(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】乗物用収納構造
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20240110BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20240110BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240110BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60R7/04 T
B60R13/02 B
B60J5/04 F
B60J5/00 501A
(21)【出願番号】P 2020114678
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茶座 聖始
(72)【発明者】
【氏名】水野 辰也
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-067221(JP,U)
【文献】実開平06-081842(JP,U)
【文献】実開平06-023834(JP,U)
【文献】特開2004-074856(JP,A)
【文献】特開2010-158789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60R 13/02
B60J 5/04
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなし、乗物の室内意匠面を構成する板状部と、
前記板状部に対して、室内意匠面側に着脱可能に取り付けられる収納部品と、
を備え、
前記収納部品は、
一方に開口を有する箱型の本体部材と、
一方に開口する箱型形状とされ、前記本体部材に挿入されて
前記本体部材の前記開口の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部材と、
を備えており、
前記本体部材は、前記板状部に向けて延びる取付部を有するとともに、
前記板状部は、前記取付部を取り付け可能な複数の被取付部を有しており、
前記収納部品は、前記取付部が前記被取付部に取り付けられることで前記開口が上方を向く形で前記板状部に対して前記本体部材が取り付けられた状態とされ、前記蓋部材が前記本体部材に対して着脱可能な構成を備えて
おり、
前記本体部材は、前記蓋部材の少なくとも一部を内部に挿入させた状態で前記蓋部材を保持するとともに、前記蓋部材を前記本体部材に対する向きが異なる複数の姿勢のうちから選択されるいずれかの姿勢で保持することが可能とされた乗物用収納構造。
【請求項2】
前記複数の姿勢は、前記蓋部材の開口が下方を向いた第1の姿勢と、前記蓋部材の開口が上方を向いた第2の姿勢と、を含む
請求項1に記載の乗物用収納構造。
【請求項3】
前記蓋部材は、各面をなす部分の大きさが、前記本体部材の前記開口より小さくされており、
前記収納部品は、前記本体部材が前記蓋部材を保持した状態において、前記本体部材における前記蓋部材の外側に、上方に開口する収納部が形成される構成とされた
請求項1または請求項2に記載の乗物用収納構造。
【請求項4】
板状をなし、乗物の室内意匠面を構成する板状部と、
前記板状部に対して、室内意匠面側に着脱可能に取り付けられる収納部品と、
を備え、
前記収納部品は、
一方に開口を有する箱型の本体部材と、
前記本体部材に挿入されて前記開口の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部材と、
を備えており、
前記本体部材は、前記板状部に向けて延びる取付部を有するとともに、
前記板状部は、前記取付部を取り付け可能な複数の被取付部を有しており、
前記収納部品は、前記取付部が前記被取付部に取り付けられることで前記開口が上方を向く形で前記板状部に対して前記本体部材が取り付けられた状態とされ、前記蓋部材が前記本体部材に対して着脱可能な構成を備えており、
前記本体部材は、前記開口とは反対側の底面部と、前記底面部から前記開口に向けて延びる側壁部と、を有し、
前記蓋部材は、蓋開口を有する箱状であって、前記蓋開口とは反対側の蓋底面部と、前記蓋底面部から前記蓋開口に向けて延びる蓋側壁部と、を有しており、
前記蓋底面部は前記底面部よりも小さく、かつ、前記蓋側壁部の前記蓋底面部に直交する方向の深さ寸法は、前記側壁部の前記底面部に直交する方向の深さ寸法よりも大きくなるよう構成された、乗物用収納構造。
【請求項5】
前記蓋側壁部には、前記
蓋開口が下方を向いた第1の姿勢で前記本体部材に収納されたときに前記本体部材から突出する部分であって、室内側に向く部分において、取出孔部が貫通形成されている、
請求項4に記載の乗物用収納構造。
【請求項6】
前記本体部材は、前記開口とは反対側に底面部を有するとともに、
前記底面部の前記開口に臨む側の表面には、前記本体部材内に収納された前記蓋部材が前記底面部に沿って変位することを規制するリブが立設されている、請求項1から
請求項5のいずれか1項に記載の乗物用収納構造。
【請求項7】
前記板状部は、乗物ドアのドアトリムの一部であって、
前記ドアトリムは、乗物室内側に向けて突出するアームレスト部を備えているとともに、前記アームレスト部よりも下方に離間した位置に前記板状部を備えており、
前記本体部材は、前記アームレスト部と、乗物室内側において面一もしくは略面一となるように構成されている、請求項1から
