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特許7415921端子用樹脂フィルム及びこれを用いた蓄電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】端子用樹脂フィルム及びこれを用いた蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/193 20210101AFI20240110BHJP
   H01M 50/197 20210101ALI20240110BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20240110BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20240110BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20240110BHJP
【FI】
H01M50/193
H01M50/197
H01M50/186
H01M50/178
H01M50/198
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020527553
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2019025221
(87)【国際公開番号】W WO2020004412
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2018121792
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】村木 拓也
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-129105(JP,A)
【文献】特開2002-025535(JP,A)
【文献】国際公開第2000/026976(WO,A1)
【文献】特開2017-120790(JP,A)
【文献】特開2002-337288(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0060526(KR,A)
【文献】国際公開第2016/136640(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/004412(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/004413(WO,A1)
【文献】特開平11-213965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01G 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置及び発電装置の少なくとも一方において電流取出し端子をシールするために使用される端子用樹脂フィルムであって、
第一の層と、前記第一の層の一方の表面上に形成された第二の層と、前記第一の層の他方の表面上に形成された第三の層とを備える多層構造を有し、
前記第一の層は、第一の熱硬化性樹脂からなり、
前記第二の層は、前記電流取出し端子に対する密着性を有する第二の熱硬化性樹脂からなり、
前記第三の層は、第三の熱硬化性樹脂からなり、
前記第二の熱硬化性樹脂は前記第一の熱硬化性樹脂よりも流動性が高く且つ前記第三の熱硬化性樹脂は前記第一の熱硬化性樹脂よりも流動性が高い、端子用樹脂フィルム。
【請求項2】
前記蓄電装置が全固体電池である、請求項1に記載の端子用樹脂フィルム。
【請求項3】
前記第一の層がウレタン樹脂を含み且つ前記第二の層及び前記第三の層がエポキシ樹脂を含む、請求項1又は2に記載の端子用樹脂フィルム。
【請求項4】
前記第一の層がエポキシ樹脂を含み且つ前記第二の層及び前記第三の層がエポキシ樹脂を含む、請求項1又は2に記載の端子用樹脂フィルム。
【請求項5】
蓄電装置本体と、
前記蓄電装置本体から延在する電流取出し端子と、
前記電流取出し端子を挟持し且つ前記蓄電装置本体を収容する外装材と、
前記電流取出し端子と前記外装材と間に配置された、請求項1~のいずれか一項に記載の端子用樹脂フィルムと、
を備える蓄電装置。
【請求項6】
全固体電池である、請求項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置又は発電装置において電流取出し端子をシールするために使用される端子用樹脂フィルム及びこれを用いた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯機器の小型化や自然発電エネルギーの有効活用の要求が増しており、より高い電圧が得られ且つエネルギー密度が高いリチウムイオン電池(蓄電装置の一種)の研究開発が行われている。リチウムイオン電池に用いられる外装材として、従来は金属製の缶が多く用いられてきた。近年、適用する製品の薄型化や多様化等の要求に対し、製造コストが低いという理由から、金属層(例えば、アルミニウム箔)と樹脂フィルムとを含む積層体を袋状にした外装材が多く用いられるようになってきている。
