IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-搬送物およびパレット 図1
  • 特許-搬送物およびパレット 図2
  • 特許-搬送物およびパレット 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】搬送物およびパレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/34 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B65D19/34 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020189457
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078636
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴迪
(72)【発明者】
【氏名】塩田 隼介
(72)【発明者】
【氏名】川浪 悠生
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-309340(JP,A)
【文献】特許第6699793(JP,B1)
【文献】特許第6697613(JP,B1)
【文献】西独国実用新案公開第7140340(DE,U)
【文献】米国特許第3039372(US,A)
【文献】国際公開第2017/138413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延在方向に沿って帯状に連続するダンボールウェブを幅方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれで交互に折り返されて蛇腹折りに折り畳まれた連続ダンボール材と、
水平方向に延在しており前記連続ダンボール材が載置される載置面を有し、ダンボール製の板材で形成された天板と、前記天板で前記載置面とは反対側の面から前記天板を支持する脚部と、を有するパレットと、
を備えた搬送物であって、
前記連続ダンボール材に用いるダンボールをなすライナ原紙の坪量が110[g/m2]以上であって中芯原紙の坪量が110[g/m2]以上であり、
前記連続ダンボール材の延在方向の寸法が1400[mm]以下であって前記ダンボールウェブが蛇腹折りに積み重ねられた方向に対応する高さ方向の寸法が2400[mm]以下であり、
前記天板の厚み寸法が5[mm]以上であって29[mm]以下であり、
前記天板の曲げ剛性が15.0[N・m2]以下であり、
前記天板の前記載置面に衝撃を加えたときの衝撃加速度が40[G]以下であり、
前記天板の端部に対して前記脚部が離間する寸法が45[mm]以上である
ことを特徴とする搬送物。
【請求項2】
前記曲げ剛性が2.0[N・m2]以上であり、
前記衝撃加速度が10[G]以上である
ことを特徴とする請求項に記載の搬送物。
【請求項3】
前記天板の厚み寸法が17[mm]以下である
ことを特徴とする請求項またはに記載の搬送物。
【請求項4】
前記脚部が離間する寸法が200[mm]以下である
ことを特徴とする請求項の何れか1項に記載の搬送物。
【請求項5】
延在方向に沿って帯状に連続するダンボールウェブを幅方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれで交互に折り返して蛇腹折りに折り畳んだ連続ダンボール材が載置されるパレットであって、
前記延在方向および前記幅方向に延在しており前記連続ダンボール材が載置される載置面を有し、ダンボール製の板材で形成された天板と、前記天板で前記載置面とは反対側の面から前記天板を支持する脚部と、を有し、
前記天板の厚み寸法が5[mm]以上であって29[mm]以下であり、
前記天板の曲げ剛性が15.0[N・m2]以下であり、
前記天板の前記載置面に衝撃を加えたときの衝撃加速度が40[G]以下であり、
前記天板の端部に対して前記脚部が離間する寸法が45[mm]以上である
ことを特徴とするパレット。
【請求項6】
前記曲げ剛性が2.0[N・m2]以上であり、
前記衝撃加速度が10[G]以上である
ことを特徴とする請求項に記載のパレット。
【請求項7】
前記天板の厚み寸法が17[mm]以下である
ことを特徴とする請求項またはに記載のパレット。
【請求項8】
前記脚部が離間する寸法が200[mm]以下である
ことを特徴とする請求項の何れか1項に記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットとこれに載置された連続ダンボール材とを含む搬送物、およびパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
製函用資材として、蛇腹折り(「ファンフォールド」とも称される)の連続ダンボール材が知られている。連続ダンボール材は帯状に連続するダンボールウェブで幅方向に沿う折目が延在方向へ等間隔で離間して設けられ、この折目でダンボールウェブが交互に折り返されている。このような蛇腹折りの連続ダンボール材では、ダンボールウェブが折り重ねられて上下に積み重ねられ、直方体状の荷姿に折り畳まれている。
【0003】
上記の連続ダンボール材は、包装対象のサイズに応じて最適な大きさの箱を製造する製函システム(「自動包装システム」や「三辺可変システム」,「三辺自動梱包」,「オンデマンド包装」などとも称される)の包装資材に用いられる。この製函システムでは、下記の三工程が実施される。
・フィード工程:連続ダンボール材を繰り出す工程
・ カット工程 :フィード工程で繰り出された平面状のダンボール材(ダンボールウ
ェブ)を切り出す工程
・フォールド工程:カット工程で切り出されたダンボール材から箱を組み立てる工程
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2013-513869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水平面に載置された連続ダンボール材には、直方体状の荷姿で上側において水平方向のうち幅方向と直交する方向(延在方向に対応する方向)の中央部分が鉛直方向に沈み込む「たわみ」が発生する場合がある。このようなたわみの生じた連続ダンボールがパレットに載置された場合には、連続ダンボール材を製函システムへ搬送する際の搬送性の低下を招くおそれがある。
本件は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、たわみの抑制と搬送性の確保とを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示する搬送物は、延在方向に沿って帯状に連続するダンボールウェブを幅方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれで交互に折り返されて蛇腹折りに折り畳まれた直方体状の荷姿をなす連続ダンボール材と、水平方向に沿って延在しており前記連続ダンボール材が載置される載置面を有し、ダンボール製の板材で形成された天板と、前記天板で前記載置面とは反対側の面から前記天板を支持する脚部と、を有するパレットと、を備えている。搬送物は、水平面に載置された前記連続ダンボール材の上側において前記水平方向のうち前記幅方向と直交する方向の中央部分が鉛直方向に沈み込むたわみが生じる状態をなす当該連続ダンボール材が前記パレットの前記載置面に載置され、載置された前記連続ダンボール材で前記折目が存在している前記延在方向の両端縁が載置された箇所で、前記天板が前記たわみの沈み込む量よりも小さい寸法でしなっている。
【0007】
