(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/82 20060101AFI20240110BHJP
B65G 1/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65G47/82 C
B65G1/06 Z
(21)【出願番号】P 2020200486
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 清二郎
(72)【発明者】
【氏名】薮内 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】八木 正
(72)【発明者】
【氏名】宮木 広次
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-123244(JP,A)
【文献】特開2020-079149(JP,A)
【文献】特開平06-064742(JP,A)
【文献】特開昭51-016568(JP,A)
【文献】特開2013-078815(JP,A)
【文献】特開2008-081302(JP,A)
【文献】特開平6-115618(JP,A)
【文献】特開昭60-93005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/82
B65G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割された棚上搬送部材で対象物を搬送する棚を備える倉庫システムに設けられ、前記対象物の移載を行う移載装置であって、
前記棚の幅方向へ前記対象物を押し出す押出装置と、
前記押出装置を前記棚の延在方向へ移動させる移動機構と、を備え、
前記押出装置は、
前記対象物を前記幅方向の一方側へ押し出すアーム部材と、
前記幅方向へ延びると共に、前記アーム部材に前記幅方向へ移動させる駆動力を付与する押出駆動機構と、を備え、
前記押出駆動機構は前記棚の下側に配置され、
前記アーム部材は複数の前記棚上搬送部材間の隙間を通過した状態で前記対象物を押し出す、移載装置。
【請求項2】
前記移動機構は、
前記延在方向に延びるラックギアと、
駆動部に取り付けられ、前記ラックギアと噛み合うピニオンギアと、を有する、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記移動機構は、
前記延在方向に延びて、前記押出装置の水平移動をガイドする水平ガイドと、
前記水平ガイドと当接する第1のガイドローラと、
前記第1のガイドローラを前記水平ガイドへ付勢する付勢部材と、を更に備える、請求項1又は2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記移動機構は、
前記第1のガイドローラを前記水平ガイドへ付勢したことによる反力により、ラックギアの背面と当接する第2のガイドローラを更に備える、請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
前記アーム部材は、前記対象物と接触する接触部を少なくとも二つ有する、請求項1~4の何れか一項に記載の移載装置。
【請求項6】
前記押出駆動機構は、
前記アーム部材を支持すると共に、前記アーム部材を前記幅方向へガイドするリニアガイドと、
前記アーム部材が取り付けられた状態で、前記幅方向に送られる無端ベルトと、
前記幅方向における一端側で前記無端ベルトを駆動させる駆動部と、
前記幅方向における他端側で前記無端ベルトを支持するプーリと、を備え、
前記無端ベルトの内周側に、前記リニアガイドが配置される、請求項1~5の何れか一項に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫システムで用いられる移載装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この倉庫システムは、対象物を保管すると共に搬送する複数段の棚を有している。棚は、互いに隣り合った状態で、延在方向に延びる入庫経路及び出庫経路を有している。移載装置は、入庫経路と隣り合う位置に設けられており、入庫経路で保管された対象物を押し出すことによって出庫経路へ移送することができる。移載装置は、各経路の延在方向へ移動することができるため、入庫経路の延在方向のいずれかの位置に配置された対象物を押し出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の移載装置は、入庫経路に対して、出庫経路とは反対側で隣り合う位置に十分なスペースを確保した状態で、当該位置に設置されている。ここで、倉庫システムにおいてはスペースを更に有効に利用できるように、移載装置の更なる小型化が求められていた。