請求項6のいずれか1項に記載の乗物用収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用収納構造、および収納部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乗物の室内意匠面に対して、様々な機能を備える機能部品を取り付けることが行われている。例えば、特許文献1には、室内意匠面としてのドアトリムに、収納機能を有する収納部品としてのドアポケットを固定する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成において、収納部品であるドアポケットは、ドアトリムに対して溶着により固定されている。換言すると、ドアポケットはドアトリムから取り外すことができず、その位置や大きさが限定されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、乗物を利用するユーザは、自身の嗜好に応じた様々な収納部品を状況に応じて取り替えて使いたいという要望や、収納部品を室内意匠面から取り外して清掃を行いたいという要望等を有している。また、乗物の室内で使用される収納部品については、乗物使用時の振動やドアの開閉等により、収納物が飛び出さない構成であることも望まれる。
【0005】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、乗物の室内意匠面に対して乗物の室内から収納部品を容易に着脱することが可能で、かつ、収納物を安定して収納することができる乗物用収納構造を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、このような乗物用収納構造に用いられる収納部品を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ここに開示される乗物用収納構造は、板状をなし、乗物の室内意匠面を構成する板状部と、前記板状部に対して、室内意匠面側に着脱可能に取り付けられる収納部品と、を備えている。そして前記収納部品は、一方に開口を有する箱型の本体部材と、前記本体部材に挿入されて前記開口の少なくとも一部を覆うことが可能な蓋部材と、を備えている。また、前記本体部材は、前記板状部に向けて延びる取付部を有し、前記板状部は、前記取付部を取り付け可能な複数の被取付部を有している。そして、前記収納部品は、前記取付部が前記被取付部に取り付けられることで前記開口が上方を向く形で前記板状部に対して前記本体部材が取り付けられた状態とされ、前記蓋部材が前記本体部材に対して着脱可能な構成を備えていることを特徴としている。
【0007】
上記乗物用収納構造においては、収納部品が、本体部材と蓋部材との組み合わせによって構成されており、収納物を本体部材に収納した状態で蓋部材によって開口を閉塞することで、本体部材から収納物が落下する事態を抑制することができる。また、蓋部材は本体部材に対して容易に着脱できる構成であるため、収納物を容易に収納したり取り出したりすることができる。
【0008】
ここに開示される乗物用収納構造の好適な一態様において、前記本体部材および前記蓋部材は、一方に開口する箱型形状とされ、前記本体部材は、前記蓋部材の少なくとも一部を内部に挿入させた状態で前記蓋部材を保持するとともに、前記蓋部材を前記本体部材に対する向きが異なる複数の姿勢のうちから選択されるいずれかの姿勢で保持することが可能とされている。上記構成によると、本体部材の開口に対する蓋部材の開口の向きを異ならせることで、収納部品を種々の収納態様で使用することができる。蓋部材の開口を本体部材に向けた状態とすれば、本体部材の底面と蓋部材とによって閉塞した空間を形成することができ、蓋部材の開口を本体部材と同じ向きとすれば、上方に開口した空間を形成してトレイ状の収納として使用することができる。また、蓋部材の開口を側方に向けた状態とすれば、蓋部材の内面と本体部材の内面との間で、収納物を挟むように収納することもできる。なお、蓋部材は、側壁部や底面部に孔が形成されたものであってもよい。
【0009】
ここに開示される乗物用収納構造の好適な一態様において、前記複数の姿勢は、前記蓋部材の開口が下方を向いた第1の姿勢と、前記蓋部材の開口が上方を向いた第2の姿勢と、を含む。上記構成によると、蓋部材を第1の姿勢で本体部材に収納することで、本体部材に収納されたものが外部に飛び出ることを抑制できることに加え、蓋部材を第2の姿勢で本体部材に収納することで、蓋部材を本体部材に対する入れ子状の収納容器として利用することができる。この蓋部材からなる収納容器は、本体部材に対して容易に取り付けたり取り外したりできるため、例えばダストボックスとして使用した場合などには、容易に取り外して清掃することができる。また、例えば、蓋部材からなる収納容器が本体部材よりも小さい場合には、本体部材の収納空間を蓋部材からなる収納容器によって区画することができ、ユーザの好みに応じた収納構造を簡便に構築することができる。
【0010】
ここに開示される乗物用収納構造の好適な一態様において、前記蓋部材は、各面をなす部分の大きさが、前記本体部材の前記開口より小さくされており、前記収納部品は、前記本体部材が前記蓋部材を保持した状態において、前記本体部材における前記蓋部材の外側に、上方に開口する収納部が形成される構成とされている。このような構成により、蓋部材の内側を利用した収納部だけでなく、本体部材における蓋部材が置かれていない部分も、上方に開口するトレイ状の収納部として使用することができる。
【0011】
ここに開示される乗物用収納構造の好適な一態様において、前記本体部材は、前記開口とは反対側に底面部を有するとともに、前記底面部の前記開口に臨む側の表面には、当該本体部材内に収納された前記蓋部材が前記底面部に沿って変位することを規制するリブが立設されている。
【0012】
上記構成によると、蓋部材を本体部材に収納したときに、蓋部材が本体部材の底面部に沿って移動することが抑制される。また、本体部材を蓋部材に対して大きめに形成することで、収納部を蓋部材によって、蓋部材によって覆われた収納部と、蓋部材によって覆われていない収納部と、に区画することができ、各々の収納部を異なる目的に使用することができる。
【0013】
ここに開示される乗物用収納構造の好適な一態様において、前記本体部材は、前記開口とは反対側の底面部と、前記底面部から前記開口に向けて延びる側壁部と、を有し、前記蓋部材は、蓋開口を有する箱状であって、前記蓋開口とは反対側の蓋底面部と、前記蓋底面部から前記蓋開口に向けて延びる蓋側壁部と、を有している。そして前記蓋底面部は前記底面部よりも小さく、かつ、前記蓋側壁部の前記蓋底面部に直交する方向の深さ寸法は、前記側壁部の前記底面部に直交する方向の深さ寸法よりも大きくされている。
