(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電力分配装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20240110BHJP
H01R 13/24 20060101ALI20240110BHJP
H01R 4/38 20060101ALI20240110BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20240110BHJP
H02M 7/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H02M3/00 Y ZHV
H01R13/24
H01R4/38 C
H05K7/06 C
H02M7/04 Z
(21)【出願番号】P 2021030061
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】井口 翔太
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/167141(WO,A1)
【文献】特開2013-008457(JP,A)
【文献】特開2020-104607(JP,A)
【文献】特開2009-136114(JP,A)
【文献】特開2009-130963(JP,A)
【文献】特開2015-207388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H01R 13/24
H01R 4/38
H05K 7/06
H02M 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電プラグ(810)が挿抜方向で挿抜される受電コネクタ(217)と、
前記受電コネクタに接続されるとともに前記挿抜方向に弾性変形する充電バスバ(271,272)、および、前記充電バスバを収納する絶縁性の本体部(273)を備える配線モジュール(270)と、
前記本体部に固定される配線基板(261)と、
前記受電コネクタが設けられるとともに前記配線モジュールが固定される、前記本体部よりも剛性の高い筐体(290)と、を有する電力分配装置。
【請求項2】
前記充電バスバは、前記受電コネクタに接続される接続端部(279)と、前記本体部から延長する延長部(280)と、前記延長部と前記接続端部とを一体的に連結しつつ、前記挿抜方向で前記接続端部と前記延長部との間の距離が遠近する態様で弾性変形する弾性部(281)と、を有する請求項1に記載の電力分配装置。
【請求項3】
前記延長部は前記挿抜方向に直交する横方向に延長し、
前記弾性部は前記延長部における前記本体部から前記横方向に離間した端部に一体的に連結されている請求項2に記載の電力分配装置。
【請求項4】
前記受電コネクタ、前記配線モジュール、前記配線基板、および、前記筐体の他に、車載電源(110)から供給された電源電力を電力変換して車載機器に出力する電力変換装置(220)を備え、
前記配線基板は前記配線モジュールよりも前記電力変換装置から離間している請求項1~3いずれか1項に記載の電力分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、電力分配装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、回路基板とカバーを備えるモータ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、回路基板がカバーに固定されている。これによれば、カバーに外部応力が作用されると、回路基板(配線基板)に応力が作用する虞がある。
【0005】
そこで本開示の目的は、配線基板に応力が作用することの抑制された電力分配装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電力分配装置は、充電プラグ(810)が挿抜方向で挿抜される受電コネクタ(217)と、
受電コネクタに接続されるとともに挿抜方向に弾性変形する充電バスバ(271,272)、および、充電バスバを収納する絶縁性の本体部(273)を備える配線モジュール(270)と、
本体部に固定される配線基板(261)と、
受電コネクタが設けられるとともに配線モジュールが固定される、本体部よりも剛性の高い筐体(290)と、を有する。
【0007】
これによれば、筐体(290)に外部応力が作用した際に、配線基板(261)に応力が作用することが抑制される。また、充電プラグ(810)を挿抜した際に、配線基板(261)に応力が作用することが抑制される。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電力供給システムを説明するための回路図である。
【
図2】電力分配装置の概略構成を示す模式図である。
【
図7】配線モジュール、配線基板、および、筐体の位置関係を示す上面図である。
【
図8】配線モジュールと交流電源コネクタの位置関係を示す斜視図である。
【
図9】交流電源コネクタに対する充電プラグの挿抜を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせが可能である。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、組み合わせが可能であることを明示していなくても、実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
図1~
図9に基づいて本実施形態に係る電力分配装置を説明する。電力分配装置は電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの電動車両に適用される。本実施形態では電力分配装置が電気自動車に適用された構成を一例として説明する。