【0003】
上記外装材の内部に電池本体が密封されたリチウムイオン電池は、ラミネート型リチウムイオン電池と称される。このタイプのリチウムイオン電池は、電流取り出し端子(「タブリード」と呼ばれることもある)を備える。電流取出し端子と外装材の密着性を向上させる等の目的で、電流取出し端子の外周の一部を覆うように端子用樹脂フィルム(「タブシーラント」と呼ばれることもある)が配置される場合がある(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-4316号公報
【文献】特開2010-218766号公報
【文献】特開2009-259739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リチウムイオン電池の次世代電池として、全固体電池と称される蓄電装置の研究開発がなされている。全固体電池は、電解物質として有機電解液を使用せず、固体電解質を使用するという特徴を有する。リチウムイオン電池は、電解液の沸点温度(80℃程度)よりも高い温度条件で使用することができないのに対し、全固体電池は100℃を越える温度条件で使用することが可能であるとともに、高い温度条件下(例えば100~150℃)で作動させることによってリチウムイオンの伝導度を高めることができる。
【0006】
しかし、外装材として上記のような積層体を使用し、ラミネート型の全固体電池を製造する場合、端子用樹脂フィルムの耐熱性が不十分であることに起因して全固体電池のパッケージの密封性が不十分になるおそれがある。
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れる端子用樹脂フィルム及びこれを用いた蓄電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る端子用樹脂フィルムは、蓄電装置及び発電装置の少なくとも一方において電流取出し端子をシールするために使用されるものであって、電流取出し端子に対する密着性を有する樹脂組成物からなり、当該樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び融点が160℃以上の熱可塑性樹脂の少なくとも一方を含み、且つ、融点が160℃未満の熱可塑性樹脂を含まないことを特徴とする。
【0009】
従来の端子用樹脂フィルムは、主にポリプロピレンからなり、融点が150℃程度であった。このため、例えば、100~150℃の温度となり得る全固体電池に使用するには耐熱性が不十分である。これに対し、本開示に係る端子用樹脂フィルムは、熱硬化性樹脂及び融点が160℃以上の熱可塑性樹脂の少なくとも一方を含み、且つ、融点が160℃未満の熱可塑性樹脂を含まないため、優れた耐熱性を有する。したがって、蓄電装置又は発電装置が例えば100~150℃の温度条件下で使用されるものであっても、これらの装置のパッケージの密封性を十分に維持できる。また、蓄電装置又は発電装置がその電流取出し端子に大電流が流れることによって電流取出し端子が例えば100~150℃に達するものであっても、これらの装置を構成するパッケージの密封性を十分に維持できる。なお、ここでいう「融点」はJIS K7121-1987に記載の方法に準拠して求められる「融解ピーク温度」を意味し、融解ピークが2個以上独立して現れる場合には最も低い融解ピーク温度が採用される。
【0010】
本開示に係る端子用樹脂フィルムを適用できる蓄電装置として、全固体電池が挙げられる。ただし、これに限定されず、その他の蓄電装置や発電装置に当該端子用樹脂フィルムを適用してもよい。
【0011】
本開示において、上記熱硬化性樹脂として、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を採用すればよい。これらの熱硬化性樹脂は電流取出し端子の表面を構成する金属材料(例えば、アルミニウム及びニッケル)に対する優れた密着性を有するとともに、優れた耐熱性を有する。
【0012】
本開示において、上記熱可塑性樹脂として、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)及びその共重合体、並びに、PETの成分をベースとしたポリエステル系樹脂)、ナイロン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、フッ素樹脂、ポリアミドイミド及びアセチルセルロースからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を採用すればよい。これらの熱可塑性樹脂は電流取出し端子の表面を構成する金属材料(例えば、アルミニウム及びニッケル)に対する優れた密着性を有するとともに、優れた耐熱性を有する。
