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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】コイル部品、及びコイル部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240110BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F41/04 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020200260
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088037
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸信
(72)【発明者】
【氏名】山本 滋人
(72)【発明者】
【氏名】中本 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 香織
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-126976(JP,A)
【文献】特開2019-110212(JP,A)
【文献】特開2005-322684(JP,A)
【文献】特開2003-151837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0237141(US,A1)
【文献】特開2005-311074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角柱形状の巻芯部、前記巻芯部の中心軸の延びる方向である軸線方向における前記巻芯部の第1端に接続されている第1鍔部、及び、前記軸線方向における前記巻芯部の第2端に接続されている第2鍔部を有するコアと、
前記第1鍔部の側面のうちの特定の方向を向く第1実装面に設けられている第1端子電極と、
前記第2鍔部の側面のうちの前記第1実装面と同一の方向を向く第2実装面に設けられている第2端子電極と、
前記巻芯部に巻き回されている巻回部、前記第1端子電極と電気的に接続されている第1端部、前記第2端子電極と電気的に接続されている第2端部、前記巻回部と前記第1端部とを繋ぐ第1引き出し部、及び、前記巻回部と前記第2端部とを繋ぐ第2引き出し部を有するワイヤと、を備え、
前記軸線方向と直交する断面視で前記第1実装面に直交する方向を第3規定方向としたとき、前記第3規定方向において、前記第1端部が当該中心軸よりも第1側に配置されており、前記第1引き出し部と前記巻回部との境界部分である第1境界部分が当該中心軸よりも第2側に配置されており、
前記第3規定方向において前記中心軸よりも第2側に位置する前記巻芯部の複数のコーナのうち、前記中心軸を中心とする周方向において前記第1端部の最も近くに位置するコーナである第3所定コーナが、前記周方向における前記第1境界部分と前記第1端部との間に位置しており、
前記第1引き出し部と前記第3所定コーナとの間には、隙間が介在している
コイル部品。
【請求項2】
前記第1境界部分は、前記第3規定方向において前記中心軸よりも第2側に位置する複数の前記コーナのうち、前記周方向において前記第1端部に2番目に近くに位置するコーナである第4所定コーナに接触している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記軸線方向及び前記第3規定方向の双方に直交する方向である第4規定方向において、前記第2端部が前記中心軸よりも第1側に配置されており、前記第2引き出し部と前記巻回部との境界部分である第2境界部分が前記中心軸よりも第2側に配置されており、
前記第4規定方向において前記中心軸よりも第2側に位置する前記巻芯部の複数の前記コーナのうち、前記中心軸を中心とする周方向において前記第2端部の最も近くに位置するコーナである第3規定コーナが、前記周方向における前記第2境界部分と前記第2端部との間に位置しており、
前記第2引き出し部と前記第3規定コーナとの間には、隙間が介在している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2境界部分は、前記第4規定方向において前記中心軸よりも第2側に位置する複数の前記コーナのうち、前記周方向において前記第1端部に2番目に近くに位置するコーナである第4規定コーナに接触している
請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1引き出し部は、前記巻芯部の側面に沿った形状をなしている
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第2引き出し部は、前記巻芯部の側面に沿った形状をなしている
請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記ワイヤとして、第1ワイヤと第2ワイヤとを備え、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、前記巻回部、前記第1端部、前記第2端部、前記第1引き出し部及び前記第2引き出し部をそれぞれ有する
請求項1~請求項6のうち何れか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