【0014】
上記構成によると、本体部材から蓋部材が突出するとともに、本体部材と蓋部材とによってより大きな収納空間を構築することができる。これにより、本体部材の深さ寸法に制限されることなく、本体部材の深さよりも大きな収納物を収納部品内に安定的に収納することができる。
【0015】
ここに開示される乗物用収納構造の好適な一態様において、前記第1の姿勢で前記本体部材に収納されたときに前記本体部材から突出する部分であって、室内側に向く部分において、取出孔部が貫通形成されている。上記構成によると、本体部材から蓋部材が突出した部分に取出孔部が配置される。これにより、蓋部材を本体部材から取り外すことなく、取出孔部を介して収納物を収納部品内に収納したり、収納部品から収納物を取出したりすることができる。
【0016】
ここに開示される乗物用収納構造の好適な一態様において、前記板状部は、乗物ドアのドアトリムの一部であって、前記ドアトリムは、乗物室内側に向けて突出するアームレスト部を備えているとともに、前記アームレスト部よりも下方に離間した位置に前記板状部を備えている。そして前記本体部材は、前記アームレスト部と、乗物室内側において面一もしくは略面一となるように構成されている。上記構成によると、アームレスト部と乗物用収納構造とが面一となり、アームレスト部と乗物用収納構造とに統一感がもたらされて、ドアトリム全体としての意匠性が高められる。これにより、乗物の室内意匠面をより意匠性の高いものとして実現することができる。
【0017】
また、ここに開示される技術は、上記乗物用収納構造に好適に用いることができる上記の収納部品を提供する。上記乗物用収納構造においては収納部品を着脱自在に取り付けることができ、この用途に用いられる収納部品として、様々な大きさ、形状、構造的機能を備えるものが提供され得る。また、収納部品を構成する本体部材と蓋部材とは、各々が単独で、または互いに組み合わせることによって、様々な意匠性や構造的機能が実現されるものとして提供され得る。このことにより、多様なユーザの嗜好に応じた乗物用収納構造を実現するための収納機能を実現する収納部品が実現される。
【発明の効果】
【0018】
ここに開示される技術によれば、乗物の室内意匠面に対して収納部品を室内から容易に着脱することが可能で、かつ、収納物を安定して収納することができる乗物用収納構造が提供される。また、ここに開示される技術によれば、このような乗物用収納構造に好適に用いられる収納部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】実施形態1に係る乗物用収納構造を示す正面図
【
図3】
図2の乗物用収納構造を車両後方から視た側面図
【
図4】
図2における収納部品を室外側後方斜め上から視た斜視図
【
図5】
図4の収納部品を室内側前方斜め上から視た分解斜視図
【
図8】収納部品の蓋部材を第2の姿勢で本体部材に挿入した状態を示す斜視図
【
図11】突出部が第1孔部に挿入された状態を示す断面図(
図10のX-X線矢視図)
【
図12】突出部が第1孔部から第2孔部へ変位する過程を示す断面図
【
図13】突出部が第2孔部に挿入された状態を示す断面図(
図9のXIII-XIII線矢視図)
【
図15】
図14の収納部品の蓋部材を第1の姿勢で本体部材に挿入した状態を示す斜視図
【
図16】
図14の収納部品の蓋部材を第2の姿勢で本体部材に挿入した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0021】
<実施形態1>
実施形態1に係る乗物用収納構造について、
図1から
図13を参照しつつ説明する。
図1は、ドアトリム10の斜視図であり、
図2および
図3は、ドアトリム10に収納部品50を取り付けた乗物用収納構造を説明する図である。
図4から
図8は、収納部品50の構成を説明する図である。なお、各図に示した符号F,Rr,U,D,IN,OUTはそれぞれ、車両進行方向の前方,後方,鉛直方向(上下方向)の上方,下方,車両進行方向に直交する車幅方向の室内側,室外側を示す。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。また、以下の説明において、収納部品50についての長手方向は前後方向に一致し、短手方向は車幅方向に一致し、高さ方向は上下方向に一致しているものとする。
【0022】
ドアトリム10は、乗物ドアのドアパネルの乗物室内側に取り付けられ、乗物ドアの室内側面を構成するとともに、乗物室内の見栄えや居住性を向上させるための内装材である。
図1から
図3に示すドアトリム10は、乗物としての車両の右側のドアに配されるものであるが、左側のドアにおいても左右対称で同様の構成が備えられているものとする。ドアトリム10は、アームレスト部12を備え、このアームレスト部12の下方となる箇所に凹部13を有している。この凹部13は、ドアトリム10が車幅方向の室外側に向けて後退することで形成されている。そして、この凹部13の底面13A(
図11等参照)には、底面13Aに対して室内側から重畳する形で、収納部品50を取り付けるための取付ボード20が備えられている。
【0023】
本実施形態の乗物用収納構造1は、例えば
図2に示すように、取付ボード20と、この取付ボード20に対して乗物室内側から着脱可能に取り付けられる収納部品50と、を備えることで構成されている。取付ボード20は、本発明における乗物の室内意匠面を構成する板状部の一例である。
【0024】
まずは、収納部品50について説明する。本実施形態の収納部品50は、
図3から
図8に示すように、上方に開口51Aを有する箱型の本体部材51と、この本体部材51に収納され、開口51Aの少なくとも一部を閉塞する蓋部材55と、の組み合わせにより構成されている。より具体的には、本実施形態の収納部品50において、本体部材51および蓋部材55は、例えば
