(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】リッドロック装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/32 20140101AFI20240110BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20240110BHJP
E05C 3/30 20060101ALI20240110BHJP
E05C 21/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E05B83/32
B60R7/04 C
E05C3/30
E05C21/00 A
(21)【出願番号】P 2021041896
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 将也
(72)【発明者】
【氏名】松村 正明
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-48655(JP,A)
【文献】特開2017-218127(JP,A)
【文献】特開2020-84732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0009387(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
B60R 7/04
E05C 3/30
E05C 9/02
E05C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス本体に設けられた開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間で移動するリッド本体の一端側に配置され、前記リッド本体を前記閉位置にロックさせる第一ロック位置と前記リッド本体のロックを解除させる第一ロック解除位置との間で移動可能な第一ロック部材と、
前記リッド本体の他端側に配置され、前記リッド本体を前記閉位置にロックさせる第二ロック位置と前記リッド本体のロックを解除させる第二ロック解除位置との間で移動可能な第二ロック部材と、
前記第一ロック部材を前記第一ロック位置に向けて付勢する第一付勢力を発生する第一付勢部材と、
前記第二ロック部材を前記第二ロック位置に向けて付勢する第二付勢力を発生する第二付勢部材と、
非操作状態で前記第一付勢力及び前記第二付勢力により基準位置に維持されると共に、所定操作により前記基準位置から離れる離間方向に移動する操作部材と、
前記操作部材の非操作状態で、前記第一付勢力及び前記第二付勢力により前記操作部材を前記基準位置に向けて移動させる方向に変位すると共に、前記操作部材の前記離間方向への移動に連動して、前記第一付勢力に抗して前記第一ロック部材を前記第一ロック解除位置に向けて移動させかつ前記第二付勢力に抗して前記第二ロック部材を前記第二ロック解除位置に向けて移動させる方向に変位するロッド部材と、
を備える、リッドロック装置。
【請求項2】
前記第一付勢部材は、一端が前記第一ロック部材に支持されかつ他端が前記ロッド部材に支持されるように配置されている、請求項1に記載されたリッドロック装置。
【請求項3】
前記第一付勢部材は、一端が前記ロッド部材又は前記第一ロック部材に支持されかつ他端が前記リッド本体に支持されるように配置されている、請求項1に記載されたリッドロック装置。
【請求項4】
前記第二付勢部材は、一端が前記第二ロック部材に支持されかつ他端が前記リッド本体に支持されるように配置されている、請求項2又は3に記載されたリッドロック装置。
【請求項5】
前記第一ロック部材及び前記第二ロック部材はそれぞれ、前記リッド本体に所定軸を中心にして揺動可能に支持されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載されたリッドロック装置。
【請求項6】
前記ロッド部材は、前記操作部材に接する第一接触部と、前記第一ロック部材に接する第二接触部と、前記第二ロック部材に接する第三接触部と、を有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載されたリッドロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両などに搭載されるコンソールボックスに装備されるリッドロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンソールボックスに装備されるリッドロック装置が知られている(例えば、特許文献1)。コンソールボックスは、収納空間が設けられたボックス本体と、ボックス本体の収納空間の上部に設けられた開口を開閉するリッドと、を備えている。リッドは、リッド本体と、そのリッド本体を上記の開口を閉じる閉位置にロックさせることが可能なリッドロック装置と、を備えている。
【0003】
リッドロック装置は、操作部材と、一対のロック部材と、係合ロッドと、を有している。操作部材は、リッド本体の一端側に配置された、押圧操作される操作部材である。操作部材は、付勢部材である第一スプリングを介してリッド本体に支持されている。操作部材が押圧操作された押圧力は、係合ロッドを基準位置から離間させる力として係合ロッドに伝達される。係合ロッドは、第二スプリングを介してリッド本体に支持されている。係合ロッドは、第二スプリングの付勢力により基準位置に向けて付勢されている。
【0004】