【0013】
本開示に係る端子用樹脂フィルムは、単層構造であっても多層構造であってもよい。端子用樹脂フィルムが単層構造である場合、端子用樹脂フィルムを構成する樹脂組成物はポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルファイド、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる一種の樹脂であることが好ましい。これらの樹脂からなるフィルムを端子用樹脂フィルムとして使用することで、電流取出し端子に対する密着性(ヒートシール時に樹脂組成物が適度に流動すること)と、電流取出し端子の絶縁性(ヒートシール時に樹脂組成物が流動し過ぎないこと)とを両立しやすいという効果が奏される。
【0014】
端子用樹脂フィルムが多層構造である場合、端子用樹脂フィルムは、融点が170~280℃のポリエステル系樹脂及び融点が260~290℃のポリフェニレンスルファイド(PPS)からなる群から選ばれる一種の樹脂からなる第一の層と、熱硬化性樹脂及び融点が160~280℃の熱可塑性樹脂の一方からなる第二の層とを備える構成とすることができる。第二の層は、第一の層の電流取出し端子と対面する側の表面に形成されていることが好ましい。第一の層を構成する樹脂として、融点が十分に高いPET又はPPSを採用することで、ヒートシール時に第一の層が融解しないため、電流取出し端子の優れた絶縁性を達成できる。
【0015】
端子用樹脂フィルムが上記第一及び第二の層を備える多層構造である場合、第一の層における第二の層が形成されている側と反対側の表面に形成された第三の層を更に備えてもよい。この第三の層は、熱硬化性樹脂又は融点が160~280℃の熱可塑性樹脂からなる構成とすることができる。
【0016】
端子用樹脂フィルムが多層構造である場合、第一の層が熱硬化性樹脂からなるものであってもよい。この場合、端子用樹脂フィルムは、第一の層の少なくとも一方の表面に形成された熱硬化性樹脂層を備え、当該熱硬化性樹脂層は第一の層を構成する熱硬化性樹脂よりも流動性が高いことが好ましい。かかる構成を採用することにより、電流取出し端子に対する優れた密着性を達成できる。
【0017】
本開示は、蓄電装置本体と、蓄電装置本体から延在する電流取出し端子と、電流取出し端子を挟持し且つ蓄電装置本体を収容する外装材と、電流取出し端子と外装材と間に配置された上記端子用フィルムとを備える蓄電装置(例えば、全固体電池)を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、耐熱性に優れる端子用樹脂フィルムこれを用いた蓄電装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本開示に係る蓄電装置の一実施形態である全固体電池を示す斜視図である。
図2図2は外装材の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3図3(a)~(c)は内層の構成を模式的に示す断面図である。
図4図4図1に示すIV-IV線方向の断面図であって、全固体電池のタブ(端子用樹脂フィルム及び金属端子)の構成を模式的に示す図である。
図5図5(a)~(c)は端子用樹脂フィルムの構成を模式的に示す断面図である。
図6図6(a)~(e)は実施例及び比較例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
<蓄電装置>
図1は、本実施形態に係る蓄電装置の概略構成を示す斜視図である。図1では、蓄電装置100の一例として、全固体電池を例に挙げて図示し、以下の説明を行う。なお、図1に示す構成の蓄電装置は、電池パック又は電池セルと呼ばれることがある。
【0022】
蓄電装置100は、全固体電池であり、蓄電装置本体10と、外装材20と、一対の金属端子30(電流取出し端子)と、端子用樹脂フィルム40(タブシーラント)とを備える。蓄電装置本体10は、充放電を行う電池本体である。外装材20は、蓄電装置本体10の表面を覆うとともに、端子用樹脂フィルム40の一部と接触するように配置されている。
【0023】
(外装材)
図2は、外装材20の切断面の一例を示す断面図である。外装材20は、外側から内側(蓄電装置本体10側)に向けて、基材層11と、第一の接着層12aと、第一の腐食防止処理層13aと、バリア層(金属箔層)15と、第二の腐食防止処理層13bと、第二の接着層12bと、内層18とをこの順序で備える多層構造を有することが好ましい。内層18がPET及び/又はその共重合体を含み且つ160~280℃の範囲に融解ピーク温度を有することで、例えば、100~150℃の温度条件下で使用される蓄電装置100(全固体電池)の外装材に求められる耐熱性を外装材20が達成し得る。なお、本開示においてPETの共重合体は、ポリエチレンテレフタラートの単位と、他の樹脂の単位とを含む共重合体を意味する。他の樹脂として、例えば、ポリブチレンテレフタラートが挙げられる。
