(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】バンドおよび時計
(51)【国際特許分類】
A44C 5/02 20060101AFI20240110BHJP
A44C 5/14 20060101ALI20240110BHJP
G04B 37/16 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A44C5/02 D
A44C5/14 J
G04B37/16 Q
(21)【出願番号】P 2021211756
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2019181293の分割
【原出願日】2017-10-04
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中塚 義樹
(72)【発明者】
【氏名】正林 盛次
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-123723(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00-5/24
G04B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着凹部が端部に開放されて設けられたバンド本体と、
前記装着凹部に埋め込まれ、かつ複数の取付片が前記装着凹部の前記開放側に向けて突出して設けられた補強部と、
前記複数の取付片に固定されて前記バンド本体の前記端部に前記補強部と共に取り付けられるバンド連結部と、
第1ねじ部材と、
第2ねじ部材と、
を備え、
前記複数の取付片は、前記バンド連結部に設けられた複数の取付穴に嵌め込まれる第1取付片と、
前記バンド連結部の下に配置される第2取付片と、を含み、
前記第1ねじ部材は、前記第1取付片に前記バンド連結部を固定
し、
前記第2ねじ部材は、
前記第2取付片に前記バンド本体と前記バンド連結部とを固定することを特徴とするバンド。
【請求項2】
請求項1に記載のバンドにおいて、前記補強部は、前記バンド本体の一部が食い込む食込み部を備え、前記バンド本体と一体に設けられていることを特徴とするバンド。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2に記載のバンドにおいて、前記第1ねじ部材は、前記バンド連結部の挿入孔を通して前記第1取付片のねじ孔に下側から螺着するねじ部と、前記バンド連結部の挿入孔に下側から挿入されて前記第1取付片の外面に当接する首下部と、前記バンド連結部の座ぐり部に挿入して前記バンド連結部を押え付ける頭部と、を備えていることを特徴とするバンド。
【請求項4】
請求項
3に記載のバンドにおいて、前記バンド連結部の挿入孔の内径は、前記第1取付片のねじ孔の内径よりも大きく形成されており、
前記バンド連結部の前記座ぐり部は、前記バンド連結部の挿入孔の下部に設けられており、
前記バンド連結部の前記座ぐり部の内径は、前記バンド連結部の挿入孔の内径よりも大きく形成されていることを特徴とするバンド。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載のバンドにおいて、前記第1ねじ部材は、前記バンド本体の長手方向と直交する幅方向における前記バンド連結部の両側から前記バンド連結部を通して前記第1取付片に螺着することを特徴とするバンド。
【請求項6】
請求項1~請求項
5のいずれかに記載のバンドにおいて、前記補強部は、硬質の合成樹脂製かつ弾性変形する素材であることを特徴とするバンド。
【請求項7】
請求項
1~請求項6のいずれかに記載のバンドにおいて、前記第2ねじ部材は、前記バンド連結部に設けられたねじ穴に下側から螺合するねじ部と、前記補強部の前記第2取付片に設けられた挿入孔に下側から挿入する首下部と、前記バンド本体の下部突出片の座ぐり穴に配置される頭部と、を備えていることを特徴とするバンド。
【請求項8】
請求項1~請求項
7のいずれかに記載されたバンドを備えていることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計やバッグ、鞄、衣服に用いられるバンドおよびそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計のバンドにおいては、特許文献1に記載されているように、軟質の合成樹脂製のバンド本体の端部に嵌合凹部を設け、この嵌合凹部に硬質材料の補強片を嵌め込み、この状態でバンド本体の端部を補強片と共に腕時計ケースに取り付けるように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
この種のバンドは、バンド本体の端部に設けられた嵌合凹部に硬質材料の補強片を嵌め込み、この嵌め込まれた補強片をバンド本体の端部に固定ピンによって固定し、この状態でバンド本体の端部を補強片と共に腕時計ケースにばね棒によって取り付ける構造になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような腕時計のバンドでは、軟質の合成樹脂製のバンド本体の端部に設けられた嵌合凹部に補強片を固定ピンで固定した構造であるから、腕に取り付け際のバンドのフィット感に欠けるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、バンドの装着性の向上および耐衝撃性に優れたバンドおよびそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、装着凹部が端部に開放されて設けられたバンド本体と、前記装着凹部に埋め込まれ、かつ複数の取付片が前記装着凹部の前記開放側に向けて突出して設けられた補強部と