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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/355 20140101AFI20240110BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20240110BHJP
   A63F 13/45 20140101ALI20240110BHJP
   A63F 13/60 20140101ALI20240110BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240110BHJP
【FI】
A63F13/355
A63F13/30
A63F13/45
A63F13/60
G06T19/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020157947
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051455
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-05-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】本池 哲
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/196135(WO,A1)
【文献】特開2019-217262(JP,A)
【文献】特開2016-137250(JP,A)
【文献】特開2020-000642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0260883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-98
A63F 9/24
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置と、前記複数の端末装置と通信可能なゲーム実行装置と、を備えるゲームシステムであって、
前記ゲーム実行装置は、
前記複数の端末装置からの実行要求に応じて、複数のゲームを並行して実行して当該複数のゲームのゲーム映像データを生成する実行手段と、
前記複数のゲームのゲーム映像データを合成して前記複数の端末装置で共通の合成映像データを生成する合成手段と、
前記共通の合成映像データを前記複数の端末装置に配信する配信手段と、
を備え、
各端末装置は、
前記ゲーム実行装置から前記共通の合成映像データが配信された場合に、当該共通の合成映像データから、当該端末装置が実行要求したゲームに対応するゲーム映像データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したゲーム映像データを視聴用に調整する調整手段と、
を備える、
ゲームシステム。
【請求項2】
前記合成手段は、前記共通の合成映像データに基づく映像が、前記複数のゲームのゲーム映像データに基づくゲーム映像が並べて構成されるように、前記共通の合成映像データを生成し、
前記調整手段は、前記ゲーム映像データに基づくゲーム映像が拡大するように、前記ゲーム映像データを調整する、
請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記ゲーム実行装置は、複数の地域に設置され、
前記複数の端末装置と通信可能なサーバ装置を更に備え、
前記サーバ装置は、
前記端末装置からの要求を受信した場合、前記複数の地域に設置された複数のゲーム実行装置と、当該端末装置との間の通信速度を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づき、前記複数のゲーム実行装置の中から一のゲーム実行装置を選択し、選択した一のゲーム実行装置に通信接続するよう前記端末装置に指示を出力する選択手段と、
を備える、
請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記複数のゲーム実行装置から空き状況を取得する取得手段を備え、
前記選択手段は、前記測定結果と前記空き状況とに基づき、前記複数のゲーム実行装置の中から一のゲーム実行装置を選択する、
請求項3に記載のゲームシステム。
【請求項5】