【0013】
<電力供給システム>
図1に示すように電力分配装置200は車両の電力供給システム10に含まれる。電力供給システム10は、電力分配装置200の他に、電池パック100、第1車載負荷300、第2車載負荷400、フロントPCU500、フロントMG510、リアPCU600、および、リアMG610を備えている。また、電力供給システム10は図示しない車載ECUと車載センサを備えている。この電力供給システム10に外部からDC電源700とAC電源800が接続される。
【0014】
なお、PCUはPower Control Uniteの略である。MGはMotor Generatorの略である。そして図面においては、第1車載負荷300と第2車載負荷400それぞれをLOと表記している。フロントPCU500をFrPCUと表記している。フロントMG510をFrMGと表記している。リアPCU600をRrPCUと表記している。リアMG610をRrMGと表記している。DC電源700をDCと表記している。AC電源800をACと表記している。
【0015】
電力供給経路として、車両内で、電池パック100と電力分配装置200とがワイヤハーネスなどを介して電気的に接続されている。電力分配装置200に第1車載負荷300と第2車載負荷400それぞれがワイヤハーネスなどを介して電気的に接続されている。また、電力分配装置200にフロントPCU500とリアPCU600がワイヤハーネスなどを介して電気的に接続されている。フロントPCU500にフロントMG510が電気的に接続され、リアPCU600にリアMG610が電気的に接続されている。
【0016】
係る電気的な接続構成のため、電池パック100から出力された直流電力は電力分配装置200を介して第1車載負荷300と第2車載負荷400に供給される。また、この直流電力はフロントPCU500とリアPCU600に供給される。
【0017】
フロントPCU500とリアPCU600それぞれにはインバータが含まれている。フロントPCU500とリアPCU600は供給された直流電力を交流電力に変換する。逆に、フロントPCU500とリアPCU600は供給された交流電力を直流電力に変換する。なおフロントPCU500とリアPCU600それぞれに入力電圧を昇圧若しくは降圧するコンバータが含まれてもよい。
【0018】
フロントMG510とリアMG610それぞれは車両に推進力を付与するための車両走行用のモータジェネレータである。フロントMG510とリアMG610はフロントPCU500とリアPCU600から供給された交流電力によって力行する。フロントMG510の力行によって車両の前輪が回転する。リアMG610の力行によって車両の後輪が回転する。
【0019】
フロントMG510とリアMG610とは車両の推進力によって回生発電する。この回生発電によって生じた交流電力がフロントPCU500とリアPCU600とで直流電力に変換される。この直流電力が電力分配装置200を介して第1車載負荷300と第2車載負荷400に供給される。また、この直流電力が電力分配装置200を介して電池パック100に供給される。
【0020】
以下、表記を簡便とするために、電池パック100から供給される直流電力を電源電力と示す。回生発電によって生成され、フロントPCU500とリアPCU600とで直流電力に変換された電力を回生電力と示す。
【0021】
第1車載負荷300は、例えば車両に搭載されたヒータと空調、および、車両のコンセントに接続される外部負荷などである。この第1車載負荷300に、電力分配装置200を介して電源電力と回生電力が供給される。また、後述するように電力分配装置200に外部から電源が接続される場合、第1車載負荷300に充電電力が供給される。
【0022】
図1に示すように、電力分配装置200にはDCDCコンバータ220が含まれている。DCDCコンバータ220には電源電力、回生電力、および、充電電力が供給される。DCDCコンバータ220は供給された電力を12Vに降圧し、それを第2車載負荷400に供給する。この第2車載負荷400は、例えばスピーカ、パワーウィンドウ、および、パワーステアリング装置などである。第2車載負荷400が車載機器に相当する。
【0023】
電力分配装置200に外部からDC電源700が接続される。DC電源700から出力される直流の充電電力が電池パック100、第1車載負荷300、および、DCDCコンバータ220に供給される。これにより電池パック100が充電される。第1車載負荷300に充電電力が供給されるとともに、DCDCコンバータ220から第2車載負荷400に12Vの直流電力が供給される。
【0024】
電力分配装置200にはACDCコンバータ250が含まれている。このACDCコンバータ250に外部からAC電源800が接続される。ACDCコンバータ250はAC電源800から供給される交流電力を直流電力に変換する。この直流電力が、充電電力として電池パック100に供給される。これにより電池パック100が充電される。なお、この充電電力は後述のSMR120の制御によって、第1車載負荷300やDCDCコンバータ220にも供給される。
【0025】
以上に示したように、電力分配装置200は車内で出力された電源電力と回生電力を車両に搭載された各種電気機器に供給する機能を果たしている。電力分配装置200は外部電源から供給される充電電力を車両に搭載された各種電気機器に供給する機能を果たしている。以下、電池パック100と電力分配装置200の備える構成要素を個別に説明する。
【0026】
<電池パック>
