(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】物品処理装置
(51)【国際特許分類】
B65G 57/03 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B65G57/03 G
(21)【出願番号】P 2020113246
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2022-02-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和俊
(72)【発明者】
【氏名】二見 伊
(72)【発明者】
【氏名】小川 忠亮
(72)【発明者】
【氏名】味生 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤井 祐介
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-037422(JP,A)
【文献】特開2001-171839(JP,A)
【文献】特開2001-072243(JP,A)
【文献】特開2002-114373(JP,A)
【文献】特開平05-105234(JP,A)
【文献】特開平07-291451(JP,A)
【文献】特開平05-319511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/03
B65G 60/00
B65D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された複数の物品を含む少なくとも一つの輸送ユニットであって、パレットと当該パレット上に積載された少なくとも一つの物品とをそれぞれ含んで積層された複数の物品群を有し、かつ最上層を除く前記物品群では前記パレット上に複数の物品が他のパレットを載置可能に積載された少なくとも一つの輸送ユニット
の、構成を決定する構成決定部と、
前記構成決定部によって構成が決定された前記輸送ユニットに含まれる前記複数の物品群を構成する
よう、パレット上に複数の物品を積載するパレタイズ機構と、
前記構成決定部によって決定された前記輸送ユニットを構成するよう、前記パレタイズ機構によって構成された前記複数の物品群
を積層する積層機構と、
前記パレタイズ機構と前記積層機構との間に、前記パレタイズ機構によって構成された前記物品群の複数箇所での高さを検出する検出機構と、
を備えた、物品処理装置。
【請求項2】
前記積層機構は、
一つの前記物品群および積層された前記複数の物品群のそれぞれを略上下方向に移動可能なリフト機構と、
前記物品群を略水平方向に移動可能なスライド機構と、
を有した、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項3】
前記リフト機構は、前記スライド機構によって所定位置まで移動された前記物品群の上に、他の一つの物品群または従前に積層された前記複数の物品群を載置する、請求項2に記載の物品処理装置。
【請求項4】
前記パレタイズ機構として、複数のパレタイズ機構を備えた、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の物品処理装置。
【請求項5】
前記複数箇所での高さが所定の条件を満たさない前記物品群を、前記積層機構とは異なる除外位置へ搬送する除外機構を備えた、請求項
1~4のうちいずれか一つに記載の物品処理装置。
【請求項6】
前記パレタイズ機構は、少なくとも一つの前記物品を、当該物品の識別情報が付与された側面が前記物品群の側面に露出するように、前記パレット上または当該パレット上に載置された別の物品上に載置する、請求項1~
5のうちいずれか一つに記載の物品処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の物品を纏めて輸送する際に、パレットと複数の物品とを交互に積み重ねる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、上段のパレットは、複数の物品上に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなパレットと複数の物品とを交互に積み重ねた輸送形態を、例えば、より確実にあるいはより迅速に作成することができれば、有益である。
【0005】
そこで、本発明は、パレットと複数の物品とを交互に積み重ねた形態の輸送ユニットを作成することが可能な、より有益かつ新規な構成の物品処理装置を得ることを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品処理装置は、指定された複数の物品を含む少なくとも一つの輸送ユニットであって、パレットと当該パレット上に積載された少なくとも一つの物品とをそれぞれ含んで積層された複数の物品群を有し、かつ最上層を除く前記物品群では前記パレット上に複数の物品が他のパレットを載置可能に積載された少なくとも一つの輸送ユニットの、構成を決定する構成決定部と、前記構成決定部によって構成が決定された前記輸送ユニットに含まれる前記複数の物品群を構成するよう、パレット上に複数の物品を積載するパレタイズ機構と、前記構成決定部によって決定された前記輸送ユニットを構成するよう、前記パレタイズ機構によって構成された前記複数の物品群を積層する積層機構と、を備える。
【0007】
また、本発明の物品処理装置は、パレット上に、複数の物品を、当該複数の物品上に他のパレットを載置可能な状態に積載することにより、それぞれが前記パレットと前記複数の物品とを含む複数の物品群を構成する、パレタイズ機構と、前記複数の物品群を積層して輸送ユニットを構成する、積層機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の物品処理装置によって作成される輸送ユニットの模式的かつ例示的な側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の物品処理装置の模式的かつ例示的な平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の物品処理装置の受入位置への物品の搬送順を示す例示的な概念図である。
【
図4】
図4は、実施形態の物品処理装置によって作成される物品群の模式的かつ例示的な斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態の物品処理装置の積層機構の模式的かつ例示的な側面図であって、積層の手順を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の物品処理装置および自動倉庫の例示的なブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態の物品処理装置の作動制御部の例示的なブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態の物品処理装置の検出機構の模式的かつ例示的な側面図である。
【
図9】
図9は、実施形態の物品処理装置の検出機構の模式的かつ例示的な平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の物品処理装置によって作成される物品群の模式的かつ例示的な斜視図であって、積層の対象から除外される物品群の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態の物品処理装置によって作成される物品群の模式的かつ例示的な斜視図であって、積層の対象から除外される物品群の別の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態の物品処理装置の構成決定部の例示的なブロック図である。
【
図13】
図13は、実施形態の物品処理装置の構成決定部が輸送ユニットの構成を決定する手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態の物品処理装置によって作成される輸送ユニットの模式的かつ例示的な側面図であって、規定高さに近い高さの輸送ユニットを作成する場合を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態の物品処理装置によって作成される輸送ユニットの模式的かつ例示的な側面図であって、均等化された高さを有した複数の輸送ユニットを作成する場合を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態の物品処理装置によって仮決めされた輸送ユニットの構成を示す例示的な模式図である。
【
図17】
図17は、実施形態の物品処理装置によって仮決めされた後に物品群が入れ替えられた輸送ユニットの構成の一例を示す例示的な模式図である。
【
図18】