また、ここで開示する搬送物は、延在方向に沿って帯状に連続するダンボールウェブを幅方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれで交互に折り返されて蛇腹折りに折り畳まれた連続ダンボール材と、水平方向に延在しており前記連続ダンボール材が載置される載置面を有し、ダンボール製の板材で形成された天板と、前記天板で前記載置面とは反対側の面から前記天板を支持する脚部と、を有するパレットと、を備えた搬送物である。連続ダンボール材に用いるダンボールをなすライナ原紙の坪量は110[g/m2]以上であって中芯原紙の坪量が110[g/m2]以上であり、前記連続ダンボール材の延在方向の寸法が1400[mm]以下であって前記ダンボールウェブが蛇腹折りに積み重ねられた方向に対応する高さ方向の寸法が2400[mm]以下である。パレットは、前記天板の厚み寸法が5[mm]以上であって29[mm]以下であり、前記天板の曲げ剛性が15.0[N・m2]以下であり、前記天板の前記載置面に衝撃を加えたときの衝撃加速度が40[G]以下であり、前記天板の端部に対して前記脚部が離間する寸法が45[mm]以上である。
【0008】
また、ここで開示するパレットは、延在方向に沿って帯状に連続するダンボールウェブを幅方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれで交互に折り返して蛇腹折りに折り畳んだ連続ダンボール材が載置されるパレットである。このパレットは、前記延在方向および前記幅方向に延在しており前記連続ダンボール材が載置される載置面を有し、ダンボール製の板材で形成された天板と、前記天板で前記載置面とは反対側の面から前記天板を支持する脚部と、を有し、前記天板の厚み寸法が5[mm]以上であって29[mm]以下であり、前記天板の曲げ剛性が15.0[N・m2]以下であり、前記天板の前記載置面に衝撃を加えたときの衝撃加速度が40[G]以下であり、前記天板の端部に対して前記脚部が離間する寸法が45[mm]以上である。
【発明の効果】
【0009】
本件によれば、パレットに載置された連続ダンボール材でたわみを抑制することと連続ダンボールの搬送性を確保することとができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】連続ダンボール材およびパレットからなる搬送物を示す斜視図である。
図2】パレットに設けられた脚部の説明図である。
図3】天板の曲げ剛性を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態としてのパレットおよびこのパレットに蛇腹折りの連続ダンボール材を載置した搬送物を説明する。
[I.一実施形態]
下記の一実施形態では、連続ダンボール材の構成を項目[1]で述べ、パレットの構成を項目[2]で述べる。それから、パレットに関するパラメータを項目[3]で述べる。そして、項目[1]~[3]の構成による作用および効果を項目[4]で述べる。
【0012】
本実施形態で、連続ダンボール材をなすダンボールウェブが帯状に連続する方向を「延在方向」(図中には「MD」と記す)と称する。延在方向は、ダンボールウェブや連続ダンボール材の製造装置や、連続ダンボール材を適用する製函システムにおいてダンボールウェブや連続ダンボール材が搬送(フィード)される方向(流れ方向)である。
「幅方向」(図中には「CD」と記す)は、ダンボールウェブの延在面で延在方向に直交する方向である。また、「高さ方向」(図中には「TD」と記す)は鉛直方向に沿う方向であり、延在方向および幅方向の双方に直交する。この高さ方向は、連続ダンボール材においてはダンボールウェブが蛇腹折りに積み重ねられた方向に対応する。
そのほか、特に断らない限り、本実施形態の「数値X~数値Y」なる表現は、数値X以上であって数値Y以下の範囲を意味する。
【0013】
[1.連続ダンボール材]
図1に示すように、本実施形態の連続ダンボール材1は、延在方向に沿って連続するダンボールウェブ1Wが、折目Fで折り畳まれた蛇腹折りの製函用資材である。
折目Fはダンボールウェブ1Wを蛇腹折りにするための罫線である。折目Fはダンボールウェブ1Wの延在面で幅方向に沿って直線状に設けられている。複数の折目Fがダンボールウェブ1Wの延在方向で等間隔に離間して設けられている。また、本実施形態では、連続ダンボール材1で中芯に形成された波形(波目)10が幅方向に沿って延在方向に対して直角に設けられている。
【0014】
本実施形態の連続ダンボール材1には、以下に列挙する種々のダンボールを採用することができる。
・両面ダンボール:中芯に対して両側にライナが設けられたダンボール
・片面ダンボール:中芯に対して片側にライナが設けられたダンボール
【0015】
上記の両面ダンボールには、一つの中芯および二つのライナのそれぞれに対応する三つの原紙(資材)から構成されたシングルフルートのダンボールのほか、いわゆる「複両面ダンボール」や「複々両面ダンボール」のように三つ以上の中芯(一つ以上の中ライナを含む)および二つのライナのそれぞれに対応する五つ以上の原紙から構成されたマルチフルートのダンボールも含まれる。
【0016】
連続ダンボール材1が製函されると、ダンボール箱となる。詳細に言えば、製函システムの製函用資材に用いられた連続ダンボール材1は、帯状に展開されたダンボールウェブ1Wが順繰りに送り出されるフィード工程,送り出されたダンボールウェブ1Wが箱の展開パターンに切り抜かれるカット工程,箱の形状に折り立てられるフォールド工程といった種々の工程を経てダンボール箱に製函される。なお、ダンボール箱を組み立てる製函システムは、特に制限されないが、たとえば自動包装システムの全自動システム(フルオート機)である「CMC社製のカートンラップ1000」,「Neopost社製のCVP-500」,「オーエスマシーナリー社製のTXP-600」や、フィード工程からカット工程までを行う半自動システム(セミオート機)の「Pack Size社製のEM7」,「Panotec社製のCompack」,「HOMAG社製のPAQTEQ C-200」,「HOMAG社製のPAQTEQ C-250」を用いることができる。
上記のように製函システムへ搬送(いわゆるフィード)される連続ダンボール材1には、水平面に載置された状態で、上側において水平方向のうち幅方向と直交する方向(延在方向に対応する方向)の中央部分が鉛直方向に沈み込む「たわみ」が発生する場合がある。
【0017】
[2.パレット]
上記の連続ダンボール材1が製函用資材として製造されると、パレット30に載置された直方体状の荷姿で製函システムに搬送される。本実施形態で搬送物は、パレット30とこれに載置された連続ダンボール材1とを含み、製函システムに搬送される物である。搬送物には、連続ダンボール材1を被覆するカバー部材が含まれてもよい。
パレット30は、連続ダンボール材1の載置された荷役台であり、連続ダンボール材1の積み込みや荷下ろしといった搬送に関する荷役作業の作業性の向上(搬送性を確保)を図るものである。
【0018】
パレット30は、図1に示すように、連続ダンボール材1の載置面31Tをなす天板31と、天板31を下方から支持する脚部32とを備えている。
天板31は、パレット30を水平面に載置した状態で、水平方向に沿って延在する面状の部位である。天板31において、パレット30を水平面に載置した状態で、上側(高さ方向の一側)を向いた面(「表面」:おもてめん)が載置面31Tをなす。
【0019】
天板31は、例えば一枚の矩形状の板材で形成されている。この天板31は、ダンボール製の板材で形成されている。
天板31をなすダンボールには、例えばシングルフルートの両面ダンボールが用いられているが、「複両面ダンボール」や「複々両面ダンボール」のようなマルチフルートのダンボールが用いられてもよい。また、天板31において複数枚のダンボールが積層されて一体化され、一枚の矩形状の板材が形成されてもよい。
本実施形態では、連続ダンボール材1が載置されたパレット30において、天板31をなすダンボールで中芯に形成された波形(波目)が連続ダンボール材1の波目と直交する場合(延在方向に対して直角に設けられている場合)を例示する。ただし、パレット30に載置される連続ダンボール材1の向きによっては、パレット30の波目が延在方向に沿って平行に設けられうる。
