(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電磁クラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 27/112 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
F16D27/112 J
(21)【出願番号】P 2021007298
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘 和真
(72)【発明者】
【氏名】黒畑 清
(72)【発明者】
【氏名】林 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】小西 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】櫻場 茂圭
(72)【発明者】
【氏名】永橋 広樹
【審査官】中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-120368(JP,A)
【文献】特表2018-538489(JP,A)
【文献】特開2015-209901(JP,A)
【文献】特開2005-114104(JP,A)
【文献】特開2004-278778(JP,A)
【文献】特開平9-14298(JP,A)
【文献】国際公開第2017/182034(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0038810(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 27/112
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁コイル(58)を有し所定の回転軸(Ax)を中心に回転するロータ(50)から従動体(70)にトルクを伝達する状態と遮断する状態とを切り替える電磁クラッチにおいて、
前記ロータの回転軸方向の一方側で前記ロータに対向して設けられ、外周側に設けられる外輪部(11)、前記外輪部に対して回転軸側に設けられる内輪部(12)、および、前記外輪部と前記内輪部との間で周方向に円弧状に延びる長穴(13)を有し、前記電磁コイルの発生する磁気吸引力により前記ロータに当接可能なアーマチャ(10)と、
前記アーマチャに固定され、前記アーマチャのうち前記ロータとは反対側の面に向き合う対向壁(21)、前記対向壁から前記ロータの回転軸方向に延びる立壁(22)、および、前記立壁のうち前記対向壁とは反対側の部位から前記ロータの回転軸に垂直に延びるフランジ(23)を有し、前記アーマチャと共に回転するアウタープレート(20)と、
前記アーマチャと前記アウタープレートとの間に設けられ、前記立壁に向き合う内側立壁(34)、および、前記フランジに向き合う内側フランジ(35)を有し、前記従動体にトルクを伝えるインナーハブ(30)と、
前記内側フランジと前記フランジとの間に設けられる付勢部(41)、前記立壁のうち回転方向に向く面と前記内側立壁のうち回転方向に向く面との間に設けられる緩衝部(42)、および、前記対向壁と前記アーマチャとの間に設けられる制振部(43)を有する弾性部材(40)と、を備え、
前記対向壁および前記アーマチャの少なくとも一方には、前記対向壁と前記立壁とが接続する部位(21a)と前記アーマチャとの距離(D1)に比べて、前記アーマチャと前記対向壁との距離(D2、D3)を遠くする凹み形状部(16、25)が設けられている、電磁クラッチ。
【請求項2】
前記凹み形状部は、前記対向壁のうち前記アーマチャの前記長穴と対向する部位で前記アーマチャの前記内輪部と前記外輪部とを跨ぐ位置に設けられ、前記アーマチャからの距離(D2)が遠くなるように凹むアウタープレート凹部(25)である、請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項3】
前記アウタープレートの前記対向壁と前記アーマチャとを固定するリベット(15)をさらに備え、
前記アウタープレート凹部は、前記アウタープレートにおいて前記立壁と前記対向壁とが接続する箇所と前記リベットが設けられる箇所との間の部位に設けられている、請求項2に記載の電磁クラッチ。
【請求項4】
前記アウタープレートの前記対向壁と前記アーマチャとを固定するリベット(15)をさらに備え、
前記リベットは、前記アウタープレートにおいて前記立壁のうち回転方向を向く面(22a)と前記アウタープレート凹部との間の部位に設けられている、請求項2に記載の電磁クラッチ。
【請求項5】
前記制振部は、前記アウタープレート凹部のうち前記アーマチャ側の面と前記アーマチャのうち前記アウタープレート凹部側の面とにそれぞれ当接し、前記アウタープレート凹部と前記アーマチャとの間に圧縮された状態で設けられる厚肉部(44)を有している、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の電磁クラッチ。
【請求項6】
前記凹み形状部は、前記アーマチャのうち前記長穴を含む部位に設けられ、前記対向壁からの距離(D3)が遠くなるように凹むアーマチャ凹部(16)である、請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項7】
前記制振部は、前記アーマチャ凹部の前記対向壁側の面と前記対向壁のうち前記アーマチャ凹部側の面とにそれぞれ当接し、前記アーマチャ凹部と前記対向壁との間に圧縮された状態で設けられる厚肉部(46)を有している、請求項6に記載の電磁クラッチ。
【請求項8】
電磁コイル(58)を有し所定の回転軸(Ax)を中心に回転するロータ(50)から従動体(70)にトルクを伝達する状態と遮断する状態とを切り替える電磁クラッチにおいて、
前記ロータの回転軸方向の一方側で前記ロータに対向して設けられ、外周側に設けられる外輪部(11)、前記外輪部に対して回転軸側に設けられる内輪部(12)、および、前記外輪部と前記内輪部との間で周方向に円弧状に延びる長穴(13)を有し、前記電磁コイルの発生する磁気吸引力により前記ロータに当接可能なアーマチャ(10)と、
前記アーマチャに固定され、前記アーマチャのうち前記ロータとは反対側の面に向き合う対向壁(21)、前記対向壁から前記ロータの回転軸方向に延びる立壁(22)、および、前記立壁のうち前記対向壁とは反対側の部位から前記ロータの回転軸に垂直に延びるフランジ(23)を有し、前記アーマチャと共に回転するアウタープレート(20)と、
前記アーマチャと前記アウタープレートとの間に設けられ、前記立壁に向き合う内側立壁(34)、および、前記フランジに向き合う内側フランジ(35)を有し、前記従動体にトルクを伝えるインナーハブ(30)と、
前記フランジと前記内側フランジとの間に設けられる付勢部(41)、前記立壁のうち回転方向に向く面と前記内側立壁のうち回転方向に向く面との間に設けられる緩衝部(42)、および、前記対向壁と前記アーマチャとの間に設けられる制振部(43)を有する弾性部材(40)と、を備え、
前記対向壁には、前記対向壁を径方向内側の部位(21c)と径方向外側の部位(21d)とに分断し、前記対向壁のうち前記径方向内側の部位と前記対向壁のうち前記径方向外側の部位との磁気抵抗を大きくする磁気抵抗穴(27)が前記アーマチャの前記長穴と向き合う位置に設けられている、電磁クラッチ。