図18は、実施形態の物品処理装置によって仮決めされた後に物品群が入れ替えられた輸送ユニットの構成の別の一例を示す例示的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成から得られる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、下記の構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0010】
なお、本明細書において、序数は、部品や、部位、パラメータ等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0011】
また、一部の図中には、輸送ユニット作成装置100における各方向が矢印で示されている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに、互いに直交している。Z方向は、鉛直方向に略沿っており、矢印Zは、鉛直上方を指している。X方向およびY方向は、水平方向に略沿っている。
【0012】
[輸送ユニットの構成]
図1は、輸送ユニット10の側面図である。輸送ユニット10は、複数の物品22を輸送する単位である。複数の物品22は、少なくとも一つの輸送ユニット10に纏められ、当該輸送ユニット10の形態で輸送される。
【0013】
図1に示されるように、輸送ユニット10は、少なくとも一つの物品群20を備えている。物品群20は、それぞれ、パレット21と、当該パレット21上に積載された少なくとも一つの物品22と、を含んでいる。
【0014】
輸送ユニット10は、積層された複数の物品群20を含む場合がある。この場合、少なくとも最上層を除く各層の物品群20では、複数の物品22が、パレット21上に、他のパレット21を載置可能な状態に、積層されている。これにより、パレット21上に積載された複数の物品22の上に他のパレット21すなわち他の物品群20を載置することが可能となり、ひいては、複数の物品群20を積層することが可能となっている。このような物品群20の上端には、パレット21上に積載された複数の物品22によって、他のパレット21を略水平に安定的に載置可能な被載置部が形成されている。最上層を除く各層の物品群20、言い換えると、他のパレット21すなわち他の物品群20を載置可能な物品群20は、第一物品群の一例である。
【0015】
また、輸送ユニット10は、最上層に、他のパレット21を載置不能な物品群20を有してもよい。また、輸送ユニット10が、一つの物品群20のみを有する場合、当該一つの物品群20は、他のパレット21を載置不能であってもよい。他のパレット21を載置不能な物品群20は、パレット21と、当該パレット21上に他のパレット21を載置不能に積載された少なくとも一つの物品22と、を有している。このような物品群20の上端には、他のパレット21を載置可能な被載置部は形成されない。他のパレット21すなわち他の物品群20を載置不能な物品群20は、第二物品群の一例である。
【0016】
パレット21は、四角形状かつ板状の形状を有した、物品22を載せる台である。パレット21は、一例としては、両面パレットのような平パレットである。ただし、パレット21は、両面パレットや平パレットには限定されず、他の形態のパレットであってもよい。
【0017】
物品22は、他の物品22を積載可能な形状を有しており、例えば、直方体状のケース(箱)と、当該ケース内に収容された内容物(不図示)と、を有している。ただし、物品22は、他の物品22を積載可能な形状であり、かつ他の物品22上に積載可能な形状を有していればよく、直方体状以外の形状であってもよい。また、物品22は、ケースを有しなくてもよい。
【0018】
物品群20は、ケースの形状が同じである複数の物品22を含む場合がある。さらに、当該物品群20は、複数の物品22として、仕様違いの同一物品、例えば、同一形状のケース入りの味が異なる同一銘柄の食品のような、同一銘柄で仕様違いの商品のみを含む場合がある。このような物品群20により、輸送ユニット10の配送先において、物品22をより容易に取り扱える場合がある。物品22として仕様違いの同一の物品22のみを含む物品群20は、第三物品群の一例である。
【0019】
[輸送ユニット作成装置の構成および作動の概要]
図2は、輸送ユニット作成装置100の平面図である。
図2に示されるように、輸送ユニット作成装置100は、パレタイズ機構110と、搬送機構120A,120Bと、を備えている。また、輸送ユニット作成装置100は、積層場所Ps(Ps1,Ps2)のそれぞれにおいて、
図5にも示されるリフト機構130と、積層機構140と、を備えている。パレタイズ機構110、搬送機構120A,120B、リフト機構130、および積層機構140の作動は、作動制御部163(
図6参照)によって制御される。輸送ユニット作成装置100は、物品処理装置の一例である。
【0020】
[パレタイズ機構および物品群の構成]
パレタイズ機構110は、パレタイズ位置Ppに位置された空のパレット21上に、少なくとも一つの物品22を積載することにより、物品群20を作成する。パレタイズ機構110は、例えば、多関節ロボットのような、ロボットアーム111を有している。パレタイズ機構110は、自動倉庫200(
図6参照)から、例えばコンベヤ221のような搬送機構220によって受入位置Piに搬送された物品22を、パレタイズ位置Ppに位置されたパレット21上、またはパレット21上に既に載置されている物品22上に、載置する。これにより、パレタイズ位置Ppにおいて、物品群20が作成される。パレタイズ機構110は、予め策定された輸送ユニット10の作成計画に従って、複数の物品群20を、順次、作成する。
【0021】
図3は、受入位置Piへの物品22の搬送順を示す概念図である。
図3に示されるように、コンベヤ221を含む搬送機構220は、複数の物品22を、自動倉庫200から受入位置Piへ、パレタイズ機構110がパレット21上に積載する順に、搬送する。パレタイズ機構110は、搬送機構220によって搬送され受入位置Piに到着した物品22を、パレット21上または当該パレット21上に積載された物品22上に、到着した順に一つずつ積載することにより、物品群20を作成する。
【0022】
物品群20毎の物品22の積載順、すなわち物品22の搬送順は、パレタイズ機構110の作動時において当該パレタイズ機構110(ロボットアーム111)と既に配置されている物品22との干渉を回避できるよう、策定されている。具体的には、物品22の積載順すなわち自動倉庫200からの搬送順(以下、物品22の搬送順と称する)は、例えば、パレット21上においてパレタイズ機構110から遠い位置に配置される物品22から先に搬送されるよう、策定されている。また、物品22の搬送順は、例えば、物品群20において物品22が複数段積み重ねられる場合には、下の段に位置する物品22から先に搬送されるよう、策定されている。
【0023】
また、物品22の搬送順は、パレタイズ機構110が作成する物品群20の順にしたがって、決定されている。すなわち、パレタイズ機構110が先に作成する物品群20に含まれる物品22が先に搬送され、パレタイズ機構110が後に作成する物品群20に含まれる物品22が後に搬送される。
【0024】
図4は、物品群20の一例を示す斜視図である。
図4に示されるように、パレタイズ機構110は、積層された複数の物品22によって、パレット21上に、略同じ高さの複数の柱20pを作成する。本実施形態では、上側の物品群20をより安定的に支持するため、物品群20は、少なくとも、パレット21の四隅に寄せて配置された同じ高さの四つの柱20pを有している。物品群20は、略同じ高さの柱20pを五つ以上有してもよいが、必ずパレット21の四隅のそれぞれに寄せて配置された四つの柱20p(以下、単に四隅の柱と称する)を有するものとする。柱20pの上端(上面)が、被載置部の一例である。なお、柱20pは、それぞれ、一つの物品22によって構成されてもよいし、三つ以上の積層された物品22によって構成されてもよい。
【0025】
また、
図2に示されるように、輸送ユニット作成装置100は、複数のパレタイズ機構110を備えており、これら複数のパレタイズ機構110は、並行して作動することができる。一例として、輸送ユニット作成装置100には、2箇所の受入位置Pi(Pi1,Pi2)と、2箇所のパレタイズ位置Pp(Pp1,Pp2)とが設けられており、二つのパレタイズ機構110は、それぞれ、別の受入位置Pi1,Pi2で物品22を保持して別のパレタイズ位置Pp1,Pp2に位置する別のパレット21上の所定位置に移動することにより、別の物品群20を作成することができる。
【0026】
また、パレタイズ機構110は、