、前記複数の取付片に固定されて前記バンド本体の前記端部に前記補強部と共に取り付けられるバンド連結部と、第1ねじ部材と、第2ねじ部材と、を備え、前記複数の取付片は、前記バンド連結部に設けられた複数の取付穴に嵌め込まれる第1取付片と、前記バンド連結部の下に配置される第2取付片と、を含み、前記第1ねじ部材は、前記第1取付片に前記バンド連結部を固定し、前記第2ねじ部材は、前記第2取付片に前記バンド本体と前記バンド連結部とを固定することを特徴とするバンドである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、バンドの装着性の向上および耐衝撃性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明を腕時計のバンドに適用した第1実施形態を示し、(a)はその表面側を示した斜視図、(b)はその裏面側を示した斜視図である。
【
図2】
図1(a)に示されたバンドの端部を分解して示した要部の拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示された補強部を示した拡大斜視図である。
【
図4】
図1(a)に示されたバンドの端部のA-A矢視における要部を示した拡大断面図である。
【
図5】
図4に示されたA部を示した拡大断面図である。
【
図6】
図4に示されたバンドの端部のB-B矢視における拡大断面図である。
【
図7】
図2に示されたバンド本体の端部に補強部をインサート成型してバンド連結部を取り付ける状態を示した要部の分解斜視図である。
【
図8】
図7のC-C矢視における要部を示した拡大断面図である。
【
図9】この発明を腕時計のバンドに適用した第2実施形態における要部を示した拡大斜視図である。
【
図10】
図9に示されたバンド本体の端部にバンド連結部を取り付ける状態を示した表面側の分解斜視図である。
【
図11】
図9に示されたバンド本体の端部にバンド連結部を取り付ける状態を示した裏面側の分解斜視図である。
【
図12】
図9のD-D矢視における要部を示した拡大断面図である。
【
図13】
図12のE-E矢視における要部を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図8を参照して、この発明を腕時計のバンドに適用した第1実施形態について説明する。
このバンド
本体1は、腕時計ケースのバンド取付部(いずれも図示せず)に取り付けられるものであり、
図1および
図2に示すように、バンド本体1と、このバンド本体1の端部に埋め込まれた補強部2と、この補強部2と共にバンド本体1の端部に取り付けられて腕時計ケースのバンド取付部に取り付けられるバンド連結部3と、を備えている。
【0011】
バンド本体1は、
図1および
図2に示すように、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの軟質の合成樹脂によって帯状に形成されている。このバンド本体1の端部には、補強部2が埋め込まれる装着凹部4が端部側に開放されて設けられている。すなわち、この装着凹部4は、
図6および
図8に示すように、バンド本体1の長手方向と直交する幅方向における両側部を除いて、バンド本体1の端部に長手方向にほぼV字形状に食い込んで形成されている。
【0012】
この場合、バンド本体1の厚み方向における装着凹部4の上部には、
図1、
図2および
図8に示すように、上部突出片5が装着凹部4の開放側に突出して設けられている。また、バンド本体1の厚み方向における装着凹部4の下部には、下部突出片6が装着凹部4の開放側に突出して設けられている。
【0013】
これら上部突出片5と下部突出片6とは、
図1、
図2および
図8に示すように、バンド本体1の幅方向の長さが同じ長さで、バンド本体1の端部における幅方向の長さよりも短く形成されている。また、これら上部突出片5と下部突出片6とは、バンド本体1の長手方向における下部突出片6の突出長さが上部突出片5の突出長さよりも長く形成されている。
【0014】
補強部2は、
図2および
図3に示すように、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)などの剛性の高い硬質の合成樹脂で形成されている。この補強部2は、
図6および
図8に示すように、インサート成型によってバンド本体1の端部に埋め込まれた状態で一体に設けられている。
【0015】
すなわち、この補強部2は、
図2および
図3に示すように、バンド本体1の装着凹部4に埋め込まれる補強部本体7と、バンド本体1の装着凹部4の開放側に向けて補強部本体7の端部から突出する一対の第1取付片8と、バンド本体1の装着凹部4の開放側に向けて補強部本体7の装着凹部4から突出する第2取付片9と、を備えている。
【0016】
補強部本体7は、
図2、
図3、
図6および
図8に示すように、バンド本体1の装着凹部4にインサート成型によって埋め込まれた際に、装着凹部4の開放側に位置する補強部本体7の端面に設けられた凹部7aにバンド本体1の抜止め部10が設けられることにより、装着凹部4から抜け出さないように構成されている。
【0017】
また、この補強部本体7には、
図2、
図3、
図6および
図8に示すように、インサート成型時にバンド本体1の一部が食い込む複数の食込み孔7bが設けられている。これら複数の食込み孔7bは、補強部本体7の端面に設けられた凹部7aに連通して設けられている。このため、複数の食込み孔7bに食込んだバンド本体1の一部は、抜止め部10に連結されている。これにより、補強部本体7は、バンド本体1の装着凹部4に強固に固定されている。
【0018】
一対の第1取付片8は、
図2~