プレイヤの会員ランク又はプレイヤが支払ったプレイ料金に応じて、前記ゲーム映像データの解像度を変更する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記実行手段のゲームの実行数に応じて、ゲームのプレイ料金を変更する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サーバ装置(ゲーム実行装置)が、プレイヤの端末装置の代わりに、ゲームを実行し、その実行結果を端末装置に送信することで、プレイヤにゲームを提供するという、所謂クラウドゲームが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-092877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、仮に一台のゲーム実行装置が複数のプレイヤのためにそれぞれのゲームを実行する場合、プレイヤの端末装置の数があまりにも多いと、各ゲームのゲーム映像をそれぞれ対応する端末装置に同時に配信することはできず、この結果、複数のプレイヤは、同時にゲームをプレイすることができない。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、一台のゲーム実行装置が複数のプレイヤのためにそれぞれのゲームを実行する場合であっても、複数のプレイヤが同時にゲームをプレイすることができるゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るゲームシステムは、複数の端末装置と、前記複数の端末装置と通信可能なゲーム実行装置と、を備えるゲームシステムであって、前記ゲーム実行装置は、前記複数の端末装置からの実行要求に応じて、複数のゲームを並行して実行して当該複数のゲームのゲーム映像データを生成する実行手段と、前記複数のゲームのゲーム映像データを合成して合成映像データを生成する合成手段と、前記合成手段が合成した合成映像データを前記複数の端末装置に配信する配信手段と、を備え、各端末装置は、前記ゲーム実行装置から前記合成映像データが配信された場合に、当該合成映像データから、当該端末装置が実行要求したゲームに対応するゲーム映像データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段が抽出したゲーム映像データを視聴用に調整する調整手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の第二態様に係るゲームシステムでは、前記合成手段は、前記合成映像データに基づく映像が、前記複数のゲーム映像データに基づくゲーム映像が並べて構成されるように、前記合成映像データを生成し、前記調整手段は、前記ゲーム映像データに基づくゲーム映像が拡大するように、前記ゲーム映像データを調整する。
【0008】
また、本発明の第三態様に係るゲームシステムでは、前記ゲーム実行装置は、複数の地域に設置され、前記複数の端末装置と通信可能なサーバ装置を更に備え、前記サーバ装置は、前記端末装置からの要求を受信した場合、前記複数の地域に設置された複数のゲーム実行装置と、当該端末装置との間の通信速度を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果に基づき、前記複数のゲーム実行装置の中から一のゲーム実行装置を選択し、選択した一のゲーム実行装置に通信接続するよう前記端末装置に指示を出力する選択手段と、を備える。
【0009】
また、本発明の第四態様に係るゲームシステムでは、前記サーバ装置は、前記複数のゲーム実行装置から空き状況を取得する取得手段を備え、前記選択手段は、前記測定結果と前記空き状況とに基づき、前記複数のゲーム実行装置の中から一のゲーム実行装置を選択する。
【0010】
また、本発明の第五態様に係るゲームシステムでは、プレイヤの会員ランク又はプレイヤが支払ったプレイ料金に応じて、前記ゲーム映像データの解像度を変更する。
【0011】
また、本発明の第六態様に係るゲームシステムでは、前記実行手段のゲームの実行数に応じて、ゲームのプレイ料金を変更する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一台のゲーム実行装置が複数のプレイヤのためにそれぞれのゲームを実行する場合であっても、複数のプレイヤが同時にゲームをプレイすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第一実施形態に係るゲームシステムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示すゲーム実行装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図1に示す端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】第一実施形態に係るゲームシステムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】第一実施形態に係るゲームシステムにおけるゲーム処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】(A)は、合成手段が生成した合成映像データに基づくゲーム映像が何れかの画面に表示されることを仮定した場合のゲーム映像のイメージ図である。