第一ロック部材は、リッド本体の一端側に配置されており、係合ロッドの一端部に接している。第一ロック部材は、リッド本体を閉位置にロックさせるロック位置とそのロックを解除させる解除位置との間で移動可能である。第一ロック部材は、第三スプリングを介してリッド本体に支持されており、第三スプリングの付勢力によりロック位置に向けて付勢されている。また、第二ロック部材は、リッド本体の他端側に配置されており、係合ロッドの他端部に接している。第二ロック部材は、リッド本体を閉位置にロックさせるロック位置とそのロックを解除させる解除位置との間で移動可能である。第二ロック部材は、第四スプリングを介してリッド本体に支持されており、第四スプリングの付勢力によりロック位置に向けて付勢されている。
【0005】
上記のリッドロック装置において、操作部材が押圧操作されていないときは、その操作部材は第一スプリングの付勢力により基準位置に保持され、係合ロッドは第二スプリングの付勢力により基準位置に維持されると共に、第一ロック部材は第三スプリングの付勢力によりロック位置に保持され、第二ロック部材は第四スプリングの付勢力によりロック位置に保持されている。この場合には、リッド本体が閉位置にロックされる。
【0006】
上記のリッドロック状態から操作部材が押圧操作されると、その操作部材が第一スプリングの付勢力に抗して基準位置から離れる離間方向に移動し、係合ロッドがその操作部材の移動に連動して第二スプリングの付勢力に抗して移動し、第一ロック部材が第三スプリングの付勢力に抗してロック解除位置に向けて移動し、第二ロック部材が第四スプリングの付勢力に抗してロック解除位置に向けて移動する。これにより、リッド本体の閉位置でのロックが解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のリッドロック装置では、操作部材と係合ロッドと第一ロック部材と第二ロック部材とにそれぞれ個別に対応した付勢部材が設けられている。しかしながら、このように付勢部材が個別の部品ごとに設けられるものとすると、部品点数が多くなり、組み付け工数が増えて組み付けコストが増加してしまう。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、リッド本体の閉位置でのロック及びロック解除を二つのロック部材を用いて実現するうえで必要な付勢部材の数を低減することが可能なリッドロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、ボックス本体に設けられた開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間で移動するリッド本体の一端側に配置され、前記リッド本体を前記閉位置にロックさせる第一ロック位置と前記リッド本体のロックを解除させる第一ロック解除位置との間で移動可能な第一ロック部材と、前記リッド本体の他端側に配置され、前記リッド本体を前記閉位置にロックさせる第二ロック位置と前記リッド本体のロックを解除させる第二ロック解除位置との間で移動可能な第二ロック部材と、前記第一ロック部材を前記第一ロック位置に向けて付勢する第一付勢力を発生する第一付勢部材と、前記第二ロック部材を前記第二ロック位置に向けて付勢する第二付勢力を発生する第二付勢部材と、非操作状態で前記第一付勢力及び前記第二付勢力により基準位置に維持されると共に、所定操作により前記基準位置から離れる離間方向に移動する操作部材と、前記操作部材の非操作状態で、前記第一付勢力及び前記第二付勢力により前記操作部材を前記基準位置に向けて移動させる方向に変位すると共に、前記操作部材の前記離間方向への移動に連動して、前記第一付勢力に抗して前記第一ロック部材を前記第一ロック解除位置に向けて移動させかつ前記第二付勢力に抗して前記第二ロック部材を前記第二ロック解除位置に向けて移動させる方向に変位するロッド部材と、を備える、リッドロック装置である。
【0011】
この構成によれば、二つの付勢部材を用いて、リッド本体を閉位置にロックさせることができると共に、操作部材の所定操作により、そのリッド本体の閉位置ロックを解除させることができる。すなわち、リッド本体の閉位置でのロック及びロック解除を実現するうえで必要な付勢部材を二つに限定することができ、その付勢部材の数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一実施形態に係るリッドロック装置が装備されるコンソールボックスの斜視図である。
【
図2】第一実施形態のリッドロック装置が設置されたリッド本体の斜視図である。
【
図3】第一実施形態のリッド本体に設置されるリッドロック装置の分解斜視図である。
【
図4】第一実施形態のリッドロック装置が設置されたリッド本体の上面図である。
【
図5】
図4に示すリッド本体を直線IV-IVに沿って切断した際の断面図である。
【
図6】第二実施形態に係るリッド本体に設置されるリッドロック装置の分解斜視図である。
【
図7】第二実施形態のリッドロック装置が設置されたリッド本体の上面図である。
【
図8】
図7に示すリッド本体を直線VII-VIIに沿って切断した際の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明に係るリッドロック装置の具体的な実施形態について説明する。
【0014】
[第一実施形態]
第一実施形態のリッドロック装置20は、例えば車両の車室内に設置されるコンソールボックス1に装備される装置である。コンソールボックス1は、
図1に示す如く、ボックス本体10と、リッド11と、を備えている。
【0015】
ボックス本体10は、物を収納する収納空間を有する箱体である。ボックス本体10は、直方体形状に形成されており、樹脂などにより成形されている。ボックス本体10は、収納空間の上部に開いた開口10aを有している。開口10aは、例えば長方形状に形成されている。
【0016】