【0024】
内層18は、ポリエチレンテレフタラート(PET)及び/又その共重合体を含み且つ160~280℃の範囲に融解ピーク温度を有する。基材層11は、内層18の融解ピーク温度よりも高い融解ピーク温度を有することが好ましい。基材層11が内層18の融解ピーク温度よりも高い融解ピーク温度を有することで、ヒートシール時に基材層11(外側の層)が融解することに起因して外観が悪くなることを抑制できる。以下、まず、内層18及び基材層11について説明する。
【0025】
内層18としては、市販の結晶性PETフィルム(融解ピーク温度:約255℃)を使用することができる。内層18に求められる耐熱性(蓄電装置100の作動温度条件等)に応じて、内層18の融解ピーク温度を上記範囲内で調整してもよく、例えば、結晶性PETフィルムの結晶化度を調整したり、無延伸としたり、ポリエチレンテレフタラートの単位と、他の樹脂の単位とを含む共重合体としたり、結晶性PETと非晶性PETとを含むPETフィルムを使用したりしてもよい。あるいは、PETの成分をベースとしたポリエステル系樹脂を内層18の材料として使用してもよい。かかるポリエステル系樹脂は、エチレングリコールに由来する構造単位及びテレフタル酸に由来する構造単位と、その他の構造単位とを有する。このポリエステル系樹脂の構造単位の由来となる二価アルコール成分として、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタジオール、ジエチレングリコール等が挙げられる。このポリエステル系樹脂の構造単位の由来となる酸成分として、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらの構造単位の量を調整することで、ポリエステル系樹脂の融点を調整できる。以下、PETの共重合体及びPETの成分をベースとした上記ポリエステル系樹脂をPET系樹脂という。
【0026】
内層18の融解ピーク温度は、上述のとおり、160~280℃の範囲である。この温度が160℃未満であると、内層18の耐熱性が不十分となり、280℃を越えるとヒートシールに要する温度が過度に高くなる。内層18の融解ピーク温度の下限値は、165℃、175℃、185℃、195℃、200℃、205℃、215℃、225℃又は235℃であってもよい。内層18の融解ピーク温度の上限値は、275℃、268℃、262℃又は252℃であってもよい。
【0027】
内層18は、単層構造であっても多層構造であってもよい。図3(a)に示すように、内層18が単層構造である場合、内層18は、例えば、結晶性PETフィルム(融解ピーク温度:約255℃)であってもよいし、結晶性PETフィルムの結晶化度を調整したり、無延伸としたり、PET系樹脂を使用して融解ピーク温度を例えば160~250℃の範囲まで低温化させたものであってもよい。なお、融解ピーク温度が低温化されたPETフィルム又はPET系樹脂フィルムを内層18として使用する場合、基材層11として、結晶性PETフィルム(融解ピーク温度:約255℃)を使用することが可能である。
【0028】
内層18が単層構造である場合、内層18の厚さは好ましくは10~100μmであり、より好ましくは20~80μmである。内層18の厚さが10μm以上であることで密封性及び絶縁性を確保しやすく、他方、100μm以下であることで低コスト化を図ることができる。
【0029】
図3(b)に示すように、内層18は、第一の層18aと、第一の層18aの内側の表面上に形成された第二の層18bとを有する二層構造であってもよい。第一の層18aは、PET及び/又はPET系樹脂を含み且つ融解ピーク温度が170~280℃であることが好ましい。第二の層18bは、PET及び/又はPET系樹脂を含み且つ第一の層18aの融解ピーク温度よりも低い融解ピーク温度を有することが好ましい。第二の層18bの融解ピーク温度は、例えば、160~270℃の範囲であればよい。第一の層18aの融解ピーク温度Tと第二の層18bの融解ピーク温度Tの差(T-T)は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20~100℃である。この温度差が10℃以上であることで、一層優れたシール強度を達成できる。
【0030】
第一の層18aの厚さは好ましくは5~500μmであり、より好ましくは20~200μmである。第一の層18aの厚さが5μm以上であることで絶縁性を確保しやすく、他方、500μm以下であることで低コスト化を図ることができる。
【0031】
第二の層18bは、耐熱性及びシール強度の観点から、PET及び/又PET系樹脂の代わりに、熱硬化性樹脂を含むものであってもよいし、PET及び/又PET系樹脂と熱硬化性樹脂の両方を含むものであってもよい。熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂及びシリコーン樹脂が挙げられる。これらのうち、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0032】