【0020】
図2には、下側(高さ方向の他側)から視たパレット30を示す。
天板31は、天板31の下側を向いた面(載置面31Tとは反対側の裏面:うらめん)から一[個]以上の脚部32で支持される。ここで例示する複数の脚部32のそれぞれは、例えばダンボール製の柱状部材で形成されており、互いに等間隔に分散して配置されている。
図2では、九[個]の脚部32が設けられた例を示す。九[個]の脚部32は、図2に示すように延在方向に三[個]ずつ、幅方向に三[個]ずつで配列されている。
【0021】
具体的には、九[個]の脚部32は下記の第一列~第三列,第一行~第三行に配列されている。
・第一列:延在方向の一方の端部31E側で幅方向に沿って三[個]が並ぶ
・第二列:延在方向の中央部で幅方向に沿って三[個]が並ぶ
・第三列:延在方向の他方の端部31E側で幅方向に沿って三[個]が並ぶ
・第一行:幅方向の一方の端部31Dに隣接して延在方向に沿って三[個]が並ぶ
・第二行:幅方向の中央部で延在方向に沿って三[個]が並ぶ
・第三行:幅方向の他方の端部31Dに隣接して延在方向に沿って三[個]が並ぶ
【0022】
ここで延在方向の端部31Eのそれぞれから天板31で延在方向の中央部へ向かう方向を延在方向の内側向きと称し、延在方向の内側向きとは反対向きを延在方向の外側向きと称する。
また、幅方向の端部31Dのそれぞれから天板31で幅方向の中央部へ向かう方向を幅方向の内側向きと称し、幅方向の内側向きとは反対向きを幅方向の外側向きと称する。
図2で、第一例,第三列に配列されている脚部32(延在方向の端部31E側の脚部32)のそれぞれは、端部31Eから延在方向の内側向きに離間した位置に配置されている。第一行,第三行に配列されている脚部32(幅方向の端部31D側の脚部32)のそれぞれは、端部31Dに沿って(言い換えれば、端部31Dから幅方向の内側向きに離間していない位置に)配置されている。
【0023】
パレット30は、ダンボール製の天板31が後述するパラメータに関する構成(特に後述する構成A,C)を備えており、天板31の曲がり(しなり)で連続ダンボール材1のたわみを吸収するように構成されている。
すなわち、パレット30は、水平面に載置された連続ダンボール材1の上側において延在方向(水平方向のうち幅方向と直交する方向)の中央部分が鉛直方向に沈み込むたわみが生じた状態をなし、このようにたわむ連続ダンボール材1が載置面31Tに載置された状態で、水平面に載置された連続ダンボール材1のたわみの沈み込む量よりも小さい寸法で天板31がしなっている。
【0024】
パレット30のサイズは、天板31の延在方向の寸法と幅方向の寸法と、天板31の厚み(高さ方向の寸法)と、脚部32の高さ方向の寸法とで規定される。
パレット30のサイズは特に限定されないが、図1に示すように、天板31の延在方向の寸法と幅方向の寸法とが、連続ダンボール材1の延在方向の寸法と幅方向の寸法と同一寸法(上面視で一致する寸法)に設定されているのが好ましい。これに限らず、天板31の延在方向の寸法と幅方向の寸法とは、連続ダンボール材1の延在方向の寸法および幅方向の寸法よりも大きくてもよい。
【0025】
このようなサイズのパレット30において連続ダンボール材1のたわみの沈み込む量よりも小さい寸法でしなっている箇所は、連続ダンボール材1においてたわみの測定基準となる延在方向の両端縁(上面視で折目Fが設けられる箇所)が載置される箇所である。この箇所が、連続ダンボール材1が載置されていない状態と比較して連続ダンボール材1のたわみの沈み込む量よりも小さい寸法で下方に変形することでしなっている。
ただし、天板31の延在方向の寸法と幅方向の寸法とは、連続ダンボール材1の延在方向の寸法および幅方向の寸法よりも小さくてもよい。
そのほか、パレット30で脚部32どうしと天板31の裏面とで囲まれた空間は、フォークリフトによる荷役作業用に、フォークリフトのフォークが挿抜される空間をなす。
【0026】
[3.パラメータ]
以下、パレット30に関するパラメータを説明する。
本実施形態のパレット30は、以下に列挙する観点I,IIに立脚して、天板31の物性に関する所定の構成を備えている。
・観点 I :載置された連続ダンボール材1のたわみを抑制すること
・観点 II :載置された連続ダンボール材1の搬送性を確保すること
【0027】
上記の観点I,IIは、共通の序数I,IIが記された下記の課題I,IIを解決するための観点である。
・課題 I :載置された連続ダンボール材1にたわみが生じること
・課題 II :載置された連続ダンボール材1の搬送性が不十分であること
【0028】
課題Iは、連続ダンボール材1がパレット30に載置された搬送物を幅方向から視たとき、連続ダンボール材1で折目Fが存在している延在方向の両端部に対して折目Fが存在していない延在方向の中央部が沈みやすいことに起因する課題である。
このような課題Iを解決すべく、観点Iは、連続ダンボール材1のたわみ抑制に立脚した観点と言える。
【0029】
課題IIは、パレット30に載置された連続ダンボール材1が製函システムに適用された際に、連続ダンボール材1を製函システムへ給紙する際の給紙安定性の低下を招くおそれがあるという課題と言える。
具体的には、製函システムのフィード工程では、パレット30が製函システムの経路で最上流の所定位置に設置される。このパレット30上の連続ダンボール材1の上側から順繰りに展開された帯状のダンボールウェブ1Wが、製函システムの経路に沿って配置(いわゆる「紙通し」)されている。そして、製函システムの搬送機構により、ダンボールウェブ1Wが連続ダンボール材1の上側から順に繰り出されつつ、搬送方向の下流へ搬送されるようになっている。
【0030】
上記の製函システムでは、製函システムの経路上のダンボールウェブ1Wだけでなくパレット30上の連続ダンボール材1も、製函システムの作動に伴う衝撃の影響を受けやすい。そのため、製函システムの作動に伴う衝撃により連続ダンボール材1から製函システムへの搬送性が低下しやすい傾向がある。
【0031】
より詳しくは、製函システムのフィード工程では、製函システムの作動により、連続ダンボール材1から繰り出されたダンボールウェブ1Wに揺れが生じる。連続ダンボール材1にたわみが生じていると、たわみが揺れ代となって揺れの程度が大きくなる。揺れの程度は、連続ダンボール材1のたわみが大きいほど大きくなる傾向がある。
【0032】
ダンボールウェブ1Wの揺れが大きいと、製函システムに設けられた搬送ローラーの周方向(搬送方向に沿う方向)に対してダンボールウェブ1Wの幅方向が垂直をなさず、搬送性が低下しやすくなる傾向がある。
そのため、搬送性を確保するためには、ダンボールウェブ1Wの幅方向(波目の延在する方向)が搬送ローラーの周方向に対して垂直をなすように、連続ダンボール材1のたわみを抑制してダンボールウェブ1Wが揺れにくくするのが望ましい。
このような課題IIを解決すべく、観点IIは、連続ダンボール材1が製函システムへ搬送される際の搬送性の確保に立脚した観点と言える。
【0033】
また、課題IIは、上記の課題Iに起因して生じる課題でもある。具体的には、たわみが生じている連続ダンボール材1を製函システムへ搬送する際に、ダンボールウェブ1Wの姿勢が乱れたり、ダンボールウェブ1Wに予期せぬ折れ生じたりするなどして搬送性が低下する場合がある。
よって、上述の観点Iは、このような課題Iに起因する課題IIを解決する観点とも言える。
【0034】
上記の観点I,IIに立脚した所定の構成には、以下に示す構成A~Dが含まれる。
・構成A:天板の曲げ剛性が所定のこわさ範囲であること
・構成B:天板の衝撃加速度が所定の衝撃度範囲であること
・構成C:天板の厚み寸法が所定の厚み範囲であること
・構成D:天板で端部から離間した脚部の位置が所定の位置範囲であること
【0035】
<構成A>
構成Aは、上述のように「天板の曲げ剛性が所定のこわさ範囲であること」である。