コイル部品の製造方法であって、
前記コイル部品は、コア及びワイヤを備えており、
前記コアは、角柱形状の巻芯部と、前記巻芯部の中心軸の延びる方向である軸線方向における前記巻芯部の第1端に接続されている第1鍔部と、前記軸線方向における前記巻芯部の第2端に接続されている第2鍔部と、を有するものであり、
前記ワイヤは、前記巻芯部に巻き回されている巻回部、前記第1鍔部に設けられている端子電極と電気的に接続されている第1端部、前記第2鍔部に設けられている端子電極と電気的に接続されている第2端部、前記巻回部と前記第1端部とを繋ぐ第1引き出し部、及び、前記巻回部と前記第2端部とを繋ぐ第2引き出し部を有するワイヤと、を有するものであり、
前記ワイヤを前記巻芯部に巻き回すことによって前記巻回部を形成する工程と、
前記ワイヤの張力を、前記巻回部を形成する工程よりも小さくした状態で、前記ワイヤを前記巻芯部から前記第2鍔部に設けられている前記端子電極へ引き出し、当該ワイヤの前記第2端部を当該端子電極に固定する工程と、を有する
コイル部品の製造方法。
【請求項9】
前記巻回部を形成する工程よりも前の工程であって、前記ワイヤの張力を、前記巻回部を形成する場合よりも小さくした状態で、前記第1鍔部に設けられている前記端子電極から前記巻芯部へ前記ワイヤを引き出す工程をさらに有する
請求項8に記載のコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル部品、及びコイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品としては、特許文献1に記載されているように、コアと、コアの巻芯部に巻き回されているワイヤとを備えるものが知られている。巻芯部の第1端には第1鍔部が接続されており、巻芯部の第2端には第2鍔部が接続されている。第1鍔部には、第1端子電極及び第2端子電極が設けられている。第2鍔部には、第3端子電極及び第4端子電極が設けられている。巻芯部には、第1ワイヤ及び第2ワイヤが巻き回されている。そして、第1ワイヤの第1端部が第1端子電極と電気的に接続され、第1ワイヤの第2端部が第3端子電極と電気的に接続されている。また、第2ワイヤの第1端部が第2端子電極と電気的に接続され、第2ワイヤの第2端部が第4端子電極と電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-11288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコイル部品では、ワイヤとして被覆導線が用いられる。例えば、ワイヤは、線状の中心導体と、樹脂で形成された被膜とを有している。そして、巻芯部には、このようなワイヤが巻き回されている。
【0005】
こうしたコイル部品を、はんだを用いて回路基板に実装した場合、はんだに含まれるフラックス成分が、端子電極からワイヤを伝って巻芯部に到達することがある。ワイヤのうち、巻芯部に巻き回されている部分である巻回部までフラックス成分が到達すると、コイル部品としての性能に何らかの影響が出るおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
コイル部品の一態様は、角柱形状の巻芯部、前記巻芯部の中心軸の延びる方向である軸線方向における前記巻芯部の第1端に接続されている第1鍔部、及び、前記軸線方向における前記巻芯部の第2端に接続されている第2鍔部を有するコアと、前記第1鍔部に設けられている第1端子電極と、前記第2鍔部に設けられている第2端子電極と、前記巻芯部に巻き回されている巻回部、前記第1端子電極と電気的に接続されている第1端部、前記第2端子電極と電気的に接続されている第2端部、前記巻回部と前記第1端部とを繋ぐ第1引き出し部、及び、前記巻回部と前記第2端部とを繋ぐ第2引き出し部を有するワイヤと、を備えている。前記軸線方向と直交する方向であるtにおいて、前記第1端部が当該中心軸よりも第1側に配置されており、前記第1引き出し部と前記巻回部との境界部分である第1境界部分が当該中心軸よりも第2側に配置されている。前記第1規定方向において前記中心軸よりも第2側に位置する前記巻芯部の複数のコーナのうち、前記中心軸を中心とする周方向において前記第1端部の最も近くに位置するコーナである第1所定コーナが、前記周方向における前記第1境界部分と前記第1端部との間に位置している。前記第1引き出し部と前記第1所定コーナとの間には、隙間が介在している。
【0007】
上記構成によれば、巻芯部の第1コーナと第1引き出し部との間には、隙間が介在している。そのため、はんだを用いてコイル部品を回路基板に実装する場合に、当該はんだに含まれるフラックス成分がワイヤを伝ってきたとしても、フラックス成分が巻芯部に到達しにくくなる。
【0008】
コイル部品の製造方法の一態様は、コイル部品の製造方法であって、前記コイル部品は、コア及びワイヤを備えている。前記コアは、角柱形状の巻芯部と、前記巻芯部の中心軸の延びる方向である軸線方向における前記巻芯部の第1端に接続されている第1鍔部と、前記軸線方向における前記巻芯部の第2端に接続されている第2鍔部と、を有するものである。前記ワイヤは、前記巻芯部に巻き回されている巻回部、前記第1鍔部に設けられている端子電極と電気的に接続されている第1端部、前記第2鍔部に設けられている端子電極と電気的に接続されている第2端部、前記巻回部と前記第1端部とを繋ぐ第1引き出し部、及び、前記巻回部と前記第2端部とを繋ぐ第2引き出し部を有するワイヤと、を有するものである。当該製造方法は、前記ワイヤを前記巻芯部に巻き回すことによって前記巻回部を形成する工程と、前記ワイヤの張力を、前記巻回部を形成する工程よりも小さくした状態で、前記ワイヤを前記巻芯部から前記第2鍔部に設けられている端子電極へ引き出し、当該ワイヤの前記第2端部を当該端子電極に固定する工程と、を有する。