図1に示されるように、各物品群20において、識別情報22a1が付与された物品22の側面22aが、物品群20の側面20a言い換えると外周面において露出するよう、物品群20を作成することができる。物品群20の側面20aは、外周に位置する複数の物品22の、側方かつ外方を向いた側面22aを、含んでいる。識別情報22a1に関しては、受入位置Piにおける物品22の姿勢、および当該姿勢における識別情報22a1が付与された側面22aの位置が、既知あるいは一定である場合がある。このような場合には、作動制御部163によって制御されたパレタイズ機構110は、当該姿勢、識別情報22a1の付与された側面22aの位置、および物品群20における当該物品22の位置(配置)に基づいて、識別情報22a1が露出した状態となるよう、物品22を積載することができる。また、別の例として、パレタイズ機構110がカメラを有している場合や、受入位置Piやパレタイズ位置Pp近傍にカメラが設けられている場合等にあっては、パレタイズ機構110は、カメラによる撮影結果に基づいて、識別情報22a1が露出した状態となるよう、物品22を積載することができる。識別情報22a1は、例えば、文字や、数字、図柄、商標、バーコード等である。なお、識別情報22a1は、物品22の側面22a上に直接印字等されていてもよいし、識別情報22a1が付与されたラベルが側面22a上に貼付されていてもよい。
【0027】
なお、物品群20が、複数の同一の物品22を含む場合、パレタイズ機構110は、それら複数の同一の物品22のうち少なくとも一つの物品22の識別情報22a1が露出するよう、複数の物品22をパレット21上に積載すればよく、物品群20の外周に位置した全ての物品22の識別情報22a1が見える必要はない。
【0028】
また、複数のパレタイズ機構110は、一つの輸送ユニット10に含まれる別の物品群20を作成してもよい。これにより、一つの輸送ユニット10だけを作成すればよい状況にあっては、当該一つの輸送ユニット10をより迅速に作成することができる場合がある。
【0029】
パレタイズ機構110によって作成された物品群20は、搬送機構120A,120Bによって積層場所Ps(Ps1,Ps2)に搬送される。
【0030】
[搬送機構]
搬送機構120A,120Bは、空のパレット21、物品群20、複数の物品群20が積層された積層体20S(
図5の(S5),(S6)参照)、および作成された輸送ユニット10を、それぞれ、横方向に搬送することができる。すなわち、本実施形態では、搬送機構120A,120Bが、空のパレット21、物品群20、積層体20S、および作成された輸送ユニット10の搬送路を構成している。搬送機構120A,120Bは、例えば、スライド機構とも称されうる。なお、輸送ユニット10は、完成されたあるいは最終的な積層体20Sと言うことができる。
【0031】
図2に示されるように、輸送ユニット作成装置100は、X方向に延びX方向に直列に配置された三つの搬送機構120A(120A1,120A21,120A22)を備えている。搬送機構120Aは、それぞれ、略水平なX方向に延びており、物品群20またはパレット21を、X方向またはX方向の反対方向に搬送する。搬送機構120A22は、搬送機構120A1を挟んで、搬送機構120A21とは反対側に配置されている。搬送機構120Aは、直列に並ぶ三つの区間において搬送を実行する三つの搬送機構120A1,120A21,120A22に分割されていると言うことができる。搬送機構120A1,120A21,120A22は、それぞれ独立して作動することができる。各搬送機構120A1,120A21,120A22は、それぞれ、さらに直列に分割されてもよい。搬送機構120Aは、例えば、チェーンコンベヤであるが、これには限定されない。
【0032】
また、輸送ユニット作成装置100は、Y方向に延びX方向に間隔をあけて並列に配置された三つの搬送機構120B(120B1,120B21,120B22)を備えている。搬送機構120Bは、それぞれ、パレット21、物品群20、または積層体20Sを、Y方向またはY方向の反対方向に搬送する。搬送機構120B1,120B21,120B22は、それぞれ独立して作動することができる。搬送機構120Bは、例えば、チェーンコンベヤであるが、これには限定されない。
【0033】
搬送機構120Aと搬送機構120Bとは、空のパレット21、物品群20、および積層体20Sのそれぞれを受渡可能に構成されている。
【0034】
搬送機構120A1のX方向(長手方向)の中間位置に隣接した搬送機構120B1は、空のパレット21を、当該中間位置まで、Y方向の反対方向に搬送する。搬送機構120A1は、搬送機構120B1から受け取った空のパレット21を、2箇所のパレタイズ位置Pp(Pp1,Pp2)のそれぞれに搬送することができる。なお、積層された複数の空のパレット21を分離して空のパレット21を一つずつ取り出すパレット分離機構(不図示)が設けられてもよい。この場合、搬送機構120B1は、パレット分離機構によって分離された空のパレット21を、搬送機構120A1に向けて搬送する。
【0035】
パレタイズ位置Pp1は、搬送機構120A21上に設けられ、パレタイズ位置Pp2は、搬送機構120A22上に設けられている。上述したように、搬送機構120A1,120A21,120A22は、それぞれ独立して作動可能である。したがって、搬送機構120A1は、2箇所のパレタイズ位置Pp1,Pp2のうちの一方へ、他方での物品群20の作成状況によらず、空のパレット21を搬送することができる。また、搬送機構A21は、パレタイズ位置Pp1上に作成された物品群20を、パレタイズ位置Pp2での物品群20の作成状況によらず、積層場所Ps1に向けて搬送することができるし、搬送機構A22は、パレタイズ位置Pp2上に作成された物品群20を、パレタイズ位置Pp1での物品群20の作成状況によらず、積層場所Ps2に向けて搬送することができる。
【0036】
搬送機構120B21は、搬送機構120A21と隣接し、搬送機構120Aによりパレタイズ位置Ppから搬送された物品群20を、積層場所Ps1(Ps)および出荷位置Po1(Po)まで、Y方向に搬送することができる。
【0037】
また、搬送機構120B22は、搬送機構120B1に対して搬送機構120B21とは反対側で搬送機構120A22と隣接し、搬送機構120Aによりパレタイズ位置Ppから搬送された物品群20を、積層場所Ps2(Ps)および出荷位置Po2(Po)まで、Y方向に搬送することができる。
【0038】
搬送機構120Aと搬送機構120B21,120B22との接続位置Pcには、それぞれ、リフト機構付きの搬送機構120B2aが設けられてもよい。この場合、搬送機構120B21,120B22の搬送面は、搬送機構120A21,120A22の搬送面よりも高く設定される。搬送機構120B21,120B22は、接続位置Pcに位置した物品群20を搬送機構120B2aによって持ち上げることにより搬送機構120A21,120A22の搬送面から離間させた後、積層場所Psへ搬送することができる。搬送機構120B2aは、受渡機構とも称されうる。
【0039】
[積層機構]
図5は、積層機構140の側面図である。積層機構140は、搬送機構120B1と、リフト機構130と、を有している。なお、ここでは、搬送機構120B1上に設けられた積層場所Ps1での物品群20の積層について説明するが、搬送機構120B2上に設けられた積層場所Ps2においても各部の構成および作動は同様である。
【0040】
積層機構140は、積層場所Ps1において、複数の物品群20を積層することにより、輸送ユニット10を作成する。積層場所Ps1は、複数の物品群20の積層が実行される場所あるいは空間であり、積層空間とも称されうる。
【0041】
リフト機構130は、積層場所Ps1において、物品群20および複数の物品群20が積層された積層体20Sを、それぞれ、上下方向に移動することができる。リフト機構130は、コンベヤ130aと、リフタ130bと、フック130cと、を有している。
【0042】
コンベヤ130aは、搬送機構120B1の一部を構成しており、物品群20および積層体20Sを、それぞれ、Y方向およびY方向の反対方向に搬送することができる。コンベヤ130aおよび搬送機構120B1は、スライド機構の一例である。
【0043】
リフタ130bは、上下方向に延びるレール130b1と、当該レール130b1に沿って上下に移動可能であるとともにレール130b1上の複数箇所あるいは任意の位置に停止可能に構成されコンベヤ130aの支持部と固定された可動子(不図示)と、を有している。電動モータのようなアクチュエータ102(
図6参照)の動作に伴って可動子がレール130b1上を移動したり停止したりすることにより、コンベヤ130a、ひいては当該コンベヤ130a上に載置された物品群20および積層体20Sのそれぞれの上下方向の位置を、変更することができる。なお、コンベヤ130aは、リフタ130bの可動子の一部と言うことができる。
【0044】
フック130cは、パレット21を保持することにより、当該パレット21を含む物品群20を保持することができる。また、フック130cは、積層体20Sの最下層の物品群20のパレット21を保持することにより、当該積層体20Sを保持することができる。フック130cは、例えば、パレット21から外れた待避位置pfとパレット21を引っ掛ける引掛位置phとの間で横方向に移動可能な可動爪である。フック130cは、フォークや支持部とも称されうる。
【0045】
ここで、
図5を参照しながら、積層機構140の作動の一例について説明する。
【0046】