【0005】
本発明の目的は、小型化を図ることができる移載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る移載装置は、分割された棚上搬送部材で対象物を搬送する棚を備える倉庫システムに設けられ、対象物の移載を行う移載装置であって、棚の幅方向へ対象物を押し出す押出装置と、押出装置を棚の延在方向へ移動させる移動機構と、を備え、押出装置は、対象物を幅方向の一方側へ押し出すアーム部材と、幅方向へ延びると共に、アーム部材に幅方向へ移動させる駆動力を付与する押出駆動機構と、を備え、押出駆動機構は棚の下側に配置され、アーム部材は複数の棚上搬送部材間の隙間を通過した状態で対象物を押し出す。
【0007】
移載装置は、棚の幅方向へ対象物を押し出す押出装置と、押出装置を棚の延在方向へ移動させる移動機構と、を備える。従って、移動機構が、棚の対象物の位置まで押出装置を移動させて、押出装置が対象物を押し出すことによって当該対象物を移載することができる。押出装置は、対象物を幅方向の一方側へ押し出すアーム部材と、幅方向へ延びると共に、アーム部材に幅方向へ移動するための駆動力を付与する押出駆動機構と、を備えている。そのため、アーム部材は、押出駆動機構で駆動力を付与されながら幅方向へ移動し、棚の棚上搬送部材上の対象物を押し出すことができる。ここで、押出駆動機構は棚の下側に配置されている。そのため、棚に対する幅方向の他方側のスペースに配置される押出駆動機構の大きさを小型にすることができる。更に、アーム部材は複数の棚上搬送部材間の隙間を通過した状態で対象物を押し出す。これにより、押出駆動機構が棚の下側に配置された場合でも、アーム部材は、棚の棚上搬送部材との干渉を回避した状態で、当該棚上搬送部材上の対象物を押し出すことができる。以上より、移載装置の小型化を図ることができる。
【0008】
移動機構は、延在方向に延びるラックギアと、駆動部に取り付けられ、ラックギアと噛み合うピニオンギアと、を有してよい。この場合、移動機構は、棚の下側に配置されることで低い位置に配置されている押出装置を、適切に延在方向へ移動させることができる。
【0009】
移動機構は、延在方向に延びて、押出装置の水平移動をガイドする水平ガイドと、水平ガイドと当接する第1のガイドローラと、第1のガイドローラを水平ガイドへ付勢する付勢部材と、を更に備えてよい。この場合、移動機構は、第1のガイドローラを水平ガイドへ付勢することで、押出装置の幅方向への位置決めをしつつ、水平ガイドによって延在方向への移動をガイドすることができる。これにより、ラックギアに対してピニオンギアが適切に噛み合うことができる状態を維持することができる。
【0010】
移動機構は、第1のガイドローラを水平ガイドへ付勢したことによる反力により、ラックギアの背面と当接する第2のガイドローラを更に備えてよい。このように、ラックギアの背面、および第1のガイドローラによる位置決め時の反力を有効に使って、第2のガイドローラで更に位置決めを行うことができる。これにより、低コスト、且つ少ないスペースにて、より正確な位置決めを行うことができる。
【0011】
アーム部材は、対象物と接触する接触部を少なくとも二つ有してよい。この場合、アーム部は、少なくとも二つの接触部で対象物を安定させた状態で押し出すことができる。
【0012】
押出駆動機構は、アーム部材を支持すると共に、アーム部材を幅方向へガイドするリニアガイドと、アーム部材が取り付けられた状態で、幅方向に送られる無端ベルトと、幅方向における一端側で無端ベルトを駆動させる駆動部と、幅方向における他端側で無端ベルトを支持するプーリと、を備え、無端ベルトの内周側に、リニアガイドが配置されてよい。この場合、押出駆動機構は、無端ベルトを介してアーム部材に駆動力を付与することができる。その一方で、当該無端ベルトの内周側のスペースを有効に利用することで、リニアガイドを低い位置に設置することができる。従って、押出駆動機構の高さを低く抑えることができ、コンパクトな構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型化を図ることができる移載装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る移載装置が適用される倉庫システムを示す概略側面図である。