【請求項9】
前記対向壁には、前記対向壁と前記立壁とが接続する部位(21a)と前記アーマチャとの距離(D1)に比べて、前記アーマチャと前記対向壁との距離(D2)が遠くなるように凹むアウタープレート凹部(25)が設けられており、前記磁気抵抗穴は前記アウタープレートの前記対向壁において前記アウタープレート凹部を含む位置に設けられている、請求項8に記載の電磁クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁クラッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動体から従動体にトルクを伝達する状態と遮断する状態とを切り替える電磁クラッチが知られている。
特許文献1に記載の電磁クラッチは、エンジンの動力により回転する駆動体としてのロータから、従動体としてのエアコン用コンプレッサにトルクを伝達するハブである。この電磁クラッチは、ロータに対向して設けられるアーマチャと、そのアーマチャに固定されるアウタープレートと、アーマチャとアウタープレートとの間に設けられるインナーハブおよび弾性部材を備えている。
【0003】
この電磁クラッチの備えるアーマチャは円環状に成形され、外周側に設けられる外輪部と、その外輪部に対して回転軸側に設けられる内輪部と、外輪部と内輪部との間で周方向に円弧状に延びる長穴を有している。一方、ロータも円環状に成形され、ロータ内径部と、ロータ中央部と、ロータ外径部を有している。この構成により、ロータの内側に設けられた電磁コイルへの通電時に、「ロータ内径部-アーマチャ内輪部-ロータ中央部-アーマチャ外輪部-ロータ外径部」というようにロータとアーマチャとの間を複数回往復するように磁束が流れる。これにより、この電磁クラッチは、ロータとアーマチャとの磁気吸引力を増加している。
【0004】
また、この電磁クラッチは、アーマチャとアウタープレートとの間に弾性部材を挟み込む構成としている。そして、アーマチャの有する内輪部と外輪部とに跨がるように弾性部材を配置し、アウタープレートにより弾性部材をアーマチャに押し付けている。これにより、この電磁クラッチは、電磁コイルの通電時に、弾性部材によりアーマチャの内輪部および外輪部の振動を抑え、作動音を低減している。なお、作動音には、電磁コイルの通電時においてアーマチャがロータに接触する際に発生する接触音、および、アーマチャとロータとの滑りにより発生する振動を加振源とする共振音が含まれる。
【0005】
さらに、この電磁クラッチは、アウタープレートのうち回転方向を向く面と、インナーハブのうち回転方向を向く面との間にも弾性部材を挟み込む構成としている。これにより、この電磁クラッチは、トルク変動に対する耐久性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の電磁クラッチは、作動音を低減するためアウタープレートと弾性部材とがアーマチャの有する内輪部と外輪部とに跨がって配置されているので、アーマチャとアウタープレートとの間で磁束漏れが生じることが懸念される。具体的には、電磁コイルへの通電時に、「アーマチャ内輪部-アウタープレート-アーマチャ外輪部」に流れる磁束量が増加し、「アーマチャ内輪部-ロータ中央部-アーマチャ外輪部」を流れる磁束量が減少する。これにより、ロータとアーマチャとの磁気吸引力が弱くなると、ロータから従動体へのトルク伝達性が悪化するおそれがある。
【0008】
なお、アーマチャとアウタープレートとの間の磁束漏れを防ぐため、アウタープレートとアーマチャとの間に配置される弾性部材の厚み(すなわち、弾性部材における電磁クラッチの回転軸方向の距離)を全体的に厚くすることが考えられる。しかし、そうすると、アウタープレートのうち回転方向を向く面の高さ(すなわち、アウタープレートのうち回転方向を向く面における電磁クラッチの回転軸方向の距離)が低くなる。そのため、アウタープレートのうち回転方向を向く面と、インナーハブのうち回転方向を向く面との間に配置される弾性部材も小さくなり、トルク変動に対する耐久性が低下するといった背反がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、作動音を低減し、耐久性を高め、さらに磁気性能の向上によりトルク伝達性を高めることの可能な電磁クラッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、電磁コイル(58)を有し所定の回転軸(Ax)を中心に回転するロータ(50)から従動体(70)にトルクを伝達する状態と遮断する状態とを切り替える電磁クラッチにおいて、アーマチャ(10)、アウタープレート(20)、インナーハブ(30)および弾性部材(40)を備える。アーマチャは、ロータの回転軸方向の一方側でロータに対向して設けられ、外周側に設けられる外輪部(11)、その外輪部に対して回転軸側に設けられる内輪部(12)、および、外輪部と内輪部との間で周方向に円弧状に延びる長穴(13)を有し、電磁コイルの発生する磁気吸引力によりロータに当接可能である。アウタープレートは、アーマチャに固定され、アーマチャのうちロータとは反対側の面に向き合う対向壁(21)、その対向壁からロータの回転軸方向に延びる立壁(22)、および、その立壁のうち対向壁とは反対側の部位からロータの回転軸に垂直に延びるフランジ(23)を有し、アーマチャと共に回転する。インナーハブは、アーマチャとアウタープレートとの間に設けられ、立壁に向き合う内側立壁(34)、および、フランジに向き合う内側フランジ(35)を有し、従動体にトルクを伝える。弾性部材は、フランジと内側フランジとの間に設けられる付勢部(41)、立壁のうち回転方向に向く面と内側立壁のうち回転方向に向く面との間に設けられる緩衝部(42)、および、対向壁とアーマチャとの間に設けられる制振部(43)を有する。
そして、対向壁およびアーマチャの少なくとも一方には、対向壁と立壁とが接続する部位(21a)とアーマチャとの距離(D1)に比べて、アーマチャと対向壁との距離(D2、D3)を遠くする凹み形状部(16、25)が設けられている。
【0011】
これによれば、アウタープレートの有する対向壁により弾性部材の制振部をアーマチャの内輪部および外輪部に押し付けることで、電磁コイルの通電時におけるアーマチャの内輪部および外輪部の振動を抑え、作動音を低減することができる。
また、アウタープレートの有する対向壁と立壁とが接続する部位とアーマチャとの距離を近くすることで、電磁クラッチの回転軸方向の体格を大型化することなく、立壁および緩衝部の高さ(すなわち回転軸方向の距離)を大きくすることが可能となるので、トルク変動に対する耐久性を高めることができる。
さらに、対向壁およびアーマチャの少なくとも一方に設けた凹み形状部によりアーマチャと対向壁との距離を遠くすることで、電磁コイルの通電時に「アーマチャ内輪部-対向壁-アーマチャ外輪部」による磁路の磁気抵抗を大きくすることが可能となる。そのため、電磁コイルの通電時にアーマチャとアウタープレートとの間の磁束漏れが低減し、「アーマチャ内輪部-ロータ中央部-アーマチャ外輪部」を流れる磁束量が増加する。したがって、ロータとアーマチャとの磁気吸引力が大きくなる。その結果、この電磁クラッチは、磁気性能が向上し、ロータから従動体へのトルク伝達性を高めることができる。