まず、コンベヤ130aを含む搬送機構120B1は、物品群20Aを、積層場所Ps1の下部の受渡位置Ps11に搬送する(ステップS1)。
【0047】
次に、リフト機構130は、コンベヤ130aとともに物品群20Aを、受渡位置Ps11から当該受渡位置Ps11の上方に離れた上側位置Ps12へ移動する。ここで、フック130cは、物品群20Aのパレット21を保持することにより、当該物品群20Aを上側位置Ps12に留める(ステップS2)。
【0048】
次に、リフト機構130は、コンベヤ130aを下方へ移動する(ステップS3)。ステップS3では、フック130cに保持された物品群20Aは、上側位置Ps12に留まり、コンベヤ130aのみが下降する。
【0049】
次に、コンベヤ130aを含む搬送機構120B1は、次の物品群20Bを受渡位置Ps11に搬送する(ステップS4)。受渡位置Ps11は、所定位置の一例である。
【0050】
次に、リフト機構130は、コンベヤ130aとともに物品群20Bを、受渡位置Ps11から上方へ移動する。そして、物品群20Bの上端と物品群20Aのパレット21とが接する前後の適切なタイミングで、フック130cによる物品群20Aの保持を解除する。これにより、物品群20Bの上に物品群20Aが積層された積層体20Sが作成される(ステップS5)。
【0051】
次に、リフト機構130は、コンベヤ130aとともに積層体20Sを、上側位置Ps12へ移動する。ここで、フック130cは、積層体20Sの最下層の物品群20Bのパレット21を保持することにより、当該積層体20Sを上側位置Ps12に留める(ステップS6)。
【0052】
以降、積層機構140は、ステップS4~S6を繰り返すことにより、複数の物品群20を積層し、積層体20S、ひいては輸送ユニット10を作成することができる。コンベヤ130aを含む搬送機構120B1は、作成された輸送ユニット10を、受渡位置Ps11から出荷位置Poへ搬送する。出荷位置Poは、本実施形態では、搬送機構120B1上の、積層場所Psに対して搬送機構120Aとは反対側に、設けられている。
【0053】
このように、積層機構140は、最上層の物品群20から物品群20を下に順次継ぎ足すように、複数の物品群20を積層することにより、輸送ユニット10を作成する。したがって、本実施形態では、輸送ユニット10の作成計画において、より上層の物品群20に含まれるほど、物品22の搬送順が早く、より下層の物品群20に含まれるほど、物品22の搬送順が遅くなる。
【0054】
なお、本実施形態の積層機構140では、コンベヤ130aが上下方向に移動したが、これには限定されず、例えば、コンベヤ130aは上下方向には移動せず、フック130cが上下方向に移動してもよい。この場合、例えば、昇降機能を有した解除可能なフック130cは、受渡位置Ps11で物品群20のパレット21または積層体20Sの最下層のパレット21を保持し、上側位置Ps12まで上昇する。そして、フック130cは、搬送機構120B1によって受渡位置Ps11に搬送された次の物品群20上に、保持している物品群20または積層体20Sが載るように下降し、適切なタイミングで保持を解除すればよい。昇降機能を有したフック130cは、昇降機構の一例である。
【0055】
図6は、輸送ユニット作成装置100および自動倉庫200のブロック図である。
【0056】
輸送ユニット作成装置100の制御装置101は、例えば、コンピュータによって構成されうる。制御装置101は、演算処理部160と、主記憶部171と、補助記憶部172と、を備えている。
【0057】
演算処理部160は、例えば、プロセッサ(回路)である。主記憶部171は、例えば、RAM(random access memory)やROM(read only memory)であり、補助記憶部172は、例えば、HDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)である。演算処理部160は、主記憶部171のROMや補助記憶部172に記憶されたプログラム(アプリケーション)を読み出して実行する。プロセッサは、プログラムにしたがって作動することにより、通信制御部161、構成決定部162、作動制御部163、入力制御部164、および出力制御部165、として作動する。この場合、プログラムは、通信制御部161、構成決定部162、作動制御部163、入力制御部164、および出力制御部165のそれぞれに対応するプログラムモジュールを含む。
【0058】
プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されうる。記録媒体は、プログラムプロダクトとも称されうる。また、プログラムは、通信ネットワークに接続されたコンピュータの記憶部に記憶され、ネットワーク経由でダウンロードされることによってコンピュータに導入されうる。また、プログラムは、ROM等に予め組み込まれてもよい。
【0059】
また、コンピュータの少なくとも一部がハードウエアによって構成される場合、当該コンピュータには、例えば、FPGA(field programmable gate array)や、ASIC(application specific integrated circuit)等が含まれてもよい。
【0060】
主記憶部171のROMまたは補助記憶部172には、通信制御部161、構成決定部162、作動制御部163、入力制御部164、および出力制御部165による演算処理で用いられる情報が、記憶されている。また、当該演算処理で用いられる情報は、プログラム内で記述されてもよい。
【0061】
また、制御装置101には、アクチュエータ102、センサ103、入力デバイス104、および出力デバイス105が電気的に接続されている。
【0062】
通信制御部161は、外部装置300や自動倉庫200との間でのデータの送信および受信を制御する。通信制御部161は、外部装置300から、纏めて搬出する複数の物品22を示す注文情報を受信する。また、通信制御部161は、自動倉庫200へ、物品22の搬出指示を示す搬出指示情報を送信する。
【0063】
構成決定部162は、コンピュータ上での演算処理により、輸送ユニット10および当該輸送ユニット10に含まれる物品群20の構成を決定する。さらに、構成決定部162は、構成を決定した輸送ユニット10および物品群20を作成するためのパレタイズ機構110、搬送機構120A,120B、リフト機構130、積層機構140、および検出機構150の作動を示す作成計画を作成するとともに、決定した輸送ユニット10および物品群20を作成するための自動倉庫200に対する物品22の搬出順序や搬出時刻等を示す搬出指示を作成する。
【0064】
作動制御部163は、種々のセンサ103の検出値に基づいて、作成された作成計画にしたがって輸送ユニット10および物品群20の決定された構成が得られるよう、パレタイズ機構110、搬送機構120A,120B、リフト機構130、および積層機構140が有する種々のアクチュエータ102を制御するとともに、検出機構150の作動および演算処理を制御する。アクチュエータ102は、例えば、電動モータのような電動アクチュエータや、電動油圧ポンプや油空圧電磁弁のような電気油空圧アクチュエータ、などである。
【0065】
入力制御部164は、タッチパネルや、スイッチ、ボタン、キーボードのような入力デバイス104によって入力された情報を取得する。
【0066】
出力制御部165は、ディスプレイや、ランプ、スピーカのような出力デバイス105を、所定の出力を実行するよう制御する。
【0067】
また、自動倉庫200の制御装置201は、例えば、コンピュータによって構成されうる。制御装置201は、演算処理部230と、主記憶部241と、補助記憶部242と、を備えている。
【0068】
演算処理部230は、例えば、プロセッサ(回路)である。主記憶部241は、例えば、RAMやROMであり、補助記憶部242は、例えば、HDDやSSDである。演算処理部230は、主記憶部241のROMや補助記憶部242に記憶されたプログラム(アプリケーション)を読み出して実行する。プロセッサは、プログラムにしたがって作動することにより、通信制御部231および搬送制御部232として作動する。この場合、プログラムは、通信制御部231および搬送制御部232のそれぞれに対応するプログラムモジュールを含む。
【0069】
プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されうる。記録媒体は、プログラムプロダクトとも称されうる。また、プログラムは、通信ネットワークに接続されたコンピュータの記憶部に記憶され、ネットワーク経由でダウンロードされることによってコンピュータに導入されうる。また、プログラムは、ROM等に予め組み込まれてもよい。
【0070】
また、コンピュータの少なくとも一部がハードウエアによって構成される場合、当該コンピュータには、例えば、FPGAや、ASIC等が含まれてもよい。
【0071】
主記憶部241のROMまたは補助記憶部242には、通信制御部231および搬送制御部232による演算処理で用いられる情報が、記憶されている。また、当該演算処理で用いられる情報は、プログラム内で記述されてもよい。