【
図2】倉庫システム及び移載装置の概略平面図である。
【
図3】倉庫システム及び移載装置の概略平面図である。
【
図4】倉庫システム及び移載装置の概略正面図である。
【
図5】倉庫システム及び移載装置の概略正面図である。
【
図7】倉庫本体部及び移載装置を幅方向Xの負側から正側へ向かって見た概略側面図である。
【
図8】押出駆動機構及びアーム部材を幅方向Xにおける正側から負側へ向かって見た概略図である。
【
図9】ベース部材の本体部の延在方向Yの正側の端部付近の様子を示す斜視図である。
【
図10】ベース部材の延長部の幅方向Xの正側の端部付近の様子を示す斜視図である。
【
図11】ベース部材を下面側から見た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る移載装置1が適用される倉庫システム100を示す概略側面図である。
図1に示すように、倉庫システム100は、複数の荷物150(対象物)を入庫して保管し、保管された各荷物150のうち、出庫すべきものを出庫可能なシステムである。倉庫システム100は、倉庫本体部101と、入庫渡り通路102と、出庫渡り通路103と、入庫エレベータ104と、出庫エレベータ105と、を備える。倉庫本体部101は、複数段の棚110を有している。棚110は、倉庫本体部101の一方側の端部から他方側の端部へ延在している。入庫渡り通路102は、倉庫本体部101の一方側の端部に設けられ、各段の棚110に対して荷物150を入庫する機構である。出庫渡り通路103は、倉庫本体部101の他方側の端部に設けられ、各段の棚110から荷物150を出庫する機構である。入庫エレベータ104は、荷物150を上げてまたは下げて、所望の棚110に対応する段の入庫渡り通路102へ荷物150を供給する。出庫エレベータ105は、出庫対象となる荷物150を棚110及び出庫渡り通路103から受け取り、図示しない出庫口へ昇降させる。
【0017】
なお、以降の説明においては、XYZ座標系を用いて説明を行う場合がある。棚110が延びる延在方向を「延在方向Y」とする。延在方向Yに直交する水平方向である棚110の幅方向を「幅方向X」とする。上下方向を「上下方向Z」とする。また、延在方向Yのうち、出庫渡り通路103側を正側とし、入庫口入庫渡り通路102側を負側とする。幅方向Xのうち、
図1の紙面裏側を正側とし、紙面表側を負側とする。上下方向Zのうち、上側を正側とし、下側を負側とする。
【0018】
次に、
図2~
図5を参照して、各段における棚110の構造、及び移載装置1について説明する。
図2及び
図3は、倉庫システム100及び移載装置1の概略平面図である。
図4及び
図5は、倉庫システム100及び移載装置1の概略正面図である。
図2及び
図4は、移載装置1が荷物150を移載する前の状態を示す。
図3及び
図5は、移載装置1が荷物150を移載した後の状態を示す。
【0019】
図2及び
図3に示すように、棚110は、幅方向Xに互いに並んだ状態、延在方向Yに直線状に延びるように、入庫経路111、及び出庫経路112を備える。入庫経路111が幅方向Xの負側に配置され、出庫経路112が幅方向Xの正側に配置される。入庫経路111及び出庫経路112は、延在方向に分割されたローラ部材113(棚上搬送部材)によってローラコンベアとして構成されており、荷物150を延在方向Yに搬送することができる。複数のローラ部材113は幅方向Xに回転軸が延びるように配置され、延在方向Yに互いに一定間隔を空けて離間するように配置される。
【0020】
これにより、入庫経路111は、荷物150が経路途中で一時停止できるように構成されており、搬送経路と一時保管の機能を兼ねることができる。出庫経路112は、出庫が必要となった荷物150を、入庫経路111から受け取り、出庫渡り通路103へ搬送して出庫するための経路である。
【0021】
入庫経路111を構成するローラ部材113は、延在方向Yに延びる一対の支持部材114,116によって回転可能に支持される。支持部材114はローラ部材113の幅方向Xの負側の端部を支持し、支持部材116はローラ部材113の幅方向Xの正側の端部を支持する。出庫経路112を構成するローラ部材113は、延在方向Yに延びる一対の支持部材116,117によって回転可能に支持される。支持部材116はローラ部材113の幅方向Xの負側の端部を支持し、支持部材117はローラ部材113の幅方向Xの正側の端部を支持する。