【0009】
上記の製造方法でコイル部品を製造することにより、ワイヤの第1引き出し部と巻芯部の第1コーナとの間に隙間を形成しやすい。すなわち、当該製造方法によって製造したコイル部品は、上記のコイル部品と同等の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、はんだを用いてコイル部品を回路基板に実装する場合に、当該はんだに含まれるフラックス成分がワイヤを伝ってきたとしても、当該フラックス成分が巻芯部に到達することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コイル部品の一実施形態を模式的に示す斜視図。
図2】同コイル部品の断面図。
図3】同コイル部品の断面図。
図4】同コイル部品の断面図。
図5】同コイル部品の断面図。
図6】コイル部品の製造工程を説明するフローチャート。
図7】変更例におけるコイル部品の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、コイル部品及びコイル部品の製造方法の一実施形態を図1図6に従って説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。また、断面図ではハッチングを付しているが、理解を容易にするために一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0013】
図1に示すように、コイル部品10は、コア20と、コア20に巻き回されている複数のワイヤ31,41とを備えている。コイル部品10は、例えば、コモンモードチョークコイルである。
【0014】
コア20は、例えば電気絶縁性材料を含有している。具体的には、コア20は、アルミナや樹脂のような非磁性体、フェライトや磁性粉含有樹脂のような磁性材料を含有している。好ましくは、コア20は、アルミナ、フェライトのような焼結体で構成されている。
【0015】
コア20は、多角形状の巻芯部21と、軸線方向Z1における巻芯部21の第1端に接続されている第1鍔部22と、軸線方向Z1における巻芯部21の第2端に接続されている第2鍔部23とを有している。すなわち、軸線方向Z1に並んで配置されている一対の鍔部22,23の間に、軸線方向Z1に延びている巻芯部21が配置されている。軸線方向Z1とは、図2に示す巻芯部21の中心軸Fの延伸方向である。
【0016】
図2には、軸線方向Z1と直交する方向で巻芯部21を切断した場合における巻芯部21の断面と、第1鍔部22と、第1ワイヤ31の一部分とが図示されている。本実施形態では、図2に示すように、巻芯部21は、四角柱である。もちろん、巻芯部21は、角柱形状であれば、四角柱でなくてもよい。そして、軸線方向Z1と直交する方向において中心軸Fよりも第1側には、2つのコーナが存在している。また、軸線方向Z1と直交する方向において中心軸Fよりも第2側には、2つのコーナが存在している。
【0017】
巻芯部21が四角柱である場合、巻芯部21は、4つの側面211,212,213,214を有している。巻芯部21の中心軸Fを中心とする周方向Z2において、側面211の第1端は、側面212の第2端とコーナC1を介して接続されている。側面211の第2端は、側面213の第1端とコーナC2を介して接続されている。側面212の第1端は、側面214の第2端とコーナC3を介して接続されている。側面213の第2端は、側面214の第1端とコーナC4を介して接続されている。ここでいう「側面の第1端」とは、図2における、巻芯部21の中心軸Fを中心とする周方向Z2の反時計回り方向の端である。また、「側面の第2端」とは、図2における周方向Z2の時計回り方向の端である。
【0018】
巻芯部21の断面の形状は、長方形状をなしている。当該断面において、側面211の長さ寸法は、側面212の長さ寸法及び側面213の長さ寸法よりも長い。側面214の長さ寸法は、側面212の長さ寸法及び側面213の長さ寸法よりも長い。図2に示す断面において、側面211の延びる方向を「第1方向Z3」といい、側面212の延びる方向を「第2方向Z4」という。第1方向Z3及び第2方向Z4は、軸線方向Z1と直交する方向である。
【0019】
第1鍔部22及び第2鍔部23は、巻芯部21よりも第1方向Z3における外側にそれぞれ張り出している。また、第1鍔部22及び第2鍔部23は、巻芯部21よりも第2方向Z4における外側に張り出している。
【0020】
図1に示すように、第1鍔部22の側面のうち、コイル部品10を回路基板に実装した際に回路基板に対応する側面を第1実装面221という。第2鍔部23の側面のうち、コイル部品10を回路基板に実装した際に回路基板に対応する側面を第2実装面231という。
【0021】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、第1実装面221に、第1ワイヤ31用の端子電極12aと、第2ワイヤ41用の端子電極12bとが設けられている。すなわち、端子電極12bは、軸線方向Z1において、端子電極12aと同一位置に配置されている。また、端子電極12bは、第1方向Z3において、巻芯部21の中心軸Fを挟んで端子電極12aの反対側に位置している。