【0072】
また、制御装置201には、アクチュエータ202、およびセンサ203が電気的に接続されている。
【0073】
通信制御部231は、輸送ユニット作成装置100との間でのデータの送信および受信を制御する。通信制御部231は、輸送ユニット作成装置100から、物品22の搬出指示を示す搬出指示情報を受信する。
【0074】
搬送制御部232は、種々のセンサ203の検出値に基づいて、受信した搬出指示にしたがって格納場所(不図示)から物品22が搬出され、受入位置Piへ搬送されるよう、例えばスタッカクレーン(不図示)やコンベヤ221のような搬送機構220のアクチュエータ202を制御する。アクチュエータ202は、例えば、電動モータのような電動アクチュエータや、電動油圧ポンプや油空圧電磁弁のような電気油空圧アクチュエータ、などである。
【0075】
図7は、作動制御部163のブロック図である。
図7に示されるように、作動制御部163は、パレタイズ制御部163aと、搬送制御部163bと、リフト制御部163cと、検出処理部163dと、を有している。パレタイズ制御部163aは、パレタイズ機構110を制御する。搬送制御部163bは、搬送機構120A,120Bを制御する。リフト制御部163cは、リフト機構130を制御する。また、検出処理部163dは、検出機構150の作動、検出処理、および演算処理を制御する。積層機構140は、搬送制御部163bおよびリフト制御部163cによって制御される。よって、搬送制御部163bおよびリフト制御部163cは、積層制御部とも称されうる。
【0076】
[検出機構]
検出機構150は、パレタイズ機構110で作成された物品群20の高さを検出する。検出機構150は、物品群20の複数箇所での高さ、言い換えると物品群20の高さ分布を検出することができる。本実施形態では、
図2に示されるように、検出機構150は、パレタイズ機構110と積層機構140との間で物品群20の高さを検出し、一例として、パレタイズ位置Ppと接続位置Pcとの間で物品群20の高さを検出する。
【0077】
図8は、検出機構150の側面図であり、
図9は、検出機構150の平面図である。
図8,9に例示されるように、検出機構150は、センサ151と、複数のセンサ152と、を有している。
【0078】
センサ151は、例えば、透過型の光電センサアレイである。センサ151は、投光アレイ151aと受光アレイ151bとを有している。投光アレイ151aおよび受光アレイ151bは、それぞれ上下方向に延びている。また、投光アレイ151aおよび受光アレイ151bは、搬送機構120Aにおける物品群20の搬送方向と直交する水平方向、言い換えると、搬送機構120Aの幅方向(Y方向)に互いに離間して、設置されている。投光アレイ151aは、受光アレイ151bに向けて、上下方向に一定間隔で、複数の信号光を、水平方向に、出射する。
図8に示されるように、物品22に遮られた信号光は、受光アレイ151bには届かない。よって、検出処理部163dは、受光アレイ151bにおける受光状態から、当該受光アレイ151bにおける遮光高さを、物品群20の高さとして取得することができる。センサ151は、最大高センサとも称されうる。
【0079】
搬送機構120Aによる物品群20の搬送によって、物品群20とセンサ151との搬送方向(X方向)の相対位置を変えることができる。したがって、検出処理部163dは、
図9に示されるような搬送機構120Aによる搬送方向と垂直な複数の断面の位置(例えば、位置C1~C3、以下、検出位置C1~C3と称する)において、物品群20の最大高さを取得することができる。
【0080】
センサ151は、所定の時間間隔で反復的に検出を実行してもよい。この場合、搬送されている物品群20あるいは柱20pの前端を検出する際には、センサ151によって検出される遮光高さが、急激に増大する。また、センサ151が、搬送されている物品群20あるいは柱20pの後端を検出する際には、センサ151によって検出される遮光高さが、急激に減少する。よって、検出処理部163dは、センサ151の検出値の所定閾値以上の立ち上がりおよび立ち下がりによって、物品群20あるいは柱20pの前端および後端を把握することができる。したがって、検出処理部163dは、例えば、物品群20あるいは柱20pの前端が検出された時点から、所定距離移動後あるいは所定時間経過後として、検出位置C1~C3を決定することができる。この場合、距離は、搬送機構120Aによる物品群20の搬送速度と経過時間との積として取得することができる。また、例えば、センサ151による検出値を、主記憶部171や補助記憶部172に一定時間蓄積しておき、物品群20あるいは柱20pの後端が検出された時点から、所定距離移動前あるいは所定時間経過前として、検出位置C1~C3を決定してもよい。また、例えば、所定期間に亘ってセンサ151の検出値を主記憶部171や補助記憶部172に記憶しておき、検出値の経時変化から物品群20の前端から後端までの検出区間を決定し、当該検出区間において検出位置C1~C3を決定してもよい。
【0081】
センサ152は、例えば、レーザ距離計のような、非接触式の距離センサである。この場合、センサ152は、例えば、
図8に示されるように、搬送機構120Aから上方に離れた位置に設置され、当該設置位置から物品群20の上端までの距離L2を検出する。検出処理部163dは、搬送機構120Aの載置面からセンサ152までの距離L1と、検出された距離L2とから、その差分(L1-L2)として、物品群20の高さを取得することができる。本実施形態では、一例として、検出機構150は、二つのセンサ152を有しているが、搬送機構120Aの幅方向に互いに離間した三つ以上のセンサ152を有してもよい。センサ151は、局所高センサとも称されうる。
【0082】
搬送機構120Aによる物品群20の搬送によって、物品群20とセンサ152との搬送方向(X方向)の相対位置を変えることができる。したがって、検出処理部163dは、
図9に示されるような搬送機構120Aによる搬送方向と垂直な複数の断面(例えば、検出位置C1~C3)において、センサ152が設けられた位置の下方における物品群20の高さを取得することができる。
【0083】
ここで、
図8,9に示されるように、センサ152は、それぞれ、搬送機構120Aの幅方向の中央に位置されたと想定したパレット21の幅方向の端部21bから所定距離dだけ幅方向内側の位置の上方に位置されている。所定距離dは、例えば、輸送ユニット作成装置100において処理される典型的な物品22の幅の半分程度とする。これにより、センサ152は、物品群20の搬送に伴って、相対的に、物品群20の四隅の柱20pの上方に位置することができる。よって、検出処理部163dは、検出位置C1,C3におけるセンサ152による検出値から、物品群20の四隅の柱20pのそれぞれの高さを取得することができる。なお、センサ152の数を三つ以上にすることにより、より多くの位置で、物品群20の局所高さを取得することができる。なお、検出機構150は、
図8,9に示される構成には限定されない。
【0084】
[除外機構]
パレタイズ機構110において何らかのエラーが生じた場合、検出機構150による物品群20の高さの検出値が所定の条件を満たさなくなる。そのような場合、本実施形態では、除外機構としての搬送機構120Aが、当該物品群20を、積層場所Psにおける積層の対象から除外する。この場合、作動制御部163は、所定の条件を満たさない物品群20を、積層場所Psとは異なる除外位置Peへ搬送するよう、搬送機構120Aを制御する。除外位置Peは、搬送機構120Aの長手方向の両端部に位置されている。よって、本実施形態では、パレタイズ位置Ppからの物品群20の搬送路が、搬送機構120Aと搬送機構120Bとの接続位置Pcから、積層場所Psへ向かう物品群20の搬送路と、除外位置Peへ向かう物品群20の搬送路とに、分岐されている。また、搬送機構120Aは、物品群20のパレタイズ位置Ppから積層場所Psへの搬送と、物品群20のパレタイズ位置Ppから除外位置Peへの搬送とで共用されている。
【0085】
除外位置Peでは、例えば、除外された条件を満たさない物品群20に対し、作業員等が、物品22の積み直し作業などの修復を実行することができる。このため、除外位置Peは、オペレータがパレタイズ機構110や積層機構140から影響を受けないよう、パレタイズ機構110および積層機構140から離間して設置される。なお、除外位置Peは、搬送機構120Aの長手方向の両端に設置されているが、長手方向の一端のみに設置されてもよい。
【0086】
[除外条件]
ここで、物品群20を積層の対象から除外する条件について説明する。下記の(1-1)および(1-2)の除外条件のうち少なくとも一方を満たす物品群20が、積層の対象から除外される。
【0087】
(1-1)四隅の柱20pの高さの最大差が第一閾値を超えた場合
図10は、三つの隅に寄せて配置された柱20pはあるものの一つの隅に寄せて配置される柱20pが無い物品群20の斜視図である。