【0012】
また、請求項8に係る発明は、電磁コイル(58)を有し所定の回転軸(Ax)を中心に回転するロータ(50)から従動体(70)にトルクを伝達する状態と遮断する状態とを切り替える電磁クラッチにおいて、アーマチャ(10)、アウタープレート(20)、インナーハブ(30)および弾性部材(40)を備える。アーマチャは、ロータの回転軸方向の一方側でロータに対向して設けられ、外周側に設けられる外輪部(11)、その外輪部に対して回転軸側に設けられる内輪部(12)、および、外輪部と内輪部との間で周方向に円弧状に延びる長穴(13)を有し、電磁コイルの発生する磁気吸引力によりロータに当接可能である。アウタープレートは、アーマチャに固定され、アーマチャのうちロータとは反対側の面に向き合う対向壁(21)、その対向壁からロータの回転軸方向に延びる立壁(22)、および、その立壁のうち対向壁とは反対側の部位からロータの回転軸に垂直に延びるフランジ(23)を有し、アーマチャと共に回転する。インナーハブは、アーマチャとアウタープレートとの間に設けられ、立壁に向き合う内側立壁(34)、および、フランジに向き合う内側フランジ(35)を有し、従動体にトルクを伝える。弾性部材は、フランジと内側フランジとの間に設けられる付勢部(41)、立壁のうち回転方向に向く面と内側立壁のうち回転方向に向く面との間に設けられる緩衝部(42)、および、対向壁とアーマチャとの間に設けられる制振部(43)を有する。
そして、対向壁には、対向壁を径方向内側の部位(21c)と径方向外側の部位(21d)とに分断し、その対向壁のうち径方向内側の部位と対向壁のうち径方向外側の部位との磁気抵抗を大きくする磁気抵抗穴(27)がアーマチャの長穴と向き合う位置に設けられている。
【0013】
これによれば、アウタープレートの有する対向壁により弾性部材の制振部をアーマチャの内輪部および外輪部に押し付けることで、電磁コイルの通電時におけるアーマチャの内輪部および外輪部の振動を抑え、作動音を低減することができる。
また、アウタープレートの有する対向壁と立壁とが接続する部位とアーマチャとの距離を近くすることで、電磁クラッチの回転軸方向の体格を大型化することなく、立壁および緩衝部の高さ(すなわち回転軸方向の距離)を大きくすることが可能となるので、トルク変動に対する耐久性を高めることができる。
さらに、アウタープレートの有する対向壁に磁気抵抗穴を設けることで、電磁コイルの通電時に「アーマチャ内輪部-対向壁-アーマチャ外輪部」による磁路の磁気抵抗を大きくすることが可能となる。そのため、電磁コイルの通電時にアーマチャとアウタープレートとの間の磁束漏れが低減し、「アーマチャ内輪部-ロータ中央部-アーマチャ外輪部」を流れる磁束量が増加する。したがって、ロータとアーマチャとの磁気吸引力が大きくなる。その結果、この電磁クラッチは、磁気性能が向上し、ロータから従動体へのトルク伝達性を高めることができる。
【0014】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る電磁クラッチが適用される冷凍サイクルの全体構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る電磁クラッチとロータ、ステータの分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る電磁クラッチの平面図である。
【
図4】
図3のIV―IV線における電磁クラッチおよびロータ等の断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る電磁クラッチが備えるアーマチャの平面図である。
【
図6】第1実施形態に係る電磁クラッチが備えるアウタープレートの平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る電磁クラッチが備えるアーマチャとアウタープレートのみを組み付けた状態の平面図である。
【
図8】
図3のXIII―XIII線における電磁クラッチおよびロータ等の断面図であり、電磁コイルへの通電時における磁束の流れを説明するための説明図である。
【
図9】第1実施形態に係る電磁クラッチが備えるインナーハブの平面図である。
【
図10】第1実施形態に係る電磁クラッチが備える弾性部材の平面図である。
【
図11】第2実施形態に係る電磁クラッチの一部を示す平面図である。
【
図12】第3実施形態に係る電磁クラッチの一部を示す断面図である。
【
図13】第4実施形態に係る電磁クラッチの一部を示す断面図である。
【
図14】第4実施形態に係る電磁クラッチの一部を示す平面図である。
【
図15】第5実施形態に係る電磁クラッチの一部を示す断面図である。
【
図16】第5実施形態に係る電磁クラッチの一部を示す平面図である。
【
図17】比較例の電磁クラッチにおいて電磁コイルへの通電時における磁束の流れを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0017】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の電磁クラッチ1は、駆動体としてのロータ50から、従動体としてのコンプレッサ70にトルクを断続的に伝達するためのトルク伝達装置である。電磁クラッチ1はハブとも呼ばれる。
【0018】
まず、従動体としてのコンプレッサ70が用いられる冷凍サイクル71について説明する。冷凍サイクル71は、車室内または庫内等の空調を行う図示しない車両用空調装置に使用される。
図1に示すように、冷凍サイクル71は、コンプレッサ70、コンデンサ72、エキスパンションバルブ73、およびエバポレータ74が冷媒配管75により環状に接続された閉回路として構成されている。コンプレッサ70は、エバポレータ74側の冷媒配管75から冷媒を吸入し圧縮して吐き出す。コンデンサ72は、コンプレッサ70から吐き出された冷媒と外気との熱交換により冷媒を凝縮させる熱交換器である。エキスパンションバルブ73は、コンデンサ72から流出した冷媒を減圧膨張させる。エバポレータ74は、エキスパンションバルブ73で減圧膨張された冷媒を、車室内または庫内等に送風する空気との熱交換により蒸発させる熱交換器である。
【0019】
コンプレッサ70として、例えば、スクロール式またはベーン式などの固定容量型コンプレッサ、または、斜板式などの可変容量型コンプレッサが採用される。コンプレッサ70の一端側には、駆動体としてのロータ50が設けられている。ロータ50は、コンプレッサ70のハウジング等に対して相対回転可能に設けられている。
【0020】
車両には、動力発生源としての車両走行用エンジン80が設けられている。そのエンジン80の駆動軸81に設けられたプーリ82と、ロータ50とは、動力伝達用のベルト83により連結されている。エンジン80から出力されるトルクは、プーリ82からベルト83を経由してロータ50に伝達される。そのため、ロータ50は、エンジン80の駆動と共に回転する。ロータ50に対してコンプレッサ70とは反対側に、電磁クラッチ1が設けられている。エンジン80からロータ50に伝達されるトルクは、電磁クラッチ1を経由してコンプレッサ70のシャフトに伝達されるように構成されている。
【0021】
次に、ロータ50について、
図2および