【0022】
ここで、
図4及び
図5に示すように、各段における棚110は、当該段の基準高さSHを有している。基準高さSHは、棚110の構成部材の荷重を支持するフレーム部材120の上面120aによって規定される。フレーム部材120は、延在方向Yに所定の間隔で配置されており、幅方向Xに延びるように設けられる。フレーム部材120は、上下方向Zに隣り合う段の棚110同士を区切る位置に配置される。このような基準高さSHに対して、入庫経路111及び出庫経路112は、上側へ離間した位置に配置されている。入庫経路111及び出庫経路112の下側には、フレーム部材120との間に空間が形成される。なお、各段におけるフレーム部材120の幅方向Xの負側の端部は、上下方向Zに延びる柱部材121に支持される。
【0023】
次に、移載装置1の構成について説明する。移載装置1は、入庫経路111に保管されている荷物150(
図2及び
図4参照)を幅方向Xの正側へ押し出すことによって、出庫経路112へ移載する装置である(
図3及び
図5参照)。
図4及び
図5に示すように、移載装置1は、押出装置2と、移動機構3と、を備える。押出装置2は、幅方向Xへ荷物150を押し出す装置である。また、移載装置1は、倉庫本体部101に固定される構成要素と、倉庫本体部101に対して移動する構成要素と、を備えるが、押出装置2は、倉庫本体部101に対して移動する構成要素の本体部としても機能する。移動機構3は、押出装置2を延在方向Yへ移動させる機構である。
【0024】
押出装置2は、主に、ベース部材11と、アーム部材12と、押出駆動機構13と、を備える。ベース部材11は、押出装置2の各種構成要素を搭載するための部材である。アーム部材12は、荷物150を幅方向Xの正側へ押し出す部材である。押出駆動機構13は、幅方向Xへ延びると共に、アーム部材12に幅方向Xへ移動させる駆動力を付与する機構である。
【0025】
ベース部材11は、棚110の入庫経路111の下側に配置される領域と、入庫経路111よりも幅方向Xの負側へはみ出る領域と、を有する。押出駆動機構13は、ベース部材11上に搭載されている。押出駆動機構13は、ベース部材11のうち、入庫経路111の下側の領域と、入庫経路111の幅方向Xの負側へはみ出る領域の両方に設けられている。従って、押出駆動機構13(の少なくとも一部)は、棚110の入庫経路111の下側に配置される。このような構成により、アーム部材12は、入庫経路111の幅方向Xの負側へはみ出る位置から、幅方向Xの正側へ移動することで、入庫経路111と重なる位置においても、幅方向Xに移動することができる。これにより、
図3及び
図5に示すように、アーム部材12は複数のローラ部材113間の隙間を通過した状態で荷物150を押し出す。
【0026】
図6を参照して、押出装置2の更に詳細な構成について説明する。
図6は、押出装置2の斜視図である。
図6に示すように、ベース部材11は、幅方向Xの負側において長方形の形状をなす本体部21と、本体部21の幅方向Xの正側の端部21aから、当該幅方向Xの正側へ延びる延長部22と、を有する。延長部22は、端部21aの延在方向Yにおける略中央位置付近から、幅方向Xへ延びる。延長部22は、入庫経路111と出庫経路112との間の支持部材116の下側の位置まで延びる(
図4参照)。なお、本体部21の延在方向Yの両端部のうち、端部21a寄りの位置には、切欠部23が形成される。
【0027】
アーム部材12は、ベース部材11の上側に離間した位置にて、後述のリニアガイドに沿って幅方向Xへ往復移動可能に配置される。アーム部材12は、底部26と、一対の起立部27と、一対の張出部28と、を有する。底部26は、XY平面と平行に広がるように板状に構成され、延在方向Yに延びる。底部26の下面には、スライダ30が設けられる(