図10に示されるように、四隅の柱20pのうちの一つでも欠けている場合、当該物品群20の上には、他のパレット21すなわち他の物品群20を安定的に載置できない虞がある。また、四隅の柱20pは存在するものの、それら四隅の柱20pの高さの差が大きい場合も、当該物品群20の上には、他の物品群20を安定的に載置できない虞がある。そこで、作動制御部163は、(1-1)の条件に該当する物品群20を、積層の対象から除外する。(1-1)の条件については、検出位置C1,C3におけるセンサ152の検出値から、判断することができる。具体的に、検出位置C1における二つのセンサ152の検出値と、検出位置C3における二つのセンサ152の検出値とから、四隅の柱20pの高さh1~h4を取得し、それら高さh1~h4の差の絶対値(|h1-h2|、|h1-h3|、|h1-h4|、|h2-h3|、|h2-h4|、および|h3-h4|)のうち最大の値(最大差)あるいはそれら絶対値のうち少なくとも一つが、第三閾値Th3(例えば10mm)以上であった場合に、当該物品群20を積層の対象から除外する。
【0088】
(1-2)四隅の柱20pとは別の柱20p1の高さが四隅の柱20pよりも高く、かつ当該別の柱20p1の高さと四隅の柱20pの高さとの最大差が第二閾値を超えた場合
図11は、四隅の柱20pとは別の柱20p1の高さが四隅の柱20pよりも高い物品群20の斜視図である。
図11に示されるように、四隅の柱20pよりも別の柱20p1が高く突出している場合、当該物品群20の上には、他の物品群20を安定的に載置できない。そこで、作動制御部163は、(1-2)の条件に該当する物品群20を、積層の対象から除外する。
図11の場合、検出位置C1~C3におけるセンサ151の検出値から得られた物品群20の最大高hmaxが大きくなる。よって、(1-2)の条件については、物品群20の最大高hmaxが、センサ152の検出値から得られた四隅の柱20pの高さh1~h4の全てよりも高く、かつ最大高hmaxと四隅の柱20pの高さh1~h4との差((hmax-h1)、(hmax-h2)、(hmax-h3)、および(hmax-h4))のうち最大の値(最大差)あるいはそれらの値のうち少なくとも一つが、第四閾値Th4(例えば10mm)以上であった場合に、当該物品群20を積層の対象から除外する。
【0089】
[輸送ユニットおよび物品群の構成の決定]
本実施形態では、構成決定部162が、例えば纏めて輸送する物品22を指定する注文情報に基づいて、物品群20および輸送ユニット10の構成を決定するとともに、当該輸送ユニット10を作成するための作成計画および搬出指示を作成する。上述したように、自動倉庫200の搬送制御部232は、物品22が、作成された搬出指示にしたがって自動倉庫200の格納場所(不図示)から搬出され、受入位置Piへ搬送されるよう、スタッカクレーン(不図示)やコンベヤ221のような搬送機構220のアクチュエータ202を制御する。また、作動制御部163は、作成された作成計画にしたがって物品群20および輸送ユニット10が作成されるよう、パレタイズ機構110、搬送機構120A,120B、リフト機構130、および積層機構140のアクチュエータ102を制御するとともに、検出機構150の作動および演算処理を制御する。
【0090】
図12は、構成決定部162のブロック図である。
図12に示されるように、構成決定部162は、注文内容取得部162aと、第一構成決定部162bと、第二構成決定部162cと、計画・指示作成部162dと、指標変更部162eと、を有している。
【0091】
注文内容取得部162aは、外部装置300からの注文内容、例えば、輸送ユニット10に含める物品22の識別情報や、数、搬送先の識別情報、搬送時刻等を取得する。
【0092】
第一構成決定部162bは、輸送ユニット10に含める物品群20の構成を決定する。物品群20の構成の決定手順については後述する。
【0093】
第二構成決定部162cは、構成が決定された物品群20の組み合わせおよび配置を決定することにより、輸送ユニット10の構成を決定する。第二構成決定部162cは、前処理部162c1と、仮決め部162c2と、荷重演算部162c3と、入替部162c4と、を有している。前処理部162c1は、輸送ユニット10の構成を決定するのに必要な各パラメータの演算を実行する。仮決め部162c2は、輸送ユニット10の構成を仮決めする。荷重演算部162c3は、物品22に作用する荷重を演算し物品群20の耐荷重指標に対する荷重の可否を検査する。入替部162c4は、荷重演算部162c3の演算結果および検査結果に応じて、必要に応じて物品群20の配置を入れ替える。輸送ユニット10の構成の決定手順については後述する。
【0094】
計画・指示作成部162dは、第二構成決定部162cにより決定された輸送ユニット10をより円滑にかつより確実に作成するための作成計画を作成する。
【0095】
指標変更部162eは、耐荷重指標を変更することができる。耐荷重指標およびその変更の詳細については後述する。
【0096】
図13は、輸送ユニット10の構成を決定する手順を示すフローチャートである。
図13に示されるように、構成決定部162は、まず、注文内容取得部162aとして作動し、注文情報から、注文内容を取得する(ステップS20)。
【0097】
[物品群の構成の決定]
次に、構成決定部162は、第一構成決定部162bとして作動し、ステップS20で取得された注文内容にしたがうとともに所定の規則や条件を満たすよう、物品群20の構成を決定する(ステップS21)。
【0098】
物品群20の構成の決定に際し、第一構成決定部162bは、パレット21や各物品22のサイズや、重量、耐荷重、耐荷重指標のような属性情報を、例えば、補助記憶部172に記憶されているデータベースから取得する。なお、データベースは、輸送ユニット作成装置100とは別のサーバに格納されていてもよい。この場合、第一構成決定部162bは、パレット21や各物品22の属性情報を、通信制御部161を介して取得する。
【0099】
注文情報による指示や指定がある場合、第一構成決定部162bは、当該指示に従って物品群20の構成を決定する。例えば、物品群20を構成する物品22の種類や個数が予め指定されている場合、第一構成決定部162bは、当該指定された種類および個数の物品22を含むよう、物品群20の構成を決定する。また、例えば、各物品群20の高さや重量が指定されている場合には、第一構成決定部162bは、当該指定された高さや重量の条件を満たすよう、各物品群20の構成を決定する。
【0100】
物品群20を、その上に他のパレット21すなわち他の物品群20を積載する第一物品群として構成する場合、第一構成決定部162bは、上述したように、物品群20が四隅の柱20pを有するよう、当該物品群20の構成を決定する。物品群20は、四隅の柱20pと同じ高さの柱20pを有してもよいし、四隅の柱20pよりも低い高さで積層された物品22を有してもよい。
【0101】
さらに、第一物品群である物品群20を、上述したような同一銘柄で仕様違いの複数の商品のみを含む第三物品群として構成する場合や、物品群20が銘柄や仕様は異なるものの同一形状の複数の物品22のみを含むような場合、物品群20が同一高さを有し互いに積載可能な複数の物品22のみを含むような場合等にあっては、第一構成決定部162bは、以下のようなロジックで物品群20を構成する。
【0102】
すなわち、パレット21上に、複数の物品22を平面的にn行m列(n,mは正の整数)のマトリクス状に配置可能である場合、当該マトリクス状の各位置に一つの物品22または積層した複数の物品22が配置される。この場合、第一構成決定部162bは、物品22の数がN(Nは4以上の整数)の物品群20について、四隅の柱20pにおける物品22の積層数i(iは正の整数)を、次の式(1)
i=(N-1)/(n×m)+1 ・・・(1)
によって決定する。積層数iは正の整数であるため、式(1)のiの演算結果において、小数点以下は切り捨てる。
図4は、パレット21上に、同一形状の物品22を、平面的に3行3列のマトリクス状に配置できる場合において、物品群20が12個の物品22を有している場合を示している。この場合、n=3、m=3、N=12であるから、式(1)は、
i=(12-1)/(3×3)+1=2.22 → i=2(小数点以下を切り捨て)となり、
図4に示されるように、四隅の柱20pにおける物品22の積層数iは2である。同様に、3行3列のマトリクス状の配置で物品22を積層する場合、
N: 4~9 → i=1
N:10~18 → i=2
N:19~27 → i=3
のようになる。積層数iが2以上の場合には、
図4に示されるように、四隅の柱20pにおける物品22の積層数2を確保した上で、他の部位に、四隅の柱20pを超えない高さで、できるだけX方向またはY方向にバランスが取れるよう、物品22の配置を決定する。