(B)は、(A)から続くイメージ図であって、抽出手段が抽出した第一ゲームのゲーム映像データに基づくゲーム映像が何れかの画面に表示されることを仮定した場合のゲーム映像のイメージ図である。(C)は、(B)から続くイメージ図であって、調整されたゲーム映像データに基づく第一ゲームのゲーム映像のイメージ図である。
図7】第二実施形態に係るゲームシステムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図8】第二実施形態に係るゲームシステムにおけるゲーム処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の複数の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0015】
<第一実施形態>
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
【0016】
---全体構成---
図1は、第一実施形態に係るゲームシステム1Aの全体構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、第一実施形態に係るゲームシステム1Aは、施設Sに設けられている。施設Sとしては、例えば、ゲームセンターやレジャー施設、宿泊施設、データセンター等が挙げられる。このゲームシステム1Aは、例えば、ゲーム実行装置10と、複数の端末装置12Aと、を備える。これらゲーム実行装置10と端末装置12Aは、LAN(Local Area Network)14を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0018】
ゲーム実行装置10は、複数のゲームを同時に(並行して)実行可能であり、これらの実行結果、すなわち、複数のゲームのゲーム映像やゲーム音を端末装置12Aに出力(配信)が可能である。このゲーム実行装置10は、例えば、端末装置12Aよりも高価なもので、処理速度が速く、且つ、記憶容量も大きく、高性能なものである。
【0019】
端末装置12Aは、ゲーム実行装置10からゲーム映像やゲーム音を受信し、受信したゲーム映像を表示装置に表示したり、受信したゲーム音を音出力装置に出力したりする。
【0020】
---ハードウェア構成---
図2は、図1に示すゲーム実行装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、ゲーム実行装置10は、マザーボード20と、通信装置26と、記憶装置28と、を備える。マザーボード20は、CPU(Central Processing Unit)22及びメモリ24を主に備えて構成される。
【0022】
マザーボード20では、CPU22がメモリ24或いは記憶装置28等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
【0023】
通信装置26は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置26は、例えば、端末装置12Aとの間で各種の情報を送受信する。
【0024】
記憶装置28は、ハードディスク等で構成される。この記憶装置28は、マザーボード20における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。本実施形態では、記憶装置28は、複数のゲームを実行するために、複数のゲームプログラムを記憶している。
【0025】
なお、図2は、ゲーム実行装置10が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、ゲーム実行装置10は、情報処理装置が一般的に備える他の構成を備えることができる。
【0026】
図3は、図1に示す端末装置12Aのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0027】
図3に示すように、端末装置12Aは、マザーボード30と、コインシューター32と、表示装置34と、音出力装置36と、入力装置38と、通信装置40と、を備える。なお、端末装置12Aは、コインシューター32とともに又はコインシューター32の代わりにプレイ料金を電子決済で支払うことが可能な電子決済装置を備えていてもよい。
【0028】