第二の層18bの厚さは好ましくは5~500μmであり、より好ましくは20~200μmである。第二の層18bの厚さが5μm以上であることで密封性を確保しやすく、他方、500μm以下であることで低コスト化を図ることができる。
【0033】
図3(c)に示すように、内層18は、第一の層18aと、第二の層18bと、第一の層18aにおける第二の層18bが形成されている側と反対側の表面に形成された第三の層18cと有する三層構造であってもよい。第三の層18cは、PETを含み且つ第一の層18aの融解ピーク温度よりも低い融解ピーク温度を有することが好ましい。第三の層18cの融解ピーク温度は、例えば、160~270℃の範囲であればよい。第一の層18aの融解ピーク温度Tと第三の層18cの融解ピーク温度Tの差(T-T)は、好ましくは10℃以上である。この温度差が10℃以上であることで、一層優れたシール強度を達成できる。
【0034】
第三の層18cは、耐熱性及びシール強度の観点から、PET及び/又PET系樹脂の代わりに、熱硬化性樹脂を含むものであってもよいし、PET及び/又PET系樹脂と熱硬化性樹脂の両方を含むものであってもよい。熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂及びシリコーン樹脂が挙げられる。これらのうち、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0035】
第三の層18cの厚さは好ましくは5~500μmであり、より好ましくは20~200μmである。第三の層18cの厚さが5μm以上であることで高いシール強度を確保しやすく、他方、500μm以下であることで低コスト化を図ることができる。なお、上述の第二の層18bと第三の層18cは同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。内層18は、例えば、各種添加剤(例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等)を含んでもよい。
【0036】
基材層11は、上述のとおり、内層18の融解ピーク温度よりも高い融解ピーク温度を有する。内層18が多層構造である場合、内層18の融解ピーク温度は最も融解ピーク温度が高い層(例えば第一の層18a)の融解ピーク温度を意味する。基材層11の融解ピーク温度は、内層18の融解ピーク温度より10℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましい。基材層11として使用でき且つ上記範囲の融解ピーク温度を有する樹脂フィルムとしては、ナイロンフィルム、PETフィルム、ポリアミドフィルム、ポリフェニレンスルファイドフィルム(PPSフィルム)などが挙げられる。基材層11として、市販のフィルムを使用してもよいし、コーティング(塗工液の塗布及び乾燥)によって基材層11を形成してもよい。なお、基材層11は単層構造であっても多層構造であってもよく、熱硬化性樹脂を塗工することによって形成してもよい。また、基材層11は、例えば、各種添加剤(例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等)を含んでもよい。
【0037】
基材層11の融解ピーク温度T11と内層18の融解ピーク温度T18の差(T11-T18)は、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは40~100℃である。この温度差が20℃以上であることで、ヒートシールに起因する外装材20の外観の悪化をより一層十分に抑制できる。基材層11の厚さは好ましくは5~50μmであり、より好ましくは12~30μmである。
【0038】
次に、第一の接着層12a、第一の腐食防止処理層13a、バリア層(金属箔層)15、第二の腐食防止処理層13b及び第二の接着層12bについて説明する。これらの層は、上述の内層18及び基材層11と同等又はこれを越える耐熱性を有する。
【0039】
接着層12a,12bは、十分な耐熱性を有するものであればよく、例えば、一般的なドライラミネーション用接着剤や、酸変性された熱融着性樹脂、熱硬化性接着剤等の公知の接着剤を適宜選択して用いることができる。熱硬化性接着剤として、例えば、ポリエステルウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤が挙げられる。
【0040】
バリア層15は、導電性を有する金属層である。バリア層15の材料としては、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等を例示することができるが、コストや重量(密度)等の観点から、アルミニウムが好適である。腐食防止処理層13a,13bはバリア層15を保護するためのものである。腐食防止処理層13a,13bの一例として、希土類元素酸化物(例えば、酸化セリウム)、並びに、リン酸又はリン酸塩を含む層が挙げられる。なお、図2に示すように、腐食防止処理層13a,13bがバリア層15の両面に形成されていることが性能上好ましいが、コスト面を考慮して、腐食防止処理層13bのみを配置してもよい。