図5に示すように、それぞれが開口51A,55Aを有する略直方体形状の箱状をなしている。そして、蓋部材55は、蓋底面部55Bが上方となり蓋開口55Aが下方となる第1の姿勢で、本体部材51の開口51Aを通して本体部材51の中にその下方を挿入することで組付け可能となるように構成されている。また、本体部材51の取付ボード20に向けられる背面部51Cには、例えば
図4に示すように、取付ボード20に向けて延びる突出部30が備えられている。
【0025】
本体部材51は、開口51Aを有する略直方体形状の箱型をなしており、例えば
図2に示すように、開口51Aが上方を向き、背面部51Cが取付ボード20に沿うような(略平行となるような)形で取付ボード20に取り付けられている。本体部材51は、背面部51Cと、背面部51Cの下端に連続して室内側に伸びる底面部51Bと、底面部51Bの室内側の端部から立ち上がり背面部51Cと向かい合う前面部51Dと、底面部51Bの前方の端部から立ち上がり背面部51Cと前面部51Dの前方の端部に連続する第1側面部51Eと、底面部51Bの後方の端部から立ち上がり背面部51Cと前面部51Dの後方の端部に連続する第2側面部51Fと、により構成されている。本体部材51の底面部51B、背面部51C、第1側面部51E、前面部51D、および第2側面部51Fによって、上方に開口51Aが画成されるとともに、収納物および蓋部材55を収納するための収納空間が構成されている。なお、背面部51C、第1側面部51E、前面部51D、および第2側面部51Fは、本発明における側壁部の一例である。
【0026】
また、本体部材51は、取付ボード20に取り付けられたとき、車両前後方向に沿う長手方向の寸法が相対的に長く、車幅方向に沿う短手方向の寸法が相対的に小さい。本実施形態の本体部材51は、長手方向の寸法が、取付ボード20の下方における水平方向の寸法に概ね等しいか、やや小さくなるよう構成されている。また、本体部材51の短手方向の寸法は、
図3に示すように、室内側に向けて浮島状に突出しているアームレスト部12の室内側の面12Aと、前面部51Dの室内側の面とが、面一もしくは概ね面一をなすように構成されている。本体部材51の高さ方向に沿う深さ方向の寸法は、本体部材51の短手方向の寸法よりも小さい。このように、本体部材51は、長手方向に長い浅型のトレイ状に形成されている。
【0027】
なお、本体部材51は、例えば
図5に示すように、取付ボード20に取り付けられたときの室内側の両端部、換言すれば、前面部51Dの長手方向に沿う両端部において、角部がなく、面取り(ここではR面取り)されている。これにより、乗物を利用するユーザが本体部材51の前面部51Dに接触したり、干渉したりする事態が起こることを低減するようにしている。また、本体部材51の背面部51Cには、上方の開口51Aから中央付近まで下方に向けて切り欠きが設けられている。このような構成によると本体部材51の自重を低減することができる。
【0028】
本実施形態の蓋部材55は、
図4および
図6に示すように、本体部材51の中に上記の第1の姿勢で組付けられたとき、本体部材51の開口51Aの一部を閉塞している。蓋部材55は、本体部材51の底面部51Bに向かい合うとともに主として開口51Aを閉塞する蓋底面部55Bと、背面部51Cに沿って蓋底面部55Bの室外側の端部から立ち上がる蓋背面部55Cと、前面部51Dに沿って蓋底面部55Bの室内側の端部から立ち上がる蓋前面部55Dと、第1側面部51Eに沿って蓋底面部55Bの前方の端部から立ち上がる第1蓋側面部55Eと、第2側面部51Fに沿って蓋底面部55Bの後方の端部から立ち上がる第2蓋側面部55Fと、により構成されている。蓋部材55の、蓋底面部55Bの反対側は開口55Aであり、開口55Aは本体部材51によって覆われている。また、蓋底面部55B、蓋背面部55C、第1蓋側面部55E、蓋前面部55D、および第2蓋側面部55Fは互いに接続されている。これにより、蓋部材55は、本体部材51の開口51Aを覆うとともに、本体部材51の収納空間の少なくとも一部を、完全にまたは概ね閉じた空間としている。なお、蓋背面部55C、第1蓋側面部55E、蓋前面部55D、および第2蓋側面部55Fは、本発明における蓋側壁部の一例である。
【0029】
蓋部材55は、例えば
図7に示すように、長手方向の寸法が、本体部材51の長手方向の寸法と比較して十分に小さい。本実施形態の蓋部材55は、箱内部の長手方向の寸法(すなわち内寸)が、ボックスティッシュT(
図7参照)の長手方向の寸法より大きくなるように設定されている。蓋部材55は、短手方向の寸法が、本体部材51の箱内部の短手方向の寸法(すなわち内寸)と等しいか、やや小さくなるように設定されている。また、蓋部材55の高さ方向の寸法は、本体部材51の高さ方向の寸法よりも十分に大きい。蓋部材55は、箱内部の高さ方向の寸法(すなわち内寸)が、ボックスティッシュTの取り出し面(すなわち、収容されたティッシュを取り出すための開口が設けられる面)の短手方向の寸法よりやや大きくなるように設定されている。そして蓋部材55は、本体部材51の中に上記の第1の姿勢で組付けられるとともに、その内部に収納物としてのボックスティッシュTを収納できるように構成されている。また、蓋部材55は、本体部材51により構築される収納空間の上方に、付加的な収納空間を構成している。
【0030】
また、蓋部材55は、
図2および
図7に示すように、上記第1の姿勢で本体部材51に収納されたときに、室内側に配置される前面部55Dのうち、本体部材51の前面部51Dから上方に露出した部分に、貫通形成された取出孔部56が設けられている。この取出孔部56は、蓋部材55の内部にボックスティッシュTを収容したときに、ボックスティッシュTのティッシュを取り出すための開口に対応する位置に形成されている。取出孔部56は、この収納部品50の内部にボックスティッシュTを収容したときに、ボックスティッシュTのティッシュを取り出すための開口を取り囲むように形成されている。これにより、収納部品50は、蓋部材55を本体部材51に第1の姿勢で組付けたときに、蓋部材55を本体部材51から取り外すことなく、組み付けたままで、ボックスティッシュTからティッシュを取り出せるように構成されている。