マザーボード30は、例えば、ゲーム実行装置10のマザーボード20に比べて低性能で安価なものである。このマザーボード30は、CPU30Aと、メモリ30Bと、を主に備えて構成される。CPU30Aは、表示装置34や音出力装置36等の各種装置を制御する。メモリ30Bは、例えば、ゲーム実行装置10から受信した映像データを一時的に保存する。
【0029】
コインシューター32は、ゲームのプレイ料金として、プレイヤによるコインの支払いを受け付ける。
【0030】
表示装置34は、ゲームのゲーム映像を表示する。
【0031】
音出力装置36は、ゲームのゲーム音を出力する。
【0032】
入力装置38は、プレイヤの操作を端末装置12Aに入力する。
【0033】
通信装置40は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置40は、例えば、ゲーム実行装置10との間で各種の情報を送受信する。
【0034】
---機能構成---
図4は、第一実施形態に係るゲームシステム1Aの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
図4に示すように、ゲームシステム1Aのゲーム実行装置10は、機能構成として、実行手段62と、合成手段64と、配信手段66と、を備える。これらの機能構成は、CPU22がゲームプログラム等の各種プログラムを実行することにより実現される。また、ゲームシステム1Aの端末装置12Aは、機能構成として、抽出手段70と、調整手段72と、を備える。
【0036】
実行手段62は、複数の端末装置12Aからの実行要求に応じて、複数のゲームを並行して実行して当該複数のゲームのゲーム映像データを生成する機能を有する。
【0037】
合成手段64は、複数ゲームのゲーム映像データを合成して合成映像データを生成する機能を有する。例えば、合成手段64は、合成映像データに基づく映像が、複数のゲーム映像データに基づくゲーム映像が並べて構成されるように、合成映像データを生成する。言い換えれば、合成映像データに基づく映像が、複数のゲーム映像データに基づくゲーム映像で分割されて構成されるように、合成映像データを生成する。また、例えば、合成手段64は、所定数のフレーム毎に、複数ゲームのゲーム映像データに基づくゲーム映像が交互に入れ替わるように、合成映像データを生成する。この所定数は、例えば1や5、10等、10以下であることが好ましい。
【0038】
配信手段66は、合成手段64が合成した合成映像データを複数の端末装置12Aに同時に配信する機能を有する。
【0039】
抽出手段70は、ゲーム実行装置10から合成映像データが配信された場合に、当該合成映像データから、端末装置12Aが実行要求したゲームに対応するゲーム映像データを抽出する機能を有する。
【0040】
調整手段72は、抽出手段70が抽出したゲーム映像データをプレイヤの視聴用に調整する機能を有する。例えば、複数のゲーム映像データに基づくゲーム映像が並べて構成されている合成映像データの中からゲーム映像データが抽出された場合、調整手段72は、当該ゲーム映像データに基づくゲーム映像が拡大するように、ゲーム映像データを調整する。
【0041】
---ゲーム処理の流れ---
図5は、第一実施形態に係るゲームシステム1Aにおけるゲーム処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下の処理の順番及び内容は、適宜変更することができる。また、端末装置12Aは、複数存在するが、それぞれの処理は同様であるので、図5は、一つの端末装置12Aの処理についてのみ記載している。
【0042】
(ステップSP10)
端末装置12Aは、コインシューター32を介して、予め定められたプレイ料金として所定枚数のコインの支払いを受け付ける。そして、処理はステップSP12の処理に移行する。
【0043】
(ステップSP12)
端末装置12Aは、ゲームのゲームIDを含むゲーム実行要求を、ゲーム実行装置10に送信する。そして、処理はステップSP14の処理に移行する。
【0044】
(ステップSP14)
ゲーム実行装置10は、端末装置12Aから、ゲーム実行要求を受信する。これに応答して、ゲーム実行装置10は、1秒等、所定期間待機する。そして、処理はステップSP16の処理に移行する。
【0045】
(ステップSP16)
ゲーム実行装置10は、ゲーム実行要求を受信してから、1分や3分等、所定時間が経過したか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP20の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP18の処理に移行する。
【0046】