図4を参照して説明する。ロータ50は、鉄等の強磁性材料を主体に形成され、所定の回転軸Axを中心として回転可能に設けられる。以下の説明では、回転軸Axに近い側を径方向内側といい、回転軸Axから遠い側を径方向外側ということがある。ロータ50は、外周側に設けられる外側筒部51、その外側筒部51に対して径方向内側に設けられる内側筒部52、および、外側筒部51と内側筒部52とを接続する環状部53を一体に有している。
【0022】
外側筒部51は、円筒状に形成されている。外側筒部51の外周には、回転軸Axに平行な断面がV字状の複数の溝により構成されるV溝部54が形成されている。そのV溝部54に、エンジン80から出力されるトルクを伝えるためのベルト83が掛け渡される。
【0023】
内側筒部52は、円筒状に形成されており、外側筒部51よりも回転軸Ax側に設けられている。内側筒部52の内周側には、ボールベアリング90の外輪91が固定されている。一方、そのボールベアリング90の内輪92は、コンプレッサ70のハウジングから円筒状に突出する円筒部77に固定されている。これにより、ロータ50は、コンプレッサ70のハウジングに対して相対回転可能に設けられる。
【0024】
環状部53は、環状に形成され、外側筒部51と内側筒部52とを接続している。環状部53には、周方向に円弧状に延びる複数のスリット55が設けられている。
図4に示すように、複数のスリット55は、外側スリット551と、その外側スリット551より径方向外側に設けられる内側スリット552とを有している。以下の説明では、ロータ50のうち外側スリット551より径方向外側の部位を「ロータ外径部501」と呼び、外側スリット551と内側スリット552との間の部位を「ロータ中央部502」と呼び、内側スリット552より径方向内側の部位を「ロータ内径部503」と呼ぶことがある。
【0025】
環状部53のうちコンプレッサ70とは反対側の端面は、電磁クラッチ1が備えるアーマチャ10と接する摩擦面となる。以下の説明では、その摩擦面を、ロータ50の端面59という。ロータ50の端面59のうち外側スリット551が設けられる箇所には、摩擦係数を増加させるための摩擦部材56が配置されている。摩擦部材56として、例えば、アルミナを樹脂で固めたものや、アルミニウム等の金属粉末の焼結体などの非磁性材料が用いられる。
【0026】
ロータ50の内部には、ステータ57および電磁コイル58が設けられている。ステータ57は、鉄などの強磁性材料により形成されている。電磁コイル58は、絶縁性の樹脂材料でモールディングされた状態でステータ57の内側に固定されている。したがって、ロータ50は、内側に電磁コイル58を有している。電磁コイル58に通電されると、ステータ57、ロータ50、および後述する電磁クラッチ1が備えるアーマチャ10より形成される磁気回路に磁束が流れる。これにより、アーマチャ10をロータ50側に引き寄せる磁気吸引力が発生する。
【0027】
続いて、電磁クラッチ1について説明する。
【0028】
図3および
図4に示すように、電磁クラッチ1は、アーマチャ10、アウタープレート20、インナーハブ30および弾性部材40などを備えている。
【0029】
アーマチャ10は、鉄などの強磁性材料を主体に円環状に形成され、ロータ50の端面59に対向して設けられている。ロータ50の有する電磁コイル58に通電されていない状態で、ロータ50の端面59とアーマチャ10との間には、所定の隙間(例えば0.5mm程度)が形成される。なお、
図4では、説明のために、ロータ50の端面59とアーマチャ10との隙間を比較的大きく記載している。
【0030】
一方、電磁コイル58に通電されると、アーマチャ10は、電磁コイル58の発生する磁気吸引力によりロータ50側に引き寄せられロータ50の端面59に当接する。そして、アーマチャ10は、ロータ50の端面59に摩擦力により接合される。その状態で、電磁クラッチ1はロータ50と共に回転する。
【0031】
図5に示すように、アーマチャ10は、円環状に成形されており、外周側に設けられる外輪部11と、その外輪部11に対して回転軸Ax側に設けられる内輪部12と、外輪部11と内輪部12との間で周方向に円弧状に延びる複数の長穴13を有している。複数の長穴13は、内輪部12と外輪部11との間の磁気抵抗を増加する磁気抵抗部となる。なお、内輪部12と外輪部11とは、複数の長穴13同士の間に設けられる接続部14により機械的に接続されている。また、アーマチャ10には、アウタープレート20と固定するための複数のリベット15が設けられている。リベット15は、アーマチャ10の外周に近い位置に設けられている。また、リベット15と接続部14とは径方向に重なる位置に設けられている。ただし、リベット15と接続部14の位置は、
図5に示したような径方向に重なる位置に限らず、任意に設定することができる。また、アーマチャ10とリベット15とは別部材で構成されていてもよい。
【0032】
図3、
図4および
図6に示すように、アウタープレート20は、アーマチャ10のうちロータ50とは反対側に設けられる。アウタープレート20は、例えば鉄板などの強磁性材料をプレス加工して成形されている。アウタープレート20とアーマチャ10とを同種の材料とすることで、線膨張係数を同一とし、アウタープレート20とアーマチャ10の変形などを防ぐことができる。
【0033】
アウタープレート20は、対向壁21、立壁22およびフランジ23を一体に有している。対向壁21は、アーマチャ10のうちロータ50とは反対側の面に向き合う部位である。立壁22は、対向壁21からロータ50の回転軸方向に延びる部位である。フランジ23は、立壁22のうち対向壁21とは反対側の部位からロータ50の回転軸Axに垂直に延びる部位である。
【0034】
アウタープレート20の有する対向壁21には、リベット15が挿入される挿入穴24が設けられている。挿入穴24は、アウタープレート20の外周に近い位置に設けられている。その挿入穴24に対し、アーマチャ10に設けられたリベット15が挿入される。そのリベット15の先端部を加締めることで、アウタープレート20とアーマチャ10とが固定される。そのため、アウタープレート20はアーマチャ10と共に回転する。
【0035】
また、対向壁21の一部には、凹み形状部としてのアウタープレート凹部25が設けられている。アウタープレート凹部25は、回転軸方向から視てほぼ扇状に成形され、アウタープレート20の周方向に4カ所設けられている。アウタープレート凹部25は、立壁22とリベット15との間に設けられている。
【0036】
アウタープレート凹部25は、対向壁21のうち立壁22と接続する部位21aや、対向壁21のうちリベット15が挿入される挿入穴24が設けられる部位21bに対し、アーマチャ10からの距離が遠くなるように凹んでいる。なお、アウタープレート凹部25は、アーマチャ10側から視て凹形状であり、アーマチャ10とは反対側から視て凸形状となっている。アウタープレート凹部25は、アーマチャ10と対向壁21との距離を遠くすることで、アーマチャ10と対向壁21との間の磁気抵抗を大きくする機能を有している。また、アウタープレート凹部25は、対向壁21の剛性を高める機能も有している。
【0037】
図7は、説明のために、アウタープレート20とアーマチャ10のみを組み付けた状態(すなわち、電磁クラッチ1からインナーハブ30と弾性部材40を除いた状態)を示している。