構成Aの「天板の曲げ剛性」は、パレット30をなす天板31の曲げにくさ(こわさ)である。
この曲げ剛性は、図3に示すように、パレット30から取り外した天板31から所定サイズで切り出した測定片31Aを、延在方向に離間して配置された一対の測定台40に設置した状態で測定される。具体的には、一対の測定台40に載置された測定片31Aに対して測定台40どうしの間で上方から押圧力を印加した際の応力から曲げ剛性[N・m2]が算出される。
【0036】
天板31の曲げ剛性の値が大きいほど、天板31が曲がりにく(しなりにく)くパレット30に連続ダンボール材1が載置された状態で連続ダンボール材1のたわみが吸収されにくい傾向があるものの連続ダンボール材1を載置するために必要な強度が高まる傾向がある。反対に、天板31の曲げ剛性の値が小さいほど、天板31が曲がりやす(しなりやす)くパレット30に連続ダンボール材1が載置された状態で連続ダンボール材1のたわみが吸収されやすい傾向があるものの連続ダンボール材1を載置するために必要な強度が低下する傾向がある。
構成Aの「所定のこわさ範囲」は、少なくとも天板31の曲がり(しなり)によって連続ダンボール材1のたわみが吸収され得るような値に設定されている。
また、パレット30は、天板31がダンボール製であることから天板31の載置面31Tがパレット30に載置された連続ダンボール材1の重みで圧縮されうる変形代も確保されている。そのためダンボール製の天板31の圧縮変形によっても連続ダンボール材1のたわみが吸収されやすい傾向がある。
【0037】
本願の発明者らは、天板31の曲げ剛性が所定のこわさ範囲(所定の上限値以下)であれば、上述の課題Iが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、天板31の曲げ剛性が所定のこわさ範囲を超えると、課題Iが生じやすい傾向にあることを見出した。
また、本願の発明者らは、天板31の曲げ剛性が所定のこわさ以下であれば、上述の課題IIも抑えられることを見出した。
つまり、上述の観点I,IIに立脚してパレット30に構成Aが備えられている。
構成Aの「所定のこわさ範囲であること」は、上述の観点I,IIから曲げ剛性が、少なくとも15.0[N・m2]以下であり、10.0[N・m2]以下であることが好ましく、9.0[N・m2]以下であることがより好ましい。
【0038】
さらに、構成Aに関して本願の発明者らは、天板31の曲げ剛性が第二の所定のこわさ範囲(所定の下限値以上)であれば、パレット30の強度が確保される傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、天板31の曲げ剛性が第二所定のこわさ範囲よりも小さいと、パレット30の強度が不十分になりやすい傾向にあることを見出した。
構成Aの「第二の所定のこわさ範囲であること」は、パレット30の強度を確保する観点から曲げ剛性が、2.0[N・m2]以上であり、3.0[N・m2]以上であることが好ましく、4.0[N・m2]以上であることがより好ましい。
【0039】
<構成B>
構成Bは、上述のように「天板の衝撃加速度が所定の衝撃度範囲であること」である。
構成Bの「天板の衝撃加速度」は、パレット30で天板31の載置面31Tに落下した物体の加速度(衝撃度)である。天板31の衝撃加速度が大きいほど天板31で衝撃が吸収されにくく、天板31の衝撃加速度が小さいほど天板31で衝撃が吸収されやすい傾向がある。
【0040】
パレット30に載置された連続ダンボール材1の適用される製函システムでは、上述のように、製函システムからの衝撃によって連続ダンボール材1から繰り出されたダンボールウェブ1Wを製函システムへ搬送する際の搬送性が低下する場合がある。製函システムからの衝撃をパレット30の天板31で吸収することができれば製函システムからの衝撃に起因する搬送性の低下を抑制し得る。
構成Bの「所定の衝撃度」は、製函システムからの振動をパレット30の天板31で吸収し得るような加速度(衝撃度)に設定されている。
【0041】
本願の発明者らは、天板31の衝撃加速度が所定の衝撃度範囲(所定の上限値以下)であれば、上述の課題IIが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、天板31の衝撃加速度が所定の衝撃度範囲を超えていれば、上述の課題IIが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、上述の観点IIに立脚してパレット30に構成Bが備えられている。
構成Bの「所定の衝撃度範囲であること」は、上述の観点IIから衝撃加速度が、40[G]以下であり、好ましくは37[G]以下であり、より好ましくは35[G]以下である。
【0042】
さらに、構成Bに関し本願の発明者らは、天板31の衝撃加速度が第二の所定の衝撃度範囲(所定の下限値以上)であれば、パレット30の強度が確保される傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、天板31の衝撃加速度が第二の所定の衝撃度よりも低いと、パレット30の強度が不十分になりやすい傾向にあることを見出した。
構成Bの「第二の所定の衝撃度範囲であること」は、パレット30の強度を確保する観点から衝撃加速度が、10[G]以上であり、13[G]以上であることが好ましく、15[G]以上であることがより好ましい。
【0043】
<構成C>
構成Cは、上述のように「天板の厚み寸法が所定の厚み範囲であること」である。
構成Cの「厚み寸法」は、天板31をなすダンボール材の厚み寸法(高さ方向の寸法)である。厚み寸法が大きいほど天板31の曲げ剛性や、衝撃加速度,強度が大きくなる傾向があり、厚み寸法が小さいほど天板31の曲げ剛性や、衝撃加速度,強度が低下する傾向がある。
【0044】
本願の発明者らは、厚み寸法が所定の厚み範囲であれば、上記の構成A,Bを満たすことができて、上述の課題I,IIが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、厚み寸法が所定の厚み範囲を超えていれば、上記の構成A,Bを満たすことができず、上述の課題I,IIが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、上述の観点I,IIに立脚する上記の構成A,Bを満たすために必要なパラメータとして、パレット30に構成Cが備えられている。
構成Cで「所定の厚み」は、天板31の曲げ剛性が上記した所定のこわさ以下となり、天板31の衝撃加速度が上記した所定の衝撃度以下となる値に設定されている。
構成Cの「所定の厚み範囲」は、上述の観点I,IIから厚み寸法が5[mm]以上であって29[mm]以下であり、6[mm]以上であって25[mm]以下であることが好ましく、7[mm]以上であって19[mm]以下であることがより好ましい。
【0045】
さらに、構成Cに関し本願の発明者らは、天板の厚み寸法が第二の所定の厚み範囲(所定の下限値)以上であれば、パレット30の強度が確保される傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、天板の厚み寸法が第二の所定の厚み範囲よりも小さければ、パレット30の強度が不十分になりやすい傾向にあることを見出した。
構成Cの「所定の厚み以上であること」は、パレット30の強度を確保する観点から厚み寸法が、5[mm]以上であり、7[mm]以上であることが好ましく、17[mm]以上であることがより好ましい。
【0046】
<構成D>
構成Dは、上述のように、「天板で端部から離間した脚部の位置が所定の位置範囲であること」である。
構成Dで「所定の位置範囲」は、図2に示すように天板の端部31E(または端部31D)に対して脚部32の離間する寸法Dで規定される。
【0047】
離間する寸法Dの基準となる脚部32の部位とは、例えば脚部32における延在方向の端部31E側の一辺32Eである。具体例を挙げれば、図2において離間する寸法Dは、図中左側の端部31Eから脚部32の一辺32Eまでの距離である。