【0041】
(金属端子)
図4は、図1に示す端子用樹脂フィルム及び金属端子のIV-IV線方向の断面図である。一対(図1の場合、2つ)の金属端子30,30のうち、一方の金属端子30は、蓄電装置本体10の正極と電気的に接続されており、他方の金属端子30は、蓄電装置本体10の負極と電気的に接続されている。一対の金属端子30,30は、蓄電装置本体10から外装材20の外部まで延びている。一対の金属端子30,30の形状は、例えば、平板形状とすることができる。
【0042】
金属端子30の材料としては、金属を用いることができる。金属端子30の材料となる金属は、蓄電装置本体10の構造や蓄電装置本体10の各構成要素の材料等を考慮して決めればよい。例えば、蓄電装置100が全固体電池の場合、蓄電装置本体10の正極と接続される金属端子30の材料としては、アルミニウムを用いることが好ましい。蓄電装置本体10の負極と接続される金属端子30の材料としては、表面にニッケルめっき層が形成された銅、もしくはニッケルを用いることが好ましい。
【0043】
金属端子30の厚さは、全固体電池のサイズや容量に依存する。全固体電池が小型の場合、金属端子30の厚さは、例えば、50μm以上にするとよい。また、蓄電・車載用途等の大型の全固体電池の場合、金属端子30の厚さは、例えば、100~500μmの範囲内で適宜設定することができる。
【0044】
(端子用樹脂フィルム)
図4に示すように、端子用樹脂フィルム40は、金属端子30の一部の外周面を覆うように配置されている。金属端子30と外装材20との間に端子用樹脂フィルム40を配置されることで、蓄電装置100の密封性及び絶縁性をより一層高度に達成することができる。端子用樹脂フィルム40は、上述の内層18及び基材層11と同等又はこれを越える耐熱性を有する。
【0045】
端子用樹脂フィルム40は、金属端子30に対する密着性を有する樹脂組成物からなり、当該樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び融解ピーク温度(融点)が160℃以上の熱可塑性樹脂の少なくとも一方を含み、且つ、融解ピーク温度が160℃未満の熱可塑性樹脂を含まないものである。かかる構成の端子用樹脂フィルム40によれば、蓄電装置が例えば100~150℃の温度条件下で使用されるものであっても、金属端子30の温度が例えば100~150℃に達するものであっても、蓄電装置100の密封性を十分に維持できる。当該樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び融解ピーク温度(融点)が200℃以上の熱可塑性樹脂の少なくとも一方を含み、且つ、融解ピーク温度が200℃未満の熱可塑性樹脂を含まないものであってもよい。
【0046】
端子用樹脂フィルム40に採用する熱硬化性樹脂として、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は金属端子30の表面を構成する金属材料(例えば、アルミニウム及びニッケル)に対する優れた密着性を有するとともに、優れた耐熱性を有する。
【0047】
端子用樹脂フィルム40に採用する熱可塑性樹脂として、PET、上記PET系樹脂、ナイロン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、フッ素樹脂、ポリアミドイミド及びアセチルセルロースからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を採用すればよい。これらの熱可塑性樹脂は金属端子30の表面を構成する金属材料(例えば、アルミニウム及びニッケル)に対する優れた密着性を有するとともに、優れた耐熱性を有する。
【0048】
端子用樹脂フィルム40は、単層構造であっても多層構造であってもよい。端子用樹脂フィルム40が単層構造である場合(図5(a)参照)、端子用樹脂フィルム40を構成する樹脂組成物はPET、上記PET系樹脂、ポリフェニレンスルファイド、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる一種の熱可塑性樹脂、及び/又は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる一種の熱硬化性樹脂であることが好ましい。これらの樹脂からなるフィルムを端子用樹脂フィルム40として使用することで、金属端子30に対する密着性(ヒートシール時に樹脂組成物が適度に流動すること)と、金属端子30の絶縁性(ヒートシール時に樹脂組成物が流動し過ぎないこと)とを両立しやすいという効果が奏される。