図6に示すように、それぞれ丸棒状に形成され、バンド本体1の装着凹部4の開放側に位置する補強部本体7の端面における両側に設けられている。これら一対の第1取付片8は、補強部本体7の端面から突出する突出長さがバンド本体1の装着凹部4の上部に位置する上部突出片5の突出長さとほぼ同じ長さで、かつバンド本体1の装着凹部4の下部に位置する下部突出片6の突出長さよりも短く形成されている。
【0019】
第2取付片9は、
図2、
図3および
図8に示すように、平板状に形成され、バンド本体1の装着凹部4の開放側に位置する補強部本体7の端面における下部に設けられている。すなわち、この第2取付片9は、一対の第1取付片8の間に位置した状態で、強部本体7の端面における下部に設けられている。
【0020】
この第2取付片9は、
図2、
図3および
図8に示すように、バンド本体1の幅方向の長さが一対の第1取付片8間の長さと同じか、それよりも短く形成されている。また、この第2取付片9は、補強部本体7の端面から突出する突出長さがバンド本体1の装着凹部4の下部に位置する下部突出片6の突出長さとほぼ同じ長さで、一対の第1取付片8の突出長さよりも長く形成されている。
【0021】
一方、バンド連結部3は、
図1、
図2および
図7に示すように、バンド本体1の端部に補強部2と共に取り付けられるものであり、連結部本体11と一対の連結片12とを備え、これらがステンレスなどの金属によって一体に形成されている。連結部本体11は、バンド本体1の端部における上部に位置する上部突出片5と補強部2の第2取付片9との間に配置されるほぼ角棒状に形成されている。
【0022】
この連結部本体11は、
図4および
図6に示すように、バンド本体1の幅方向における長さがバンド本体1の端部における幅方向の長さと同じ長さに形成されている。また、この連結部本体11は、バンド本体1の長手方向における長さがバンド本体1の装着凹部4の下部に位置する下部突出片6の突出長さと同じか、それよりも少し長い長さで、一対の第1取付片8の突出長さよりも長く形成されている。
【0023】
この連結部本体11におけるバンド本体1の幅方向の両側部には、
図4および
図6に示すように、補強部2の一対の第1取付片8が嵌め込まれる一対の取付穴11aがそれぞれ設けられている。すなわち、これら一対の取付穴11aは、その内径が一対の第1取付片8の外径と同じ大きさに形成されている。
【0024】
また、これら一対の取付穴11aは、
図6に示すように、バンド本体1の長手方向における長さが第1取付片8の長さと同じで、かつバンド本体1の長手方向における連結部本体11の長さよりも短く形成されている。これにより、一対の取付穴11aは、バンド本体1の長手方向に貫通することなく形成されている。
【0025】
また、この連結部本体11における補強部2側の端面には、
図2、
図6~
図8に示すように、バンド本体1の端部に設けられた抜止め部10が配置される凹部11bが設けられている。これにより、連結部本体11は、補強部2側の端面の凹部11bにバンド本体1の抜止め部10が配置された際に、連結部本体11の両側部とバンド本体1の端部の端面とが隙間を持って互いに接近して配置されるように構成されている。
【0026】
一方、一対の連結片12は、腕時計ケースのバンド取付部(いずれも図示せず)に取り付けられるものである。これら一対の連結片12は、
図1、
図2および
図6に示すように、バンド本体1の幅方向における連結部本体11の両側部にそれぞれバンド本体1の長手方向に突出して設けられている。
【0027】
すなわち、これら一対の連結片12は、
図1、
図2および
図6に示すように、先端部がそれぞれ半円形状に形成され、バンド本体1の幅方向における間隔がバンド本体1の上部突出片5と下部突出片6とにおけるバンド本体1の幅方向の長さとほぼ同じ長さで設けられている。
【0028】
また、これら一対の連結片12には、
図1、
図2および
図6に示すように、連結孔12aがバンド本体1の幅方向において同一軸に対応して設けられている。これにより、一対の連結片12は、これらの間に腕時計ケースのバンド取付部の突起部が配置された状態で、ばね棒などの連結ピン(いずれも図示せず)が各連結孔2aと突起部の貫通孔とに挿入されることにより、腕時計ケースのバンド取付部に取り付けられるように構成されている。
【0029】
ところで、補強部2の一対の第1取付片8とバンド連結部3とは、
図4および
図5に示すように、第1ねじ部材13によって固定されている。この第1ねじ部材13は、第1取付片8のねじ孔8aに下側から螺合するねじ部13aと、バンド連結部3の連結部本体11の下部に設けられた挿入孔14に下側から挿入される首下部13bと、連結部本体11の挿入孔14に設けられた座ぐり部14aに緩衝材15を介して配置される頭部13cと、を備えている。
【0030】
この場合、第1取付片8のねじ孔8aは、
図4および
図5に示すように、バンド本体1の長手方向における第1取付片8の中間部に上下方向に貫通して設けられている。連結部本体11の挿入孔14は、第1取付片8のねじ孔8aと同一軸上に対応した状態で、上下方向に貫通して設けられている。この挿入孔14は、その内径がねじ孔8aの内径よりも大きく形成されている。連結部本体11の座ぐり部1
4aは、挿入孔14の下部に設けられ、その内径が連結部本体11の挿入孔14の内径よりも大きく形成されている。
【0031】
これにより、第1ねじ部材13は、
図4および
図5に示すように、ねじ部13aをバンド連結部3の下側から連結部本体11の挿入孔14に挿入させて補強部2の第1取付片8のねじ孔8aに螺合させた状態で、ねじ部13aを締め付けることにより、第1取付片8に連結部本体11を固定するように構成されている。
【0032】
この場合、第1ねじ部材13は、
図4および
図5に示すように、ねじ部13aが第1取付片8のねじ孔8aに螺合して締め付けられた際に、首下部13bが第1取付片8の外周面における下部に押し当てられることにより、頭部13cが座ぐり部14a内の緩衝材15を座ぐり部14aの底部に一定の押圧力で押し付けるように構成されている。