【0031】
なお、本体部材51は、蓋部材55と比較して長手方向の寸法が長い。したがって、本体部材51に蓋部材55を第1の姿勢で組付けたとき、蓋部材55は本体部材51の中で長手方向に沿って変位し得る。そこで、本体部材51の底面部51Bの上面には、
図5に示すように、短手方向に沿ってリブ52A,52B,52Cが立設されている。リブ52A,52B,52Cは、
図6に示すように、短手方向において、背面部51Cおよび前面部51Dとは接続されずに離間している。リブ52Aは、第1側面部51Eと第1蓋側面部55Eとが隣接するように本体部材51の中に蓋部材55を収納したときに、蓋部材55の外側(後方)において第2蓋側面部55Fに隣り合う位置に設けられている。また、リブ52Cは、第2側面部51Fと第2蓋側面部55Fとが隣接するように本体部材51の中に蓋部材55を収納したときに、蓋部材55の外側(前方)において第1蓋側面部55Eに隣り合う位置に設けられている。リブ52Bは、長手方向でリブ52Aとリブ52Cとの間(例えば中央)に設けられている。これにより、本体部材51の中に蓋部材55を前方または後方に寄せて収納したときに、リブ52Aまたはリブ52Cによって蓋部材55が後方または前方に移動することが規制される。なお、リブ52A,52B,52Cの高さ寸法は、蓋部材55の前後方向における移動を規制できる程度であればよい。また、蓋部材55は、箱内部の高さ方向の寸法(すなわち内寸)が、ボックスティッシュTの上記取り出し面の短手方向の寸法と、リブ52A,52B,52Cの高さ寸法との合計よりも、やや大きくなるように設定される。そしてこのとき、蓋部材55に収容されたボックスティッシュTは、蓋部材55の内側に配置されるリブ52Cまたはリブ52Aと、リブ52Bと、の上に亘って載置される。これにより、収容されたボックスティッシュTが上下方向でガタつくことを抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態の蓋部材55は、略直方体形状の箱状に形成されていることから、
図8に示すように、上記第1の姿勢とは異なる第2の姿勢で本体部材51に組付けることができるものとされている。すなわち、蓋部材55は、蓋底面部55Bが下方となり蓋開口55Aが上方となる第2の姿勢で、本体部材51の中に組付可能となるように形成されている。本実施形態の蓋部材55は、
図7に示すように、長手方向および高さ方向の中心において短手方向に沿って回転軸A1をとり、この回転軸A1を中心に180°回転させたときに、蓋部材55が占める外形(蓋開口55Aが平面で閉塞されているとしたときの略直方体の形状)が回転の前後で等しくなる。換言すれば、蓋部材55は上記の回転軸A1について2回の回転対称性を有するものとされている。
【0033】
突出部30は、例えば
図6および
図11に示すように、本体部材51の背面部51Cの外側の面から、略垂直方向に向けて延びるように設けられている。本実施形態において、突出部30は、本体部材51の背面部51Cにおいて、長手方向の両端部の上方と下方とに、計4つが備えられている。これら4つの突出部30が一組となって、収納部品50および収納物の重量を安定して支持できるように構成されている。一組の(4つの)突出部30はそれぞれ、
図11に示すように、基端側(背面部51C側)から順に基端部32と、中間部34と、先端部36と、を備える。これら基端部32と、中間部34と、先端部36とは、それぞれ円柱状をなしている。基端部32の直径D1は、中間部34の直径D2よりも大きいものとされ、先端部36の直径D3は、基端部32の直径D1よりも大きいものとされる。つまり、先端部36の直径D3は、中間部34の直径D2よりも大きいものとされる。
【0034】
一方、例えば
図9に示すように、取付ボード20には、突出部30を取付ボード20に取り付けるための複数の取付孔21が貫通形成されている。取付孔21は、本発明における被取付部の一例である。一組の突出部30は、それぞれが、複数の取付孔21のうちいずれか一つの取付孔21に対して選択的に挿入される。つまり、一組の突出部30を複数の取付孔21のいずれか4つに挿抜することで、本体部材51を取付ボード20に対して着脱することができる。そして、複数の取付孔21のうち、どの取付孔21を選択するかによって、本体部材51の取り付け位置を変更することができる。
【0035】
次に、取付孔21について詳細に説明する。取付孔21は、取付ボード20の室内意匠面を貫通するように形成されており、
図10に示すように、突出部30の先端部36を挿入することが可能な第1孔部22と、第1孔部22の孔縁部に形成され、第1孔部22と連通すると共に突出部30の中間部34が挿入される第2孔部23と、を有する。なお、
図9および
図10は、取付ボード20を裏面20B側(室外側)から視た図である。
【0036】
第1孔部22は円形状をなしており、第2孔部23は、第1孔部22の中心を中心にして120度間隔で放射状に3つ配されている。第2孔部23は、第1孔部22の径方向に沿って延びる細長い長孔である。
【0037】
図10に示すように、第1孔部22の直径B1は、先端部36の直径D3よりもやや大きい値に設定されている。このため、第1孔部22に先端部36を挿通することが可能となっている。また、第2孔部23の幅B2は、中間部34の直径D2とほぼ同じであるか、または直径D2よりもわずかに大きいものとされる。つまり、中間部34は、第2孔部23内において、第2孔部23の長手方向に沿って変位可能となっている。また、第2孔部23の幅B2は、先端部36の直径D3よりも小さいものとされる。このことにより、先端部36(換言すれば突出部30)は、第2孔部23に変位された状態では室内側への抜け止めがなされている。
【0038】
このような複数の取付孔21は、
図9に示すように、車両前後方向に並ぶ複数の取付孔21の列(取付孔群)が上下方向に複数段並ぶ形で配されている。取付孔群においては、複数の取付孔21が等間隔で並ぶものとされる。そして、一の取付孔群の取付孔21(
図9において符号21Aを付す)は、その上方又は下方に隣接する取付孔群における隣接する2つの取付孔21,21(