リッド11は、ボックス本体10に設けられた開口10aを閉塞することが可能な板状の蓋体である。リッド11は、開口10aの平面形状に合わせた形状に形成されている。リッド11は、開口10aを閉じる閉位置と開口10aを開く開位置との間で移動することが可能である。リッド11は、ボックス本体10の周縁において直線状に延びる軸(例えば、
図1に示す如く車両前後方向Xに延びる軸)を中心にして回動することにより移動する。
【0017】
リッド11の回動中心軸は、ボックス本体10の車幅方向の一方端(例えば、
図1に示す如く左端)に配置されており、リッド11は、ボックス本体10に対してその回動中心軸を中心にして片開きするものである。また、リッド11は、例えばスプリングなどの付勢部材(図示せず)を用いて、上記の回動中心軸を中心にして閉位置側から開位置側に向けて付勢されるものである。
【0018】
リッド11は、
図2に示す如く、リッド本体12と、表皮部材13と、を有している。リッド本体12は、リッド11の基材をなす部材であって、例えば樹脂により成形された射出成形体である。表皮部材13は、リッド本体12の外面を覆う部材である。表皮部材13は、例えばクッション性を有している。尚、リッド本体12は、インナ部材とアウタ部材とが互いに組付けられることにより構成されてよい。また、リッド11は、閉位置で上面に車両乗員の腕を載せることが可能なアームレストであってよい。
【0019】
リッドロック装置20は、
図3、
図4、及び
図5に示す如く、第一ロック部材30と、第二ロック部材40と、第一付勢部材50と、第二付勢部材60と、操作部材70と、ロッド部材80と、を備えている。
【0020】
第一ロック部材30及び第二ロック部材40は、リッド本体12をボックス本体10の開口10aを閉じた状態(閉位置)にロックする部材である。第一ロック部材30は、リッド本体12の一端側(例えば
図3に示す如く車両前後方向Xの前端側)に配置されている。第二ロック部材40は、リッド本体12の他端側(例えば
図3に示す如く車両前後方向Xの後端側)に配置されている。
【0021】
第一ロック部材30は、リッド本体12(具体的には、その一端側)を閉位置にロックさせる第一ロック位置とそのリッド本体12の閉位置でのロックを解除させる第一ロック解除位置との間で移動可能である。第一ロック部材30は、リッド本体12にそのリッド本体12の板面に平行に延びる軸を中心にして揺動可能に支持されている。第一ロック部材30は、断面略L字状に形成されている。
【0022】
具体的には、第一ロック部材30は、リッド本体12の板面に対して直交する直交方向に広がりかつ車両前後方向Xに向いた板面部30aと、リッド本体12の板面に対して平行に広がりかつ上記の板面部30aの端部に接続する庇部30bと、を有するように形成されている。第一ロック部材30は、支持軸部31と、爪部32と、スプリング接触部33と、ロッド接触部34と、を有している。
【0023】
支持軸部31は、第一ロック部材30の揺動中心となる軸体である。支持軸部31は、板面部30aの上記直交方向の中央部近傍に設けられている。支持軸部31は、リッド本体12の閉位置で水平方向に沿って延びるように形成されている。支持軸部31は、板面部30aを挟むように一対設けられている。支持軸部31は、リッド本体12に設けられた軸孔12aに回転可能に挿通されている。
【0024】
爪部32は、リッド本体12を閉位置にロックする際にボックス本体10に設けられた係合部(図示せず)に係合して引っ掛かる部位である。爪部32は、板面部30aの上記直交方向の先端部(すなわち、リッド本体12の閉位置では下端部)に設けられている。板面部30aひいては爪部32は、リッド本体12に設けられた貫通孔12bを通してリッド本体12の外方(すなわち、リッド本体12の閉位置では下方)へ突出している。板面部30aひいては爪部32は、第一ロック部材30が支持軸部31を揺動中心にして揺動する際に車両前後方向Xに移動する。
【0025】
スプリング接触部33は、第一付勢部材50に接触してその第一付勢部材50の第一付勢力が付与される部位である。スプリング接触部33は、庇部30bの先端部(すなわち、板面部30aとの接続側とは反対の後端部において車両前後方向Xに向いた壁部)に設けられている。第一ロック部材30は、スプリング接触部33にて第一付勢部材50から付与される第一付勢力を受けて支持軸部31を揺動中心にして第一ロック位置側へ揺動する。
【0026】
ロッド接触部34は、ロッド部材80に接触する部位である。ロッド接触部34は、板面部30aの上記直交方向の根元部(すなわち、リッド本体12の閉位置では上端部)に設けられている。ロッド接触部34は、ロッド部材80と連動して移動する。具体的には、ロッド接触部34は、第一ロック部材30の第一ロック位置側への揺動時にロッド部材80を車両前後方向Xのうちの前方へ押圧する部位になると共に、後述の如く操作部材70が押圧操作された時にロッド部材80から車両前後方向Xのうちの後方へ押圧される部位になる。
【0027】
第二ロック部材40は、リッド本体12(具体的には、その他端側)を閉位置にロックさせる第二ロック位置とそのリッド本体12の閉位置でのロックを解除させる第二ロック解除位置との間で移動可能である。第二ロック部材40は、リッド本体12にそのリッド本体12の板面に平行に延びる軸を中心にして揺動可能に支持されている。第二ロック部材40は、断面略L字状に形成されている。
【0028】
具体的には、第二ロック部材40は、リッド本体12の板面に対して直交する直交方向に広がりかつ車両前後方向Xに向いた板面部40aと、リッド本体12の板面に対して平行に広がりかつその板面部40aの端部に接続する庇部40bと、を有するように形成されている。第二ロック部材40は、支持軸部41と、爪部42と、スプリング接触部43と、ロッド接触部44と、を有している。