(ステップSP18)
ゲーム実行装置10の実行手段62は、例えば2人や5人等、2以上の所定人数のプレイヤの端末装置12Aから実行要求が有ったか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP20の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP14の処理に戻る。
【0047】
(ステップSP20)
実行手段62は、複数の実行要求に含まれるゲームIDに対応する複数のゲームを並行して実行する。なお、仮に、実行要求が一つしかない場合は、実行手段62は、当該実行要求に含まれるゲームIDに対応する一つのゲームを実行するが、以下では、実行手段62が複数のゲームを並行して実行する場合のみ説明する。また、複数のゲームの種類は、互いに同一であっても、異なってもよい。そして、処理はステップSP22の処理に移行する。
【0048】
(ステップSP22)
ゲーム実行装置10の合成手段64は、合成映像データに基づくゲーム映像が、複数のゲーム映像が並べて表示(構成)されるように、実行手段62が実行している複数ゲームのゲーム映像データを合成して合成映像データを生成する。また、合成手段64は、実行手段62が実行している複数ゲームのゲーム音をそれぞれチャンネルに対応付ける。
【0049】
図6(A)は、合成手段64が生成した合成映像データに基づくゲーム映像が何れかの画面に表示されることを仮定した場合の、ゲーム映像のイメージ図である。
【0050】
図6(A)に示すように、例えば、複数のゲームが、第一ゲームと第二ゲームで構成される場合、合成映像データに基づくゲーム映像60は、第一ゲームのゲーム映像60Aと、第二ゲームのゲーム映像60Bが横に並べて表示される。
【0051】
図5に戻って、処理はステップSP24の処理に移行する。
【0052】
(ステップSP24)
ゲーム実行装置10の配信手段66は、合成手段64が合成した合成映像データとチャンネルが対応付けられたゲーム音(以下、「合成映像データ等」と称す場合がある。)を、実行要求した複数の端末装置12Aに同時に配信する機能を有する。そして、処理はステップSP26の処理に移行する。
【0053】
(ステップSP26)
端末装置12Aは、ゲーム実行装置10から、合成映像データ等を受信する。これに応答して、端末装置12Aの抽出手段70は、受信した合成映像データから、端末装置12Aが実行要求したゲームに対応するゲーム映像データを抽出する。
【0054】
図6(B)は、図6(A)から続くイメージ図であって、抽出手段70が抽出した第一ゲームのゲーム映像データに基づくゲーム映像60Aが何れかの画面に表示されることを仮定した場合のゲーム映像60Aのイメージ図である。
【0055】
図6(B)に示すように、第一ゲームのゲーム映像60Aは、プレイヤが視聴するにはサイズが合っていない状態である。
【0056】
図5に戻って、処理はステップSP28の処理に移行する。
【0057】
(ステップSP28)
端末装置12Aの調整手段72は、抽出手段70が抽出したゲーム映像データに基づくゲーム映像が端末装置12Aの表示装置34の表示画面サイズに沿って拡大するように、当該ゲーム映像データを調整する。
【0058】
図6(C)は、図6(B)から続くイメージ図であって、調整されたゲーム映像データに基づく第一ゲームのゲーム映像60Aのイメージ図である。
【0059】
図6(C)に示すように、ゲーム映像60Aが、図6(B)に示す状態に比べて、プレイヤが視聴するサイズに合った状態まで拡大されている。
【0060】
図5に戻って、処理はステップSP30の処理に移行する。
【0061】
(ステップSP30)
端末装置12Aは、調整されたゲーム映像データに基づいたゲーム映像を表示装置34に表示する。また、端末装置12Aは、ゲーム実行装置10から受信したゲーム音のうち、ゲームID又は端末装置12Aに対応するチャンネルが対応付けられたゲーム音を、音出力装置36を介して出力する。そして、処理はステップSP32の処理に移行する。
【0062】
(ステップSP32)
端末装置12Aは、入力装置38からプレイヤの操作の入力を受け付ける。続いて、端末装置12Aは、ゲームのゲームID(又はプレイヤID)とともに、受け付けた操作の操作情報をゲーム実行装置10に送信する。そして、処理はステップSP34の処理に移行する。
【0063】
(ステップSP34)
ゲーム実行装置10は、端末装置12AからゲームIDと操作情報とを受信する。これに応答して、実行手段62は、受信したゲームIDによりゲームを特定し、受信した操作情報に基づき、特定したゲームを進行する。そして、処理はステップSP36の処理に移行する。
【0064】
(ステップSP36)