図7に示すように、アウタープレート20の対向壁21は、アーマチャ10の有する内輪部12と外輪部11とに跨がって配置されている。そして、その対向壁21に設けられるアウタープレート凹部25は、アーマチャ10の長穴13と対向する部位でアーマチャ10の内輪部12と外輪部11とに跨って設けられている。
【0038】
図8は、
図3のXIII-XIII線断面における電磁クラッチ1およびロータ50等の断面図である。
図8に示すように、対向壁21と立壁22とが接続する部位21aとアーマチャ10との距離をD1とする。また、対向壁21に設けられたアウタープレート凹部25とアーマチャ10との距離をD2とする。このとき、対向壁21と立壁22とが接続する部位21aとアーマチャ10との距離D1に比べて、アウタープレート凹部25とアーマチャ10との距離D2は遠くなっている。そのため、アウタープレート凹部25は、アーマチャ10と対向壁21との間の磁気抵抗を大きくする磁気抵抗部としての機能を有している。
【0039】
図8は、ロータ50の有する電磁コイル58に通電した状態(以下、「電磁コイル58の通電時」という)を示している。そして、
図8では、電磁コイル58の通電時において、ステータ57、ロータ50、アーマチャ10により形成される磁気回路に流れる磁束を実線M1で示している。また、
図8では、その際に、アーマチャ10からアウタープレート20の対向壁21に漏れる磁束を破線M2で示している。
【0040】
本実施形態では、対向壁21にアウタープレート凹部25を設けたことで、対向壁21のアウタープレート凹部25とアーマチャ10との距離D2が遠くなり、その間の磁気抵抗が大きくなる。一般に、磁束は磁気抵抗が小さい方へ流れる。そのため、破線M2で示したように「アーマチャ10の内輪部12-アウタープレート20の対向壁21-アーマチャ10の外輪部11」を流れる磁束量は無視できる程度に小さいものとなり、アーマチャ10とアウタープレート20との間の磁束漏れが低減する。したがって、実線M1で示したように「ステータ57-ロータ内径部503-アーマチャ10の内輪部12-ロータ中央部502-アーマチャ10の外輪部11-ロータ外径部501-ステータ57」による磁気回路を流れる磁束量が増加する。そのため、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力が大きくなる。その結果、この電磁クラッチ1は、磁気性能が向上し、ロータ50からコンプレッサ70へのトルク伝達性を高めることができる。
【0041】
図4および
図8に示すように、アウタープレート20の有する立壁22は、対向壁21からロータ50の回転軸方向に延びている。また、
図3、
図4、
図6~
図8に示すように、アウタープレート20の有するフランジ23は、立壁22のうち対向壁21とは反対側の部位からロータ50の回転軸Axに垂直に延びている。フランジ23には、軸方向から見て+記号状(すなわち、プラス記号状)の開口26が設けられている。そのため、立壁22とフランジ23は、その+記号状の開口26を縁取るような形状となっている。
【0042】
なお、以下の説明では、アウタープレート20の有するフランジ23のうち、+記号状の径方向外側の部位を第1フランジ231と呼び、+記号状の中央部の湾曲部分を第2フランジ232と呼ぶことがある。
【0043】
図3、
図4および
図9に示すように、インナーハブ30は、アーマチャ10とアウタープレート20との間に設けられている。インナーハブ30は、筒状のボス部31と、そのボス部31の端部から径方向外側に拡がるプレート部32を有している。プレート部32のうち径方向内側の部位とボス部31とは、金属により形成されている。一方、プレート部32のうち径方向外側の部位は、樹脂により形成されている。インナーハブ30は、その金属の部位と樹脂の部位とがインサート成形により一体に形成されている。
【0044】
ボス部31の内周には、雌ねじ33が形成されている。そのボス部31の内周に形成された雌ねじ33と、コンプレッサ70のシャフト76の外周に形成された雄ねじ78との螺合により、インナーハブ30はコンプレッサ70のシャフト76の端部に固定される。これにより、インナーハブ30は、コンプレッサ70にトルクを伝達可能である。
【0045】
インナーハブ30のプレート部32は、+記号状に形成されている。そして、プレート部32は、アウタープレート20の立壁22の内側で、アウタープレート20のフランジ23とアーマチャ10との間に設けられている。コンプレッサ70のシャフト76に固定されたインナーハブ30に対し、アウタープレート20とアーマチャ10は回転軸方向に相対移動可能に設けられている。
【0046】
インナーハブ30のプレート部32は、アウタープレート20の立壁22に向き合う内側立壁34、および、アウタープレート20のフランジ23に向き合う内側フランジ35を有している。
インナーハブ30の内側立壁34は、アウタープレート20の立壁22とほぼ平行に設けられる。そして、インナーハブ30の内側立壁34と、アウタープレート20の立壁22との間には、後述する弾性部材40の緩衝部を配置可能な所定の間隔が設けられる。
【0047】
インナーハブ30の内側フランジ35は、アウタープレート20のフランジ23とほぼ平行に設けられる。そして、インナーハブ30の内側フランジ35と、アウタープレート20のフランジ23との間にも、後述する弾性部材40の付勢部を配置可能な所定の間隔が設けられる。
【0048】
なお、以下の説明では、インナーハブ30の有する内側フランジ35のうち、アウタープレート20の第1フランジ231に向き合う部位を第1内側フランジ351と呼び、アウタープレート20の第2フランジ232に向き合う部位を第2内側フランジ352と呼ぶことがある。
【0049】
図3、
図4および
図10に示すように、弾性部材40は、アウタープレート20とインナーハブ30との間の空間、および、アウタープレート20とアーマチャ10との間の空間に対応する形状に形成された高耐久性のゴム部材である。弾性部材40は、アウタープレート20とインナーハブ30との間、および、アウタープレート20とアーマチャ10との間に、圧縮された状態で嵌め込まれている。
【0050】
弾性部材40は、付勢部41と緩衝部42と制振部43とを有している。付勢部41は、アウタープレート20のフランジ23とインナーハブ30の内側フランジ35との間に配置される部位である。緩衝部42は、アウタープレート20の立壁22とインナーハブ30の内側立壁34との間に配置される部位である。制振部43は、アウタープレート20の対向壁21とアーマチャ10との間に配置される部位である。なお、以下の説明では、弾性部材40の有する付勢部41のうち第1フランジ231と第1内側フランジ351との間に配置される部位を第1付勢部411と呼び、第2フランジ232と第2内側フランジ352との間に配置される部位を第2付勢部412と呼ぶことがある。
【0051】
第1付勢部411または第2付勢部412は、内側フランジ35に対しフランジ23をロータ50とは反対側に付勢している。そのため、
図4に示すように、ロータ50の有する電磁コイル58に通電されていない状態では、ロータ50の端面59からアーマチャ10が離れた状態となる。このとき、インナーハブ30のプレート部32とアーマチャ10とが当接することで、アーマチャ10の回転軸方向の位置が定められる。一方、電磁コイル58に通電されると、ステータ57、ロータ50、アーマチャ10より形成される磁気回路に磁束が流れる。そして、ロータ50とアーマチャ10に発生する磁気吸引力により、アーマチャ10は弾性部材40の付勢部41の付勢力に抗してロータ50側に引き寄せられロータ50の端面59に当接する。