電池パック100は、組電池110、SMR120、電源リレー130、電池ECU140、および、電池コネクタ150を有する。SMR120と電源リレー130それぞれの駆動が電池ECU140によって制御される。組電池110の電池コネクタ150側への出力がSMR120と電源リレー130の駆動によって通電と遮断とに制御される。
【0027】
なお、図面においては電源リレー130をrlと示している。電池ECU140をBAECUと示している。
【0028】
組電池110は直列接続された複数の電池セルを有する。直列接続された複数の電池セルのうちの最高電位の電池セルの正極端子と最低電位の電池セルの負極端子との電位差に応じた電圧が組電池110の電源電圧に相当する。この組電池110に含まれる電池セルとしては、例えばリチウムイオン電池などの二次電池を採用することができる。組電池110が車載電源に相当する。
【0029】
直列接続された複数の電池セルのうちの最高電位に位置する電池セルの正極端子に第1電源ライン101の一端が接続されている。最低電位に位置する電池セルの負極端子に第2電源ライン102の一端が接続されている。これら第1電源ライン101と第2電源ライン102それぞれの他端が電池コネクタ150に設けられている。
【0030】
第1電源ライン101と第2電源ライン102それぞれにSMR120が設けられている。SMR120は機械式のスイッチ素子である。SMR120は電池ECU140から出力される駆動信号の入力によってオフ状態、駆動信号の入力が途絶えるとオン状態になるノーマリクローズ式のスイッチ素子である。SMRはSystem Main Relayの略である。
【0031】
第1電源ライン101における組電池110とSMR120との間の中点に第3電源ライン103の一端が接続されている。第2電源ライン102における組電池110とSMR120との間の中点に第4電源ライン104の一端が接続されている。これら第3電源ライン103と第4電源ライン104それぞれの他端が電池コネクタ150に設けられている。
【0032】
第3電源ライン103と第4電源ライン104それぞれに電源リレー130が設けられている。電源リレー130は機械式のスイッチ素子である。電源リレー130は電池ECU140から出力される駆動信号の入力によってオン状態、駆動信号の入力が途絶えるとオフ状態になるノーマリオープン式のスイッチ素子である。
【0033】
電池ECU140は図示しない配線を介して車載ECUや後述の電力分配ECU260と通信を行っている。電池ECU140はこれらECUとの通信や車載センサなどから入力される車両情報を含む車両信号に基づいてSMR120と電源リレー130の駆動を制御している。
【0034】
これまでに説明したように、電池コネクタ150には第1電源ライン101~第4電源ライン104それぞれの他端が設けられている。これら4つの電源ラインそれぞれの他端側の組電池110との通電と遮断の制御が、電池ECU140からSMR120と電源リレー130への駆動信号の出力と不出力とによってなされる。これら4つの電源ラインそれぞれの他端側が電力分配装置200と接続される。
【0035】
<電力分配装置>
電力分配装置200は分配コネクタ210、DCDCコンバータ220、直流リレー230、ヒューズ240、および、ACDCコンバータ250を有する。また電力分配装置200は電力分配ECU260と配線モジュール270を有する。
【0036】
図面においてはDCDCコンバータ220をDCDCと表記している。直流リレー230をrlと表記している。ACDCコンバータ250をACDCと表記している。電力分配ECU260をPDECUと表記している。
【0037】
分配コネクタ210は電源コネクタ211、第1負荷コネクタ212、第2負荷コネクタ213、直流電源コネクタ214、フロントコネクタ215、リアコネクタ216、および、交流電源コネクタ217を有する。
【0038】
電源コネクタ211に第1電力ライン201~第4電力ライン204それぞれの一端が設けられている。この電源コネクタ211に電池パック100の電池コネクタ150が接続される。
【0039】
第1電力ライン201の一端に第1電源ライン101の他端が接続される。第2電力ライン202の一端に第2電源ライン102の他端が接続される。これにより、組電池110のSMR120がオン状態になると、第1電力ライン201と第2電力ライン202が組電池110と電気的に接続される。逆にSMR120がオフ状態になると、第1電力ライン201と第2電力ライン202の組電池110との電気的な接続が遮断される。
【0040】
第1電力ライン201の他端側は第1正極ライン201a、第2正極ライン201b、第3正極ライン201c、および、第4正極ライン201dの4つに分岐している。第2電力ライン202の他端側は第1負極ライン202a、第2負極ライン202b、第3負極ライン202c、および、第4負極ライン202dの4つに分岐している。
【0041】
第1正極ライン201aと第1負極ライン202aそれぞれの先端が第1負荷コネクタ212に設けられている。これにより、SMR120がオン状態になると組電池110と第1車載負荷300とが電気的に接続される。
【0042】
第2正極ライン201bと第2負極ライン202bそれぞれの先端が第2負荷コネクタ213に設けられている。これら第2正極ライン201bと第2負極ライン202bにDCDCコンバータ220が設けられている。これにより、DCDCコンバータ220に電力が供給されると12Vの直流電力が第2車載負荷400に供給される。
【0043】
第3正極ライン201cと第3負極ライン202cそれぞれの先端が直流電源コネクタ214に設けられている。これら第3正極ライン201cと第3負極ライン202cそれぞれに直流リレー230が設けられている。これにより、直流リレー230がオン状態になると第1車載負荷300とDCDCコンバータ220それぞれがDC電源700と電気的に接続される。さらにSMR120がオン状態になると組電池110がDC電源700と電気的に接続される。