本実施形態で構成Dをなす所定の位置範囲は、図2で図中左右両側(天板31で延在方向の両側)の端部31Eから離間した脚部32の位置の範囲を想定している。
構成Dをなす所定の位置範囲は、これに限らず、図2で図中上下両側(天板31で幅方向の両側)の端部31Dから離間した脚部32の位置の範囲であってもよい。
【0048】
この離間する寸法Dが大きいほど、天板31では端部31Eおよびその周辺領域が中央部の領域に比べて載置された連続ダンボール材1の重みで下方へ曲がりやす(しなりやす)い。離間する寸法Dが小さいほど、天板31では端部の領域は、下方へ曲がりにくい。
天板31で端部31Eおよびその周辺領域が中央部の領域よりも下方へ曲がりやす(しなりやす)いことによって、パレット30に載置された連続ダンボール材1のたわみを吸収しやすくなる。
構成Dで離間する寸法Dは、パレット30に載置された連続ダンボール材1のたわみが吸収され得るような大きさに設定されている。
【0049】
本願の発明者らは、離間する寸法Dで規定される脚部32の位置が所定の位置範囲(所定の下限値以上)であれば、上述の課題Iが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、脚部32の位置が所定の位置範囲外であれば、課題Iが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、上述の観点Iに立脚してパレット30に構成Dが備えられている。
構成Dの「所定の位置範囲であること」は、上述の観点Iから、離間する寸法Dが45[mm]以上であり、好ましくは47[mm]以上であり、より好ましくは50[mm]以上である。
【0050】
さらに、構成Dに関し、本願の発明者らは、離間する寸法Dで規定される脚部32の位置が第二の所定位置範囲(所定の上限値以下)であれば、パレット30の強度が確保される傾向にあるとの知見を得たうえに、パレット30の安定性が確保される傾向にあるとの知見を得た。
第二の所定位置範囲であることは、パレット30の強度を確保するという観点と、パレット30の安定性を確保する観点とから、離間する寸法Dが200[mm]以下であり、好ましくは170[mm]以下であり、より好ましくは150[mm]以下である。
【0051】
<その他>
天板31をなすダンボールに関し、上述した構成A~Dを除き、その他のパラメータは特に制限されない。
例えば、天板31をなすダンボールには、任意の坪量を設定することができる。坪量の範囲としては、50~1500[g/m2]の範囲が挙げられ、好ましくは100~1000[g/m2]の範囲が挙げられ、より好ましくは200~800[g/m2]の範囲が挙げられる。
【0052】
パレット30に載置される連続ダンボール材1のサイズと、連続ダンボール材1に用いるライナ原紙の坪量および中芯原紙の坪量とは、パレット30に載置された状態でのたわみ抑制と、製函システムに適用された際の搬送性確保との観点から、下記の表1に示す範囲であることが好ましい。
連続ダンボール材1に用いるダンボールの厚み寸法は特に限定されない。
【0053】
【表1】
【0054】
[4.作用および効果]
本実施形態のパレット30とパレット30に載置された連続ダンボール材1と、を備えている搬送物では、天板31が連続ダンボール材1に生じているたわみの沈み込む量よりも小さい寸法でしなっていることにより、連続ダンボール材1のたわみが吸収されやすい。
よって、パレット30に載置された連続ダンボール材1のたわみを抑制すること(上述の課題Iを解決すること)と、パレット30に載置された連続ダンボール材1の搬送性を確保すること(上述の課題IIを解決すること)とができる。
【0055】
本実施形態のパレット30で上述の構成Aによれば、天板31の曲げ剛性が所定のこわさ範囲であることから、パレット30に載置された連続ダンボール材1の重みで天板31が曲がりうる変形代(しなり)が確保される。そのため、天板31の曲がり(しなり)で連続ダンボール材1のたわみが吸収されやすい。
また、天板31がダンボール製であり天板31の載置面31Tがパレット30に載置された連続ダンボール材1の重みで圧縮されうる変形代も確保されている。そのため天板31の圧縮変形で連続ダンボール材1のたわみが吸収されやすい。
ができる。
【0056】
構成Aにより連続ダンボール材1のたわみが抑制されることで、連続ダンボール材1が製函システムに適用された際に、連続ダンボール材1から繰り出されたダンボールウェブ1Wの揺れの程度が抑制されて、搬送性が確保される。
そのほか、連続ダンボール材1が製函システムに適用されたときに、ダンボールウェブ1Wの姿勢が乱れたり、ダンボールウェブ1Wに予期しない折れが生じたりする事象が生じにくくなる。
構成Bによれば天板31の衝撃加速度が所定の衝撃度範囲であることから、製函システムへ連続ダンボール材1を搬送(フィード)する際に、製函システムの作動に伴う衝撃が天板31で吸収されやすい。
【0057】
構成Cによれば天板の厚み寸法が所定の厚み範囲であることで、天板31の曲げ剛性が所定のこわさ範囲となるため、連続ダンボール材1のたわみが抑制される。また、天板31の衝撃加速度が所定の衝撃度範囲となるため、製函システムへ連続ダンボール材1を搬送(フィード)する際に、製函システムの作動に伴う衝撃が天板31で吸収されやすい。
構成Dによれば離間する寸法Dで規定される脚部32の位置が所定位置範囲であることで、天板31で端部の領域が中央部の領域よりも下方へ曲がりやすくなり、パレット30に載置された連続ダンボール材1のたわみが吸収されやすくなる。
【0058】
さらに、パレット30に載置される連続ダンボール材1のライナ原紙の坪量が110[g/m2]以上であって中芯原紙の坪量が110[g/m2]以上であり、連続ダンボール材1の延在方向の寸法が1400[mm]以下であって高さ方向の寸法が2400[mm]以下であると、製函システムに適用された際に搬送性が確保されやすい。
【0059】
連続ダンボール材1の中芯原紙の坪量が110[g/m2]よりも小さいと、搬送時の引っ張り応力で連続ダンボール材1が破れやすくなり、搬送性が不十分になる傾向がある。
連続ダンボール材1の延在方向の寸法が1400mmよりも大きいと、製函システムへ連続ダンボール材1を搬送する際に、連続ダンボール材1に中折れが生じやすなりく、パレット30の種類に関係なく搬送性が不十分になる傾向がある。
さらに、連続ダンボール材1の高さ方向の寸法が2400[mm]よりも大きいと、パレット30の種類に関わらず、パレット30のしなりではたわみを吸収仕切れなくなり、搬送性が不十分になる傾向がある。
【0060】
よって、構成A,B,C,Dを備えたパレット30と、ライナ原紙の坪量が110[g/m2]以上であって中芯原紙の坪量が110[g/m2]以上であり、連続ダンボール材の延在方向の寸法が1400[mm]以下であって高さ方向の寸法が2400[mm]以下である連続ダンボール材1とを備えた搬送物では、パレット30に載置された連続ダンボール材1のたわみを抑制すること(上述の課題Iを解決すること)と、パレット30に載置された連続ダンボール材1の搬送性を確保すること(上述の課題IIを解決すること)とができる。
【0061】
さらに、天板31の曲げ剛性が第二の所定のこわさ範囲であることや、天板31の衝撃加速度が第二の所定の衝撃度範囲であること,天板の厚み寸法が第二の所定の厚み範囲であることと,離間する寸法Dで規定される脚部32の位置が第二位置範囲であることで、パレット30の強度を確保することができる。
そのほか、上記の搬送物に用いるパレット30によれば、上記の搬送物と同様の作用および効果を得ることができる。
【実施例
【0062】
[II.実施例]
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットは、以下に述べる天板のサイズ,材質,原紙,天板の厚み寸法,天板の曲げ剛性,天板の衝撃加速度および脚部の位置を除く諸元に関しては、共通の構成を有する。具体的には、脚部のサイズ,脚部の数,脚部の配列は実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットで共通である。