【0052】
弾性部材40の有する緩衝部42は、アウタープレート20の有する立壁22のうち回転方向に向く面と、インナーハブ30の有する内側立壁34のうち回転方向に向く面との間に、圧縮された状態で嵌め込まれている。緩衝部42は、ロータ50からコンプレッサ70へのトルク伝達時に、インナーハブ30とアウタープレート20と間でトルク変動を吸収し、アウタープレート20からインナーハブ30にトルクを緩衝的に伝達する。トルク変動に対する耐久性を高めるため、アウタープレート20の有する立壁22の高さ(すなわち立壁22における回転軸方向の距離)と弾性部材40の有する緩衝部42の高さ(すなわち緩衝部42における回転軸方向の距離)をいずれも大きくすることが好ましい。
【0053】
弾性部材40の有する制振部43は、アウタープレート20の有する対向壁21とアーマチャ10との間に圧縮された状態で嵌め込まれている。そして、制振部43は、アーマチャ10の有する内輪部12と外輪部11とに跨がって配置されている。すなわち、制振部43は、アウタープレート20の有する対向壁21によりアーマチャ10の有する内輪部12と外輪部11に押し付けられている。そのため、電磁コイル58の通電時に、制振部43は、アーマチャ10の内輪部12および外輪部11の振動を抑え、作動音を低減することが可能である。なお、作動音には、電磁コイル58の通電時においてアーマチャ10がロータ50に接触する際に発生する接触音、および、アーマチャ10とロータ50との滑りにより発生する振動を加振源とする共振音が含まれる。
【0054】
本実施形態では、弾性部材40の制振部43は、厚肉部44と薄肉部45とを有している。厚肉部44は、アウタープレート凹部25とアーマチャ10との間に設けられる部位である。厚肉部44は、アウタープレート凹部25のうちアーマチャ10側の面と、アーマチャ10のうちアウタープレート凹部25側の面とにそれぞれ当接し、アウタープレート凹部25とアーマチャ10との間に圧縮された状態で設けられる。一方、薄肉部45は、対向壁21のうち立壁22と接続する部位21aとアーマチャ10との間に圧縮された状態で設けられる。また、薄肉部45は、対向壁21のうちリベット15の周囲の部位とアーマチャ10との間にも圧縮された状態で設けられる。
【0055】
なお、上述したように、アウタープレート20とアーマチャ10とを固定するリベット15は、アウタープレート20の外周に近い位置に設けられている。そのため、アウタープレート20の有する対向壁21とアーマチャ10との間に弾性部材40の制振部43を圧縮した状態で嵌め込むと、その制振部43の弾性力により、対向壁21のうちリベット15から遠い径方向内側の部位が変形することが懸念される。それに対し、本実施形態では、アウタープレート凹部25により対向壁21の剛性が高められているので、対向壁21の変形が防がれる。そのため、対向壁21によって弾性部材40の制振部43をアーマチャ10の内輪部12および外輪部11に確実に押し付けることが可能である。したがって、本実施形態の電磁クラッチ1は、アーマチャ10の内輪部12および外輪部11の振動を確実に抑え、作動音を低減することできる。
【0056】
続いて、電磁クラッチ1の作動について説明する。
図4に示したように、電磁コイル58に通電されていない場合、アーマチャ10は、弾性部材40の有する付勢部41の付勢力によりロータ50の端面59から離れている。そのため、エンジン80のプーリ82からベルト83を経由してロータ50に伝達されるトルクは、アーマチャ10を備える電磁クラッチ1には伝達されず、ボールベアリング90上でロータ50が空転する。したがって、コンプレッサ70は停止した状態となる。
【0057】
一方、
図8に示したように、電磁コイル58に通電されると、ステータ57、ロータ50、アーマチャ10より形成される磁気回路に磁束が流れる。このとき、本実施形態では、アウタープレート凹部25により、アーマチャ10とアウタープレート20との間の磁束漏れが無視できる程度に小さいものとなる。そのため、「アーマチャ10の内輪部12-ロータ中央部502-アーマチャ10の外輪部11」を流れる磁束量が増加し、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力が大きいものとなる。その磁気吸引力により、アーマチャ10は弾性部材40の付勢部41の付勢力に抗してロータ50側に引き寄せられロータ50の端面59に当接する。そして、アーマチャ10は、ロータ50の端面59に摩擦力により接合される。これにより、エンジン80からロータ50に伝達されるトルクは、ロータ50→アーマチャ10→アウタープレート20→弾性部材40→インナーハブ30→シャフト76の順に伝達され、コンプレッサ70が駆動する。
【0058】
ここで、上述した第1実施形態の電磁クラッチ1と比較するため、比較例の電磁クラッチ100について説明する。
【0059】
図17は、比較例の電磁クラッチ100の一部およびロータ50の一部を示した断面図である。
図17に示すように、比較例の電磁クラッチ100が備えるアウタープレート20の対向壁21には、アウタープレート凹部25が設けられていない。そのため、アウタープレート20の対向壁21は平面状となっており、対向壁21とアーマチャ10との距離D5が近くなっている。これにより、
図17の実線M3で示したように「アーマチャ10の内輪部12-アウタープレート20の対向壁21-アーマチャ10の外輪部11」を流れる磁束量(すなわち、磁束漏れ)が増大する。そのため、実線M1で示したように「ステータ57-ロータ内径部503-アーマチャ10の内輪部12-ロータ中央部502-アーマチャ10の外輪部11-ロータ外径部501-ステータ57」による磁気回路を流れる磁束量が減少する。これにより、比較例の電磁クラッチ100は、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力が弱くなり、ロータ50から従動体へのトルク伝達性が悪化するおそれがある。
【0060】
比較例の電磁クラッチ100において、アウタープレート20の対向壁21とアーマチャ10との間の磁束漏れを防ぐため、弾性部材40の制振部43を全体的に厚くし、対向壁21とアーマチャ10との距離D5を遠くすることが考えられる。しかし、そうすると、アウタープレート20の有する立壁22の高さ(すなわち、立壁22における回転軸方向の距離)が小さくなる。それに伴って弾性部材40の有する緩衝部42の高さ(すなわち、緩衝部42における回転軸方向の距離)も小さくなる。そのため、トルク変動に対する耐久性が低下するといった問題が生じる。
【0061】
また、比較例の電磁クラッチ100は、アウタープレート20の対向壁21にアウタープレート凹部25が設けられていないので、第1実施形態に比べて、対向壁21の剛性が低いものとなっている。そのため、対向壁21のうちリベット15から遠い径方向内側の部位が、弾性部材40の制振部43の弾性力によって変形することが懸念される。アウタープレート20の対向壁21に変形が生じると、対向壁21によって弾性部材40の制振部43をアーマチャ10の内輪部12および外輪部11に押し付ける力が弱くなる。そのため、弾性部材40の制振部43によるアーマチャ10の内輪部12および外輪部11の制振機能が低下し、作動音を十分に低減できなくなる恐れがある。