【0044】
なお、直流リレー230は機械式のスイッチ素子である。直流リレー230は電力分配ECU260から出力される駆動信号の入力によってオン状態、駆動信号の入力が途絶えるとオフ状態になるノーマリオープン式のスイッチ素子である。
【0045】
第4正極ライン201dは正極フロントライン201eと正極リアライン201fの2つに分岐している。第4負極ライン202dは負極フロントライン202eと負極リアライン202fの2つに分岐している。これら4つのラインそれぞれにヒューズ240が設けられている。
【0046】
正極フロントライン201eと負極フロントライン202eそれぞれの先端がフロントコネクタ215に設けられている。このフロントコネクタ215にフロントPCU500が接続される。これにより第1車載負荷300とDCDCコンバータ220それぞれがフロントPCU500と電気的に接続される。SMR120がオン状態になると組電池110とフロントPCU500とが電気的に接続される。
【0047】
正極リアライン201fと負極リアライン202fそれぞれの先端がリアコネクタ216に設けられている。このリアコネクタ216にリアPCU600が接続される。これにより第1車載負荷300とDCDCコンバータ220それぞれがリアPCU600と電気的に接続される。SMR120がオン状態になると組電池110とリアPCU600とが電気的に接続される。
【0048】
第3電力ライン203の一端に第3電源ライン103の他端が接続される。第4電力ライン204の一端に第4電源ライン104の他端が接続される。これにより、組電池110の電源リレー130がオン状態になると、第3電力ライン203と第4電力ライン204が組電池110と電気的に接続される。電源リレー130がオフ状態になると、第3電力ライン203と第4電力ライン204の組電池110との電気的な接続が遮断される。
【0049】
第3電力ライン203と第4電力ライン204にACDCコンバータ250が設けられている。第3電力ライン203と第4電力ライン204それぞれの他端が交流電源コネクタ217に設けられている。この交流電源コネクタ217に外部からAC電源800が接続される。これにより電源リレー130がオン状態になると、組電池110とAC電源800とがACDCコンバータ250を介して電気的に接続される。
【0050】
電力分配ECU260は図示しない信号線を介してDCDCコンバータ220、直流リレー230、および、ACDCコンバータ250と電気的に接続されている。また電力分配ECU260は図示しない配線を介して車載ECUや電池ECU140と通信を行っている。
【0051】
電力分配ECU260はこれらECUとの通信や図示しない車載センサなどから入力される車両情報を含む車両信号に基づいてDCDCコンバータ220、直流リレー230、および、ACDCコンバータ250の駆動を制御している。
【0052】
これまでに説明したように、電力分配装置200には外部からDC電源700やAC電源800が接続される。これら外部電源が例えば電気スタンドの場合、電力分配ECU260はこの電気スタンドに含まれるCPUと通信を行う。CPUはCentral Processing Unitの略である。
【0053】
電力分配ECU260はこの電気スタンドのCPUとの通信結果を車載ECUや電池ECU140に出力する。電力分配ECU260はこの通信結果と車両情報とに基づいてDCDCコンバータ220、直流リレー230、および、ACDCコンバータ250の駆動を制御する。同様にして、電池ECU140はこの通信結果と車両情報とに基づいてSMR120と電源リレー130の駆動を制御する。
【0054】
<電力供給システムの動作>
以下、電力供給システム10の動作を説明する。
【0055】
車両の駐停車時や通常走行時などの通常時において、電池ECU140はSMR120をオン状態にする。また、電池ECU140は電源リレー130をオフ状態にする。電力分配ECU260は直流リレー230をオフ状態にする。
【0056】
これにより組電池110の電源電力が第1車載負荷300、DCDCコンバータ220、フロントPCU500、および、リアPCU600に供給される。逆に、フロントMG510とリアMG610の回生電力が第1車載負荷300、DCDCコンバータ220、および、組電池110に供給される。
【0057】
駐停車状態で電力分配装置200にDC電源700の接続されたDC充電時において、電池ECU140はSMR120をオン状態にする。また、電池ECU140は電源リレー130をオフ状態にする。電力分配ECU260は直流リレー230をオン状態にする。
【0058】
これによりDC電源700から供給される直流電力が組電池110、第1車載負荷300、および、DCDCコンバータ220に供給される。なお当然ではあるが、第1車載負荷300に供給される電力量は、第1車載負荷300の要求電力に応じて決定される。
【0059】
駐停車状態で電力分配装置200にAC電源800の接続されたAC充電時において、電池ECU140はSMR120と電源リレー130それぞれをオン状態にする。電力分配ECU260は直流リレー230をオフ状態にする。
【0060】
これによりAC電源800から供給される交流電力がACDCコンバータ250で直流電力に変換される。この直流電力が組電池110、第1車載負荷300、および、DCDCコンバータ220に供給される。このAC充電時においても、当然ではあるが、第1車載負荷300に供給される電力量は、第1車載負荷300の要求電力に応じて決定される。
【0061】
<電力分配装置の構成>