図9において符号21Bを付す)の中間位置に配されるようになっている。換言すれば、取付孔群において取付孔21は千鳥状に配置されている。
【0039】
本実施形態では、
図11に示すように、本体部材51の突出部30を取付ボード20の第1孔部22に挿入した後、
図12に示すように、第1孔部22の周囲にある3つの第2孔部23のうちいずれかの第2孔部23側にスライド変位させることで、中間部34が第2孔部23に嵌合されると共に、突出部30の先端部36が取付ボード20における第2孔部23の孔縁部に対して裏面20B側(室外側)から係止する構成となっている(
図9および
図12参照)。
【0040】
また、
図10に示すように、裏面20Bには、それぞれの第2孔部23の先端(最奥)付近の孔縁部において、第2孔部23を挟むように一対の突起部24,24が設けられている。第2孔部23の孔縁部に係止した突出部30の先端部36は、これらの一対の突起部24,24に対して裏面20B側(室外側)から当接するようになっている(
図9および
図12参照)。したがって、突出部30が第1孔部22から第2孔部23に変位すると、突出部30の先端部36は突起部24の表面に摺動しつつ突起部24に乗り上げる。そのため、ユーザが本体部材51を手に持ち、突出部30が第1孔部22から第2孔部23に変位するように本体部材51をスライド変位させると、先端部36と突起部24との接触による節度感を得ることができる。これにより、ユーザは、室内側から突出部30を目視できない状態にあっても、突出部30が第2孔部23に変位して係止されたことを容易に知覚することができる。
【0041】
また、
図11から
図13に示すように、基端部32には、円環状の軟質材38(ワッシャ)が装着されている。軟質材38は、基端部32よりも軟らかい材質の材料によって構成されている。これに限定されるものではないが、本実施形態の軟質材38は、シリコンゴム等の合成ゴムによって構成されている。軟質材38は、基端部32と取付ボード20との間に介在されている。
【0042】
軟質材38は、
図11に示すように、突出部30が第1孔部22に挿入されている状態において、基端部32と取付ボード20との間に自然状態で介在する厚さ寸法に設定されている。一方、
図12に示すように、突出部30が第2孔部23に挿入され、突出部30の先端部36が突起部24に乗り上げた状態においては、軟質材38は、その厚さ方向(車幅方向)について自然状態よりもわずかに縮んだ状態で、基端部32と取付ボード20との間に介在している。つまり、一対の突起部24,24と先端部36とは、軟質材38の弾性力により互いに押し当てられた状態とされており、突起部24と先端部36との間に生じる摩擦によって、先端部36が第1孔部22側に変位する事態が規制されている。
【0043】
また、例えば
図11に示すように、取付ボード20の裏面20B(室外側の面)には、ドアトリム10の凹部13の底面13Aに対して室内側から当接する当接面25Aを有するスペーサ25が設けられている。このスペーサ25の当接面25Aは、突出部30の先端部36における室外側の先端面37Aよりも、室外側(底面13A側)に配されている。スペーサ25は、
図9に示すように、120度間隔で放射状に配された3つのリブによって構成されており、1つのスペーサ25は、3つの取付孔21に囲まれている。
【0044】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の乗物用収納構造1は、板状をなし、乗物の室内意匠面を構成する取付ボード20と、この取付ボード20に対して、室内意匠面側に着脱可能に取り付けられる収納部品50と、を備えることで構成される。収納部品50は、開口51Aを有する箱型の本体部材51と、本体部材51に収納されて開口51Aの少なくとも一部を閉塞することが可能な蓋部材55と、を備えている。また、本体部材51は、取付ボード20への取付の際に、取付ボード20に向けて延びる突出部30を有し、取付ボード20は、この突出部30を取り付け可能な複数の取付孔21を有している。そして、収納部品50は、突出部30を取付孔21に取り付けることで開口51Aが上方を向く形で取付ボード20に対して本体部材51が取り付けられた状態とされ、蓋部材55が本体部材51に対して着脱可能な構成を備えている。
【0045】
上記構成において、収納部品50は本体部材51と蓋部材55との組み合わせによって構成され、本体部材51は室内側から取付ボード20に容易に着脱可能であるとともに、蓋部材55は本体部材51に対して容易に収納することができ、また、本体部材51を介して取付ボード20に着脱可能とされている。これにより、取付ボード20に対して室内側から着脱が容易な収納部品50による乗物用収納構造1が提供される。また、この収納部品50は蓋部材55を備えていることから、収納物を収納した状態で蓋部材55によって本体部材51の開口51Aを閉塞することで、収納物が落下する事態を抑制することができる。また、蓋部材55は本体部材51に対して容易に着脱できる構成であるため、収納物を容易に収納したり取り出したりすることができる。
【0046】
また、上記実施形態において、本体部材51は、開口51Aとは反対側に底面部51Bを有するとともに、底面部51Bの開口51Aに臨む側の表面には、本体部材51内に収納された蓋部材55が底面部51Bに沿って移動することを規制するリブ52A,52Cが立設されている。これにより、蓋部材55を本体部材51に収納したときに、蓋部材55が本体部材51の底面部51Bに沿って移動することが抑制される。なお、蓋部材55の蓋底面部55Bを本体部材51の底面部51Bに対して小さく形成することで、収納部を蓋部材55によって、蓋部材55によって覆われた1つ目の収納部と、蓋部材55によって覆われていない2つ目の収納部と、に区画することができる。これにより、各々の収納部を例えば異なる用途で使用することができる。例えば、本実施形態の本体部材51と蓋部材55との組み合わせによると、蓋部材55によって覆われた1つ目の収納部をボックスティッシュT入れとして利用することができ、2つ目の収納部を小物入れなどとして利用することができる。すなわち、取付ボード20に取り付ける本体部材51の収容部を、蓋部材55によって任意の大きさ、数の収容部に簡便に区画することができる。延いては、本体部材51と蓋部材55との組み合わせによって、多様な収納態様を構築することが可能な収納部品50と、この収納部品50を備える乗物用収納構造1とが実現される。