【0033】
また、補強部2の第2取付片9は、
図4に示すように、バンド本体1とバンド連結部3とに第2ねじ部材16によって固定されている。この第2ねじ部材16は、バンド連結部3の連結部本体11のねじ穴11cに螺合するねじ部16aと、補強部2の第2取付片9の挿入孔9aに挿入する首下部16bと、バンド本体1の下部突出片6の座ぐり穴6aに配置される頭部16bと、を備えている。
【0034】
この場合、連結部本体11のねじ穴11cは、
図4に示すように、連結部本体11のほぼ中心部に下部から上部に向けて貫通することなく設けられている。第2取付片9の挿入孔9aは、その内径が連結部本体11のねじ穴11cの内径よりも大きく、第2取付片9のほぼ中心部にねじ穴11cと同一軸上で対応して設けられている。下部突出片6の座ぐり穴6aは、その内径が第2取付片9の挿入孔9aの内径よりも大きく、下部突出片6のほぼ中心部に挿入孔9aと同一軸上で対応して設けられている。
【0035】
これにより、第2ねじ部材16は、
図4に示すように、ねじ部16aを下部突出片6の座ぐり穴6aおよび第2取付片9の挿入孔9aに下側から挿入させて連結部本体11のねじ穴11cに螺合させた状態で、ねじ部16aを締め付けることにより、下部突出片6と第2取付片9とに連結部本体11を固定するように構成されている。第2ねじ部材16がバンド本体1の幅方向におけるバンド連結部3の連結部本体11の中心部に取り付けられている。
【0036】
この場合、第2ねじ部材16は、
図4に示すように、ねじ部16aが連結部本体11のねじ穴11cに螺合して締め付けられた際に、首下部16bが連結部本体11の下面に押し当てられることにより、頭部16cが下部突出片6の座ぐり穴6aの底部に一定の押圧力で押し付けるように構成されている。
【0037】
次に、このようなバンドの作用について説明する。
このバンドを組み立てる場合には、まず、補強部2をバンド本体1の端部にインサート成型によって一体に形成する。このときには、予め、補強部2をポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)などの剛性の高い硬質の合成樹脂によって形成する。補強部2の合成樹脂は、硬質でありながら多少弾性変形する素材であり、よって耐衝撃性もある。
【0038】
そして、この補強部2をバンド本体1の端部にインサート成型によって一体に形成する。すると、補強部2の補強部本体7がバンド本体1の端部の装着凹部4内に埋め込まれて、補強部2の一対の第1取付片8と第2取付片9とがバンド本体1の端部から突出する。このときには、第2取付片9がバンド本体1の端部における下部に位置する下部突出片6の上に配置される。
【0039】
また、インサート成型時には、補強部本体7の端面に設けられた凹部7aにバンド本体1の抜止め部10が配置された状態で、バンド本体1に一体に設けられると共に、補強部2の複数の食込み孔7bにバンド本体1の一部が食い込んで設けられる。この場合、補強部2の複数の食込み孔7bは、補強部本体7の端面に設けられた凹部7aに連通して設けられていることにより、バンド本体1の一部が食込み孔7bに食い込んだ際に、バンド本体1の一部が補強部本体7の凹部7aに配置された抜止め部10に連結される。
【0040】
これにより、補強部2は、インサート成型時にバンド本体1の装着凹部4内に埋め込まれて、複数の食込み孔7bにバンド本体1の一部が食い込んだ状態で、抜止め部10によって装着凹部4から抜け出すことがなく、バンド本体1の装着凹部4に確実にかつ強固に固定されている。
【0041】
そして、バンド本体1の端部にバンド連結部3を補強部2と共に取り付ける。このときには、まず、バンド連結部3の連結部本体11に設けられた一対の取付穴11aに補強部2の一対の第1取付片8を嵌め込みながら、連結部本体11をバンド本体1の端部における上部に位置する上部突出片5と補強部2の第2取付片9との間に挿入させて配置させる。
【0042】
この状態では、連結部本体11における補強部2側の端面に設けられた凹部11bにバンド本体1の抜止め部10が挿入して配置されると共に、連結部本体11の両側部がバンド本体1の端部の端面に隙間を持って接近して配置される。
【0043】
また、このときには、第1取付片8のねじ孔8aと、連結部本体11の下部に設けられた挿入孔14と、この挿入孔14に設けられた座ぐり部14aとが同一軸で対応する。また、連結部本体11のねじ穴11cと、第2取付片9の挿入孔9aと、下部突出片6の座ぐり穴6aとが同一軸上で対応する。
【0044】
そして、補強部2の第1取付片8とバンド連結部3の連結部本体11とを第1ねじ部材13によってねじ止めする。このときには、予め、連結部本体11の挿入孔14に設けられた座ぐり部14a内に緩衝材15を配置する。この状態で、第1ねじ部材13のねじ部13aをバンド連結部3の下側から連結部本体11の挿入孔14に挿入させて補強部2の第1取付片8のねじ孔8aに螺合させる。この状態で、ねじ部13aを締め付けることにより、第1取付片8に連結部本体11が固定される。
【0045】
このように、第1ねじ部材13のねじ部13aが第1取付片8のねじ孔8aに螺合して締め付けられると、第1ねじ部材13の首下部13bが第1取付片8の外周面における下部に押し当てられる。このため、第1ねじ部材13の頭部13cが座ぐり部14a内において緩衝材15を座ぐり部14aの底部に一定の押圧力で押し付ける。これにより、第1取付片8に連結部本体11が確実にかつ良好に固定される。
【0046】
また、補強部2の第2取付片9にバンド本体1とバンド連結部3とを第2ねじ部材16によってねじ止めする。このときには、第2ねじ部材16のねじ部16aを下部突出片6の座ぐり穴6aおよび第2取付片9の挿入孔9aに下側から挿入させて連結部本体11のねじ穴11cに螺合させ、この状態でねじ部16aを締め付ける。これにより、下部突出片6と第2取付片9とが連結部本体11に固定される。