【0029】
支持軸部41は、第二ロック部材40の揺動中心となる軸体である。支持軸部41は、板面部40aの上記直交方向の中央部近傍に設けられている。支持軸部41は、リッド本体12の閉位置で水平方向に沿って延びるように形成されている。支持軸部41は、板面部40aを挟むように一対設けられている。支持軸部41は、リッド本体12に設けられた軸孔12cに回転可能に挿通されている。
【0030】
爪部42は、リッド本体12を閉位置にロックする際にボックス本体10に設けられた係合部(図示せず)に係合して引っ掛かる部位である。爪部42は、板面部40aの上記直交方向の先端部(すなわち、リッド本体12の閉位置では下端部)に設けられている。板面部40aひいては爪部42は、リッド本体12に設けられた貫通孔12dを通してリッド本体12の外方(すなわち、リッド本体12の閉位置では下方)へ突出している。板面部40aひいては爪部42は、第二ロック部材40が支持軸部41を揺動中心にして揺動する際に車両前後方向Xに移動する。第二ロック部材40の支持軸部41を揺動中心にした揺動の方向は、第一ロック部材30の支持軸部31を揺動中心にした揺動の方向と同じであり、爪部42を含む板面部40aの車両前後方向Xの移動方向は、爪部32を含む板面部30aの車両前後方向Xの移動方向と同じである。
【0031】
スプリング接触部43は、第二付勢部材60に接触してその第二付勢部材60の第二付勢力が付与される部位である。スプリング接触部43は、庇部40bに設けられている。第二ロック部材40は、スプリング接触部43にて第二付勢部材60から付与される第二付勢力を受けて支持軸部31を揺動中心にして第二ロック位置側へ揺動する。
【0032】
ロッド接触部44は、ロッド部材80に接触する部位である。ロッド接触部44は、板面部40aの上記直交方向の根元部(すなわち、リッド本体12の閉位置では上端部)に設けられている。ロッド接触部44は、ロッド部材80と連動して移動する。具体的には、ロッド接触部44は、第二ロック部材40の第二ロック位置側への揺動時にロッド部材80を車両前後方向Xのうちの前方へ押圧する部位になると共に、後述の如く操作部材70が押圧操作された時にロッド部材80から車両前後方向Xのうちの後方へ押圧される部位になる。
【0033】
第一付勢部材50は、第一ロック部材30を第一ロック位置に向けて付勢する第一付勢力を発生する部材である。第一ロック部材30は、第一付勢部材50の第一付勢力により、第一ロック解除位置から第一ロック位置に向けて付勢されている。第一付勢部材50は、例えばスプリングである。第一付勢部材50は、車両前後方向Xに延在するように、一端が第一ロック部材30に支持されかつ他端がロッド部材80に支持されるように配置されている。第一付勢部材50の一端は、第一ロック部材30のスプリング接触部33に接触している。第一付勢部材50の他端は、ロッド部材80に接触している。第一付勢部材50は、車両前後方向Xに伸縮可能である。
【0034】
第二付勢部材60は、第二ロック部材40を第二ロック位置に向けて付勢する第二付勢力を発生する部材である。第二ロック部材40は、第二付勢部材60の第二付勢力により、第二ロック解除位置から第二ロック位置に向けて付勢されている。第二付勢部材60は、例えばスプリングである。第二付勢部材60は、車両前後方向Xに直交する直交方向(すなわち、リッド本体12の閉位置では上下方向)に延在するように、一端が第二ロック部材40に支持されかつ他端がリッド本体12に支持されるように配置されている。
【0035】
第二付勢部材60の一端は、第二ロック部材40のスプリング接触部43に接触している。第二付勢部材60の他端は、リッド本体12に設けられたスプリング接触部12eに接触している。第二付勢部材60は、車両前後方向Xに直交しかつリッド本体12の板面に直交する方向(リッド本体12の閉位置では上下方向)に伸縮可能である。尚、リッド本体12は、第二付勢部材60の伸縮を補助する突起状のスプリング支持部12fを有することとしてもよい。
【0036】
操作部材70は、車両乗員により押圧操作されるノブ部材である。尚、操作部材70は、車両乗員により引っ張り操作されるノブ部材であってもよい。操作部材70は、リッド本体12に移動可能(具体的には、回動可能)に支持されている。操作部材70は、リッド本体12の前面側に設けられており、第二ロック部材40に比べて第一ロック部材30に近接して配置されている。操作部材70は、車両前後方向Xのうちの後方に押圧操作される。操作部材70の車両前後方向Xの後端部は、ロッド部材80に接している。操作部材70は、ロッド部材80と一体となって車両前後方向Xに移動する。
【0037】
操作部材70は、非操作状態では、ロッド部材80を介した第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力が付与されることにより基準位置(具体的には、車両前後方向Xにおける前端位置)に維持されている。また、操作部材70は、車両前後方向Xのうちの後方へ押圧操作されると、その押圧力によりその基準位置から離れる離間方向(具体的には、車両前後方向Xのうちの後方)に移動する。かかる押圧操作が行われると、その押圧力はロッド部材80に付与される。また、操作部材70がロッド部材80から車両前後方向Xのうちの前方へ押圧されると、その操作部材70が基準位置に復帰する。
【0038】