図8参照)。一対の起立部27は、延在方向Yにおける底部26の両端部から上方へそれぞれ起立する部分である。一対の張出部28は、一対の起立部27の上端部から幅方向Xの正側へ向かって張り出す部分である。起立部27及び張出部28は、XZ平面と平行に広がるように板状に構成される。一対の張出部28の幅方向Xの正側の端部には、荷物150と接触する接触部29がそれぞれ設けられている。これにより、アーム部材12は、二つの接触部29を有する。接触部29は、荷物150と接触したときに荷物150を傷付けないように、ゴムや樹脂などで構成されていてよい。または張出部28の先端を平滑にするなどして接触部29を形成し、直接荷物に接触させてもよい。なお、接触部29の数(すなわち起立部27及び張出部28の数)は二つに限定されず、一つでもよいし、三つ以上でもよい。接触部29の数が増えることで、大きな荷物150を安定した状態で押し出すことができる。
【0028】
図7を参照して、アーム部材12の形状について更に詳細に説明する。
図7は、倉庫本体部101及び移載装置1を幅方向Xの負側から正側へ向かって見た概略側面図である。
図7は、アーム部材12で荷物150を押し出すときの状態を示す。
図7に示すように、底部26は、入庫経路111のローラ部材113の下側の空間に配置される。起立部27は、一対のローラ部材113間の隙間を通過して、ローラ部材113の上端から上側の位置まで延びる。これにより、張出部28及び接触部29は、ローラ部材113の上端より上側にはみ出した位置に配置される(
図5も参照)。一方の起立部27と他方の起立部27との間には、二本のローラ部材113が存在する。なお、一対の起立部27がどの程度延在方向Yに離間するかは特に限定されない。ここで、支持部材114は、YZ平面と平行に広がった壁部114aを有した状態で、Y方向に延びることで、複数のローラ部材113を支持する。支持部材114は、アーム部材12の起立部27、張出部28、及び接触部29との干渉を回避するために、これらの部材と重なる位置に、切欠部130を有する。以上のような構成により、アーム部材12は複数のローラ部材113間の隙間を通過した状態で、荷物150を押し出すことができる。
【0029】
図4に示すように、押出前の状態では、アーム部材12の接触部29は、支持部材114の壁部114aに対して、幅方向Xに対して負側で対向するように離間した位置に配置される。
図5に示すように、押出完了時には、アーム部材12の接触部29は、支持部材116の上面上を通過して、出庫経路112まで僅かにはみ出る位置に配置される。なお、このときの起立部27は、支持部材116よりも幅方向Xの負側の位置に配置される。
【0030】
図6に戻り、押出駆動機構13について説明する。押出駆動機構13は、リニアガイド31と、無端ベルト32と、駆動部33と、プーリ34とを備える。リニアガイド31は、アーム部材12を支持すると共に、アーム部材12を幅方向Xへガイドする部材である。リニアガイド31は、ベース部材11の上面に固定されている。リニアガイド31は、本体部21の幅方向Xの負側の端部21b付近から、延長部22の幅方向Xの正側の端部22a付近まで延びている。無端ベルト32は、アーム部材12が取り付けられた状態で、幅方向Xへ送られる部材である。
【0031】
図7、
図8を参照して押出駆動機構13について説明する。駆動部33は、幅方向Xにおける負側の端部側で無端ベルト32を駆動させる機器である。駆動部33は、取付ブラケット35を介して本体部21の端部21bよりも幅方向Xの負側にはみ出る位置に設けられる。なお、取付ブラケット35は、リニアガイド31及び無端ベルト32と干渉しないように、これらの部材を幅方向Xの両側から挟むような態様で、本体部21に取り付けられる。駆動部33は、上下方向Zにおいて無端ベルト32に対応する位置に、当該無端ベルト32へ回転駆動力を付与するための駆動プーリ33aを備える(
図8参照)。プーリ34は、幅方向Xにおける正側の端部側で無端ベルト32を支持する部材である(
図6参照)。プーリ34は、延長部22の端部22a付近に設けられる。無端ベルト32は、駆動プーリ33a(
図8参照)とプーリ34によって、幅方向Xの両端部を内周側から支持される。なお、無端ベルトとしてタイミングベルトが採用され、無端ベルト32の内周面、及び各プーリ33a,34には、互いに噛み合うような歯(不図示)が形成されてよい。これにより、無端ベルト32は、駆動プーリ33a(
図8参照)及びプーリ34の延在方向Yの負側の端部間で架け渡される送り部32aと、駆動プーリ33a(
図8参照)及びプーリ34の延在方向Yの正側の端部間で架け渡される戻し部32bと、を有する。アーム部材12は、送り部32aと連結される。これにより、駆動部33は、アーム部材12を幅方向Xの正側に移動させる場合、送り部32aを幅方向Xの正側へ送る。このとき、戻し部32bは幅方向Xの負側へ戻される。駆動部33は、アーム部材12を幅方向Xの負側に移動させる場合、送り部32aを幅方向Xの負側へ送る。このとき、戻し部32bは幅方向Xの正側へ戻される。