【0047】
このように、第2ねじ部材16のねじ部16aが連結部本体11のねじ穴11cに螺合して締め付けられた際には、首下部16bが連結部本体11の下面に押し当てられる。このため、第2ねじ部材16の頭部16cが下部突出片6の座ぐり穴6aの底部に一定の押圧力で押し付けられる。これにより、下部突出片6と第2取付片9とが連結部本体11に確実にかつ良好に固定される。
【0048】
このようなバンドを使用する際には、まず、バンド連結部3を腕時計ケースのバンド取付部(いずれも図示せず)に取り付ける。このときには、バンド連結部3の一対の連結片12の間に腕時計ケースのバンド取付部の突起部を配置し、この状態でばね棒などの連結ピンを各連結孔2aと突起部の貫通孔(いずれも図示せず)とに挿入させる。これにより、バンド連結部3が腕時計ケースのバンド取付部に取り付けられる。
【0049】
これにより、腕時計ケースをバンドによって腕に取り付けて使用することができる。この場合には、バンド連結部3の連結部本体11の両側部とバンド本体1の端部の端面とが、隙間を持って互いに接近して配置されることにより、バンド本体1の端部を連結部本体11の両側部に対して変位させることができる。
【0050】
このため、このバンドでは、腕時計ケースを腕に取り付けて使用する際に、手首を捩ったり上下に曲げたりすると、手首の捩れや上下の曲がりに応じてバンド本体1の端部をバンド連結部3の両側部に対して変位させることができる。このため、バンド本体1を常に腕にフィットさせることができ、これにより腕時計ケースをバンドによって腕に取り付けて良好に使用することができる。
【0051】
このように、このバンドによれば、装着凹部4が端部に開放されて設けられた軟質の合成樹脂製のバンド本体1と、装着凹部4に埋め込まれ、かつ第1、第2取付片9、9が装着凹部4の開放側に向けて突出して設けられた硬質の合成樹脂製の補強部2と、を備えていることにより、取付強度を確保して高めることができる。
【0052】
すなわち、このバンドでは、軟質の合成樹脂製のバンド本体1の装着凹部4に硬質の合成樹脂製の補強部2を埋め込んでいるので、バンド本体1の端部に補強部2を確実にかつ強固に固定することができ、これによりバンド本体1に対する補強部2の取付強度を確保することができると共に、バンド本体1に対する補強部2の取付強度を高めることができる。
【0053】
この場合、このバンドでは、補強部2の第1、第2取付片9、9に固定されてバンド本体1の端部に補強部2と共に取り付けられるバンド連結部3を備えていることにより、バンド本体1に強固に固定された補強部2の第1、第2取付片9、9にバンド連結部3を確実に取り付けることができるので、バンド本体1の端部にバンド連結部3を補強部2によって強固に取り付けることができ、これにより腕時計ケースに対するバンド連結部3の取付強度を高めることができる。
【0054】
また、このバンドの補強部2は、バンド本体1の一部が食い込む食込み孔7bを備え、インサート成型によってバンド本体1と一体に設けられていることにより、バンド本体1の装着凹部4に確実にかつ強固に埋め込むことができる。すなわち、インサート成型によって補強部2をバンド本体1に埋め込む際には、補強部2の複数の食込み孔7bにバンド本体1の一部を食い込ませることができるので、補強部2をバンド本体1に確実にかつ強固に埋め込むことができる。
【0055】
また、補強部2をバンド本体1にインサート成型した際には、補強部本体7の端面に設けられた凹部7aに抜止め部10が配置された状態でバンド本体1に一体に形成されるので、この抜止め部10によってバンド本体1の装着凹部4から補強部2が抜け出さないようにすることができる。
【0056】
この場合には、補強部2の複数の食込み孔7bが補強部本体7の凹部7aに連通していることにより、複数の食込み孔7bに食い込んだバンド本体1の一部を抜止め部10に連結させることができるので、より一層、補強部2をバンド本体1に確実にかつ強固に埋め込むことができる。
【0057】
また、このバンドでは、補強部2の第1、第2取付片9、9のうち、一対の第1取付片8がバンド連結部3に設けられた一対の取付穴11aに嵌め込まれ、第2取付片9がバンド連結部3の下に配置されることにより、バンド連結部3を補強部2に正確に位置決めして確実にかつ良好に取り付けることができる。
【0058】
すなわち、一対の第1取付片8は、バンド連結部3に設けられた一対の取付穴11aに嵌め込まれることにより、バンド連結部3を補強部2に正確に位置決めして確実にかつ良好に取り付けることができる。また、第2取付片9は、バンド連結部3の下に配置されることにより、バンド連結部3を確実に支持して補強部2に良好に取り付けることができる。
【0059】
また、このバンドでは、一対の第1取付片8がバンド連結部3に設けられた一対の取付穴11aに嵌め込まれ、第2取付片9がバンド連結部3の下に配置された際に、バンド連結部3の連結部本体11の両側部とバンド本体1の端部の端面とが、隙間を持って互いに接近して配置されることにより、バンド本体1の端部を連結部本体11の両側部に対して変位させることができる。
【0060】
このため、このバンドでは、バンド連結部3を腕時計ケースのバンド取付部に取り付けて、腕時計ケースをバンドによって腕に取り付けて使用する際に、手首を捩ったり上下に曲げたりすると、手首の捩れや上下の曲がりに応じてバンド本体1の端部をバンド連結部3の両側部に対して変位させることができる。このため、バンド本体1を常に腕にフィットさせることができ、これにより腕時計ケースをバンドによって腕に取り付けて良好に使用することができる。
【0061】