次に、電力分配装置200の構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、z方向と示す。図面においては「方向」の記載を省略して、単に、x、y、zと記載している。
【0062】
x方向とy方向のうちの一方が車両左右方向、他方が車両進行方向に相当する。z方向は車両天地方向に相当する。車両が水平面に停車している場合、z方向は鉛直方向に沿っている。
【0063】
<筐体>
電力分配装置200はこれまでに
図1に基づいて説明した各種電気機器の他に、
図2に示す筐体290と、この筐体290の開口を閉塞する蓋体(図示略)と、を有する。筐体290はz方向の厚さの薄い底壁291と、底壁291の内底面291aからz方向に環状に起立した側壁292と、を有する。
【0064】
内底面291aの裏側の外底面は、内底面291aよりもz方向において車両のボディ側に設けられる。この外底面を備える底壁291には、電力分配装置200をボディにボルト止めするためのフランジ部291cが一体的に連結されている。
【0065】
<配置>
各種電気機器は筐体290においてz方向で並んで設けられている。内底面291a側にACDCコンバータ250が設けられている。筐体290の開口側に電力分配ECU260を搭載する配線基板261が設けられている。
【0066】
これらACDCコンバータ250と配線基板261の間に、DCDCコンバータ220、直流リレー230、および、配線モジュール270が設けられている。DCDCコンバータ220はACDCコンバータ250側に位置している。直流リレー230と配線モジュール270は配線基板261側に設けられている。
【0067】
このように、内底面291a側から筐体290の開口側に向かって、ACDCコンバータ250、DCDCコンバータ220、直流リレー230と配線モジュール270、配線基板261が順に並んでいる。配線基板261は配線モジュール270よりもACDCコンバータ250とDCDCコンバータ220それぞれから離間している。DCDCコンバータ220が電力変換装置に相当する。
【0068】
以上に示したように、各種電気機器がz方向で並んでいる。
図2では、これら各種電気機器のz方向での重なりによって表記が煩雑となることを避けるために、これら各種電気機器のうち筐体290の開口側に位置する配線基板261のみを図示している。
【0069】
<側壁とコネクタ>
側壁292はx方向で離間して並ぶ左壁293と右壁294、および、y方向で離間して並ぶ前壁295と後壁296を有する。これら4つの壁がz方向まわりの周方向で並んで連結されることで側壁292は環状を成している。
【0070】
側壁292には分配コネクタ210を設けるための切り欠きや孔などが形成されている。
図2に示すように、左壁293に第1負荷コネクタ212と第2負荷コネクタ213が設けられている。右壁294に直流電源コネクタ214と交流電源コネクタ217が設けられている。後壁296に電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216が設けられている。なお、これら各種コネクタがどの壁に設けられるのかは特に限定されない。
【0071】
<配線基板>
電力分配ECU260は配線基板261に搭載されている。配線基板261はz方向の厚さの薄い平板形状をなしている。配線基板261はz方向で並ぶ表面261aと裏面を有する。
図2では図示を省略しているが、この表面261aと裏面に電力分配ECU260の構成要素と各種コネクタが設けられている。
【0072】
配線基板261には表面261aと裏面とに開口する貫通孔261cが形成されている。この貫通孔261cに後述の配線モジュール270の突起部273iが通される。これにより配線基板261は配線モジュール270に支持されている。
【0073】
<配線モジュール>
図3~
図6に示すように配線モジュール270は、高圧バスバ271、低圧バスバ272、および、本体部273を有する。高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれは金属板をプレス加工することで製造される。本体部273の形成材料は絶縁性の樹脂材料である。この樹脂材料は筐体290の形成材料よりも剛性が低くなっている。換言すれば、この樹脂材料は筐体290の形成材料よりも変形しやすくなっている。
【0074】
本体部273に高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの一部がインサート成形されている。これらバスバの端部が本体部273から露出されている。
【0075】
係る構成要素を備える配線モジュール270が筐体290に複数収納されている。複数の配線モジュール270の備える高圧バスバ271は、第1電力ライン201と第3電力ライン203の少なくとも一部である。複数の配線モジュール270の備える低圧バスバ272は、第2電力ライン202と第4電力ライン204の少なくとも一部である。
【0076】
図1に示す第1電力ライン201~第4電力ライン204それぞれは複数に分割されている。分割された第1電力ライン201の一部としての高圧バスバ271と、分割された第2電力ライン202の一部としての低圧バスバ272が同一の本体部273に収納されている。分割された第3電力ライン203の一部としての高圧バスバ271と、分割された第4電力ライン204の一部としての低圧バスバ272が同一の本体部273に収納されている。
【0077】
複数の配線モジュール270の備える構成要素は同等である。しかしながら、上記したように複数の配線モジュール270の役割は異なる。そのために複数の配線モジュール270の形状は同一若しくは不同になっている。
図3~
図6では、これら複数の配線モジュール270のうちの1つを代表として示している。