【0049】
端子用樹脂フィルム40が多層構造である場合、端子用樹脂フィルム40は、融解ピーク温度が170~270℃のPET及び/又PET系樹脂あるいは融解ピーク温度が260~300℃のポリフェニレンスルファイド(PPS)からなる第一の層40aと、第一の層40aの金属端子30と対面する側の表面に形成された熱硬化性樹脂又は融解ピーク温度が160~270℃の熱可塑性樹脂からなる第二の層40bとを備える構成とすることができる(図5(b)参照)。第一の層40aを構成する樹脂として、融解ピーク温度が十分に高いPET及び/又PET系樹脂あるいはPPSを採用することで、ヒートシール時に第一の層40aが融解しないため、金属端子30の優れた絶縁性を達成できる。第一の層40aを構成するPET又はPET系樹脂の融解ピーク温度は210℃以上であってもよい。第二の層40bを構成するPET又はPET系樹脂の融解ピーク温度は200℃以上であってもよい。第一の層40aの融解ピーク温度Sと第二の層40bの融解ピーク温度Sの差(S-S)は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20~100℃である。この温度差が10℃以上であることで、金属端子30の優れた絶縁性を達成できる。
【0050】
第一の層40aの厚さは好ましくは5~500μmであり、より好ましくは20~200μmである。第一の層40aの厚さが5μm以上であることで絶縁性を確保しやすく、他方、500μm以下であることで低コスト化を図ることができる。第二の層40bの厚さは好ましくは5~500μmであり、より好ましくは20~200μmである。第二の層40bの厚さが5μm以上であることで密封性を確保しやすく、他方、500μm以下であることで低コスト化を図ることができる。
【0051】
端子用樹脂フィルム40が第一及び第二の層40a,40bを備える多層構造である場合、第一の層40aにおける第二の層40bが形成されている側と反対側の表面に形成された第三の層40cを更に備えてもよい(図5(c)参照)。第三の層40cは、熱硬化性樹脂又は融解ピーク温度が160~270℃の熱可塑性樹脂からなる構成とすることができる。
【0052】
第一の層40aが熱硬化性樹脂からなる場合、第二の層40bとして第一の層40aを構成する熱硬化性樹脂よりも流動性が高い熱硬化性樹脂を採用することが好ましい。かかる構成により、ヒートシール時に第二の層40bによって金属端子30に対する優れた密着性を達成できる。更に、第三の層40cとして、第一の層40aを構成する熱硬化性樹脂よりも流動性が高い熱硬化性樹脂を採用してもよい。かかる構成により、密封性がより一層優れる蓄電装置100を得ることができる。
【0053】
第三の層40cの厚さは好ましくは5~500μmであり、より好ましくは20~200μmである。第三の層40cの厚さが5μm以上であることで密封性を確保しやすく、他方、500μm以下であることで低コスト化を図ることができる。
【0054】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、端子用樹脂フィルム40が適用される蓄電装置として電固体電池を例示したが、端子用樹脂フィルム40をその他の蓄電装置(例えば、リチウムイオン電池)又は発電装置に適用に適用してもよい。
【実施例
【0055】
以下、実施例に基づいて本開示をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
<外装材の作製>
基材層として、融解ピーク温度が300℃の高耐熱ポリアミドフィルム(ユニチカ株式会社製、厚さ:25μm)を準備した。金属箔層として、アルミニウム箔(厚さ:40μm)を準備した。内層として、融解ピーク温度が255℃のPETフィルム(厚さ:75μm、単層構造)を準備した。基材層と金属箔層とを熱硬化性接着剤(ポリエステルウレタン系)で貼り合わせるとともに、これと同じ接着剤で金属箔層と内層とを貼り合わせることによって十分に耐熱性を有する外装材を得た。
【0057】
<端子用樹脂フィルム(単層構造)の作製>
(実施例1)
端子用樹脂フィルム(単層構造)として、エポキシ樹脂フィルム(厚さ:100μm)を準備した。
【0058】
(実施例2)
端子用樹脂フィルム(単層構造)として、ウレタン樹脂フィルム(厚さ:100μm)を準備した。
【0059】
(実施例3)
端子用樹脂フィルム(単層構造)として、ナイロンフィルム(厚さ:100μm、融点:225℃)を準備した。
【0060】
(実施例4)
端子用樹脂フィルム(単層構造)として、PETフィルム(厚さ:100μm、融点:255℃)を準備した。
【0061】
(実施例5)
端子用樹脂フィルム(単層構造)として、ポリエステル共重合体フィルム(厚さ:100μm、融点160℃)を使用した。
【0062】
(実施例6)
端子用樹脂フィルム(単層構造)として、PPSフィルム(厚さ:100μm、融点:290℃)を準備した。
【0063】
(比較例1)