【0022】
図4には、軸線方向Z1と直交する方向で巻芯部21を切断した場合における巻芯部21の断面と、第2鍔部23と、第1ワイヤ31の一部分とが図示されている。本実施形態では、図1及び図4に示すように、第2実装面231に、第1ワイヤ31用の端子電極12cと、第2ワイヤ41用の端子電極12dとが設けられている。すなわち、端子電極12dは、軸線方向Z1において、端子電極12cと同一位置に配置されている。また、端子電極12dは、第1方向Z3において、中心軸Fを挟んで端子電極12cの反対側に位置している。
【0023】
第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41として、被覆導線が用いられている。被覆導線は、線状の中心導体と、樹脂で形成された被膜とを含んでいる。すなわち、ワイヤ31,41は、中心導体を被膜で覆ったものである。なお、被膜を形成する樹脂は、絶縁性の樹脂である。
【0024】
第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41は、コア20の巻芯部21に巻き回されている。本実施形態では、重ね巻きによって第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている。すなわち、巻芯部21には第1ワイヤ31が直接巻き回され、その上から第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている。そして、巻芯部21への第1ワイヤ31の巻き回し数は、巻芯部21への第2ワイヤ41の巻き回し数と実質同数である。
【0025】
なお、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41を巻芯部21の巻き回す手法は、重ね巻きでなくてもよい。例えば、バイファイラ巻きによって第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41を巻芯部21に巻き回してもよいし、重ね巻きによって第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている領域と、バイファイラ巻きによって第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている領域との双方が形成されていてもよい。
【0026】
図1図2及び図4に示すように、第1ワイヤ31は、第1巻回部31a、第1端部31b、第2端部31c、第1引き出し部31d及び第2引き出し部31eを有している。第1巻回部31aは、巻芯部21に巻き回されている第1ワイヤ31の部分である。第1巻回部31aでは、第1ワイヤ31が巻芯部21に一回巻かれるまでに、各コーナC1~C4に接触する。第1端部31bは、端子電極12aと電気的に接続されている第1ワイヤ31の部分である。第2端部31cは、端子電極12cと電気的に接続されている第1ワイヤ31の部分である。すなわち、第1鍔部22に設けられている端子電極を「第1端子電極」と定義し、第2鍔部23に設けられている端子電極を「第2端子電極」と定義した場合、端子電極12aが第1端子電極に対応し、端子電極12cが第2端子電極に対応する。
【0027】
第1引き出し部31dは、第1ワイヤ31のうち、第1巻回部31aと第1端部31bとを繋ぐ部分である。第2引き出し部31eは、第1ワイヤ31のうち、第1巻回部31aと第2端部31cとを繋ぐ部分である。本実施形態では、第1ワイヤ31の第1端部31b及び第2端部31cは、複数の端子電極12a~12dのうち、第1方向Z3において中心軸Fよりも第1側に位置する端子電極と電気的に接続されている。
【0028】
第1引き出し部31dの張力は、第1巻回部31aの張力よりも小さい。そして、図2に示すように、巻芯部21のコーナC1と第1引き出し部31dとの間には隙間SP1が介在している。具体的には、後述する第1引き出し部31dの屈曲部分とコーナC1との間に隙間SP1が介在している。本例では、第1引き出し部31dと、巻芯部21の側面212との間にも隙間が介在している。
【0029】
第1ワイヤ31における第1引き出し部31dと第1巻回部31aとの境界部分を第1境界部分311とする。第1境界部分311は、第1方向Z3において中心軸Fを挟んで第1端部31bの反対側に位置している。上述したように、第1端部31bは、第1方向Z3において中心軸Fよりも第1側に位置しているため、第1境界部分311は、第1方向Z3において中心軸Fよりも第2側に位置している。
【0030】
軸線方向Z1と直交する方向である第1方向Z3を第1規定方向と定義したとする。そして、第1規定方向と定義した第1方向Z3において中心軸Fよりも第2側に位置する巻芯部21の複数のコーナC1,C3のうち、周方向Z2において第1端部31bの最も近くに位置するコーナC1を「第1所定コーナ」とし、周方向Z2において第1端部31bに2番目に近くに位置するコーナC3を「第2所定コーナ」とする。この場合、第1所定コーナとしたコーナC1は、周方向Z2における第1端部31bと第1境界部分311との間に位置している。そして、第1境界部分311は、周方向Z2において、第2所定コーナとしたコーナC3と同一位置に位置している。すなわち、第1境界部分311は、コーナC3に接触している。
【0031】