【0032】
図8を参照して、押出駆動機構13を幅方向Xから見たときの様子について説明する。
図8は、押出駆動機構13及びアーム部材12を幅方向Xにおける正側から負側へ向かって見た概略図である。
図8に示すように、アーム部材12は、底部26から下方へ延びるスライダ30を介して、リニアガイド31に移動可能に取り付けられている。ここで、リニアガイド31及びスライダ30は、延在方向Yにおいて、無端ベルト32の送り部32aと戻し部32bとの間に配置される。これにより、無端ベルト32の内周側に、リニアガイド31が配置されるような構成となる。なお、アーム部材12は、送り部32aを挟み込む連結部材36,37によって、当該送り部32aに連結される。連結部材36は、底部26から下方へ延びる部材である。連結部材37は、送り部32aを挟んだ状態で、連結部材36と延在方向Yに対向する部材である。連結部材36と連結部材37とをボルトによって互いに接続することによって、送り部32aと連結される。
【0033】
次に、
図9~
図11を参照して、移動機構3について詳細に説明する。
図9は、ベース部材11の本体部21の延在方向Yの正側の端部付近の様子を示す斜視図である。
図10は、ベース部材11の延長部22の幅方向Xの正側の端部22a付近の様子を示す斜視図である。
図11は、ベース部材11を下面側から見た拡大図である。
【0034】
図9に示すように、移動機構3は、走行機構40と、直進駆動機構41と、を備える。走行機構40は、幅方向Xの負側の位置において、押出装置2を走行させるための機構である。走行機構40は、延在方向Yに延びるガイドレール42と、押出装置2を延在方向Yに走行可能とする車輪43と、を備える。
【0035】
ガイドレール42は、フレーム部材120上で支持されると共に、複数のフレーム部材120間に架け渡される部材である(
図4及び
図5参照)。ガイドレール42は、XY平面に平行をなす底壁部44と、底壁部44の幅方向Xの正側の端部から上方へ立ち上がる水平ガイド46と、を備える。底壁部44は、ベース部材11の本体部21の下側に配置される。底壁部44は、直進駆動機構41、後述の第1のガイドローラ71、及び車輪43を配置できる程度の幅方向Xのスペースを有する。底壁部44は、車輪43の走行経路として機能する。なお、水平ガイド46の機能については後述する。
【0036】
車輪43は、本体部21の幅方向Xの負側の端部21bから下方へ屈曲するように延びる支持壁47によって回転可能に軸支されている。なお、車輪43は、本体部21の延在方向Yの負側の端部付近にも設けられる(
図6参照)。
【0037】
直進駆動機構41は、ラックギア51と、ピニオンギア52と、を有する。ラックギア51は、底壁部44の上面に設けられた状態で、延在方向Yに延びる部材である。ラックギア51は、幅方向Xの負側の側面にギア部51aを有する。ピニオンギア52は、駆動部53に取り付けられ、ラックギア51と噛み合う部材である(
図11も参照)。駆動部53は、本体部21の上面に設けられており、回転軸(不図示)が本体部21の下面から下方へ延びている。ピニオンギア52は、駆動部53の回転軸に接続されている。これにより、ピニオンギア52の外周面に形成されたギア部52aが、ラックギア51のギア部51aと噛み合う。ピニオンギア52が回転することによって、当該ピニオンギア52がラックギア51と噛み合いながら当該ラックギア51に沿って延在方向Yへ移動する。これに伴い、押出装置2全体が延在方向Yへ移動する。
【0038】
図10に示すように、移動機構3は、走行機構60を備える。走行機構60は、幅方向Xの正側の位置において、押出装置2を走行させるための機構である。走行機構60は、延在方向Yに延びるガイドレール61と、押出装置2を延在方向Yに走行可能とする車輪62と、を備える。
【0039】
ガイドレール61は、フレーム部材120上で支持されると共に、複数のフレーム部材120間に架け渡される部材である(
図4及び
図5参照)。ガイドレール61は、XY平面に平行をなす底壁部64と、底壁部64の幅方向Xの正側の端部から上方へ立ち上がる側壁部66と、側壁部66の上端から幅方向Xの負側へ屈曲する上壁部67と、を有する。底壁部64は、車輪62の走行経路として機能する。ガイドレール61は、支持部材116をフレーム部材120の上方で支持する部材としての機能も兼ねている(