端子用樹脂フィルム(単層構造)として、PPフィルム(厚さ:100μm、融点:140℃)を準備した。
【0064】
<端子用樹脂フィルム(二層構造)の作製>
(実施例7)
以下のフィルムを貼り合わせることにより、第一の層及び第二の層からなる二層構造の端子用樹脂フィルムを作製した。
・第一の層:エポキシ樹脂フィルム(厚さ:50μm)
・第二の層:PETフィルム(厚さ:50μm、融点:255℃)
【0065】
(実施例8)
以下のフィルムを貼り合わせることにより、第一の層及び第二の層からなる二層構造の端子用樹脂フィルムを作製した。
・第一の層:ウレタン樹脂フィルム(厚さ:50μm)
・第二の層:エポキシ樹脂フィルム(厚さ:50μm)
【0066】
(実施例9)
以下のフィルムを貼り合わせることにより、第一の層及び第二の層からなる二層構造の端子用樹脂フィルムを作製した。
・第一の層:エポキシ樹脂フィルム(厚さ:50μm)
・第二の層:エポキシ樹脂フィルム(厚さ:50μm)
【0067】
(実施例10)
以下のフィルムを貼り合わせることにより、第一の層及び第二の層からなる二層構造の端子用樹脂フィルムを作製した。
・第一の層:PPSフィルム(厚さ:50μm、融点:290℃)
・第二の層:PETフィルム(厚さ:50μm、融点:255℃)
【0068】
(実施例11)
以下のフィルムを貼り合わせることにより、第一の層及び第二の層からなる二層構造の端子用樹脂フィルムを作製した。
・第一の層:PPSフィルム(厚さ:50μm、融点:290℃)
・第二の層:エポキシ樹脂フィルム(厚さ:50μm)
【0069】
(比較例2)
以下のフィルムを貼り合わせることにより、第一の層及び第二の層からなる二層構造の端子用樹脂フィルムを作製した。
・第一の層:エポキシ樹脂フィルム(厚さ:50μm)
・第二の層:PPフィルム(厚さ:50μm、融点:140℃)
【0070】
(比較例3)
以下のフィルムを貼り合わせることにより、第一の層及び第二の層からなる二層構造の端子用樹脂フィルムを作製した。
・第一の層:PPフィルム(厚さ:50μm、融点:140℃)
・第二の層:エポキシ樹脂フィルム(厚さ:50μm)
【0071】
(比較例4)
以下のフィルムを貼り合わせることにより、第一の層及び第二の層からなる二層構造の端子用樹脂フィルムを作製した。
・第一の層:PPフィルム(厚さ:50μm、融点:140℃)
・第二の層:PETフィルム(厚さ:50μm、融点:255℃)
【0072】
<絶縁性の評価>
図6(a)~図6(e)を参照しながら、電流取出し端子に対する密着性の評価方法を説明する。外装材を120mm×200mmにカットしたサンプル50を、内層が成型機の凸部に接するように冷間成型用金型にセットし、成型速度15mm/秒で2.0mmの絞り加工を施して凹部51を形成した。その後、サンプル50を2つ折りにした(図6(a)参照)。次いで、金属端子52(材質:アルミニウム)と実施例及び比較例に係る各端子用樹脂フィルム53とを間に挟んだ状態で100mmの上辺部54をヒートシールした(図6(b)参照)。その後、120mmの側辺部55及び100mmの下辺部56をヒートシールした(図6(c)参照)。電極を接触させるために、サンプル50の外層の一部を削って金属箔層の露出部57を形成した(図6(d)参照)。次いで、60℃のオーブンに1週間保管した後、タブ52と金属箔層の露出部57に電極58a,58bをそれぞれ接続し、耐電圧・絶縁抵抗試験器(KIKUSUI製、「TOS9201」)を用いて25Vを印加し、そのときの抵抗値を測定した(図6(e)参照)。
A:200MΩ以上
B: 30MΩ以上200MΩ未満
C: 30MΩ未満
【0073】
<電流取出し端子に対する密着性の評価>
金属箔層の露出部46を形成しなかったことの他は、上記絶縁性の評価と同様にして測定用試料を作製した。実施例及び比較例に係る各試料における電流取出し端子と端子用フィルムの接合部に赤色の浸透液(株式会社タセト製)を吹きかけた。10分経過後、試料を解体して内部への浸透液の浸入の有無(赤色の程度)を目視で確認することによって密着性の評価を行った。評価は以下の基準に従って行い、評価Cを不適とした。表1~4に結果を示す。
A:浸透液の浸入が認められない。
B:浸透液のパッケージ内部への浸入は認められないものの、電流取出し端子と端子用フィルムの接合部の途中まで浸透液が浸入している。
C:浸透液の浸入によってパッケージ内部の一部が赤色に染まっている。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示によれば、耐熱性に優れる端子用樹脂フィルムこれを用いた蓄電装置が提供される。
【符号の説明】
【0079】
10…蓄電装置本体、20…外装材、30…金属端子(電流取出し端子)、40…端子用樹脂フィルム、40a…第一の層、40b…第二の層、40c…第三の層、100…蓄電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6