ゲーム実行装置10は、ゲームの進行状況に基づき、ゲームを終了するか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には図5に示す一連の処理が終了し、当該判定が否定判定された場合には処理はSP22の処理に戻る。
【0065】
---効果---
以上、第一実施形態に係るゲームシステム1Aは、複数の端末装置12Aと、複数の端末装置12Aと通信可能なゲーム実行装置10と、を備える。そして、ゲーム実行装置10は、複数の端末装置12Aからの実行要求に応じて、複数のゲームを並行して実行して当該複数のゲームのゲーム映像データを生成する実行手段62と、複数ゲームのゲーム映像データを合成して合成映像データを生成する合成手段64と、合成手段64が合成した合成映像データを複数の端末装置12Aに配信する配信手段66と、を備える。また、各端末装置12Aは、ゲーム実行装置10から合成映像データが配信された場合に、当該合成映像データから、当該端末装置12Aが実行要求したゲームに対応するゲーム映像データを抽出する抽出手段70と、抽出手段70が抽出したゲーム映像データを視聴用に調整する調整手段72と、を備える。
この構成によれば、複数ゲームのゲーム映像データを合成して合成映像データを生成するので、複数ゲームのゲーム映像データを合成映像データとして、複数の端末装置12Aに略同時に配信することができる。そして、各端末装置12A側で、合成映像データから、当該端末装置12Aが実行要求したゲームに対応するゲーム映像データを抽出し、調整することで、複数のプレイヤは、各端末装置12Aにて同時にゲームをプレイすることができる。また、端末装置12A側でゲームを実行しないので、そのための高性能なマザーボード30を必要とすることなく、端末装置12Aを安価に用意できる。
【0066】
また、第一実施形態に係るゲームシステムでは、合成手段64は、合成映像データに基づく映像が、複数のゲーム映像データに基づくゲーム映像が並べて構成されるように、合成映像データを生成し、調整手段72は、抽出されたゲーム映像データに基づくゲーム映像が拡大するように、当該ゲーム映像データを調整する。
この構成によれば、ゲーム実行装置10側では、端末装置12A毎に対応する処理をしなくても済むので、ゲーム実行装置10の負荷を軽減できる。
【0067】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態では、ゲーム実行装置10が複数の地域に設置され、これらのゲーム実行装置10や複数の端末装置と通信可能なサーバ装置を更に備える点で異なる。
【0068】
図7は、第二実施形態に係るゲームシステム1Bの全体構成の一例を示すブロック図である。
【0069】
図7に示すように、第二実施形態に係るゲームシステム1Bは、複数のゲーム実行装置10と、複数の端末装置12Bと、サーバ装置16と、を備える。これらの装置は、インターネットや電話回線等の通信ネットワークNTを介して互いに通信可能である。
【0070】
ゲーム実行装置10は、複数の地域にある施設S毎に設置されている。
【0071】
端末装置12Bは、第一実施形態で説明した端末装置12Aと異なり、施設Sに設けられたものではなく、プレイヤPが所持するスマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータである。
【0072】
サーバ装置16は、端末装置12Bとゲーム実行装置10とをマッチングする機能を有する。このサーバ装置16のハードウェア構成は、図2に示すゲーム実行装置10のハードウェア構成と同様である。また、サーバ装置16は、機能構成として、記憶手段80と、測定手段82と、選択手段84と、を備える。
【0073】
記憶手段80は、例えば、施設テーブル80Aと、プレイヤ情報80Bと、を記憶する機能を有する。施設テーブル80Aには、地域毎、具体的には、都道府県毎に、複数の施設Sと、各施設Sのゲーム実行装置10に通信接続するためのIP(Internet Protocol)アドレス等の接続先情報とが紐づけて登録されている。プレイヤ情報80Bは、例えば、ユーザIDやパスワード等の認証情報と、ユーザ名と、連絡先と、を含む。また、記憶手段80には、プレイヤ毎にプレイデータが記憶されていてもよい。なお、プレイデータは、ゲームの進行状況が記録されたセーブデータである。
【0074】
測定手段82は、端末装置12Bからの要求を受信した場合、複数の地域に設置された複数のゲーム実行装置10と、当該端末装置12Bとの間の通信速度を測定する機能を有する。
【0075】
選択手段84は、測定手段82の測定結果に基づき、複数のゲーム実行装置10の中から一のゲーム実行装置を選択し、選択した一のゲーム実行装置に通信接続するよう端末装置12Bに指示を出力する機能を有する。