【0063】
――天板のサイズ――
天板のサイズは、延在方向の寸法と幅方向の寸法とで規定されるサイズである。
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットで天板のサイズは、それぞれに載置される評価用連続ダンボールの延在方向の寸法と幅方向の寸法と共通に設定された。
具体的には、天板のサイズは、後述する評価用連続ダンボールのサイズに対応する下記の五種のサイズの何れか一つに設定された。
【0064】
・サイズ1:延在方向 1150[mm]
幅方向 1300[mm]
・サイズ2:延在方向 1000[mm]
幅方向 1300[mm]
・サイズ3:延在方向 1300[mm]
幅方向 1300[mm]
・サイズ4:延在方向 1500[mm]
幅方向 1300[mm]
・サイズ5:延在方向 1150[mm]
幅方向 1300[mm]
【0065】
――材質――
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットでは、表2~5に示すように、天板の材質に、ダンボール(「段ボール」),木材(「木」),プラスチック材(「プラスチック」)の何れか一つを用いた。
実施例1~15および比較例1~8のうち、天板の材質にダンボールを用いた実施例1~15および比較例1,6~8では、天板にAフルートのダンボールを用いた。
【0066】
――天板の厚み寸法――
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットでは、表2~5に示すように、天板の厚み寸法は、下記の五種類の寸法の何れか一つに設定された。下記の厚み寸法はAフルートのダンボールを一[枚]または複数[枚]用いて調節された。二[枚]以上のダンボールを用いた場合、二[枚]以上のダンボールは厚み方向に重ね合わされた。
・厚み寸法: 5 [mm]〔ダンボールを1[枚]用いた〕
10[mm]〔ダンボールを2[枚]用いた〕
15[mm]〔ダンボールを3[枚]用いた〕
20[mm]〔ダンボールを4[枚]用いた〕
30[mm]〔ダンボールを6[枚]用いた〕
【0067】
――原紙――
実施例1~15および比較例1~8のうち、天板の材質にダンボールを用いた実施例1~15および比較例1,6~8では、ダンボールを構成するライナ原紙に下記の三種のライナ原紙の何れか一つを用い、中芯原紙に下記の中芯原紙を用いた。ライナ原紙は、ダンボールの表面(おもてめん)を構成する表ライナに用いるものと、ダンボールの裏面(うらめん)を構成する裏ライナに用いるものとである。
・ライナ原紙:160[g/m2]〔OFC-EM160:王子マテリア株式会社
製〕
170[g/m2]〔OFK-EM170:王子マテリア株式会社
製〕
120[g/m2]〔OFLC-EM120:王子マテリア株式会
社製〕
・ 中芯原紙 :120[g/m2]〔OND-EM120:王子マテリア株式会社
製〕
【0068】
そして、実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットでは、表2~5に示すように、上述した構成Aに関する「天板の曲げ剛性」と、上述した構成Bに関する「天板の衝撃加速度」と、上述した構成Dに関する「脚部の位置」とを測定した。「天板の曲げ剛性」および「天板の衝撃加速度」はJIS Z0203:2000に準拠して23℃50%環境下にて測定を実施した。なお、「天板の曲げ剛性」および「天板の衝撃加速度」の測定対象となるパレットは、下記の手順で測定サンプルを用意した。
手順 I :パレットに評価用連続段ボール材を積載し、JIS Z0203:200
0に準拠して23℃50%環境下に24時間放置する。
手順II:手順Iの後、パレットを傷つけないよう慎重に評価用連続段ボール材を取
り除く。
構成Aに関する「天板の曲げ剛性」とは、パレットをなす天板の曲げにくさに対応するパラメータである。曲げ剛性の値が大きいほど天板は曲がりにくく、曲げ剛性の値が小さいほど天板は曲がりやすい。
実施例1~15および比較例1~8のパレットのうち、天板の材質にダンボールを用いた実施例1~15および比較例1,6~8では、「天板の曲げ剛性」はダンボールの厚みなどで調節することができる。
【0069】
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットで「天板の曲げ剛性」は下記の手順A1~A6で測定された。
・手順A1:パレットから折目がつかないよう天板を取り外す。
・手順A2:手順A1で取り外した天板から下記の二種のサイズA,サイズBの測定
片を各5[枚]ずつ切り出す。
・サイズA:延在方向の寸法 50[mm]
幅方向の寸法 200[mm]
・サイズB:延在方向の寸法 200[mm]
幅方向の寸法 50[mm]
【0070】
・手順A3:手順A2で切り出された測定片を測定台に設置する(図3を参照)。
このとき測定片は載置面を上向きにした姿勢で設置される。
・手順A4:手順A3で設置された測定片の中央部に向けて、UTM-4-100
(TOYO BALDWIN Co.,Ltd製)を用いて、加圧速
度10[mm/min]の条件で、上方から押圧力を印加する。
・手順A5:手順A4で印加された押圧力から曲げ剛性[N・m2]を測定する。
・手順A6:手順A3~A5により、二種のサイズのそれぞれで5[枚]ずつの全て
の測定片を対象に曲げ剛性[N・m2]を測定して、全測定値の平均を
算出する。
【0071】
構成Bに関する「天板の衝撃加速度」とは、パレットで天板の載置面に落下した物体が被る加速度(衝撃度)であり、天板(パレット)の衝撃吸収性能に対応するパラメータである。
衝撃加速度の値が大きいほど天板は衝撃を吸収しにくく、衝撃加速度の値が小さいほど天板は衝撃を吸収しやすい。
実施例1~15および比較例1~8のパレットのうち、天板の材質にダンボールを用いた実施例1~15および比較例1,6~8で「天板の衝撃加速度」はダンボールの厚みやライナ原紙の種類(等級)などで調節することができる。
【0072】
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットで「天板の衝撃加速度」はJIS Z 0202:2017に準じて下記の手順B1~B4で測定された。
・手順B1:パレットを水平面に載置する。
・手順B2:手順B1で載置したパレットの載置面に下記の測定用木箱を35[
cm]の高さから自然落下させる。
・測定用木箱:25[cm]四方の木箱で、上面中央部(パレットに接触
する面とは反対の面の中央部)に三軸加速度センサが取り
付けられている。測定用木箱の重量が4.1[kg]となる
ように、測定用木箱の内部にオモリが収納されている。
【0073】
上記の手順B2で用いる三軸加速度センサは、X軸方向,Y軸方向およびZ軸方向(三方向成分)のそれぞれの衝撃加速度(衝撃度)を検出するセンサである。
・手順B3:手順B2で測定用木箱を自然落下開始から終了までに三軸加速度センサ
で検出された三方向成分の各検出値を取得する。
・手順B4:手順B3で取得した三方向成分の検出値のうちで、自然落下開始から終
了までの変化が最大の成分の検出値で、最大値を衝撃加速度とする。
【0074】
構成Dに関する「脚部の位置」は、天板の端部に対して脚部が離間する寸法Dで規定される脚部の位置であり(図2参照)、パレットが連続ダンボール材のたわみを吸収する性能に対応するパラメータである。
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれのパレットで「脚部の位置」は下記の手順C1で測定された。
・手順C1:パレットで天板の端部から、その端部に隣接している脚部までの距離を
測定具で測定する。