なお、第1引き出し部31dは、巻芯部21の側面に沿った形状をなしている。すなわち、第1引き出し部31dは、側面212に倣った直線部分と、コーナC1に倣った屈曲部分とを含んでいる。
【0032】
第2引き出し部31eの張力は、第1巻回部31aの張力よりも小さい。そして、図4に示すように、巻芯部21のコーナC4と第2引き出し部31eとの間には隙間SP2が介在している。具体的には、後述する第2引き出し部31eの屈曲部分とコーナC4との間に隙間SP2が介在している。本例では、第2引き出し部31eと、巻芯部21の側面214との間にも隙間が介在している。
【0033】
第1ワイヤ31における第2引き出し部31eと第1巻回部31aとの境界部分を第2境界部分312とする。第2境界部分312は、第2方向Z4において中心軸Fを挟んで第2端部31cの反対側に位置している。第2端部31cは、第2方向Z4において中心軸Fよりも第1側に位置しているため、第2境界部分312は、第2方向Z4において中心軸Fよりも第2側に位置している。
【0034】
軸線方向Z1と直交する方向である第2方向Z4を第2規定方向と定義したとする。そして、第2規定方向と定義した第2方向Z4において中心軸Fよりも第2側に位置する巻芯部21の複数のコーナC3,C4のうち、周方向Z2において第2端部31cの最も近くに位置するコーナC4を「第1規定コーナ」とし、周方向Z2において第2端部31cに2番目に近くに位置するコーナC3を「第2規定コーナ」とする。この場合、第1規定コーナとしたコーナC4は、周方向Z2における第2端部31cと第2境界部分312との間に位置している。そして、第2境界部分312は、周方向Z2において、第2規定コーナとしたコーナC3と同一位置に位置している。すなわち、第2境界部分312は、コーナC3に接触している。
【0035】
なお、第2引き出し部31eは、巻芯部21の側面に沿った形状をなしている。すなわち、第2引き出し部31eは、側面214に倣った直線部分と、コーナC4に倣った屈曲部分とを含んでいる。
【0036】
図3には、軸線方向Z1と直交する方向で巻芯部21を切断した場合における巻芯部21の断面と、第1鍔部22と、第2ワイヤ41の一部分とがそれぞれ図示されている。図5には、軸線方向Z1と直交する方向で巻芯部21を切断した場合における巻芯部21の断面と、第2鍔部23と、第2ワイヤ41の一部分とがそれぞれ図示されている。
【0037】
図1図3及び図5に示すように、第2ワイヤ41は、第2巻回部41a、第3端部41b、第4端部41c、第3引き出し部41d及び第4引き出し部41eを有している。第2巻回部41aが、第1ワイヤ31の第1巻回部31aに対応する。第3端部41bが、第1ワイヤ31の第1端部31bに対応し、第4端部41cが、第1ワイヤ31の第2端部31cに対応する。第3引き出し部41dが、第1ワイヤ31の第1引き出し部31dに対応し、第4引き出し部41eが、第1ワイヤ31の第2引き出し部31eに対応する。
【0038】
第2巻回部41aは、巻芯部21に巻き回されている第2ワイヤ41の部分である。第3端部41bは、端子電極12bと電気的に接続されている第2ワイヤ41の部分である。第4端部41cは、端子電極12dと電気的に接続されている第2ワイヤ41の部分である。すなわち、第1鍔部22に設けられている端子電極を「第1端子電極」と定義し、第2鍔部23に設けられている端子電極を「第2端子電極」と定義した場合、端子電極12bが第1端子電極に対応し、端子電極12dが第2端子電極に対応する。
【0039】
第3引き出し部41dは、第2ワイヤ41のうち、第2巻回部41aと第3端部41bとを繋ぐ部分である。第4引き出し部41eは、第2ワイヤ41のうち、第2巻回部41aと第4端部41cとを繋ぐ部分である。本実施形態では、第2ワイヤ41の第3端部41b及び第4端部41cは、複数の端子電極12a~12dのうち、第1方向Z3において中心軸Fよりも第2側に位置する端子電極と電気的に接続されている。
【0040】
第3引き出し部41dの張力は、第2巻回部41aの張力よりも小さい。そして、図3に示すように、巻芯部21のコーナC3と第3引き出し部41dとの間には隙間SP3が介在している。具体的には、後述する第3引き出し部41dの屈曲部分とコーナC3との間に隙間SP3が介在している。本例では、第3引き出し部41dと、巻芯部21の側面214との間にも隙間が介在している。
【0041】
第2ワイヤ41における第3引き出し部41dと第2巻回部41aとの境界部分を第3境界部分411とする。第3境界部分411は、第2方向Z4において中心軸Fを挟んで第3端部41bの反対側に位置している。上述したように、第3端部41bは、第2方向Z4において中心軸Fよりも第1側に位置しているため、第3境界部分411は、第2方向Z4において中心軸Fよりも第2側に位置している。
【0042】
軸線方向Z1と直交する方向である第2方向Z4を第3規定方向と定義したとする。そして、第3規定方向と定義した第2方向Z4において中心軸Fよりも第2側に位置する巻芯部21の複数のコーナC3,C4のうち、周方向Z2において第3端部41bの最も近くに位置するコーナC3を「第3所定コーナ」とし、周方向Z2において第3端部41bに2番目に近くに位置するコーナC4を「第4所定コーナ」とする。この場合、第3所定コーナとしたコーナC3は、周方向Z2において第3端部41bと第3境界部分411との間に位置している。そして、第3境界部分411は、周方向Z2において、第4所定コーナとしたコーナC4と同一位置に位置している。すなわち、第3境界部分411は、コーナC4に接触している。