ロッド部材80は、操作部材70と第一ロック部材30と第二ロック部材40とを互いに連動して移動させる部材である。ロッド部材80は、車両前後方向Xに棒状に延びている。ロッド部材80は、リッド本体12に対して車両前後方向Xに移動可能に保持されている。ロッド部材80は、操作部材70の非操作状態では、第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により前方へ変位する。ロッド部材80は、この前方への変位により、操作部材70を基準位置に向けて押圧して移動させる。また、ロッド部材80は、操作部材70が押圧操作されると、その操作部材70の移動により連動して後方へ変位する。ロッド部材80は、この後方への変位により、第一付勢力に抗して第一ロック部材30を第一ロック解除位置に向けて移動させると共に、第二付勢力に抗して第二ロック部材40を第二ロック解除位置に向けて移動させる。
【0039】
ロッド部材80は、操作部材70に接する第一接触部81と、第一ロック部材30のロッド接触部34に接する第二接触部82と、第二ロック部材40のロッド接触部44に接する第三接触部83と、第一付勢部材50の他端に接する第四接触部84と、を有している。尚、ロッド部材80は、第一付勢部材50の伸縮を補助する突起状のスプリング支持部85を有することとしてもよい。
【0040】
第一接触部81は、ロッド部材80の車両前後方向Xの前端部において前方に向いた面に形成されている。第二接触部82は、ロッド部材80の車両前後方向Xの前端部近傍において後方に向いた面に形成されている。第三接触部83は、ロッド部材80の車両前後方向Xの後端部において後方に向いた面に形成されている。第四接触部84は、ロッド部材80の車両前後方向Xの中途部において前方に向いた面に形成されている。
【0041】
次に、リッドロック装置20の動作について説明する。
上記の構造を有するリッドロック装置20において、第二付勢部材60は、リッド本体12のスプリング接触部12eに接する他端を支点として、一端で第二ロック部材40の庇部40bのスプリング接触部43に接してその第二ロック部材40に第二付勢力を付与する。このため、操作部材70が押圧操作されていない非操作状態では、その第二付勢部材60の第二付勢力により、第二ロック部材40が、支持軸部41を揺動中心にして第二ロック解除位置側から第二ロック位置側へ揺動され、その揺動の規制後にその第二ロック位置に維持される。
【0042】
また、上記の非操作状態において、第二付勢部材60の第二付勢力により第二ロック部材40が第二ロック位置側へ揺動される際は、その第二ロック部材40が、ロッド接触部44に第三接触部83が接するロッド部材80を車両前後方向Xのうちの前方へ押圧することで、そのロッド部材80がリッド本体12に対して前方へ変位する。第一付勢部材50は、ロッド部材80の第四接触部84に接する他端を支点として、一端で第一ロック部材30の庇部30bのスプリング接触部33に接してその第一ロック部材30に第一付勢力を付与する。ロッド部材80が上記の如く前方へ変位すると、第一付勢部材50の第一付勢力により、第一ロック部材30が、支持軸部31を揺動中心にして第一ロック解除位置側から第一ロック位置側へ揺動され、その揺動の規制後にその第一ロック位置に維持される。
【0043】
また、上記の非操作状態において、第二付勢部材60の第二付勢力により第二ロック部材40が第二ロック位置側へ揺動されかつ第一付勢部材50の第一付勢力により第一ロック部材30が第一ロック位置側へ揺動される際は、それらの第一付勢力及び第二付勢力により、ロッド部材80が、リッド本体12に対して車両前後方向Xのうちの前方へ変位して、第一接触部81に接する操作部材70を前方へ押圧する。この場合、操作部材70は、リッド11に対して前方へ移動され、その移動の規制後に基準位置に維持される。
【0044】
上記した操作部材70の非操作状態がリッド11の閉位置で実現される場合は、第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により、第一ロック部材30及び第二ロック部材40が、ボックス本体10の開口10aがリッド本体12で閉じられた状態でロック位置に維持されることとなる。従って、第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により、リッド本体12を閉位置にロックさせることができる。
【0045】
次に、リッド本体12が閉位置にロックされている状態で車両乗員により操作部材70が押圧操作されると、その押圧力が、操作部材70の後端部に第一接触部81が接するロッド部材80に、車両前後方向Xのうちの後方へ押圧する力として伝達される。このロッド部材80に伝達される力が第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力に抗して大きくなると、ロッド部材80がリッド本体12に対して後方へ変位する。
【0046】
ロッド部材80が上記の如く後方へ変位すると、第二ロック部材40が、ロッド接触部44でそのロッド部材80の第三接触部83に接した状態で支持軸部41を揺動中心にして第二ロック位置側から第二ロック解除位置側へ揺動されると共に、第一ロック部材30が、ロッド接触部34でそのロッド部材80の第二接触部82に接した状態で支持軸部31を揺動中心にして第一ロック位置側から第一ロック解除位置側へ揺動される。これらの第二ロック部材40の揺動及び第一ロック部材30の揺動は、ロッド部材80の変位に連動して略同タイミングで行われる。
【0047】
リッド本体12の閉位置でのロック状態から第一ロック部材30及び第二ロック部材40がロック解除位置まで揺動されると、そのリッド本体12の閉位置でのロックが解除される。従って、操作部材70が基準位置から押圧操作されることにより、リッド本体12の閉位置でのロックを解除させることができる。より具体的には、リッド本体12の一端側での閉位置ロック解除と他端側での閉位置ロック解除とを略同タイミングで実現させることができるので、リッド本体12の閉位置ロック解除を全体として偏りなく実現させることができる。