【0047】
また、本体部材51は、開口51Aとは反対側の底面部51Bと、底面部51Bから開口に向けて延びる背面部51C、第1側面部51E、前面部51D、および第2側面部51Fを有し、蓋部材55は、蓋開口55Aを有する箱状であって、蓋開口55Aとは反対側の蓋底面部55Bと、蓋底面部55Bから蓋開口55Aに向けて延びる蓋背面部55C、第1蓋側面部55E、蓋前面部55D、および第2蓋側面部55Fを有している。そして、蓋底面部55Bは底面部51Bよりも小さく、かつ、蓋背面部55C、第1蓋側面部55E、蓋前面部55D、および第2蓋側面部55Fの深さ寸法は、背面部51C、第1側面部51E、前面部51D、および第2側面部51Fの深さ寸法よりも大きくなるよう構成されている。このような構成によると、本体部材51に蓋部材55を収納したときに、本体部材51の開口51Aから蓋部材55が上方に向けて突出するとともに、本体部材51と蓋部材55とによってより大きな収納空間を構築することができる。これにより、本体部材51の深さ寸法に制限されることなく、例えば、本体部材51の深さよりも大きな収納物を収納部品50内に安定して収納することができる乗物用収納構造1が実現される。
【0048】
上記実施形態において、蓋背面部55C、第1蓋側面部55E、蓋前面部55D、および第2蓋側面部55Fのうち、第1の姿勢で本体部材51に収納されたときに本体部材51から突出する部分であって、室内側に向く部分である蓋前面部55Dにおいて、取出孔部56が貫通形成されている。このような構成によると、本体部材51から蓋部材55が突出した部分に取出孔部56が配置される。これにより、蓋部材55を本体部材51から取り外すことなく、取出孔部56を介して収納物を収納部品50内に収納したり、収納部品50から収納物を取出したりすることができる。
【0049】
上記実施形態において、蓋部材55は、蓋開口55Aを有する箱型であって、蓋開口55Aとは反対側の蓋底面部55Bと、蓋底面部55Bから蓋開口55Aに向けて延びる蓋背面部55C、第1蓋側面部55E、蓋前面部55D、および第2蓋側面部55Fと、を有している。そして蓋底面部55Bが上方となり蓋開口55Aが下方となる第1の姿勢と、蓋底面部55Bが下方となり蓋開口55Aが上方となる第2の姿勢と、の両方の姿勢で、本体部材51の開口51Aを通して本体部材51の中に組付可能となるように形成されている。これにより、本体部材51の収容空間を、蓋部材55によって包囲され上方に開口された1つ目の収納部と、本体部材51と蓋部材55の第1蓋側面部55Eまたは第2蓋側面部55Fとによって包囲され上方に開口された2つ目の収納部と、に区画することができる。これにより、延いては、より一層多様な収納態様を構築することが可能な収納部品50と、この収納部品50を備える乗物用収納構造1とが実現される。
【0050】
上記実施形態において、取付ボード20は、乗物ドアのドアトリム10の一部であって、このドアトリム10は、室内側に向けて突出する浮島状のアームレスト部12を備えているとともに、このアームレスト部12よりも下方に離間した位置に取付ボード20を備えている。そして本体部材51は、アームレスト部12と、室内側において面一もしくは略面一をなすように構成されている。このような構成によると、
図3に示すように、乗物ドアを例えば後方側から視たときに、アームレスト部12の上端から本体部材51の下端にかけて、室内側の表面が滑らかな曲線を描く。このことにより、アームレスト部12と乗物用収納構造1とに統一感がもたらされて、ドアトリム10全体としての意匠性が高められる。これにより、乗物の室内意匠面をより意匠性の高いものとして実現することができる。また、浮島状に大きく室内側に突出しているアームレスト部12の下方の空間を、ユーザの嗜好に応じた収納スペースとして有効に活用することができる。
【0051】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図14から
図16に基づいて説明する。上記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。実施形態2に係る乗物用収納構造1において、取付ボード20と突出部30の構成については実施形態1と共通であるが、収納部品150の本体部材151および蓋部材155の構成が実施形態1とは異なる。
【0052】
すなわち、本体部材151は、例えば
図14に示すように、上下(深さ)方向の寸法が実施形態1の本体部材51と比較して相対的に大きく(深く)、例えばボックスティッシュTの取り出し面の短手方向(上下方向)の寸法のおおよそ2/3程度の寸法となっている。そして本体部材151の前面部151Dには、長手方向の中央部分において、U字型の切り欠きが開口151Aから底面部51Bに向けて上下方向の中央付近まで形成されている。また、本体部材151の背面部151Cには、上方に2つ設けられた突出部30よりも長手方向の中央側の領域であって、かつ、下方に2つ設けられた突出部30よりも上方(開口151A側)の領域において、U字型の切り欠きが開口151Aから底面部151Bに向かう広い範囲に設けられている。
【0053】
蓋部材155は、長手方向および短手方向において本体部材151よりも一回り小さい寸法で構成されており、上下方向の寸法(すなわち、深さ)については本体部材151よりも大きい。また、蓋部材155の蓋前面部155Dには、長手方向の中央部分において、U字型の切り欠きが蓋開口155Aから蓋底面部155Bに向けて上下方向の中央付近にまで設けられている。
【0054】
そして、本体部材151の開口151Aを上方に配し、蓋部材155を蓋開口155Aを下方に配した第1の姿勢で本体部材151に蓋部材155を入れ子状に挿入すると、