【0043】
なお、第3引き出し部41dは、巻芯部21の側面に沿った形状をなしている。すなわち、第3引き出し部41dは、側面214に倣った直線部分と、コーナC3に倣った屈曲部分とを含んでいる。
【0044】
第4引き出し部41eの張力は、第2巻回部41aの張力よりも小さい。そして、図5に示すように、巻芯部21のコーナC2と第4引き出し部41eとの間には隙間SP4が介在している。具体的には、後述する第4引き出し部41eの屈曲部分とコーナC2との間に隙間SP4が介在している。本例では、第4引き出し部41eと、巻芯部21の側面213との間にも隙間が介在している。
【0045】
第2ワイヤ41における第4引き出し部41eと第2巻回部41aとの境界部分を第4境界部分412とする。第4境界部分412は、第1方向Z3において中心軸Fを挟んで第4端部41cの反対側に位置している。第4端部41cは、第1方向Z3において中心軸Fよりも第2側に位置しているため、第4境界部分412は、第1方向Z3において中心軸Fよりも第1側に位置している。
【0046】
軸線方向Z1と直交する方向である第1方向Z3を第4規定方向と定義したとする。そして、第4規定方向と定義した第1方向Z3において中心軸Fよりも第1側に位置する巻芯部21の複数のコーナC2,C4のうち、周方向Z2において第4端部41cの最も近くに位置するコーナC2を「第3規定コーナ」とし、周方向Z2において第4端部41cに2番目に近くに位置するコーナC4を「第4規定コーナ」とする。この場合、第3規定コーナとしたコーナC2は、周方向Z2において第4端部41cと第4境界部分412との間に位置している。そして、第4境界部分412は、周方向Z2において、第4規定コーナとしたコーナC4と同一位置に位置している。すなわち、第4境界部分412は、コーナC4に接触している。
【0047】
なお、第4引き出し部41eは、巻芯部21の側面に沿った形状をなしている。すなわち、第4引き出し部41eは、側面213に倣った直線部分と、コーナC2に倣った屈曲部分とを含んでいる。
【0048】
本実施形態の作用について説明する。
コイル部品10では、被覆導線がワイヤ31,41として採用されている。そして、2つの被覆導線が隣接した状態で巻芯部21に巻き回されている。こうしたコイル部品10を、はんだを用いて回路基板に実装した場合、はんだに含まれるフラックス成分が、端子電極12a~12dからワイヤ31,41を伝って巻芯部21に到達することがある。
【0049】
この点、コイル部品10では、図2に示すように、第1引き出し部31dとコーナC1との間には、隙間SP1が介在している。この場合、第1引き出し部と第1所定コーナとの間に隙間が介在していないコイル部品と比較し、第1引き出し部31dの長さが長い。すなわち、巻芯部21と接触している第1境界部分311から端子電極12aに接続されている第1ワイヤ31の第1端部31bまでの距離が長い。そのため、はんだに含まれるフラックス成分が第1ワイヤ31を伝うことがあった場合でも、フラックス成分が巻芯部21に到達することを抑制できる。その結果、コイル部品10における電気的短絡及び絶縁不良が発生することを抑制でき、ひいてはコイル部品10の信頼性を高くできる。
【0050】
本実施形態では、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(1-1)本実施形態では、図4に示すように、第2引き出し部31eと巻芯部21のコーナC4との間には、隙間SP2が介在している。これにより、上述の作用と同様の作用を奏することで、フラックス成分が第1ワイヤ31を伝うことがあった場合でも、フラックス成分が巻芯部21に到達することを抑制できる。
【0051】
(1-2)本実施形態では、図3に示すように、第3引き出し部41dと巻芯部21のコーナC3との間には、隙間SP3が介在している。これにより、上述の作用と同様の作用を奏することで、フラックス成分が第2ワイヤ41を伝うことがあった場合でも、フラックス成分が巻芯部21に到達することを抑制できる。
【0052】
(1-3)本実施形態では、図5に示すように、第4引き出し部41eと巻芯部21のコーナC2との間には、隙間SP4が介在している。これにより、上述の作用と同様の作用を奏することで、フラックス成分が第2ワイヤ41を伝うことがあった場合でも、フラックス成分が巻芯部21に到達することを抑制できる。
【0053】
(1-4)本実施形態では、図2に示すように、第1ワイヤ31の第1境界部分311は、コーナC3に接触している。これにより、第1巻回部31aを形成する第1ワイヤ31の巻きの乱れを抑制しつつ、第1引き出し部31dの張力を小さくできる。
【0054】
(1-5)本実施形態では、図4に示すように、第1ワイヤ31の第2境界部分312は、コーナC3に接触している。これにより、第1巻回部31aを形成する第1ワイヤ31の巻きの乱れを抑制しつつ、第2引き出し部31eの張力を小さくできる。
【0055】
(1-6)本実施形態では、図3に示すように、第2ワイヤ41の第3境界部分411は、コーナC4に接触している。これにより、第2巻回部41aを形成する第2ワイヤ41の巻きの乱れを抑制しつつ、第3引き出し部41dの張力を小さくできる。
【0056】
(1-7)本実施形態では、図5に示すように、第2ワイヤ41の第4境界部分412は、コーナC4に接触している。これにより、第2巻回部41aを形成する第2ワイヤ41の乱れを抑制しつつ、第4引き出し部41eの張力を小さくできる。
【0057】