【0062】
このような比較例の電磁クラッチ100と比較して、第1実施形態の電磁クラッチ1は次の作用効果を奏する。
(1)第1実施形態の電磁クラッチ1は、アウタープレート20の対向壁21と立壁22とが接続する部位21aとアーマチャ10との距離D1に比べて、アーマチャ10と対向壁21との距離D2を遠くする凹み形状部としてのアウタープレート凹部25を備えている。
これによれば、電磁コイル58の通電時に「アーマチャ10の内輪部12-アウタープレート20の対向壁21-アーマチャ10の外輪部11」による磁路の磁気抵抗を大きくすることが可能となる。そのため、電磁コイル58の通電時にアーマチャ10とアウタープレート20との間の磁束漏れが低減し、「アーマチャ10の内輪部12-ロータ中央部502-アーマチャ10の外輪部11」を流れる磁束量が増加する。したがって、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力が大きくなる。その結果、この電磁クラッチ1は、磁気性能が向上し、ロータ50からコンプレッサ70へのトルク伝達性を高めることができる。
【0063】
(2)また、第1実施形態の電磁クラッチ1は、アウタープレート20の対向壁21とアーマチャ10との間に、弾性部材40の有する制振部43が設けられている。アウタープレート20の対向壁21はアウタープレート凹部25により剛性が高められているので、その対向壁21によって弾性部材40の制振部43をアーマチャ10の内輪部12および外輪部11に確実に押し付けることが可能である。したがって、本実施形態の電磁クラッチ1は、アーマチャ10の内輪部12および外輪部11の振動を弾性部材40の制振部43によって確実に抑えることで、作動音を低減することできる。
【0064】
(3)さらに、第1実施形態の電磁クラッチ1は、アウタープレート20の対向壁21と立壁22とが接続する部位21aとアーマチャ10との距離D1を近くすることで、電磁クラッチ1の回転軸方向の体格を大型化することなく、弾性部材40の緩衝部42および立壁22の高さ(すなわち回転軸方向の距離)を大きくすることが可能である。したがって、電磁クラッチ1は、トルク変動に対する耐久性を高めることができる。
【0065】
(4)第1実施形態の電磁クラッチ1は、アウタープレート20の対向壁21のうちアーマチャ10の長穴13と対向する部位でアーマチャ10の内輪部12と外輪部11とを跨ぐ位置にアウタープレート凹部25を備えている。
これによれば、アウタープレート凹部25とアーマチャ10の内輪部12との間の磁気抵抗を大きくし、さらに、アウタープレート凹部25とアーマチャ10の外輪部11との間の磁気抵抗を大きくすることが可能となる。したがって、アーマチャ10とアウタープレート20との間の磁束漏れを低減し、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力を大きくすることができる。
【0066】
(5)第1実施形態の電磁クラッチ1が備えるアウタープレート凹部25は、アウタープレート20において立壁22と対向壁21とが接続する箇所と、アウタープレート20とアーマチャ10とを固定するリベット15との間の部位に設けられている。
これによれば、アウタープレート20の対向壁21のうち立壁22と対向壁21とが接続する箇所とリベット15との間の部位の剛性をアウタープレート凹部25により高めることが可能である。したがって、アウタープレート20の対向壁21によって弾性部材40の制振部43をアーマチャ10の内輪部12と外輪部11に確実に押圧し、内輪部12および外輪部11の振動を抑えることで、作動音を低減することができる。
【0067】
(6)第1実施形態の電磁クラッチ1が備える弾性部材40の制振部43は、アウタープレート凹部25とアーマチャ10との間に配置される厚肉部44を有している。その厚肉部44は、アウタープレート凹部25のうちアーマチャ10側の面と、アーマチャ10のうちアウタープレート凹部25側の面とにそれぞれ当接し、アウタープレート凹部25とアーマチャ10との間に圧縮された状態で設けられている。
これによれば、弾性部材40の制振部43に厚肉部44を設けることで、アーマチャ10の内輪部12および外輪部11の振動を減衰する機能を高め、作動音を確実に低減することができる。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して、リベット15の位置とアウタープレート凹部25の形状を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0069】
図11に示すように、第2実施形態では、アーマチャ10とアウタープレート20とを固定するリベット15が、アウタープレート20において立壁22のうち回転方向を向く面22aとアウタープレート凹部25との間の部位に設けられている。そのリベット15は、アーマチャ10と一体に成形され、アウタープレート20の対向壁21に設けられた挿入穴24に挿入されて、その先端部が加締められている。
【0070】
アウタープレート凹部25は、立壁22の間に設けられ、回転軸方向から視てほぼ扇状に成形されている。また、アウタープレート凹部25は、リベット15を除く位置に設けられている。第2実施形態のアウタープレート凹部25は、第1実施形態で説明したアウタープレート凹部25に比べて、回転軸方向から視たときの面積が大きいものとなっている。したがって、第2実施形態は、第1実施形態に比べて、アウタープレート凹部25とアーマチャ10との間の磁気抵抗が大きいものとなる。
【0071】
以上説明した第2実施形態の電磁クラッチ1は、アウタープレート20において立壁22のうち回転方向を向く面22aに近い位置にリベット15を設けることで、アウタープレート凹部25の面積を大きく確保することが可能である。そのため、電磁コイル58の通電時にアーマチャ10とアウタープレート20との間の磁束漏れをより低減し、「アーマチャ10の内輪部12-ロータ中央部502-アーマチャ10の外輪部11」を流れる磁束量をより増加することが可能となる。したがって、第2実施形態の電磁クラッチ1は、第1実施形態よりも磁気性能を向上し、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力をより大きくすることができる。
【0072】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態等に対して、アーマチャ10の構成の一部とアウタープレート20の構成の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0073】
図12に示すように、第3実施形態では、アーマチャ10のうちアウタープレート20側の面に凹み形状部としてのアーマチャ凹部16が設けられている。なお、第3実施形態では、アウタープレート20の対向壁21にアウタープレート凹部25は設けられていない。
【0074】