また、このバンドでは、一対の第1取付片8にバンド連結部3を固定する第1ねじ部材13と、第2取付片9にバンド連結部3とバンド本体1の下部突出片6とを固定する第2ねじ部材16と、を備えていることにより、これら第1ねじ部材13と第2ねじ部材16とによってバンド連結部3を一対の第1取付片8と第2取付片9とに確実にかつ強固に取り付けることができる。
【0062】
この場合、第1ねじ部材13は、バンド連結部3の挿入孔14を通して第1取付片8のねじ孔8aに下側から螺着するねじ部13aと、バンド連結部3の挿入孔14に下側から挿入されて第1取付片8の外面に当接する首下部13bと、バンド連結部3の座ぐり部14aに挿入してバンド連結部3を押え付ける頭部13cと、を備えていることにより、第1ねじ部材13によってバンド連結部3を第1取付片8に確実に固定することができる。
【0063】
すなわち、この第1ねじ部材13は、ねじ部13aをバンド連結部3の下側から連結部本体11の挿入孔14に挿入させて補強部2の第1取付片8のねじ孔8aに螺合させ、この状態でねじ部13aを締め付けることにより、第1取付片8に連結部本体11を確実に固定することができる。
【0064】
この場合、第1ねじ部材13は、首下部13bが第1取付片8の外周面における下部に押し当てられるので、第1ねじ部材13の頭部13cがバンド連結部3を一定の押圧力で押し付けることができ、これにより連結部本体11を第1取付片8に良好に固定することができる。
【0065】
この場合、第1ねじ部材13の頭部13cとバンド連結部3の座ぐり部14aの底部との間には、緩衝材15が設けられていることにより、第1ねじ部材13の首下部13bが第1取付片8の外周面における下部に押し当てられた際に、第1ねじ部材13の頭部13cで緩衝材15を一定の押圧力で押し付けることができ、これにより緩衝材15を良好に押え付けてバンド連結部3を補強部2に対して良好に固定することができる。また、緩衝材15により外部から衝撃を受けても吸収することができる。さらに、緩衝材15により緩衝材15の厚さ方向や円周方向に第2ねじ部材16を支点として、バンドを回転させることができフィット感が向上する。
【0066】
また、第2ねじ部材16は、バンド連結部3に設けられたねじ穴11cに下側から螺合するねじ部16aと、補強部2の第2取付片9に設けられた挿入孔9aに下側から挿入する首下部16bと、バンド本体1の下部突出片6の座ぐり穴6aに配置される頭部16cと、を備えていることにより、第2ねじ部材16によってバンド連結部3とバンド本体1の下部突出片6とを第2取付片9に確実に固定することができる。
【0067】
すなわち、第2ねじ部材16は、ねじ部16aを下部突出片6の座ぐり穴6aおよび第2取付片9の挿入孔9aに下側から挿入させて連結部本体11のねじ穴11cに螺合させた状態で、ねじ部16aを締め付けることにより、第2取付片9にバンド連結部3とバンド本体1の下部突出片6とを確実に固定することができ、これによりバンド本体1の下部突出片6のめくれを防ぐことができる。
【0068】
この場合、第2ねじ部材16は、ねじ部16aが連結部本体11のねじ穴11cに螺合して締め付けられた際に、首下部16bが連結部本体11の下面に押し当てられることにより、頭部16cで下部突出片6を一定の押圧力で押し付けることができ、これにより連結部本体11とバンド本体1の下部突出片6とを第1取付片8に良好に固定することができる。
【0069】
さらに、このバンドでは、第1ねじ部材13と第2ねじ部材16とがバンド連結部3の下側から補強部2にねじ込まれているので、バンド連結部3を腕時計ケースのバンド取付部に取り付けて、腕時計ケースをバンドによって腕に取り付けて使用する際に、第1ねじ部材13と第2ねじ部材16とが外部から見えないように隠すことができるので、デザイン的に好ましいものを提供することができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、
図9~
図13を参照して、この発明を腕時計のバンドに適用した第2実施形態について説明する。なお、
図1~
図8に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
このバンドは、
図9~
図13に示すように、一対の第1取付片8に一対の第1ねじ部材13をバンド本体1の幅方向におけるバンド連結部3の両側部から取り付ける構造であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構造になっている。
【0071】
この場合にも、補強部2は、第1実施形態と同様、インサート成型によってバンド本体1の端部に一体に埋め込まれている。この補強部2に設けられた一対の第1取付片8には、
図10~
図13に示すように、第1ねじ部材13のねじ部13aがバンド本体1の幅方向の両側から螺合するねじ孔20がそれぞれ設けられている。この場合、一対の第1取付片8の各ねじ孔20は、バンド本体1の幅方向において同一軸上に対応して設けられている。
【0072】
また、バンド本体1の幅方向におけるバンド連結部3の連結部本体11の両側部には、
図10~
図13に示すように、第1ねじ部材13の首下部13bがバンド本体1の幅方向における両側から挿入する挿入孔21がそれぞれ設けられている。この場合にも、各挿入孔21は、バンド本体1の幅方向において同一軸上に対応して設けられている。
【0073】
さらに、バンド連結部3の連結部本体11の両側部に設けられた各挿入孔21には、
図9~
図11に示すように、第1ねじ部材13の頭部13cが挿入する座ぐり部21aがそれぞれ設けられている。この場合にも、座ぐり部21a内には、第1実施形態と同様に、緩衝材15が配置されている。
【0074】