【0078】
図3~
図6に示す配線モジュール270の高圧バスバ271は第3電力ライン203の一部である。低圧バスバ272は第4電力ライン204の一部である。
図1において、第3電力ライン203における高圧バスバ271で構成される部位と、第4電力ライン204における低圧バスバ272で構成される部位それぞれを破線で囲って示している。
【0079】
高圧バスバ271と低圧バスバ272はACDCコンバータ250と交流電源コネクタ217とを接続する機能を果たしている。そしてこれら2つのバスバを被覆する本体部273は配線基板261を支持する機能を果たしている。
【0080】
なお、他の配線モジュール270の本体部273も配線基板261を支持してもよい。他の配線モジュール270としては、例えば、直流電源コネクタ214に接続されるものがある。この配線モジュール270の高圧バスバ271は第1電力ライン201の一部である。低圧バスバ272は第2電力ライン202の一部である。
【0081】
<本体部>
図3に示すように本体部273はy方向の長さの短い扁平形状をなしている。本体部273はx方向に延長するとともにz方向に延長している。
図4と
図5に示すように本体部273は、x方向で並ぶ左面273aと右面273b、y方向で並ぶ前面273cと後面273d、および、z方向で並ぶ上面273eと下面273fを有する。
【0082】
本体部273の下面273f側が筐体290の内底面291a側に位置する態様で、配線モジュール270が筐体290に設けられる。本体部273の上面273e側が筐体290の開口側に位置している。
【0083】
本体部273の前面273cの下面273f側に足部273gが形成されている。足部273gは前面273cからy方向に延びている。足部273gはz方向の厚さの薄い扁平形状をなしている。
【0084】
足部273gにはz方向で開口する環状のカラー273hが一体的に埋め込まれている。カラー273hは本体部273よりも剛性の高い金属材料からなる。カラー273hの中空は足部273gから露出されている。このカラー273hの中空にボルトの軸部が通される。このボルトの軸部が筐体290にボルト止めされる。これにより配線モジュール270が筐体290に固定される。
【0085】
本体部273の上面273eに複数の突起部273iが形成されている。
図7に示すように、複数の突起部273iは配線基板261に形成された貫通孔261cに挿入される。貫通孔261cに挿入された突起部273iに熱が加えられる。これにより突起部273iは配線基板261の孔を閉塞するように変形する。熱カシメによって本体部273に配線基板261が固定される。このように配線基板261は本体部273を介して筐体290に固定される。
【0086】
<バスバ>
図3と
図4に示すように高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの中央部274が本体部273の内部に埋設されている。高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの両端が本体部273から露出されている。
図4では高圧バスバ271の中央部274を破線で示している。
【0087】
高圧バスバ271の一端側が左面273aから露出されている。高圧バスバ271の他端側が右面273bから露出されている。また、低圧バスバ272の一端側が前面273cから露出されている。低圧バスバ272の他端側が後面273dから露出されている。このように、電位の異なる複数のバスバの一端側と他端側それぞれが本体部273の異なる面から露出されている。
【0088】
高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの一端側は筐体290の収納空間の内側に設けられる。この一端側がACDCコンバータ250に接続される。一端側は接続対象のACDCコンバータ250の筐体290内での位置に応じて延長している。
【0089】
高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの他端側は収納空間の外側に設けられる。この他端側が交流電源コネクタ217に接続される。他端側は接続対象の交流電源コネクタ217の筐体290内での位置に応じて延長している。
【0090】
以下、表記を簡便とするため、高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの一端側を内側端子275と示す。高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの他端側を外側端子276と示す。
【0091】
<内側端子>
高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの内側端子275は、ACDCコンバータ250に接続される内側接続端部277を有する。内側接続端部277はz方向の厚さの薄い扁平形状をなしている。そして内側接続端部277にはz方向に貫通する内側接続孔277aが形成されている。
【0092】
高圧バスバ271の内側端子275は、内側接続端部277の他に、内側延長部278を有する。内側延長部278はy方向の厚さの薄い扁平形状をなしている。内側延長部278は本体部273の左面273aからx方向に延びるとともに、z方向において上面273e側に延びている。この内側延長部278の先端に高圧バスバ271の内側接続端部277が連結されている。内側接続端部277は内側延長部278からy方向に延長している。
【0093】
低圧バスバ272の内側接続端部277は前面273cの左面273a側からy方向に延長している。この低圧バスバ272の内側接続端部277と高圧バスバ271の内側接続端部277はx方向で離間して並んでいる。