ここでは、天板で延在方向の端部(図2の符号31E)と、その端部から脚部の一辺(図2の符号32E)までの延在方向に離間する寸法(図2の符号31D)を「脚部の位置」として測定した。
【0075】
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれでは、表2~5に示すように、パレットに載置された評価用連続ダンボール材に、下記のサイズ1~5の何れか一つを用いた。
ここで評価用連続ダンボール材は、延在方向に沿って連続するダンボールウェブ(図1の符号1W)が折目(図1の符号F)で折り畳まれた蛇腹折りの製函用資材である。評価用連続ダンボール材のサイズは、延在方向の寸法と、幅方向の寸法と、高さ方向の寸法とで規定される。
【0076】
・サイズ1:延在方向 1150[mm]
幅方向 1300[mm]
高さ方向 1800[mm]
・サイズ2:延在方向 1000[mm]
幅方向 1300[mm]
高さ方向 1800[mm]
・サイズ3:延在方向 1300[mm]
幅方向 1300[mm]
高さ方向 1800[mm]
・サイズ4:延在方向 1500[mm]
幅方向 1300[mm]
高さ方向 1800[mm]
・サイズ5:延在方向 1150[mm]
幅方向 1300[mm]
高さ方向 2500[mm]
【0077】
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれでは、表2~5に示すように、評価用連続ダンボール材に用いるダンボールに、Aフルート(表では「AF」)またはBフルート(表では「BF」)を用いた。
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれでは、表2~5に示すように、評価用連続ダンボール材に用いるダンボールを構成するライナ原紙には、下記の四種類の坪量の何れか一つを用いた。
・ライナ原紙の坪量:170[g/m2](OFK-EM170)
160[g/m2](OFC-EM160)
120[g/m2](OFLC-EM120)
100[g/m2](OFLC-EM100)
上記のライナ原紙はいずれも王子マテリア株式会社製である。
【0078】
実施例1~15および比較例1~8のそれぞれでは、表2~5に示すように、評価用連続ダンボール材に用いるダンボールを構成する中芯原紙には、下記の四種類の坪量の何れか一つを用いた。
・中芯原紙の坪量 :220[g/m2](OPM-EM220)
120[g/m2](OND-EM120)
100[g/m2](OFLD-EM100)
上記の中芯原紙はいずれも王子マテリア株式会社製である。
【0079】
そのほか、実施例1~15および比較例1~8のそれぞれでパレットに載置された評価用連続ダンボール材は、表2~5に示す重量を有する。
これら重量は、各評価用連続ダンボール材のサイズと、ダンボールに用いるライナ原紙および中芯原紙の坪量と、ダンボールの厚みとに基づいて算出された値である。
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
――評価――
実施例1~15および比較例1~8のパレットに対して、評価用連続ダンボール材を載置したうえで、「たわみ抑制」と、「搬送性」との各評価項目を評価した。
「たわみ抑制」は、パレットに載置された評価用連続ダンボール材のたわみをパレットで吸収する性能の良否に対応する評価基準である。
【0085】
表2~5で評価の項目に示すように、実施例1~15および比較例1~8のそれぞれの評価用連続ダンボール材で下記の二種の「たわみ」が測定された。
たわみA:評価用連続ダンボール材を床面(水平面)に載置した状態で測定され
たたわみの大きさ
たわみB:評価用連続ダンボール材をパレットに載置した状態で測定されたたわみ
の大きさ
「たわみA」,「たわみB」のそれぞれは、評価用連続ダンボール材を幅方向から視て、延在方向の端部の高さ寸法と、延在方向の中央部の高さ寸法との差である。「たわみA」に対して「たわみB」が小さいほどパレットのしなりでたわみが抑制されていると言える。
【0086】
たわみ抑制の評価は、評価用連続ダンボール材をパレットに載置した状態で評価用連続ダンボール材に生じるたわみの大きさを目視で確認して判断した。
評価用連続ダンボール材で延在方向の中央部の高さ寸法が延在方向の端部の高さ寸法よりも小さい場合、たわみが生じているものと判断する。この場合、中央部の高さ寸法と端部の高さ寸法との差が大きいほど、たわみが大きいものと判断し、差が小さいほどたわみが小さいものと判断する。
また、評価用連続ダンボール材で延在方向の中央部の高さ寸法が延在方向の端部の高さ寸法と同一以上の場合、たわみが生じていないものと判断する。
【0087】
たわみ抑制の評価は「◎」,「○」,「×」の三段階評価で実施した。
たわみ抑制の評価では、たわみが小さいほど高い評価を与えて、たわみが大きいほど低い評価を与えた。
評価用連続ダンボール材のたわみの大きさ(表2~5では「たわみ」)は、以下に示す手順D1~D4で計測した。ここでいう中央部とは、延在方向の端と端の中間の位置である。
【0088】
・手順D1:測定ダンボール材の最上段の中央部に、一個の精密分銅を置く。精密分
銅は、株式会社村上衡器製で円筒型ステンレス鋼製の重さ1[kg]
の精密分銅である。精密分銅は、その円筒面部が測定ダンボール材に接
するよう、横寸法の中心に置く。このとき、横寸法の中心から±5%の
範囲の位置に精密分銅が収まるようにする。また、別の二個の精密分銅
を、その円筒面部がダンボール材に接するよう、横寸法の両端にそれぞ
れ置く。このとき、それぞれ横寸法の端から5%の範囲となるよう各精
密分銅が収まるようにする。
・手順D2:パレットが設置されている地面から、最上段のたわみ部分の中央部
まで、巻尺を用いて測定する。巻尺には、ヤマヨ測定機株式会社製の品
番:VR50Kを用いた。
・手順D3:パレットが設置されている地面から、最上段の縦寸法の両端をそれぞれ
、巻尺を用いて測定し、縦方向両側の端部の高さA,高さBをそれぞれ
得る。
・手順D4:下記の式Iにより、中央部のたわみの大きさを求めた。
たわみの大きさ={(端部の高さA+B)/2}-中央部の高さ・・・式I
【0089】
手順D4で求めた中央部のたわみの大きさについて、以下の基準で評価した。
・◎:たわみの大きさが0[cm]以上であって10[cm]未満である。
・○:たわみの大きさが10[cm]であって以上20[cm]未満である。
・×:たわみの大きさが20[cm]以上である。
たわみ抑制の評価では最も評価の高い「◎」およびその次に評価の高い「○」は、良好な評価とした。一方、最も評価の低い「×」は、不良な評価とした。
【0090】
「搬送性」は、パレットに載置された評価用連続ダンボール材を製函システムに適用した際の、製函システムにおける給紙安定性の良否に対応する評価基準である。
この搬送性は、パレットに載置された評価用連続ダンボール材を下記の製函システムに適用して、下記の製造条件(製函速度)で箱を製造する際に、パレットに載置された評価用連続ダンボール材からダンボールウェブが良好に繰り出されているか否かや、製函システムの停止(「機械停止」ともいう)の有無を基準に評価した。
製函システム:CMC社製,製品名「CMC カートンラップ1000」
製函速度:500[箱毎時]
上記のダンボールウェブが良好に繰り出されているか否かや機械停止の有無は、目視で確認した。
【0091】
搬送性の評価は「◎」,「○」,「△」,「×」の四段階評価で実施した。
・◎:問題なく製函でき、折目F以外の折れが無い。
・○:問題なく製函できるが、たわんでいた箇所に折れが発生する。
・△:製函できないが、機械停止が発生しない。
・×:機械停止が発生する。
【0092】
搬送性の評価では、製函システムに通紙した際にダンボールウェブの姿勢が全く乱れず、製函システムに機械停止が生じないものを最も優良な評価「◎」とし、ダンボールウェブの姿勢が乱れ、ダンボールウェブにたわみが生じていた箇所に折れが発生するものの、製函システムに機械停止が生じないもの次に評価の高い「○」とした。