アーマチャ凹部16は、アーマチャ10のうち長穴13を含む部位に設けられ、アウタープレート20の対向壁21からの距離D3が遠くなるように凹んでいる。具体的に、アーマチャ10のうちアーマチャ凹部16が設けられていない部位とアウタープレート20の対向壁21との距離D1に比べて、アウタープレート20の対向壁21とアーマチャ凹部16との距離D3は大きくなっている。これにより、アーマチャ凹部16と対向壁21との距離D3が遠くなることで、その間の磁気抵抗が大きくなる。そのため、
図12の破線M4で示したように「アーマチャ10の内輪部12-アウタープレート20の対向壁21-アーマチャ10の外輪部11」を流れる磁束量は無視できる程度に小さいものとなり、アーマチャ10とアウタープレート20との間の磁束漏れが低減する。したがって、実線M1で示したように「ステータ57-ロータ内径部503-アーマチャ10の内輪部12-ロータ中央部502-アーマチャ10の外輪部11-ロータ外径部501-ステータ57」による磁気回路を流れる磁束量が増加する。そのため、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力が大きくなる。その結果、第3実施形態の電磁クラッチ1も、第1実施形態等と同じく磁気性能を向上し、ロータ50からコンプレッサ70へのトルク伝達性を高めることができる。
【0075】
また、第3実施形態の電磁クラッチ1が備える弾性部材40も制振部43に厚肉部46を有している。その厚肉部46は、アーマチャ凹部16の対向壁21側の面と、対向壁21のうちアーマチャ凹部16側の面とにそれぞれ当接し、アーマチャ凹部16と対向壁21との間に圧縮された状態で設けられている。そのため、弾性部材40の制振部43が有する厚肉部46により、アーマチャ10の内輪部12および外輪部11の振動を抑えることが可能である。したがって、第3実施形態の電磁クラッチ1も、第1実施形態等と同じく、作動音を確実に低減することができる。
【0076】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態等に対して、アーマチャ10の構成の一部とアウタープレート20の構成の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0077】
図13および
図14に示すように、第4実施形態では、アウタープレート20の対向壁21に磁気抵抗穴27が設けられている。なお、第4実施形態では、アウタープレート20およびアーマチャ10に対し、凹み形状部としてのアウタープレート凹部25およびアーマチャ凹部16は設けられていない。
【0078】
図13に示すように、磁気抵抗穴27は、アーマチャ10の長穴13と向き合う位置に設けられている。また、
図14に示すように、磁気抵抗穴27は、アウタープレート20の対向壁21に回転軸Axを中心とした円弧状に形成されている。磁気抵抗穴27は、対向壁21を径方向内側の部位21cと径方向外側の部位21dとに分断している。磁気抵抗穴27は、対向壁21のうち径方向内側の部位21cと、対向壁21のうち径方向外側の部位21dとの磁気抵抗を大きくする機能を有している。これにより、
図13の破線M5で示したように「アーマチャ10の内輪部12-アウタープレート20の対向壁21-アーマチャ10の外輪部11」を流れる磁束量は無視できる程度に小さいものとなり、アーマチャ10とアウタープレート20との間の磁束漏れが低減する。したがって、実線M1で示したように「ステータ57-ロータ内径部503-アーマチャ10の内輪部12-ロータ中央部502-アーマチャ10の外輪部11-ロータ外径部501-ステータ57」による磁気回路を流れる磁束量が増加する。そのため、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力が大きくなる。その結果、第4実施形態の電磁クラッチ1も、第1実施形態等と同じく磁気性能を向上し、ロータ50からコンプレッサ70へのトルク伝達性を高めることができる。
【0079】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせた構成である。
【0080】
図15および
図16に示すように、第5実施形態では、アウタープレート20の対向壁21にアウタープレート凹部25が設けられている。さらに、第5実施形態では、アウタープレート凹部25に磁気抵抗穴27が設けられている。
図15に示すように、磁気抵抗穴27は、アーマチャ10の長穴13と向き合う位置に設けられている。また、
図16に示すように、磁気抵抗穴27は、アウタープレート20の対向壁21においてアウタープレート凹部25を含む位置に回転軸Axを中心とした円弧状に形成されている。
【0081】
第5実施形態では、アウタープレート20の対向壁21にアウタープレート凹部25と磁気抵抗穴27とを設けたことで、
図15の破線M6で示したように「アーマチャ10の内輪部12-アウタープレート20の対向壁21-アーマチャ10の外輪部11」を流れる磁束量を極めて小さくすることが可能となる。すなわち、アーマチャ10とアウタープレート20との間の磁束漏れをより低減することが可能となる。したがって、第5実施形態の電磁クラッチ1は、電磁コイル58の通電時に、実線M1で示したように「ステータ57-ロータ内径部503-アーマチャ10の内輪部12-ロータ中央部502-アーマチャ10の外輪部11-ロータ外径部501-ステータ57」による磁気回路を流れる磁束量をより増加し、ロータ50とアーマチャ10との磁気吸引力をより大きくすることができる。その結果、この電磁クラッチ1は、磁気性能をより向上し、ロータ50からコンプレッサ70へのトルク伝達性を高めることができる。
【0082】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、電磁クラッチ1がトルクを伝達する従動体としてコンプレッサ70を例示したが、これに限らず、電磁クラッチ1がトルクを伝達する従動体として種々の装置を適用することが可能である。
【0083】
(2)上記各実施形態では、電磁クラッチ1の備えるアウタープレート20に+記号状の開口26を設けたが、これに限らず、アウタープレート20に設ける開口26の形状は、例えばI形状、Y形状、*形状など任意の形状とすることが可能である。その場合、インナーハブ30および弾性部材40の形状も、その開口26の形状に合わせて種々の形状とすることが可能である。
【0084】
(3)上記第1、第2、第5実施形態では、電磁クラッチ1は凹み形状部としてアウタープレート凹部25を備える構成とし、第3実施形態では、電磁クラッチ1は凹み形状部としてアーマチャ凹部16を備える構成としたが、それに限らず、電磁クラッチ1は凹み形状部としてアウタープレート凹部25とアーマチャ凹部16の両方を備える構成としてもよく、さらに磁気抵抗穴27を備える構成としてもよい。
【0085】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1:電磁クラッチ、10:アーマチャ、11:外輪部、12:内輪部、13:長穴、
16:アーマチャ凹部(凹み形状部)、20:アウタープレート、21:対向壁、
22:立壁、23:フランジ、25:アウタープレート凹部(凹み形状部)、
30:インナーハブ、34:内側立壁、35:内側フランジ、40:弾性部材、
41:付勢部、42:緩衝部、43:制振部、50:ロータ、58:電磁コイル、
Ax:回転軸