次に、図6を参照し、コイル部品の製造方法の一例について説明する。ここでは、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41のうち、第1ワイヤ31をコア20に巻き付ける場合について説明する。第2ワイヤ41をコア20に巻き付ける手法は、第1ワイヤ31をコア20に巻き付ける手法と略同等であるため、ここでは説明を割愛する。
【0058】
まずはじめに、ステップS11の第1仮固定処理では、第1ワイヤ31の巻き初めの端部である第1端部31bが、第1鍔部22の端子電極12aに仮固定される。ここでの仮固定は、第1ワイヤ31のコア20への巻き付けが完了するまで第1端部31bが動かないようにできるのであれば、任意の手法を適用できる。例えば、熱圧着によって、第1端部31bを端子電極12aに仮固定すればよい。
【0059】
次のステップS13の第1張力調整処理では、第1ワイヤ31の第1引き出し部31dが形成される。例えば、第1ワイヤ31を巻芯部21に巻き回す際の張力、すなわち第1巻回部31aを形成する際の第1ワイヤ31の張力を、基準張力Pbとする。第1張力調整処理では、例えば基準張力Pbを第1ワイヤ31に付与した状態で第1ワイヤ31を巻芯部21に巻き回し始める。この場合、コーナC1に第1ワイヤ31が接触する。さらに、コーナC1に接続されている側面212にも第1ワイヤ31が接触する。そして、第1ワイヤ31がコーナC3に接触するようになると、第1ワイヤ31に付与する張力が、基準張力Pbよりも小さくされる。張力を小さくする方法としては、例えば、第1ワイヤ31を周方向Z2においてコーナC1側に送り出す方法、あるいは、周方向Z2において第1ワイヤ31が巻芯部21に巻き回される方向にコア20を回転させる方法を挙げることができる。すると、第1ワイヤ31の一部が巻芯部21から離間する。これにより、第1引き出し部31dが形成される。具体的には、第1引き出し部31dを、巻芯部21の側面に沿った形状とすることができる。
【0060】
そして、ステップS15の巻き回し処理では、第1ワイヤ31の第1巻回部31aが形成される。すなわち、第1ワイヤ31に付与する張力を基準張力Pbに戻した状態で、第1ワイヤ31が巻芯部21に巻き回される。第1巻回部31aの形成が完了すると、巻き回し処理が終了される。
【0061】
次のステップS17の第2張力調整処理では、第1ワイヤ31の第2引き出し部31eが形成される。例えば、第2張力調整処理では、例えば基準張力Pbを第1ワイヤ31に付与した状態で第1ワイヤ31を端子電極12cまで持って行く。この状態では、第1ワイヤ31のうち、第2引き出し部31eを構成する部分は、コーナC3、側面214及びコーナC4に接触する。続いて、第1ワイヤ31に付与する張力が、基準張力Pbよりも低下される。この際の張力は、例えば第1張力調整処理時における張力と同等としてもよい。これにより、第1ワイヤ31の第2引き出し部31eが、巻芯部21から離間する。すなわち、側面214及びコーナC4に接触しない第2引き出し部31eが形成される。この場合、第2引き出し部31eを、巻芯部21の側面に沿った形状とすることができる。
【0062】
そして、ステップS19の第2仮固定処理では、第1ワイヤ31の巻き終わりの端部である第2端部31cが、第2鍔部23の端子電極12cに仮固定される。ここでの仮固定は、任意の手法を適用できる。例えば、熱圧着によって、第2端部31cを端子電極12cに仮固定すればよい。
【0063】
次のステップS21の切断処理では、ワイヤが切断される。すなわち、コア20に巻き付けられた第1ワイヤ31が、製造装置で保持されるワイヤから切り離される。
そして、ステップS23の本固定処理では、例えば熱溶着によって、第1端部31bが端子電極12aに電気的に接続される。同様に、第2端部31cが端子電極12cに電気的に接続される。
【0064】
すなわち、図6に示した製造方法において、ステップS11,S13が、第1巻回部31aを形成する工程よりも前の工程であって、それぞれ、第1ワイヤ31の第1端部31bを端子電極12aに仮固定する工程、第1ワイヤ31の張力を、第1巻回部31aを形成する場合よりも小さくした状態で、端子電極12aから巻芯部21へ第1ワイヤ31を引き出す工程に相当する。ステップS15が、第1ワイヤ31を巻芯部21に巻き回すことによって第1巻回部31aを形成する工程に相当する。ステップS17,S19が、第1ワイヤ31の張力を、第1巻回部31aを形成する工程よりも小さくした状態で、第1ワイヤ31を巻芯部21から端子電極12cへ引き出し、第1ワイヤ31の第2端部31cを端子電極12cに固定する工程に相当する。
【0065】
本実施形態の製造方法によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1-8)第1ワイヤ31の第1引き出し部31dと巻回部31aのコーナC1との間に隙間SP1を介在させやすい。また、第1ワイヤ31の第2引き出し部31eと巻回部31aのコーナC4との間に隙間SP2を介在させやすい。すなわち、コイル部品10を製造しやすい。
【0066】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・端子電極は、例えば図7に示すような金属板で構成したものであってもよい。なお、図7に示す例では、第1ワイヤ31の第1端部31bが電気的に接続されている端子電極12a1が第1鍔部22に設けられているとともに、第2ワイヤ41の第3端部41bが電気的に接続されている端子電極12b1が第1鍔部22に設けられている。