【0094】
<外側端子>
高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの外側端子276は、細分化すると、外側接続端部279、外側延長部280、および、弾性部281を有する。高圧バスバ271と低圧バスバ272が充電バスバに相当する。外側接続端部279が接続端部に相当する。外側延長部280が延長部に相当する。
【0095】
外側接続端部279は交流電源コネクタ217に接続される。
図4と
図5に示すように外側接続端部279はz方向の厚さの薄い扁平形状をなしている。そして外側接続端部279にはz方向に貫通する外側接続孔279aが形成されている。
【0096】
高圧バスバ271の外側延長部280は本体部273の右面273bからx方向に延びるとともに、y方向において後面273dから前面273cに向かう方向に延びている。
【0097】
低圧バスバ272の外側延長部280は本体部273の後面273dから延びている。外側延長部280はy方向において高圧バスバ271から離間する態様で延びた後、x方向において右面273bから離間する態様で延びている。さらに、外側延長部280はy方向において後面273dから前面273cに向かう方向に延びている。y方向が横方向に相当する。
【0098】
高圧バスバ271の外側延長部280は低圧バスバ272の外側延長部280よりもx方向において本体部273の右面273b側に位置している。これら2つの外側延長部280はx方向で離間しつつ一部が対向している。これら2つの外側延長部280の先端の上面273e側それぞれに弾性部281が連結されている。高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの弾性部281はy方向で離間して並んでいる。
【0099】
図3と
図5に示すように、弾性部281は外側延長部280の先端側から離間するようにz方向に延びた後、折り返して、外側延長部280に近づくようにz方向に延びている。弾性部281は外側延長部280よりもx方向において本体部273の右面273bから離間している。弾性部281と外側延長部280はx方向で離間しつつ一部が対向している。この弾性部281の先端に外側接続端部279が連結されている。高圧バスバ271と低圧バスバ272それぞれの外側接続端部279はy方向で離間して並んでいる。
【0100】
図5に示すように、弾性部281の折り返し部位は、x方向に延びつつ、z方向で外側延長部280から離間する方向に凸となる形状を成している。係る形状のため、外側接続端部279と外側延長部280とを連結する弾性部281は、外側接続端部279と外側延長部280との間の距離が遠近する態様でx方向に積極的に弾性変形しやすくなっている。なお、外側延長部280のx方向の位置の相違の分、高圧バスバ271の弾性部281は低圧バスバ272の弾性部281よりもx方向の長さが長くなっている。
【0101】
<配線モジュールの配置>
図7~
図9に示すように配線モジュール270はx方向において右壁294側に設けられる。外側接続端部279は内側接続端部277よりもx方向において右壁294側に設けられる。
【0102】
右壁294は筐体290の内部空間側の内側面292aとその裏側の外側面292bを有する。右壁294にはこの内側面292aと外側面292bとに開口する接続孔292cが形成されている。この接続孔292cに交流電源コネクタ217が挿入される。
【0103】
<交流電源コネクタ>
図8と
図9に示すように交流電源コネクタ217は、第1連結バスバ285、第2連結バスバ286、および、絶縁体287を有する。第1連結バスバ285と第2連結バスバ286それぞれは金属板をプレス加工することで製造される。絶縁体287に第1連結バスバ285と第2連結バスバ286それぞれの一部が収納されている。
【0104】
第1連結バスバ285と第2連結バスバ286それぞれの一端側が絶縁体287から露出されている。第1連結バスバ285と第2連結バスバ286それぞれの他端側が絶縁体287の内部に埋設されている。
【0105】
絶縁体287は直方体形状を成している。絶縁体287はx方向で並ぶ取り付け面と挿抜面287bを有する。取り付け面から第1連結バスバ285と第2連結バスバ286それぞれの一端側が露出されている。図示しないが、挿抜面287bには充電プラグ810の挿抜される挿抜孔が形成されている。そして絶縁体287の内部には、連結バスバの他端側と充電プラグ810とを電気的に接続するための配線が内蔵されている。
【0106】
なお、図面では充電プラグ810を交流電源コネクタ217などの他の構成要素と比べて模式的に表記している。交流電源コネクタ217が受電コネクタに相当する。
【0107】
<バスバの締結>
第1連結バスバ285と第2連結バスバ286それぞれの一端側はz方向の厚さの薄い扁平形状をなしている。これら連結バスバの一端側にはz方向に貫通する連結孔288aが形成されている。これら連結バスバの一端側はy方向に並んでいる。
【0108】
図8と
図9に示すように、絶縁体287の取り付け面が右壁294の外側面292bに対向配置される。第1連結バスバ285と第2連結バスバ286それぞれの一端側が接続孔292cを介して筐体290の内部空間に挿入される。
【0109】
第1連結バスバ285の一端側が高圧バスバ271の外側接続端部279にz方向で重なって配置される。第2連結バスバ286の一端側が低圧バスバ272の外側接続端部279にz方向で重なって配置される。
【0110】
このように2つのバスバがz方向で重なって配置された状態で、連結孔288aと外側接続孔279aとがz方向で連通される。これらz方向で連通する2つの孔にボルトの軸部が挿入される。そしてこの軸部の先端側からナットが締結される。これにより、z方向で重なって配置された2つのバスバがボルトの頭部とナットとの間で挟持される。2つのバスバが電気的および機械的に連結される。