図4及び
図5参照)。従って、ガイドレール61の上壁部67の上面は、支持部材116を支持する面となる。車輪62は、延長部22の幅方向Xの正側の端部22aから下方へ屈曲するように延びる支持壁68(
図6参照)によって回転可能に軸支されている。
【0040】
図11に示すように、移動機構3は、ガイド機構70を有する。ガイド機構70は、押出装置2の幅方向Xにおける位置決めをすると共に、押出装置2の延在方向Yへの移動をガイドする機構である。ガイド機構70は、前述の水平ガイド46と、第1のガイドローラ71と、ばね部材72(付勢部材)と、第2のガイドローラ73と、を備える。
【0041】
水平ガイド46は、ラックギア51から幅方向Xの正側へ離間した位置にて、延在方向Yへ延びる。また、YZ平面に平行をなすように立ち上がっている。これにより、水平ガイド46は、押出装置2の水平移動をガイドする部材として機能する。
【0042】
第1のガイドローラ71は、水平ガイド46と当接するローラである。第1のガイドローラ71は、上下方向Zに延びる回転軸(不図示)を介して支持プレート74に取り付けられている。支持プレート74は、本体部21の下面に対して回転軸76を介して回動可能に取り付けられている。支持プレート74は、回転軸76から本体部21の延在方向Yの正側の端部の切欠部23へ向かって延びる。第1のガイドローラ71は、当該切欠部23に対応する位置において、支持プレート74と共に回転軸76周りに回動可能に配置されている。
【0043】
支持プレート74の端部には、ばね部材72の一方の端部が固定されている。また、ばね部材72の他方の端部は、本体部21の幅方向Xの正側の端部21a付近に固定されている。このような構成により、ばね部材72は、支持プレート74と共に第1のガイドローラを幅方向Xの正側へ引っ張ることができる。そのため、ばね部材72は、第1のガイドローラを水平ガイド46へ付勢する付勢力F1を発生させることができる。
【0044】
第2のガイドローラ73は、上下方向Zに延びる回転軸(不図示)を介して本体部21の下面に取り付けられている。第2のガイドローラ73は、ラックギア51の背面51bに対して、幅方向Xの正側に配置される。この第2のガイドローラ73は、第1のガイドローラ71を水平ガイド46へ付勢したことによる反力F2により、ラックギア51の背面51bと当接することができる。具体的には、第1のガイドローラ71が水平ガイド46に当接すると、ばね部材72を支持している本体部21が反力を受ける。水平ガイド46は固定された構造物であるため、本体部21が当該水平ガイド46に対して幅方向Xの負側へ移動する。その結果、本体部21に取り付けられた第2のガイドローラ73が、ラックギア51の背面51bに押し付けられるようにして当接する。
【0045】
なお、
図11に示すガイド機構70と同趣旨のガイド機構70は、本体部21における延在方向Yの負側にも設けられる(
図6参照)。そのため、押出装置2は、延在方向Yの両端側においてガイド機構70によってそれぞれ位置決めされた状態で、水平ガイド46にガイドされながら移動することができる。
【0046】
次に、本実施形態に係る移載装置1の作用・効果について説明する。
【0047】
移載装置1は、棚110の幅方向Xへ荷物150を押し出す押出装置2と、押出装置2を棚110の延在方向Yへ移動させる移動機構3と、を備える。従って、移動機構3が、棚の対象物の位置まで押出装置を移動させて、押出装置2が荷物150を押し出すことによって当該荷物150を出庫経路112へ移載することができる。押出装置2は、荷物150を幅方向Xの正側へ押し出すアーム部材12と、幅方向Xへ延びると共に、アーム部材12に幅方向Xへ移動するための駆動力を付与する押出駆動機構13と、を備えている。そのため、アーム部材12は、押出駆動機構13で駆動力を付与されながら幅方向へ移動し、棚110のローラ部材113上の荷物150を押し出すことができる。ここで、押出駆動機構13は棚110の下側に配置されている。そのため、棚110に対する幅方向Xの負側のスペースに配置される押出駆動機構の大きさを小型にすることができる。更に、アーム部材12は複数のローラ部材113間の隙間を通過した状態で荷物150を押し出す。これにより、押出駆動機構13が棚110の下側に配置された場合でも、アーム部材12は、棚110のローラ部材113との干渉を回避した状態で、当該ローラ部材113上の荷物150を押し出すことができる。以上より、移載装置1の小型化を図ることができる。