このようなバンド本体1の端部にバンド連結部3を取り付ける場合には、第1実施形態と同様、バンド連結部3の連結部本体11に設けられた一対の取付穴11aに補強部2の一対の第1取付片8を嵌め込みながら、連結部本体11をバンド本体1の端部における上部に位置する上部突出片5と補強部2の第2取付片9との間に挿入させて配置させる。
【0075】
このときには、第1実施形態と同様、連結部本体11における補強部2側の端面に設けられた凹部11bにバンド本体1の抜止め部10が挿入して配置されると共に、連結部本体11の両側部とバンド本体1の端部の端面とが、隙間を持って互いに接近して配置される。
【0076】
また、このときには、第1取付片8のねじ孔20と、連結部本体11の両側部に設けられた挿入孔21と、この挿入孔21に設けられた座ぐり部21aとが、バンド本体1の幅方向において同一軸で対応する。また、連結部本体11のねじ穴11cと、第2取付片9の挿入孔9aと、下部突出片6の座ぐり穴6aとが、第1実施形態と同様、同一軸上で対応する。
【0077】
そして、補強部2の第1取付片8とバンド連結部3の連結部本体11とを第1ねじ部材13によってねじ止めする。このときには、第1実施形態と同様、予め、連結部本体11の挿入孔21に設けられた座ぐり部21a内に緩衝材15を配置する。
【0078】
この状態で、第1ねじ部材13のねじ部13aをバンド本体1の幅方向におけるバンド連結部3の両側から連結部本体11の挿入孔21に挿入させて補強部2の第1取付片8のねじ孔20に螺合させる。この状態で、ねじ部13aを締め付けることにより、第1取付片8に連結部本体11が固定される。
【0079】
このように、第1ねじ部材13のねじ部13aが第1取付片8のねじ孔20に螺合して締め付けられた際には、第1実施形態と同様、第1ねじ部材13の首下部13bが第1取付片8の外周面に側方から押し当てられる。これにより、第1ねじ部材13の頭部13cが座ぐり部21a内において緩衝材15を座ぐり部21aの底部に一定の押圧力で押し付ける。このため、第1取付片8に連結部本体11が確実にかつ良好に固定される。
【0080】
また、補強部2の第2取付片9にバンド本体1とバンド連結部3とを第2ねじ部材16によってねじ止めする場合には、第1実施形態と同様、第2ねじ部材16のねじ部16aを下部突出片6の座ぐり穴6aおよび第2取付片9の挿入孔9aに下側から挿入させて連結部本体11のねじ穴11cに螺合させる。この状態で、ねじ部16aを締め付けることにより、下部突出片6と第2取付片9とが連結部本体11に固定される。
【0081】
このようなバンドのバンド連結部3を腕時計ケースのバンド取付部に取り付け、このバンドによって腕時計ケースを腕に取り付けて使用する際には、連結部本体11の両側部とバンド本体1の端部の端面とが、隙間を持って互いに接近して配置されることにより、腕の手首を捩ったり上下に曲げたりすると、手首の捩れや上下の曲がりに応じてバンド本体1の端部をバンド連結部3の両側部に対して変位させることができる。
【0082】
この場合には、第1ねじ部材13の頭部13cとバンド連結部3の座ぐり部21aとの間に緩衝材15が配置され、かつ第2ねじ部材16がバンド本体1の幅方向におけるバンド連結部3の連結部本体11の中心部に取り付けられているので、この第2ねじ部材16を支点としてバンド連結部3が回転方向に変位する。
【0083】
すなわち、このときには、緩衝材15が第1ねじ部材13の頭部13cによって傾くように変形するので、バンド連結部3が第2ねじ部材16を支点として回転方向に変位する。このため、バンド本体1を常に腕にフィットさせることができるので、腕時計ケースをバンドによって腕に取り付けて良好に使用することができる。
【0084】
このように、このバンドによれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、一対の第1取付片8にバンド連結部3を固定する第1ねじ部材13と、第2取付片9にバンド本体1の下部突出片6とバンド連結部3とを固定する第2ねじ部材16と、を備えていることにより、第1実施形態と同様、第1ねじ部材13と第2ねじ部材16とによってバンド連結部3をバンド本体1の端部に補強部2と共に確実にかつ強固に取り付けることができる。
【0085】
この場合、第1ねじ部材13は、バンド連結部3の両側に設けられた挿入孔21を通して第1取付片8のねじ孔20に側方から螺着するねじ部13aと、バンド連結部3の挿入孔20に側方から挿入されて第1取付片8の側方から第1取付片8の外面に当接する首下部13bと、バンド連結部3の座ぐり部21aに挿入してバンド連結部3を側方から押え付ける頭部13cと、を備えていることにより、第1実施形態と同様、第1ねじ部材13によってバンド連結部3を第1取付片8に確実に固定することができる。
【0086】
すなわち、この第1ねじ部材13は、ねじ部13aをバンド連結部3の側方から連結部本体11の挿入孔21に挿入させて補強部2の第1取付片8のねじ孔8aに螺合させ、この状態でねじ部13aを締め付けることにより、第1実施形態と同様、第1取付片8に連結部本体11を確実に固定することができる。
【0087】
この場合にも、第1ねじ部材13は、首下部13bが第1取付片8の外周面における側部に押し当てられるので、第1実施形態と同様、第1ねじ部材13の頭部13cがバンド連結部3と緩衝材15とを一定の押圧力で押し付けることができ、これにより連結部本体11を第1取付片8に良好に固定することができる。
【0088】
すなわち、第1ねじ部材13の頭部13cとバンド連結部3の座ぐり部21aの底部との間に設けられた緩衝材15は、第1ねじ部材13の首下部13bが第1取付片8の外周面における側部に押し当てられた際に、第1ねじ部材13の頭部13cによって一定の押圧力で押し付けられるので、第1実施形態と同様、第1ねじ部材13の頭部13cによって緩衝材15を良好に押え付けてバンド連結部3を補強部2に対して良好に固定することができる。