製函システムからダンボールウェブをフィードした直後に、たわみが生じていた箇所に振動が生じ、姿勢が乱れて製函システムの稼働が不安定になり、製函できない場合があるものを「△」とし、製函システムに機械停止が生じるものを「×」とした。
搬送性の評価では最も評価の高い「◎」およびその次に評価の高い「○」は、良好な評価とした。一方、最も評価の低い「×」およびその次に評価の低い「△」は、不良な評価とした。
【0093】
ダンボール製のパレットで、曲げ剛性が15.0[N・m2]以下であり、衝撃加速度が40[G]以下であり、厚み寸法が5[mm]以上であり29[mm]以下であって、脚部の位置が45[mm]以上であり、評価用連続ダンボール材に用いるライナ原紙の坪量が110[g/m2]以上であり中芯原紙の坪量が110[g/m2]以上であって、評価用連続ダンボール材の延在方向の寸法が1400[mm]以下であって、評価用連続ダンボール材の高さ方向の寸法が2400[mm]以下である実施例1~15では、たわみ抑制と搬送性とで「〇」以上の良好な評価が得られた。
実施例1~15のなかでも、パレットの曲げ剛性が10.0[N・m2]以下であり、衝撃加速度が32[G]以下であり、厚み寸法が17[mm]以下であって、評価用連続ダンボール材に用いるライナ原紙の坪量が130[g/m2]以上であり中芯原紙の坪量が130[g/m2]以上である実施例2~9,11~15では、たわみ抑制と搬送性とで「◎」の優良な評価が得られた。
【0094】
曲げ剛性が15.0[N・m2]よりも大きく、衝撃加速度が40[G]よりも大きい比較例1~5では、たわみ抑制および搬送性の少なくとも何れか一方で「△」以下の不良な評価が得られた。
曲げ剛性が15.0[N・m2]以下であり、衝撃加速度が40[G]以下であり、厚み寸法が5[mm]以上であり29[mm]以下であって、脚部の位置が45[mm]以上であるものの、載置された評価用連続ダンボール材に用いるダンボールをなすライナ原紙の坪量が110[g/m2]よりも小さく中芯原紙の坪量が110[g/m2]よりも小さいか、または、評価用連続ダンボール材の延在方向の寸法が1400[mm]よりも大きいか、または、高さ方向の寸法が2400[mm]よりも大きい比較例6~8では、たわみ抑制および搬送性のいずれも「×」の評価が得られた。
【0095】
実施例1~15および比較例1~8の評価結果より、曲げ剛性が15.0[N・m2]以下であり、衝撃加速度が40[G]以下であり、厚み寸法が5[mm]以上であり29[mm]以下であって、脚部の位置が45[mm]以上であるダンボール製のパレットであって、パレットに載置された評価用連続ダンボール材に用いるダンボールをなすライナ原紙の坪量が110[g/m2]以上であり中芯原紙の坪量が110[g/m2]以上であって、延在方向の寸法が1400[mm]以下であり高さ方向の寸法が2400[mm]以下であれば、天板が曲がりやすい傾向があり載置された連続ダンボール材におけるたわみが抑制され、かつ、天板で衝撃を吸収しやすい傾向があり載置された評価用連続ダンボール材の製函システムへの搬送性が確保されることがわかる。
【0096】
上記のたわみが抑制される理由として下記の二つの理由A,理由Bが考えられる。
・理由A:パレットにおいて脚部よりも天板の端部側の部位では、評価用連続ダンボ
ール材の重量で天板が曲がり(しなり)、たわみが解消する。
・理由B:天板において脚部が配置される部位では、評価用連続ダンボール材の重量
で、天板の載置面が押しつぶされ(圧縮され)てたわみが良化する。
【0097】
厚み寸法が5[mm]の実施例4に鑑みて実施例1~3,5~15から、厚み寸法が7[mm]以上であると、天板をなす板材の厚みが十分であり、パレットの強度がより良好であると言える。
厚み寸法が20[mm]の実施例1に鑑みて実施例2~15から、厚み寸法が17[mm]以下であると、曲げ剛性がより低く抑えられてたわみを防止できると言える。
【0098】
厚み寸法が30[mm]の比較例1から、厚み寸法が29[mm]を超えると、曲げ剛性が15.0[N・m2]よりも大きく、衝撃加速度が40[G]よりも大きくなり、少なくとも搬送性が確保できないことが見て取れる。
天板をなす板材の材質が木材やプラスチックである比較例2~5からは、厚み寸法が29[mm]より小さくても、曲げ剛性が15.0[N・m2]よりも大きく、衝撃加速度が40[G]よりも大きくなり、たわみの抑制および搬送性の確保の少なくとも一方が不十分であることが見て取れる。
【0099】
天板をなす板材の材質が木材やプラスチックである比較例2~5のうち厚み寸法が5[mm]の比較例4から、厚み寸法を薄くすれば、曲げ剛性および衝撃加速度が低い値となる傾向があるものの、曲げ剛性が15.0[N・m2]よりも大きく、衝撃加速度が40[G]よりも大きくなり搬送性が確保できないことが見て取れる。
すなわち、天板をなす板材の材質が木材やプラスチックであると、厚み寸法が5[mm]以上の条件を満足したうえで、たわみの抑制と、搬送性の確保とを両立するのが困難と言える。
【0100】
評価用連続ダンボール材に用いるライナ原紙の坪量が100[g/m2]であって中芯原紙の坪量が100[g/m2]である比較例6から、評価用連続ダンボール材に用いるライナ原紙の坪量が110[g/m2]よりも小さく、中芯原紙の坪量が110[g/m2]よりも小さいと、たわみの抑制と搬送性の確保との双方とも不十分であることが見て取れる。
この場合、ダンボールが柔らかすぎて評価用連続ダンボール材にたわみが生じやすくなり、パレットのしなりだけではたわみを吸収しきれないものと推察される。
【0101】
評価用連続ダンボール材の延在方向の寸法が1500[mm]である比較例7から、評価用連続ダンボール材の延在方向の寸法が1400[mm]よりも大きいと、たわみの抑制と搬送性の確保との双方とも不十分であることが見て取れる。
この場合、評価用連続ダンボール材の延在方向の寸法が大きすぎて延在方向の中央部にたわみが生じやすくなり、パレットのしなりだけではたわみを吸収しきれないものと推察される。
【0102】
評価用連続ダンボール材の高さ方向の寸法が2500[mm]である比較例8から、評価用連続ダンボール材の高さ方向の寸法が2400[mm]よりも大きいと、たわみの抑制と搬送性の確保との双方とも不十分であることが見て取れる。
この場合、評価用連続ダンボール材の高さ方向の寸法が大きすぎて延在方向の中央部にたわみが生じやすくなり、パレットのしなりだけではたわみを吸収しきれないものと推察される。
【0103】
また、パレットの安定性を確保する一般的な観点から、脚部の位置は200[mm]以下であるとよい。
さらに、パレットの強度を最低限確保する一般的な観点から、パレットの曲げ剛性は2.0[N・m2]以上であり、パレットの衝撃加速度が10[G]以上であり、パレットの厚み寸法が5[mm]以上であるとよい。
【0104】
[III.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
【0105】
たとえば、パレット30で九[個]の脚部32の配列は図2の例示した配列に限定されない。また、脚部32も九[個]に限らない。
パレット30が上記の構成A,構成B(および/または、構成C,D)を備え、パレット30に載置される連続ダンボール材に用いるダンボールをなすライナ原紙の坪量が110[g/m2]以上であり中芯原紙の坪量が110[g/m2]以上であって、評価用連続ダンボール材の延在方向の寸法が1400[mm]以下であり高さ方向の寸法が2400[mm]以下であれば、天板31の製造方法や、載置面31Tの表面加工の有無、あるいは、製函システム(搬送路)の構造などに依存せずに、たわみの抑制と搬送性の確保という効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 連続ダンボール材
1W ダンボールウェブ
30 パレット
31 天板
31D 端部
31E 端部
31T 載置面
32 脚部
32E 一辺
40 測定台
図1
図2
図3