【0076】
図8は、第二実施形態に係るゲームシステム1Bにおけるゲーム処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下の処理の順番及び内容は、適宜変更することができる。
【0077】
(ステップSP50)
端末装置12Bは、プレイヤPのユーザIDやパスワード、IPアドレス等を含むログイン要求をサーバ装置16に送信する。そして、処理は、ステップSP52の処理に移行する。
【0078】
(ステップSP52)
サーバ装置16は、端末装置12Bからログイン要求を受信する。これに応答して、サーバ装置16は、ログイン要求に含まれるユーザIDやパスワードと、プレイヤ情報80Bとに基づき、認証処理を実行する。この認証処理が成功した場合、処理は、ステップSP54の処理に移行する。なお、認証処理が失敗した場合、端末装置12Bにエラーが出力された後、図8に示す一連の処理が終了する。
【0079】
(ステップSP54)
サーバ装置16の測定手段82は、地域毎に、複数の施設Sの中から一の施設をそれぞれ抽出する。サーバ装置16において各地域を代表する施設が施設テーブル80Aに登録されている場合、測定手段82は、施設テーブル80Aに基づき、地域毎に、複数の施設Sの中から代表する一の施設をそれぞれ抽出する。そして、処理は、ステップSP56の処理に移行する。
【0080】
(ステップSP56)
測定手段82は、施設テーブル80Aから、抽出した各施設のゲーム実行装置10の接続先情報としてそれぞれのIPアドレスを取得する。続いて、測定手段82は、地域毎に抽出された一の施設のゲーム実行装置10と、端末装置12Bとの間の通信速度を測定する測定指示を当該端末装置12Bに出力(送信)する。なお、この測定指示には、測定手段82が取得した各施設のゲーム実行装置10のIPアドレスを含む。そして、処理は、ステップSP58の処理に移行する。
【0081】
(ステップSP58)
端末装置12Bは、サーバ装置16から測定指示を受信する。これに応答して、端末装置12Bは、測定指示に含まれる各IPアドレスに基づき、当該端末装置12Bと、地域毎に抽出された一の施設のゲーム実行装置10との間の通信速度をそれぞれ測定する。続いて、端末装置12Bは、通信速度の測定結果をサーバ装置16に送信する。そして、処理は、ステップSP60の処理に移行する。
【0082】
(ステップSP60)
サーバ装置16は、端末装置12Bから測定結果を受信する。これに応答して、測定手段82は、受信した測定結果の中で最も通信速度が速い測定結果を示した施設に紐づけられている一地域を抽出する。そして、処理は、ステップSP62の処理に移行する。
【0083】
(ステップSP62)
測定手段82は、施設テーブル80Aから、抽出した一地域に紐づけられている複数の施設Sのゲーム実行装置10の接続先情報としてそれぞれのIPアドレスを取得する。続いて、測定手段82は、一地域に紐づけられている複数の施設Sのゲーム実行装置10と、端末装置12Bとの間の通信速度を測定する測定指示を当該端末装置12Bに出力(送信)する。なお、この測定指示には、測定手段82が取得した各IPアドレスを含む。そして、処理は、ステップSP64の処理に移行する。
【0084】
(ステップSP64)
端末装置12Bは、サーバ装置16から測定指示を受信する。これに応答して、端末装置12Bは、測定指示に含まれる各IPアドレスに基づき、当該端末装置12Bと、一地域に紐づけられている複数の施設Sのゲーム実行装置10との間の通信速度をそれぞれ測定する。続いて、端末装置12Bは、通信速度の測定結果をサーバ装置16に送信する。そして、処理は、ステップSP66の処理に移行する。
【0085】
(ステップSP66)
サーバ装置16は、端末装置12Bから通信速度の測定結果を受信する。これに応答して、サーバ装置16の選択手段84は、受信した測定結果に基づき、一地域に紐づけられている複数の施設Sのゲーム実行装置10の中から一の施設のゲーム実行装置を選択する。具体的には、選択手段84は、測定結果の中で最も通信速度が速い測定結果を示した施設Sのゲーム実行装置を選択する。そして、処理は、ステップSP68の処理に移行する。
【0086】
(ステップSP68)
測定手段82は、選択手段84により選択された施設Sのゲーム実行装置10の空き状況を取得する。続いて、選択手段84は、取得された空き状況が例えば90%や95%等の閾値以上か否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP70の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP66の処理に戻る。なお、ステップSP66の処理に戻った場合、選択手段84は、一度選択した施設Sのゲーム実行装置10を除いて、一地域に紐づけられている複数の施設Sのゲーム実行装置10の中から一の施設のゲーム実行装置10を選択する。