【0048】
上記の如くリッド本体12の閉位置ロックが解除されると、そのリッド本体12ひいてはリッド11は、付勢部材(図示せず)を用いて回動中心軸を中心にして開位置側に向けて付勢されてボックス本体10の開口10aを開く。従って、ボックス本体10の開口10aが閉じられた状態で操作部材70が押圧操作されることにより、その開口10aを開くことができる。
【0049】
更に、リッド11が開位置にある状態で車両乗員によりそのリッド11が回動中心軸を中心にして閉位置側に向けて押圧操作されると、その押圧力が付勢部材の付勢力に抗して大きい場合に、そのリッド11が回動中心軸を中心にして閉位置側に向けて回動移動される。そして、リッド本体12が閉位置近傍まで達すると、第一ロック部材30及び第二ロック部材40が、まず一旦、ボックス本体10に係合して、第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力に抗してロック解除位置側に向けて揺動され、その後に、ボックス本体10との係合解除に伴って、第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力によりロック位置側に向けて揺動される。これにより、リッド本体12を閉位置にロックさせることができる。
【0050】
このように、リッドロック装置20によれば、リッド本体12の閉位置でのロック及びロック解除を、リッド本体12の車両前後方向X両端に配置された第一ロック部材30及び第二ロック部材40を用いて実現することができる。また、そのロック及びロック解除を実現するうえで必要な付勢部材を第一付勢部材50及び第二付勢部材60の二つに限定することができる。
【0051】
従って、リッド本体12の閉位置でのロック及びロック解除を実現するうえで必要な付勢部材を、操作部材70、ロッド部材80、第一ロック部材30、及び第二ロック部材40それぞれに個別に対応して付勢部材を設けることは不要であり、その付勢部材の数をそれらの個別の部品70,80,30,40の点数よりも少ない数に低減することができる。このため、リッドロック装置20が備える部品点数を低減することができ、これにより、組み付け作業を簡素化して組み付け工数を削減し組み付けコストの低減を図ることができる。
【0052】
[第二実施形態]
第二実施形態のリッドロック装置100は、上記の第一実施形態のリッドロック装置20において、第一ロック部材30に代えて第一ロック部材110を用い、第一付勢部材50に代えて第一付勢部材120を用い、かつロッド部材80に代えてロッド部材130を用いることにより実現される。尚、
図6乃至
図8において、
図3乃至
図5に示した構成と同一の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0053】
リッドロック装置100は、
図6、
図7、及び
図8に示す如く、第一ロック部材110と、第二ロック部材40と、第一付勢部材120と、第二付勢部材60と、操作部材70と、ロッド部材130と、を備えている。
【0054】
第一ロック部材110は、リッド本体12をボックス本体10の開口10aを閉じた状態(閉位置)にロックする部材である。第一ロック部材110は、リッド本体12の一端側(例えば
図6に示す如く車両前後方向Xの前端側)に配置されている。第一ロック部材110は、リッド本体12(具体的には、その一端側)を閉位置にロックさせる第一ロック位置とそのリッド本体12の閉位置でのロックを解除させる第一ロック解除位置との間で移動可能である。第一ロック部材110は、リッド本体12にそのリッド本体12の板面に平行に延びる軸を中心にして揺動可能に支持されている。第一ロック部材110は、断面略L字状に形成されており、上記の第二ロック部材40の形状と略同じ形状に形成されている。
【0055】
具体的には、第一ロック部材110は、リッド本体12の板面に対して直交する直交方向に広がりかつ車両前後方向Xに向いた板面部110aと、リッド本体12の板面に対して平行に広がりかつ上記の板面部110aの端部に接続する庇部110bと、を有するように形成されている。第一ロック部材110は、板面部110aに設けられた支持軸部31と、板面部110aに設けられた爪部32と、第一ロッド接触部111と、第二ロッド接触部112と、を有している。
【0056】
ロッド接触部111,112は、ロッド部材130に接触する部位である。第一ロッド接触部111は、板面部110aの上記直交方向の根元部(すなわち、リッド本体12の閉位置では上端部)に設けられている。第二ロッド接触部112は、庇部110bの先端部(すなわち、板面部110aとの接続側とは反対の後端部)に設けられている。ロッド接触部111,112は、ロッド部材130と連動して移動する。具体的には、第一ロッド接触部111は、操作部材70が押圧操作された時にロッド部材130から車両前後方向Xのうちの後方へ押圧される部位になる。第二ロッド接触部112は、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力によりロッド部材130が車両前後方向Xのうちの前方へ押圧された時にそのロッド部材130から前方へ押圧される部位になる。
【0057】