図15に示すように、本体部材151と蓋部材155の組み合わせによって、本体部材151単体による収納空間よりも大きな収納空間が構築される。また、本体部材151の切り欠きと蓋部材155の切り欠きとが組み合わされて、収納部品150の前方に一つの取出孔部156が形成されるようになっている。この取出孔部156は、収納部品150の内部にボックスティッシュTを収容したとき、ボックスティッシュTの取り出し面の開口を取り囲む位置に、開口よりも一回り大きくなるように設計されている。これにより、蓋部材155を本体部材151から取り外すことなく、収納部品150に収容したボックスティッシュTから、取出孔部156を介してティシュを取り出すことができる。
【0055】
また、本体部材151の開口151Aを上方に配するとともに、蓋部材155の蓋開口155Aも上方に配した第2の姿勢で本体部材151に蓋部材155を入れ子状に挿入すると、
図16に示すように、上方に開口を有する収納容器が形成されるようになっている。この収納容器において、本体部材151と蓋部材155の切り欠きは互いに輪郭が一致するように構成されている。ここで、蓋部材155は本体部材151から容易に取り外すことができるため、例えばごみ箱などの用途で使用することで、取り外して清掃することができるとともに、頻繁に清掃を行っても手間が軽減される点において有利である。また、例えば、ユーザは、深さの異なる複数の蓋部材155をあらかじめ用意しておき、これら深さの異なる複数の蓋部材155のうちから自身の用途に応じた深さの蓋部材155を選択して本体部材151に収納することで、所望の大きさの収納空間を構築することができる。これにより、ユーザの要望に適した収納を可能とする収納部品150が実現されるとともに、この収納部品150を用いた乗物用収納構造1が提供される。
【0056】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0057】
(1)上記実施形態では、一つの取付ボード20に対して、一つの本体部材51または本体部材151と、一つの蓋部材55または蓋部材155とが組み合わせられていた。しかしながら、ここに開示される乗物用収納構造および収納部品においては、一つの取付ボードに対して、互いに異なる、あるいは同一の、二つ以上の本体部材の組み合わせが含まれていてもよい。また、一つの本体部材に対して、互いに異なる、あるいは同一の、二つ以上の蓋部材の組み合わせが含まれていてもよい。
(2)上記実施形態では、収納物としてボックスティッシュを採用した場合について開示したが、収納物はボックスティッシュに限定されることなく、様々な物品であってよい。このような物品の一例として、乗物清掃用品、化粧用品、サングラス、消臭剤又は芳香剤、加湿器、折り畳み傘、携帯用買い物袋等が挙げられる。
(3)上記実施形態では、蓋部材は本体部材に挿入することで嵌め合わされていたが、蓋部材と本体部材とは互いに重なり合う面において、例えば、爪部と爪受け部とをそれぞれ備え、蓋部材が本体部材から容易に抜け落ちないように抜け止めされていてもよい。
(4)上記実施形態では、蓋部材の蓋前面部にのみ取出孔部が設けられていたが、収納部品において取出孔部の設けられる位置に制限はない。例えば、蓋部材の蓋前面部と本体部材の前面部とに架けて取出孔部が設けられていてもよい。また、蓋部材の蓋底面部等に取出孔部が設けられていてもよい。
(5)上記実施形態では、蓋部材の蓋前面部の中央部分に取出孔部が長孔状に貫通形成されていたが、例えば、取出孔部は、蓋部材の蓋側面部において、蓋開口から蓋底面部に向けて、本体部材の側面部の深さ寸法よりも深くまで切り欠いてなる切り欠き孔として設けられていてもよい。
【0058】
(6)上記実施形態では、収納部品は略直方体形状であって、室内側に配置される本体部材の前面部および蓋部材の蓋前面部の長手方向の両端が丸く面取りされて、本体部材および蓋部材は2回回転対称性を有していた。しかしながら、収納部品は、室内側に配置される前面部および蓋前面部の長手方向の両端が面取りされていなかったり、あるいは、室外側に配置される背面部および蓋背面部の長手方向の両端が前面部および蓋前面部と同様に面取りされているなどしていてもよい。この場合、収納部品は、長手方向および短手方向の中心において高さ方向に沿って回転軸A2(図示せず)をとり、この回転軸A2を中心に2回の回転対称性を備え得る。これによって、本体部材に対して嵌め合わせることができる蓋部材の姿勢が多様化されるために好ましい。
(7)上記実施形態では、収納部品をドアトリムの下方に設けられた取付ボードに着脱可能に取り付ける乗物用収納構造を示したが、取付ボードは、ドアトリムの下方に限らず、乗物室内の他の位置に設けられる室内意匠面を構成する板状部に設けられていてもよい。例えば、室内意匠面を構成する板状部は、乗物シートのシートバックボードや、デッキサイドトリムの一部を構成する板状部等であってもよい。
(8)上記実施形態では、ドアトリムの凹部に対して取付ボード20が取り付けられていたが、取付ボード20は、ドアトリムの凹部を構成するものであってもよい。
(9)上記実施形態では、収納部品50の突出部30を取付ボード20の取付孔21に着脱可能に取り付ける構成を示したが、収納部品を板状部に着脱可能に取り付ける構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、収納部品に設けた鋭角に屈曲した略L字型の片を、板状部の複数のスリット状の孔に選択的に引っ掛ける構成としてもよい。また、上記実施形態では、被取付部が孔状である構成(取付孔21)を示したが、被取付部は孔状に限らず、例えばフック状や溝状等としてもよい。また、孔状である場合でも、上記実施形態の取付孔21に限るものではない。
【符号の説明】
【0059】
1…乗物用収納構造、10…ドアトリム、20…取付ボード(板状部)、21…取付孔(被取付部)、22…第1孔部、23…第2孔部、30…突出部(取付部)、50,150…収納部品、51,151…本体部材、55,155…蓋部材