【0087】
(ステップSP70)
選択手段84は、選択した一の施設Sのゲーム実行装置10に通信接続するよう端末装置12Bに接続指示を送信(出力)する。この接続指示は、選択した一の施設Sのゲーム実行装置10のIPアドレスを含む。そして、処理は、ステップSP72の処理に移行する。
【0088】
(ステップSP72)
端末装置12Bは、サーバ装置16から接続指示を受信する。これに応答して、端末装置12Bは、受信した接続指示に含まれるIPアドレスに基づき、選択手段84が選択した一の施設Sのゲーム実行装置10との通信接続を確立する。そして、処理は、ステップSP74の処理に移行する。
【0089】
(ステップSP74)
端末装置12Bは、ゲームの実行要求を、通信接続を確立したゲーム実行装置10に送信する。そして、処理は、図5に示すステップSP14の処理に移行する。
【0090】
以上、第二実施形態に係るゲームシステム1Bでは、ゲーム実行装置10は、複数の地域に設置され、複数の端末装置12Bと通信可能なサーバ装置16を更に備え、サーバ装置16は、端末装置12Bからの要求を受信した場合、複数の地域に設置された複数のゲーム実行装置10と、当該端末装置12Bとの間の通信速度を測定する測定手段82と、測定手段82の測定結果に基づき、複数のゲーム実行装置10の中から一のゲーム実行装置を選択し、選択した一のゲーム実行装置に通信接続するよう端末装置12Bに指示を出力する選択手段84と、を備える。
この構成によれば、通信速度の測定結果に基づき、複数の施設Sのゲーム実行装置10の中から、端末装置12Bと通信接続するための一の施設のゲーム実行装置を選択するので、例えば端末装置12Bとサーバ装置16が通信する場合よりも通信速度が速いゲーム実行装置を選択すれば、ゲームをプレイヤPに提供する場合において、通信ネットワークNTのネットワーク遅延を抑制することができる。また、サーバ装置16は、ゲームを実行処理する程の高性能である必要がないため、設置コストを抑制することができる。また、ゲームの実行処理を施設Sのゲーム実行装置10にさせて有効活用できるため、運用コストを抑制することができる。
【0091】
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0092】
例えば、上記第一実施形態では、プレイ料金が予め定められている場合を説明したが、プレイ料金はプレイヤが自由に決定してもよい。また、プレイヤには、会員ランクが紐付けられて記憶手段80に記憶されていてもよい。なお、会員ランクとは、例えば、プレイヤが過去に支払ったプレイ料金の総額が高いほど、高くなるものである。
ここで、合成手段64又は調整手段72は、プレイヤの会員ランク又はプレイヤが支払ったプレイ料金に応じて、ゲーム映像データの解像度を変更してもよい。この場合、合成映像データにおいて各ゲーム映像が占める割合を変化させる(解像度が高いほど割合を大きくする)。例えば、会員ランク又はプレイ料金が高いほど、ゲーム映像データの解像度を高くする。この構成によれば、プレイヤに対して、プレイ料金の支払いを促すことができる。
また、実行手段62は、プレイヤの会員ランク又はプレイが支払ったプレイ料金に応じて、並行して実行するゲームの数を変更してもよい。例えば、会員ランク又はプレイ料金が高いほど、並行して実行するゲームの数を減らしてもよい。逆に、実行手段62のゲームの実行数に応じて、ゲーム実行装置10は、ゲームのプレイ料金を変更してもよい。
【0093】
また、上記第二実施形態では、複数のプレイヤがゲームをプレイする場合を説明したが、一人のプレイヤがゲームをプレイする場合にも各実施形態を適用することができる。例えば、実行手段62は、ゲームが3D空間で複数の視点が存在する場合、互いに異なる視点で複数の同一のゲームを実行してもよい。この場合、端末装置12Bには、複数の視点に基づくゲーム映像データを含む合成映像データが配信されるので、端末装置12Bは、合成映像データから、プレイヤが所望の一の視点に基づくゲーム映像データを抽出するだけで、視点を切り替える計算処理を行うことなく、プレイヤに対して、プレイヤが見たい視点のゲーム映像を視聴させることができる。
【符号の説明】
【0094】
1A:ゲームシステム、1B:ゲームシステム、10:ゲーム実行装置、12A:端末装置、62:実行手段、64:合成手段、66:配信手段、70:抽出手段、72:調整手段

図1
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図8