第一付勢部材120は、ロッド部材130ひいては第一ロック部材110を第一ロック位置に向けて付勢する第一付勢力を発生する部材である。第二付勢部材60は、第二ロック部材40ひいてはロッド部材130を第二ロック位置に向けて付勢する第二付勢力を発生する部材である。ロッド部材130は、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により、車両前後方向Xのうちの前方へ付勢されている。ロッド部材130は、第一ロック部材110の第二ロッド接触部112に接しており、第一ロック部材110は、上記の第一付勢力及び第二付勢力により、第一ロック解除位置から第一ロック位置に向けて付勢されている。第一付勢部材120は、例えばスプリングである。第一付勢部材120は、車両前後方向Xに延在するように、一端がロッド部材130に支持されかつ他端がリッド本体12に支持されるように配置されている。
【0058】
第一付勢部材120の一端は、ロッド部材130に設けられた接触部(具体的には、後述の第四接触部134)に接触している。第一付勢部材120の他端は、リッド本体12に設けられた突起部12gに接触している。第一付勢部材120は、車両前後方向Xに伸縮可能である。
【0059】
ロッド部材130は、操作部材70と第一ロック部材110と第二ロック部材40とを互いに連動して移動させる部材である。ロッド部材130は、車両前後方向Xに棒状に延びている。ロッド部材130は、リッド本体12に対して車両前後方向Xに移動可能に保持されている。ロッド部材130は、操作部材70の非操作状態では、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により前方へ変位する。ロッド部材130は、この前方への変位により、操作部材70を基準位置に向けて押圧して移動させる。また、ロッド部材130は、操作部材70が押圧操作されると、その操作部材70の移動により連動して後方へ変位する。ロッド部材130は、この後方への変位により、第一付勢力に抗して第一ロック部材110を第一ロック解除位置に向けて移動させると共に、第二付勢力に抗して第二ロック部材40を第二ロック解除位置に向けて移動させる。
【0060】
ロッド部材130は、操作部材70に接する第一接触部131と、第一ロック部材110の第一ロッド接触部111に接する第二接触部132と、第二ロック部材40のロッド接触部44に接する第三接触部133と、第一付勢部材120の一端に接する第四接触部134と、第一ロック部材110の第二ロッド接触部112に接する第五接触部135と、を有している。尚、ロッド部材130は、第一付勢部材120の伸縮を補助する突起状のスプリング支持部136を有することとしてもよい。
【0061】
第一接触部131は、ロッド部材130の車両前後方向Xの前端部において前方に向いた面に形成されている。第二接触部132は、ロッド部材130の車両前後方向Xの前端部近傍において後方に向いた面に形成されている。第三接触部133は、ロッド部材130の車両前後方向Xの後端部において後方に向いた面に形成されている。第四接触部134は、ロッド部材130の車両前後方向Xの前端部近傍であって第五接触部135近傍において後方に向いた面に形成されている。第五接触部135は、ロッド部材130の車両前後方向Xの前端部近傍であって第二接触部132の配置位置よりも後方側において前方に向いた面に形成されている。
【0062】
次に、リッドロック装置100の動作について説明する。
上記の構造を有するリッドロック装置100において、第二付勢部材60は、リッド本体12のスプリング接触部12eに接する他端を支点として、一端で第二ロック部材40の庇部40bのスプリング接触部43に接してその第二ロック部材40に第二付勢力を付与する。このため、操作部材70が押圧操作されていない非操作状態では、その第二付勢部材60の第二付勢力により、第二ロック部材40が、支持軸部41を揺動中心にして第二ロック解除位置側から第二ロック位置側へ揺動され、その揺動の規制後にその第二ロック位置に維持される。上記の如く第二付勢部材60の第二付勢力により第二ロック部材40が第二ロック位置側へ揺動される際は、その第二ロック部材40が、ロッド接触部44に第三接触部133が接するロッド部材130を車両前後方向Xのうちの前方へ押圧することで、そのロッド部材130がリッド本体12に対して前方へ変位する。
【0063】
また、第一付勢部材120は、リッド本体12の突起部12gに接する他端を支点として、一端でロッド部材130の第四接触部134に接してそのロッド部材130に第一付勢力を付与する。このため、操作部材70が押圧操作されていない非操作状態では、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力によりロッド部材130が前方へ押圧されて変位する。ロッド部材130が前方へ変位すると、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により、第一ロック部材110が、支持軸部31を揺動中心にして第一ロック解除位置側から第一ロック位置側へ揺動され、その揺動の規制後にその第一ロック位置に維持される。
【0064】
上記の如く第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により第一ロック部材110が第一ロック位置側へ揺動されかつ第二ロック部材40が第二ロック位置側へ揺動される際は、それらの第一付勢力及び第二付勢力により、ロッド部材130が、リッド本体12に対して車両前後方向Xのうちの前方へ変位して、第一接触部131に接する操作部材70を前方へ押圧する。この場合、操作部材70は、リッド11に対して前方へ移動され、その移動の規制後に基準位置に維持される。
【0065】