図4の場合には、合計12個の物品22から、四隅の柱20pを構成する8個の物品22を除いた残りの4個の物品22を、四隅の柱20p間の四つのスペースにそれぞれ配置することにより、X方向およびY方向にバランスを取っている。四隅の柱20pにおける物品22の積層数iは、物品群20における物品22の最大積層数とも言える。なお、物品22の数Nのそれぞれに対応した物品22のレイアウトは、補助記憶部172に記憶されていてもよい。また、物品群20に含める物品22の数が3個以下の場合は、四隅の柱20pを構成できないため、当該3個以下の物品22のみによっては、他のパレット21すなわち他の物品群20を載置する第一物品群は構成しない。
【0103】
[輸送ユニットの構成の決定]
次に、構成決定部162は、第二構成決定部162cの前処理部162c1として作動し、輸送ユニット10の構成の決定に必要なパラメータを算出する(ステップS22)。このステップS22において、前処理部162c1は、複数の物品群20の高さの合計値を取得し、当該高さの合計値に基づいて輸送ユニット10の数を決定する。ここで、輸送ユニット10の高さ制限がある場合、全ての輸送ユニット10の高さを制限高さHmax以内に収める必要がある。一例として、制限高さがHmaxであり、複数の物品群20の高さの合計値がHtである場合、前処理部162c1は、輸送ユニット10の数I(Iは1以上の整数)を、次の式(2)
I=Ht/Hmax+1 ・・・(2)
によって決定する。積層数iは正の整数であるため、式(2)のIの演算結果において、小数点以下は切り捨てる。制限高さHmaxは、規定高さの一例である。
【0104】
また、ステップS22において、前処理部162c1は、輸送ユニット10の目標高さを決定する。式(2)において、輸送ユニット10の数Iが2以上である場合、すなわち、複数の輸送ユニット10の構成を決定する場合には、
(2-1)制限高さHmaxに近い輸送ユニット10を含める場合と、
(2-2)複数の輸送ユニット10の高さを均等化する場合と、
がある。
図14は、(2-1)の場合の複数の輸送ユニット10の構成例を示す側面図であり、
図15は、(2-2)の場合の複数の輸送ユニット10の構成例を示す側面図である。
【0105】
(2-1)の場合、第二構成決定部162cは、後述する輸送ユニット10の仮決めおよび入れ替えの双方において、輸送ユニット10-1の高さH1と制限高さHmax(不図示)との偏差(第一偏差)が、第一閾値Th1以下となるよう、ステップS22~S25で輸送ユニット10-1の構成を決定する。なお、輸送ユニット10-2の高さは、制限高さHmax以下となればよい。この場合、例えば、トラックなどによって複数の輸送ユニット10を輸送する際に輸送スペースにおける積載効率を増大しやすいという利点が得られる。なお、制限高さHmaxよりも低くなる輸送ユニット10-2は、他の輸送ユニット10と積層されてもよい。輸送ユニット10の数がI個(Iは2以上の整数)である場合、第二構成決定部162cは、I-1個の輸送ユニット10のそれぞれの第一偏差の絶対値が、第一閾値Th1以下となるよう、輸送ユニット10-1の構成を決定する。なお、第一閾値Th1は、例えば、制限高さHmaxの10~20%程度のように、比較的緩やかに設定される。
【0106】
他方、(2-2)の場合、第二構成決定部162cは、輸送ユニット10の仮決めおよび入れ替えの双方において、複数の輸送ユニット10の高さH2が近い値に揃うよう、ステップS22~S25で複数の輸送ユニット10の構成を決定する。具体的には、合計高さHtを輸送ユニット10の数Iで除算した数を高さの平均値Hmとし、全ての輸送ユニット10の高さと当該Hmとの偏差(第二偏差)の絶対値が第二閾値Th2以下となるよう、複数の輸送ユニット10の構成を決定する。この場合、例えば、トラックなどによって複数の輸送ユニット10を輸送する際に重量のバランスを取りやすいという利点が得られる。なお、第二閾値Th2は、例えば、平均値Hmの10~20%程度のように、比較的緩やかに設定される。
【0107】
また、ステップS22において、前処理部162c1は、物品群20の耐荷重指標を算出する。
【0108】
物品群20の耐荷重は、各柱20pを構成する物品22の耐荷重が大きいほど大きくなる。また、物品群20の耐荷重は、物品群20に設けられる柱20pの数が多いほど、大きくなる。
【0109】
ただし、各柱20pにおいて、複数の物品22が積層されている場合、例えば、各物品22の形状の誤差や、ばらつき、複数の物品22のずれ等により、耐荷重が低減する虞がある。そこで、本実施形態では、柱20pにおける物品22の積層数iが大きくなるほど小さくなる低減係数を設定する。一例としては、積層数iが1の場合には、低減係数を100%(1.0)とし、積層数iが2の場合には、低減係数を60%(0.6)とし、積層数iが3の場合には、低減係数を40%(0.4)とする。積層数iが4以上の場合も、低減係数は、当該積層数iが大きくなるほど小さくなるよう、設定する。
【0110】
前処理部162c1は、以下の式(3)により、物品群20毎の耐荷重指標Iwを、算出する。
Iw=r×W×Np ・・・(3)
ここに、rは、低減係数、Wは、物品22の耐荷重、Npは、柱20pの本数である。耐荷重指標Iwは、積層数iが大きいほど小さくなる。積層数iは、パレット21と他のパレット21との間での物品22の積層数であって、段数とも称されうる。
【0111】
一例として、
図4に示される物品群20の場合、r=0.6(積層数i=2)、物品22の耐荷重Wを50[kg]、柱20pの本数Npを4とすると、当該物品群20の耐荷重指標Iwは、
Iw=0.6×50×4=120[kg]
となる。
【0112】
また、ステップS22において、前処理部162c1は、各物品群20の重量を算出する。物品群20の重量は、当該物品群20に含まれるパレット21および複数の物品22の重量の合計値である。
【0113】
次に、構成決定部162は、第二構成決定部162cの仮決め部162c として作動し、輸送ユニット10の構成を仮決めする(ステップS23)。このステップS23において、複数の輸送ユニット10の構成を仮決めする場合、仮決め部162c2は、例えば、それら複数の輸送ユニット10のそれぞれに対し、重量が大きい順に、複数の物品群20を一つずつ分配する。また、仮決め部162c2は、各輸送ユニット10において、重量が大きい物品群20ほど下に配置し、重量が小さい物品群20ほど上に配置する。これにより、各輸送ユニット10の重心がより下方に位置されるため、輸送ユニット10がより揺れ難くなり、ひいてはより荷崩れし難くなるという利点が得られる。
【0114】
図16は、二つの輸送ユニット10を仮決めした例を示す模式図(側面図)である。なお、
図16(および
図17,18)では、簡単のため、10個の物品群20を単なる長方形で示している。各長方形内に記した数字は、物品群20を区別するための数字であり、1から10へ数字が大きくなるにつれて、重量が小さくなることを示している。また、長方形の高さは、物品群20の高さを示している。以下では、番号j(j=1~10)が付与された物品群20を、第j番の物品群20-jと称する。
【0115】
なお、このような仮決めは一例であって、仮決め部162c2は、重量が大きい順に物品群20を分配するのに替えて、例えば、耐荷重指標Iwが大きい順に物品群20を分配してもよい。この場合、仮決め部162c2は、各輸送ユニット10において、耐荷重指標Iwが大きい物品群20ほど下に配置し、耐荷重指標Iwが小さい物品群20ほど上に配置する。
【0116】
また、ステップS23においては、仮決め部162c2は、各輸送ユニット10の高さが目標高さに収まるよう、複数の輸送ユニット10を仮決めする。すなわち、仮決め部162c2は、輸送ユニット10の高さが目標高さに収まることを条件(高さ条件)として、複数の物品群20の配置を仮決めする。
【0117】
次に、構成決定部162は、第二構成決定部162cの荷重演算部162c3として作動し、荷重演算を実行する(ステップS24)。このステップS24では、荷重演算部162c3は、各物品群20の耐荷重指標Iwと、当該各物品群20の上側に載置される物品群20の重量と、を比較する。
【0118】
全ての物品群20において、耐荷重条件が満たされる場合、すなわち、各物品群20の耐荷重指標Iwが、当該物品群20の上側の物品群20の重量よりも大きい場合(ステップS25でYes)、第二構成決定部162cは、各輸送ユニット10の構成、すなわち、各輸送ユニット10における物品群20の構成および配置を、確定する(ステップS26)。
【0119】
ステップS26において、輸送ユニット10の構成が確定された場合、構成決定部162は、計画・指示作成部162dとして作動し、決定が構成された輸送ユニット10の作成計画と、当該輸送ユニット10を作成するための複数の物品22の搬出指示を、作成する(ステップS28)。
【0120】
他方、ステップS25において、少なくとも一つの物品群20について、耐荷重指標Iwが、当該物品群20の上側の物品群20の重量以下であった場合(ステップS25でNo)、構成決定部162は、第二構成決定部162cの入替部162c4として作動し、二つの物品群20の場所を入れ替える(ステップS27)。このステップS27において、入替部162c4は、例えば、以下の(3-1)または(3-2)のロジックによる物品群20の入れ替えを実行する。