【0048】
移動機構3は、延在方向Yに延びるラックギア51と、駆動部53に取り付けられ、ラックギア51と噛み合うピニオンギア52と、を有してよい。この場合、移動機構3は、棚110の下側に配置されることで低い位置に配置されている押出装置2を、適切に延在方向へ移動させることができる。本実施形態では、ラックギア51は、押出装置2の更に低い位置にて、車輪43の走行経路としても用いられている底壁部44上に設けられている。そのため、移動機構3は、コンパクトな構成にて、押出装置2を移動させることができる。
【0049】
移動機構3は、延在方向Yに延びて、押出装置2の水平移動をガイドする水平ガイド46と、水平ガイド46と当接する第1のガイドローラ71と、第1のガイドローラ71を水平ガイド46へ付勢するばね部材72と、を更に備えてよい。この場合、移動機構3は、第1のガイドローラ71を水平ガイド46へ付勢することで、押出装置2の幅方向への位置決めをしつつ、水平ガイド46によって延在方向Yへの移動をガイドすることができる。これにより、ラックギア51に対してピニオンギア52が適切に噛み合うことができる状態を維持することができる。
【0050】
移動機構3は、第1のガイドローラ71を水平ガイド46へ付勢したことによる反力F2により、ラックギア51の背面51bと当接する第2のガイドローラ73を更に備えてよい。このように、ラックギア51の背面51b、および第1のガイドローラ71による位置決め時の反力を有効に使って、第2のガイドローラ73で更に位置決めを行うことができる。これにより、低コスト、且つ少ないスペースにて、より正確な位置決めを行うことができる。
【0051】
アーム部材12は、荷物150と接触する接触部29を少なくとも二つ有してよい。この場合、アーム部材12は、少なくとも二つの接触部29で荷物150を安定させた状態で押し出すことができる。
【0052】
押出駆動機構13は、アーム部材12を支持すると共に、アーム部材12を幅方向Xへガイドするリニアガイド31と、アーム部材12が取り付けられた状態で、幅方向Xに送られる無端ベルト32と、幅方向Xにおける一端側で無端ベルト32を駆動させる駆動部33と、幅方向Xにおける他端側で無端ベルト32を支持するプーリ34と、を備え、無端ベルト32の内周側に、リニアガイド31が配置されてよい。この場合、押出駆動機構13は、無端ベルト32を介してアーム部材12に駆動力を付与することができる。その一方で、当該無端ベルト32の内周側のスペースを有効に利用することで、リニアガイド31を低い位置に設置することができる。従って、押出駆動機構13の高さを低く抑えることができ、コンパクトな構成とすることができる。
【0053】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0054】
例えば、倉庫システムの全体構成や、棚の具体的構成は上述のものに限定されない。また上述の実施形態では、棚上搬送部材として延在方向に分割されたローラ部材113の例を示したが、例えば延在方向に分割されたベルトコンベア等であってもよい。
【0055】
また、移載装置の具体的な形状も特に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更可能である。例えば、押出駆動機構は、無端ベルトを用いた駆動方式でなくともよく、ボールネジやリニアモータなどを適宜採用してもよい。また、移動機構の直進駆動機構も、ラックギア及びピニオンギアを用いたものに限定されず、ベルトやボールネジやリニアモータなど、各種駆動方法を適宜採用してよい。また、押出装置に対する水平方向及び垂直方向のガイド機構も特に限定されず、公知のガイド機構を適宜採用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…移載装置、2…押出装置、3…移動機構、12…アーム部材、13…押出駆動機構、29…接触部、31…リニアガイド、32…無端ベルト、33…駆動部、34…プーリ、46…水平ガイド、51…ラックギア、52…ピニオンギア、71…第1のガイドローラ、72…ばね部材(付勢部材)、73…第2のガイドローラ、100…倉庫システム、113…ローラ部材(棚上搬送部材)、150…荷物(対象物)。