【0067】
・第2引き出し部31eが巻芯部21から離間しているのであれば、第2境界部分312は、コーナC3に接触していなくてもよい。
・第4引き出し部41eが巻芯部21から離間しているのであれば、第4境界部分412は、コーナC4に接触していなくてもよい。
【0068】
・第1引き出し部31dは、巻芯部21から離間しているのであれば、第1境界部分311は、コーナC3に接触していなくてもよい。
・第3引き出し部41dは、巻芯部21から離間しているのであれば、第3境界部分411は、コーナC4に接触していなくてもよい。
【0069】
・第2引き出し部31eの張力は、第1巻回部31aの張力と同等であってもよい。
・第4引き出し部41eの張力は、第2巻回部41aの張力と同等であってもよい。
・第1引き出し部31dの張力は、第1巻回部31aの張力と同等であってもよい。
【0070】
・第3引き出し部41dの張力は、第2巻回部41aの張力と同等であってもよい。
・第2引き出し部31eが巻芯部21から離間しているのであれば、第2引き出し部31eの形状が巻芯部21の側面に沿った形状であることは必須ではない。
【0071】
・第4引き出し部41eが巻芯部21から離間しているのであれば、第4引き出し部41eの形状が巻芯部21の側面に沿った形状であることは必須ではない。
・第1引き出し部31dが巻芯部21から離間しているのであれば、第1引き出し部31dの形状が巻芯部21の側面に沿った形状であることは必須ではない。
【0072】
・第3引き出し部41dが巻芯部21から離間しているのであれば、第3引き出し部41dの形状が巻芯部21の側面に沿った形状であることは必須ではない。
・第1ワイヤ31に関して、第1引き出し部31dがコーナC1と離間しているのであれば、第2引き出し部31eがコーナC4から離間するのは必須ではない。この場合、図6に示した製造方法の処理手順において、ステップS17の第2張力調整処理を省略してもよい。
【0073】
・第1ワイヤ31の第1引き出し部31dがコーナC1と離間しているのであれば、第2ワイヤ41の第3引き出し部41dがコーナC3から離間するのは必須ではない。
・第1ワイヤ31の第1引き出し部31dがコーナC1と離間しているのであれば、第2ワイヤ41の第4引き出し部41eがコーナC2から離間するのは必須ではない。
【0074】
・第1規定方向は、第1方向Z3でなくてもよい。すなわち、第1規定方向において、中心軸Fよりも第1側に第1ワイヤ31の第1端部31bが配置され、中心軸Fよりも第2側に第1境界部分311が配置されるのであれば、第1規定方向は、第1方向Z3とは異なる方向であってもよい。
【0075】
・第2規定方向は、第2方向Z4でなくてもよい。すなわち、第2規定方向において、中心軸Fよりも第1側に第1ワイヤ31の第2端部31cが配置され、中心軸Fよりも第2側に第2境界部分312が配置されるのであれば、第2規定方向は、第2方向Z4とは異なる方向であってもよい。例えば、第2規定方向は、第1規定方向と直交する方向でなくてもよい。
【0076】
・第3規定方向は、第2方向Z4でなくてもよい。すなわち、第3規定方向において、中心軸Fよりも第1側に第2ワイヤ41の第3端部41bが配置され、中心軸Fよりも第2側に第3境界部分411が配置されるのであれば、第3規定方向は、第2方向Z4とは異なる方向であってもよい。
【0077】
・第4規定方向は、第1方向Z3でなくてもよい。すなわち、第4規定方向において、中心軸Fよりも第1側に第2ワイヤ41の第4端部41cが配置され、中心軸Fよりも第2側に第4境界部分412が配置されるのであれば、第4規定方向は、第1方向Z3とは異なる方向であってもよい。
【0078】
・上記実施形態では、軸線方向Z1と直交する方向に巻芯部21を切断した際における断面が長方形状をなしているが、これに限らない。例えば、巻芯部21を切断した際における断面が正方形状をなす巻芯部を、巻芯部21としてもよい。
【0079】
・巻芯部21は、角柱形状をなしているのであれば、四角柱でなくてもよい。例えば、巻芯部は、三角柱状をなしていてもよいし、六角柱状をなしていてもよい。
・上記実施形態では、巻芯部21は、軸線方向Z1と直交する方向に巻芯部21を切断した際における各側面211~214の形状が直線形状をなすように構成されているが、これに限らない。すなわち、巻芯部21は、軸線方向Z1と直交する方向に巻芯部21を切断した場合の断面に稜線が存在していればよい。
【0080】
・コイル部品は、1本のワイヤのみがコアに巻き付けられものであってもよい。
・コイル部品は、コモンモードチョークコイルでなくてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…コイル部品
12a~12d,12a1,12b1…端子電極
20…コア
21…巻芯部
211~214…側面
22…第1鍔部
23…第2鍔部
31…第1ワイヤ
31a…巻回部
31b…第1端部
31c…第2端部
31d…第1引き出し部
31e…第2引き出し部
311…第1境界部分
312…第2境界部分
41…第2ワイヤ
41a…巻回部
41b…第3端部
41c…第4端部
41d…第3引き出し部
41e…第2引き出し部
411…第3境界部分
412…第4境界部分
C1~C4…コーナ
F…中心軸
SP1~SP4…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7