【0121】
(3-1)耐荷重条件を満たさなかった物品群20を、より耐荷重指標Iwの高い物品群20と入れ替える。
ここでは、一例として、
図16の左側の輸送ユニット10L(10)の、耐荷重指標Iwが5番目に大きい物品群20-5において、耐荷重条件が満たされなかった場合を仮定する。また、ここでは、
図16中の第4番の物品群20-4の耐荷重指標Iwが、第5番の物品群20-5の耐荷重指標Iwよりも大きいものとする。
図17は、この場合において、
図16の仮決めされた輸送ユニット10に対して物品群20の入れ替えが実行された輸送ユニット10の模式図(側面図)である。
図16と
図17とを比較すれば明らかとなるように、
図17の例では、
図16の二つの輸送ユニット10において、第4番の物品群20-4と第5番の物品群20-5とが入れ替わっている。このような入れ替えにより、耐荷重条件を満たさなかった物品群20-5の場所に、より耐荷重指標Iwが大きい物品群20-4が配置されるため、耐荷重条件が満たされる可能性がある。
【0122】
(3-2)耐荷重条件を満たさなかった物品群20より上側の物品群20を、より重量の小さい物品群20と入れ替える。
ここでは、一例として、
図16の左側の輸送ユニット10L(10)の、耐荷重指標Iwが1番目に大きい物品群20-1において、耐荷重条件が満たされなかった場合を仮定する。
図18は、
図16の仮決めされた輸送ユニット10について、物品群20の入れ替えが実行された輸送ユニット10の模式図(側面図)である。
図16と
図18とを比較すれば明らかとなるように、
図18の例では、
図16の二つの輸送ユニット10において、第9番の物品群20-9と第10番の物品群20-10とが入れ替わっている。ここで、第10番の物品群20-10の重量は、第9番の物品群20-9の重量よりも小さい。よって、このような入れ替えにより、耐荷重条件を満たさなかった物品群20-1上に載置される他の物品群20の重量がより小さくなるため、耐荷重条件が満たされる可能性がある。
【0123】
ステップS27においては、上述したように、入替部162c4は、各輸送ユニット10の高さが目標高さに収まるよう、複数の物品群20を入れ替える。すなわち、ステップS27において、入替部162c4は、輸送ユニット10の高さが目標高さに収まることを条件(高さ条件)として、入れ替える二つの物品群20を選定する。また、ステップS27の後は、ステップS24が実行され、入れ替えた構成について耐荷重条件が検査される。なお、上述した例では、仮決めされている複数の輸送ユニット10間で物品群20の場所の入れ替えが実行されたが、これには限定されず、同じ輸送ユニット10間で物品群20の場所の入れ替えが実行されてもよい。
【0124】
互いに場所を入れ替える物品群20の種々の組み合わせによっても、全ての物品群20について耐荷重条件および高さ条件が満たされない場合、第二構成決定部162cは、例えば、輸送ユニット10の数を増やしたり、目標高さをより低くしたり、第一閾値や第二閾値をより大きく設定したりした後、ステップS22以降を再度実行してもよい。
【0125】
また、荷重演算に用いる耐荷重指標Iwは、適宜に変更することができる。指標変更部162e(
図12)は、例えば、湿度や気温のような環境条件に応じて、耐荷重指標Iwを変更することができる。一例として、段ボールのような紙製のケースは、湿度が高いほど耐荷重がより低くなる虞がある。そこで、指標変更部162eは、例えば、センサ103としての湿度センサの検出値に基づいて、湿度の検出値が閾値よりも大きくなった場合には、耐荷重指標Iwあるいは低減計数を通常の設定値よりも小さくなるよう変更することができる。指標変更部162eは、例えば、湿度の高い季節においては、湿度が低い季節よりも低減係数rを低くすることができる。また、指標変更部162eは、例えば、オペレータによる入力デバイス104の操作に基づく入力値に基づいて、耐荷重指標Iwまたは低減係数rを変更することができる。
【0126】
以上、説明したように、本実施形態では、輸送ユニット作成装置100(物品処理装置)は、複数の物品群20が積層された輸送ユニット10の構成を決定する構成決定部162と、構成決定部162により構成が決定された物品群20を作成するパレタイズ機構110と、構成決定部162により構成が決定された輸送ユニット10を作成する積層機構140と、を備えている。
【0127】
このような構成によれば、コンピュータ上での演算処理によって物品群20および輸送ユニット10の構成を決定し、当該決定された構成の物品群20および輸送ユニット10を作成することができるので、例えば、輸送ユニット10をより確実にあるいはより迅速に作成できるという利点が得られる。
【0128】
また、本実施形態では、例えば、積層機構140は、物品群20および積層体20Sをそれぞれ略上下方向に移動することが可能なリフト機構130と、物品群20を略水平方向に移動することが可能な搬送機構120B1,120B2(スライド機構)と、を有している。
【0129】
このような構成によれば、例えば、輸送ユニット10を作成する積層機構140を、比較的簡素な構成によって実現することができる。
【0130】
また、本実施形態では、例えば、積層機構140において、リフト機構130は、搬送機構120B1,120B2によって受渡位置Ps11(所定位置)まで移動された物品群20の上に、他の一つの物品群20または積層体20S(従前に積層された複数の物品群20)を載置する。
【0131】
仮に、リフト機構130が物品群20を持ち上げて積層体20S上に載置する場合、リフト機構130の可動部の上下方向の移動距離がより大きくなりやすい。この点、本実施形態のように、リフト機構130が積層体20Sを持ち上げて物品群20上に載置する構成にあっては、リフト機構130の可動部の上下方向の移動距離をより小さくすることができる。これにより、例えば、積層の際の物品群20あるいは積層体20Sの上下移動に伴う揺れを抑制でき、ひいては物品22のずれを抑制できるという利点が得られる。
【0132】
また、本実施形態では、例えば、輸送ユニット作成装置100は、複数のパレタイズ機構110を備えている。
【0133】
このような構成によれば、例えば、一つのパレタイズ機構110を備えた構成に比べて、物品群20ひいては輸送ユニット10をより迅速に作成することができる。
【0134】
また、本実施形態では、例えば、輸送ユニット作成装置100は、パレタイズ機構110と積層機構140との間に、パレタイズ機構110によって構成された物品群20の複数箇所での高さを検出する検出機構150を備えている。
【0135】
このような構成によれば、例えば、パレタイズ機構110によって他のパレット21すなわち他の物品群20を載置可能に物品群20が作成されたか否かを、検査することができる。
【0136】
また、本実施形態では、例えば、輸送ユニット作成装置100は、複数箇所での高さが所定の条件を満たさない物品群20を、積層機構140とは異なる除外位置Peへ搬送する搬送機構120A(除外機構)を備えている。
【0137】
このような構成によれば、例えば、積層機構140において品質不良の輸送ユニット10が作成されたり、輸送ユニット10が作成できなくなったりといった不具合を、回避することができる。また、例えば、除外位置Peにおいて、物品群20の修復を実行できるという利点が得られる。
【0138】
また、本実施形態では、例えば、パレタイズ機構110は、少なくとも一つの物品22を、当該物品22の識別情報22a1が付与された側面22aが物品群20の側面20aに露出するように、パレット21上または当該パレット21上に載置された別の物品22上に載置する。
【0139】
このような構成によれば、例えば、輸送ユニット10および物品群20に含まれる物品22を識別しやすくなるという利点が得られる。
【0140】
また、本実施形態では、例えば、輸送ユニット作成装置100は、物品群20を作成するパレタイズ機構110と、複数の物品群20を積層して輸送ユニット10を作成する積層機構140と、を備えている。
【0141】
このような構成によれば、例えば、輸送ユニット10を、自動的に、より迅速にあるいはより確実に作成することができるという利点が得られる。
【0142】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0143】
例えば、搬送機構や、受入位置、パレタイズ位置、積層場所、出荷位置、検査機構の位置、除外位置等の数やレイアウトは、上記実施形態には限定されない。
【0144】
また、輸送ユニットは、フィルム等でラッピングされてもよい。
【符号の説明】
【0145】
10…輸送ユニット
20,20A,20B…物品群(第一物品群、第二物品群、第三物品群)
20a…側面
21…パレット
22…物品
22a…側面
22a1…識別情報
100…輸送ユニット作成装置(物品処理装置)
110…パレタイズ機構
120A…搬送機構(除外機構)
120B21,120B22…搬送機構(スライド機構)
130…リフト機構
140…積層機構
162…構成決定部
Pe…除外位置
Ps11…受渡位置