出させるべく、第2金型82は、接続部72および応力緩和部74を収容するための密閉空間84を有する。密閉空間84の幅は、基板側端部75の幅と同じである。そのため、基板側端部75は、密閉空間84に蓋をして当該密閉空間84を密閉可能であり、溶融樹脂を流すキャビティ85と密閉空間84とを隔離することで、溶融樹脂が応力緩和部74に流れ込まないように樹脂切りすることができる。
【0031】
(効果)
以上説明したように、第1実施形態では、モータ30は、フロントハウジング21にインサートされ、外部接続用コネクタ27から基板59まで延びているセンサターミナル61を備える。センサターミナル61は、外部接続用コネクタ27に保持されているコネクタ部71と、基板59に接続されている接続部72と、コネクタ部71から空間65に面する位置まで延びている延出部73と、延出部73と接続部72とを繋ぐ応力緩和部74とを有する。接続部72および応力緩和部74を基板59に垂直な方向から延出部73に投影したときの投影像77が延出部73内に収まる。
【0032】
このようにフロントハウジング21と基板59との間の空間に応力緩和部74を設けることで、冷熱応力や振動による応力が接続部72にかかり難くなる。これにより接続部72にかかる応力が緩和され、検出値の信頼性が向上する。
【0033】
また、一次成形体62を成型するとき、接続部72および応力緩和部74を収めるための成形型80内の密閉空間84を延出部73により蓋をして密閉可能であり、溶融樹脂が応力緩和部74に流れ込まないように樹脂切りすることができる。つまり、樹脂切り部材を別途用いることなく、また樹脂切りを行うために成形型80の構造を複雑にすることなく、センサターミナル61を用いて樹脂切りを行うことが可能である。そのため、部品点数を増やさずに容易に製造可能である。
【0034】
また、第1実施形態では、接続部72および応力緩和部74の幅w1が基板側端部75の幅w2と同じである。これによりセンサターミナル61の展開形状を設計し易くなる。
【0035】
また、第1実施形態では、フロントハウジング21は、複数のセンサターミナル61を一体化している一次成形体62と、一次成形体62がインサートされた二次成形体63とを含む。これにより、複数のセンサターミナル61が一体化された状態で二次成形体63を成型できるため、二次成形体63の成型が容易である。特に外部接続用コネクタ27の成型が容易になる。
【0036】
[第2実施形態]
第2実施形態では、図7に示すように、センサターミナル612の接続部72および応力緩和部74の幅w1は、基板側端部752の幅w2よりも小さい。基板垂直方向から見たとき、接続部72および応力緩和部74の全体が基板側端部752に完全に重なる。つまり、接続部72および応力緩和部74を基板垂直方向から延出部732に投影したときの投影像77が延出部732内に収まる。
【0037】
図8図9に示すように、基板側端部752は、密閉空間84の開口縁に設置されている。基板側端部752の幅w2は、密閉空間84の幅w3よりも大きく、キャビティ85の幅w4よりも小さい。基板側端部752は、密閉空間84の開口縁に当接して当該密閉空間84を密閉可能であり、キャビティ85と密閉空間84とを隔離することで、溶融樹脂が応力緩和部74に流れ込まないように樹脂切りすることができる。第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
さらに第2実施形態では、投影像の幅w1は基板側端部752の幅w2よりも小さくなっている。そのため、密閉空間84の幅w3を投影像の幅w1よりも大きく設定しても、基板側端部752により密閉空間84を密閉可能になる。これにより、密閉空間84の幅w3が投影像の幅w1よりも大きいことで、成型時に接続部72および応力緩和部74が成形型80と干渉することを防ぐことができる。
【0039】
[第3実施形態]
第3実施形態では、図10図12に示すように、センサターミナル613は、延出部733の延出方向において少なくとも接続部72および応力緩和部74を含む所定範囲にわたって、延出部733の基板側端部753の幅方向の両側から基板59(図3参照)に向けて(すなわち、接続部72側に向けて)それぞれ突き出す壁部78を有する。
【0040】
基板側端部753は、密閉空間84の開口に設置されている。基板側端部753の幅w2は、密閉空間84の幅w3およびキャビティ85の幅w4と同じである。壁部78は、密閉空間84を区画する成形型803の第2金型823の内壁面に当接して、基板側端部753と共に密閉空間84を密閉可能であり、キャビティ85と密閉空間84とを隔離することで、溶融樹脂が応力緩和部74に流れ込まないように樹脂切りすることができる。第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
さらに第3実施形態では、壁部78が設けられることで、成形型803の製造を考慮して形状を変更しやすく、応力緩和部74および接続部72と成形型803との接触を防ぐことができる。
【0042】
[第4実施形態]
第4実施形態では、図13図14に示すように、壁部784は、基板側端部753から接続部72側に突き出したのち、幅方向外側に湾曲して接続部72とは反対側に延びるように形成されている。これにより、壁部784のうち第2金型824への挿入部分が曲面になるので、壁部784と第2金型824との当接状態が良好となり、成形型804の寿命を長くすることができる。
【0043】
[第5実施形態]
第5実施形態では、図15図16に示すように、壁部78は、一次成形体の成型時に成形型805の第2金型825の当接面86と当接する。これにより、壁部78と接する第2金型825の形状が単純になり、成形型805の寿命を長くすることができる。
【0044】
[第6実施形態]
第6実施形態では、図17図18に示すように、成形型806は、第1金型816と第2金型826とからなる。センサターミナル616の壁部786は、成形型806の第1金型816と第2金型826との組合せ部から延出部736の先端までの所定範囲にわたって、延出部736の幅方向の両側から接続部72側に向けてそれぞれ突き出している。壁部786の突き出し方向の端面87は、コネクタ部71側から応力緩和部74側に向かうにつれて壁部786の突き出し長さが短くなるように傾斜している。これにより、成形型806を第1金型816と第2金型826とからなる2分割の型とすることができるので、一次成形体を製造し易くなる。
【0045】
[他の実施形態]
他の実施形態では、応力緩和部は、1つの屈曲部または3つ以上の屈曲部を有していてもよい。また、応力緩和部は、屈曲部に限らず、湾曲部を有するように構成されてもよい。また、センサターミナルの延出部は、真っ直ぐのみならず、途中で屈曲または湾曲するように形成されてもよい。
【0046】
他の実施形態では、ハウジングの樹脂部分は、1つの成形体から構成されてもよい。
【0047】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0048】
20 ハウジング、27 外部接続用コネクタ、31 ステータ、34 ロータ、
58 磁気センサ(素子)、59 基板、
61,612,613,614,616 センサターミナル(ターミナル)、
71 コネクタ部、72 接続部、73,732,733,736 延出部、
74 応力緩和部、76,761,762 屈曲部、77 投影像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18