上記した操作部材70の非操作状態がリッド11の閉位置で実現される場合は、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により、第一ロック部材110及び第二ロック部材40が、ボックス本体10の開口10aがリッド本体12で閉じられた状態でロック位置に維持されることとなる。従って、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力により、リッド本体12を閉位置にロックさせることができる。
【0066】
次に、リッド本体12が閉位置にロックされている状態で車両乗員により操作部材70が押圧操作されると、その押圧力が、操作部材70の後端部に第一接触部131が接するロッド部材130に、車両前後方向Xのうちの後方へ押圧する力として伝達される。このロッド部材130に伝達される力が第一付勢部材50の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力に抗して大きくなると、ロッド部材130がリッド本体12に対して後方へ変位する。
【0067】
ロッド部材130が上記の如く後方へ変位すると、第一ロック部材110が、第一ロッド接触部111でそのロッド部材130の第二接触部132に接した状態で支持軸部31を揺動中心にして第一ロック位置側から第一ロック解除位置側へ揺動されると共に、第二ロック部材40が、ロッド接触部44でそのロッド部材130の第三接触部133に接した状態で支持軸部41を揺動中心にして第二ロック位置側から第二ロック解除位置側へ揺動される。これらの第一ロック部材110の揺動及び第二ロック部材40の揺動は、ロッド部材130の移動に連動して略同タイミングで行われる。
【0068】
リッド本体12の閉位置でのロック状態から第一ロック部材110及び第二ロック部材40がロック解除位置まで揺動されると、そのリッド本体12の閉位置でのロックが解除される。従って、操作部材70が基準位置から押圧操作されることにより、リッド本体12の閉位置でのロックを解除させることができる。より具体的には、リッド本体12の一端側での閉位置ロック解除と他端側での閉位置ロック解除とを略同タイミングで実現させることができるので、リッド本体12の閉位置ロック解除を全体として偏りなく実現させることができる。
【0069】
上記の如くリッド本体12の閉位置ロックが解除されると、そのリッド本体12ひいてはリッド11は、付勢部材(図示せず)を用いて回動中心軸を中心にして開位置側に向けて付勢されてボックス本体10の開口10aを開く。従って、ボックス本体10の開口10aが閉じられた状態で操作部材70が押圧操作されることにより、その開口10aを開くことができる。
【0070】
更に、リッド11が開位置にある状態で車両乗員によりそのリッド11が回動中心軸を中心にして閉位置側に向けて押圧操作されると、その押圧力が付勢部材の付勢力に抗して大きい場合に、そのリッド11が回動中心軸を中心にして閉位置側に向けて回動移動される。そして、リッド本体12が閉位置近傍まで達すると、第一ロック部材110及び第二ロック部材40が、まず一旦、ボックス本体10に係合して、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力に抗してロック解除位置側に向けて揺動され、その後に、ボックス本体10との係合解除に伴って、第一付勢部材120の第一付勢力及び第二付勢部材60の第二付勢力によりロック位置側に向けて揺動される。これにより、リッド本体12を閉位置にロックさせることができる。
【0071】
このように、リッドロック装置100においても、リッド本体12の閉位置でのロック及びロック解除を、リッド本体12の車両前後方向X両端に配置された第一ロック部材30及び第二ロック部材40を用いて実現することができる。また、そのロック及びロック解除を実現するうえで必要な付勢部材を第一付勢部材120及び第二付勢部材60の二つに限定することができる。
【0072】
従って、リッド本体12の閉位置でのロック及びロック解除を実現するうえで必要な付勢部材を、操作部材70、ロッド部材130、第一ロック部材110、及び第二ロック部材40それぞれに個別に対応して付勢部材を設けることは不要であり、その付勢部材の数をそれらの個別の部品70,130,110,40の点数よりも少ない数に低減することができる。このため、リッドロック装置100が備える部品点数を低減することができ、これにより、組み付け作業を簡素化して組み付け工数を削減し組み付けコストの低減を図ることができる。
【0073】
[変形形態]
ところで、上記の第二実施形態においては、第一付勢部材120が、一端がロッド部材130に支持されかつ他端がリッド本体12に支持されるように配置されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第一付勢部材120が、一端が第一ロック部材110に支持されかつ他端がリッド本体12に支持されるように配置されることとしてもよい。
【0074】
また、上記の実施形態においては、リッド11がボックス本体10に対して唯一つの回動中心軸を中心にして片開きするものである。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、リッド11がボックス本体10に対して互いに離間した二つの回動中心軸を中心にして開動作する構成に適用することとしてもよい。
【0075】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1:コンソールボックス、10:ボックス本体、10a:開口、11:リッド、12:リッド本体、13:表皮部材、20,100:リッドロック装置、30,110:第一ロック部材、40:第二ロック部材、50,120:第一付勢部材、60:第二付勢部材、70:操作部材、80,130:ロッド部材、81:第一接触部、82:第二接触部、83:第三接触部。