【0089】
この場合にも、このバンドでは、一対の第1取付片8がバンド連結部3に設けられた一対の取付穴11aに嵌め込まれ、第2取付片9がバンド連結部3の下に配置された際に、バンド連結部3の連結部本体11の両側部とバンド本体1の端部の端面とが、隙間を持って互いに接近して配置されることにより、バンド本体1の端部を連結部本体11の両側部に対して変位させることができる。
【0090】
また、このバンドでは、第1ねじ部材13の頭部13cとバンド連結部3の座ぐり部21aとの間に緩衝材15が配置され、かつ第2ねじ部材16がバンド本体1の幅方向におけるバンド連結部3の連結部本体11の中心部に取り付けられているので、第2ねじ部材16を支点としてバンド連結部3を回転方向に変位させることができる。
【0091】
すなわち、このバンドでは、緩衝材15が第1ねじ部材13の頭部13cによって傾くように変形するので、第2ねじ部材16を支点としてバンド連結部3を回転方向に変位させることができる。このため、バンド本体1を常に腕にフィットさせることができるので、腕時計ケースをバンドによって腕に取り付けて良好に使用することができる。
【0092】
なお、上述した第1、第2実施形態では、バンド本体1の端部にバンド連結部3を補強部2によって取り付け、このバンド連結部3を腕時計ケースのバンド取付部に取り付けるように構成した場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えばバンド本体1の端部にバンド連結部3を取り付けずに、バンド本体1の端部に埋め込まれた補強部2の第1、第2取付片9、9によって、バンド本体1の端部を腕時計ケースのバンド取付部に取り付けるように構成しても良い。
【0093】
また、バンド連結部3が腕時計ケースに一体に形成されていても良い。また、補強部2の第1、第2第1取付片8、9は、上述した第1、第2実施形態の構成に限らず、例えば、一対の第1取付片8だけ設けるようにしても良い。また、第2取付片9が第1取付片8と同じ丸棒状に形成されても良い。
【0094】
また、上述した第1、第2実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばバッグや鞄、衣服などのバンドにも適用することができる。
【0095】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0096】
(付記)
請求項1に記載の発明は、装着凹部が端部に開放されて設けられた軟質の合成樹脂製のバンド本体と、前記装着凹部に埋め込まれ、かつ複数の取付片が前記装着凹部の前記開放側に向けて突出して設けられた硬質の合成樹脂製の補強部と、前記複数の取付片に固定されて前記バンド本体の前記端部に前記補強部と共に取り付けられるバンド連結部と、前記複数の取付片は、前記バンド連結部に設けられた複数の取付穴に嵌め込まれる第1取付片と、前記第1取付片に前記バンド連結部を固定する第1ねじ部材と、前記第1ねじ部材と前記バンド連結部との間に設けられた緩衝材と、を備えていることを特徴とするバンドである。
【0097】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバンドにおいて、前記補強部は、前記バンド本体の一部が食い込む食込み部を備え、インサート成型によって前記バンド本体と一体に設けられていることを特徴とするバンドである。
【0098】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のバンドにおいて、前記補強部の前記複数の取付片は、前記バンド連結部の下に配置される第2取付片を備えていることを特徴とするバンドである。
【0099】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のバンドにおいて、前記第2取付片に前記バンド本体と前記バンド連結部とを固定する第2ねじ部材を備えていることを特徴とするバンドである。
【0100】
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載のバンドにおいて、前記第1ねじ部材は、前記バンド連結部の下側から前記バンド連結部を通して前記第1取付片に螺着することを特徴とするバンドである。
【0101】
請求項6に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載のバンドにおいて、前記第1ねじ部材は、前記ハンド本体の長手方向と直交する幅方向における前記バンド連結部の両側から前記バンド連結部を通して前記第1取付片に螺着することを特徴とするバンドである。
【0102】
請求項7に記載の発明は、請求項1~請求項6のいずれかに記載のバンドにおいて、前記補強部は、硬質かつ弾性変形する素材であることを特徴とするバンドである。
【0103】
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載のバンドにおいて、前記第2ねじ部材は、前記バンド連結部の中間部に取り付けられていることを特徴とするバンドである。
【0104】
請求項9に記載の発明は、請求項1~請求項8のいずれかに記載されたバンドを備えていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0105】
1 バンド本体
2 補強部
3 バンド連結部
4 装着凹部
5 上部突出片
6 下部突出片
6a 座ぐり穴
7 補強部本体
7a 凹部
7b 食込み孔
8 第1取付片
8a、20 ねじ孔
9 第2取付片
10 抜止め部
11 連結部本体
11a 取付穴
12 連結片
13、16 第1、第2ねじ部材
13a、16a ねじ部
13b、16b 首下部
13c、16c 頭部
14、21 挿入孔
14a、21a 座ぐり部
15 緩衝材