【0111】
<絶縁体の連結>
絶縁体287の取り付け面側に取り付け部289が連結されている。取り付け部289はz方向の厚さの薄い扁平形状をなしている。取り付け部289にはz方向に貫通する取り付け孔289aが形成されている。
【0112】
上記したように、第1連結バスバ285と第2連結バスバ286それぞれの一端側が接続孔292cを介して筐体290の内部空間に挿入される。係る挿入状態で、取り付け部289が右壁294の端面と対向配置される。
【0113】
この端面にはボルト溝が壁面に形成されたボルト孔が開口している。取り付け孔289aとボルト孔とがz方向で並び、両者がz方向で連通する。これらz方向で連通する2つの孔にボルトの軸部が挿入される。そしてこの軸部の先端側がボルト孔に締結される。これにより、取り付け部289がボルトの頭部と右壁294の端面との間で挟持される。絶縁体287が筐体290に機械的に連結される。
【0114】
<充電プラグの挿抜>
上記したように絶縁体287の挿抜面287bに、充電プラグ810の挿抜される挿抜孔が形成されている。この挿抜孔に対する充電プラグ810の挿抜方向は、
図9において白抜き矢印で示すように、x方向になっている。
【0115】
充電プラグ810が交流電源コネクタ217に挿入される際、交流電源コネクタ217に連結された外側接続端部279が外側延長部280側に向かって変位しようとする。この際に弾性部281が積極的に縮むように弾性変形する。また、外側延長部280は右面273b側に近づく態様で弾性変形する。これにより充電プラグ810が交流電源コネクタ217に挿入される際の応力が本体部273に作用することが抑制される。
【0116】
充電プラグ810が交流電源コネクタ217から抜去される際、交流電源コネクタ217に連結された外側接続端部279が交流電源コネクタ217側に向かって変位しようとする。この際に弾性部281が積極的に延びるように弾性変形する。また、外側延長部280は右面273bから離間する態様で弾性変形する。これにより充電プラグ810が交流電源コネクタ217から抜去される際の応力が本体部273に作用することが抑制される。
【0117】
<作用効果>
これまでに説明したように、配線基板261は筐体290よりも剛性の低い本体部273に固定されている。そして本体部273に収納された高圧バスバ271と低圧バスバ272は充電プラグ810の挿抜される交流電源コネクタ217に連結されている。
【0118】
交流電源コネクタ217に充電プラグ810が挿抜される際、交流電源コネクタ217に連結された高圧バスバ271と低圧バスバ272の外側端子276が弾性変形する。これにより充電プラグ810が交流電源コネクタ217に挿抜される際の応力が、本体部273に作用することが抑制される。この結果、本体部273に固定された配線基板261に応力が作用することが抑制される。
【0119】
また、筐体290に外部応力が作用した際、配線モジュール270の各種構成要素がその振動を吸収する。筐体290よりも剛性の低い本体部273が応力の一部を熱エネルギーに変換する。これにより、配線基板261に応力の作用することが抑制される。
【0120】
配線モジュール270の高圧バスバ271と低圧バスバ272から電磁ノイズが発生するのは、交流電源コネクタ217に充電プラグ810が挿入されている充電時である。DCDCコンバータ220から電磁ノイズが発生するのは第2車載負荷400などの車載機器の駆動時である。
【0121】
車載機器が駆動している通常時間は、交流電源コネクタ217に充電プラグ810が挿入されているAC充電時間よりも長い。この通常時間の間、DCDCコンバータ220から電磁ノイズが出力される。
【0122】
これに対して、配線基板261は配線モジュール270よりもDCDCコンバータ220から離間している。そのためにDCDCコンバータ220から出力される電磁ノイズが配線基板261に搭載された電力分配ECU260を透過することが抑制される。
【0123】
なお、本実施形態では特に言及してこなかったが、配線基板261と配線モジュール270の振動に対する共振周波数が異なっていてもよい。共振周波数が異なっていると、配線モジュール270と配線基板261がともに振動することが抑制される。
【0124】
また、配線モジュール270の減衰比が配線基板261の減衰比よりも高くともよい。係る減衰比の関係の場合、配線モジュール270を介した配線基板261への振動の伝達が抑制される。
【0125】
(その他の変形例)
本実施形態では車両にフロントMG510とリアMG610の両方が設けられた例を示した。しかしながら、車両にフロントMG510とリアMG610のうちのいずれか一方のみが設けられた構成を採用することもできる。これら2つのMGのうちの一方のみが車両に設けられる場合、車両にはフロントMG510とリアMG610のうちの一方のみが設けられる。
【0126】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0127】
10…電力供給システム、100…電池パック、110…組電池、200…電力分配装置、217…交流電源コネクタ、220…DCDCコンバータ、260…電力分配ECU、261…配線基板、270…配線モジュール、271…高圧バスバ、272…低圧バスバ、273…本体部、276…外側端子、279…外側接続端部、280…外側延長部、281…弾性部、290…筐体、300…第1車載負荷、400…第2車載負荷、500…フロントPCU、510…フロントMG、600…リアPCU、610…リアMG、700…DC電源、800…AC電源、810…充電プラグ